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特開2023-127336キャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置
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  • 特開-キャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127336
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】キャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20230906BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20230906BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031059
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 将一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 和亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 英明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】新野 和久
【テーマコード(参考)】
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058AA21
4C058BB06
4C058EE02
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK46
4D037AA01
4D037AA02
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】 ハウジング内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高め、且つ、所望の範囲に紫外光を照射可能なキャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置の提供を目的とする。
【解決手段】 キャップユニットは、発光素子と、前記発光素子を実装する基板とを備える光源ユニットと、前記光源ユニットの収容空間を備えると共に、被殺菌体に臨む側の所定位置に開口部を有し、前記開口部と前記発光素子とが向き合うよう前記光源ユニットを収めるハウジングと、前記開口部を塞ぐ紫外光透過窓部と、前記光源ユニットと前記紫外光透過窓部との間に位置し、前記収容空間内の前記光源ユニット側に前記被殺菌体が侵入することを防ぐパッキンと、前記パッキンは、光反射性を備えると共に、前記発光素子の側域を取り囲むよう、前記光源ユニットに向けて凹設されるリフレクタ用壁部を備えることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子を実装する基板とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットの収容空間を備えると共に、被殺菌体に臨む側の所定位置に開口部を有し、前記開口部と前記発光素子とが向き合うよう前記光源ユニットを収めるハウジングと、
前記開口部を塞ぐ紫外光透過窓部と、
前記光源ユニットと前記紫外光透過窓部との間に位置し、前記収容空間内の前記光源ユニット側に前記被殺菌体が侵入することを防ぐパッキンと、
を備え、
前記パッキンは、光反射性を備えると共に、前記発光素子の側域を取り囲むよう、前記光源ユニットに向けて凹設されるリフレクタ用壁部を備える
ことを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記パッキンが、前記リフレクタ用壁部から径方向外側に延在し、前記ハウジングに当接する外延部を更に備える
請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記リフレクタ用壁部が、前記光源ユニットから前記開口部に進むに従い拡径する
請求項1又は2に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記リフレクタ用壁部が、前記ハウジングの高さ方向に沿って延在する
請求項1又は2に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記基板には、前記発光素子とは異なる電子部品が実装され、
前記リフレクタ用壁部の拡径している部分において、前記発光素子に相対的に近い厚肉部分と、前記発光素子に相対的に遠い薄肉部分とが形成され、
前記電子部品が、前記リフレクタ用壁部の拡径している部分の背面領域と対向する
請求項3に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記リフレクタ用壁部において、前記発光素子からの光が内部に侵入して拡散反射し、
前記リフレクタ用壁部の拡径している部分の表面又は裏面の少なくとも一方に正反射材料製のアタッチメントが設けられる
請求項3又は5に記載のキャップユニット。
【請求項7】
貫通孔と、
前記貫通孔を塞ぐ請求項1から6のいずれか一項に記載のキャップユニットと、
を備え、
内部に前記被殺菌体を貯留する
貯留タンク。
【請求項8】
前記被殺菌体を通す流路管と、
前記流路管に設けられる貫通孔と、
前記貫通孔を塞ぐ請求項1から6のいずれか一項に記載のキャップユニットと、
を備える流水殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット、並びに、キャップユニットを備えた貯留タンク及び流水殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製氷対象の水を貯留(貯水)する貯留機構が、製氷機等に設けられる。また、飲料水や工業用水を循環送水する循環送水機構が、ウォーターサーバ、ドリンクサーバ、冷却水循環装置(所謂チラー)等に設けられる。
【0003】
貯留機構における貯留タンクや給水管、並びに、循環送水機構における送水管は、装置内に固設されているため、装置本体から容易に取り外すことができない。また、前記各部位(貯留タンク、給水管、送水管等の水の貯留や循環に関わる部位)の内部を頻繁に清掃することができない。そのため、前記各部位に、細菌が繁殖する可能性がある。
【0004】
ここで、製氷機の給水管や貯留タンク等の内部に細菌が繁殖することを抑える技術が、下記特許文献1,2に開示されている。具体的には、特許文献1に開示の発明は、給水管内の水に紫外光を照射する紫外光照射器を備える。また、特許文献2に開示の発明は、貯留タンク内の水に紫外光を照射する紫外光照射器を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-20561号公報
【特許文献2】特開2019-219095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に開示の紫外光照射器は、発光素子から照射される紫外光を配光するための部位を備えていない。その結果、単位面積あたりの紫外光照射量(照度)が減り、細菌の殺菌能の低下を招く。また、送水管や貯留タンクが樹脂製である場合、紫外光の照射範囲を制御できないため、送水管や貯留タンクにも相応の照度を有する紫外光が照射される可能性がある。その結果、樹脂部分の劣化が促進される可能性がある。
【0007】
前記課題に鑑み、本発明は、ハウジング内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高め、且つ、所望の範囲に紫外光を照射可能なキャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するため、本発明に係るキャップユニットは、
発光素子と、前記発光素子を実装する基板とを備える光源ユニットと、
前記光源ユニットの収容空間を備えると共に、被殺菌体に臨む側の所定位置に開口部を有し、前記開口部と前記発光素子とが向き合うよう前記光源ユニットを収めるハウジングと、
前記開口部を塞ぐ紫外光透過窓部と、
前記光源ユニットと前記紫外光透過窓部との間に位置し、前記収容空間内の前記光源ユニット側に前記被殺菌体が侵入することを防ぐパッキンと、
を備え、
前記パッキンは、光反射性を備えると共に、前記発光素子の側域を取り囲むよう、前記光源ユニットに向けて凹設されるリフレクタ用壁部を備える
ことを特徴とする。
【0009】
本発明のこの態様によれば、光源ユニットと紫外光透過窓部との間に位置し、光源ユニット側に被殺菌体が侵入することを防ぐパッキンが、光反射性を備えたリフレクタ用壁部を備える。そのため、光源ユニットからの紫外光の照射範囲を所望の範囲に制御(配光)することができる。これにより、ハウジング内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高めることができる。もしくは、本発明のキャップユニットを装着したキャップユニット装着体(例えば、貯留タンク等)に樹脂製部分が含まれても、樹脂製部分への紫外光の照射を避けるよう、紫外光を配光できる。よって、紫外光の照射によって樹脂製部分の劣化が促進されるなどの不具合が抑制される。
【0010】
また、本発明に係るキャップユニットにおいて、
前記パッキンが、前記リフレクタ用壁部から径方向外側に延在し、前記ハウジングの所定位置に当接する外延部を更に備えることが好ましい。
【0011】
本発明のこの態様によれば、光源ユニットの基板に実装される電子部品がパッキンのリフレクタ用壁部と外延部によって覆われる。これにより、発光素子からの紫外光を遮光可能な空間が設けられ、当該空間に電子部品を収めることができる。これにより、紫外線耐性(耐UV性)を備えない比較的安価な電子部品を基板に実装することができる。換言すれば、本発明のこの態様によれば、キャップユニットの過度なコスト高騰を招かない。
【0012】
更に、本発明に係るキャップユニットにおいて、
前記リフレクタ用壁部が、前記光源ユニットから前記開口部に進むに従い拡径することが好ましい。
【0013】
本発明のこの態様によれば、発光素子から広角に照射される紫外光成分に関しても、ハウジングの開口部側に向くよう配光することができる。その結果、所定範囲に照射される紫外光の照度を高めることができ、被殺菌体の殺菌能を向上させることができる。
【0014】
更に、本発明に係るキャップユニットにおいて、
前記リフレクタ用壁部が、前記ハウジングの高さ方向に沿って延在することが好ましい。
【0015】
本発明のこの態様によれば、リフレクタ用壁部を設けない場合に比べて、紫外光の照射範囲を所望の範囲に狭めることができる。その結果、キャップユニット装着体(例えば、貯留タンク等)の樹脂製部分等に紫外光が照射されないよう、紫外光を配光できる。これにより、紫外光の照射によって樹脂製部分等の劣化が促進されるような不具合を抑制できる。
【0016】
更に、本発明に係るキャップユニットにおいて、
前記基板には、前記発光素子とは異なる電子部品が実装され、
前記リフレクタ用壁部の拡径している部分において、前記発光素子に相対的に近い厚肉部分と、前記発光素子に相対的に遠い薄肉部分とが形成され、
前記電子部品が、前記リフレクタ用壁部の拡径している部分の背面領域と対向することが好ましい。
【0017】
本発明のこの態様によれば、リフレクタ用壁部の拡径している部分において、発光素子に相対的に近い厚肉部分を設けることで、発光素子からの紫外光がリフレクタ用壁部を透過することを防ぐことができる。また、リフレクタ用壁部の拡径している部分において、発光素子に相対的に遠い薄肉部分を設けることで、電子部品の収容空間を拡げることができる。
【0018】
更に、本発明に係るキャップユニットは、
前記リフレクタ用壁部において、前記発光素子からの光が内部に侵入して拡散反射し、
前記リフレクタ用壁部の拡径している部分の表面又は裏面の少なくとも一方に正反射材料製のアタッチメントが設けられることが好ましい。
【0019】
本発明のこの態様によれば、リフレクタ用壁部の拡径している部分の表面又は裏面の少なくとも一方に正反射材料製のアタッチメントを設けることで、発光素子からの紫外光の反射特性を高める、もしくは、発光素子からの紫外光がリフレクタ用壁部を透過する事態を防ぐことができる。
【0020】
また、本発明に係る貯留タンクは、
所定位置に設けられる貫通孔と、
前記貫通孔を塞ぐ前記キャップユニットと、
を備え、
内部に前記被殺菌体を貯留する
ことを特徴とする。
【0021】
本発明のこの態様によれば、キャップユニット内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高め、且つ、貯留タンクの樹脂製部分への紫外光の照射を避けるよう紫外光を配光できる。よって、紫外光の照射によって樹脂製部分の劣化が促進されるなどの不具合が抑制される。
【0022】
また、本発明に係る流水殺菌装置は、
前記被殺菌体を通す流路管と、
前記流路管の所定位置に設けられる貫通孔と、
前記貫通孔を塞ぐ前記キャップユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明のこの態様によれば、キャップユニット内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高め、且つ、流水殺菌装置の樹脂製部分への紫外光の照射が避けられる。よって、紫外光の照射によって樹脂製部分の劣化が促進されるなどの不具合が抑制される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ハウジング内の止水性を保ちつつ、被殺菌体への殺菌能を高め、且つ、所望の範囲に紫外光を照射可能なキャップユニット、並びに、貯留タンク及び流水殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るキャップユニットの斜視図。
図2】本実施形態に係るキャップユニットの垂直断面図。
図3】本実施形態に係るキャップユニットの垂直断面図。
図4】本実施形態に係るキャップユニットから照射された紫外光照度の分布を示す図。
図5】本実施形態のパッキン(リフレクタ用壁部)の拡大図。
図6】本実施形態に係るキャップユニットの変形例を示す図。
図7】本実施形態に係るキャップユニットの別の変形例を示す図。
図8】流体殺菌装置に装着された本実施形態のキャップユニットを示す図。
図9】別の流体殺菌装置に装着された本実施形態のキャップユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る流体殺菌装置を詳細に説明する。初めに、図1から図5を参照して、本実施形態に係るキャップユニット1を詳細に説明する。ここで、図1は、キャップユニット1の斜視図である。また、図2及び図3は、キャップユニット1の垂直断面図である。更に、図4は、キャップユニット1から照射された紫外光照度の分布を示す図である。更に、図5は、キャップユニット1に備わるパッキン(リフレクタ用壁部)の拡大図である。
【0027】
図1に示されるように、キャップユニット1は、例えば、被殺菌体(水等)を貯留する貯留タンク2に装着される。より詳しくは、キャップユニット1は、貯留タンク2の所定箇所(装着される箇所は貯留タンク2の下面、側面であっても構わないが、本実施形態の場合、貯留タンク2の上面3)に設けられる貫通孔4を塞ぐ。後述のように、キャップユニット1に備わる光源ユニット(発光素子)は、貯留タンク2内の被殺菌体に臨むよう配設される。これにより、キャップユニット1の発光素子からの紫外光が、被殺菌体に向けて照射される。
【0028】
また、図2に示されるように、本実施形態に係るキャップユニット1は、光源ユニット10、ハウジング20、紫外光透過窓部30(例えば、石英ガラス)、パッキン40等を備える。
【0029】
光源ユニット10は、紫外光(例えば、100nm~400nmにピーク波長を有する光)を発光する発光素子11、発光素子11を実装する基板12、同じく基板12に実装され、発光素子11に電流を供給する電源回路やコネクタ等の他の電子部品13を備える。なお、発光素子11の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light emitting diode)、レーザーダイオードなどの半導体発光素子が挙げられる。また、本実施形態の発光素子11の数は1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0030】
次に、ハウジング20は、貯留タンク2の貫通孔4に嵌まり込むハウジング本体21を備える。ここで、ハウジング本体21は、貯留タンク2内の被殺菌体に臨む底壁211、底壁211の端縁に連なりハウジング本体21の頂方側に立ち上がる側壁212、側壁212の頂端から径方向外側に略水平に延在するフランジ213を備える。図2に示されるように、フランジ213が、貯留タンク2の上面3と接触し、ハウジング本体21を支持する。
【0031】
また、ハウジング本体21の底壁211(被殺菌体に臨む側の所定位置)に、第1開口部214が形成される。図2に示されるように、光源ユニット10の発光素子11は、第1開口部214に向き合う。更に、紫外光透過窓部30は、第1開口部214を塞ぐ。これにより、発光素子11から照射される紫外光は、第1開口部214(紫外光透過窓部30)を通過し、貯留タンク2内の被殺菌体に照射される。
【0032】
ハウジング本体21の頂面は、開口する(第2開口部215)。ハウジング20は、ハウジング本体21の第2開口部215を塞ぐハウジング蓋部22を更に備える。図2に示されるように、ハウジング蓋部22は、蓋本体221、蓋本体221から底方側に延在する蓋部側壁222を備える。
【0033】
図2に示されるように、ハウジング蓋部22が、ハウジング本体21の第2開口部215を塞ぐ際、蓋部側壁222が、ハウジング本体21の内側に嵌まり込む。これにより、光源ユニット10の収容空間23が画成される。ここで、光源ユニット10(基板12)は、蓋本体221の内壁に取り付けられる。
【0034】
次に、パッキン40は、図2に示されるように、紫外光透過窓部30とハウジング蓋部22の蓋部側壁222との間に形成される隙間を埋め、ハウジング20の止水性を高める。また、パッキン40は、光反射性を備えると共に、発光素子11の側域を取り囲むよう、光源ユニット10(基板12)に向けて凹設されるリフレクタ用壁部41を備える。リフレクタ用壁部41の先端411は、内側に発光素子11が臨むよう開口する。
【0035】
また、パッキン40は、リフレクタ用壁部41から径方向外側に延在し、ハウジング20の内壁(本実施形態の場合、ハウジング蓋部22の蓋部側壁222)に当接する外延部42を更に備える。
【0036】
本実施形態のパッキン40は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製である。ただし、パッキン40の素材は、光反射性を備えるものであればこれに限られない。パッキン40の他の素材として、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等の樹脂が挙げられる。
【0037】
ここで、リフレクタ用壁部41は、発光素子11から照射される紫外光の配光機能を有する。ただし、発光素子11から照射される紫外光を配光できる形態であれば、リフレクタ用壁部41の形態は、限定されない。リフレクタ用壁部41の他の例として、図2に示されるようなすり鉢構造(光源ユニット10(基板12)から第1開口部214に進むに従い拡径する形態)や、図3に示されるような直管構造(リフレクタ用壁部41が、ハウジング20の高さ方向(図の上下方向)に沿って延在する形態)等が挙げられる。
【0038】
また、図2に示されるように、光源ユニット10の基板12に実装される電子部品13がパッキン40のリフレクタ用壁部41と外延部42によって覆われる。すなわち、本実施形態によれば、電子部品13に関して、発光素子11からの紫外光を遮光可能な空間が設けられる。これにより、紫外線耐性(耐UV性)を備えない比較的安価な電子部品13を基板12に実装することができる。その結果、キャップユニットの過度なコスト高騰を招かない。
【0039】
ここで、ハウジング20の底壁211側と対向する位置に、面状の受光センサをハウジング20の幅方向と略平行に配置し(例えば、底壁211から50mm離れた位置に受光センサを配置し)、パッキン40のリフレクタ用壁部41の形態がすり鉢構造のもの(図2参照)、直管構造のもの(図3参照)、リフレクタ用壁部41を備えないものの3種について、発光素子11の光軸からの距離(発光素子11の光軸と受光センサとの交点を原点とする場合の原点からの距離)に応じた紫外光の照度を測定した。測定結果を図4に示す。
【0040】
図4に示されるように、リフレクタ用壁部41の形態がすり鉢構造のものは、リフレクタ用壁部41を備えないものに比べて、全測定範囲において紫外光の照度が一様に向上した。また、リフレクタ用壁部41の形態が直管構造のものは、リフレクタ用壁部41を備えないものに比べて、紫外光の照射範囲が狭まった(すなわち、紫外光の照射範囲を狭めるよう配光できた)。
【0041】
前述のように、リフレクタ用壁部41の形態をすり鉢構造とすれば、発光素子11から照射される紫外光の照度を高めることができ、被殺菌体の殺菌能を向上させることができる。また、リフレクタ用壁部41の形態を直管構造とすれば、発光素子11から照射される紫外光の照射範囲を所望の範囲に狭めることができる。その結果、例えば、貯留タンク2等の樹脂製部分等に紫外光が照射されないよう、紫外光を配光できる。これにより、樹脂製部分等の劣化が促進されるような不具合を抑制できる。
【0042】
ところで、パッキン40としてPTFEのような樹脂(フッ素樹脂等)を用いる場合、図5に示されるように、パッキン40のリフレクタ用壁部41に至った紫外光は、リフレクタ用壁部41の表面から内部に侵入した後、拡散反射される成分を含む。
【0043】
より詳しくは、発光素子11の近傍に位置するリフレクタ用壁部41の先端411には、発光素子11から照射された紫外光が略水平に入射する。PTFEのような光を内部にて拡散反射する材料を用いる場合、紫外光が表面付近を透過したのちに反射するためリフレクタ用壁部41の先端411の肉厚を相応に確保しなければ、リフレクタ用壁部41の先端411側に入射した紫外光は、リフレクタ用壁部41を透過し、電子部品13側に出射する可能性がある。
【0044】
これに対して、発光素子11から離れた部分には、発光素子11から照射された紫外光が斜めに入射する。すなわち、発光素子11から離れた部分のリフレクタ用壁部41は、紫外光の入射角に対する見かけの肉厚が増す。そのため、リフレクタ壁部41の発光素子11から離れた部分の肉厚は、リフレクタ壁部の先端411よりも薄くすることができる。
【0045】
このような観点から、電子部品13側への遮光性を確保しつつ基板12に実装される電子部品13を適切に収容し得る空間を設けることが好ましい。具体的には、図5に示されるように、リフレクタ用壁部41の先端411の肉厚を厚くし、そこから外延部42に向かう所定の位置までリフレクタ用壁部41の肉厚を薄くすることが好ましい。リフレクタ用壁部41のこのような肉厚の変化によって、本実施形態において、電子部品13はリフレクタ用壁部41の出射面方向の傾斜面と正面視で重なる領域に配置する(発光素子11と、発光素子11以外の電子部品13とが、リフレクタ用壁部41の先端411を介して向かい合うように配置する)ことを可能にしている。
【0046】
また、図5に示されるように、断面視において、リフレクタ用壁部41の裏面(電子部品13側の面)が、リフレクタ用壁部41の表面(発光素子11側の面)に向けて略円弧状に窪む曲面形状を呈する。リフレクタ用壁部41をこのような形態とすることで、発光素子11からの紫外光の遮光性を担保しつつ、電子部品13の収容空間を拡げることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【0048】
例えば、図6に示されるように、キャップユニット1は、ハウジング本体21の側壁212の径方向外側に、雄螺子溝51が形成された第1アタッチメント50を更に備えてもよい。この場合、貯留タンク2の貫通孔4の内壁に、第1アタッチメント50の雄螺子溝51と螺合する雌螺子溝52が形成される。
【0049】
また、図7に示されるように、キャップユニット1は、パッキン40のリフレクタ用壁部41の表面412及び裏面413を覆う正反射材料製の第2アタッチメント61、第3アタッチメント62を備えてもよい。正反射材料は、例えばアルミニウム等の金属である。第2アタッチメント61を取り付けることで、発光素子11から被殺菌体側に照射される紫外光の配光性を向上させることができる。また、第3アタッチメント62を取り付けることで、発光素子11から出射した紫外光が、リフレクタ用壁部41を透過し、電子部品13側に照射されることを防ぐことができる。
【0050】
更に、前述の実施形態に係るキャップユニット1は、被殺菌体を貯留する貯留タンク2に装着されるものであったが、例えば、流体殺菌装置5における略I字型(図8参照)や略L字型の流路管6,7(図9参照)に装着されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るキャップユニット1は、例えば、製氷機等の貯留(貯水)タンク、紫外光殺菌装置、浄水器、給湯器、送水管、冷却水循環装置、ウォーターサーバ、ドリンクサーバ等に装着される。ただし、その用途は、これに限られない。
【符号の説明】
【0052】
1… キャップユニット
10…光源ユニット
11…発光素子
12…基板
13…電子部品
20…ハウジング
21…ハウジング本体
211…底壁
212…側壁
213…フランジ
214…第1開口部
215…第2開口部
22…ハウジング蓋部
221…蓋本体
222…蓋部側壁
23…光源ユニットの収容空間
30…紫外光透過窓部
40…パッキン
41…リフレクタ用壁部
411…リフレクタ用壁部先端
412…リフレクタ用壁部表面
413…リフレクタ用壁部裏面
42…外延部
50…第1アタッチメント
51…雄螺子溝
52…雌螺子溝
61…第2アタッチメント
62…第3アタッチメント
2…貯留タンク
3…貯留タンクの上面
4…貯留タンクに設けられる貫通孔
5…流体殺菌装置
6…略I字型の流路管
7…略L字型の流路管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9