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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127344
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】光走査装置、および測距装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/12 20060101AFI20230906BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G02B26/12
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031072
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 祐司
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】西山 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 健介
【テーマコード(参考)】
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AA01
2H045AA13
2H045AA53
2H045CA88
2H045CA98
5J084AA05
5J084AA10
5J084BA04
5J084BA11
5J084BA36
5J084BA50
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB25
5J084BB26
5J084BB40
5J084DA01
5J084DA02
5J084DA03
5J084EA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】走査光によって形成される複数走査線同士の間隔を可変とする光走査装置を提供。
【解決手段】光走査装置120は、第1周波数fvで第1軸A1周りに光反射面51を駆動することにより反射された光L1を第1軸A1と交差する方向に走査させる第1駆動体5と、第1駆動体5を支持し第2周波数fhで第2軸A2周りに駆動することにより光L1を第2軸A2と交差する方向に走査させる第2駆動体10と、第2駆動体10の駆動を制御する制御部140とを有し、第2駆動体10の一駆動周期中に第1軸A1と交差する方向に走査される光L2によって形成される走査線Liの数をN、第1駆動体5の一駆動周期中に第1軸A1と交差する方向に走査される光によって形成される走査線の数をM、定数をαとした時、fh=M×fv/(N+α)であって、0<|α|<1であり、制御部140は、定数を変更することにより第2周波数fhを変化させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射面を有し、第1周波数で第1軸周りに駆動することにより、前記光反射面により反射された光を前記第1軸と交差する方向に走査させる第1駆動体と、
前記第1駆動体を支持し、第2周波数で前記第2軸周りに駆動することにより、前記光を前記第2軸と交差する方向に走査させる第2駆動体と、
前記第2駆動体の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記第2駆動体の一駆動周期中に、前記第1軸と交差する方向に走査される光によって形成される走査線の数をN、前記第1駆動体の前記一駆動周期中に、前記第1軸と交差する方向に走査される光によって形成される走査線の数をM、定数をα、前記第1周波数をfv、前記第2周波数をfhとした場合に、
fh=M×fv/(N+α)であって、0<|α|<1であり、
前記制御部は、前記定数を変更することにより、前記第2周波数を変化させる、光走査装置。
【請求項2】
前記制御部は、外部からの設定入力情報に応じて前記定数を変更する、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第1駆動体の駆動周期に対応する同期信号を出力する同期検出部を有し、
前記制御部は、前記同期信号に基づき、前記第2駆動体の駆動を制御する、請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第1駆動体および前記第2駆動体は回転駆動され、
前記同期検出部は、
前記第1駆動体の回転角度の検出信号である角度検出信号を出力する回転角検出部と、
前記角度検出信号に基づいて発光する発光部と、
前記発光部からの光を受光した信号である前記同期信号を出力する周期光受光部と、を有する、請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第1駆動体を駆動させる第1駆動部に給電する給電部を有し、
前記第1駆動部は、前記給電部からの給電が開始された際に前記第1駆動体に駆動を開始させ、前記給電部からの給電が停止された際に前記第1駆動体に駆動を停止させる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記給電部は、無接点により前記第1駆動部に給電する、請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光走査装置と、
前記光走査装置により走査された光が物体により反射された光に基づいて、前記物体との間の距離を測定する測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置、および測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を走査させる光走査装置が知られている。このような光走査装置は、光走査装置により走査された光が物体により反射された光に基づいて、物体との間の距離を測定する測距装置や、光走査装置により走査された光により画像を投射する画像投射装置等に使用される。
【0003】
上記光走査装置には、第1軸周りに揺動可能な可動部を揺動駆動する駆動部を備えた第1偏向機構と、第1偏向機構を第1軸とは異なる第2軸周りに回転駆動する第2偏向機構と、を有する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-109686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光走査装置では、走査される光によって形成される複数の走査線同士の間隔を、簡単な構成により可変にすることが求められる。
【0006】
本発明は、走査される光によって形成される複数の走査線同士の間隔を簡単な構成により可変とする光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本光走査装置(120)は、光反射面(51)を有し、第1周波数(fv)で第1軸(A1)周りに駆動することにより、光反射面(51)により反射された光(L1)を第1軸(A1)と交差する方向に走査させる第1駆動体(5)と、第1駆動体(5)を支持し、第2周波数(fh)で第2軸(A2)周りに駆動することにより、光(L1)を第2軸(A2)と交差する方向に走査させる第2駆動体(10)と、第2駆動体(10)の駆動を制御する制御部(140)と、を有し、第2駆動体(10)の一駆動周期中に、第1軸(A1)と交差する方向に走査される光(L2)によって形成される走査線(Li)の数をN、第1駆動体の一駆動周期中に、第1軸(A1)と交差する方向に走査される光によって形成される走査線の数をM、定数をα、第1周波数をfv、第2周波数をfhとした場合に、fh=M×fv/(N+α)であって、0<|α|<1であり、制御部(140)は、定数を変更することにより、第2周波数(fh)を変化させる。
【0008】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走査される光によって形成される複数の走査線同士の間隔を簡単な構成により可変とする光走査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る測距装置の全体構成を例示する斜視図である。
図2図1の測距装置におけるLDおよびAPD周辺を例示する斜視図である。
図3図1の測距装置における光走査部を例示する斜視図である。
図4】実施形態に係る測距装置が有する駆動制御部の構成例のブロック図である。
図5】回折格子による光分割例を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は斜視図、図5(c)は正面図である。
図6】実施形態に係る測距装置が有する同期検出部の構成例の図である。
図7】実施形態に係る測距装置が有する制御部の機能構成例のブロック図である。
図8】走査線が水平方向へずれる様子を例示する図である。
図9】実施形態に係る測距装置が有する制御部による処理例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0012】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための光走査装置および測距装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0013】
以下に示す図でX軸、Y軸およびZ軸により方向を示す場合があるが、Z軸に沿うZ方向は、実施形態に係る光走査装置が備える第2駆動体の回転軸である第2軸に沿う方向を示す。X軸に沿うX方向は、Z方向に交差する方向を示す。Y軸に沿うY方向は、X軸およびZ軸の両方に交差する方向を示す。
【0014】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。但し、これらは光走査装置および測距装置の使用時における向きを制限するものではなく、光走査装置および測距装置は任意の向きに配置可能である。
【0015】
以下、サービスロボットに搭載され、サービスロボットの進行方向または周囲に存在する対象物との間の距離をTOF(Time of Flight)方式で測定する測距装置を一例として、実施形態を説明する。サービスロボットとは、工場内での資材運搬、接客施設での商品運搬および案内業務、施設内警備、或いは清掃等の主に役務の目的で使用される自律移動型の移動体をいう。また移動体とは移動可能な物体をいう。サービスロボットに搭載される測距装置は、サービスロボットの進行方向または周囲に存在する物体を検出したり、サービスロボットが動作する施設の施設内地図等を作成したりするために使用される。
【0016】
測距装置は、光走査装置により走査される光が物体により反射された光に基づいて、物体との間の距離を測定する。光走査装置は、複数の駆動体の駆動を制御する駆動制御装置を有し、発光部等からの光を走査させる。
【0017】
<測距装置100の構成例>
(全体構成)
図1から図3を参照して、実施形態に係る測距装置100の構成の一例を説明する。図1は、測距装置100の全体構成を例示する斜視図である。図2は、測距装置100におけるLDおよびAPDの周辺を例示する斜視図である。図3は測距装置100における光走査部120を例示する斜視図である。
【0018】
図1から図3に示すように、測距装置100は、ベース板1と、保持部2と、LD(Laser Diode:半導体レーザ)3と、コリメートレンズ4と、ポリゴンミラー5と、穴あきミラー6と、受光レンズ7と、APD(Avalanche Photodiode:アバランシェフォトダイオード)8と、イケール9と、回転ステージ10とを有する。
【0019】
ベース板1は、保持部2と回転ステージ10が設けられた基台部である。但し、基台部はベース板1等の平板状の部材に限定されるものではなく、回転ステージ10と保持部2が設けられる構成部であれば如何なるものであってもよい。例えばサービスロボットの筐体に保持部2と回転ステージ10を設ける場合には、サービスロボットの筐体が基台部に対応する。
【0020】
ベース板1は平板状の部材であり、平板の-Z方向側の面上の相互に異なる領域に、保持部2と回転ステージ10とが固定されている。回転ステージ10は、ベース板1の+Y方向側の領域にネジ部材等により固定され、保持部2はベース板1における回転ステージ10の-Y方向側の領域に結合部材11を介してネジ部材等により固定されている。
【0021】
ベース板1の材質に特段の制限はないが、回転ステージ10は重量が大きい場合があるため、金属材料等の剛性が高い材料を含んでベース板1を構成すると好適である。
【0022】
保持部2は、天井パネル21と、背面パネル22と、を組み合わせて構成された部材ある。天井パネル21および背面パネル22はそれぞれ平板状の部材であり、天井パネル21と背面パネル22が結合することにより保持部2を構成している。天井パネル21および背面パネル22の材質に特段の制限はないが、例えば金属材料または樹脂材料等を適用可能である。
【0023】
天井パネル21の+Z方向側の面には、LD3、コリメートレンズ4および穴あきミラー6が設けられている。背面パネル22の+Y方向側の面には、受光レンズ7およびAPD8が設けられている。保持部2は、天井パネル21にLD3を保持し、また背面パネル22にAPD8を保持している。
【0024】
LD3は光を発する発光部である。LD3は、パルス光であるレーザ光L0を+Z軸方向側に発する。但し、発光部はLDに限定されず、LED(light emitting diode:発光ダイオード)等であってもよい。
【0025】
レーザ光L0の波長は特に制限されないが、近赤外波長領域等の非可視の波長領域のレーザ光を用いると、人間にレーザ光を視認させずに測距できるため好適である。
【0026】
コリメートレンズ4は、ガラス材料または樹脂材料を含んでなり、レーザ光L0を略コリメート(略平行化)する。コリメートレンズ4を必ずしも設けなくてもよいが、コリメートレンズ4を設けると、レーザ光L0の広がりが抑制され、光利用効率が向上する。
【0027】
コリメートレンズ4によりコリメートされたレーザ光L0は、回折格子41に入射し、回折格子41によって5つの光束L1に分割される。回折格子41は、レーザ光L0を複数(ここでは5つ)の光束L1に分割する。
【0028】
複数の光束L1は、穴あきミラー6に設けられた貫通孔61を通過してポリゴンミラー5の光反射面51に入射する。なお、回折格子41の作用と複数の光束L1については、別途図5を参照して詳述する。
【0029】
ポリゴンミラー5は、複数の光反射面51を含み、第1軸A1周りに回転して光反射面51で光束L1を反射する第1駆動体の一例である。ポリゴンミラー5は、光束L1の反射光に対応する走査レーザ光L2を、第1軸A1を中心にした円の円周方向に沿って走査させる。
【0030】
ポリゴンミラー5は、平面視形状が正六角形状の回転多面体であり、正六角形の各辺に対応する外周面に、6つの光反射面51が形成されている。ポリゴンミラー5は、アルミニウム等の金属材料で形成した略正六角柱状の部材の外周面を、切削または鏡面研磨することにより製作できる。但し、これに限定されるものではなく、例えば金属材料または樹脂材料等で形成した多面体の外周面に、アルミニウム等を鏡面蒸着してポリゴンミラー5を製作してもよい。
【0031】
図1では、光反射面51の面数が6面であるポリゴンミラー5を例示するが、回転多面体はこれに限定されるものではない。例えば、3面の光反射面を有する回転多面体であってもよいし、5面の光反射面を有する回転多面体であってもよい。回転多面体の面数に応じて、回転多面体による光の走査角度範囲が異なる。例えば、面数が多いほど走査角度範囲は狭くなり、面数が少ないほど走査角度範囲は広くなる。要求される走査角度範囲に応じて回転多面体の面数を適宜決定できる。
【0032】
ポリゴンミラー5には、ポリゴンミラー5の中心軸と回転軸が略一致するように第1軸モータが取り付けられている。ポリゴンミラー5は第1軸モータを駆動源にして第1軸A1周りに回転する。
【0033】
ポリゴンミラー5の回転方向は一定であり、例えば図1における第1軸回転方向A11に沿って連続回転する。但し、第1軸回転方向A11とは反対方向である一定の回転方向にポリゴンミラー5を連続回転させてもよい。
【0034】
ポリゴンミラー5の光反射面51に入射した光束L1は、光反射面51で反射され、+Y方向側に照射される。ポリゴンミラー5の回転により、光束L1の入射方向に対する光反射面51の角度が連続的に変化することで、光反射面51による反射光は第1軸A1と交差する方向に走査され、走査レーザ光L2として+Y方向側に照射される。第1軸A1と交差する方向は、例えば重力方向または重力方向に対して所定角度傾いた方向である。なお、図1は、第1軸A1と交差する方向に走査される走査レーザ光L2のうち、任意のタイミングに+Y方向側に照射される1つのレーザビームである走査レーザ光L2を例示している。
【0035】
測距装置100の+Y方向側に物体が存在すると、走査レーザ光L2が物体で反射または散乱された戻り光が測距装置100に戻される。戻り光は、再びポリゴンミラー5の光反射面51に入射し、ポリゴンミラー5の回転により第1軸A1と交差する方向に走査される。走査される戻り光のうち、穴あきミラー6に到達する戻り光は、穴あきミラー6によって-Y方向側に反射され、APD8により受光される。本実施形態では、ポリゴンミラー5で光束L1が反射される光反射面51と、ポリゴンミラー5で戻り光が反射される光反射面51と、は同じ面である。
【0036】
穴あきミラー6は、走査レーザ光L2が物体で反射または散乱された戻り光を偏向させる光偏向部である。穴あきミラー6は貫通孔61を含む。貫通孔61は、LD3が発する光を通過させる開口部であり、穴あきミラー6における光反射面が設けられた領域の一部に形成されている。穴あきミラー6に入射する光のうち、光反射面に入射する光は反射され、貫通孔61に入射する光は通過する。
【0037】
なお、本実施形態では、光偏向部が開口部としての貫通孔を有する構成を例示するが、これに限定されるものではない。光偏向部における光反射面が設けられた領域の一部を透明にし、この透明な領域を透過させることで開口部として機能させてもよい。また、光偏向部としてビームスプリッターやハーフミラー等を用いることもできる。
【0038】
穴あきミラー6は、コリメートレンズ4によりコリメートされた光束L1を、貫通孔61を通して通過させ、走査レーザ光L2が物体で反射または散乱された戻り光を、光反射面によりAPD8に向けて反射することができる。
【0039】
穴あきミラー6で反射された光は、受光レンズ7により集光されながらAPD8に入射する。受光レンズ7は必ずしも設けなくてもよいが、受光レンズ7を設けると、APD8に入射するレーザ光の入射効率が向上する点において好適である。
【0040】
APD8は、APD81からAPD85を含み、物体により反射または散乱された光に基づいて、戻り光受光信号を出力する。APD8は、アバランシェ増倍と呼ばれる現象を利用して受光感度を向上させたフォトダイオードの一種である。但し、戻り光を受光する構成部には、フォトダイオード(Photodiode)や、光電子増倍管等を用いてもよい。
【0041】
イケール9は、屈曲部を含む部材であり、ポリゴンミラー5を支持する支持部である。イケール9は、-Z方向側の面が回転ステージ10の載置面101に接触し、ネジ部材等により載置面101上に固定されている。またイケール9は基板91を介し、底面に交差する+X方向側の面にポリゴンミラー5を支持する。イケール9の材質に特段の制限はないが、剛性を高く確保するために金属等の高剛性の材料を含んで構成されると好適である。
【0042】
回転ステージ10は、ポリゴンミラー5を支持する第2駆動体の一例である。回転ステージ10は、自身の回転によって第2軸A2周りにイケール9を回転させることにより、ポリゴンミラー5を第2軸A2周りに回転させる。ポリゴンミラー5の光反射面51で反射された走査レーザ光L2は、回転ステージ10の回転により、第2軸A2を中心にした円の円周方向に沿って走査される。
【0043】
回転ステージ10は、ベース板1上において、保持部2が設けられた領域とは異なる領域に設けられている。従って回転ステージ10が回転しても、保持部2、並びに保持部2が保持するLD3およびAPD8はそれぞれ不動であり、ベース板1に固定された状態が維持される。
【0044】
図3に示すように、回転ステージ10は、載置面101と、ベアリング102と、マグネット103と、モータコア104と、を有する。
【0045】
載置面101は、第2軸A2に略直交し、第2軸A2周りに回転可能な面である。載置面101はイケール9を載置する。ベアリング102は、載置面101の回転を滑らかにする部材である。ボールベアリングまたはクロスローラベアリング等の各種のものを適用できる。
【0046】
マグネット103は永久磁石からなる。モータコア104はモータを構成するステータの鉄心に該当する部材である。マグネット103とモータコア104とを含んでモータが構成されている。電流に応じてマグネット103が回転することで、ベアリング102を介して載置面101が回転する。
【0047】
回転ステージ10の回転方向は一定であり、例えば図1における第2軸回転方向A21に対応する。但し、回転ステージ10は、第2軸回転方向A21とは反対方向である一定の回転方向に連続回転させてもよい。
【0048】
測距装置100は、レーザ光L0の光軸と第2軸A2が同軸になるように構成されている。ここで、レーザ光L0の光軸はレーザビームの中心を通る軸を意味する。また同軸とは、複数の軸が略一致していることを意味する。走査レーザ光L2は、ポリゴンミラー5の回転により第1軸A1と交差する方向に走査されるとともに、回転ステージ10の回転により第2軸A2と交差する方向に走査される。第2軸A2と交差する方向は、例えば重力方向に略直交する水平方向である。なお、本実施形態では、第1軸A1と第2軸A2が略直交する構成を例示するが、これに限定されるものではなく、第1軸A1に対して第2軸A2が傾いて配置されてもよい。
【0049】
測距装置100は、LD3、ポリゴンミラー5、APD8または回転ステージ10等の構成部の一部または全部を覆うための外装カバーを備えてもよい。外装カバーを備えると、測距装置100の内部へのゴミや埃等の侵入を防ぎ、ポリゴンミラー5等にゴミや埃等が付着することを防止できる。またポリゴンミラー5や回転ステージ10が高速回転すると、回転に伴う風切り音が大きくなる場合があるが、外装カバーを設けることで音が周囲に伝わることを抑制できる。外装カバーの材質には、金属または樹脂材料等を適用可能である。
【0050】
一方で、外装カバーを設けると、外装カバーにおける走査レーザ光L2が出射する出射窓以外の部分が走査レーザ光L2を遮るため、走査角度範囲が制限され、測距装置100による物体200の検出範囲または測距範囲が制限される場合がある。走査レーザ光L2の波長に対して光透過性を有する透明な樹脂材料で外装カバーを構成すると、このような走査角度範囲の制限を緩和できるため、好適である。
【0051】
(駆動制御部150の構成例)
図4を参照して、測距装置100が有する駆動制御部150の構成について説明する。図4は、駆動制御部150の構成を例示するブロック図である。なお、図4における太い実線で示した矢印は光の流れを示し、太い破線で示した矢印は電気信号の流れを示している。
【0052】
図4に示すように、測距装置100は、受発光部110と、光走査部120と、出射窓130と、制御部140と、を有する。
【0053】
光走査部120は、ポリゴンミラー5と、回転ステージ10と、駆動制御部150と、を有する。光走査部120は、ポリゴンミラー5および回転ステージ10それぞれの回転を駆動制御部150により制御することによって、LD3から発せれるレーザ光を走査させる光走査装置の一例である。
【0054】
駆動制御部150は、第1軸モータ151と、第2軸モータ152と、同期検出部153と、回転制御部154と、給電部155と、を有する。駆動制御部150は、同期検出部153から出力されるポリゴンミラー5の回転周期に対応する同期信号Snに基づき、回転制御部154により、第2軸モータ152による回転を制御する駆動制御装置の一例である。
【0055】
同期検出部153は、第1軸エンコーダ531と、発光部532と、周期光受光部533と、を有する。同期検出部153は、第1軸エンコーダ531から出力される第1角度検出信号En1に基づいて発光部532に発光させ、発光部532からの光を受光した周期光受光部533により同期信号Snを出力させる。第1角度検出信号En1は、ポリゴンミラー5の回転角度の検出信号である角度検出信号の一例である。
【0056】
発光部532は、例えばLED等を含んで構成され、第1角度検出信号En1に基づき、例えば第1軸エンコーダ531がポリゴンミラー5の回転原点に対応する角度を検出したタイミングにパルス光Opを発する。
【0057】
周期光受光部533は、フォトダイオード(Photo Diode)等を含んで構成され、発光部532により発生されたパルス光Opを受光したタイミングに、第2軸ドライバ基板173を介して同期信号Snを回転制御部154に出力する。
【0058】
給電部155は、発電コイル551と、給電コイル552と、を有し、電磁誘導により第1軸モータ151等に非接触で給電する。なお、給電とは電力を供給することをいう。
発電コイル551は、電磁誘導により逆起電力を発生し、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531および第1軸ドライバ基板163のそれぞれに給電可能なコイルである。給電コイル552は、発電コイル551に対向配置され、第2軸ドライバ基板173から流れる電流に応じて、電磁誘導により発電コイル551に逆起電力を発生させるコイルである。給電コイル552に電流を流すと、電磁誘導により非接触で発電コイル551に逆起電力が発生する。
【0059】
なお、本実施形態では、給電部155が電磁誘導により非接触給電する構成を例示するが、これに限定されるものではない。例えば給電部155は、回転接点により給電することもできる。ここで回転接点とは、回転体に配置された金属製リングとブラシを介して、回転体に電気的に接続する構成をいう。このような回転接点を用いて、外部から第1軸モータ151等に給電することもできる。
【0060】
基板91には、ポリゴンミラー5、第1軸モータ151、第1軸エンコーダ531、第1軸ドライバ基板163、発光部532および発電コイル551等が設けられている。回転ステージ10には、第2軸モータ152、第2軸エンコーダ172、第2軸ドライバ基板173、周期光受光部533、給電コイル552等が設けられている。
【0061】
第1軸モータ151は、ポリゴンミラー5を第1軸A1周りに回転させる第1駆動部の一例である。第1軸モータ151には、DC(Direct Current)モータまたはAC(Alternating Current)モータ等を適用できる。
【0062】
第1軸エンコーダ531は、第1角度検出信号En1を出力する回転角検出部の一例であり、例えばロータリエンコーダである。
【0063】
第1軸ドライバ基板163は、第1軸モータ151に駆動信号を供給する電気回路等を含む基板である。第1軸ドライバ基板163は、第1角度検出信号En1に基づき、ポリゴンミラー5が所定の第1周波数(回転数)により回転するように制御できる。ここで、第1周波数は、第1軸ドライバ基板163により制御されるため、回転制御部154の制御対象ではない。
【0064】
第1軸ドライバ基板163は、給電部155による給電が開始された場合に、第1軸モータ151によりポリゴンミラー5の回転を開始させ、給電部155による給電が停止された場合に、第1軸モータ151によりポリゴンミラー5の回転を停止させる。
【0065】
第2軸モータ152は、DCモータ、ACモータまたはステッピングモータ等の各種モータにより構成される。第2軸エンコーダ172は、ロータリエンコーダ等により構成され、回転ステージ10の回転角度を検出する。
【0066】
第2軸ドライバ基板173は、第2軸モータ152に駆動信号を供給する電気回路等を含む実装基板である。第2軸ドライバ基板173は、回転制御部154からの第2軸制御信号Dr2に基づき、回転ステージ10を回転させる。また、第2軸ドライバ基板173は、第2軸エンコーダ172により検出された回転ステージ10の第2角度検出信号En2を回転制御部154に出力する。
【0067】
回転制御部154は、第2角度検出信号En2に基づき、回転ステージ10の回転を制御する。ここで、回転ステージ10の回転数である第2周波数は、回転制御部154の制御対象である。
【0068】
受発光部110は、LD基板111と、発光ブロック112と、穴あきミラー6と、穴あきミラーホルダ62と、受光ブロック113と、APD基板114と、を含む。
【0069】
LD基板111は、制御部140からの発光制御信号Dr1に応じてLD3を発光させる電気回路を含む実装基板である。
【0070】
発光ブロック112は、LD3と、LDホルダ31と、コリメートレンズ4と、コリメートレンズホルダ40と、を含む。LDホルダ31はLD3を保持する部材である。コリメートレンズホルダ40はコリメートレンズ4を保持する部材である。穴あきミラーホルダ62は、穴あきミラー6を保持する部材である。
【0071】
受光ブロック113は、受光レンズ7と、受光レンズホルダ71と、APD8と、APDホルダ80と、を含む。受光レンズホルダ71は受光レンズ7を保持する部材である。APDホルダ80はAPD8を保持する部材である。
【0072】
APD基板114は、APD8が受光した光強度に応じた電気信号である戻り光受光信号Sを、制御部140に出力する電気回路を含む実装基板である。
【0073】
外部コントローラ300は、サービスロボットを制御するためのコントローラであり、ROS(Robot Operating System)を搭載するBoard PC(Personal Computer)等からなる。
【0074】
制御部140は、電気回路または電子回路等を有する制御回路基板を含み、例えば背面パネル22等に設置されている。ポリゴンミラー5および回転ステージ10が回転しても、制御部140を構成する制御回路基板は動かない。
【0075】
制御部140は、外部コントローラ300、受発光部110および光走査部120のそれぞれに電気的に接続しており、信号およびデータを相互に送受可能である。本実施形態では、回転制御部154は、制御部140内に設けられているが、制御部140の外部に設けられてもよい。
【0076】
制御部140は、外部コントローラ300からの測距制御信号Ctに応じて発光制御信号Dr1を出力し、LD基板111を介してLD3を発光させる。LD3により発せられ、コリメートレンズ4でコリメートされたレーザ光L0は、回折格子41により5つの光束L1に分割される。光束L1は、穴あきミラー6を通ってポリゴンミラー5の光反射面51に入射し、光反射面51で反射された後、出射窓130を透過して、測距装置100から外部に向けて走査レーザ光L2として照射される。
【0077】
出射窓130は、レーザ光L0の波長に対して光透過性を有するガラス材料または樹脂材料を含んでなる。出射窓130は、測距装置100が装置全体を覆う不透明な外装カバーを備える場合に、走査レーザ光L2を透過して出射させる窓として機能する部材である。
【0078】
走査レーザ光L2が物体200により反射または散乱された戻り光R2は、出射窓130を透過してポリゴンミラー5の光反射面51に入射する。そして光反射面51で反射され、穴あきミラー6によりAPD8に向けて戻り光R1として反射される。
【0079】
戻り光R1は、受光レンズ7により集光されながらAPD8に入射する。APD8がこの入射光を受光した戻り光受光信号Sは、APD基板114を介して制御部140に出力される。制御部140は、受光信号に基づき、物体200までの距離を示す距離情報Dtを演算により取得し、この距離情報Dtを外部コントローラ300に出力できる。
【0080】
測距装置100は、サービスロボットが搭載するバッテリから供給される電力により動作可能である。但し、これに限定されるものではなく、測距装置100自身が搭載するバッテリから電力供給されてもよい、またサービスロボットの動作範囲が広くない場合等には、商用電源からケーブルを用いて給電されるように構成してもよい。
【0081】
(回折格子41による光分割例)
図5は、回折格子41による光分割の一例を示す図である。図5(a)は回折格子41の側面図、図5(b)は回折格子41を-Z方向側から視た斜視図、図5(c)は回折格子41を+Z方向側から視た正面図である。
【0082】
回折格子41は、平面視において略円形状を有し、レーザ光L0の波長に対して光透過性を有する透明な平板状部材である。回折格子41の-Z方向側の面または+Z方向の面の少なくとも一方に周期構造が形成されている。回折格子41は、入射されるレーザ光L0を、周期構造を用いて回折させることによって、複数の光束に分割する。
【0083】
本実施形態では、回折格子41は、レーザ光L0を光束L11から光束L15の5つの光束を含む光束L1に分割する。光束L11は、回折格子41の0次光(透過光)であり、光束L12から光束L15は1次回折光である。
【0084】
光束L11から光束L15は、伝搬方向が相互に異なる平行光束である。光束L11から光束L15は、それぞれ穴あきミラー6を通過し、光走査部120により走査される。光束L11の走査レーザ光L21、光束L12の走査レーザ光L22、光束L13の走査レーザ光L23、光束L14の走査レーザ光L24、および光束L15の走査レーザ光L25は、それぞれ照射領域500における異なる位置に照射される。
【0085】
走査レーザ光L2は、5つの光束L11から光束L15がそれぞれ走査された5つの走査レーザ光L21から走査レーザ光L25を含む。また戻り光R2は、走査レーザ光L21に対する戻り光R21、走査レーザ光L22に対する戻り光R22、走査レーザ光L23に対する戻り光R23、走査レーザ光L24に対する戻り光R24、および走査レーザ光L25に対する戻り光R25を含む。戻り光R1は、戻り光R21がポリゴンミラー5により反射された戻り光R11、戻り光R22がポリゴンミラー5により反射された戻り光R12、戻り光R23がポリゴンミラー5により反射された戻り光R13、戻り光R24がポリゴンミラー5により反射された戻り光R14、および戻り光R25がポリゴンミラー5により反射された戻り光R15を含む。APD81からAPD85は、戻り光R11から戻り光R15の戻り光受光信号Sを出力する。
【0086】
なお、本実施形態では、平面視において略円形状の回折格子41を例示するが、これに限定されるものではなく、矩形状や楕円形状等であってもよい。またレーザ光L0が5つの光束に分割される構成を例示するが、複数であれば分割数に制限はなく、要求される空間分解能等に応じて適宜選択可能である。さらに、回折格子41の中央を透過する光束L11と、4つの対角方向に分割される光束L12から光束L15が得られる構成を例示したが、各光束が分割される方向は対角方向に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択可能である。
【0087】
(同期検出部153の構成例)
図6は、同期検出部153の構成を例示する図である。図6は、回転ステージ10をYZ平面により切断した状態を模式的に示している。
【0088】
図6に示すように、回転ステージ10は、回転可能な回転部10aと、回転しない固定部10bと、を含んで構成される。発光部532は、回転部10aにおける載置面101に設けられた発光基板532aに実装される。周期光受光部533は、固定部10bに設けられた受光基板533aに実装される。
【0089】
発光部532は、発光基板532aに入力される第1角度検出信号En1に応じて、発光部532に対向配置された周期光受光部533に向けてパルス光Opを発する。周期光受光部533によるパルス光Opの受光信号は、受光基板533aにより二値信号に変換され、同期信号Snとして回転制御部154に出力される。
【0090】
(制御部140の機能構成例)
次に図7を参照して、測距装置100が有する制御部140の機能構成について説明する。図7は、制御部140の機能構成の一例を説明するブロック図である。
【0091】
制御部140は、可変部141と、回転制御部154と、発光制御部142と、距離情報取得部143と、距離情報出力部144と、を有する。回転制御部154は、第1軸回転制御部541と、第2軸回転制御部542とを、停止制御部543と、有する。
【0092】
制御部140は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の電気回路により上記各機能を実現できる他、上記各機能の少なくとも一部をソフトウェア(CPU;Central Processing Unit)によって実現することもできる。また、制御部140は、複数の回路または複数のソフトウェアによってこれらの機能を実現してもよい。上記各機能の一部は、外部コントローラ300等の制御部140以外の構成部により実現されてもよく、制御部140と制御部140以外の構成部との分散処理により実現されてもよい。
【0093】
可変部141は、以下に示す定数αを変更することにより、回転ステージ10の第2周波数fhを変化させる。
fh=M×fv/(N+α) ・・・(2)
0<|α|<1 ・・・(3)
(2)式において、Nは、回転ステージ10の1回転中に第1軸A1と交差する方向に走査される走査レーザ光L2によって形成される走査線の数を表し、fvは第1周波数を表す。Mは、ポリゴンミラーの一回転周期中に、第1軸A1と交差する方向に走査される走査レーザ光L2によって形成される走査線の数である。m面のポリゴンミラー5であれば、M=mであり、往復ミラーであればM=2となる。可変部141は、測距装置100に設けられた操作部等の外部からの設定入力情報Seに応じて定数αを変更することができる。
【0094】
第1軸回転制御部541は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始させることにより、第1軸モータ151に回転を開始させる。また第1軸回転制御部541は、給電部155に給電制御信号Stを出力し、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸モータ151は、第1周波数fvによりポリゴンミラー5を回転させることができる。ポリゴンミラー5の回転周期は1/fvとなる。ここで、第1軸回転制御部541は、第1軸モータ151の回転の開始および停止のみを制御し、第1軸モータ151の回転速度等の制御は行わない。
【0095】
第2軸回転制御部542は、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、第2軸ドライバ基板173を介して回転ステージ10の回転を制御する。第2軸モータ152は、第2周波数fhにより回転ステージ10を回転させることができる。
【0096】
停止制御部543は、同期検出部153から所定期間、同期信号Snが出力されない場合に、第2軸モータ152による回転ステージ10の回転を停止させる。
【0097】
発光制御部142は、LD基板111を介してLD3に発光制御信号Dr1を出力することにより、LD3の発光を制御する。また発光制御部142は、LD3が発光した時刻に対応する発光時刻情報を距離情報取得部143に出力する。
【0098】
距離情報取得部143は、走査レーザ光L2が物体200により反射または散乱された戻り光Rに基づいて、物体200との間の距離情報Dtを演算により取得する。
【0099】
具体的には、距離情報取得部143は、LD3によりレーザ光L0が発せられた発光時刻情報を発光制御部142から入力し、APD8により戻り光Rが受光された戻り光受光信号Sを、APD基板114を介して入力し、戻り光受光信号Sに基づき受光時刻情報を取得する。距離情報取得部143は、TOF(Time Of Flight)の原理に基づき、以下の(1)式を演算することによって距離情報Dtを取得できる。
Dt=c×Δt/2 ・・・(1)
【0100】
nは、光束L11から光束L15それぞれに対応する整数である。例えば、Dtは光束L11に基づき得られる距離情報、Dtは光束L12に基づき得られる距離情報、Dtは光束L13に基づき得られる距離情報、Dtは光束L14に基づき得られる距離情報、Dtは光束L15に基づき得られる距離情報である。cは光速(約3×10[m/s])を表す。
【0101】
Δtは、光束L11から光束L15それぞれにおける発光時刻と受光時刻との間の時間差である。なお、光束L11から光束L15は、LD3から同時に発せられたレーザ光L0を分割したものであるため、発光時刻はいずれも等しい。一方で、光束L11から光束L15それぞれにおいて受光時刻はそれぞれ異なる。距離情報取得部143は、光束L11から光束L15ごとでの距離情報Dtを、並行演算により取得することが好ましい。
【0102】
距離情報を取得する方式は、TOF方式に限定されるものではない。例えば測距装置100は、振幅変調したレーザ光を照射し、物体で反射または散乱された戻り光と照射したレーザ光との位相差に基づき、距離情報を取得する位相差検出方式等を用いることもできる。
【0103】
距離情報取得部143は、距離情報出力部144を介して外部コントローラ300等の外部装置に距離情報を出力できる。
【0104】
<可変部141の作用>
可変部141の作用について説明する。光走査部120は、回転ステージ10の1回転につき、水平方向に交差する交差方向への走査線を複数本描くことにより、1フレームの画像を形成するようにして光走査を行う。交差方向への走査線の粗密は、第1周波数fvおよび第2周波数fhを制御することにより可変である。
【0105】
第1周波数fvを第2周波数fhのN倍にすると、回転ステージ10の1回転につき、交差方向への走査線がN本得られる。なお、ポリゴンミラー5の面数をMにするとM×N本の走査線が得られる。
【0106】
交差方向への走査線同士の間隔を密にするためには、第2周波数fhに対する第1周波数fvの倍数比率を大きくすることが求められるため、要求される走査線同士の間隔によっては、第1周波数fvが高くなりすぎる場合がある。なお、以下では、交差方向への走査線を単に走査線と称し、交差方向への走査線同士の間隔を走査線間隔と称する。
【0107】
本実施形態では、第1周波数fvが高くなりすぎることを回避するために、回転ステージ10の1回転につき描かれる走査線の数をN+α(0<α<1)とする。これにより、走査線の位置は、回転ステージ10の1回転ごとに水平方向にずれる。
【0108】
図8は、走査線が水平方向へずれる様子を例示する図である。図8において、Z方向は垂直方向(鉛直方向)に対応し、X方向は水平方向に対応する。複数の走査線Liは、走査線Li1_1、Li2_1、Li1_2、Li2_2、Li1_3、・・・、Li1_15およびLi1_16を含んでいる。フレーム画像Wは、複数の走査線Liにより形成される1フレームの画像を表している。
【0109】
黒丸を並べることにより表される走査線Li1_1、Li1_2、Li1_3、Li1_15およびLi1_16は、回転ステージ10の1回転目における走査線を示している。より詳しくは、走査線Li1_1は、回転ステージ10の1回転目における1本目の走査線を示し、走査線Li1_2は、回転ステージ10の1回転目における2本目の走査線を示し、走査線Li1_3は、回転ステージ10の1回転目における3本目の走査線を示している。走査線Li1_15は、回転ステージ10の1回転目における15本目の走査線を示し、走査線Li1_16は、回転ステージ10の1回転目における16本目の走査線を示している。
【0110】
白丸を並べることにより表される走査線Li2_1およびLi2_2は、回転ステージ10の1回転目における走査線を示している。より詳しくは、走査線Li2_1は、回転ステージ10が2回転目における1本目の走査線を示し、走査線Li2_2は、回転ステージ10が2回転目における2本目の走査線を示している。
【0111】
走査線間隔d1は、第1周波数fvが第2周波数fhのN倍である場合の走査線間隔dである。この場合には、複数の走査線Lそれぞれの水平方向における位置は、回転ステージ10が回転回数によって変化せず、走査線間隔d1はDx/Nとなる。なお、DxはX方向における光走査範囲である。
【0112】
走査線間隔d2は、第1周波数fvが第2周波数fhの(N+α)倍である場合の走査線間隔dである。この場合には、複数の走査線Lそれぞれの水平方向における位置は、回転ステージ10の回転回数によって変化し、走査線間隔d2はDx×α/Nとなって、走査線間隔d2よりも狭くなる。定数αの値に応じて走査線間隔d2は可変となる。
【0113】
走査線間隔d2が密になるように定数αを設定することにより、第1周波数fvが高くなることを抑えつつ、走査線間隔dを密にすることができる。例えば、可変部141は、αを±0.5にすることにより、走査線間隔dを約1/2にでき、αを±0.25にすることにより、走査線間隔dを約1/4にすることができる。αが±0.5であるとは、αが+0.5または-0.5であると言い換えることもできる。
【0114】
一方、上記方法では、1フレームの画像形成のために、回転ステージ10を複数回回転させる必要があるため、リフレッシュレートRrが低下する。ここでリフレッシュレートRrとは、単位時間当たりに形成可能なフレーム画像Wの数をいい、ここでは、Rr=fv/(Q×N)により表される。Qは1フレームの画像形成のために回転ステージ10を回転させる回数を意味する。例えば、αが±0.5の場合には、光走査部120は、1フレームの画像形成のために回転ステージ10を2回転させ、αが±0.25の場合には、1フレームの画像形成のために回転ステージ10を4回転させる必要があり、回転回数Qの増加に応じてリフレッシュレートRrが低くなる。
【0115】
測距装置100では、その利用シーン等に応じて、要求される走査線間隔dやリフレッシュレートRrは異なる。本実施形態では、可変部141により、定数αを変更して走査線間隔dおよびリフレッシュレートRrを変化させることにより、走査線間隔dやリフレッシュレートRrに対する要求に適合させることができる。また、第2周波数fhに対して高い第1周波数fvを変化させると、光走査部120の制御が複雑になる場合があるが、本実施形態では、定数αを変化させて第2周波数fhのみ変化させるため、光走査部120の制御が簡素化される。
【0116】
<制御部140による処理例>
図9は、制御部140による処理の一例を示すフローチャートである。制御部140は、測距装置100に電源が投入され、測距装置100が起動されたタイミングに図9の処理を開始する。なお、ここでは、ポリゴンミラー5の第1周波数fvは、予め定められた一定の周波数とする。
【0117】
まずステップS91において、制御部140は、可変部141により走査線間隔dまたはリフレッシュレートRrを変更するか否かを判定する。例えば可変部141は、測距装置100に設けられた操作部を用いた測距装置100のユーザによる走査線間隔dまたはリフレッシュレートRrの設定入力があるか否かに基づき、走査線間隔dまたはリフレッシュレートRrを変更するか否かを判定できる。
【0118】
ステップS91において、変更しないと判定された場合には(ステップS91、NO)、制御部140は、ステップS94に処理を移行する。一方、変更すると判定された場合には(ステップS91、YES)、制御部140は、ステップS92において、可変部141により、ユーザによる走査線間隔dまたはリフレッシュレートRrの設定入力情報Seを受け付ける。
【0119】
続いて、ステップS93において、制御部140は、可変部141により、走査線間隔dまたはリフレッシュレートRrの設定入力情報Seに応じて定数αを変更する。これにより、上記(2)式に応じて、第2周波数fhが変化し、走査線間隔dおよびリフレッシュレートRrが変更される。
【0120】
続いて、ステップS94において、制御部140は、第1軸回転制御部541により、給電部155から第1軸モータ151への給電を開始させることにより、第1軸モータ151に回転を開始させる。第1軸モータ151は、給電部155による給電開始に応答して回転し、ポリゴンミラー5の回転を開始させる。
【0121】
続いて、ステップS95において、制御部140は、第2軸回転制御部542により、同期検出部153からの同期信号Snと、第2軸エンコーダ172からの第2角度検出信号En2と、に基づき、回転ステージ10の回転を開始させる。以降、回転ステージ10は、第2軸回転制御部542による制御下において回転を続ける。
【0122】
続いて、ステップS96において、制御部140は、発光制御部142により、LD3に発光制御信号Dr1を出力することによって、LD3にレーザ光L0を発光させる。また発光制御部142は、LD3の発光時刻情報を距離情報取得部143に出力する。
【0123】
続いて、ステップS97において、制御部140は、走査レーザ光L2が物体200により反射または散乱された戻り光Rに基づきAPD8から出力される戻り光受光信号Sを、距離情報取得部143により入力する。
【0124】
続いて、ステップS98において、制御部140は、距離情報取得部143により、APD8による戻り光Rの受光時刻情報と、LD3の発光時刻情報と、に基づいて距離情報Dtを取得する。
【0125】
続いて、ステップS99において、制御部140は、距離情報取得部143により取得された距離情報Dtを、距離情報出力部144により外部コントローラ300等の外部装置に出力する。
【0126】
続いて、ステップS100において、制御部140は、停止制御部543により、同期検出部153からの同期信号Snが出力されない期間が所定の期間閾値以下であるか否かを判定する。
【0127】
ステップS100において、期間閾値以下ではないと判定された場合には(ステップS100、NO)、制御部140は、ステップS102に処理を移行する。一方、期間閾値以下であると判定された場合には(ステップS100、YES)、制御部140は、ステップS101において、測距装置100による測距を終了するか否かを判定する。例えば、制御部140は、測距装置100の操作部を介してユーザの操作入力に応じて測距を終了するか否かを判定できる。
【0128】
ステップS101において、終了しないと判定した場合には(ステップS101、NO)、制御部140は、ステップS96以降の処理を再度行う。一方、終了すると判定した場合には(ステップS101、YES)、制御部140は、ステップS102において、第2軸回転制御部542により回転ステージ10の回転を停止させるとともに、発光制御部142によりLD3の発光を停止させる。
【0129】
続いて、ステップS103において、制御部140は、第1軸回転制御部541により、給電部155から第1軸モータ151への給電を停止させることにより、第1軸モータ151に回転を停止させる。第1軸モータ151は、給電部155による給電停止に応答して回転を停止し、ポリゴンミラー5の回転を停止させる。
【0130】
このようにして、制御部140は、光走査部120による光走査、測距装置100による測距を制御することができる。
【0131】
<駆動制御部150、光走査部120の作用効果>
以上説明したように、駆動制御部150は、ポリゴンミラー5(第1駆動体)を第1軸A1周りに回転(駆動)させる第1軸モータ151(第1駆動部)と、ポリゴンミラー5を支持する回転ステージ10(第2駆動体)を、第1軸A1に交差する第2軸A2周りに回転させる第2軸モータ152(第2駆動部)と、を有する。また駆動制御部150は、ポリゴンミラー5の回転周期(1/fv)(駆動周期)に対応する同期信号Snを出力する同期検出部153と、同期信号Snに基づき、第2軸モータ152による回転を制御する制御部140と、を有する。
【0132】
上記構成により、ポリゴンミラー5については回転速度等を制御することなく、所定の第1周波数fvにより回転ステージ10とは独立して回転させるとともに、ポリゴンミラー5の回転に同期させて回転ステージ10の回転を制御できるため、ポリゴンミラー5および回転ステージ10の駆動を簡単に制御可能な駆動制御装置を提供できる。なお、本実施形態では、ポリゴンミラー5および回転ステージ10の回転駆動を例示したが、駆動制御部150の制御対象は、ポリゴンミラー5および回転ステージ10等の回転体の回転駆動に限定されるものではなく、ガルバノミラーやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等の揺動体の揺動駆動等であってもよい。また回転体、揺動体等の駆動体の数は2つに限定されず、3以上であってもよい。
【0133】
また本実施形態では、同期検出部153は、ポリゴンミラー5の第1角度検出信号En1(角度検出信号)を出力する第1軸エンコーダ531(回転角検出部)と、第1角度検出信号En1に基づいて発光する発光部532と、発光部532から発生されたパルス光Opを受光して同期信号Snを出力する周期光受光部533と、を有する。この構成により、ポリゴンミラー5については回転速度等を制御することなく所定の第1周波数fvにより回転させ、ポリゴンミラー5の回転に同期させて回転ステージ10の回転を制御できる。また簡単な構成により、ポリゴンミラー5の回転と回転ステージ10の回転を同期させることができる。さらにパルス光Opを用いて同期信号Snを得るため、電気ノイズの影響を抑え、制御の信頼性を向上させることができる。
【0134】
また本実施形態では、駆動制御部150は、第1軸モータ151に給電する給電部155を有し、第1軸モータ151は、給電部155からの給電が開始された際にポリゴンミラー5の回転を開始させ、給電部155からの給電が停止された際にポリゴンミラー5の回転を停止させる。この構成により、ポリゴンミラー5については回転制御部154から回転速度等を制御することなく所定の第1周波数fvにより回転させることができる。
【0135】
また本実施形態では、給電部155は無接点により第1軸モータ151に給電する。無接点による非接触給電によって、回転ステージ10の回転に伴う接点の摩耗等がなくなるため、駆動制御部150や光走査部120、測距装置100を構成する部品の耐久性、信頼性を向上させることができる。また給電のための配線が不要となるため、構成を簡略化できる。
【0136】
また、例えば、制御部140からポリゴンミラー5の駆動に関する制御信号を、非接触給電信号に含ませる方法や、給電の周波数をポリゴンミラー5の第1周波数fvとする方法も考えられるが、給電信号の品質が低いと第1周波数fvが安定しなくなる。また、第1周波数fvに給電部155のコイル共振周波数を合わせる必要があり、制御が複雑になる。本実施形態では、ポリゴンミラー5の回転制御のために給電信号を用いないため、第1周波数fvを安定化させることができる。
【0137】
また、回転ステージ10とは独立して回転するポリゴンミラー5に故障や異常が発生した場合に、回転ステージ10の回転を継続すると、測距装置100の利用効率が低下したり、消費電力の無駄が生じたりする場合がある。本実施形態では、制御部140は、所定の期間閾値より長い期間、同期検出部153から同期信号Snが出力されない場合に、第2軸モータ152による回転ステージ10の回転を停止させる。これにより、ポリゴンミラー5の故障や異常の発生に応じて回転ステージ10の回転を停止させ、測距装置100による測距を停止させることができるため、測距装置100の利用効率の低下や、消費電力の無駄を抑制できる。
【0138】
また本実施形態では、光走査部120は、ポリゴンミラー5と、ポリゴンミラー5を支持する回転ステージ10と、回転ステージ10の回転を制御する制御部140と、を有する。回転ステージ10の一回転周期(一駆動周期)中に、第1軸A1と交差する方向に走査される走査レーザ光L2(走査される光)によって形成される走査線Liの数をN、ポリゴンミラー5の一回転周期(一駆動周期)中に、第1軸A1と交差する方向に走査される走査レーザ光L2によって形成される走査線の数をM、定数をαとした場合に、fh=M×fv/(N+α)であって、0<|α|<1であり、制御部140は、定数αを変更することにより、第2周波数fhを変化させる。例えば、制御部140は、外部からの設定入力情報Seに応じて定数αを変更する。
【0139】
光走査部120は、制御部140により定数αを変化させることによって、走査線間隔dやリフレッシュレートRrを要求に対して容易に適合させることができる。これにより、本実施形態では、走査される光L2によって形成される複数の走査線間隔dを簡単な構成により可変とする光走査装置を提供することができる。また、第2周波数fhに対して高い第1周波数fvを変化させると、光走査部120の制御が複雑になる場合があるが、定数αを変化させて第1周波数fvと第2周波数fhとの比を変化させることにより、光走査部120の制御を簡単にすることができる。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0141】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【符号の説明】
【0142】
1…ベース板、2…保持部、3…LD、4…コリメートレンズ、5…ポリゴンミラー(第1駆動体)、6…穴あきミラー、7…受光レンズ、8、81、82、83、84、85…APD、9…イケール、10…回転ステージ(第2駆動体)、10a…回転部、10b…固定部、11…結合部材、21…天井パネル、22…背面パネル、31…LDホルダ、40…コリメートレンズホルダ、41…回折格子、51…光反射面、61…貫通孔、62…穴あきミラーホルダ、71…受光レンズホルダ、91…基板、100…測距装置、101…載置面、102…ベアリング、103…マグネット、104…モータコア、110…受発光部、112…発光ブロック、113…受光ブロック、114…APD基板、120…光走査部(光走査装置)、130…出射窓、140…制御部、141…可変部、142…発光制御部、143…距離情報取得部、144…距離情報出力部、150…駆動制御部(駆動制御装置)、151…第1軸モータ(第1駆動部)、152…第2軸モータ(第2駆動部)、153…同期検出部、154…回転制御部、155…給電部、163…第1軸ドライバ基板、172…第2軸エンコーダ、173…第2軸ドライバ基板、200…物体、300…外部コントローラ、531…第1軸エンコーダ(回転角検出部)、532…発光部、532a…発光基板、533…周期光受光部、533a…受光基板、541…第1軸回転制御部、542…第2軸回転制御部、543…停止制御部、551…発電コイル、552…給電コイル、A1…第1軸、A11…第1軸回転方向、A2…第2軸、A21…第2軸回転方向、L0…レーザ光、L1、L11、L12、L13、L14、L15…光束、L2…走査レーザ光、R1、R2…戻り光、Dr1…発光制御信号、Dr2…第2軸制御信号、Ct…測距制御信号、Dt…距離情報、S…戻り光受光信号、Sn…同期信号、St…給電制御信号、En1…第1角度検出信号(角度検出信号)、En2…第2角度検出信号、Op…パルス光、Li、Li1_1、Li1_2、Li1_3、Li1_15、Li1_16、Li2_1、Li2_2…走査線、d、d1、d2…走査線間隔、Dx…光走査範囲、W…フレーム画像
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