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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127345
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/96 20060101AFI20230906BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031082
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】高木 翔平
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E011
2E035
【Fターム(参考)】
2E011CA06
2E011CB01
2E035AA02
2E035BA01
2E035CB02
2E035CB06
(57)【要約】
【課題】より止水性に優れた建具を提供する。
【解決手段】縦枠と横枠とが枠組みされ、障子が回動自在に支持される枠体を有する建具であって、前記横枠は、前記障子の外周面と対向する見込み面と、前記障子の屋内側にて前記見込み面よりも、前記枠体の内周側に張り出す張出部と、を有し、前記縦枠は、前記張出部上に配置される樹脂枠と、前記樹脂枠の屋外側であって前記枠体の外周側に配置されて前記樹脂枠と嵌合される金属枠と、を有し、前記金属枠は、前記樹脂枠よりも長手方向に延出されて前記張出部の屋外側にて当該張出部と対向し、延出された端部が前記見込み面に当接される対向部を有しており、前記横枠と前記縦枠とは、前記横枠の前記張出部と前記樹脂枠との間に止水部材を介在して接合され、前記止水部材は、屈曲されて前記張出部と前記対向部との隙間を閉塞する閉塞部を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と横枠とが枠組みされ、障子が回動自在に支持される枠体を有する建具であって、
前記横枠は、前記障子の外周面と対向する見込み面と、前記障子の屋内側にて前記見込み面よりも、前記枠体の内周側に張り出す張出部と、を有し、
前記縦枠は、前記張出部上に配置される樹脂枠と、前記樹脂枠の屋外側であって前記枠体の外周側に配置されて前記樹脂枠と嵌合される金属枠と、を有し、
前記金属枠は、前記樹脂枠よりも長手方向に延出されて前記張出部の屋外側にて当該張出部と対向し、延出された端部が前記見込み面に当接される対向部を有しており、
前記横枠と前記縦枠とは、前記横枠の前記張出部と前記樹脂枠との間に止水部材を介在して接合され、
前記止水部材は、屈曲されて前記張出部と前記対向部との隙間を閉塞する閉塞部を有することを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記閉塞部は、前記張出部と前記対向部との前記隙間のうちの、前記枠体における内周側を閉塞し、前記枠体における外周側は閉塞していないことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記止水部材は、前記横枠と前記縦枠とにより挟持されている部位よりも屋内側に延出された屋内延出部を有していることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の金属枠材と合成樹脂製の樹脂枠材とを有する複合枠材を用いた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミ押出形材によって形成された金属製枠材と、樹脂押出形材によって形成された樹脂製枠材とが組み合わされた複合枠材を上下の横枠及び左右の縦枠に用いた枠体を有する建具は知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具は、枠体が形成する開口を閉止可能な障子を備えており、枠体を構成する横枠及び縦枠は、障子の外周面と対向する部位と、この部位より、開口の中央側に張り出して、障子の面外方向における一方側の面と対向する部位とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018―48484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建具は、横枠と縦枠が、障子の外周面と対向する部位、及び、この外周面と対向する部位よりも張り出している部位を有しているので、横枠と縦枠とを接合する場合には、横枠及び縦枠のいずれか一方の金属製枠材または樹脂製枠材を長手方向に延出させて、この延出させた部位を、他方の張り出している部位と、見込み方向に対向させて接合している。このため、一方の枠材の延出させた金属製枠材または樹脂製枠材と、他方の張り出している部位との間に生じる隙間から雨水等が屋内側に浸入する虞がある。このため、縦枠材と横枠材との接合部におけるより高い止水性が求められている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より止水性に優れた枠体を有する建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための主たる発明は、縦枠と横枠とが枠組みされ、障子が回動自在に支持される枠体を有する建具であって、前記横枠は、前記障子の外周面と対向する見込み面と、前記障子の屋内側にて前記見込み面よりも、前記枠体の内周側に張り出す張出部と、を有し、前記縦枠は、前記張出部上に配置される樹脂枠と、前記樹脂枠の屋外側であって前記枠体の外周側に配置されて前記樹脂枠と嵌合される金属枠と、を有し、前記金属枠は、前記樹脂枠よりも長手方向に延出されて前記張出部の屋外側にて当該張出部と対向し、延出された端部が前記見込み面に当接される対向部を有しており、前記横枠と前記縦枠とは、前記横枠の前記張出部と前記樹脂枠との間に止水部材を介在して接合され、前記止水部材は、屈曲されて前記張出部と前記対向部との隙間を閉塞する閉塞部を有することを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より止水性に優れた枠体を有する建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
図2】本実施形態に係る建具の横断面図である。
図3図1におけるA部の拡大図である。
図4図2におけるB部の拡大図である。
図5】縦枠と下枠との接合部を説明するための屋内側から見た斜視図である。
図6】縦枠と下枠との接合部を説明するための屋外側から見た斜視図である。
図7図4におけるC-C断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具1の一例として、図1図2に示すように、建物の躯体に固定され開口1bを形成する枠体2と、枠体2にヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている障子としての扉3を有する建具1を例に挙げて説明する。
【0009】
本実施形態の建具1は、図2に示すように、扉3が、枠体2を構成する左側の縦枠4にヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている。以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を、屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、見込み方向において、扉3が開く際に移動する側を屋外側、反対側であって、戸当たりが設けられている側を屋内側として説明する。
【0010】
枠体に2は、左右に配置される一対の縦枠4と、上下に配置される一対の横枠5と、が矩形状に枠組みされている。枠体2は、縦枠4の長手方向における端と、上下の横枠5との間にシート状の止水部材6(図3)が介在されて縦枠4と横枠5とが接合されている。以下、縦枠4と横枠5との接合部の説明を、左側の縦枠4と下の横枠5との接合部を例に挙げて説明する。このため、左の縦枠(以下、単に縦枠という)4において、枠体の内側は右側となり、外周側が左側となる。また、下の横枠(以下、下枠という)5において、枠体2の内周側は上側となり、外周側が下側となる。
【0011】
下枠5は、図3に示すように、金属製の金属下枠7と、合成樹脂製の樹脂下枠8とが嵌合された複合部材でなる下枠本体9と、下枠本体9の長手方向に沿って設けられ扉3の戸当たりをなす、下シール材10と、を有している。また、金属下枠7及び樹脂下枠8は、いずれも左右方向(長手方向)を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0012】
金属下枠7は、扉3を閉じた状態で、扉3の外周面となる下面3aと対面する見込み面7aを有する下枠面部7bと、下枠面部7bよりも屋内側にて上方に張り出す下枠張出部7cと、を有している。樹脂下枠8は下枠張出部7cに嵌合されて下枠張出部7cの上を覆う下枠屋外部8aと、下枠屋外部8aの屋内側に設けられ、躯体に固定される下枠屋内部8bと、を有している。
【0013】
下枠張出部7cの屋外側に、下シール材10が設けられている。下シール材10は、下枠張出部7cの屋外に臨む見付面(以下、張出部見付面という)7dに設けられ屋内側に窪む凹部を有する下シール嵌合部7eに嵌合され、下枠張出部7cの屋外側に突出させて設けられている。
【0014】
下枠屋外部8aは、下枠張出部7c上に設けられて水平面をなし、屋外側の端が下方に延出された下枠延出部8cを有している。下枠延出部8cの屋外側の見付面(以下、延出部見付面という)8dと、張出部見付面7dとは、ほぼ同一平面を形成している。
【0015】
下シール嵌合部7eに嵌合された下シール材10は、扉3が閉じられると、扉3により下枠張出部7c側に押圧され、延出部見付面8dと張出部見付面7dに当接し、下シール材10の上面と、下枠屋外部8aの上面とは、ほぼ同一の水平面をなしている。
【0016】
縦枠4は、図4に示すように、金属製の金属縦枠11と、合成樹脂製の樹脂縦枠12とが、嵌合された複合部材でなる縦枠本体13と、縦枠本体13の長手方向に沿って設けられ扉3の戸当たりをなす、縦シール材14と、を有している。また、金属縦枠11及び樹脂縦枠12は、いずれも上下方向(長手方向)を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0017】
金属縦枠11は、断面が見込み方向に長いほぼ矩形状をなし上下方向に貫通する金属枠中空部11aを有している。金属縦枠11は、金属枠中空部11aを形成し、枠体2が形成する開口1b側となる内周側にて見込み面を形成する内周側見込み壁部11bと、内周側見込み壁部11bと左右方向に間隔を空け外周側にて対向する外周側見込み壁部11cと、内周側見込み壁部11bの屋内側の端と外周側見込み壁部11cとを繋ぎ見付け面を形成する屋内見付け面部11dと、外周側見込み壁部11cから外周側に突出し躯体にビス止めされる固定片11eと、を有している。
【0018】
内周側見込み壁部11bは、屋外側の屋外側部位11fと屋内側の屋内側部位11gとを有しており、屋内側部位11gが屋外側部位11fよりも外周側に位置して段差が設けられている。内周側見込み壁部11bの屋外側部位11fには、図2に示すように、扉3がヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている。
【0019】
屋内見付け面部11dは、屋内側部位11gの屋内側の端から外周側に延出されており、延出された外周側の端が外周側見込み壁部11cと繋がる端部に屋外側に窪む凹部11hが設けられている。
【0020】
屋内見付け面部11dの内周側の端の近傍には、屋内側に延出されて、延出された端が内周側に延出され、樹脂縦枠12と係合する第1金属係合片11iが設けられている。また、屋内見付け面部11dの内周側には、屋内側部位11gよりも内周側に突出する突出片11jが、屋内見付け面部11dに沿って延出されて設けられている。
【0021】
突出片11jは、その先端が、屋外側部位11fの開口1bに臨む屋外側見込み面11kと、屋内側部位11gの開口1bに臨む屋内側見込み面11lの段差分だけ突出している。
【0022】
外周側見込み壁部11cにおいて屋内見付け面部11dよりも屋内側に延出されている屋内側の端には、内周側に延出された屋内側延出片11mが設けられており、屋内側延出片11mの屋外側に、樹脂縦枠12と係合する第2金属係合片11nが設けられている。第2金属係合片11nは、屋内側延出片11mの屋外側にて僅かに間隔を空けて対面するように設けられている。第2金属係合片11nの内周側の端には、屋内側に突出するフック片11oが設けられている。
【0023】
樹脂縦枠12は、断面が左右方向に長いほぼ矩形状をなし上下方向に貫通する樹脂枠中空部12aを有している。樹脂縦枠12は、樹脂枠中空部12aを形成し外周側にて見込み面を形成する樹脂見込み壁部12bと、樹脂枠中空部12aの屋外側に設けられる縦シール材14が嵌合される縦シール材嵌合部12cと、縦シール材嵌合部12cと見付面12dで繋がって外周側に延出され、第1金属係合片11iと係合される第1樹脂係合片12eと、を有している。
【0024】
樹脂見込み壁部12bは、屋内側に延出されて躯体にビス止めされる樹脂固定片12fを有している。樹脂固定片12fには、樹脂枠中空部12aを形成し、屋内側に臨む屋内壁部12gより屋内側に、外周側に突出して第2金属係合片11nと係合される第2樹脂係合片12hが設けられている。
【0025】
第2樹脂係合片12hは、先端側となる外周側に、内周側の部位よりも屋外側に位置して見付け面を形成する先端見付け面部12iを有している。樹脂見込み壁部12bの屋外側の端は、外周側に延出され、延出された端が屋外側に延出された樹脂延出片12jを有している。
【0026】
縦枠4は、樹脂縦枠12の第1樹脂係合片12eが金属縦枠11の第1金属係合片11iと係合し、樹脂縦枠12の第2樹脂係合片12hが金属縦枠11の第2金属係合片11nと係合することにより、樹脂縦枠12と金属縦枠11とが接合されている。金属縦枠11と接合された樹脂縦枠12は、屋外側部位11f及び屋内側部位11gの開口1bに臨む屋外側見込み面11k及び屋内側見込み面11lよりも内周側に張り出しており、張り出している張出部12kの屋外側に縦シール材14が設けられ扉3の戸当たり部をなしている。
【0027】
縦枠4と下枠5とは、下枠5の上に配置された止水部材6を介して縦枠4が接合されている。止水部材6は、たとえば合成樹脂製の所謂スポンジであり、図3図4に示すように、下枠5の樹脂下枠8における下枠屋外部8aの上から、樹脂下枠8の屋外側に設けられている下シール材10の上に亘って設けられており、載置される縦枠4の樹脂縦枠12と樹脂縦枠12の屋外側に設けられる縦シール材14との間に介在されて圧縮されている。縦枠4と下枠5とが接合された状態では、縦枠4の縦シール材嵌合部12cが設けられている見付面12dと、下枠5の張出部見付面7d及び延出部見付面8dとは、同一平面を形成する。
【0028】
縦枠4は、図5図6に示すように、金属縦枠11が樹脂縦枠12及び縦シール材14よりも長手方向に延出されており、樹脂縦枠12の下端は、下枠屋外部8aの上に設けられた止水部材6の上に当接され、縦シール材14の下端は、下シール材10の上に設けられた止水部材6の上に当接される。
【0029】
金属縦枠11の長手方向における下端部は、樹脂下枠8及び下枠張出部7cの屋外側に配置されており、その下端は、金属下枠7の下枠面部7bが有する見込み面7aに当接されている。このため、縦枠4の金属縦枠11は、樹脂縦枠12よりも延出されて、樹脂下枠8及び下枠張出部7cと見込み方向に対向する対向部11pを有している。そして、下シール材10は、下枠本体9より短く形成されており、下シール材10の端は、対向部11pの内周側の面をなす屋内側見込み面11lと対向している。
【0030】
対向部11pにおいては、下枠5の樹脂下枠8及び下枠張出部7cとの干渉を避けるために、第1金属係合片11i(図4)は切除されている。このため、縦枠4の対向部11pは、第1金属係合片11iが切除された屋内見付け面部11d及び屋内見付け面部11dと繋がった突出片11jの屋内側の面と、張出部見付面7d及び延出部見付面8dとが見込み方向に対面し、隙間S(図4)が存在する。隙間Sには、下枠屋外部8aと下シール材10との上に亘って設けられている止水部材6の一部が、屈曲され、圧縮された状態で設けられている。
【0031】
より具体的には、図4図5に示すように、止水部材6は、縦シール材14の下に配置されるシール材間介在部6aと、シール材間介在部6aと繋がって屋内側に設けられ、下枠屋外部8a上に配置される枠材間介在部6bと、枠材間介在部6bから屋外側に延出された閉塞部としての延出止水部6cと、枠材間介在部6bと繋がって屋内側に延出された屋内延出部6dと、を有している。
【0032】
シール材間介在部6aは、下シール材10の上において、下シール材10の長手方向の端とほぼ同じ位置まで設けられており、枠材間介在部6bは、下枠屋外部8aの上において、下枠屋外部8aの長手方向の端とほぼ同じ位置まで設けられている。すなわち、枠材間介在部6bは、シール材間介在部6aよりも外周側に延出されており、延出されている部位の屋外側に、シール材間介在部6aと隣接させて延出止水部6cが設けられている。延出止水部6cは、枠材間介在部6bの外周側に延出されている部位のうちのシール材間介在部6a側のみに設けられ、シール材間介在部6aと反対側には設けられていない。
【0033】
また、屋内延出部6dは、樹脂下枠8の下枠屋外部8aと金属縦枠11の下端とにより挟持されている部位よりも屋内側に延出されているので、止水部材6の取り付け位置がずれたとしても、下枠屋外部8aと金属縦枠11の下端とにより挟持することが可能となる。このため、止水部材6の位置決めに高い精度は要求されないので、止水部材6が取り付け易く製造性に優れている。
【0034】
このため、シール材間介在部6aが下シール材10上に位置し、枠材間介在部6bが下枠屋外部8a上に位置するように配置すると、延出止水部6cは、縦シール材14の外周側に隣接し、下枠屋外部8aよりも屋外側に突出している。延出止水部6cを下方に屈曲させ、張出部見付面7d及び延出部見付面8dに沿って配置され、張出部見付面7d及び延出部見付面8dと対面する屋内見付け面部11d及び突出片11jの屋内側の面との間の隙間Sにて圧縮される。このとき、延出止水部6cは、隣接する下シール材10の端と接触する一方で、隙間Sの下シール材10とは反対側には設けられていない。また、延出止水部6cの下端は、図7に示すように、金属縦枠11の下端が当接されている金属下枠7の見込み面7aに当接している。尚、延出止水部6cの下端は、必ずしも金属下枠7の見込み面7aに当接していなくとも構わない。
【0035】
このため、建具1に吹き付けた雨などにより、枠体2と扉3の下端との間から、見込み面7aに沿って進入する雨水が、屋内側見込み面11lと縦シール材14との間に進入したとしても、突出片11jと下枠張出部7cの間は延出止水部6cにより閉塞されているので、屋内側への雨水等の進入を防止することが可能となる。また、延出止水部6cは、隙間Sにおいて、下シール材10側だけに設けられていて、下シール材10とは、反対側には設けられておらず閉塞されていないので、見込み面7aの上方が上下方向に連通している。このため、縦枠4に至った水を、隙間Sにおいて延出止水部6cが設けられていない部位から下枠5の見込み面7aを伝わせて屋外に排出することが可能となる。
【0036】
止水部材6は、シート状の基材を、シール材間介在部6a、枠材間介在部6b、及び、延出止水部6cが一体をなす外形形状に切断した後に、シール材間介在部6aと延出止水部6cとの境界部分に、枠材間介在部6bの手前まで切り込みを入れて形成する。
【0037】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0038】
縦枠と横枠とが枠組みされ、障子が回動自在に支持される枠体を有する建具であって、前記横枠は、前記障子の外周面と対向する見込み面と、前記障子の屋内側にて前記見込み面よりも、前記枠体の内周側に張り出す張出部と、を有し、前記縦枠は、前記張出部上に配置される樹脂枠と、前記樹脂枠の屋外側であって前記枠体の外周側に配置されて前記樹脂枠と嵌合される金属枠と、を有し、前記金属枠は、前記樹脂枠よりも長手方向に延出されて前記張出部の屋外側にて当該張出部と対向し、延出された端部が前記見込み面に当接される対向部を有しており、前記横枠と前記縦枠とは、前記横枠の前記張出部と前記樹脂枠との間に止水部材を介在して接合され、前記止水部材は、屈曲されて前記張出部と前記対向部との隙間を閉塞する閉塞部を有することを特徴とする建具である。
【0039】
枠体を構成し金属枠と樹脂枠とが嵌合された縦枠の樹脂枠は、横枠の張出部上に配置され、縦枠の金属枠は、樹脂枠よりも長手方向に延出されて張出部の屋外側にて当該張出部と対向する対向部を有しており、対向部の延出された端部は、見込み面に当接されているので、見込み面上において、横枠の張出部と、縦枠の対向部とが対向し、隙間が生じやすい。このため、建具に吹き付けた雨などにより、横枠と障子の下端との間から、横枠の見込み面に沿って雨水が進入すると、屋内側に雨水が浸入する虞がある。
【0040】
本発明の建具によれば、張出部と対向部との隙間が、止水部材の閉塞部により閉塞されるので、屋内側への雨水等の進入を防止することが可能となる。このため、金属枠と樹脂枠とが嵌合された複合枠を用いつつも、より止水性に優れた建具を提供することが可能となる。また、閉塞部は、接合される横枠と縦枠との間に介在される止水部材に設けられているので、隙間を閉塞するための新たな部材を設ける必要がない。このため、部品点数を減らすことが可能であり、縦枠と横枠との接合も容易である。
【0041】
かかる建具であって、前記閉塞部は、前記張出部と前記対向部との前記隙間のうちの、前記枠体における内周側を閉塞し、前記枠体における外周側は閉塞していないことを特徴とする。
【0042】
このような建具によれば、閉塞部は、張出部と対向部との隙間において、枠体における内周側だけを閉塞し、外周側は閉塞していないので、隙間の外周側は見込み面の上方が上下方向に連通している。このため、枠体の内周側に至った水は、枠体の内周側において閉塞部により水の浸入を防止し、外周側では縦枠内に浸入した水を横枠の見込み面を伝わせて屋外に排出することが可能となる。
【0043】
かかる建具であって、前記止水部材は、前記横枠と前記縦枠とにより挟持されている部位よりも屋内側に延出される屋内延出部を有していることを特徴とする。
【0044】
このような建具によれば、止水部材が、横枠と縦枠とにより挟持されている部位よりも屋内側に延出される屋内延出部を有しているので、止水部材の取り付け位置がずれたとしても、横枠と縦枠とにより挟持することが可能となる。このため、止水部材の位置決めに高い精度は要求されないので、止水部材が取り付け易く製造性に優れている。
【符号の説明】
【0045】
1 建具、2 枠体、3 扉、3a 扉の下面(外周面)、4 縦枠、
5 下枠(横枠)、6 止水部材、6c 延出止水部、6d 屋内延出部、
7a 見込み面、 7c 下枠張出部、11 金属縦枠、11p 対向部、
12 樹脂縦枠、S 隙間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7