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特開2023-127377情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127377
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230906BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230906BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230906BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20230906BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031136
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 渉
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC03
2F129EE43
2F129EE78
2F129EE90
2F129EE91
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF60
2F129FF62
2F129GG17
2F129GG22
2F129HH20
(57)【要約】
【課題】運転負荷が低いと推定される期間を有効活用して適切にコンテンツを出力すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置であって、安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得部と、コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出部と、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測部と、出力可能時間と、出力所要時間とに基づいて、出力候補のコンテンツのうち、出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択部とを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置であって、
前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得部と、
コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出部と、
出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測部と、
前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、所定の地図情報で示される道路のうち、前記運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記車両が前記区間に侵入する前の所定のタイミングにおいてリアルタイムに前記出力対象のコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記出力可能時間として、話題となるコンテンツをエージェント機能部が提供した場合に前記対象利用者が対話に応じることが可能な対話可能時間を算出し、
前記予測部は、前記出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツを話題とする対話であって、当該コンテンツを提供するエージェント機能部と前記対象利用者との対話が終了するまでに要する対話所要時間を、前記出力所要時間として予測し、
前記選択部は、前記対話可能時間と、前記対話所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記対話可能時間内に適切に対話が終了すると推定されるコンテンツを出力対象のコンテンツとして選択する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記出力候補のコンテンツに関するコンテンツに応じて行われた過去の対話の履歴情報に基づき、前記過去の対話で必要とされた実績時間を算出し、算出した実績時間を用いて前記対話所要時間を予測する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記実績時間として、前記過去の対話において利用者との間でやり取りされたメッセージの組合せごとに、当該組合せの対話で必要とされた実績時間を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測部は、前記組合せごとに算出された実績時間のうち、所定の条件を満たす実績時間を前記対話所要時間として予測する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測部は、前記組合せごとに算出された実績時間のうち、より長い実績時間を前記対話所要時間として予測する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記出力候補のコンテンツごとに予測された前記対話所要時間と、前記対話可能時間との関係性に基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力対象のコンテンツを選択する
ことを特徴とする請求項4~8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記出力候補のコンテンツのうち、前記対話所要時間が前記対話可能時間より短いコンテンツを、前記出力対象のコンテンツとして選択する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力対象のコンテンツに応じた発話が出力されるよう制御する出力制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力制御部は、前記車両が前記区間に侵入した場合には、前記出力対象のコンテンツに応じた発話であって、前記出力対象のコンテンツを提供したエージェント機能部による発話が出力されるよう制御する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得工程と、
コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出工程と、
出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測工程と、
前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置が実行する情報処理プログラムであって、
前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得手順と、
コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出手順と、
出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測手順と、
前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択手順と
を情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に乗っているユーザに対し、より好適に情報を提供する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-173201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記の従来技術は、ドライバの状態に基づき、ドライバに生じている負担の大きさを判定し、その結果に応じた情報をドライバに提供している。一例として、上記の従来技術は、車両の運転が容易である場合に、このときの負担の大きさに応じた適切なタイミングで、負担の大きさに応じた適切な情報を提供している。
【0005】
ここで、車両という移動体を操作している関係上、ドライバには、例えば、車両の運転に余裕がある(すなわち負担が小さい)一定の期間が存在することが考えられる。しかしながら、上記の従来技術は、負担の大きさに応じた特定のタイミングで情報を提供しているのみであり、運転に余裕がある期間が有効活用されているとはいい難い。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転負荷が低いと推定される期間を有効活用して適切にコンテンツを出力することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された情報処理装置は、運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置であって、前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得部と、コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出部と、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測部と、前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択部とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項13に記載された情報処理方法は、運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得工程と、コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出工程と、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測工程と、前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項14に記載された情報処理プログラムは、運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止する情報処理装置が実行する情報処理プログラムであって、前記安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する取得手順と、コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両の速度に基づいて、前記車両が前記区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する算出手順と、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する予測手順と、前記出力可能時間と、前記出力所要時間とに基づいて、前記出力候補のコンテンツのうち、前記出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する選択手順とを情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理の全体像を説明する説明図(1)である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理の全体像を説明する説明図(2)である。
図4図4は、実施形態に係る予測処理の具体例を示す図(1)である。
図5図5は、実施形態に係る予測処理の具体例を示す図(2)である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るコンテンツの構成例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る区間情報データベースの一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る対話履歴データベースの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る実績情報データベースの一例を示す図である。
図11図11は、対話所要時間を予測する予測処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、出力対象のコンテンツを選択する選択処理手順を示すフローチャートである。
図13図13は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
〔1.実施形態の概要〕
例えば、カーナビゲーション装置等の車載装置には、エージェント機能部を有するアプリケーションが導入されているものがある。このような場合、利用者(例えば、車両を運転する運転者や同伴者)は、例えば、エージェント機能部との対話によって各種のサービスを受けることができる。
【0013】
ここで、対話に集中するあまり運転への注意力が疎かになることで、例えば、事故につながるような危険運転になってしまうことが考えられる。このような状況を防止するため、運転の安全度が高いと判断される場合にコンテンツを出力し、運転の安全度が低下したと判断される場合には、コンテンツの出力を停止することで、対話を中断する機能を有する車載装置もある。
【0014】
係る車載装置は、例えば、車両のセンサにより検知されたセンサ情報から運転挙動(利用者の運転状況、あるいは、車両の走行状況等)を検出し、検出した運転挙動に基づき、運転の安全度(運転の快適度ともいえる)を推定する。そして、車載装置は、安全度が所定値より高いことから利用者の運転負荷が低い(運転に余裕がある)と判断される場合には、エージェント機能部が提供したコンテンツに基づく対話を開始させる。一方、車載装置は、安全度が所定値より低いことから利用者の運転負荷が高い(運転に余裕がない)と判断される場合には、エージェント機能部が提供したコンテンツに基づく対話を開始させない、あるいは、現在進行中の対話を中断させる。
【0015】
しかしながら、このようにコンテンツを用いた対話が中断される状況を回避することが求められている。例えば、エージェント機能部は、利用者に興味があると推定されるスポットに関するコンテンツ、走行場所周辺の観光案内に関するコンテンツ、あるいは、危険報知のコンテンツ等といった利用者にとって有益と考えられるコンテンツを用いて対話を行う場合がある。このため、利用者とエージェント機能部との対話の中で係るコンテンツの出力を完結させたいという要望がある。
【0016】
本発明は、上記の事情に着目してなされたものであって、エージェント機能部が提供するコンテンツで対話が行われた場合、その対話にはどれくらいの時間が必要となるか対話に要する時間と、利用者が対話に応じることが可能な時間とを考慮すれば、対話が可能な時間内で出力が完結するようなコンテンツを優先して対話が進むよう制御することができため、コンテンツ出力において対話が可能な時間を有効活用することができる点から着想を得た。
【0017】
〔2.システム構成〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る情報処理システムの構成を説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係る情報処理システムの一例として、情報処理システム1が示される。
【0018】
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置100と、エージェント装置300とを備えてよい。また、情報処理装置100と、エージェント装置300とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、図1に示す情報処理システム1には、任意の数の情報処理装置100と、任意の数のエージェント装置300とが含まれてもよい。
【0019】
情報処理装置100は、運転の安全度が低下した場合には、コンテンツの出力を中止させる。例えば、情報処理装置100は、運転の安全度が低下した場合には、利用者と、エージェント機能部との間で行われている対話であって、エージェント機能部が提供したコンテンツを話題とする対話を中断させる。このようなことから、情報処理装置100は、実施形態に係る情報処理装置の一例に相当する。
【0020】
また、図1に示すように、情報処理装置100は、車両VExに搭載されてよい。すなわち、情報処理装置100は、車載装置であってよい。具体的には、情報処理装置100は、車両VExに内蔵あるいは積載される専用のナビゲーション装置であってよい。
【0021】
なお、情報処理装置100は、ナビゲーション装置と、録画装置とで構成されてもよい。この一例として、情報処理装置100は、互いに独立したナビゲーション装置および録画装置が通信可能に接続された複合的な装置であってよい。他の例として、情報処理装置100は、ナビゲーション機能と、録画機能とを有する1つの装置であってもよい。
【0022】
また、情報処理装置100は、各種のセンサを備えていてよい。例えば、情報処理装置100は、カメラ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPSセンサ、気圧センサ等の各種センサを備えていてよい。この結果、情報処理装置100は、各種センサによって取得されたセンサ情報に基づいて、利用者の運転を支援するための対話や情報提供を行うことができる。
【0023】
また、利用者は、日常的に使用している携帯型端末装置(例えば、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC、デスクトップPC、PDA等)に所定のアプリケーションを導入することで、この携帯型端末装置を情報処理装置100と同様に動作させることができる。すなわち、利用者は、自身の携帯型端末装置を車載装置として代用することができる。このようなことから、利用者の所持する携帯型端末装置も実施形態に係る情報処理装置として解することができる。
【0024】
エージェント装置300は、利用者の発話に応答するための応答処理を実際に行うサーバ装置である。例えば、エージェント装置300は、後述するエージェント機能部による制御に応じて、応答処理を実行する。また、エージェント装置300と、エージェント機能部とは、サービスごとに対になっていてよく、エージェント機能部の数だけ存在していてよい。
【0025】
例えば、エージェント装置300は、応答処理を行った結果、発話に対する適切な回答を取得することができなかった場合には、対応不可能であることを示す応答情報をエージェント機能部に返してよい。一方、エージェント装置300は、応答処理を行った結果、発話に対する適切な回答を取得することができた場合には、依頼に対する回答を含む応答情報をエージェント機能部に返してよい。また、エージェント機能部は、応答情報に基づいて、利用者との間で対話を行う。
【0026】
〔3.情報処理の全体像〕
ここからは、実施形態に係る情報処理として、利用者が対話に応じることが可能な対話可能時間内に適切に対話が終了すると推定されるコンテンツを選択し、このコンテンツに応じた対話が開始されるよう制御する制御処理について、図2および図3を用いて説明する。
【0027】
例えば、図2および図3には、利用者U1が車両VE1(車両VExの一例)を運転して道路RD1を走行しているシーンが示されている。また、図2および図3に示すように、道路RD1には、安全度に基づきドライバの運転負荷が低い傾向にあると推定される区間である運転負荷減少区間SE11が含まれる。係る場合、情報処理装置100は、車両VE1が運転負荷減少区間SE11に差し掛かる手前の所定の時点でリアルタイムに制御処理を行うことができる。以下では、この場面を例に挙げて、情報処理装置100によって行われる制御処理を説明する。また、以下の実施形態では、情報処理装置100は車載装置であるものとする。
【0028】
まず、図2を用いて、情報処理装置100が実行する制御処理のうち、ステップS1およびS2の処理を説明する。図2は、実施形態に係る情報処理の全体像を説明する説明図(1)である。
【0029】
図2の例によれば、利用者U1の車両VE1が、時刻TM1において時速Q(m/h)の速度で走行しながら、運転負荷減少区間SE11に接近している。また、運転負荷減少区間SE11の区間距離はP(m)である。係る例では、情報処理装置100は、車両VE1の速度である時速Q(m/h)と、運転負荷減少区間SE11の区間距離P(m)とに基づいて、話題となるコンテンツをエージェント機能部が提供した場合に利用者U1が対話に応じることが可能な対話可能時間XXを算出する(ステップS1)。具体的には、情報処理装置100は、時速Q(m/h)と、区間距離P(m)とに基づいて、車両VE1が運転負荷減少区間SE11の通過に要する所要時間P/Qを算出することで、所要時間P/Qを対話可能時間XXと定めてよい。
【0030】
なお、ここでいうエージェント機能部とは、図6に示すように、情報処理装置100が有するものであってよい。以下の説明では、情報処理装置100は、図6の例のように、エージェント機能部31および32を有しているものとする。
【0031】
例えば、エージェント機能部31は、アプリケーションAP31(アプリAP31)の一機能であってよく、アプリAP31に対応するサービスに応じたコンテンツC1を提供する。より具体的には、エージェント機能部31は、話題NA1に関するメッセージ情報(テキスト群)で構成されるコンテンツC1に基づき発話する。これによりエージェント機能部31は、利用者U1との間で話題NA1に関する対話を行う。
【0032】
また、エージェント機能部32は、アプリAP32の一機能であってよく、アプリAP32に対応するサービスに応じたコンテンツC2を提供する。より具体的には、エージェント機能部32は、話題NA2に関するメッセージ情報(テキスト群)で構成されるコンテンツC2に基づき発話する。これによりエージェント機能部32は、利用者U1との間で話題NA2に関する対話を行う。
【0033】
次に、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツであるコンテンツC1およびC2それぞれを用いて過去に行われた対話の履歴情報に基づいて、対応するエージェント機能部と利用者U1との対話が終了するまでに要する対話所要時間を予測する(ステップS2)。具体的には、情報処理装置100は、運転負荷減少区間SE11へと車両VE1が侵入したことをきっかけに、コンテンツC1に基づくエージェント機能部31による発話が出力されたと仮定して、話題NA1に関する利用者U1との対話が終了するまでに要する対話所要時間を予測する。また、情報処理装置100は、運転負荷減少区間SE11へと車両VE1が侵入したことをきっかけに、コンテンツC2に基づくエージェント機能部32による発話が出力されたと仮定して、話題NA2に関する利用者U1との対話が終了するまでに要する対話所要時間を予測する。
【0034】
図2の例によれば、情報処理装置100は、コンテンツC1に対応するエージェント機能部31側の出力メッセージと、対話履歴LG1に含まれる任意の利用者Uxが応答した応答メッセージとの組合せに基づき、対話のパターンを検出する。そして、情報処理装置100は、検出したパターンごとに、当該パターンの対話で必要とされた(費やされた)実績時間を算出する。
【0035】
一例として、情報処理装置100は、出力メッセージに対して利用者Uxが「肯定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなやり取りで対話が進んだかそのパターンを検出してよい。図2の例では、情報処理装置100は、係るパターンとして、対話パターンPT11を検出している。また、このような場合、情報処理装置100は、対話履歴LG1のうち、対話パターンPT11でやり取りが進んだ際の実際の対話時間に基づいて、対話パターンPT11の対話で必要とされた実績時間を算出してよい。図2の例では、情報処理装置100が実績時間1yを算出した例が示される。
【0036】
一方、情報処理装置100は、出力メッセージに対して利用者Uxが「否定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなやり取りで対話が進んだかそのパターンも検出する。図2の例では、情報処理装置100は、係るパターンとして、対話パターンPT12を検出している。また、係る例では、情報処理装置100は、対話履歴LG1のうち、対話パターンPT12でやり取りが進んだ際の実際の対話時間に基づいて、対話パターンPT12の対話で必要とされた実績時間を算出してよい。図2の例では、情報処理装置100が実績時間1nを算出した例が示される。
【0037】
そうすると、情報処理装置100は、実績時間1yおよび実績時間1nのうち、長さの長い方をコンテンツC1に対応する対話所要時間として予測する。図2に示すように、長さ関係が実績時間1y<実績時間1nであったとする。係る例では、情報処理装置100は、長い方の実績時間1nを対話所要時間1nとして予測する。
【0038】
ステップS2について、ここまで出力候補のコンテンツC1を例に、エージェント機能部31と利用者Uxとの対話で必要とされた対話所要時間1nが算出される算出例を示した。そこで、情報処理装置100は、図2に示すように、同様の処理を出力候補のコンテンツC2についても行う。
【0039】
具体的には、情報処理装置100は、コンテンツC2に対応するエージェント機能部32側の出力メッセージと、対話履歴LG2に含まれる任意の利用者Uxが応答した応答メッセージとの組合せに基づき、対話のパターンを検出する。そして、情報処理装置100は、検出したパターンごとに、当該パターンの対話で必要とされた実績時間を算出する。
【0040】
コンテンツC1の例と同様に、情報処理装置100は、出力メッセージに対して利用者Uxが「肯定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなやり取りで対話が進んだかそのパターンを検出する。図2の例では、情報処理装置100は、対話パターンPT21を検出している。また、情報処理装置100は、対話履歴LG2のうち、対話パターンPT21でやり取りが進んだ際の実際の対話時間に基づいて、対話パターンPT21の対話で必要とされた実績時間を算出する。図2の例では、情報処理装置100が実績時間2yを算出した例が示される。
【0041】
一方、情報処理装置100は、出力メッセージに対して利用者Uxが「否定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなやり取りで対話が進んだかそのパターンも検出する。図2の例では、情報処理装置100は、対話パターンPT22を検出している。また、係る例では、情報処理装置100は、対話履歴LG2のうち、対話パターンPT22でやり取りが進んだ際の実際の対話時間に基づいて、対話パターンPT22の対話で必要とされた実績時間を算出する。図2の例では、情報処理装置100が実績時間2nを算出した例が示される。
【0042】
そうすると、情報処理装置100は、実績時間2yおよび実績時間2nのうち、長さの長い方をコンテンツC2に対応する対話所要時間として予測する。図2に示すように、長さ関係が実績時間2y>実績時間2nであったとする。係る例では、情報処理装置100は、長い方の実績時間2yを対話所要時間2yとして予測する。
【0043】
ステップS2で説明したように、情報処理装置100は、各コンテンツについてメッセージの組合せごと(例えば、「肯定的」な応答がなされた場合のメッセージの組合せ、および、「否定的」な応答がなされた場合のメッセージの組合せ)に算出した実績時間のうち、より長い実績時間を対話所要時間として予測する。例えば、対話において利用者の返答を確実に予測するのは困難な場合がある。このため、例えば、最も対話時間が長くなった場合でも、運転負荷減少区間SE11内でメッセージのやり取りが収まるようこのような処理が行われる。
【0044】
続いて、図3を用いて、情報処理装置100が実行する制御処理のうち、ステップS3およびS4の処理を説明する。図3は、実施形態に係る情報処理の全体像を説明する説明図(2)である。
【0045】
ここまでの処理で、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツであるコンテンツC1およびC2それぞれについて、対話所要時間を予測している。具体的には、情報処理装置100は、コンテンツC1に対応する対話所要時間1nと、コンテンツC2に対応する対話所要時間2yとを予測している。そこで、情報処理装置100は、ステップS2で予測したこれらの対話所要時間と、ステップS1で算出した対話可能時間XXとの関係性に基づいて、コンテンツC1、コンテンツC2のいずれかを出力対象のコンテンツとして選択する(ステップS3)。例えば、情報処理装置100は、コンテンツC1、コンテンツC2うち、対話可能時間XXより短い対話所要時間が予測されている方を出力対象のコンテンツとして選択する。
【0046】
図3(a)には、対話可能時間XXに対して対話所要時間1nが長く、一方、対話可能時間XXに対して対話所要時間2yが短いように、各対話所要時間が予測された例が示される。このような関係性の場合、情報処理装置100は、対話可能時間XXよりも短い対話所要時間2yが予測されたコンテンツC2を出力対象のコンテンツとして選択してよい。
【0047】
また、図3(b)には、対話可能時間XXに対して対話所要時間2yが長く、一方、対話可能時間XXに対して対話所要時間1nが短いように、各対話所要時間が予測された例が示される。このような関係性の場合、情報処理装置100は、対話可能時間XXよりも短い対話所要時間1nが予測されたコンテンツC1を出力対象のコンテンツとして選択してよい。
【0048】
なお、ステップS3の処理は、コンテンツC1、コンテンツC2のいずれに応じた対話が利用者U1との間で行われようと、そして、この対話の中で利用者U1が肯定的な応答、あるいは、否定的な応答のどちらの応答をしようとも、対話可能時間XX内で対話が完了するよう安全策を考慮した選択処理といえる。
【0049】
ここで、ステップS1が実行された時刻TM1から時間が経過し、時刻TM2となった時点で、車両VE1が運転負荷減少区間SE11に侵入したとする。係る場合、情報処理装置100は、ステップS3で選択した出力対象のコンテンツに応じた対話が開始されるよう出力制御する(ステップS4)。この点について、ステップS3で出力対象のコンテンツとしてコンテンツC2が選択された場合の例を用いて説明する。
【0050】
例えば、情報処理装置100は、エージェント機能部32の動作に応じて、次のような出力制御を行ってよい。具体的には、情報処理装置100は、コンテンツC2を構成するテキストのうち、対話開始に用いられるテキストTX21に応じた発話であってエージェント機能部32による発話が出力されるよう制御する。例えば、エージェント機能部32は、女性の声V1の音声エージェントであるとすると、情報処理装置100は、女性の声V1でテキストTX21が読み上げられるような音声を合成することで、合成した音声が自装置のスピーカーから出力されるよう制御してよい。この結果、図3には、情報処理装置100のスピーカーから「今日は、焼き肉の日です。今日のランチに焼き肉はいかがですか?」という合成音声であって、テキストTX21が読み上げられる合成音声が出力されている例が示される。
【0051】
さて、ここまで図2および図3を用いて、情報処理装置100によって行われる処理の全体像を説明した。このような情報処理装置100によれば、対話が可能な時間内で出力が完結するようなコンテンツを優先して対話が進むよう制御することができため、コンテンツ出力において対話が可能な時間を有効活用することができるようになる。
【0052】
なお、図2の例では、情報処理装置100が、リアルタイムにステップS2の処理を行う例を示した。具体的には、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに応じた対話が行われた際の履歴情報に基づき対話所要時間を予測する処理をリアルタイムに行う例を示した。しかし、情報処理装置100は、必ずしもこの処理をリアルタイムに行う必要はない。例えば、情報処理装置100は、予め対話所要時間を予測しておくことで、出力対象のコンテンツを選択する処理を行う際に、予め予測しておいた対話所要時間を取得し、選択処理に活用してもよい。
【0053】
〔4.予測処理の一例〕
引き続き、図4および図5を用いて、対話所要時間を予測する予測処理の一例についてより詳細に説明する。
【0054】
まず、図4を用いて、図2のステップS2に示す対話所要時間1nが予測されるまでの予測処理の一例を説明する。図4は、実施形態に係る予測処理の具体例を示す図(1)である。
【0055】
図4(a)には、車両VE3の利用者U3(任意の利用者Uxの一例)と、コンテンツC1を提供するエージェント機能部31との間で行われた対話の一例が示される。また、図4(a)の例は、車両VE5の利用者U5(任意の利用者Uxの一例)と、コンテンツC1を提供するエージェント機能部31との間で行われた対話の一例を示すものでもある。そして、図4(a)の例では、利用者U3およびU5ともに、エージェント機能部31側の出力メッセージに対して「肯定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。
【0056】
例えば、図4(a)には、情報処理装置100が、「この近くに、おいしいラーメン屋があります。ラーメンは好きですか?」を読み上げるメッセージTX11をエージェント機能部31による発話として出力したことで、エージェント機能部31側から対話が開始された例が示される。また、図4(a)には、出力メッセージTX11に応じて、利用者U3およびU5は、ともに「肯定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。具体的には、利用者U3およびU5の双方は、「はい。ラーメン好きです。」という内容のメッセージAN11を発話している。また、図4(a)の例によれば、メッセージAN12に応じて、情報処理装置100は、「今後も、近くにある評判のいいラーメン屋をお知らせしますね。」を読み上げるメッセージTX12をエージェント機能部31による発話として出力した例が示される。
【0057】
情報処理装置100は、対話履歴LG1に基づいて、図4(a)に示すような「肯定的」な内容の対話には、メッセージTX11、メッセージAN11、メッセージTX12等が組合せとして含まれる傾向にあるとの分析結果を得たとすると、係る傾向を対話パターンPT11として検出することができる。また、この場合、情報処理装置100は、対話パターンPT11の対話で必要とされた実績時間を算出する。
【0058】
例えば、図4(a)に示すように、利用者U3との間で対話パターンPT11の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM13」であったとする。また、利用者U5との間で対話パターンPT11の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM15」であったとする。係る場合、情報処理装置100は、対話時間「DTM13」、および、対話時間が「DTM15」を用いて、統計的に実績時間を算出してよい。この結果、図4(a)には、情報処理装置100が実績時間1yを算出した例が示される。
【0059】
次に、図4(b)には、車両VE4の利用者U4(任意の利用者Uxの一例)と、コンテンツC1を提供するエージェント機能部31との間で行われた対話の一例が示される。また、図4(b)の例は、車両VE6の利用者U6(任意の利用者Uxの一例)と、コンテンツC1を提供するエージェント機能部31との間で行われた対話の一例を示すものでもある。そして、図4(b)の例では、利用者U4およびU6ともに、エージェント機能部31側の出力メッセージに対して「否定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。
【0060】
図4(b)にも、情報処理装置100が、「この近くに、おいしいラーメン屋があります。ラーメンは好きですか?」を読み上げるメッセージTX11をエージェント機能部31による発話として出力したことで、エージェント機能部31側から対話が開始された例が示される。これに対して、図4(b)には、出力メッセージTX11に応じて、利用者U4およびU6は、ともに「否定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。具体的には、利用者U4およびU6の双方は、「いいえ。」という内容のメッセージAN12を発話している。また、図4(b)の例によれば、メッセージAN12に応じて、情報処理装置100は、「今後は、ラーメン屋のお知らせは控えますね。」を読み上げるメッセージTX13をエージェント機能部31による発話として出力した例が示される。
【0061】
情報処理装置100は、対話履歴LG1に基づいて、図4(b)に示すような「否定的」な内容の対話には、メッセージTX11、メッセージAN12、メッセージTX13等が組合せとして含まれる傾向にあるとの分析結果を得たとすると、係る傾向を対話パターンPT12として検出することができる。また、この場合、情報処理装置100は、対話パターンPT12の対話で必要とされた実績時間を算出する。
【0062】
例えば、図4(b)に示すように、利用者U4との間で対話パターンPT12の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM14」であったとする。また、利用者U6との間で対話パターンPT12の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM16」であったとする。係る場合、情報処理装置100は、対話時間「DTM14」、および、対話時間が「DTM16」を用いて、統計的に実績時間を算出してよい。この結果、図4(b)には、情報処理装置100が実績時間1nを算出した例が示される。
【0063】
ここで、図2のステップS2で説明したように、情報処理装置100は、長さ関係が実績時間1y<実績時間1nであったことにより、長い方の実績時間1nを対話所要時間1nとして予測する。
【0064】
次に、図5を用いて、図2のステップS2に示す対話所要時間2yが予測されるまでの予測処理の一例を説明する。図5は、実施形態に係る予測処理の具体例を示す図(2)である。なお、図4の例に倣って図5を説明可能であるため、詳細については省略する。
【0065】
図5(a)には、車両VE3の利用者U3と、コンテンツC2を提供するエージェント機能部32との間で行われた対話の一例が示される。また、図5(a)の例は、車両VE5の利用者U5と、コンテンツC2を提供するエージェント機能部32との間で行われた対話の一例を示すものでもある。そして、図5(a)の例では、利用者U3およびU5ともに、エージェント機能部32側の出力メッセージに対して「肯定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。
【0066】
情報処理装置100は、対話履歴LG2に基づいて、図5(a)に示すような「肯定的」な内容の対話には、メッセージTX21、メッセージAN21、メッセージTX22等が組合せとして含まれる傾向にあるとの分析結果を得たとすると、係る傾向を対話パターンPT21として検出することができる。また、この場合、情報処理装置100は、対話パターンPT21の対話で必要とされた実績時間を算出する。
【0067】
例えば、図5(a)に示すように、利用者U3との間で対話パターンPT21の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM23」であったとする。また、利用者U5との間で対話パターンPT21の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM25」であったとする。係る場合、情報処理装置100は、対話時間「DTM23」、および、対話時間が「DTM25」を用いて、統計的に実績時間を算出してよい。この結果、図5(a)には、情報処理装置100が実績時間2yを算出した例が示される。
【0068】
また、図5(b)には、車両VE4の利用者U4と、コンテンツC2を提供するエージェント機能部31との間で行われた対話の一例が示される。また、図4(b)の例は、車両VE6の利用者U6と、コンテンツC2を提供するエージェント機能部32との間で行われた対話の一例を示すものでもある。そして、図4(b)の例では、利用者U4およびU6ともに、エージェント機能部32側の出力メッセージに対して「否定的」な内容のメッセージを応答した例が示される。
【0069】
情報処理装置100は、対話履歴LG2に基づいて、図5(b)に示すような「否定的」な内容の対話には、メッセージTX21、メッセージAN22、メッセージTX23等が組合せとして含まれる傾向にあるとの分析結果を得たとすると、係る傾向を対話パターンPT22として検出することができる。また、この場合、情報処理装置100は、対話パターンPT22の対話で必要とされた実績時間を算出する。
【0070】
例えば、図5(b)に示すように、利用者U4との間で対話パターンPT22の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM24」であったとする。また、利用者U6との間で対話パターンPT22の対話が進んだ際の実際の対話時間が「DTM26」であったとする。係る場合、情報処理装置100は、対話時間「DTM24」、および、対話時間が「DTM26」を用いて、統計的に実績時間を算出してよい。この結果、図5(b)には、情報処理装置100が実績時間2nを算出した例が示される。
【0071】
ここで、図2のステップS2で説明したように、情報処理装置100は、長さ関係が実績時間2y>実績時間2nであったことにより、長い方の実績時間2yを対話所要時間2yとして予測する。
【0072】
〔5.予測処理のバリエーション〕
これまでの説明によれば、情報処理装置100は、実績時間1y<実績時間1nという関係性から、長い方の実績時間1nを対話所要時間1nとして算出する例を示した。しかし、情報処理装置100は、現在コンテンツの出力対象となっている対象利用者である利用者U1の状況に基づいて、対話所要時間1nを補正してもよい。例えば、情報処理装置100は、コンテンツC1で対象とされる話題NA1に興味がある人物であることが特定できた場合には、利用者U1はエージェント機能部31との間で話題NA1に関する対話をより楽しみたいと推定し、対話所要時間1nを延長するよう補正してよい。一例として、情報処理装置100は、話題NA1に対する利用者U1の興味の度合いに応じた重み値を用いて、対話所要時間1nを補正してよい。このとき、情報処理装置100は、対話所要時間1nを延長するような値の重み値を用いてよい。
【0073】
また、情報処理装置100は、同様の補正処理を対話所要時間2yについても行ってよい。例えば、情報処理装置100は、コンテンツC2で対象とされる話題NA2に興味がない人物であることが特定できた場合には、利用者U1はエージェント機能部32との対話を早く終わらせたいと推定し、対話所要時間2yを短縮するよう補正してよい。一例として、情報処理装置100は、話題NA2に対する利用者U1の興味の度合いに応じた重み値を用いて、対話所要時間2yを補正してよい。このとき、情報処理装置100は、対話所要時間2yを短縮するような値の重み値を用いてよい。
【0074】
〔6.情報処理装置の構成〕
次に、図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。図6は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。図6に示すように、情報処理装置100は、アプリ群30と、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0075】
(アプリ群30について)
アプリ群30は、運転支援やお役立ち情報に関するサービスを提供するアプリケーション群である。アプリ群30に含まれるアプリケーションは、それぞれ異なる種別のサービスを提供するものであってもよいし、同一種別のサービスを提供するが性能が異なるといった場合もある。また、アプリ群30に含まれる各アプリは、サービスを提供する仲介役のエージェント機能部を有する。また、各アプリ(エージェント機能部)には、当該アプリに対応するサービスを実現するための処理を行うエージェント装置300が紐付けられている。
【0076】
図6の例によれば、アプリ群30には、アプリAP31、アプリAP32等の複数のアプリAP30が含まれる例が示される。説明の便机上、図6には、アプリAP31、および、アプリAP32のみ図示されている。
【0077】
図6の例によれば、アプリAP31は、音声エージェント機能として、エージェント機能部31を有し、エージェント機能部31には、エージェント装置300-1(エージェント装置300の一例)が紐付けられている。また、図6の例によれば、アプリAP32は、音声エージェント機能として、エージェント機能部32を有し、エージェント機能部32には、エージェント装置300-2(エージェント装置300の一例)が紐付けられている。
【0078】
また、アプリ群30に含まれる各アプリ(アプリAP31、アプリAP32等)は、利用者に提供したいコンテンツを状況把握エンジン131に渡すことで、状況把握エンジン131を介してコンテンツを再生出力させる。このときアプリは、コンテンツに対して、再生出力させるべき範囲を示す範囲情報、コンテンツのカテゴリを示すカテゴリ情報、コンテンツの長さ(再生時間)等を付与してよい。
【0079】
再生出力させるべき範囲を示す範囲情報とは、コンテンツを再生出力させるべき地理的範囲、時刻範囲、車両VExの走行距離範囲、車両VExの通過エリア範囲、車両の速度範囲等を指定することで、その範囲内であればコンテンツの再生出力を許容することを条件付ける条件情報に相当する。このようなことから、アプリは、状況把握エンジン131に対してコンテンツの再生出力に関する予約を行う。
【0080】
ここで、図7を用いて、エージェント機能部31が渡すコンテンツの一例について説明する。例えば、エージェント機能部31に対応するエージェント装置300-1は、所定のデータベースDAにおいて、図7に示すような構成でコンテンツを管理していてよい。図7は、実施形態に係るコンテンツの構成例を示す図である。
【0081】
図7の例では、エージェント装置300-1が有するデータベースDAは、「コンテンツID」、「話題」、「検出テキスト」、「動作テキスト」といった項目を有する。
【0082】
「コンテンツID」は、対応する「話題」のコンテンツを識別する識別情報を示す。「話題」は、「コンテンツID」が示すコンテンツで対象とされる話題を示す情報である。
【0083】
「検出テキスト」は、エージェント機能部31による発話として出力されたメッセージに対して、対話先の利用者が発話し得る候補のメッセージを示すテキスト情報である。
【0084】
「動作テキスト」は、対話先の利用者による発話に応じて、どのようなテキストをエージェント機能部31による発話として読み上げさせるかを条件付ける条件情報に相当する。なお、「動作テキスト」は、「コンテンツID」が示すコンテンツ(すなわち、コンテンツC1)を構成するテキストであって、話題NA1に関する内容のテキストであってよい。このようなことから、「動作テキスト」は、実質、コンテンツC1のデータそのものであるといえる。
【0085】
また、図7には、1番目のレコードにおいて、動作テキスト「TX11」が登録されているが、係る例は、メッセージTX11をエージェント機能部31による発話として出力させることで、エージェント機能部31側から話題NA1に関する対話を開始するよう条件付けられている例を示す。
【0086】
また、図7には、2番目のレコードにおいて、検出テキスト「AN11」と、動作テキスト「TX12」とが対応付けられる例が示される。係る例は、エージェント機能部31による発話として出力されたメッセージTX11に応じて、利用者がメッセージAN11を発話した場合には、メッセージTX12をエージェント機能部31による発話として読み上げさせるよう条件付けられている例を示す。
【0087】
なお、図7では、エージェント装置300-1が有するデータベースDAの一例を示したが、エージェント装置300-2も同様の構成のデータベースDAを有してよい。例えば、エージェント装置300-2が有するデータベースDAには、図5に示すように、検出テキストとして「AN21」や「AN22」が登録され、動作テキストとして「TX21」、「TX22」、「TX23」が登録されていてよい。
【0088】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えばエージェント装置300との間で情報の送受信を行う。また、通信部110は、図示しない所定の外部装置との間で情報の送受信を行うこともできる。
【0089】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、区間情報データベース121と、対話履歴データベース122と、実績情報データベース123とを有する。
【0090】
(区間情報データベース121について)
区間情報データベース121は、運転の安全度に基づき利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を記憶する。ここで、図8に、実施形態に係る区間情報データベース121の一例を示す。図8の例では、区間情報データベース121は、「道路情報」、「区間ID」、「区間位置」といった項目を有する。
【0091】
「道路情報」は、運転負荷が低いと推定される区間(運転負荷減少区間)を含む道路を示す情報である。「道路情報」は、例えば、運転負荷減少区間を含む道路の名称であってもよいし、運転負荷減少区間を含む道路を識別するリンクIDであってもよい。
【0092】
「区間ID」は、運転負荷減少区間を識別する識別情報である。「区間位置」は、「区間ID」で識別される運転負荷減少区間の位置情報である。「区間位置」は、例えば、「区間ID」で識別される運転負荷減少区間を構成する一端の位置情報と、もう一端の位置情報とを含んでいてよい。
【0093】
(対話履歴データベース122について)
対話履歴データベース122は、情報処理装置100の利用者と、情報処理装置100に導入されているエージェント機能部との間で行われた対話の履歴情報を記憶する。ここで、図9に、実施形態に係る対話履歴データベース122の一例を示す。図9の例では、対話履歴データベース122は、「コンテンツID」、「利用者ID」、「対話ID」、「日時」、「エージェントメッセージ」、「利用者メッセージ」、「対話時間」といった項目を有する。
【0094】
「コンテンツID」は、「利用者ID」で識別される利用者との対話に用いられたコンテンツを識別する識別情報を示す。「利用者ID」は、「コンテンツID」で識別されるコンテンツを提供したエージェント機能部と対話を行った利用者を識別する識別情報を示す。「対話ID」は、係る対話を識別する識別情報を示す。なお、「対話ID」で識別される対話とは、エージェント機能部の発話により開始され、その後、エージェント機能部と利用者との間でメッセージのやり取りが行われ、最後、エージェント機能部の発話により終了された一連の対話であってよい。
【0095】
「日時」は、エージェント機能部または利用者によりメッセージが発話された日時を示す。換言すると、「日時」は、エージェント機能部または利用者によりメッセージが発話されたことを情報処理装置100が検知した日時を示す。
【0096】
「エージェントメッセージ」は、「コンテンツID」で識別されるコンテンツを提供したエージェント機能部による発話として出力されたメッセージ(テキスト)を示す情報である。例えば、コンテンツID「C1」で識別されるコンテンツ(コンテンツC1)に対応付けられるエージェントメッセージ「AMG311」あるいは「AMG313」は、図7で説明した「動作テキスト」のいずれかとなる場合がある。
【0097】
「利用者メッセージ」は、「利用者ID」で識別される利用者が、「コンテンツID」で識別されるコンテンツを提供したエージェント機能部との対話(「対話ID」で識別される対話)の中で発話したメッセージ(テキスト)を示す情報である。例えば、コンテンツID「C1」で識別されるコンテンツ(コンテンツC1)に対応付けられる利用者メッセージ「UMG312」は、図7で説明した「検出テキスト」のいずれかとなる場合がある。
【0098】
「対話時間」は、「エージェントメッセージ」と「利用者メッセージ」とのやり取りに応じて、「対話ID」で識別される対話が開始してから終了するまでに実際に費やされた時間を示す情報である。
【0099】
(実績情報データベース123について)
実績情報データベース123は、実績時間に関する情報を記憶する。ここで、図10に、実施形態に係る実績情報データベース123の一例を示す。図10の例では、実績情報データベース123は、「コンテンツID」、「パターンID」、「メッセージ情報」、「実績時間」といった項目を有する。
【0100】
「コンテンツID」は、利用者との対話に用いられたコンテンツを識別する識別情報を示す。「パターンID」は、対話のパターンを識別する識別情報である。例えば、「パターンID」は、「コンテンツID」で識別されるコンテンツを用いて行われた対話に含まれるメッセージに基づき統計的に検出されたメッセージの組合せを1つのパターンとして識別する識別情報である。
【0101】
「メッセージ情報」は、「パターンID」で識別される対話のパターンを構成するメッセージの組合せを示す情報である。
【0102】
「実績時間」は、「パターンID」で識別される対話のパターンでメッセージのやり取りが進んだ際に、実際に費やされた時間を示す。「実績時間」は、例えば、「パターンID」で識別される対話のパターンでメッセージのやり取りが進んだ際の実際の対話時間(対話履歴データベース122の「対話時間」)に基づき、統計的に算出されるものであってよい。
【0103】
(制御部130について)
図6に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0104】
図6に示すように、制御部130は、状況把握エンジン131と、予測部132と、取得部133と、算出部134と、選択部135と、出力制御部136とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0105】
(状況把握エンジン131について)
状況把握エンジン131は、車両VExに関する各種状況を把握し、把握した状況に応じて、エージェント機能部(例えば、エージェント機能部31やエージェント機能部32等)から提供されたコンテンツの出力を制御する。
【0106】
例えば、状況把握エンジン131は、車両VExが有するセンサにより検知されたセンサ情報から運転挙動(利用者の運転状況、あるいは、車両VExの走行状況等)を検出し、検出した運転挙動に基づき、運転の安全度(運転の快適度)を推定する。
【0107】
また、状況把握エンジン131は、例えば、安全度が所定値より高いことから利用者の運転負荷が低い(運転に余裕がある)と判断される場合には、エージェント機能部が提供したコンテンツに基づく対話を開始させる。一方、状況把握エンジン131は、安全度が所定値より低いことから利用者の運転負荷が高い(運転に余裕がない)と判断される場合には、エージェント機能部が提供したコンテンツに基づく対話を開始させない、あるいは、現在進行中の対話を中断させてよい。
【0108】
(予測部132について)
予測部132は、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該コンテンツの出力の完了に要する出力所要時間を予測する。例えば、予測部132は、出力候補のコンテンツごとに、当該コンテンツを話題とする対話であって、当該コンテンツを提供するエージェント機能部と利用者との対話が終了するまでに要する対話所要時間を出力所要時間として予測する。
【0109】
例えば、予測部132は、出力候補のコンテンツ(あるいは、出力候補のコンテンツに関するコンテンツ)に応じて行われた過去の対話の履歴情報に基づき、過去の対話で必要とされた実績時間を算出し、算出した実績時間を用いて対話所要時間を予測する。例えば、予測部132は、実績時間として、過去の対話においてエージェント機能部と利用者との間でやり取りされたメッセージの組合せごとに、当該組合せの対話で必要とされた実績時間を算出し、算出した実績時間を用いて対話所要時間を予測する。
【0110】
例えば、予測部132は、メッセージ組合せごとに算出した実績時間のうち、所定の条件を満たす実績時間を対話所要時間として予測してよい。例えば、予測部132は、メッセージの組合せごとに算出された実績時間のうち、より長い実績時間を対話所要時間として予測してよい。
【0111】
図2の例では、予測部132は、ステップS2で説明した予測処理を行ってよい。
【0112】
(取得部133について)
取得部133は、利用者の運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得する。例えば、取得部133は、運転の安全度に基づき統計的に運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得してよい。また、取得部133は、所定の地図情報で示される道路のうち、運転負荷が低いと推定される区間を示す区間情報を取得してよい。
【0113】
(算出部134について)
算出部134は、コンテンツの出力対象となっている利用者が運転している車両VExの速度に基づいて、この車両VExが運転負荷が低いと推定される区間の通過に要する所要時間を、コンテンツの出力が可能な出力可能時間として算出する。例えば、算出部134は、出力可能時間として、話題となるコンテンツをエージェント機能部が提供した場合に利用者が対話に応じることが可能な対話可能時間を算出する。
【0114】
図2の例では、算出部134は、ステップS1で説明した算出処理を行ってよい。
【0115】
(選択部135について)
選択部135は、出力可能時間と、出力所要時間とに基づいて、出力候補のコンテンツのうち、出力可能時間内に出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択する。例えば、選択部135は、対話可能時間と、対話所要時間とに基づいて、出力候補のコンテンツのうち、対話可能時間内に適切に対話が終了すると推定されるコンテンツを出力対象のコンテンツとして選択する。
【0116】
例えば、選択部135は、出力候補のコンテンツごとに予測された対話所要時間と、対話可能時間との関係性に基づいて、出力候補のコンテンツのうち、出力対象のコンテンツを選択する。例えば、選択部135は、出力候補のコンテンツのうち、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツを、出力対象のコンテンツとして選択してよい。
【0117】
図3の例では、算出部134は、ステップS3で説明した算出処理を行ってよい。
【0118】
(出力制御部136について)
出力制御部136は、出力対象のコンテンツに応じた発話が出力されるよう制御する。例えば、出力制御部136は、コンテンツの出力対象となっている利用者の車両VExが、運転負荷が低いと推定される区間に侵入した場合には、出力対象のコンテンツに応じた発話であって、出力対象のコンテンツを提供したエージェント機能部による発話が出力されるよう制御してよい。
【0119】
図3の例では、算出部134は、ステップS4で説明した算出処理を行ってよい。
【0120】
〔7.処理手順〕
続いて、図11および図12を用いて、実施形態に係る情報処理方法によって実現される情報処理の手順について説明する。実施形態に係る情報処理手順は、対話所要時間を予め予測しておく予工程と、この対話所要時間を用いて出力対象のコンテンツをリアルタイムに選択する工程に大別することができる。よって、図11および図12では、各工程での処理手順を説明する。
【0121】
〔7-1.処理手順(1)〕
まず、図11を用いて、対話所要時間を予め予測するための処理の手順を説明する。図11は、対話所要時間を予測する予測処理手順を示すフローチャートである。
【0122】
まず、予測部132は、対話所要時間を予測するタイミングになったか否かを判定する(ステップS1101)。例えば、予測部132は、毎日、特定の時間帯になった場合に、対話所要時間を予測するタイミングになったと判定してよい。また、予測部132は、例えば、エージェント機能部が状況把握エンジン131に対して出力候補のコンテンツを渡した場合に、対話所要時間を予測するタイミングになったと判定してもよい。
【0123】
予測部132は、対話所要時間を予測するタイミングになっていないと判定している間は(ステップS1101;No)、対話所要時間を予測するタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0124】
一方、予測部132は、対話所要時間を予測するタイミングになったと判定できた場合には(ステップS1101;Yes)、現時点で出力候補のコンテンツが存在するか否かを判定する(ステップS1102)。
【0125】
例えば、予測部132は、エージェント機能部が出力候補のコンテンツを提供しておらず、出力候補のコンテンツが存在しないと判定した場合には(ステップS1102;No)、ステップS1101から処理を実行し直してよい。
【0126】
一方、予測部132は、エージェント機能部が出力候補のコンテンツを提供したことで、出力候補のコンテンツが存在すると判定できた場合には(ステップS1102;Yes)、出力候補のコンテンツの対話履歴を対話履歴データベース122から抽出する(ステップS1103)。
【0127】
次に、予測部132は、対話履歴に基づいて、複数の対話のパターンを検出する(ステップS1104)。例えば、予測部132は、対話履歴としてのメッセージであって、出力候補のコンテンツを提供したエージェント機能部と利用者との間でやり取りされたメッセージの組合せに基づき、対話のパターンを検出してよい。一例として、予測部132は、エージェント機能部による発話としての出力されたメッセージに対して、利用者が「肯定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなメッセージの組合せになるかその傾向を対話のパターンを1つとして検出してよい。また、予測部132は、エージェント機能部による発話としての出力されたメッセージに対して、利用者が「否定的」な内容のメッセージを応答した場合に、どのようなメッセージの組合せになるかその傾向を対話のパターンを別の1つとして検出してよい。
【0128】
次に、予測部132は、ステップS1104で検出したパターンごとに、当該パターンの対話で実際に必要とされた時間である実績時間を算出する(ステップS1105)。予測部132は、検出したパターンに対応する対話それぞれで費やされた対話時間を用いて、統計的に実績時間を算出してよい。
【0129】
次に、予測部132は、対話のパターンごとに算出した実績時間のうち、より長いものを、出力候補のコンテンツで対象とされる話題に関する対話であって、出力候補のコンテンツを提供するエージェント機能部と対象利用者との対話が終了するまでに要する対話所要時間として予測する(ステップS1106)。
【0130】
続いて、予測部132は、全ての出力候補のコンテンツについて、対話所要時間を予測したか否かを判定する(ステップS1107)。予測部132は、出力候補のコンテンツの中に対話所要時間を予測できていないものが存在する場合には(ステップS1107;No)、ステップS1103から処理を繰り返す。
【0131】
一方、予測部132は、出力候補のコンテンツの中に対話所要時間を予測できていないものが存在しない場合には(ステップS1107;Yes)、例えば、予測結果の対話所要時間を実績情報データベース123に登録して処理を終了してよい。
【0132】
〔7-2.処理手順(2)〕
続いて、図12を用いて、出力対象のコンテンツを選択するための処理の手順を説明する。図12は、出力対象のコンテンツを選択する選択処理手順を示すフローチャートである。
【0133】
まず、取得部133は、運転負荷が低いと推定される区間である運転負荷減少区間を示す区間情報を取得する(ステップS1201)。
【0134】
次に、算出部134は、自装置(情報処理装置100)が搭載された車両である自車両が運転負荷減少区間を通過予定であるか否かを判定する(ステップS1202)。例えば、算出部134は、運転負荷減少区間を自車両が通過予定でないと判定した場合には(ステップS1202;No)、運転負荷減少区間を通過予定であると判定できるまで待機してよい。
【0135】
一方、算出部134は、自車両が運転負荷減少区間の手前の所定の地点に差し掛かかったことで、運転負荷減少区間を自車両が通過予定であると判定できた場合には(ステップS1202;Yes)、自車両の運転者を、コンテンツの出力対象となる対象利用者として認識する(ステップS1203)。
【0136】
そして、算出部134は、自車両の速度と、運転負荷減少区間の区間距離とに基づいて、話題となるコンテンツを用いてエージェント機能部が対話を持ち掛けてきた場合に対象利用者がこの対話に応じることが可能な対話可能時間を算出する(ステップS1204)。例えば、算出部134は、自車両の速度と、運転負荷減少区間の区間距離とに基づいて、自車両が運転負荷減少区間の通過に要する所要時間を算出し、これを対話可能時間と定める。
【0137】
次に、選択部135は、出力候補のコンテンツごとに予測されている各対話所要時間を取得する(ステップS1205)。図11で説明したように、対話所要時間は、予測部132によって別フェーズで予め予測されている。したがって、例えば、選択部135は、予測部132から対話所要時間を取得してよい。
【0138】
そして、選択部135は、出力候補のコンテンツの中に、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが存在するか否かを判定する(ステップS1206)。選択部135は、出力候補のコンテンツの中に、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが存在しない場合には(ステップS1206;No)、運転負荷減少区間でのエージェント機能部と対象利用者との対話のために出力させる出力対象のコンテンツが存在しないと判断し処理を終了してよい。
【0139】
一方、選択部135は、出力候補のコンテンツの中に、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが存在すると判定できた場合には(ステップS1206;Yes)、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが複数であるか否かを判定する(ステップS1207)。
【0140】
選択部135は、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが複数でない、つまり対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが1つであると判定した場合には(ステップS1207;No)、この1つの出力候補のコンテンツを出力対象のコンテンツとして選択する(ステップS1208a)。
【0141】
一方、選択部135は、対話所要時間が対話可能時間より短いコンテンツが複数であると判定した場合には(ステップS1207;Yes)、複数のコンテンツのうち、対話所要時間がより短いものを出力対象のコンテンツとして選択してよい(ステップS1208b)。なお、選択部135は、ステップS1208において、対話所要時間がより短いものを出力対象のコンテンツとして選択するのではなく、反対に、対話所要時間が最も長いものを出力対象のコンテンツとして選択してもよい。
【0142】
最後に、出力制御部136は、出力対象のコンテンツを話題とする対話が、このコンテンツを提供したエージェント機能部側から開始されるよう出力制御する(ステップS1209)。例えば、出力対象のコンテンツとしてコンテンツC2が選択されたとすると、出力制御部136は、コンテンツC2を構成するテキストのうち、対話開始に用いられるテキストTX21に応じた発話であってエージェント機能部32による発話が出力されるよう制御する。例えば、エージェント機能部32は、女性の声V1の音声エージェントであるとすると、出力制御部136は、女性の声V1でテキストTX21が読み上げられるような音声を合成することで、合成した音声が自装置のスピーカーから出力されるよう制御してよい。
【0143】
〔8.限定解除〕
上記実施形態では、情報処理装置100が、利用者との対話に用いられるコンテンツを選択する例を示した。具体的には、情報処理装置100が、対話可能時間を算出し、また、出力候補のコンテンツごとに対話所要時間を予測し、対話可能時間と対話所要時間とに基づき、対話可能時間内に適切に対話が終了すると推定されるコンテンツを出力対象のコンテンツとして選択する例を示した。
【0144】
しかしながら、情報処理装置100が選択するコンテンツは、必ずしも利用者との対話に用いられるコンテンツである必要はなく、例えば、利用者に向けて一方的に出力されるコンテンツであってよい。このようなコンテンツとしては、例えば、周辺の店舗やおすすめスポットをエージェント機能部による発話音声で紹介する所謂広告としての役割を有するコンテンツが挙げられる。
【0145】
情報処理装置100は、このような広告コンテンツを利用者に提供する場合には、広告コンテンツの出力対象となっている対象利用者が運転している車両VExの速度と、運転負荷減少区間の区間距離とに基づいて、車両VExが運転負荷減少区間の通過に要する所要時間を、広告コンテンツの再生出力が可能な出力可能時間として算出する。また、情報処理装置100は、出力候補の広告コンテンツごとに、当該広告コンテンツに関する所定の情報に基づいて、当該広告コンテンツの再生出力の完了に要する出力所要時間を予測する。そして、情報処理装置100は、出力可能時間と、出力所要時間とに基づいて、出力候補の広告コンテンツのうち、出力可能時間内に再生出力が完了されると推定されるコンテンツを、出力対象の広告コンテンツとして選択する。
【0146】
なお、ここでいう広告コンテンツに関する所定の情報とは、過去に再生出力された広告コンテンツの履歴情報であってよい。また、係る履歴情報には、例えば、再生出力に必要とされた実績時間が広告コンテンツごとに含まれてよい。
【0147】
また、情報処理装置100は、エッジ側の車載装置ではなく、クラウド側のサーバ装置であってもよい。すなわち、上述した実施形態に係る情報処理は、サーバ装置としての情報処理装置100によって行われてもよい。また、係る場合、情報処理装置100は、実施形態に係る情報処理により選択したコンテンツを対象利用者の車両VExに搭載される車載装置へと送信し、車載装置は、例えば、情報処理装置100から取得したコンテンツが当該コンテンツを提供したエージェント機能部による発話として出力されるよう制御してよい。
【0148】
また、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツの属性情報に基づいて、出力対象のコンテンツを選択してよい。
【0149】
例えば、出力候補のコンテンツに出力すべき場所を条件付ける条件情報が対応付けられていたとする。係る場合には、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツのうち、車両VExの現在の走行位置により近い場所が条件付けられているコンテンツを優先的に選択してよい。
【0150】
他の例として、出力候補のコンテンツに出力すべき時刻を条件付ける条件情報が対応付けられていたとする。係る場合には、情報処理装置100は、出力候補のコンテンツのうち、車両VExが走行している現在時刻により近い時刻が条件付けられているコンテンツを優先的に選択してよい。
【0151】
さらに他の例として、出力候補のコンテンツにカテゴリが対応付けられていたとする。係る場合には、情報処理装置100は、利用者が興味を有していると推定される事項に一致(または類似)するカテゴリが付されたコンテンツを優先的に選択してよい。
【0152】
〔9.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、図13に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図13は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0153】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0154】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0155】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0156】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0157】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0158】
〔10.その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0159】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0160】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0161】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
120 記憶部
121 区間情報データベース
122 対話履歴データベース
123 実績情報データベース
130 制御部
131 状況把握エンジン
132 予測部
133 取得部
134 算出部
135 選択部
136 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13