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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012742
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】吐出容器用紙製キャップと吐出製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/40 20060101AFI20230119BHJP
   B65D 3/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B65D83/40
B65D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116393
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】岡本 一真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD01
3E014PE15
3E014PF03
3E014PF04
(57)【要約】
【課題】紙製の基材で必要な強度を発揮することができるキャップを提供する。
【解決手段】天面部11と、天面部11から延出された側面部A0とを備えた1枚の紙製シートSからなり、側面部A0が複数の重なり予定部A1~A3を有し、重なり予定部A1~A3同士が側面部A0の基端側から先端側にかけて重なることで、上端が天面部11によって塞がれ、下端が吐出容器1に対して装着可能に開口した筒部12が形成されており、筒部の下端の外径に対する筒部の上端の外径の比(上端の外径/下端の外径)が、0.80~1.80とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、
天面部から延出された側面部とを備えた1枚の紙製シートからなり、
側面部が複数の重なり予定部を有し、
重なり予定部同士が側面部の基端側から先端側にかけて重なることで、上端が天面部によって塞がれ、下端が吐出容器に対して装着可能に開口した筒部が形成されており、
筒部の下端の外径に対する筒部の上端の外径の比(上端の外径/下端の外径)が、0.80~1.80である、吐出容器用紙製キャップ。
【請求項2】
天面部と、
天面部から延出された側面部とを備えた1枚の紙製シートからなり、
側面部が複数の重なり予定部を有し、
重なり予定部同士が側面部の基端側から先端側にかけて重なることで、上端が天面部によって塞がれ、下端が吐出容器に対して装着可能に開口した筒部が形成されており、
重なり予定部同士を重ね合わせるための山折り線と谷折り線とが、天面部の外縁に沿って等間隔に設けられた複数の起点からそれぞれ側面部の先端側に向かって延びることで、山折り線と谷折り線とが周方向に交互に配置されており、
側面部の外接円を、ある起点から延びる山折り線と谷折り線と、その谷折り線と周方向で隣接する、他の起点から延びる山折り線とで円弧状に区画したとき、同じ起点から延びる山折り線と谷折り線とで区画された円弧の長さが、互いに異なる起点から延びる2本の山折り線で区画された円弧の長さの35~50%とされている、吐出容器用紙製キャップ。
【請求項3】
重なり予定部同士を重ね合わせた重ね合わせ部が、筒部の上端から下端に向かって旋回している、請求項1又は2記載の吐出容器用紙製キャップ。
【請求項4】
天面部が8~16の角を備えた多角形である、請求項1~3のいずれかに記載の吐出容器用紙製キャップ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの吐出容器用紙製キャップを吐出容器に装着した上でシュリンクフィルムによって包装した、吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器の操作部を覆う紙製キャップとその紙製キャップを用いた吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エアゾールの噴射ボタンを保護するキャップとして、プラスチック製のキャップの代わりに、板紙を使用したキャップを用いることが開示されている。特許文献2には、1枚の紙を折り畳むことでカップ状に成形された紙容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-238932号公報
【特許文献2】特開2002-2669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、坪量80~670g/mの板紙を基材とすることが記載されているが、坪量が小さい場合、基材のみでキャップとして必要な強度を確保することは困難である。特許文献2は、内部に食べ物や飲み物を入れ易いように底面から開口部に向かって径が大きくなっているが、底部に対して開口部の径が大きくなりすぎると、軸方向に力が加わった際に開口部がさらに拡がるようにして潰れやすく、強度が低い。
【0005】
本発明は、紙製の基材で必要な強度を発揮することができるキャップと、そのキャップを用いた吐出製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出容器用紙製キャップ10は、天面部11と、天面部11から延出された側面部A0とを備えた1枚の紙製シートSからなり、側面部A0が複数の重なり予定部A1~A3を有し、重なり予定部A1~A3同士が側面部A0の基端側から先端側にかけて重なることで、上端が天面部11によって塞がれ、下端が吐出容器1に対して装着可能に開口した筒部12が形成されており、筒部12の下端の外径R2に対する筒部12の上端の外径R1の比(R1/R2)が、0.80~1.80であることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の吐出容器用紙製キャップ10は、天面部11と、天面部11から延出された側面部A0とを備えた1枚の紙製シートSからなり、側面部A0が複数の重なり予定部A1~A3を有し、重なり予定部A1~A3同士が側面部A0の基端側から先端側にかけて重なることで、上端が天面部11によって塞がれ、下端が吐出容器1に対して装着可能に開口した筒部12が形成されており、重なり予定部A1~A3同士を重ね合わせるための山折り線(L2)と谷折り線(L3)とが、天面部11の外縁に沿って等間隔に設けられた複数の起点(角P)からそれぞれ側面部A0の先端側に向かって延びることで、山折り線(L2)と谷折り線(L3)とが周方向に交互に配置されており、側面部A0の外接円Dを、ある起点(P)から延びる山折り線(L2)と谷折り線(L3)と、その谷折り線(L3)と周方向で隣接する、他の起点(P)から延びる山折り線(L2)とで円弧状に区画したとき、同じ起点(P)から延びる山折り線(L2)と谷折り線(L3)とで区画された円弧AC23の長さL23が、互いに異なる起点(P)から延びる2本の山折り線(L2)で区画された円弧AC25の長さL25の35~50%とされていることを特徴としている。
【0008】
上記吐出容器用紙製キャップ10は、重なり予定部A1~A3同士を重ね合わせた重ね合わせ部13が、筒部12の上端から下端に向かって旋回していることが好ましい。また、天面部11が8~16の角Pを備えた多角形であることが好ましい。
【0009】
本発明の吐出製品は、上記吐出容器用紙製キャップを吐出容器に装着した上でシュリンクフィルムFによって包装していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吐出容器用紙製キャップは、重なり予定部同士が側面部の基端側から先端側にかけて重なることで筒部が形成されているため、重なり合った部分の強度が高く、また、筒部の下端の外径に対する筒部の上端の外径の比(R1/R2)が、0.80~1.80とされているため、吐出容器用のキャップに必要な軸方向の耐荷重の力が加わっても下端が開くようにして潰れることは無く、紙製の基材で必要な強度を発揮することができる。
【0011】
また、側面部A0の外接円を、ある起点から延びる山折り線と谷折り線と、その谷折り線と周方向で隣接する、他の起点から延びる山折り線とで円弧状に区画したとき、同じ起点から延びる山折り線と谷折り線とで区画された円弧の長さが、違う起点から延びる2本の山折り線で区画された円弧の長さの35~50%とされている場合、重なり予定部の幅を十分に確保できることから、紙製の基材で吐出容器用のキャップに必要な強度を発揮することができる。
【0012】
重なり予定部同士を重ね合わせた重ね合わせ部が、筒部の上端から下端に向かって旋回している場合、重ね合わせ部が不規則に設けられた場合に比べて強度が増す。また、天面部が8~16の角を備えた多角形である場合、重ね合わせ部の数が極端に多くならないため、製造が容易である。
【0013】
本発明の吐出製品は、包装方法として多用されるシュリンクフィルムによって、紙製キャップの径外方向への広がりを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の吐出容器用紙製キャップの斜視図である。
図2】吐出容器への紙製キャップの取り付け過程を示す一部断面側面図である。
図3図3Aは紙製キャップの展開図、図3Bはその展開図の一部拡大図である。
図4】紙製キャップの作成過程を示す平面図である。
図5】紙製キャップを下から見上げた図である。
図6図5の筒部の下端部を拡大した図である。
図7】他の紙製キャップを吐出容器へ取り付けた状態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吐出容器用紙製キャップ10は、図1及び図2に示すように、天面部11と、天面部11の外周から下方に向かって延びる筒部12とを備えている。筒部12は、筒部12の下端の外径R2に対する筒部12の上端の外径R1の比(R1/R2)が0.80~1.80、好ましくは、0.85~1.70とされている。R1/R2が0.80~1.80である場合、吐出容器用のキャップに必要な軸方向の耐荷重が得られやすい。なお、R1/R2が1のとき、筒部12の外径は上端から下端まで同一となり、R1/R2が1より大きいときは、上端から下端に向かって窄まるテーパ状となり、R1/R2が1より小さいときは、上端から下端に向かって拡がるテーパ状となる。
【0016】
この吐出容器用紙製キャップ10は、図3Aに示すように、天面部11と、天面部11から径外方向に延出された側面部A0とを備えた1枚の紙製シートSからなり、側面部A0を折り畳むことで筒部12が形成されている。天面部11が折り畳まれることはない。
【0017】
天面部11は、8~16の角Pを備えた多角形である。内角がすべて等しい正多角形であることが好ましい。図3Aにおいて、天面部11は正12角形である。また、天面部11の外接円(図示しない)の径と、側面部A0の外接円Dの径は、1:4の関係とされている。なお、1:2~8の範囲で適宜変更可能である。
【0018】
天面部11の角Pを起点として、側面部A0の基端側から先端側に向かって5つの線が延びている。具体的には、天面部11の中心点Cから角Pまでを結ぶ線L0との角度が1番大きい第1線L1と、2番目に大きい第2線L2と、3番目に大きい第3線L3と、4番目に大きい第4線L4と、5番目に大きい(最も角度が小さい)第5線L5とを備えている。筒部12を形成するには、第2線L2と第3線L3とを折り目線とする。具体的には、一方(例えば第2線L2)を山折り線とし、他方(例えば第3線L3)を谷折り線とする。第1線L1と第4線L4と第5線L5は折り目線ではない。第1線L1は、第3線L3と紙製シートSの表面(筒部12を形成した時に外側となる面)で重なる線であり、第4線L4は第2線L2と紙製シートSの裏面(筒部12を形成した時に内側となる面)で重なる線である。第5線L5は、側面部A0の外接円Dを区切るための仮想線であり、折り目線にはならず、また他の線と重なることもない。
【0019】
上記5つの線のうち、4つの線L1~L4によって側面部A0が区画されている。具体的には、第1線L1と第2線L2とによって第1の重なり予定部A1が区画されている。また、第2線L2と第3線L3とによって第2の重なり予定部A2が区画されている。さらに、第3線L3と第4線L4とによって第3の重なり予定部A3が区画されている。なお、筒部12を形成した時、第1の重なり予定部A1と第2の重なり予定部A2とは、表面同士が重なり合い、第2の重なり予定部A2と第3の重なり予定部A3とは、裏面同士が重なり合う。
【0020】
5つの線L1~L5は、天面部11の外縁に沿って等間隔に設けられた全ての角Pから延びている。ただし、図3Aにおいては、図の複雑化を避けるために第1線L1と第4線L4と第5線L5については一部を除いて省略している。第1の重なり予定部A1と、第2の重なり予定部A2と、第3の重なり予定部A3とは、角P毎にそれぞれ設けられている。また、第4線L4と、その第4線L4の基点となる角Pと周方向に隣接する角Pから延びる第2線L2とによって、同じ角Pに設けられた各重なり予定部A1~A3を折り畳んでも、これらとは重なり合わない部分が区画されている。また、第4線L4と、その第4線L4の基点となる角Pと周方向に隣接する角Pから延びる第1線L1とによって、全ての角Pの各重なり予定部A1~A3を折り畳んでもシート同士が重なり合うことのない非重なり部A4が区画されている(図3Aの左側参照)。この非重なり部A4についても角P毎に設けられている。従って、天面部11の中心点Cから見れば、周方向に第1の重なり予定部A1、第2の重なり予定部A2、第3の重なり予定部A3、非重なり部A4の順に繰り返し連続していることになる。換言すれば、重なり予定部A1~A3と非重なり部A4とが周方向に交互に連続しているともいえる。
【0021】
第1線L1と第2線L2とが成す角α1と、第2線L2と第3線L3とが成す角α2と、第3線L3と第4線L4とが成す角α3は全て等しい。具体的に各角度は10~20度である。この角度が増えるほど、上端の外径R1/下端の外径R2の値が大きくなる傾向にある。また、第2線L2と天面部11の辺Eとが成す角α4は50~90度とされている。
【0022】
側面部A0の外縁の平面形状は、図3Bに示すように、第2線L2と接する箇所を頂点P1とし、第3線L3と接する箇所を谷底P2とする歯車状または丸鋸状とされている。そして、側面部A0の外接円Dは、周方向に等間隔に設けられた各頂点P1と接している。この外接円Dは、上記5つの線のうち、第2線L2と第3線L3と第4線L4と第5線L5で円弧状に区画されている。なお、第2線L2と第5線L5は共に頂点P1を通る線である。従って、各線L1~L5の起点となる角Pから延びる第2線L2と第3線L3と第4線L4と、その角Pと周方向で隣接する角Pから延びる第2線L2とで外接円Dが円弧状に区画されているとも言える。
【0023】
図3Aに示すように、第2線L2を山折り線とし、第3線L3を谷折り線とした場合、山折り線と谷折り線は周方向に交互に配置されている。そして、ある起点(角P)から延びる山折り線L2と谷折り線L3と、その谷折り線L3と周方向で隣接する、他の起点(角P)から延びる山折り線L2とで、図3Bに示すように外接円Dを円弧状に区画したとき、同じ角Pから延びる山折り線L2と谷折り線L3とで区画された円弧AC23の長さL23が、違う角Pから延びる2本の山折り線L2、L2で区画された円弧AC25の長さL25の35~50%とされている。なお、天面部11の外接円の径:外接円Dの径が1:4のときは、上記比率が40%の場合、キャップのR1/R2は1となり、50%ではR1/R2は1.5となり、キャップに必要な軸方向の耐荷重が得られやすい。
耐荷重としては、40N以上が好ましく、50N以上がより好ましい。
【0024】
紙製シートSは坪量100~300g/mの紙を基材としている。耐水性や耐候性を付加するために、基材に合成樹脂を含浸させたり、基材を合成樹脂のシートで覆っていてもよい。紙の厚さは、0.15~0.4mmであり、紙質は、特に限定はなく、普通紙、インクジェット紙、クラフト紙、ボール紙等である。また、紙には、炭酸カルシウムなどの無機物を紙として識別表示できる範囲で含有してもよい。
【0025】
筒部12を形成するには、上記構成の紙製シートSの側面部A0を、第2線L2を裏面から見て山折りにし(第2線L2が筒部12の内側に入るように折り)、第3線L3と辺Eとを裏面から見て谷折りにして(第3線L3と辺Eとが筒部12の外側に出るように折り)、さらに第2線L2を第4線L4に向かって倒し、互いを重ねるようにして折る。なお、図4については、折り畳みの途中段階を示しており、時計回りの方向で第2線L2と隣接する湾曲部は折り目にはならない。湾曲部が延びるまで第2線L2を第4線L4に倒しきると、第1線L1が第3線L3と重なる(図6参照)。このようにして折ることで、第1の重なり予定部A1の外側に第2の重なり予定部A2が重なり、第2の重なり予定部A2の外側に第3の重なり予定部A3が重なる重ね合わせ部13が形成される。換言すれば、重なり予定部A1~A3が側面部A0の基端側から先端側にかけて重なる。全ての角Pについて同様に折り畳んでいくと、上端が天面部11によって塞がれ、下端が開口した筒部12が形成される。また、重ね合わせ部13は、筒部12の上端から下端に向かって旋回する螺旋状となる。この状態は、図1に示すように、重ね合わせ部13の端部に位置する第3線L3が螺旋状になっているともいえる。
【0026】
上記構成の吐出容器用紙製キャップ10は、図2に示すように、ステム2に押しボタン(操作部)3が取り付けられた吐出容器1に被せられる。具体的には、押しボタン3を上から覆うことで、意図せず押しボタン3が押し込まれたり、傾倒したりすることを防止する保護キャップとして使用する。図2では、吐出容器1の容器本体4とマウンテンキャップ5との固定部(ビード部)6よりも内側に紙製キャップ10の下端が位置しているが、容器本体4の略テーパ状の肩部7や円筒状の胴部8までを覆うようにしてもよい。例えば、紙製キャップ10のR1/R2を1以上として、紙製キャップ10の内面と胴部8の外面とを嵌合(摩擦により固定)させてもよい。また、図7のように、容器本体4の胴部8に、上側(キャップ装着側)の嵌合円筒部8aと、嵌合円筒部8aの下端に続く、嵌合円筒部8aよりも大径とされた円筒部8bとを設け、紙製キャップ10の下端を円筒部8b(段差)に当接させてもよい。さらに、当接を確実なものとするため、嵌合円筒部8aと円筒部8bとの間に溝部8cを設けてもよい。
【0027】
また、紙製キャップ10を吐出容器1に装着してなる吐出製品9をシュリンクフィルムF(加熱することによって収縮し、紙製キャップ10や吐出容器1の表面に密着するフィルム)によって包装すれば、吐出容器1からの紙製キャップ10の外れを防止できるとともに、紙製キャップ10に軸方向力が加わった際に生じやすい、筒部12の下端の広がりを規制することができ、衝撃が加わりやすい製品の輸送過程においても確実に操作部3を保護することができる。
【0028】
[載荷試験]
下記の表に示す紙製シートを用いて、紙キャップを作製した。作製した紙キャップの寸法を測定し、押し下げ荷重(耐荷重)を測定した。なお、耐荷重とは図2に示すように、アルミ製容器本体にバルブをクリンプした吐出容器の固定部(ビード部)の内側に作製した紙キャップを乗せ、キャップの天面部の上から直径30mmの円板を50mm/minの速さで5mm押し下げた場合の荷重である。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように、実施例1~6では、耐荷重が40Nを超えていた。また、実施例1の紙キャップは、筒部がくびれており、吐出容器に装着するとくびれがビード部近辺であるため安定感があった。一方で、比較例1については、耐荷重が38Nで40Nより小さな荷重であった。なお、比較例1は、長さL23が長さL25の33.3%である。33.3%以下の場合、ある任意の角Pの第2の重なり予定部A2は、その角Pと周方向で隣接する角Pの第2の重なり予定部A2と重なり合わない。換言すれば、重ね合わせ部13は最大3枚しか重なり合わない。一方で33.3%を超えると、重ね合わせ部13は図6に示すように例えば5枚重なることになるため、紙製の基材でキャップとして使用するに十分な強度を確保することができると考えられる。
【0031】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、第2線L2を谷折りにし、第3線L3を山折りとしてもよい。また、側面部A0の外縁の平面形状は、歯車状や丸鋸状に限らず、種々の形状を採用し得る。ただし、外接円Dが中心点Cを中心とする真円となる形状が好ましい。また折り畳んだ際に、筒部12の下端がまっすぐになるように、換言すれば各重なり予定部A1~A3の外縁が互いに重なり合うように、外縁を直線ではなく円弧状にしてもよい。天面部11についても、正多角形に限らず真円であってもよい。また、紙キャップの側面や裏側になる部分の紙製シートに印刷することで、POPシールや能書等の代わりにすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 吐出容器
2 ステム
3 押しボタン(操作部)
4 容器本体
5 マウンテンキャップ
6 固定部(ビード部)
7 肩部
8 胴部
8a 嵌合円筒部
8b 円筒部
8c 溝部
9 吐出製品
F シュリンクフィルム
10 吐出容器用紙製キャップ
11 天面部
P 角
E 辺
C 中心点
12 筒部
R1 筒部の上端の外径
R2 筒部の下端の外径
13 重ね合わせ部
S 紙製シート
A0 側面部
A1 第1の重なり予定部
A2 第2の重なり予定部
A3 第3の重なり予定部
A4 非重なり部
D 外接円
L0 天面部の中心点から角までを結ぶ線
L1 第1線
L2 第2線
L3 第3線
L4 第4線
α1 第1線と第2線とが成す角
α2 第2線と第3線とが成す角
α3 第3線と第4線とが成す角
α4 第2線と天面部の辺とが成す角
P1 頂点
P2 谷底
AC23 第2線と第3線とで区画された円弧
AC25 第2線と第5線とで区画された円弧
L23 第2線と第3線とで区画された円弧の長さ
L25 第2線と第5線とで区画された円弧の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7