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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127437
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ロール体管理装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031236
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 映登
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB08
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE15
3F522FF02
3F522FF12
3F522FF27
3F522GG03
3F522GG17
3F522GG22
3F522GG44
3F522HH02
3F522LL02
(57)【要約】
【課題】ロール体に付されたRFIDタグを用いて、保管区域内に保管したロール体の保管区域内での位置を管理する。
【解決手段】RFIDタグ120が付されたロール紙200を保管区域内に保管する際に、第1のRFIDリーダ193で識別符号を読み取り、データベース160に保管位置を識別符号と対応付けて記憶する。ロール紙200の使用時は、搬送手段(無人フォークリフト190及び移送体460)により所定の配置位置まで搬送する。配置位置に配置されている第2のRFIDリーダ20で識別符号を読み取り、照合部70が配置位置に配置されるべきロール体の正しい種類と照合して照合結果を出力する。判定出力部80が照合結果に応じて、配置位置のロール紙200の種類の適否を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグが付された長尺でシート状の材料がロール状に巻かれたロール体を保管区域内に保管する際に、前記RFIDタグから前記ロール体を特定する識別符号を読み取る第1のRFIDリーダと、
前記ロール体の前記保管区域内における保管位置と前記第1のRFIDリーダが読み取った該ロール体の前記識別符号とを対応付けて記憶する情報記憶部と、
前記保管区域内に保管された前記ロール体を、前記情報記憶部に記憶された前記ロール体の前記保管位置から、所定の配置位置まで搬送する搬送手段と、
前記配置位置に配置されている前記ロール体に付された前記RFIDタグから前記識別符号を読み取る第2のRFIDリーダと、
前記配置位置に配置されるべきロール体の正しい種類を取得し、取得した前記正しい種類と前記第2のRFIDリーダにより読み取られた前記配置位置の前記ロール体の前記識別符号に対応した種類とを照合して照合結果を出力する照合部と、
前記照合結果に応じて、前記配置位置のロール体の種類の適否を出力する判定出力部と、を備えたロール体管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロール体管理装置において、
前記保管区域内を予めマッピングし、保管区域マップを作成するマッピング手段をさらに備え、
前記保管位置情報は、前記保管区域マップ上の位置を示す情報である、
ことを特徴とするロール体管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のロール体管理装置において、
前記配置位置は、前記ロール体から前記材料を巻き解いて使用する処理装置におけるセット位置である、または、前記セット位置の前の待機位置である、
ことを特徴とするロール体管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロール体管理装置において、
前記ロール体が、前記材料として段ボール原紙がロール状に巻かれたロール紙であり、
前記処理装置が、前記段ボール原紙を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシンである、
ことを特徴とするロール体管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のロール体管理装置において、
前記材料の残量または使用量を取得する残量取得部をさらに備え、
前記情報記憶部は、前記残量取得部が取得した前記材料の残量または使用量と、前記第2のRFIDリーダが読み取った該ロール体の前記識別符号とを対応付けて記憶する
ことを特徴とするロール体管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートは、コルゲートマシンによって、段ボール原紙((表)ライナ(平ら)、中しん(波形)、(裏)ライナ(平ら))を貼り合わせることで製造される。段ボール原紙は、ロール状に巻かれたロール紙に形成されている。ロール紙は、段ボールシートを製造する際に、コルゲートマシンの所定の位置にセットされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ロール紙は、入庫されると、一旦は倉庫等の保管区域に保管される。ロール紙の使用時には保管区域から搬出されてコルゲートマシンにセットされる。使用後、残量がある場合には、再度保管区域にて保管される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-096311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保管区域内には多数のロール紙が保管される。従来、保管区域内に保管されているロール紙の中から所望のロール紙を探し出すには、ロール紙に貼り付けられている識別票を用いてロール紙を特定する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、ロール体に付されたRFIDタグを用いて、保管区域内に保管したロール体の保管区域内での位置を管理するロール体管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のロール体管理装置は、RFIDタグが付された長尺でシート状の材料がロール状に巻かれたロール体を保管区域内に保管する際に、前記RFIDタグから前記ロール体を特定する識別符号を読み取る第1のRFIDリーダと、前記ロール体の前記保管区域内における保管位置と前記第1のRFIDリーダが読み取った該ロール体の前記識別符号とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記保管区域内に保管された前記ロール体を、前記情報記憶部に記憶された前記ロール体の前記保管位置から、所定の配置位置まで搬送する搬送手段と、前記配置位置に配置されている前記ロール体に付された前記RFIDタグから前記識別符号を読み取る第2のRFIDリーダと、前記配置位置に配置されるべきロール体の正しい種類を取得し、取得した前記正しい種類と前記第2のRFIDリーダにより読み取られた前記配置位置の前記ロール体の前記識別符号に対応した種類とを照合して照合結果を出力する照合部と、前記照合結果に応じて、前記配置位置のロール体の種類の適否を出力する判定出力部と、を備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロール体に付されたRFIDタグを用いて、保管区域内に保管したロール体の保管区域内での位置を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るロール紙の残量管理システム及びロール紙の判定装置を含むロール紙の管理システムを示す模式図である。
図2図1のロール紙の管理システムが管理の対象とするロール紙を示す図である。
図3図1に示したロール紙の管理システムの全般動作を示すフローチャートである。
図4】RFIDラベル(ロール体管理用RFIDタグ)の一例を示す図である。
図5】ロール紙にRFIDラベルを貼り付けた状態を示す図である。
図6】ロール紙にRFIDラベルを貼り付けた場合の通信距離の測定結果である。
図7】無人フォークリフトの構成を示す図である。
図8】具体的なデータベースの一例を示す図である。
図9】残量検出装置の構成を示すブロック図である。
図10】所定位置にセットされたロール紙を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン(処理装置の一例)も一部を示す模式図である。
図11】実施形態のロール紙の判定装置の構成を示すブロック図である。
図12】判定装置がコルゲートマシンの所定位置にセットされたロール紙と同じ搬送経路上の待機位置に配置された予備のロール紙に近接して配置された状態を模式的に示した図である。
図13】各判定装置と無線又は有線で接続され、すべての待機位置に配置された予備のロール紙についての、「正」又は「誤」の判定を一覧でモニタに表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るロール体管理装置の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るロール紙200の残量管理システム300(後述の図9参照)、ロール紙200の判定装置60(保管区域内でのロール紙200の保管に残量管理システム300及び判定装置60を加えて、「ロール体管理装置」とも称する)を含むロール紙200の管理システムを示す模式図である。図2は、図1のロール紙200の管理システムが管理の対象とするロール紙200を示す斜視図、図3図1に示したロール紙200の管理システムの全般動作を示すフローチャートである。
【0011】
図示のロール紙200(ロール体の一例)の管理システムは、バーコードリーダ130と、RFIDラベル発行機140と、サーバ150(管理装置の一例)と、在庫管理用のRFIDリーダ180と、残量検出装置10と、判定装置60と、を備えている。
【0012】
ロール紙200は、一例として、段ボールシートの製造のためにコルゲートマシンにセットして使用される、長尺のシート状の段ボール原紙202(図2参照)がロール状に巻かれたものである。
【0013】
ロール紙200は、図2に示すように、直径方向の中心部に、紙管と呼ばれる管状芯により軸方向に延びた中空の空洞201が形成されていて、この空洞201の軸方の両端には、円筒状の補強筒203(口金)がそれぞれ設けられている。補強筒203は、例えば金属材料で形成されていて、後述するコルゲートマシン400の支軸が挿入されたとき(いわゆるチャッキング)、空洞201の周囲の段ボール原紙202が変形するのを防止するために設けられている。
【0014】
バーコードリーダ130は、バーコードラベル110に記載されたバーコードを光学的に読み取って、そのバーコードに対応してバーコードリーダ130に記憶された段ボール原紙202の仕様(段ボール原紙202の厚さ、長さ、紙の種類等)に関する情報(仕様情報)を参照し、参照した仕様情報を外部に出力する。
【0015】
本実施形態においては、ロール紙200が新たに入庫(初回入庫)してきたとき(図3のフローチャートのステップ1(S1)においてYES)は、ロール紙200に貼付されたバーコードラベル110のバーコードを読み取り(図3においてS2)、そのバーコードに対応した仕様情報を、RFIDラベル発行機140に出力する。
【0016】
なお、バーコードに対応した段ボール原紙202の仕様情報は、バーコードリーダ130自体が記憶していなくてもよく、サーバ150等の外部から取得するものであってもよい。
【0017】
RFIDラベル発行機140は、バーコードリーダ130から入力されたバーコードに対応した識別符号(ID)を記憶したICチップを有するRFIDラベル120(RFIDタグ)を発行する(図3においてS3)。RFIDラベル発行機140により発行されたRFIDラベル120は、作業者の手によって手動で、又はロボットにより自動で、入庫したロール紙200に貼付される。RFIDラベル120が貼付されたロール紙200は、所定の保管区域に移送されて保管される。
【0018】
なお、RFIDラベル120の発行及び貼り付けは、ロール紙200の製造段階で行われるものでもよい。
【0019】
(RFIDラベル)
図4は、本実施の形態のRFIDラベル120(ロール体管理用RFIDタグ)の一例を示す図である。RFIDラベル120は、UHF帯の周波数(例えば、920MHz)を使用してRFIDリーダと信号の送受信を行う、電波方式で信号を送受信するものである。
【0020】
RFIDラベル120は、基材層121、アンテナ部122及びICチップ123を有するインレイ124と、接着層125と、紙層126を備えている。
【0021】
基材層121は、絶縁性の樹脂製フィルムにより形成されている。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂製フィルムを単独、又はこれらの樹脂製フィルムを複数積層してなる多層フィルム等である。基材層121は、アンテナ部及びICチップ123が設けられる本体部121Aと、折り曲げ部121Bを介して端部に設けられた位置合わせ部121Cを有している。
【0022】
アンテナ部122は、信号を送受信するための平面アンテナであり、基材層121の本体部121A上に設けられ、金属薄膜によって形成されている。金属薄膜の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)製のシート(アルミシート)が好適に挙げられるが、これに限定されない。例えば、PETフィルムからなる基材層121上に、アルミシートをドライラミネート等で貼り付けることで、アンテナ部122を形成することができる。アンテナ部122は基材層121の折り曲げ部121B及び位置合わせ部121Cには配置されていない。そのため、折り曲げ部121Bが折り曲げしやすく、金属の折り曲げに対する復元する力が生じないため剥がれにくくなっている。
【0023】
アンテナ部122は矩形状であり、第1領域122aと、第2領域122bと、第3領域122cと、スロット部122d、ループ部122eとを有している。第1領域122aは、基材層121の折り曲げ部121B寄りの位置に存在する領域である。第2領域122bは、第1領域122aと第3領域122cをつなぐ領域であり、長手方向に沿って延びている。第3領域122cは、第1領域122aよりも長手方向の寸法が短くなっている。スロット部122dは、第2領域122bに沿って延びている。ループ部122eは、ICチップ123が接続される一対のアーム部122f,122fを有し、一対のアーム部122f,122f及びICチップ123により環状に形成されている。第1領域122aから延びる第1領域122a以外の領域(第2領域122b、第3領域122c、スロット部122d及びループ部122eを含むICチップ123が接続された領域)を残部領域とも呼ぶ。
【0024】
ICチップ123は、ループ部122eの一対のアーム部122f,122fにおいてアンテナ部122と電気的に接続されており、ロール体を特定する識別符号などの様々な情報が記憶されている。また、ICチップ123には、所定の演算処理機能等が搭載され、アンテナ部122から入力された信号に含まれる命令に基づいて演算処理を実行し、その処理結果をアンテナ部122に出力する。アンテナ部122は、ICチップ123から入力された処理結果を含む信号をRFIDリーダに送信する。
【0025】
接着層125は、基材層121のアンテナ部及びICチップ123が設けられている面の裏面に設けられている。接着層125は、接着前は剥離紙(図示せず)により保護されており、使用時に剥離紙を剥がして接着層125を露出させて使用する。
【0026】
紙層126は、アンテナ部122及びICチップ123を挟んで、本体部121Aから位置合わせ部121Cまでの基材層121上に設けられている。紙層126により、RFIDラベル120は、文字を印字可能になっている。本実施の形態では、本体部121Aに位置する紙層126と、位置合わせ部121Cに位置する紙層126のそれぞれにロール紙200を識別するための識別情報やロール紙200の種類を文字で印字可能になっている。本体部121Aに位置する紙層126は印字可能領域が大きいため、主に、ロール紙200に貼り付ける前に参照される部分となる。これに対して、位置合わせ部121Cに位置する紙層126は印字可能領域が小さいが、後述のように、主に、ロール紙200に貼り付けた後に参照される部分となる(図5参照)。なお、図4においては、アンテナ部122及びICチップ123を図示する都合上、紙層126については、透過した状態にて図示してある。
【0027】
図5は、ロール紙200にRFIDラベル120を貼り付けた状態を示す図である。図5に示したように、RFIDラベル120は、管状芯の端面(より具体的には、補強筒203(口金)の端面)と空洞201の境界部分に基材層121の折り曲げ部121Bを位置させて、位置合わせ部121Cを管状芯の端面(補強筒203の端面)に貼り付け、且つ、空洞201内に基材層121の本体部121Aを貼り付ける。このように貼り付けることで、RFIDラベル120は、アンテナ部122の一部(本例では、第1領域122aの少なくとも一部)が補強筒203(口金)に重なって接触するようになり、且つ、ICチップ123が補強筒203(口金)上に配置されないようになっている。すなわち、RFIDラベル120は、金属製の補強筒203(口金)と電気的に接続し、補強筒203(口金)をアンテナの一部として利用することで周波数特性を調整してある。また、補強筒203(口金)とアンテナ部122の第1領域122aが電気的に接続しているため、チャッキングにより第1領域122aが部分的に破損したとしても、RFIDリーダとの通信に支障がない。また、ICチップ123が補強筒203(口金)上に配置されていないため、チャッキングによりICチップ123が破損することがない。そのため、ICチップ123の破損による通信異常が生じにくい。さらに、図5に示すように、管状芯の端面(補強筒203の端面)にRFIDラベル120の位置合わせ部121Cが貼り付けられることから、位置合わせ部121C上に位置する紙層126に印字された識別情報の目視が容易になっている。
【0028】
図6は、ロール紙200にRFIDラベル120を貼り付けた場合の通信距離の測定結果である。測定は、Voyantic社製のRFIDタグ・ラベル性能検査装置「Tagformance」を用いて行った。図6のグラフは、横軸が周波数[MHz]であり、縦軸が通信距離(Theoretical read range forward)[m]である。図6の(A)は、RFIDラベル120を貼り付けたロール紙200の端面側(鏡面)から測定した測定結果であり、(B)は、RFIDラベル120を貼り付けたロール紙200の側面側(胴面)から測定した測定結果である。図6の(A)及び(B)共に、実線が、上記の通り補強筒203(口金)にRFIDラベル120を貼り付けた場合の測定結果であり、破線が、比較例として、補強筒を有さない管状芯にRFIDラベル120を貼り付けた場合の測定結果である。図6に示すように、本実施の形態のRFIDラベル120は、補強筒203(口金)に貼り付けることで、測定した全ての周波数において通信距離が延びることがわかる。
【0029】
RFIDラベル発行機140は、発行したRFIDラベル120のICチップ123に記憶されている識別符号と、バーコード又は外部から取得した段ボール原紙202の仕様情報をサーバ150に出力する。
【0030】
管理装置の一例であるサーバ150は、データベース160(情報記憶部)と、更新部170と、を備えている。データベース160は、RFIDラベル発行機140から入力された識別符号(ID)と、段ボール原紙202の仕様情報や在庫情報等の各種情報と、を対応付けて記憶していて、更新部170は、上述の入庫してきたロール紙200の識別符号と仕様情報とを対応付けてデータベース160に登録する(図3におけるS4)。
【0031】
(保管区域内での管理)
本実施の形態では、ロール紙200は、図7に示した無人フォークリフト190により保管区域に移送される。無人フォークリフト190は、マッピング手段191を有しており、保管区域内を予めマッピングして、保管区域マップを作成してマップ情報記憶部192に記憶している。また、無人フォークリフト190は、RFIDリーダ193(第1のRFIDリーダ)を有しており、ロール紙200を移送して保管区域内に保管する際に、RFIDラベル120からロール紙200を特定する識別符号を読み取り、ロール紙200の保管区域内における保管位置とRFIDリーダ193が読み取った該ロール紙200の識別符号とを対応付けて出力部194からサーバ150に出力し、データベース160を更新する(図3におけるS5)。
【0032】
なお、上記無人フォークリフト190は一例にすぎず、ロール紙200の移送は、有人のフォークリフト等の他の搬送装置を用いて行ってもよいのはもちろんである。また、搬送装置自体が保管区域内のマップを記憶していなくてもよく、サーバ150に保管区域内のマップを記憶しておき、それを取得して利用してもよい。また、搬送装置自体がRFIDリーダを有していなくてもよく、搬送装置と同行する作業者がモバイルのRFIDリーダを携行して、保管時にRFIDラベル120を読み取るようにしてもよい。また、保管区域の出入り口にゲートタイプのRFIDリーダを設けて、ロール紙200の入出庫管理を行っても良い。この場合には、予め定めた保管位置とロール紙200の識別情報を対応付けて出力部194からサーバ150に出力してデータベース160を更新することで、無人フォークリフトのRFIDリーダを省略することも可能である。
【0033】
(データベース)
図8は具体的なデータベース160の一例を示す図である。具体的なデータベース160の一例は、図8に示すように、仕様情報の一例としての紙種別、初回入庫日、最終使用日、残量(残っている長さ)及び在庫情報の一例としての保管区域及び保管位置が、識別符号に対応づけられたものである。なお、データベース160の具体的な内容は、図8に示した例に限定されない。
【0034】
更新部170は、データベース160に記憶されている段ボール原紙202の仕様情報における長さを、後述する残量検出装置10から出力されたロール紙200における段ボール原紙202の残量に書き換えたり、在庫情報を書き換えたりして、情報を更新する。
【0035】
データベース160の在庫情報の更新は、後述の在庫管理用のRFIDリーダ180により、保管区域に在庫しているロール紙200のRFIDラベル120を読み取ってサーバ150に照会した際(図3におけるS6)に更新される(図3におけるS7)。
【0036】
(RFIDリーダ)
在庫管理用のRFIDリーダ180は、入庫して倉庫等の保管区域に在庫している多数のロール紙200(例えば、ロール紙210,220,…,280)のそれぞれに付されたRFIDラベル120から識別符号を読み取って、サーバ150のデータベース160と照合等し、ロール紙200の有無等の在庫情報の管理(データベースにおける保管区域の登録、更新)に供される。
【0037】
RFIDリーダ180は、RFIDラベル120に非接触で、RFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を読み取ることができるため、バーコードリーダのように、倉庫の中で保管されている個々のロール紙200に近接する必要がない。
【0038】
すなわち、ある程度の範囲の空間に存在している複数個のRFIDラベル120の識別符号をほぼ同時に一度で読み取ることができる。ある程度の範囲は、RFIDリーダ180とRFIDラベル120との間で交信することができる距離の範囲であり、ある程度の範囲においては、RFIDリーダ180がRFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を非接触で読み取ることができる。
【0039】
なお、ある程度の範囲は、RFIDリーダ180とRFIDラベル120との仕様や空間の状況(壁で仕切られている空間であるか、又は壁で仕切られていない解放された空間であるか、並びに、RFIDラベル120が付されたロール紙200同士の配置の粗密状況等)によって変化する。したがって、RFIDラベル120を用いた在庫管理は、倉庫におけるロール紙200の在庫管理に要する手間を大幅に低減することができる。
【0040】
(搬送手段)
保管区域に保管されたロール紙200は、無人フォークリフト190、及び、後述の図12に示す搬送経路450に沿って進む板状の移送体460を含む搬送手段によって、所定の配置位置まで搬送される。
【0041】
配置位置とは、段ボールシートを製造するコルゲートマシン400における、ロール紙200をセットするセット位置(後述の例では、具体的には所定位置410,420,430)、または、セット位置の前の待機位置(後述の例では、具体的には待機位置411)である。本実施の形態では、セット位置(所定位置410,420,430)及び待機位置(待機位置411)が存在するため、ロール紙200は、まずは待機位置411に搬送され、その後、所定位置410,420,430に搬送されることになる。
【0042】
サーバ150が有する生産計画(後述)に基づき、使用するロール紙200が指定されると、サーバ150は、データベース160に基づいて指定されたロール紙200の保管位置を特定し、無人フォークリフト190に搬出を指示する。指示を受けた無人フォークリフト190は、該ロール紙200を運び出し、移送体460まで運ぶ。そして、移送体460によって所定の配置位置まで搬送される。
【0043】
(残量検出装置、残量管理システム)
図9は残量検出装置10の構成を示すブロック図、図10は所定位置410,420,430(セット位置)にセットされたロール紙200を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン400(処理装置の一例)の一部を示す模式図である。
【0044】
残量検出装置10は、図9に示すように、RFIDリーダ20と、センサ30と、出力部40と、を備えている。残量検出装置10は、例えば、図10に示すように、ロール紙200から段ボール原紙202を巻き解いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン400における、ロール紙200をセットする所定位置410,420,430の近傍に配置される。残量検出装置10は、コルゲートマシン400とは別体に構成されている。
【0045】
ロール紙200の、所定位置410へのセットは、後述する図12に示すように、床に形成された、待機位置411を経由して所定位置410まで延びた搬送経路450に沿って進む板状の移送体460に、ロール紙200が載置され、ロール紙200を載置した移送体460が搬送経路450に沿って所定位置410まで進むことにより、ロール紙200を所定位置410にセットする。他の所定位置420,430へのロール紙200のセットも同様である。
【0046】
所定位置410,420,430の近傍に配置される範囲は、上述したRFIDリーダ180の場合と同様に、RFIDリーダ20とRFIDラベル120との仕様や空間の状況によって変化するが、各所定位置410,420,430に配置されたそれぞれのロール紙200のRFIDラベル120を読み取ることができる範囲である。
【0047】
つまり、所定位置410の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、送信される電波の向きや電場の強度が予め調整されて、所定位置410に配置されているロール紙200のRFIDラベル120と交信して、記憶されている識別符号等の情報を読み取り可能に設定されている。
【0048】
同様の設定により、所定位置420の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、所定位置420に配置されているロール紙200のRFIDラベル120の識別符号等の情報を読み取り可能で、所定位置430の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、所定位置430に配置されているロール紙200のRFIDラベル120の識別符号等の情報を読み取り可能である。
【0049】
センサ30は、所定位置410に配置されているロール紙200の段ボール原紙202の残量(残っている長さ)を非接触で検出する。センサ30は、例えば、レーザ光をロール紙200に照射してロール紙200の直径又は半径を検出する。センサ30は、検出した直径又は半径に基づいて、段ボール原紙202の残量を算出する演算部も備えている。
【0050】
センサ30の演算部は、具体的には、検出した直径又は半径と、段ボール原紙202の厚さと、に基づいて、残量を算出する。段ボール原紙202の厚さは、ロール紙200の仕様によって規定されているので、演算部が予め記憶していてもよいし、残量検出装置10が備えている出力部40によってサーバ150と交信し、サーバ150が備えているデータベース160に記憶されているロール紙200の仕様情報を取得してもよい。
【0051】
センサ30は、ロール紙200の段ボール原紙202の残量を検出するものであればよく、レーザ光を用いてロール紙200の直径や半径を検出するものに限定されない。したがって、レーザ光以外の方法で、ロール紙200の直径や半径を検出するものであってもよいし、ロール紙200の直径や半径とは異なる物理量を検出するものであってもよい。
【0052】
ロール紙200の直径や半径とは異なる物理量を検出するものとしては、例えば、コルゲートマシン400の稼働中におけるロール紙200からの段ボール原紙202の時間当たりの回転数(回転速度)である。コルゲートマシン400は、一定速度で段ボールシートを製造するため、ロール紙200を巻き解いて段ボール原紙202が繰り出される速度は一定である。
【0053】
段ボール原紙202の繰り出しにより回転するロール紙200の回転速度は、ロール紙200の直径又は半径によって規定される。つまり、ロール紙200は、直径又は半径が小さくなるにしたがって回転速度が速くなる。したがって、センサ30は、ロール紙200の回転速度を検出することにより、段ボールシートを製造する一定速度(段ボール原紙の繰り出し速度)との関係で、ロール紙200の段ボール原紙202に残量を検出することができる。
【0054】
なお、段ボールシートを製造する一定速度(段ボール原紙の繰り出し速度)は、コルゲートマシンを稼働させるときに予め取得可能であるため、センサ30の演算部が予め記憶しておけばよい。
【0055】
出力部40は、RFIDリーダ20により読み取られたロール紙200の識別符号とセンサ30により検出された段ボール原紙202の残量とを対応付けた情報として出力する。
【0056】
出力部40から出力されたロール紙200の識別符号と段ボール原紙202の残量とが対応付けられた情報は、サーバ150に入力される(図3おけるS8)。サーバ150は、その更新部170が、対応付けられた情報に基づいて、データベース160に記憶された情報のうち入力されたロール紙200の識別符号に対応するロール紙200を特定し、そのロール紙200の識別符号に対応する仕様情報の残量を、入力された段ボール原紙202の残量に書き換える(更新する;図3におけるS9)。使用後、残量があるロール紙200は、無人フォークリフト190により、保管区域に戻される。
【0057】
以上、詳細に説明したように、本実施形態のロール紙200の残量検出装置10は以下のように構成されている。すなわち、本実施形態のロール体(ロール紙200)の残量検出装置(残量検出装置10)は、長尺でシート状の材料(段ボール原紙202)がロール状に巻かれたロール体(ロール紙200)に付された、前記ロール体を特定する識別符号が記憶されたRFIDタグ(RFIDラベル120)から、前記識別符号を非接触で読み取るRFIDリーダ(RFIDリーダ20)と、前記材料の残量又は使用量を非接触で検出するセンサ(センサ30)と、前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記材料の残量とを対応付けて、又は前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記使用量とを対応付けて、ロール体ごとの材料の残量が記憶された管理装置(サーバ150)に出力する出力部(出力部40)と、を備えている。そして、残量検出装置10は、前記ロール体から前記材料を巻き解いて使用する処理装置(コルゲートマシン400)における、前記ロール体が配置される所定の位置(所定位置410,420,430)の近傍に配置される。
【0058】
この構成により本実施形態の残量検出装置10によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から残量を取得する必要がない。
【0059】
したがって、本実施形態の残量検出装置10は、コルゲートマシン400に依存せずに、ロール紙200における段ボール原紙の残量を自動的に取得して管理することができる。
【0060】
また、本実施形態の残量検出装置10におけるセンサ30は、ロール紙200に対して非接触で残量を検出するため、ロール紙200に接触して残量を検出するセンサのようにロール紙200に対する接触抵抗が無く、コルゲートマシン400の稼働に影響を与えることが無い。
【0061】
なお、センサ30は、ロール紙200に接触するものであってもよい。すなわち、センサ30が、例えば、段ボール原紙202に接触する従動ローラタイプの物であれば、従動ローラの周長と回転数とにより、段ボール原紙202の繰り出し長さ(=周長×回転数;使用量)を検出することができる。
【0062】
また、本実施形態の残量検出装置10とデータベース160を記憶したサーバ150とは、本発明の一実施形態であるロール紙200の残量管理システム300(図9参照)を構成している。すなわち、本実施形態のロール体の残量管理システム(残量管理システム300)は、ロール体(ロール紙200)に付されたRFIDタグ(RFIDラベル120)に記憶された、前記ロール体を特定する識別符号と前記ロール体における前記材料(段ボール原紙202)の残量とが対応付けられたデータベース(データベース160)を記憶した管理装置(サーバ150)と、本発明の残量検出装置(残量検出装置10)と、を備え、前記管理装置は、前記データベースにおける、前記識別符号のロール体に対応付けられた前記材料の残量を前記残量検出装置から入力された残量に書き換え、又は前記データベースに記憶されている前記材料の残量から前記残量検出装置から出力された使用量を差し引いて得られた残量に書き換える更新部(更新部170)を備えている。
【0063】
この構成により、本実施形態の残量管理システム300によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から残量を取得する必要がない。
【0064】
したがって、本実施形態の残量管理システム300は、コルゲートマシン400に依存せずに、ロール紙200における段ボール原紙の残量を自動的に取得して管理することができ、ロール紙の在庫管理の労力やコストを低減することができる。
【0065】
なお、上述の説明は、ロール紙200がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされたときの残量検出装置10の説明であるが、他の所定位置420,430にセットされたロール紙200に対する、他の残量検出装置10についても同様の構成で、同様の作用を奏する。
【0066】
また、本実施形態の残量検出装置10は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍に配置されたものであるが、本発明に係るロール体の残量検出装置及び残量管理システムの残量検出装置は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍に配置されたものに限定されない。
【0067】
すなわち、本発明に係るロール紙の残量検出装置及び残量管理システムの残量検出装置は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍にセンサ30及びRFIDリーダ20を配置し、所定位置410等から離れた位置に出力部40を配置し、センサ30及びRFIDリーダ20と出力部40とを、無線によって接続した構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態の残量検出装置10と、データベース160を記憶したサーバ150とを有する、本発明の一実施形態である残量管理システム300によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から取得する必要がない。
【0069】
本実施形態の残量検出装置10におけるセンサ30は、段ボール原紙202の残量を検出するものであるが、センサ30による検出する物理量としては、上述したロール紙200の半径又は直径やロール紙200の回転速度に限定されない。すなわち、センサ30は、ロール紙200から段ボール原紙202の、コルゲートマシン400により使用された長さ(使用量)を検出するものであってもよい。
【0070】
この場合、センサ30は、コルゲートマシン400によって繰り出される段ボール原紙202の繰り出し長さを検出すればよい。ロール紙200がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされる前の段階での段ボール原紙202の残量(初期値)は、データベース160に記憶されている。
【0071】
したがって、センサ30が、コルゲートマシン400による段ボール原紙202の使用量を検出することで、データベース160から取得した残量(初期値)から使用量を差し引く演算により、結果的に、センサ30は段ボール原紙202の残量を取得することができる。
【0072】
なお、コルゲートマシン400が、現在、所定位置410にセットされて使用しているロール紙200における段ボール原紙202の残量又は使用量を表示するモニタを備えているものであるときは、そのモニタに表示されている残量又は使用量を撮影し、撮影して得られた残量又は使用量の画像を、画像認識処理することによって数値データとして取得するカメラ装置を、センサ30として適用することもできる。つまり、センサ30は、所定位置410,420,430にセットされているロール紙200の段ボール原紙202の残量を取得するものであれば、いかなるものであってもよい。したがって、コルゲートマシン400の改造が可能な場合には、コルゲートマシン400の制御装置から直接的にロール紙200の残量又は使用量の情報を出力するように改造して残量又は使用量の情報を取得してデータベース160を更新するようにしてもよい。
【0073】
(判定装置)
図11はロール紙の判定装置60の構成を示すブロック図、図12は判定装置60がコルゲートマシンの所定位置410にセットされたロール紙210(200)と同じ搬送経路450上の待機位置411に配置された予備のロール紙220(200)の近傍に配置された状態を模式的に示した図である。
【0074】
判定装置60は、ロール体の判定装置の一実施形態であり、図11に示すように、RFIDリーダ20(第2のRFIDリーダ)と、照合部70と、判定出力部80と、を備えている。判定装置60は、例えば、図12に示すように、コルゲートマシンの所定位置410にセットされて使用されるロール紙210と同じ搬送経路450の待機位置411に配置された予備のロール紙220の近傍に配置される。
【0075】
移送体460に載置され、待機位置411に配置されたロール紙220は、コルゲートマシン400で現在使用されているロール紙210における段ボール原紙202の残量が無くなったときに使用される予備のロール紙である。所定位置410にセットされたロール紙210の残量が無くなると、待機位置411にセットされたロール紙220は、移送体460に載置された状態で、搬送経路450に沿って所定位置410まで進み、ロール紙210に代わって所定位置410にセットされる。そして、所定位置410に設置されたロール紙220は、コルゲートマシン400により段ボールシートの製造に供される。
【0076】
RFIDリーダ20は、待機位置411に配置されているロール紙220のRFIDラベル120とのみ交信して、記憶されている識別符号等の情報を読み取るが、所定位置410に配置されているロール紙210のRFIDラベル120とは交信せず、ロール紙210のRFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を読み取らない。
【0077】
照合部70は、サーバ150と交信して、所定位置410に配置されるべきロール紙200の正しい仕様(段ボール原紙202の紙の種類等)を、サーバ150が有する生産計画から取得する。
【0078】
なお、サーバ150が有する生産計画とは、コルゲートマシン400によって段ボールシートを製造する生産の管理を行う生産管理システムで策定された生産計画である。生産計画には、コルゲートマシン400によって段ボールシートを製造する生産計画に対応して必要とされるロール紙200の正しい仕様が含まれている。
【0079】
照合部70は、RFIDリーダ20が読み取った待機位置411のロール紙220のRFIDラベル120に記憶された識別符号を、サーバ150のデータベース160に照会する。そして、照合部70は、データベース160から取得した、ロール紙220の識別符号に対応した仕様情報と、サーバ150が有する生産計画から取得した正しい仕様とを照合して、ロール紙220の仕様の適否の照合結果を判定出力部80に出力する。本実施の形態では、仕様の適否の照合結果は、ロール紙220の仕様がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされるべき正しい仕様に一致するか否かの照合結果である。なお、仕様情報は、段ボール原紙202の厚さ、長さ、紙の種類等の情報であるが、必ずしもその全てを照合する必要はなく、そのうちの種類の情報のみを照合したりすることも可能である。
【0080】
判定出力部80は、例えば表示装置であり、照合部70から入力された、待機位置411にセットされたロール紙220の仕様がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされるべき正しい仕様に一致するか否かの照合結果に応じて、判定を表示(出力)する。
【0081】
具体的には、ロール紙220の仕様が正しい仕様に一致するとの照合結果の入力を受けたときは、判定出力部80が判定「正」を表示する。一方、ロール紙220の仕様が正しい仕様に一致しないとの結果の入力を受けたときは、判定出力部80が判定「誤」を表示する。
【0082】
判定出力部80は、判定「誤」を表示したときは、周囲の作業者に、待機位置411にセットされているロール紙220が誤った仕様のものであることを知らせるために、判定「誤」の表示を目立たせる。具体的には、判定出力部80は、判定「誤」の表示を、作業者に対して目につきやすい色で表示したり、点滅させたりする。
【0083】
また、判定出力部80は、表示を目立たせるのに代えて、又は表示を目立たせるのと併用して、警報音を発生し、作業者に報知してもよい。
【0084】
そして、待機位置411で待機しているロール紙220の判定が「誤」であるときは、判定出力部は、移送体460を待機位置411から所定位置410に自動的に搬送されないように指示信号を移送体460に出力し、ロール紙220を待機位置411に停止した状態に維持する。
【0085】
一方、ロール紙220の判定が「正」であるときは、判定出力部80は、所定位置410のロール紙210の残量が無くなったとき、待機位置411の予備のロール紙220が所定位置410に自動的に搬送されるのを許容する指示信号を移送体460に出力する。
【0086】
なお、本実施の形態では、待機位置411に判定装置60を配置したが、待機位置が存在しない例の場合には、セット位置(所定位置410,420,430)に判定装置60を配置してもよいのはもちろんである。
【0087】
以上、詳細に説明したように、ロール紙の判定装置60は以下のように構成されている。すなわち、ロール体(ロール紙)の判定装置60は、所定の位置(所定位置410)に配置される前の待機位置(待機位置411)に配置されている、長尺でシート状の材料(段ボール原紙202)がロール状に巻かれたロール体(ロール紙220)のRFIDタグ(RFIDラベル120)から、前記RFIDタグに記憶されている識別符号を読み取るRFIDリーダ(RFIDリーダ20)と、前記所定の位置に配置されるべきロール体の正しい仕様を取得し、取得した前記正しい仕様と前記RFIDリーダにより読み取られた前記待機位置の前記ロール体の前記識別符号に対応した仕様とを照合して照合結果を出力する照合部(照合部70)と、前記照合結果に応じて、前記待機位置のロール体の仕様が正しいか否かの判定を出力する判定出力部(判定出力部80)と、を備えている。
【0088】
この構成により、ロール紙の判定装置60によれば、所定位置410に配置されてコルゲートマシン400に使用されているロール紙210の予備のロール紙として待機位置411に配置されているロール紙220が、予備のロール紙として正しい仕様であるか否かを、ロール紙220が所定位置410に実際にセットする前の段階で、自動的に判定することができる。
【0089】
そして、その照合結果により、ロール紙220が誤った仕様のものであるとの判定のときは、待機位置411に停止した状態のロール紙220を手動操作等で待機位置411から退避させて、正しい仕様のロール紙200を待機位置411に再配置すればよい。
【0090】
これにより、誤った仕様のロール紙220が実際に所定位置410に配置されて、そのタイミングで、仕様の誤りに気付いた場合に比べて、コルゲートマシン400の稼働効率を向上させることができる。
【0091】
すなわち、誤った仕様のロール紙220が所定位置410に配置されて、そのタイミングで仕様の誤りに気付いた場合は、ロール紙220を所定位置410から退避させて、正しい仕様のロール紙を所定位置410に再配置するための余計な段取りが発生する。このため、そのような余計な段取りが発生しない場合に比べて、コルゲートマシン400を停止している時間が長くなって、コルゲートマシン400の稼働効率を低下させることになる。
【0092】
しかし、判定装置60は、誤った仕様のロール紙220が、所定位置410に配置される前の待機位置411において、仕様の誤りを判定することができるため、所定位置410に配置されているロール紙210が使用されて、コルゲートマシン400が稼働している期間中に、誤った仕様のロール紙220を正しい仕様のロール紙に交換することができ、コルゲートマシン400を停止している時間を長くすることがなく、コルゲートマシン400の稼働効率を低下させることがない。
【0093】
また、判定装置60は、コルゲートマシン400による製造に使用する段ボール原紙202の仕様に関する情報を、コルゲートマシン400から取得するものではないため、コルゲートマシン400を改造する必要がない。
【0094】
つまり、判定装置60は、コルゲートマシン400に依存せずに、待機位置411に配置されたロール紙220における段ボール原紙202の仕様を自動的に判定することができる。
【0095】
判定装置60は、判定出力部80自体が判定の表示や音を出力するものであるが、本発明に係る判定装置は、判定出力部が、判定を、無線等で接続された外部のモニタ等に出力して、そのモニタに判定を表示させたり警報音を発生させたりしてもよい。
【0096】
図13は、各判定装置60と無線又は有線で接続され、すべての待機位置411,421,431に配置された予備のロール紙220についての、「正」又は「誤」の判定を一覧でモニタ90(表示装置)に表示した画面の表示の一例を示す図である。
【0097】
例えば図10に示すように、所定位置410には使用中の2つのロール紙200,200が配置され、所定位置420にも使用中の2つのロール紙200,200が配置され、所定位置430にも使用中の2つのロール紙200,200が配置されているコルゲートマシン400においては、各所定位置410,420,430で使用中のロール紙200にそれぞれ対応して、待機位置411,421,431に2つずつの予備のロール紙220が配置されている。
【0098】
そこで、予備のロール紙のそれぞれに対応する判定装置60を配置して、各判定装置60の判定出力部80は、図13に示すように、各判定装置60と無線又は有線で接続された外部のモニタ90に、これらすべての待機位置411,421,431に配置された予備のロール紙220(合計で6個)について、「正」又は「誤」の判定を一覧で表示してもよい。外部のモニタ90はサーバ150を介して、各判定装置60と接続されたものであってもよい。なお、外部のモニタ90は、判定装置60とは別体であるが、判定装置60を構成する構成要素の一部であってもよい。
【0099】
このように、1つのモニタ90に、複数の予備のロール紙220の判定を一覧的に出力することで、複数の予備のロール紙220の判定を、1つのモニタ90でまとめて確認することができ、個々の判定装置60の判定を確認して回るのに比べて、確認の労力を低減することができる。
【0100】
なお、上述の説明は、判定装置60が残量検出装置10とは別の構成であることを前提として説明したが、判定装置60を残量検出装置10に組み込んだ構成としてもよい。この場合、判定装置60のRFIDリーダ20と残量検出装置10のRFIDリーダ20とを1つのRFIDリーダ20で共用することができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0102】
本実施形態のロール紙200の管理システムは、ロール体として、長尺でシート状の段ボール原紙202がロール状に巻かれたロール紙200を適用し、処理装置として、ロール紙200から段ボール原紙202を巻き解いて使用するコルゲートマシン400を適用したものである。
【0103】
しかし、本発明に係るロール紙200の管理システムは、段ボール原紙に限らず、シート状で長尺の材料(紙、布、樹脂、金属)がロール状に巻かれたロール体を用いて、コルゲートマシンに限らず製造等の処理を行う処理装置についても適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 残量検出装置
20 RFIDリーダ
40 出力部
120 RFIDラベル
121 基材層
121A 本体部
121B 折り曲げ部
121C 位置合わせ部
122 アンテナ部
123 ICチップ
124 インレイ
125 接着層
126 紙層
150 サーバ
190 無人フォークリフト
200 ロール紙
202 段ボール原紙
400 コルゲートマシン
410 所定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13