(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127501
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20230906BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B65D5/54 301K
B65D5/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031331
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶子
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CB02
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE14
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA17
3E060DA30
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】従来の包装箱の利点を備えつつ、意図せず商品がこぼれ出ることを防止することができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、直方体状であって、所謂ラップアラウンドケースタイプである。内フラップ33に外側から接する下外フラップ32は、内フラップ33に非固定であって、下外フラップ32に外側から接する上外フラップ31は、下外フラップ32に接着されている。天板4には、胴部折目線a上に沿ってその中間部に形成された扉折目線dと、扉折目線dの両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線41と、が設けられている。
側板には、扉破断可能線41の端部から扉破断可能線41の端部から隣接する天板4の隅部までV字状に延びる開放破断可能線61が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、
前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、
前記天板及び前記底板には、前記胴部の開放端側の両端に外フラップ折目線を介して外フラップが連設され、
前記側板には、前記胴部の開放端側の両端に内フラップ折目線を介して内フラップが連設され、
前記閉塞部は、前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられた前記内フラップと、前記天板及び前記底板に連設された一方の外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられて前記内フラップに外側から接する状態で該内フラップに非固定の外フラップと、前記天板及び前記底板の他方に連設された外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられて該非固定の外フラップに外側から接する状態で該非固定の外フラップに固定された外フラップと、によって閉塞され、
前記天板には、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられ、
前記天板及び前記扉折目線に接する前記側板の少なくとも一方には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する前記胴部の開放端側の一方端部であって前記天板に連設された前記外フラップと前記側板に連設された前記内フラップとに挟まれる領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、
前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、
前記天板及び前記底板の一方には、前記胴部の開放端側の両端に外フラップ折目線を介して外フラップが連設され、
前記外フラップは、その先端に差込折目線を介して差込片を有し、
前記側板には、前記胴部の開放端側の両端に内フラップ折目線を介して内フラップが連設され、
前記閉塞部は、前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられた前記内フラップと、前記外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられ前記内フラップに外側から接する状態で該内フラップに非固定の外フラップと、該外フラップの先端に設けられ、前記天板及び前記底板の他方と該内フラップとの隙間に挿入される前記差込片と、によって閉塞され、
前記天板には、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられ、
前記天板及び前記扉折目線に接する前記側板の少なくとも一方には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する前記胴部の開放端側の一方端部であって前記天板に連設された前記外フラップと前記側板に連設された前記内フラップとに挟まれる領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装箱において、
前記開放破断可能線は、前記側板に設けられることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項3記載の包装箱において、
前記開放破断可能線は、前記扉破断可能線の端部に接続され前記底板に向かって延びる下降破断可能線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項4記載の包装箱において、
前記側板には、前記下降破断可能線の延長線上に補助折目線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項4または5に記載の包装箱において、
前記開放破断可能線は、前記下降破断可能線に接続され、前記天板に向かって延びる上昇破断可能線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の包装箱において、
前記天板は、前記胴部の開放端側の両端のそれぞれに前記扉破断可能線を有し、両扉破断可能線は、少なくとも一部接していることを特徴とする包装箱。
【請求項8】
角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、
前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、
前記天板、前記底板及び前記側板の少なくとも一方には、前記開放端側の両端にフラップ折目線を介してフラップが連設され、
前記閉塞部は、前記フラップが前記フラップ折目線で内方に折り曲げられることで閉塞され、
前記天板には、前記胴部の開放端側の両端のそれぞれに対して、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられるとともに、両扉破断可能線は少なくとも一部接するように形成され、
前記扉折目線に接する前記側板には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する該側板の側端であって前記フラップが連設されていない領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の一部が開封時に破断される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の商品を収容できる直方体状のラップアラウンドケースタイプの包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この包装箱は、前板、後板、天板及び底板などが一体に形成されている。また、この包装箱は、前板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第1内フラップと、後板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第2内フラップと、を備えている。
【0004】
また、この包装箱は、底板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、一対の第1内フラップ及び一対の第2内フラップの外側に配置されるとともに、一対の第1内フラップに非固定の一対の第1外フラップと、天板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、一対の第1外フラップにそれぞれ外側から接する状態で固定された一対の第2外フラップと、を備えている。
【0005】
そして、第1内フラップは、前側の角部が円弧状に切り欠かれた形状を有するとともに、天板には、包装箱の開封時において天板を破断するための破断可能線が形成されており、この破断可能線は、天板の前板側の両隅部を繋ぐとともに後板側に向かって凸状に延びている。
【0006】
これにより、この包装箱は、包装箱の開封時に、作業者が破断可能線に沿って天板の一部を破断し、それを手前側に引くことで、天板、前板及び一対の第1内フラップを一体的に手前に回動させることができ、包装箱の天板及び前板の両方を一気に開封することができる。
【0007】
そのため、例えば、開封した包装箱の前面を下方に傾けることで、収納した商品をまとめて商品棚や冷凍庫などに移し出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特に、収容した商品が自立しない場合において、開封した包装箱から商品の一部を取り出したいときや、開封した包装箱をトレーとして用いたいときに、上記従来の包装箱では、商品が意図せず包装箱からこぼれて出てしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであって、従来の包装箱の利点を備えつつ、意図せず商品がこぼれ出ることを防止することができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の包装箱は、角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、前記天板及び前記底板には、前記胴部の開放端側の両端に外フラップ折目線を介して外フラップが連設され、前記側板には、前記胴部の開放端側の両端に内フラップ折目線を介して内フラップが連設され、前記閉塞部は、前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられた前記内フラップと、前記天板及び前記底板に連設された一方の外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられて前記内フラップに外側から接する状態で該内フラップに非固定の外フラップと、前記天板及び前記底板の他方に連設された外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられて該非固定の外フラップに外側から接する状態で該非固定の外フラップに固定された外フラップと、によって閉塞され、前記天板には、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられ、前記天板及び前記扉折目線に接する前記側板の少なくとも一方には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する前記胴部の開放端側の一方端部であって前記天板に連設された前記外フラップと前記側板に連設された前記内フラップとに挟まれる領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の包装箱では、天板に、胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられている。そのため、作業者が、天板を扉破断可能線で破断して、扉破断可能線と扉折目線とで囲まれる領域(以下、単に「扉部」という。)を、包装箱の外方に引っ張ることよって扉破断可能線を徐々に破断させるとともに、扉折目線で回動させて折り曲げることにより、天板の一部を開封することができる。
【0013】
よって、本発明の第1の包装箱によれば、包装箱の四方が一対の側板及び一対の閉塞部で囲まれている状態で、天板のみを開封することができるため、意図せず商品がこぼれ出ることを防止することができる。
【0014】
また、扉部を開けて天板のみを開封してときには、扉折目線から外フラップ折目線の両端方向に向かって未破断の天板が残る。そのため、扉部を開けた包装箱を積み重ねる際に、この未破断の天板により積み重ねることができる。そして、閉塞部は、天板側の外フラップが、上述した未破断の天板を介して側板に繋がっているため、天板が開封された状態でも起立した姿勢が維持されている。
【0015】
これに対して、本発明の第1の包装箱では、天板及び扉折目線に接する側板の少なくとも一方に、扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する胴部の開放端側の一方端部であって、該天板に連設された外フラップと該側板に連設された内フラップとに挟まれる領域まで延びる開放破断可能線が設けられている。
【0016】
そのため、開放破断可能線に沿って破断すると、繋がれていた天板側の外フラップと側板とが切り離される。そして、両外フラップは内フラップに固定されていないため、天板側の外フラップ及びこれに固定された底板側の内フラップは、一体的に底板側の外フラップ折目線で回動することができる。そして、外側で接していた外フラップが取り去られた内フラップは、内フラップ折目線で折り戻すことができる。
【0017】
よって、本発明の第1の包装箱によれば、天板だけでなく閉塞部も開封することができる。
【0018】
本発明の第2の包装箱は、角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、前記天板及び前記底板の一方には、前記胴部の開放端側の両端に外フラップ折目線を介して外フラップが連設され、前記外フラップは、その先端に差込折目線を介して差込片を有し、前記側板には、前記胴部の開放端側の両端に内フラップ折目線を介して内フラップが連設され、前記閉塞部は、前記内フラップ折目線で内方に折り曲げられた前記内フラップと、前記外フラップであって、前記外フラップ折目線で内方に折り曲げられ前記内フラップに外側から接する状態で該内フラップに非固定の外フラップと、該外フラップの先端に設けられ、前記天板及び前記底板の他方と該内フラップとの隙間に挿入される前記差込片と、によって閉塞され、前記天板には、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられ、前記天板及び前記扉折目線に接する前記側板の少なくとも一方には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する前記胴部の開放端側の一方端部であって前記天板に連設された前記外フラップと前記側板に連設された前記内フラップとに挟まれる領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の包装箱において、天板を開封する際の手順及び作用・効果は、第1の包装箱と同様である。
【0020】
他方、天板に外フラップが連設されている場合、天板を開放破断可能線で破断させると、これに繋がっている該外フラップの先端の差込片も底板と内フラップとの隙間から抜去され、取り外された天板及び外フラップが一体的に取り外される。そして、外側で接していた外フラップが取り去られた内フラップは、内フラップ折目線で折り戻すことができる。
【0021】
同様に、底板に外フラップが連設されている場合、破断された天板が取り去られると、外フラップの先端の差込片が天板と内フラップとの隙間で挟まれた状態から解放されるので、外フラップを外フラップ折目線で折り戻し、内フラップを内フラップ折目線で折り戻すことができるので、第2の包装箱によれば、閉塞部が開封される。
【0022】
よって、第2の包装箱によれば、天板だけでなく閉塞部も開封できる。
【0023】
本発明の第1の包装箱及び第2の包装箱において、前記開放破断可能線は、前記側板に設けられることが好ましい。
【0024】
本発明の包装箱において、包装箱の外方に引っ張ることよって天板の一部を開封したのち、さらに取り外された天板を包装箱の外方に引っ張ると、取り外された天板に連設された側板は、底板との境界線に設けられた胴部折目線aで外側に回動される。そのため、側板には、外方かつ下方に変位しようとする力と、これと反対方向に、残存する天板により引っ張られる力とが生じるため、側板は開放破断可能線でせん断される。
【0025】
よって、側板に開放破断可能線が設けられた包装箱によれば、天板を開封するときに力を加える方向と、閉塞部を開封するときに力を加える方向とが概ね一致するため、取り扱いが容易である。
【0026】
また、この構成(前記開放破断可能線は、前記側板に設けられる)を備える包装箱において、前記開放破断可能線は、前記扉破断可能線の端部に接続され前記底板に向かって延びる下降破断可能線を有することが好ましい。
【0027】
この包装箱では、一般的に切りにくい開放破断可能線の切り始めの箇所に、側板の上端(扉破断可能線の端部)から底板に向かって延びる下降破断可能線が設けられている。この下降破断可能線の延びる方向(上から下方向)は、側板が胴部折目線aで外側に回動したときの側板の上端の移動する方向と一致しているため、側板の回動によってせん断されやすい。
【0028】
よって、下降破断可能線を有する包装箱によれば、開放破断可能線の破断のきっかけを作りやすい。
【0029】
さらに、この構成(下降破断可能線を有する)を備える包装箱において、前記側板には、前記下降破断可能線の延長線上に補助折目線が設けられていることが好ましい。
【0030】
この包装箱によれば、取り外された天板を包装箱の外方に引っ張った際に、取り外された天板に連設された側板は、下降破断可能線及び補助折目線によって、外方に向かって凸状に湾曲乃至屈曲される。
【0031】
よって、補助折目線を有する包装箱によれば、側板をさらに外方に傾けることができるため、上から下方向にひく力によって下降破断可能線を側板の内側から外側に向かってせん断しやすい。
【0032】
この構成(下降破断可能線を有する)を備える包装箱において、前記開放破断可能線は、前記下降破断可能線に接続され、前記天板に向かって延びる上昇破断可能線を有することが好ましい。
【0033】
開放破断可能線は、要するに、胴部の開放端であって内フラップと外フラップとが設けられていない隙間の位置まで延びる必要がある。そのため、もし仮に、開放破断可能線を下降破断可能線のみで形成した場合、内フラップは天板から離れるような幅に設計する必要がある。
【0034】
これに対し、この構成を備える包装箱によれば、下降破断可能線の後に上昇破断可能線を有するため、内フラップの幅を大きくして天板に近づけることができる。よって、この構成を備えれば、包装箱の剛性を高めることができる。
【0035】
本発明の第1の包装箱及び第2の包装箱において、前記天板は、前記胴部の開放端側の両端のそれぞれに前記扉破断可能線を有し、両扉破断可能線は、少なくとも一部接していることが好ましい。
【0036】
この構成を備える包装箱によれば、両側の扉部を開口させることで天板を広く開封することができるため、商品を取り出しやすい。
【0037】
また、両方の開放破断可能線で天板を破断することで、両方の閉塞部を開封することができる。また、両扉破断可能線は一部で接しているため、天板は両扉破断可能線により分断される。つまり、両側板は、切り残された天板によって繋がれていない状態になるため、底板側の胴部折目線で回動できる。
【0038】
よって、この構成を備える包装箱によれば、包装箱を全展開して、廃棄点数を「1」にすることができる。また、全展開された包装箱は、平板状に戻るため、廃棄品を嵩張りにくくすることができる。
【0039】
ところで、従来の包装箱(特許文献1参照)は、天板の略半分を切り取る構成であるため、天板の全面を開封することができないという問題もあった。
【0040】
かかる課題を解決するため、本発明の第3の包装箱は、角筒状の胴部と、前記胴部の開放端を閉塞する閉塞部とを有する包装箱であって、前記胴部は、天板、前記天板と対向する底板、及び、前記天板と前記底板とを繋ぐ側板がそれぞれ胴部折目線を介して連設されることで構成され、前記天板、前記底板及び前記側板の少なくとも一方には、前記開放端側の両端にフラップ折目線を介してフラップが連設され、前記閉塞部は、前記フラップが前記フラップ折目線で内方に折り曲げられることで閉塞され、前記天板には、前記胴部の開放端側の両端のそれぞれに対して、前記胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられるとともに、両扉破断可能線は少なくとも一部接するように形成され、前記扉折目線に接する前記側板には、前記扉破断可能線の端部から、該端部に隣接する該側板の側端であって前記フラップが連設されていない領域まで延びる開放破断可能線が設けられていることを特徴とする。
【0041】
本発明の第3の包装箱では、天板に、胴部折目線上に沿って該胴部折目線の長さ方向の中間部に形成された扉折目線と、該扉折目線の両端を繋いで凸状に延びる扉破断可能線と、が設けられている。そのため、作業者が、天板を扉破断可能線で破断して、扉破断可能線と扉折目線とで囲まれる領域(以下、単に「扉部」という。)を、包装箱の外方に引っ張ることよって扉破断可能線を徐々に破断させるとともに、扉折目線で回動させて折り曲げることにより、天板の一部を開封することができる。
【0042】
特に、本発明の第3の包装箱では、両方の開放破断可能線で天板を破断することで、両方の閉塞部を開封することができ、両扉破断可能線は一部で接しているため、天板は両側板に挟まれる方向において完全に開封される。
【0043】
このとき、扉折目線から外フラップ折目線の両端方向に向かって未破断の天板が残る。未破断の天板は、これに連設されるフラップまたは側板によって水平姿勢が維持されている。
【0044】
これに対して、本発明の第3の包装箱では、側板に扉破断可能線の端部から側板の側端のうちフラップがない領域まで開放破断可能線が延びている。そのため、この開放破断可能線で側板を破断すると、未破断の天板は、包装箱から取り外され、あるいは、側板から切り離された状態でフラップ折目線により包装箱の外方に向かって回動される。これにより、天板は、両閉塞部に挟まれる方向において完全に開封される。
【0045】
よって、本発明の第3の包装箱によれば、天板の全面を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の外観を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る包装箱の組立て前の構成を示す平面図である。
【
図3】天板を開封したときの第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図4】閉塞部を開封する中途の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図5】閉塞部を開封したときの第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図6】展開後の第1実施形態に係る包装箱を示す平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る包装箱の組立て前の構成を示す平面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る包装箱の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[第1実施形態]
以下、
図1~5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の包装箱1は、外観が直方体状に形成されたラップアラウンドケースタイプのものである。包装箱1では、例えば、棒アイスなどの積み上げたときに崩れやすい商品が内部に収納されるとともに、開封時には箱の一部が破断される。
【0048】
包装箱1は、四角筒状の胴部2と、胴部2の開放端を閉塞する閉塞部3とを有する。胴部2は、天板4、底板5、及び、側板6,6を備えている。天板4、底板5、及び、側板6,6は、いずれも略矩形状に形成されている。
【0049】
天板4は、開封時において、側板6側に向かって回動する一対の扉部7を有する。扉部7は、開封時において手指を差し込む破断開始部8が、扉部7の先端側にそれぞれ形成されている。
【0050】
包装箱1は、
図2に示すほぼ矩形状の段ボール板紙1xを原紙から打抜いて形成した後、これを折り曲げて組み立てられる。以下、
図2を参照しながら、段ボール板紙1xの構成について説明する。
【0051】
図2に示すように、段ボール板紙1xは、右側から、側板6、底板5、側板6、天板4、接着片9の順で、それぞれ胴部折目線aを介して連設されている。
【0052】
天板4には、その上下端に、上外フラップ折目線b1を介して上外フラップ31がそれぞれ連設されている。上外フラップ31は、いずれも略矩形状に形成されている。
【0053】
底板5には、その上下端に、下外フラップ折目線b2を介して下外フラップ32がそれぞれ連設されている。下外フラップ32は、いずれも略矩形状に形成されている。
【0054】
側板6には、その上下端に、内フラップ折目線cを介して内フラップ33がそれぞれ連設されている。内フラップ33は、いずれも略矩形状に形成されている。内フラップ33の横幅は、上外フラップ31及び下外フラップ32の高さ(
図2における上下方向の長さ)とほぼ同一乃至同程度に形成されている。
【0055】
天板4には、胴部折目線a上に沿って扉折目線dが設けられている。扉折目線dは、胴部折目線aの上下端部を除いた中間部に形成されている。ただし、胴部折目線aとは別の構成として扉折目線dを別途形成するのではなく、胴部折目線aの上下端部を除いた中間部が扉折目線dに相当する、という趣旨である。
【0056】
天板4には、扉折目線dの両端を繋ぐ一対の扉破断可能線41が形成されている。扉破断可能線41は、該扉折目線dから離れる方向に凸状に延びて、第1実施形態では略倒T字状に形成されている。扉折目線dとその両端を繋ぐ扉破断可能線41とによって、上述した扉部7が構成される。
【0057】
扉破断可能線41は、天板4の上下端を繋ぐ第1扉破断可能線42と、第1扉破断可能線42の両端から扉折目線dの端部まで延びる一対の第2扉破断可能線43と、を有する。第1実施形態では、一対の扉破断可能線41が形成されているが、第1扉破断可能線42において完全に重複している。言い換えれば、1本の第1扉破断可能線42を共有し、この両端から計4本の第2扉破断可能線43が延びることで、2本の扉破断可能線41が形成されている。
【0058】
第2扉破断可能線43は、第1扉破断可能線42の端部から天板4の上下端上に沿って延びる中央第1扉破断可能線43aと、扉折目線dの端部から天板4の上下端に沿って平行に延びる側方第1扉破断可能線43bと、中央第1扉破断可能線43a及び側方第1扉破断可能線43bを繋いで直線状に延びる接続第1扉破断可能線43cと、を有する。
【0059】
天板4には、第1扉破断可能線42の上下方向の中央部を左右方向から挟むように一対の手穴折目線eが設けられている。手穴折目線eは、第1扉破断可能線42に沿って平行に形成されている。
【0060】
天板4には、手穴折目線eの上下端から第1扉破断可能線42まで弧状に延びる手穴破断可能線81がそれぞれ設けられている。1本の手穴折目線eとその両端から延びる一対の手穴破断可能線81とによって、上述した破断開始部8が構成される。
【0061】
側板6(及び接着片9)には、扉破断可能線41の端部(側方第1扉破断可能線43bの扉折目線dに接する側の端部)から、隣接する天板4の隅部まで延びる略倒V字状の開放破断可能線61が設けられている。なお、ここでいう天板4の隅部とは、製函された際に開放破断可能線61が達する位置としての表現であり、より正確に言えば、
図2における平板状態においては、向かって右端の側板6の開放破断可能線61は、側板6の隅部まで延びている。
【0062】
開放破断可能線61は、扉破断可能線41の端部に接続され、底板5に向かって延びる下降破断可能線61aと、この下降破断可能線61aに接続され、天板4に向かって延びる上昇破断可能線61bと、を有する。
【0063】
側板6(及び接着片9)には、下降破断可能線61aの先端から、隣接する内フラップ折目線cまで延びる補助折目線62が設けられている。補助折目線62は、下降破断可能線61aの延長線上に形成されている。
【0064】
次に、以上の
図2に示す段ボール板紙1xから、
図1に示す包装箱1を組み立てる手順について説明する。
【0065】
まず、作業者によって、段ボール板紙1xが例えば台(図示せず)に載置され、複数の商品(図示せず)が底板5上に整列させた状態で載置される。
【0066】
次いで、
図2において、底板5の右側に配置されている側板6が胴部折目線aで折り曲げられる。そして、右側の側板6の外面に、接着剤G(
図2参照)が塗布される。
【0067】
次いで、底板5の左側に配置されている胴部折目線aで順次折り曲げることで、左側の側板6が底板5に対して起立され、天板4が底板5に平行にされ、接着片9が垂下される。そして、接着片9の内面が接着剤Gを介して右側の側板6の外面に固定されることで、胴部2が組み立てられる。
【0068】
次いで、内フラップ33が、内フラップ折目線cで胴部2の内方に向かって、側板6に対し直角に折り曲げられる。そして、下外フラップ32が、下外フラップ折目線b2で上方に折り曲げられ、底板5から直角に起立される。これにより、下外フラップ32は内フラップ33に対して外側から接するが、両者は接着されておらず、下外フラップ32は非固定の状態で内フラップ33を保持する。
【0069】
次いで、下外フラップ32の外面に接着剤G(
図2参照)が塗布され、上外フラップ31が上外フラップ折目線b1で下方に折り曲げられ、上外フラップ31の内面が接着剤Gを介して下外フラップ32の外面に固定される。これにより、胴部2の開放端が閉塞され、閉塞部3が形成される。
【0070】
以上により、商品を内蔵した包装箱1の組み立てが終了し、
図1に示す状態の包装箱1が完成する。
【0071】
次に、
図3~6を参照しながら、第1実施形態の包装箱1の開封作業について説明する。なお、
図3及び4では、理解の容易化のために、商品が省略された状態を示している。
【0072】
第1に、包装箱1の天板4を開封する作業を説明する。
【0073】
まず、作業者は、
図1に示す未開封の包装箱1の破断開始部8に指を差し込む。これにより、天板4は、第1扉破断可能線42の上下方向の中央部及び手穴破断可能線81に沿って破断されるとともに手穴折目線eで山折りされて、破断開始部8が開口される。
【0074】
次いで、作業者が、破断開始部8に指をかけて、扉部7を互いに離間する方向に引き上げる。これにより、天板4は、扉破断可能線41に沿って、(具体的には、第1扉破断可能線42、中央第1扉破断可能線43a、接続第1扉破断可能線43c、側方第1扉破断可能線43bの順番で)破断される。さらに、天板4は、扉破断可能線41の両端を結ぶ扉折目線2dで折り戻されて起立される。
【0075】
これにより、天板4は、一対の扉部7が開いた状態にされるので、包装箱1はその一部(天板4)が開封される。
【0076】
これにより、天板4は、一対の扉部7が開いた状態にされるので、包装箱1は天板4の大部分が開封される。より具体的には、天板4には、接続第1扉破断可能線43c及び側方第1扉破断可能線43bと天板4の隅部とで囲まれる矩形状の領域だけが切り取られずに残り、この領域が桟部44となる。
【0077】
第2に、包装箱1の側板6まで開封する作業を説明する。
【0078】
包装箱1の天板4が開封された状態で、作業者は、
図4における右側の扉部7をより右方向に引く。すると、右側の扉部7に扉折目線dを介して連設された右側の側板6も右方向に引っ張られる。このとき、側板6は、底板5に胴部折目線aで接続されているため、胴部折目線aで回動され、結果的に、側板6には、包装箱1からみて外方、かつ、下方に引っ張る力が与えられている。
【0079】
しかしながら、側板6の上側の隅部は、桟部44に接続されているため、側板6には、この引っ張る力に抗しようとする逆方向の力が発生する。これにより、
図5に示すように、側板6は、桟部44と扉部7の基端(扉折目線d)とに挟まれた開放破断可能線61で、せん断力によって破断される。
【0080】
これにより、扉部7及び側板6は、側板6と底板5とに挟まれた胴部折目線aで回動される。同時に、側板6に連設されていた一対の内フラップ33は、その外面で支持していた下外フラップ32に対して非固定の状態であるため、側板6とともに回動される。
【0081】
ところで、側板6が開放破断可能線61で破断されるまでは、内フラップ33も、側板6に接続されている天板4の残部(桟部44)によって上から抑えられているので、側板6の回動は、内フラップ33を介して天板4によっても制限されていた。
【0082】
しかしながら、側板6が開放破断可能線61で破断されると、天板4の残部(桟部44)は、上外フラップ折目線b1以外で接続されていないことになるので、
図5に示すように、回動しようとする内フラップ33によって押しのけられて上外フラップ折目線b1で折り戻される。よって、側板6が開放破断可能線61で破断されれば、天板4の残部(桟部44)の存在は、側板6及び内フラップ33の回動の妨げとならない。
【0083】
これにより、包装箱1は、天板4だけでなく側板6まで開封される。
【0084】
第3に、包装箱1を廃棄するために展開する作業を説明する。
【0085】
包装箱1の天板4及び右側の側板6が開封された状態で、作業者は、
図5における左側の扉部7をより左側に引く。これにより、左側の側板6は開放破断可能線61で破断され、扉部7、左側の側板6及び一対の内フラップ33は、左側の側板6と底板5とに挟まれた胴部折目線aで回動される。
【0086】
これにより、包装箱1は、底板5を中心とした略十字形状に展開される。
【0087】
次に、第1実施形態の包装箱1の作用・効果について説明する。
【0088】
第1実施形態の包装箱1は、内フラップ33の横幅と、上外フラップ31及び下外フラップ32の高さ(
図2の上下方向の長さ)とが、ほぼ同一乃至同程度に形成されているため、上外フラップ31及び下外フラップ32によって、閉塞部3がほぼ完全に封止され内部に埃やゴミなどが入りにくい。また、下外フラップ32で天板4を支えることができるため、箱の剛性を高めることができる。
【0089】
第1実施形態の包装箱1によれば、一対の扉部7を互いに離間する方向に引き上げるだけで、扉部7を開口させ、天板4を開封することができる。このとき、第1実施形態の包装箱1では、破断開始部8が扉部7の先端側にそれぞれ形成され、開封時において手指を差し込むことができるので扉部7に指を掛けて引きやすい。
【0090】
第1実施形態の包装箱1では、胴部折目線aの中間部を扉折目線dとして用いるところ、胴部折目線aは、製函時に折り曲げられているものであるため、天板4を扉破断可能線41に沿って破断させれば、扉部7は扉折目線dで折り戻すだけで起立することになるので、扉部7を開く際にわざわざ扉折目線dに沿って折癖をつける必要がない。
【0091】
第1実施形態の包装箱1では、天板4のみを開口でき、天板4のみの開口であれば、包装箱1の四方が一対の側板6及び一対の閉塞部3で囲まれているので、積み重ねたときに崩れやすい商品であっても、意図せず商品がこぼれ出ることを防止することができ、この状態で商品を陳列することができる。
【0092】
また、第1実施形態の包装箱1では、天板4のうち四隅の桟部44を除いたほぼ全面が開封されるため、商品が取り出しやすい。四隅の桟部44が形成されるため、天板4を開封した包装箱20を上下に積み重ねることができる。
【0093】
また、包装箱1から商品の一部を取り出して棚などに陳列し、扉部7を閉めることで包装箱1を再封緘することもできる。
【0094】
第1実施形態の包装箱1によれば、一方の扉部7を引っ張るだけで、一方の側板6まで開封することができる。これにより、例えば、棒アイスを上側が開口された冷凍庫に移し替える際などに、包装箱1を傾けることで、全商品を一気に流し入れることもできる。特に、天板4を開封するときと側板6まで開封するときとで、力を加える方向(引っ張る方向)が概ね同じであるため、取り扱いが容易である。
【0095】
また、第1実施形態の包装箱1では、側板6を下降破断可能線61aに沿って天板4側から底板5に向かって破断したうえで、上昇破断可能線61bに沿って底板5側から天板4に向かって破断するものであるところ、下降破断可能線61aは、側板6に外方かつ下方に引っ張る力が生じているため、天板4側から底板5に向かって上から下方向に破断しやすいのに対し、側板6に下方に引っ張る力によって上昇破断可能線61bに沿って下から上方向に容易に破断できるのは、以下の作用・効果が関係していると考えられる。
【0096】
すなわち、側板6に対して下降破断可能線61aが破断された状態で外方に引っ張る力を与えると、側板6は上昇破断可能線61bで山折りされ、また、側板6は桟部44に対してその境界線(胴部折目線a)で直角から鈍角に戻され、また、側板6は補助折目線62で山折りされ、また、側板6は内フラップ33に対してその境界線(内フラップ折目線c)で直角から鈍角に戻される。
【0097】
これにより、側板6の上側の隅部は、上昇破断可能線61bの先端を頂点とする四角錐状に変形される。この結果、上昇破断可能線61bは、扉部7に接続されて回動されている側板6の大部分に対して、同一平面上ではなく斜めに配置される。よって、側板6の上昇破断可能線61bに対して、上記せん断力がその全体に対し同時に等しくかかるのではなく、上記せん断力が上昇破断可能線61bの先端から徐々に強くかかっていくため、その先端から基端に向けてスムーズに破断することができる。
【0098】
また、第1実施形態の包装箱1では、他方の扉部7も引っ張れば、他方の側板6まで開封することができる。そして、第1実施形態の包装箱1では、一対の扉破断可能線41が第1扉破断可能線42において重複しているため、天板4を扉破断可能線41に沿って破断すると、天板4における一対の閉塞部3を繋ぐ箇所がなくなるので、一対の閉塞部3を下外フラップ折目線b2で折り戻して平板状にして廃棄することができる。よって、全展開された包装箱1は、廃棄品として嵩張りにくい。
【0099】
また、天板4のうち、扉部7は胴部折目線aを介して側板6に連設され、扉部7と分割された桟部44は、上外フラップ31及び接着剤Gを介して下外フラップ32に接続されているので、全展開された包装箱1は廃棄点数を「1」にすることができる。
【0100】
[第2実施形態]
図7を参照して、段ボール板紙20xを用いて本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
段ボール板紙20xでは、内フラップ233の横幅は側板6の横幅より小に設計されている。これにより、側板6の上下端縁には、天板4側の端部に、内フラップ233が連設されていない開放端縁が形成されている。
【0102】
そして、開放破断可能線61の上昇破断可能線261bは、下降破断可能線61aから側板6(側板6に固定される接着片9を含む)の前記開放端縁まで延びている。
【0103】
かかる構成を備える第2実施形態の包装箱であっても、扉部7を外方に引っ張れば、側板6を天板4の残部(桟部44)から分離することができ、第1実施形態の包装箱1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0104】
すなわち、本発明の第2実施形態によれば、開放破断可能線61は、側板6を天板4の残部(桟部44)から分離できれば足りるため、必ずしも天板4の隅部に向かって延びる必要はなく、天板4及び側板6の上下端縁のうち上外フラップ31と内フラップ33とで挟まれる領域、要するに上外フラップ31及び内フラップ33が設けられていない開放端縁に達していればよいことが理解される。
【0105】
[第3実施形態]
図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る包装箱20を説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
第3実施形態に係る包装箱20は、下外フラップ32と内フラップ33とが接着剤Gを介して固定されている構成である点においてのみ第1実施形態と異なる。
【0107】
次に、
図8を参照しながら、第3実施形態の包装箱20の開封作業について説明する。なお、
図8では、理解の容易化のために、商品が省略された状態を示している。
【0108】
まず、第3実施形態の包装箱20は、一対の扉部7を互いに離間する方向に引き上げて、扉部7を開口させ、天板4の大部分を開封するところまで、第1実施形態の包装箱1と変わるところはない。
【0109】
次に、作業者が、右側の扉部7をより右方向に引くと、右側の側板6は右方向に引っ張られて、第1実施形態の包装箱1と同様に、開放破断可能線61で破断され、天板4の残部(桟部44)が側板6から分離される。これにより、
図8に向かって右側の2つの天板4の残部(桟部44)は、上外フラップ折目線b1で起立、または、外方に折り曲げることができる。
【0110】
同様に、左側の扉部7をより左方向に引くと、左側の側板6は左方向に引っ張られて開放破断可能線61で破断され、
図8に向かって右側の2つの天板4の残部(桟部44)は、上外フラップ折目線b1で起立、または、外方に折り曲げることができる。
【0111】
よって、第3実施形態の包装箱20によれば、天板4の一部を開封するだけでなく、天板4を全面的に開封することもできるため、より商品が取り出しやすい。
【0112】
[変形例]
上記実施形態では、材質として段ボールを例に説明したが、材質は、折り曲げて組み立て可能であるとともに破断可能線に沿って破断可能なものであれば、ボール紙や薄い合成樹脂板であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、胴部2として、四角筒状のものを例に説明したが、胴部2は角筒状であれば、五角筒形状、六角筒形状等であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、胴部2が横方向に延びて天板4を破断するものを例に説明したが、本発明の包装箱は、胴部2が縦方向に延びるように立てて用いることもでき、この場合には、4枚の側板のうちの1枚を破断することとなる。
【0115】
上記実施形態では、天板4に一対の扉部7を有するものを例に説明したが、扉部7の個数に限定はなく、1個でもよい。また、破断開始部8の形状に限定はなく、省略してもよい。
【0116】
上記実施形態では、一の閉塞部3が上外フラップ31及び下外フラップ32で構成されるものを例に説明したが、上外フラップ31及び下外フラップ32は、いずれか一方のみであってもよい。例えば、上外フラップ31のみを設けて下外フラップ32を省略する場合、例えば、上外フラップ31の先端に差込折目線を介して差込片を設けておき、底板5と内フラップ33,33との隙間に挿入することで、閉塞部3を構成することができる。
【0117】
上記実施形態では、上外フラップ31及び下外フラップ32は、互いに高さ方向のほぼ全域において重なる長さに設計されたものを例に説明したが、上外フラップ31及び下外フラップ32は互いに固定(接着)できれば足りるため、先端の一部において重なるものであってもよい。特に、第3実施形態では、上外フラップ31及び下外フラップ32のいずれも内フラップ33に接着剤Gを介して固定すれば足りるため、上外フラップ31及び下外フラップ32の先端が互いに重ならない所謂ショートフラップであってもよい。
【0118】
上記実施形態では、
図2における側板6の上下端に内フラップ33がそれぞれ連設されたものを例に説明したが、内フラップ33の形状に限定はなく、第1実施形態及び第2実施形態では内フラップ33を省略することもできる。
【0119】
上記実施形態では、扉部7が扉折目線dのみで回動するものを例に説明したが、扉折目線は、1つに限られない。例えば、側方第1扉破断可能線43bと接続第1扉破断可能線43cとの接点同士を
図2における上下方向につなぐ第2の扉折目線を設けてもよい。これによれば、第2の扉折目線で小さく扉部7を開口させたり、扉折目線dで大きく扉部7を開けたり、開口の大きさを選択することができる。
【0120】
上記実施形態では、扉破断可能線41として屈曲したものを例に説明したが、扉破断可能線41は、湾曲していてもよく蛇行してもよい。つまり、扉破断可能線41は、天板4の上下端を繋ぐ必要はなく、天板4の左右端上に沿って形成されなくてもよい。
【0121】
上記実施形態では、一対の扉破断可能線41が第1扉破断可能線42において完全に重複したものを例に説明したが、一対の扉破断可能線41は、1点で接するものでもよく、あるいは、互いに離間して接していないものでもよい。
【0122】
上記実施形態では、開放破断可能線61として、V字状に屈曲するものを例に説明したが、開放破断可能線61は湾曲、蛇行するものであってもよい。
【0123】
また、開放破断可能線61は、胴部折目線a(天板4の側端、かつ、側板6の上端でもある)上に沿って、直線状に延びるものであってもよい。また、開放破断可能線61は、上昇破断可能線61bの少なくとも一部が、内フラップ折目線c(側板6の側端)上に沿って、直線状に延びるものであってもよい。
【0124】
さらに、開放破断可能線61は、
図7を用いて説明すれば、扉破断可能線41の端部から側板6の内フラップ233が連設されていない開放端縁まで、直線状に延びるものであってもよい。同様に、上外フラップの横幅が天板4の横幅より小に設計されることにより天板4の端縁に上外フラップが連設されていない開放端縁が形成されている場合には、開放破断可能線61は、扉破断可能線41の端部から天板4の上外フラップが連設されていない開放端縁まで、直線状に延びるものであってもよい。
【0125】
なお、開放破断可能線61は、その先端が、側板6の端縁のうち内フラップが連設されていない開放端縁、または、天板4の端縁のうち上外フラップが連設されていない開放端縁まで延びているということを説明するために、内フラップの横幅が側板6の横幅より小、あるいは、上外フラップの横幅が天板4の横幅より小に設計されている、という例を示して説明した。
【0126】
しかしながら、本発明はこれに限られず、
図1に示されるように、内フラップ33の横幅が側板6の横幅と同一、あるいは、上外フラップ31の横幅が天板4の横幅と同一に設計されているものであっても、天板4の隅部から上外フラップ折目線b1または内フラップ折目線cに沿って切れ目が入れられている場合、開放破断可能線61は、当該切れ目と接続されていれば、作用効果を奏しうる。
【0127】
この場合、上記切れ目で切断されている箇所の上外フラップ31は、「天板に連設」されていないといえるので、本発明における開放破断可能線61の先端が達するべき「該端部に隣接する前記胴部の開放端側の一方端部であって前記天板に連設された前記外フラップと前記側板に連設された前記内フラップとに挟まれる領域」に当たらないと定義される(同様に、上記切れ目で切断されている箇所の内フラップ33も「側板に連設」されていないといえる)。
【0128】
上記実施形態では、補助折目線62として、下降破断可能線61aの先端から隣接する内フラップ折目線cまで直線状に延びるものを例に説明したが、補助折目線62は、開放破断可能線61の下方にあれば足りるため、下降破断可能線61aの先端に接続されてなくてもよく、下降破断可能線61aの延長線上に形成される必要もなく、内フラップ折目線cに達する必要もない。また、補助折目線62は、直線状に限られず、屈曲、湾曲、蛇行するものであってもよい。さらに、補助折目線62は、省略してもよい。
【0129】
上記実施形態では、側板6の外面に接着片9の内面が接着剤Gを介して固定されたものを例に説明したが、側板6の内面に接着片9の外面を接着してもよい。同様に、上記実施形態では、下外フラップ32の外面に上外フラップ31の内面が接着剤Gを介して固定されたものを例に説明したが、上外フラップ31を先に折って、上外フラップ31の外面に下外フラップ32の内面を接着してもよい。
【0130】
なお、上記実施形態では、固定する手段として接着を例に説明したが、固定する手段は、ステープルや粘着テープでもよい。
【符号の説明】
【0131】
1,20 包装箱
2 胴部
3 閉塞部
4 天板
5 底板
6 側板
31 上外フラップ(外フラップ)
32 下外フラップ(外フラップ)
33,233 内フラップ
41 扉破断可能線
42 第1扉破断可能線
43 第2扉破断可能線
61 開放破断可能線
61a 下降破断可能線
61b 上昇破断可能線
62 補助折目線
a 胴部折目線
b1 上外フラップ折目線(外フラップ折目線)
b2 下外フラップ折目線(外フラップ折目線)
c 内フラップ折目線
d 扉折目線