(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127505
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】電池ヒータ
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6571 20140101AFI20230906BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230906BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230906BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230906BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20230906BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20230906BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20230906BHJP
【FI】
H01M10/6571
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/617
H01M10/6551
H01M10/6554
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031338
(22)【出願日】2022-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】廣田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】中増 勇真
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031EE01
5H031HH06
5H031KK01
5H031KK03
(57)【要約】
【課題】低温時に電池筐体を昇温させ、充電時に発熱した電池筐体を放熱させることができる電池ヒータを提供する。
【解決手段】電池ヒータ20は、基材30と、基材30の一方面に配置されるヒータ線40と、基材30の一方面においてヒータ線40の非配置部分に配置される放熱部50とを備える。そして、基材30は、放熱部50が電池筐体10に設けられたヒートシンク11に当接するように、電池筐体10に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方面に配置されるヒータ線と、
前記基材の前記一方面において前記ヒータ線の非配置部分に配置される放熱部とを備え、
前記基材は、前記放熱部が電池筐体に設けられたヒートシンクに当接するように、前記電池筐体に配置される
電池ヒータ。
【請求項2】
前記放熱部は、金属で構成され、通電させない
請求項1に記載の電池ヒータ。
【請求項3】
前記放熱部は、一部が前記ヒータ線と並走して前記基材の前記一方面に配置される導線で構成された放熱線である
請求項2記載の電池ヒータ。
【請求項4】
前記放熱部は、銅、または銅合金からなる
請求項3に記載の電池ヒータ。
【請求項5】
前記基材は、前記放熱部が配置される端部において、前記一方面の一部が前記ヒートシンクの壁面に沿って折れ曲げられた状態で前記電池筐体に配置される
請求項1~4のいずれか1項に記載の電池ヒータ。
【請求項6】
前記ヒータ線は、表面が絶縁材で被覆されており、
前記基材は、前記一方面が前記電池筐体と対向するように前記電池筐体に配置される
請求項1~5のいずれか1項に記載の電池ヒータ。
【請求項7】
前記基材の前記一方面には、前記ヒータ線と前記放熱部とを覆うように均熱部が設けられる
請求項6に記載の電池ヒータ。
【請求項8】
前記基材の中央部分に配置されている前記放熱部の密度は、前記中央部分以外の前記基材の外側部分に配置されている前記放熱部の密度よりも大きい
請求項1~7のいずれか1項に記載の電池ヒータ。
【請求項9】
前記基材の中央部分に配置されている前記ヒータ線の密度は、前記中央部分以外の前記基材の外側部分に配置されている前記ヒータ線の密度よりも小さい
請求項8に記載の電池ヒータ。
【請求項10】
前記電池筐体は、燃料電池である
請求項1~9のいずれか1項に記載の電池ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池筐体を放熱させることが可能な電池ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電池セルを加温するシートヒーターを備える電源装置が開示されている。このシートヒーターは、可撓性のある絶縁性の基材シートと、基材シートに連結されているヒータ線とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報第2020/195422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池セルは充電時に発熱するが、従来の電源装置では、充電時における電池セルの冷却対策には改善の余地がある。そこで、電池セルにヒートシンクを配置する構成が考えられるが、シートヒーターをヒートシンクの間に配置する構成の場合、基材が断熱材となるため、バッテリヒータが位置する部分からの放熱性が十分ではない、という課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、低温時に電池筐体を昇温させ、充電時に発熱した電池筐体を放熱させることができる電池ヒータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電池ヒータは、基材と、前記基材の一方面に配置されるヒータ線と、前記基材の前記一方面において前記ヒータ線の非配置部分に配置される放熱部とを備え、前記基材は、前記放熱部が電池筐体に設けられたヒートシンクに当接するように、前記電池筐体に配置される。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な側面は、システム、装置、方法、記録媒体、または、コンピュータプログラムで実現されてもよく、システム、装置、方法、記録媒体、および、コンピュータプログラムの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電池ヒータは、低温時に電池筐体を昇温させ、充電時に発熱した電池筐体を放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における電池ヒータおよび電池筐体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における電池ヒータおよび電池筐体を上から見下ろした場合を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における別の電池ヒータと電池筐体とを上から見下ろした場合を示す平面図である。
【
図4A】
図4Aは、(a)が
図2のA-A線における電池ヒータおよび電池筐体の断面図、(b)が
図2のA-A線における電池ヒータが発熱して電池筐体を温める様子を示した断面図、(c)が
図2のA-A線における電池ヒータが電池筐体の熱を放熱させる様子を示した断面図である。
【
図4B】
図4Bは、(a)が比較例の電池ヒータおよび電池筐体の断面図、(b)が比較例の電池ヒータが発熱して電池筐体を温める様子を示した断面図、(c)が比較例の電池ヒータが電池筐体の熱を放熱させる様子を示した断面図である。
【
図5】
図5は、その他変形例における電池ヒータおよび電池筐体を示した断面図である。
【
図6】
図6は、その他変形例における電池ヒータおよび電池筐体を上から見下ろした場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る電池ヒータは、基材と、前記基材の一方面に配置されるヒータ線と、前記基材の前記一方面において前記ヒータ線の非配置部分に配置される放熱部とを備え、前記基材は、前記放熱部が電池筐体に設けられたヒートシンクに当接するように、前記電池筐体に配置される。
【0011】
これによれば、電池筐体の使用環境が低温である場合、ヒータ線が発熱することで電池筐体を温めることができる。
【0012】
また、基材の一方面を電池筐体と対向するように電池ヒータを電池筐体に配置すれば、放熱部と電池筐体とを接触させることができる。これにより、充電時に電池筐体が発熱しても、放熱部は、電池筐体の熱をヒートシンクに伝導させることができる。
【0013】
したがって、電池ヒータは、低温時に電池筐体を昇温させ、充電時に発熱した電池筐体を放熱させることができる。
【0014】
また、電池ヒータにおいて、前記放熱部は、金属で構成され、通電させない。
【0015】
放熱部は、金属で構成されているため、熱伝導性に優れている。また、放熱部は、通電させないため、ショートさせずにヒートシンクに当接することができる。これにより、放熱部は、電池筐体の熱をヒートシンクに良好に伝導させることができるため、電池筐体をより放熱させることができる。
【0016】
また、電池ヒータにおいて、前記放熱部は、一部が前記ヒータ線と並走して前記基材の前記一方面に配置される導線で構成された放熱線である。
【0017】
これによれば、ヒータ線を基材に配置する工程と同様に放熱部も基材に配置することができる。このため、放熱部における基材への組付け工程の複雑化を抑制することができる。
【0018】
また、ヒータ線は均等に発熱するように配置されるため、ヒータ線と並走する放熱線は、均等に電池筐体を放熱させることができる。その結果、電池筐体における放熱ムラを抑制することができる。
【0019】
また、電池ヒータにおいて、前記放熱部は、銅、または銅合金からなる。
【0020】
これによれば、金属の中で比抵抗が小さく熱伝導が良好な銅を放熱部として用いることで、放熱部が線状であっても有効に放熱することができる。
【0021】
また、電池ヒータにおいて、前記基材は、前記放熱部が配置される端部において、前記一方面の一部が前記ヒートシンクの壁面に沿って折れ曲げられた状態で前記電池筐体に配置される。
【0022】
これによれば、放熱部の端部がより確実にヒートシンクに当接できる。このため、放熱部は、電池筐体の熱をヒートシンクに伝導させることで、電池筐体を放熱させることができる。
【0023】
また、電池ヒータにおいて、前記ヒータ線は、表面が絶縁材で被覆されており、前記基材は、前記一方面が前記電池筐体と対向するように前記電池筐体に配置される。
【0024】
これによれば、ヒータ線が電池筐体と対向するように配置されるため、ヒータ線の熱を有効に電池筐体に伝導させることができる。また、放熱部も電池筐体と対向するように配置されるため、電池筐体を有効に放熱させることができる。
【0025】
また、電池ヒータにおいて、前記基材の前記一方面には、前記ヒータ線と前記放熱部とを覆うように均熱部が設けられる。
【0026】
これによれば、均熱部が電池筐体の熱をならし、その熱を放熱部が吸収してヒートシンクに伝導させるため、さらに効率よく電池筐体を放熱させることができる。
【0027】
また、電池ヒータにおいて、前記基材の中央部分に配置されている前記放熱部の密度は、前記中央部分以外の前記基材の外側部分に配置されている前記放熱部の密度よりも大きい。
【0028】
これによれば、電池筐体の中央部分が他の部分に比べて放熱され難く高温になりやすくても、放熱部の密度が大きい基材の中央部分を電池筐体の中央部分と合わせるように配置することで、電池筐体の中央部分を有効に放熱させることができる。
【0029】
また、電池ヒータにおいて、前記基材の中央部分に配置されている前記ヒータ線の密度は、前記中央部分以外の前記基材の外側部分に配置されている前記ヒータ線の密度よりも小さい。
【0030】
これによれば、電池筐体の外側部分が電池筐体の中央部分に比べて放熱されやすくても、ヒータ線の密度が大きい基材の外側部分を、電池筐体の外側部分と合わせるように配置することで、電池筐体の外側部分を有効に温めることができる。
【0031】
また、電池ヒータにおいて、前記電池筐体は、燃料電池である。
【0032】
これによれば、燃料電池は発電時に発熱するため、燃料電池を放熱させることは必須であり、本開示の電池ヒータが特に望ましい。
【0033】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0036】
また、以下の実施の形態において、略平行またはシート状等の表現を用いている。例えば、略平行またはシート状は、完全に平行またはシートであることを意味するだけでなく、実質的に平行またはシートである、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行またはシート状は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行またはシートという意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0037】
(実施の形態)
<構成>
まず、電池ヒータ20を含む電池システム1の構成について
図1~
図4Aを用いて説明する。
【0038】
図1は、実施の形態における電池ヒータ20および電池筐体10を示す斜視図である。
図2は、実施の形態における電池ヒータ20および電池筐体10を上から見下ろした場合を示す平面図である。
図3は、実施の形態における別の電池ヒータ20bと電池筐体10とを上から見下ろした場合を示す平面図である。
図4Aは、(a)が
図2のA-A線における電池ヒータ20および電池筐体10の断面図、(b)が
図2のA-A線における電池ヒータ20が発熱して電池筐体10を温める様子を示した断面図、(c)が
図2のA-A線における電池ヒータ20が電池筐体10の熱を放熱させる様子を示した断面図である。なお、ヒータ線40および放熱部50は基材30の一方面に配置されているため、
図1~
図3では、ヒータ線40、放熱部50および接続部材42a、42bが基材30に隠れているが、ヒータ線40と放熱部50とを区別するため、ヒータ線40および接続部材42a、42bを実線で示し、放熱部50を破線で示している。
【0039】
通常、
図1に示すような電池筐体10には、屋外に設置される電気機器および屋外に駐車される車両に搭載された電池筐体10の使用環境が低温である場合のように、電池筐体10の内部抵抗が増大して作動電圧が下がるという低温特性がある。このため、電池筐体10に電池ヒータ20を設けることで、電池ヒータ20のヒータ線40が電源からの電力によって発熱することで、電池ヒータ20は電池筐体10を温めることができる。
【0040】
このような電池システム1は、電池ヒータ20と、電池筐体10とを有している。
【0041】
[電池ヒータ20]
図2および
図4Aの(a)に示すように、電池ヒータ20は、電池筐体10を温めることが可能なように、電池筐体10に取り付けられている。電池ヒータ20は、シート状の基材30の一方面にヒータ線40および放熱部50を配置し、さらに、金属の均熱部60でヒータ線40および放熱部50を覆うように基材30の一方面側に配置された積層構造をなしている。
【0042】
具体的には、電池ヒータ20は、基材30と、ヒータ線40と、放熱部50と、均熱部60とを備えている。
【0043】
基材30は、不織布または布状のウレタンなどからなり、一方面が電池筐体10と対向するように電池筐体10に配置される。電池筐体10の載置面12に電池ヒータ20を配置する場合、基材30は、載置面12の大きさおよび形状に応じて形成されている。本実施の形態では、基材30は、複数のスリット31が形成された矩形状をなしている。
【0044】
この複数のスリット31には、電池筐体10に設けられたヒートシンク11が挿入される。このため、電池筐体10に設けられたヒートシンク11を避けるように、
図1の電池筐体10の載置面12に電池ヒータ20を配置できる。このとき、基材30の一方面にはヒータ線40と放熱部50とが設けられているため、基材30は、放熱部50が電池筐体10に設けられたヒートシンク11に当接するように、電池筐体10に配置される。
【0045】
本実施の形態では、電池筐体10を見下ろした場合、電池筐体10に長尺な4つのヒートシンク11が長手方向と直交する方向に整列して設けられているため、基材30には、2つのスリット31が形成されている。なお、ヒートシンク11の数は3つ未満でもよく、5つ以上でもよい。また、基材30のスリット31の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0046】
ヒータ線40は、銅、または銅合金等の金属線である。ヒータ線40は、直線部分と折返し部分とからなるジグザグ状のパターンが形成されるように、複数回の折返しを経て一繋ぎで基材30の一方面に縫い付けられている。例えば、ヒータ線40は、直線部分がヒートシンク11の長手方向に沿って略平行なジグザグ状のパターンであってもよい。また、
図3に示すように、電池ヒータ20bのヒータ線40は、直線部分がヒートシンク11の長手方向と直交する方向に沿って略平行なジグザグ状のパターンであってもよい。
【0047】
図2および
図4Aの(a)に示すように、ヒータ線40は、基材30の一方面に配置され、縫製糸で縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線40を基材30に固定するために、ヒータ線40の延在方向に沿ってヒータ線40を基材30に縫い付ける糸である。
【0048】
また、ヒータ線40の一端は接続部材42aに電気的に接続され、ヒータ線40の他端は接続部材42bに電気的に接続されている。接続部材42a、42bは、いずれもハーネスを介してコネクタ43に電気的に接続されている。コネクタ43には、例えば車載バッテリ等の電源が電気的に接続されている。したがって、各ヒータ線40には、電源からコネクタ43および接続部材42a、42bを介して電力が供給される。
【0049】
また、ヒータ線40は、導線の表面が絶縁材によって被覆された構成である。このため、ヒータ線40は、均熱部60と電気的に接続されない。
【0050】
放熱部50は、銅、または銅合金等の導線で構成された放熱線である。具体的には、放熱部50は、一部がヒータ線40と並走して基材30の一方面に配置された放熱線である。
【0051】
また、放熱部50は、電池筐体10に設けられたヒートシンク11に当接するように、電池筐体10に配置される。具体的には、放熱部50の端部は、ヒートシンク11の表面に接触しており、ヒートシンク11と熱的に接続されている状態である。このため、放熱部50は、電池筐体10が発熱した際に発生した熱をヒートシンク11に伝導させることができる。なお、放熱部50の端部は、ヒートシンク11と単に当接しているだけでもよく、溶接することでヒートシンク11に連結されてもよい。
【0052】
また、放熱部50は、基材30の一方面においてヒータ線40の非配置部分に配置される。つまり、放熱部50は、直線部分と折返し部分とからなるジグザグ状のパターンが形成されるように、複数回の折返しを経て一繋ぎで基材30の一方面に縫い付けられている。なお、放熱部50は、基材30にプレスされることで基材30の一方面に配置してもよい。放熱部50は、ヒータ線40のパターンに沿って配置されているため、ヒータ線40と同様に、直線部分がヒートシンク11の長手方向に沿って略平行なジグザグ状のパターンであってもよい。また、
図3に示すように、放熱部50は、直線部分がヒートシンク11の長手方向と直交する方向に沿って略平行なU字状のパターンであってもよい。この場合、
図2の場合よりも放熱部50の端部をより多く基材30の一方面に配置することができるため、
図2の場合よりも放熱部50の端部をヒートシンク11に当接させることで、接点数を増加させることができる。このため、
図3の場合、より放熱性を向上させることができる。
【0053】
また、
図2および
図4Aの(a)に示すように、放熱部50は、金属で構成され、通電させない。つまり、放熱部50は、ヒータ線40と電気的に接続されておらず、電源からの電力の供給がされない。このため、放熱部50は、電源に対しショートすることなくヒートシンク11と当接することができる。
【0054】
均熱部60は、ヒータ線40と放熱部50とを覆うように、基材30の一方面に配置されている。均熱部60は、金属で構成されている。例えば、均熱部60は、金属テープであるが、金属シート、金属板であってもよい。均熱部60は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、銅合金等である。
【0055】
電池筐体10の載置面12に電池ヒータ20を配置する場合、均熱部60は、電池筐体10の載置面12と接触する。このため、均熱部60は、電池筐体10の熱をヒータ線40に伝導させることができる。これにより、電池筐体10の熱をヒートシンク11に伝導させることができる。
【0056】
[電池筐体10]
電池筐体10は、正極と負極とを有する複数の電池セルからなる電池ブロックを内部に収容した電池である。電池筐体10は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池または燃料電池である。電池筐体10は、車両の駆動装置に電力を供給することができる。
【0057】
電池筐体10には、矩形状をなし、所定の面にヒートシンク11が設けられている。ヒートシンク11は、電池筐体10に連結され、所定方向に沿って延びる板状または棒状の長尺な金属である。ヒートシンク11は、電池筐体10の構成要素に含まれていてもよい。また、ヒートシンク11は、電池筐体10の構成要素に含まれていなくてもよい。この場合、ヒートシンク11は、電池システム1の構成要素に含まれていてもよい。
【0058】
<比較例の電池ヒータ120および本実施の形態の電池ヒータ20の動作>
次に、比較例の電池ヒータ120について
図4Bを用いて説明する。
【0059】
図4Bは、(a)が比較例の電池ヒータ120および電池筐体110の断面図、(b)が比較例の電池ヒータ120が発熱して電池筐体110を温める様子を示した断面図、(c)が比較例の電池ヒータ120が電池筐体110の熱を放熱させる様子を示した断面図である。
【0060】
図4Bの(a)に示すように、比較例の電池ヒータ120は、ヒートシンク111が設けられた電池筐体110に配置される。電池ヒータ120は、シート状の基材130の一方面にヒータ線140を配置し、さらに、金属テープ160でヒータ線140を覆うように基材130の一方面側に配置された積層構造をなしている。
【0061】
図4Bの(b)に示すように、電池筐体110の使用環境が低温である場合、比較例の電池ヒータ120のヒータ線140が発熱することで、金属テープ160を温めるため、金属テープ160が電池筐体110を略均一に温めることができる。
【0062】
そして、
図4Bの(c)に示すように、充電にともなって電池筐体110が発熱すると、ヒートシンク111から放熱されるため、電池筐体110を放熱できる。
【0063】
次に、本実施の形態の電池ヒータ20について
図4Aを用いて説明する。
【0064】
図4Aの(b)に示すように、本実施の形態の電池ヒータ20では、電池筐体10の使用環境が低温である場合、本実施の形態の電池ヒータ20のヒータ線40が発熱することで均熱部60を温めるため、均熱部60が電池筐体10を略均一に温めることができる。
【0065】
そして、
図4Aの(c)に示すように、充電にともなって電池筐体10が発熱すると、ヒートシンク11から電池筐体10の熱が伝導して放熱されるとともに、電池筐体10の熱が均熱部60および放熱部50のこの並び順で伝導した後に、ヒートシンク11に伝導される。また、電池筐体10が発熱すると、ヒートシンク11から放熱されるため、電池筐体10を放熱できる。このように、ヒートシンク11は、電池筐体10を直接的に放熱させることができるとともに、均熱部60および放熱部50経由で放熱させることができるため、電池筐体10をより放熱させることができる。
【0066】
これにより、本実施の形態では、
図4Bの比較例に比べて放熱効果が高い。
【0067】
<作用効果>
次に、本実施の形態における電池ヒータ20の作用効果について説明する。
【0068】
上述したように、本実施の形態の電池ヒータ20は、基材30と、基材30の一方面に配置されるヒータ線40と、基材30の一方面においてヒータ線40の非配置部分に配置される放熱部50とを備える。そして、基材30は、放熱部50が電池筐体10に設けられたヒートシンク11に当接するように、電池筐体10に配置される。
【0069】
これによれば、電池筐体10の使用環境が低温である場合、ヒータ線40が発熱することで電池筐体10を温めることができる。
【0070】
また、基材30の一方面を電池筐体10と対向するように電池ヒータ20を電池筐体10に配置すれば、放熱部50と電池筐体10とを接触させることができる。これにより、充電時に電池筐体10が発熱しても、放熱部50は、電池筐体10の熱をヒートシンク11に伝導させることができる。
【0071】
したがって、電池ヒータ20は、低温時に電池筐体10を昇温させ、充電時に発熱した電池筐体10を放熱させることができる。
【0072】
また、本実施の形態の電池ヒータ20は、放熱部50は、金属で構成され、通電させない。
【0073】
放熱部50は、金属で構成されているため、熱伝導性に優れている。また、放熱部50は、通電させないため、ショートさせずにヒートシンク11に当接することができる。これにより、放熱部50は、電池筐体10の熱をヒートシンク11に良好に伝導させることができるため、電池筐体10をより放熱させることができる。
【0074】
また、本実施の形態の電池ヒータ20は、放熱部50は、一部がヒータ線40と並走して基材30の一方面に配置される導線で構成された放熱線である。
【0075】
これによれば、ヒータ線40を基材30に配置する工程と同様に放熱部50も基材30に配置することができる。このため、放熱部50における基材30への組付け工程の複雑化を抑制することができる。
【0076】
また、ヒータ線40は均等に発熱するように配置されるため、ヒータ線40と並走する放熱線は、均等に電池筐体10を放熱させることができる。その結果、電池筐体10における放熱ムラを抑制することができる。
【0077】
また、本実施の形態の電池ヒータ20は、放熱部50は、銅、または銅合金からなる。
【0078】
これによれば、金属の中で比抵抗が小さく熱伝導が良好な銅を放熱部50として用いることで、放熱部50が線状であっても有効に放熱することができる。
【0079】
また、本実施の形態の電池ヒータ20は、ヒータ線40は、表面が絶縁材で被覆されており、基材30は、一方面が電池筐体10と対向するように電池筐体10に配置される。
【0080】
これによれば、ヒータ線40が電池筐体10と対向するように配置されるため、ヒータ線40の熱を有効に電池筐体10に伝導させることができる。また、放熱部50も電池筐体10と対向するように配置されるため、電池筐体10を有効に放熱させることができる。
【0081】
また、本実施の形態の電池ヒータ20は、基材30の一方面には、ヒータ線40と放熱部50とを覆うように均熱部60が設けられる。
【0082】
これによれば、均熱部60が電池筐体10の熱をならし、その熱を放熱部50が吸収してヒートシンク11に伝導させるため、さらに効率よく電池筐体10を放熱させることができる。
【0083】
また、本実施の形態の電池ヒータ20において、電池筐体10は、燃料電池である。
【0084】
これによれば、燃料電池は発電時に発熱するため、燃料電池を放熱させることは必須であり、本開示の電池ヒータ20が特に望ましい。
【0085】
<その他の変形例>
以上、本開示に係る電池ヒータについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0086】
例えば、本実施の形態に係る電池ヒータにおいて、
図5を用いて説明する。
図5は、その他変形例における電池ヒータ20cおよび電池筐体10を示した断面図である。
図5に示すように、ヒートシンク11の壁面に接する基材30の端縁は、ヒートシンク11の壁面に沿って折れ曲げられた状態で電池筐体10に配置されていてもよい。また、放熱部50の端部は、折れ曲げられた状態でヒートシンク11の壁面に当接していてもよい。つまり、基材30の端縁に第1折り曲げ部33が形成され、放熱部50の端縁に第2折り曲げ部53が形成されている。このため、放熱部50はヒートシンク11との接触面積を増やすことができている。このような、本実施の形態に係る電池ヒータ20cにおいて、基材30は、放熱部50が配置される端部において、一方面の一部がヒートシンク11の壁面に沿って折れ曲げられた状態で電池筐体10に配置される。これによれば、放熱部50の端部がより確実にヒートシンク11に当接できる。このため、放熱部50は、電池筐体10の熱をヒートシンク11に伝導させることで、電池筐体10を放熱させることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る電池ヒータ20dにおいて、
図6を用いて説明する。
図6は、その他変形例における電池ヒータ20dおよび電池筐体10を上から見下ろした場合を示す平面図である。
図6に示すように、基材30の中央部分R1を電池筐体10の載置面12の中央部分に対応するように、電池ヒータ20dを電池筐体10に配置してもよい。このような、本実施の形態に係る電池ヒータ20dにおいて、基材30の中央部分R1に配置されている放熱部50の密度は、中央部分R1以外の基材30の外側部分R2に配置されている放熱部50の密度よりも大きい。これによれば、電池筐体10の中央部分が外側部分R2に比べて放熱され難く高温になりやすくても、放熱部50の密度が大きい基材30の中央部分R1を電池筐体10の中央部分と合わせるように配置することで、電池筐体10の中央部分を有効に放熱させることができる。
【0088】
また、本実施の形態に係る電池ヒータ20dにおいて、
図6に示すように、基材30の中央部分R1に配置されているヒータ線40の密度は、中央部分R1以外の基材30の外側部分R2に配置されているヒータ線40の密度よりも小さい。これによれば、電池筐体10の外側部分R2が電池筐体10の中央部分に比べて放熱されやすくても、ヒータ線40の密度が大きい基材30の外側部分R2を、電池筐体10の外側部分R2と合わせるように配置することで、電池筐体10の外側部分R2を有効に温めることができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る電池ヒータは、制御回路によってその動作が制御されてもよい。例えば、温度センサが電池筐体の温度が第1所定温度(例えば0°)未満であることを検知した場合、制御回路は、温度センサの検知結果に基づいて、電池ヒータのヒータ線に電力を供給し、電池筐体を温めてもよい。また、電池筐体の温度が第1所定温度以上になれば、ヒータ線への電力の供給を停止してもよい。
【0090】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、例えば低温となる使用環境で使用される電気機器および車両に装備されている電源装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 電池筐体
11 ヒートシンク
20、20b、20c、20d 電池ヒータ
30 基材
40 ヒータ線
50 放熱部
60 均熱部
R1 基材の中央部分
R2 基材の外側部分