(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012754
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】吊り足場設置装置および吊り足場設置方法
(51)【国際特許分類】
E04G 3/24 20060101AFI20230119BHJP
E04G 5/08 20060101ALI20230119BHJP
E04G 7/34 20060101ALI20230119BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
E04G3/24 302H
E04G5/08 B
E04G5/08 R
E04G7/34 305C
E01D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116413
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】520358645
【氏名又は名称】株式会社SysaPlanning
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059EE10
(57)【要約】
【課題】吊り足場を簡単に設置できる吊り足場設置装置および吊り足場設置方法を提供することである。
【解決手段】本発明の吊り足場設置装置は、ハンガーレールと、吊り車と、吊り車に吊り下げられる送り出し装置と、吊り足場と、を備える。吊り足場は、矩形状の第1支持部と、矩形状であって、長辺方向における両端部が互いに近づくように折り畳み可能な第2支持部と、第1支持部および第2支持部を互いに直交するように連結可能な支柱と、第1支持部および第2支持部のそれぞれの上に配置される足場板と、支柱に取り付けられる第1吊り金具と、を備える。送り出し装置から吊り下げられた吊り具を第1吊り金具に取り付けた状態で、ハンガーレールに沿って送り出し装置を送り出し、第2支持部を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする。本発明の吊り足場設置方法は、上記した本発明の吊り足場設置装置を用いた方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に位置する複数のハンガーレールと、
前記ハンガーレールの内部を走行する複数の吊り車と、
前記ハンガーレールに沿って延びており、前記吊り車に吊り下げられる複数の送り出し装置と、
前記送り出し装置よりも下方に吊り下げられる吊り足場と、を備え、
前記吊り足場は、
矩形状の第1支持部と、
矩形状であって、長辺方向における両端部が互いに近づくように折り畳み可能な第2支持部と、
前記第1支持部および前記第2支持部を互いに直交するように連結可能な支柱と、
前記第1支持部および前記第2支持部のそれぞれの上に配置される足場板と、
前記支柱に取り付けられる第1吊り金具と、をそれぞれ複数備え、
前記複数のハンガーレールは、前記第1支持部の長辺方向に沿って隣り合い、且つ、前記支柱の上方に位置し、
前記第2支持部は、前記ハンガーレールに沿って位置し、
前記送り出し装置から吊り下げられた吊り具を前記第1吊り金具に取り付けた状態で、前記ハンガーレールに沿って前記送り出し装置を送り出し、前記第2支持部を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする、吊り足場設置装置。
【請求項2】
前記送り出し装置は、アルミニウム製である、請求項1に記載の吊り足場設置装置。
【請求項3】
前記送り出し装置は、前記吊り具を吊り下げるための第2吊り金具を先端部に有する、請求項1または2に記載の吊り足場設置装置。
【請求項4】
前記送り出し装置は、
矩形状の支持枠と、
前記支持枠が有する4つの辺のうち2つの辺に架け渡される柱状の支持材と、を有する、請求項1~3のいずれかに記載の吊り足場設置装置。
【請求項5】
前記送り出し装置は、
矩形状の第1装置と、
前記第1装置よりも後方で前記第1装置に連結される矩形状の第2装置と、を有する、請求項1~4のいずれかに記載の吊り足場設置装置。
【請求項6】
前記第2装置は、前記第1装置に回動可能に連結される、請求項5に記載の吊り足場設置装置。
【請求項7】
前記ハンガーレールは、長手方向に連結可能な複数のレール片で構成される、請求項1~6のいずれかに記載の吊り足場設置装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の吊り足場設置装置を用いた吊り足場設置方法であって、
前記送り出し装置から吊り下げられた吊り具を前記第1吊り金具に取り付けた状態で、前記ハンガーレールに沿って前記送り出し装置を送り出し、前記第2支持部を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする工程と、
伸ばした第2支持部と、この第2支持部に隣り合う前記第1支持部の上に、前記足場板を配置する工程と、を備える、吊り足場設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架高速道路、橋梁等の建設工事や補修工事等に使用される吊り足場の設置装置および設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高架高速道路、橋梁等の下部の建設工事や補修工事等では、吊り足場を設けている。吊り足場としては、橋桁に複数のチェーンを固定し、これらのチェーンの下端に足場板を接続し、複数の足場板を水平方向に順次連結して形成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。吊り足場は、簡単に設置できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、吊り足場を簡単に設置できる吊り足場設置装置および吊り足場設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吊り足場設置装置は、並列に位置する複数のハンガーレールと、前記ハンガーレールの内部を走行する複数の吊り車と、前記ハンガーレールに沿って延びており、前記吊り車に吊り下げられる複数の送り出し装置と、前記送り出し装置よりも下方に吊り下げられる吊り足場と、を備える。前記吊り足場は、矩形状の第1支持部と、矩形状であって、長辺方向における両端部が互いに近づくように折り畳み可能な第2支持部と、前記第1支持部および前記第2支持部を互いに直交するように連結可能な支柱と、前記第1支持部および前記第2支持部のそれぞれの上に配置される足場板と、前記支柱に取り付けられる第1吊り金具と、をそれぞれ複数備える。前記複数のハンガーレールは、前記第1支持部の長辺方向に沿って隣り合い、且つ、前記支柱の上方に位置する。前記第2支持部は、前記ハンガーレールに沿って位置する。前記送り出し装置から吊り下げられた吊り具を前記第1吊り金具に取り付けた状態で、前記ハンガーレールに沿って前記送り出し装置を送り出し、前記第2支持部を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする。
【0006】
本発明の吊り足場設置方法は、上記した本発明の吊り足場設置装置を用いた方法であって、前記送り出し装置から吊り下げられた吊り具を前記第1吊り金具に取り付けた状態で、前記ハンガーレールに沿って前記送り出し装置を送り出し、前記第2支持部を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする工程と、伸ばした第2支持部と、この第2支持部に隣り合う前記第1支持部の上に、前記足場板を配置する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吊り足場設置装置によれば、吊り足場を簡単に設置できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置装置を示す概略側面図である。
【
図2】
図1に示す吊り足場設置装置の概略斜視図である。
【
図3】
図2に示す吊り足場設置装置からハンガーレールおよび送り出し装置等を除いた状態を拡大した図である。
【
図4】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における第2支持部を折り畳んだ状態の平面図であり、(b)は、(a)の第2支持部を伸ばした状態の平面図である。
【
図5】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における第1支持部を第1取付部に取り付けた状態の部分拡大図であり、(b)は、第2支持部を第2取付部に取り付けた状態の部分拡大図である。
【
図6】
図1に示す吊り足場設置装置における吊り足場から足場板等を除いた状態の分解斜視図である。
【
図7】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における支柱、ジョイント棒および吊り金具の側面図であり、(b)は、(a)から吊り金具を除いた状態の拡大平面図である。
【
図8】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における足場板の部分拡大断面図であり、(b)は、第2支持部と足場板の部分拡大断面図である。
【
図9】
図1に示す吊り足場設置装置における第3支持部を第1支持部に取り付けた状態の部分拡大図である。
【
図10】
図1に示す吊り足場設置装置におけるハンガーレールの断面図である。
【
図11】
図1に示す吊り足場設置装置におけるハンガーレールおよび送り出し装置の部分拡大側面図であって、(a)は、送り出し装置の先端部周辺の図であり、(b)は、送り出し装置の中央部周辺の図であり、(c)は、送り出し装置の後方部周辺の図である。
【
図12】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における送り出し装置の側面図であり、(b)は、(a)の平面図であり、(c)は、(a)の部分拡大図である。
【
図13】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における第1支持部の側面図であり、(b)は、(a)の平面図である。
【
図14】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における第2支持部の側面図であり、(b)は、(a)の平面図であり、(c)は、(b)の第2支持部を折り畳んだ状態の平面図である。
【
図15】(d)は、
図14(a)の部分拡大図であり、(e)は、(d)の蝶番構造におけるジョイントリングの斜視図である。
【
図16】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における支柱の側面図であり、(b)は、(a)の拡大平面図である。
【
図17】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における足場板の平面図であり、(b)は、(a)のa-a断面図であり、(c)は、(a)のb-b断面図であり、(d)は、(a)のc-c断面図である。
【
図18】(e)は、
図17(a)に示す足場板における手架の概略説明図であり、(f)は、
図17(a)のd-d断面図であり、(g)は、(f)の表面の部分拡大図である。
【
図19】
図1に示す吊り足場設置装置における吊り金具の斜視図である。
【
図20】(a)は、
図1に示す吊り足場設置装置における第3支持部の側面図であり、(b)は、(a)の平面図であり、(c)は、(b)の第3支持部を折り畳んだ状態の平面図であり、(d)は、(a)の部分拡大図である。
【
図21】(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置方法の一工程を示す概略図である。
【
図22】(c)および(d)は、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置方法の一工程を示す概略図である。
【
図23】(e)は、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置方法の一工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<吊り足場設置装置>
以下、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1~
図20に示す本実施形態の吊り足場設置装置10は、吊り足場1を設置する装置である。設置される吊り足場1は、高架高速道路、橋梁等の下部の建設工事や補修工事等に使用できる。例えば、
図1に示すように、高速道路の高架橋100の下に吊り足場1を設置してもよい。
【0011】
吊り足場設置装置10は、
図1および
図11に示すように、ハンガーレール11、吊り車12、送り出し装置13および吊り足場1を備える。
【0012】
ハンガーレール11は、上方から吊り下げられてもよい。本実施形態のハンガーレール11は、高架橋100の下から吊り具101で吊り下げられる。吊り具101としては、例えば、チェーン、ワイヤー等が挙げられる。
【0013】
本実施形態のハンガーレール11は、高架橋100の下から直接吊り下げられる。なお、ハンガーレール11は、高架橋100の下に直接取り付けてもよい。また、ハンガーレール11は、高架橋100の下に取り付けられた桁から吊り下げられてもよい。桁としては、例えば、I形鋼、H形鋼等が挙げられる。
【0014】
吊り足場設置装置10は、ハンガーレール11を複数備える。複数のハンガーレール11は、
図2に示すように、並列に位置する。なお、ハンガーレール11の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。一例として、ハンガーレール11の数は、2以上8以下であってもよい。
【0015】
吊り足場設置装置10は、
図10および
図11に示すように、ハンガーレール11に取り付けられる上吊り金具14を複数備えてもよい。ハンガーレール11は、上吊り金具14を介して上方から吊り下げられてもよい。上吊り金具14は、吊り具101を取り付けるための部位としてリング部14aを有してもよい。リング部14aとしては、例えば、Iナット、Iボルト等が挙げられる。なお、上吊り金具14の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。
【0016】
吊り車12は、ハンガーレール11の内部を走行する。より具体的には、吊り車12は、ハンガーレール11の内部に収容されて、ハンガーレール11の内部を走行する。吊り足場設置装置10は、吊り車12を複数備える。なお、吊り車12の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。
【0017】
送り出し装置13は、ハンガーレール11に沿って延びており、吊り車12に吊り下げられる。送り出し装置13は、矩形状の部材であってもよい。より具体的には、
図12に示すように、送り出し装置13は、長辺13aおよび短辺13bを有する矩形状の部材であってもよい。送り出し装置13は、長辺13aがハンガーレール11に沿って位置するように吊り車12に吊り下げられてもよい。なお、送り出し装置13の形状は、矩形状に限定されない。
【0018】
吊り足場設置装置10は、
図2に示すように、送り出し装置13を複数備える。なお、送り出し装置13の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。送り出し装置13の数は、ハンガーレール11の数と同じであってもよい。
【0019】
吊り足場1は、送り出し装置13よりも下方に吊り下げられる。吊り足場1は、ハンガーレール11に吊り下げられてもよい。例えば、吊り足場設置装置10は、
図10および
図11に示すように、ハンガーレール11に取り付けられる下吊り金具15を複数備えてもよい。また、吊り足場1は、下吊り金具15を介してハンガーレール11に吊り下げられてもよい(
図1参照)。なお、下吊り金具15は、上吊り金具14と同様に、吊り具101を取り付けるための部位としてリング部15aを有してもよい。下吊り金具15の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。
【0020】
図3に示すように、吊り足場1は、第1支持部2、第2支持部3、支柱4、足場板5および第1吊り金具6をそれぞれ複数備える。
【0021】
第1支持部2および第2支持部3は、足場板5を下方から支持する部材である。また、第1支持部2および第2支持部3は、矩形状の部材である。より具体的には、
図13および
図14に示すように、第1支持部2および第2支持部3は、長辺2a、3aおよび短辺2b、3bを有する矩形状の部材である。第1支持部2および第2支持部3は、長辺2a、3aに沿った上部2c、3c(上面)で足場板5を支持する。
【0022】
第1支持部2および第2支持部3のそれぞれの数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。第1支持部2および第2支持部3のそれぞれの数は、形成する吊り足場1の大きさに応じて所望の数に設定すればよい。
【0023】
第2支持部3は、
図14に示すように、長辺方向3Aにおける両端部3dが互いに近づくように折り畳み可能である。言い換えれば、第2支持部3は、短辺3bに沿った両端部3dが互いに近づくように折り畳み可能である。
【0024】
第2支持部3は、
図14および
図15に示すように、蝶番構造3H1(ヒンジ構造)によって折り畳み可能に構成されてもよい。蝶番構造3H1は、ジョイントリング32、筒部31aおよびジョイント棒33で構成される。具体的に説明すると、本実施形態では、第2支持部3が、矩形状の2つの支持片31と、2つの支持片31を連結するジョイントリング32と、を有する。ジョイントリング32は、外周面同士が互いに接続された一対の筒状の部材からなる。また、支持片31の短辺に沿った端部は、ジョイントリング32を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合う一対の筒部31aを有する。筒部31aの穴は、ジョイントリング32の穴と連通可能である。そして、第2支持部3は、筒部31aおよびジョイントリング32のそれぞれの穴に挿通されるジョイント棒33(連結棒)を2つ有する。
【0025】
これらの構成によれば、まず、一対の筒部31aの間にジョイントリング32を位置させて、筒部31aおよびジョイントリング32のそれぞれの穴を連通状態にし、次に、これらの穴にジョイント棒33を挿通させると、2つの支持片31がジョイントリング32で連結される。連結された2つの支持片31は、ジョイントリング32を中心に回動可能となる。それゆえ、第2支持部3は、長辺方向3Aにおける両端部3dが互いに近づくように折り畳み可能となる。
【0026】
なお、筒部31aおよびジョイントリング32の間にワッシャー等を介在させてもよい。また、ジョイント棒33が筒部31aから抜け出すことをボルトおよびナット等で防止してもよい。
【0027】
支柱4は、
図4、
図6に示すように、第1支持部2および第2支持部3を互いに直交するように連結可能な部材である。「直交」は、実質的に直交であればよい。また、支柱4の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。支柱4の数は、連結する第1支持部2および第2支持部3の数に応じて設定すればよい。
【0028】
なお、第1支持部2および第2支持部3を互いに直交するように支柱4で連結し、その状態を平面視すると、第1支持部2および第2支持部3は格子状に位置する。そのため、例えば、第1支持部2を横格子、第2支持部3を縦格子と便宜的に言い換えてもよい。
【0029】
足場板5は、
図8、
図17に示すように、吊り足場1における床面を構成する部材である。足場板5は、第1支持部2および第2支持部3のそれぞれの上に配置される。より具体的には、足場板5は、第1支持部2および第2支持部3のそれぞれの長辺2a、3aに沿った上部2c、3cの上に配置される。足場板5は、天板と言い換えてもよい。
【0030】
足場板5の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。足場板5の数は、形成する吊り足場1の大きさに応じて所望の数に設定すればよい。
【0031】
第1吊り金具6は、
図1に示すように、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を取り付けるための部材である。第1吊り金具6は、
図6に示すように、支柱4に取り付けられる。また、第1吊り金具6は、上吊り金具14と同様に、吊り具101を取り付けるための部位としてリング部61を有してもよい。なお、第1吊り金具6の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。第1吊り金具6の数は、支柱4の数と同じであってもよい。
【0032】
ここで、
図2に示すように、複数のハンガーレール11は、第1支持部2の長辺方向2Aに沿って隣り合い、且つ、支柱4の上方に位置する。また、第2支持部3は、ハンガーレール11に沿って位置する。そして、
図1に示すように、吊り足場設置装置10は、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を第1吊り金具6に取り付けた状態で、ハンガーレール11に沿って矢印A方向に送り出し装置13を送り出し、第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする。
【0033】
これらの構成によれば、送り出し装置13を送り出して第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にし、その上に足場板5を配置すれば吊り足場1を形成できることから、吊り足場1を簡単に設置できる。
【0034】
送り出し装置13は、アルミニウム製であってもよい。「アルミニウム製」とは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されること意味する。送り出し装置13がアルミニウム製である場合には、送り出し装置13が軽量になるため、送り出し装置13を送り出す際の負担を軽減できる。
【0035】
なお、送り出し装置13がアルミニウム製である場合には、送り出し装置13は実質的にアルミニウム製であればよい。「実質的にアルミニウム製」とは、構成要素の大部分がアルミニウム製であることを意味する。例えば、送り出し装置13は、後述する支持枠132および支持材133が、アルミニウム製の押出形材(押出型材)からなるホロー材(中空形材)で形成されてもよく、また、後述するジョイント棒137がスチール製であってもよい。なお、送り出し装置13は、スチール製、ステンレス製等であってもよい。
【0036】
送り出し装置13は、
図11(a)に示すように、吊り具101を吊り下げるための第2吊り金具131を先端部に有してもよい。第2吊り金具131は、上吊り金具14と同様に、吊り具101を取り付けるための部位としてリング部131aを有してもよい。
【0037】
送り出し装置13は、
図12に示すように、矩形状の支持枠132と、支持枠132が有する4つの辺のうち2つの辺に架け渡される柱状の支持材133と、を有してもよい。この場合には、送り出し装置13の強度を維持しつつ、送り出し装置13を軽量にできるため、送り出し装置13を送り出す際の負担を軽減できる。また、送り出し装置13を作業員が把持しやすくなる。
【0038】
支持枠132は、4つの辺として2つの長辺132a(上枠および下枠)と2つの短辺132b(縦枠)を有する。支持材133は、2つの長辺132aの間、2つの短辺132bの間、長辺132aおよび短辺132bの間に架け渡されてもよい。例えば、2つの長辺132aの間に支持材133が架け渡される場合には、支持材133は、短辺132bと平行であってもよく、また、短辺132bに対して傾斜してもよい。支持材133は、トラス構造を形成するように、2つの長辺132aの間に架け渡されてもよい。支持材133の数は、1つであってもよく、また、複数であってもよい。支持材133の数が複数の場合には、支持材133の数は、例えば、2以上20以下であってもよい。
【0039】
なお、送り出し装置13は、その機能を奏する限り、例示した形状に限定されない。送り出し装置13は、例えば、矩形板状、トラス構造を有する形状等であってもよい。
【0040】
送り出し装置13は、矩形状の第1装置134と、第1装置134よりも後方で第1装置134に連結される矩形状の第2装置135と、を有してもよい。この場合には、送り出し装置13を吊り下げるスペースに応じて、送り出し装置13の長さを調節できる。
【0041】
例えば、送り出し装置13を橋脚の近くで吊り下げる場合には、送り出し装置13を吊り下げるためのスペースが狭い(
図21(a)参照)。このような場合には、第1装置134のみを吊り下げることができる。また、吊り足場1を水平方向に設置していくと、送り出し装置13を吊り下げるためのスペースが広くなる(
図21(b)参照)。このような場合には、第2装置135を第1装置134に連結させて、送り出し装置13の長さを長くすることができる(
図22(c)参照)。送り出し装置13の長さを長くすると、例えば、送り出し装置13を把持できる領域が増えるため、送り出し装置13を送り出しやすくなる。
【0042】
第2装置135は、第1装置134に回動可能に連結されてもよい。この場合には、第1装置134との連結箇所に加わる負荷が吸収されやすく、送り出し装置13を安定して送り出せる。
【0043】
第2装置135は、
図12に示すように、蝶番構造13Hによって第1装置134に回動可能に連結されてもよい。この蝶番構造13Hとしては、上記した蝶番構造3H1と同じ構造が挙げられる。すなわち、蝶番構造13Hは、ジョイントリング136、筒部134a、135aおよびジョイント棒137で構成される。具体的に説明すると、本実施形態の送り出し装置13は、第1装置134および第2装置135を連結するジョイントリング136を有する。ジョイントリング136は、外周面同士が互いに接続された一対の筒状の部材からなる。
【0044】
また、第1装置134の短辺に沿った端部は、ジョイントリング136を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合う一対の筒部134aを有する。同様に、第2装置135の短辺に沿った端部は、ジョイントリング136を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合う一対の筒部135aを有する。筒部134a、135aの穴は、ジョイントリング136の穴と連通可能である。そして、送り出し装置13は、筒部134a、135aおよびジョイントリング136のそれぞれの穴に挿通されるジョイント棒137を2つ有する。
【0045】
これらの構成によれば、まず、一対の筒部134aの間および一対の筒部135aの間にジョイントリング136を位置させて、筒部134a、135aおよびジョイントリング136のそれぞれの穴を連通状態にし、次に、これらの穴にジョイント棒137を挿通させると、第2装置135が第1装置134に連結される。第1装置134に連結された第2装置135は、ジョイントリング136を中心に回動可能となる。
【0046】
なお、ジョイントリング136および筒部134a、135aは、アルミニウム製、ステンレス製、スチール製等であってもよい。ジョイント棒137は、スチール製、アルミニウム製、ステンレス製等であってもよい。
【0047】
送り出し装置13の長辺方向13Aにおける最大幅W13は、5000mm以上6000mm以下であってもよい。また、送り出し装置13の短辺方向13Bにおける最大高さH13は、250mm以上600mm以下であってもよい。送り出し装置13の厚みD13は、20mm以上60mm以下であってもよい。なお、厚みD13は、第2吊り金具131を除いた値である。
【0048】
図1に示すように、ハンガーレール11は、長手方向に連結可能な複数のレール片111で構成されてもよい。この場合には、レール片111を連結させることによって、吊り足場1を設置する方向に向かってハンガーレール11を伸ばすことができる。
【0049】
レール片111の長さL111は、900mm以上3000mm以下であってもよい。複数のレール片111のそれぞれの長さL111は、同じであってもよく、また、異なってもよい。複数のレール片111は、ボルトおよびナット等で連結されてもよい。なお、レール片111の数は、複数であればよく、特定の数に限定されない。
【0050】
吊り足場設置装置10は、
図10および
図11に示すように、ハンガーレール11を受けるハンガーレール受け16を有してもよい。上吊り金具14および下吊り金具15は、ハンガーレール受け16を介してハンガーレール11に取り付けられてもよい。また、吊り足場設置装置10は、
図10に示すように、吊り車12の暴走防止用として、吊り車12に差し込まれるグラビティピン17を有してもよい。吊り足場設置装置10は、
図11(a)に示すように、吊り車12のストッパーとして、ハンガーレール11に取り付けられる吊り車用ストッパー18を有してもよい。
【0051】
図6に示すように、支柱4は、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43を有してもよい。支柱本体41は、第1吊り金具6を取り付け可能な筒状の部位である。また、第1取付部42は、支柱本体41の外周面に接続されており、第1支持部2の長辺方向2Aにおける端部2dを取り付け可能な筒状の部位である。第2取付部43は、支柱本体41の外周面に接続されており、第2支持部3の長辺方向3Aにおける端部3dを取り付け可能な筒状の部位である。
【0052】
支柱4が上記の構成を有する場合には、筒状の部位で支柱4が構成されることから、吊り足場1が軽量になる。そのため、吊り足場1を形成する作業の負担を軽減できる。また、第1吊り金具6を介してバランスよく支柱4を吊り下げることができる。さらに、第1支持部2および第2支持部3を比較的簡単な構造で支柱4に連結できる。
【0053】
支柱4は、アルミニウム製であってもよい。この場合には、吊り足場1がさらに軽量になる。なお、支柱4がアルミニウム製である場合には、支柱4は実質的にアルミニウム製であればよい。支柱4は、スチール製、ステンレス製等であってもよい。
【0054】
第1取付部42は、
図5(a)に示すように、第1支持部2の長辺方向2Aにおける端部2dを、蝶番構造2Hによって取り付け可能であってもよい。蝶番構造2Hは、第1取付部42、第1筒部2d1および第1ジョイント棒71で構成される。具体的に説明すると、本実施形態では、端部2dが第1筒部2d1を有する(
図6参照)。第1筒部2d1の穴は、第1取付部42の穴と連通可能である。吊り足場1は、第1筒部2d1および第1取付部42のそれぞれの穴に挿通される第1ジョイント棒71を有する。
【0055】
これらの構成によれば、まず、第1筒部2d1および第1取付部42のそれぞれの穴を連通状態にし、次に、これらの穴に第1ジョイント棒71を挿通させると、第1支持部2が第1取付部42に取り付けられる。第1取付部42に取り付けられた第1支持部2は、第1取付部42を中心に回動可能となる。これにより、第1支持部2と支柱4の連結箇所に加わる負荷が吸収されやすくなり、連結状態が安定する。
【0056】
なお、第1筒部2d1は、一対であってもよい。一対の第1筒部2d1は、第1取付部42を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合ってもよい。第1筒部2d1および第1取付部42の間には、若干の隙間が形成されてもよい。第1ジョイント棒71は、スチール製、アルミニウム製、ステンレス製等であってもよい。
【0057】
第2取付部43は、第1取付部42と同様に、第2支持部3の長辺方向3Aにおける端部3dを、
図5(b)に示す蝶番構造3H2によって取り付け可能であってもよい。蝶番構造3H2は、第2取付部43、第2筒部3d1および第2ジョイント棒72で構成される。具体的に説明すると、本実施形態では、端部3dが第2筒部3d1を有する(
図6参照)。第2筒部3d1の穴は、第2取付部43の穴と連通可能である。吊り足場1は、第2筒部3d1および第2取付部43のそれぞれの穴に挿通される第2ジョイント棒72を有する。
【0058】
これらの構成によれば、まず、第2筒部3d1および第2取付部43のそれぞれの穴を連通状態にし、次に、これらの穴に第2ジョイント棒72を挿通させると、第2支持部3が第2取付部43に取り付けられる。第2取付部43に取り付けられた第2支持部3は、第2取付部43を中心に回動可能となる。これにより、第2支持部3と支柱4の連結箇所に加わる負荷が吸収されやすくなり、連結状態が安定する。また、第2支持部3をスムーズに伸ばしやすくなる。
【0059】
なお、第2筒部3d1は、第1筒部2d1と同様に、一対であってもよい。一対の第2筒部3d1は、第2取付部43を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合ってもよい。第2筒部3d1および第2取付部43の間には、若干の隙間が形成されてもよい。第2ジョイント棒72は、スチール製、アルミニウム製、ステンレス製等であってもよい。
【0060】
支柱4は、第1取付部42および第2取付部43をそれぞれ2つ有してもよい。第1取付部42および第2取付部43は、支柱本体41の外周面の周方向に沿って等間隔で交互に位置してもよい。「等間隔」は、実質的に等しい間隔であればよい。本実施形態の支柱4は、第1取付部42および第2取付部43をそれぞれ2つ有する。そのため、吊り足場1は、第1ジョイント棒71および第2ジョイント棒72をそれぞれ2つ有する。
【0061】
第1ジョイント棒71は、ワイヤー74を介して支柱4に取り付けられてもよい。同様に、第2ジョイント棒72は、ワイヤー74を介して支柱4に取り付けられてもよい。これらの場合には、第1ジョイント棒71および第2ジョイント棒72の落下を防止できる。なお、ワイヤー74の一端は、後述する第1接続部42a、第2接続部43aにリング75を介して取り付けられてもよい(
図7参照)。
【0062】
支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43は、アルミニウム製の押出形材であってもよい。この場合には、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43が、一体に成形されるので、支柱4の強度が高くなる。また、第1取付部42および第2取付部43が、支柱本体41から脱落しにくくなる。なお、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43は、スチールパイプ、ステンレスパイプ等で構成されてもよい。
【0063】
図16に示すように、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43のそれぞれの内周面は、周方向に沿って位置する複数の凸部44を有してもよい。この場合には、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43の強度を凸部44によって維持しつつ、支柱4を軽量化できる。また、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43に軸状の部材を挿入する場合には、接触面積が小さくなるので、軸状の部材が回転しやすくなる。
【0064】
凸部44の数は、3以上15以下であってもよい。凸部44は、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43の長手方向4Aに沿って延びている。なお、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43のそれぞれの長手方向は、互いに平行であるため、同じ符号4Aを用いて説明する。
【0065】
第1取付部42の外周面は、第1取付部42の長手方向4Aに沿って延びる第1接続部42aを有してもよい。第1取付部42は、第1接続部42aを介して支柱本体41の外周面に接続されてもよい。支柱4を平面視した場合に、支柱本体41の中心41aと第1取付部42の中心42bとを結ぶ線分に対して直交する方向における第1接続部42aの幅W42aは、支柱本体41の外径D41および第1取付部42の外径D42よりも小さくてもよい。
【0066】
第2取付部43の外周面は、第1取付部42と同様に、第2取付部43の長手方向4Aに沿って延びる第2接続部43aを有してもよい。第2取付部43は、第2接続部43aを介して支柱本体41の外周面に接続されてもよい。支柱4を平面視した場合に、支柱本体41の中心41aと第2取付部43の中心43bとを結ぶ線分に対して直交する方向における第2接続部43aの幅W43aは、支柱本体41の外径D41および第2取付部43の外径D43よりも小さくてもよい。
【0067】
なお、第1接続部42aおよび第2接続部43aの幅W42a、W43aは、それぞれ4mm以上12mm以下であってもよい。また、支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43の外径D41、D42、D43は、それぞれ20mm以上60mm以下であってもよい。本実施形態では、幅W42a、W43aが同じである。また、外径D41、D42、D43も同じである。「同じ」は、実質的に同じであればよい。
【0068】
支柱本体41、第1取付部42および第2取付部43は、円筒状または多角筒状であってもよい。また、支柱本体41の長手方向4Aの長さは、第1取付部42および第2取付部43の長手方向4Aの長さよりも長くてもよい。
【0069】
第1吊り金具6は、
図19に示すように、リング部61と、リング部61に接続し、支柱本体41に挿入可能な芯棒62と、芯棒62が挿通される環状のストッパー63と、を有してもよい。芯棒62の外周面は、突起62a(枝)を有してもよい。ストッパー63は、ストッパー63の穴に開口して突起62aを挿通可能な切り欠き63aを有してもよい。ストッパー63は、突起62aよりも下方において、切り欠き63aと突起62aの位置を互いにずらした状態で、足場板5の上に配置されてもよい(
図5参照)。これらの場合には、足場板5の浮き上がりを防止できる。より具体的には、足場板5が突起62aよりも上方に浮き上がることをストッパー63で防止できる。
【0070】
なお、ストッパー63の内径は、リング部61の外径よりも小さい。言い換えれば、リング部61は、ストッパー63に挿通されない。また、ストッパー63の外径は、支柱本体41の内径よりも大きい。ストッパー63は、円環状または多角環状であってもよい。芯棒62は、支柱本体41に第1吊り金具6を取り付けるための部位としても機能する。芯棒62は、ボルトおよびナット等で支柱本体41に取り付けられてもよい。芯棒62は、スチール製、アルミニウム製、ステンレス製等であってもよい。
【0071】
ストッパー63の上面は、ツマミ63bを有してもよい。この場合には、作業員の手指でツマミ63bをつまんでストッパー63を操作できるため、ストッパー63を操作しやすくなる。
【0072】
足場板5は、矩形状の部材であってもよい。より具体的には、
図17に示すように、足場板5は、長辺5aおよび短辺5bを有する矩形状の部材であってもよい。
【0073】
第2支持部3は、足場板5の短辺方向5Bに沿って位置してもよい(
図3参照)。言い換えれば、第1支持部2は、足場板5の長辺方向5Aに沿って位置してもよい。この場合には、足場板5を配置する際の安全性が高くなる。すなわち、上記の位置関係の場合には、足場板5の長辺5aに沿った部分を作業員が把持しやすく、足場板5をバランスよく把持した状態で配置できるため、安全性が高い。
【0074】
本実施形態では、足場板5が複数配置される(
図3参照)。足場板5は、1~6枚を1セットとしてもよく、そのセットを複数準備して作業現場に搬入してもよい。そして、足場板5を連結させて、ストッパー63で足場板5の浮き上がりを防止する。
【0075】
隣り合う足場板5同士は、ジョイント構造5Hで連結させてもよい(
図8(a)参照)。具体的に説明すると、
図17に示すように、足場板5は、一方の長辺5aに沿った側面5cから外方に向かって突出した一対の第1爪部51を有してもよい。また、足場板5は、他方の長辺5aに沿った側面5cから外方に向かって突出した一対の第2爪部52を有してもよい。一対の第1爪部51は、一対の第2爪部52の間に嵌合可能である。これらの場合には、短辺方向5Bに配列した複数の足場板5が、相対する第1爪部51および第2爪部52によって互いに連結される。なお、第1爪部51および第2爪部52は、長辺方向5Aに沿って延びてもよい。
【0076】
足場板5は、短辺5bに沿った側面5dの下端から下方に向かって突出した第3爪部53を有してもよい。また、第2支持部3の長辺3aに沿った上部3cは、第3爪部53を係合可能な凹部3c1を有してもよい(
図8(b)参照)。これらの場合には、第3爪部53を凹部3c1に係合させて、足場板5の長辺方向5Aの移動(横ズレ)を防止できる。
【0077】
なお、第3爪部53が突出する「側面5dの下端」は、側面5dの下端のみならず、その周辺の領域を含んでもよい。また、第3爪部53は、断面が鉤状であってもよい。第3爪部53は、足場板5の短辺方向5Bに沿って延びてもよい。凹部3c1は、第2支持部3の長辺方向3Aに沿って延びてもよい。
【0078】
図17および
図18に示すように、足場板5の側面は、外方に向かって突出可能な手架54を有してもよい。手架54は、作業員の手指を掛けることが可能な部位である。足場板5の側面が手架54を有する場合には、足場板5を配置する際の作業性が高くなる。なお、手架54は、長辺5aに沿った側面5cに位置してもよい。また、手架54は、ジョイント構造5Hに内蔵されてもよい。
【0079】
足場板5の表面は、長辺方向5Aに沿って延びる複数の凹凸55を有してもよい(
図18(g)参照)。この場合には、複数の凹凸55が滑り止めとして機能するため、足場板5の表面で作業員が滑るのを防止できる。
【0080】
足場板5は、アルミニウム製であってもよい。この場合には、吊り足場1がさらに軽量になる。なお、足場板5がアルミニウム製である場合には、足場板5は実質的にアルミニウム製であればよい。
【0081】
足場板5は、足場本体56およびカバー材57を有してもよい(
図17(a)参照)。足場本体56は、アルミニウム製の押出形材からなる複数のホロー材56a(中空形材)で形成される。ホロー材56aは、長辺方向5Aに延びており、上記した第1爪部51および第2爪部52を有する。足場本体56は、複数のホロー材56aを短辺方向5Bに配列し、且つ、互いに嵌合して形成される。また、カバー材57は、足場本体56の長辺方向5Aにおける両端部に取り付けられる。カバー材57は、上記した第3爪部53を有する。カバー材57は、アルミニウム製である。
【0082】
本実施形態では、4枚のホロー材56aで足場本体56が形成される。また、足場本体56の長辺方向5Aにおける両端部にタッピングビスでカバー材57が取り付けられる。
【0083】
図13に示すように、第1支持部2は、矩形状の支持枠21と、支持枠21が有する4つの辺のうち2つの辺に架け渡される柱状の支持材22と、を有してもよい。また、
図14に示すように、第2支持部3は、矩形状の支持枠34と、支持枠34が有する4つの辺のうち2つの辺に架け渡される柱状の支持材35と、を有してもよい。これらの場合には、第1支持部2および第2支持部3の強度を維持しつつ、第1支持部2および第2支持部3を軽量にできるため、吊り足場1がさらに軽量になる。また、第1支持部2および第2支持部3を作業員が把持しやすくなる。
【0084】
図13に示すように、支持枠21は、4つの辺として2つの長辺21a(上枠および下枠)と、2つの短辺21b(縦枠)を有する。支持材22は、2つの長辺21aの間、2つの短辺21bの間、長辺21aおよび短辺21bの間に架け渡されてもよい。例えば、2つの長辺21aの間に支持材22が架け渡される場合には、支持材22は、短辺21bと平行であってもよく、また、短辺21bに対して傾斜してもよい。支持材22は、トラス構造を形成するように、2つの長辺21aの間に架け渡されてもよい。
【0085】
図14に示すように、支持枠34も、支持枠21と同様に、4つの辺として2つの長辺34aおよび2つの短辺34bを有する。この支持枠34に対する支持材35の関係は、上記した支持枠21と支持材22の関係と同様である。
【0086】
支持材22、35の数は、1つであってもよく、また、複数であってもよい。支持材22、35の数が複数の場合には、支持材22、35のそれぞれの数は、2以上20以下であってもよい。
【0087】
なお、第1支持部2および第2支持部3は、足場板5を下方から支持する部材として機能する限り、例示した形状に限定されない。第1支持部2および第2支持部3は、例えば、矩形板状であってもよい。
【0088】
第1支持部2および第2支持部3は、アルミニウム製であってもよい。この場合には、吊り足場1がさらに軽量になる。なお、第1支持部2および第2支持部3がアルミニウム製である場合には、第1支持部2および第2支持部3は実質的にアルミニウム製であればよい。例えば、支持枠21、34および支持材22、35が、アルミニウム製の押出形材からなるホロー材で形成されてもよい。また、ジョイントリング32および筒部31aは、アルミニウム製であってもよい。ジョイント棒33は、スチール製、アルミニウム製、ステンレス製等であってもよい。第1筒部2d1および第2筒部3d1は、アルミニウム製、ステンレス製、スチール製等であってもよい。
【0089】
吊り足場1は、
図3に示すように、第3支持部8をさらに備えてもよい。第3支持部8は、矩形状の部材である。より具体的には、
図20に示すように、第3支持部8は、長辺8aおよび短辺8bを有する矩形状の部材である。第3支持部8は、長辺8aに沿った上部8c(上面)で足場板5を支持する。
【0090】
第3支持部8は、長辺方向8Aにおける両端部8dが互いに近づくように折り畳み可能である。また、第1支持部2の側部2e(側面)は、第3支持部8の長辺方向8Aにおける端部8dを取り付け可能な第3取付部2e1を有する(
図13参照)。そして、足場板5は、第3支持部8の上にも配置される(
図3参照)。
【0091】
これらの場合には、足場板5が、第1支持部2および第2支持部3に加えて第3支持部8の上にも配置されることから、足場板5の安定性が向上する。また、吊り足場1の強度も高くなる。
【0092】
第3支持部8は、
図20に示すように、蝶番構造8H1によって折り畳み可能に構成されてもよい。この蝶番構造8H1としては、上記した蝶番構造3H1と同じ構造が挙げられる。すなわち、本実施形態では、第3支持部8が、矩形状の2つの支持片81と、2つの支持片81を連結するジョイントリング82と、を有する。ジョイントリング82は、外周面同士が互いに接続された一対の筒状の部材からなる。また、支持片81の短辺に沿った端部は、ジョイントリング82を挟むことが可能なように間隔をあけて向かい合う一対の筒部81aを有する。筒部81aの穴は、ジョイントリング82の穴と連通可能である。そして、第3支持部8は、筒部81aおよびジョイントリング82のそれぞれの穴に挿通されるジョイント棒83を2つ有する。
【0093】
第3取付部2e1の構成としては、第1取付部42および第2取付部43と同じ構成が挙げられる。すなわち、本実施形態の第3取付部2e1は、第3支持部8の長辺方向8Aにおける端部8dを取り付け可能な筒状の部位である(
図13参照)。
【0094】
第3取付部2e1は、
図9に示すように、第3支持部8の長辺方向8Aにおける端部8dを、蝶番構造8H2によって取り付け可能であってもよい。この蝶番構造8H2としては、上記した蝶番構造2H、3H2と同じ構造が挙げられる。すなわち、本実施形態では、端部8dが第3筒部8d1を有する。第3筒部8d1の穴は、第3取付部2e1の穴と連通可能である。吊り足場1は、第3筒部8d1および第3取付部2e1のそれぞれの穴に挿通される第3ジョイント棒73を有する。
【0095】
第3支持部8の数は、1つであってもよく、また、複数であってもよい。第3支持部8の数が複数の場合には、第3支持部8の数は、形成する吊り足場1の大きさに応じて所望の数に設定すればよい。
【0096】
第3支持部8の構成は、第2支持部3の構成と同じであってもよく、また、異なってもよい。本実施形態の第3支持部8の構成は、第2支持部3の構成と同じである。
【0097】
図13、
図14および
図20に示すように、第1支持部2、第2支持部3および第3支持部8の長辺方向2A、3A、8Aにおける最大幅W2、W3、W8は、それぞれ800mm以上3000mm以下であってもよい。また、第1支持部2、第2支持部3および第3支持部8の短辺方向2B、3B、8Bにおける最大高さH2、H3、H8は、それぞれ250mm以上800mm以下であってもよい。第1支持部2、第2支持部3および第3支持部8の厚みD2、D3、D8は、それぞれ20mm以上70mm以下であってもよい。なお、第1支持部2の厚みD2は、第3取付部2e1を除いた値である。第1支持部2、第2支持部3および第3支持部8のそれぞれの寸法は、同じであってもよい。
【0098】
図17に示すように、足場板5の長辺方向5Aの最大長さL5は、800mm以上3000mm以下であってもよい。また、足場板5の短辺方向5Bの最大幅W5は、350mm以上1000mm以下であってもよい。足場板5の厚みD5は、20mm以上70mm以下であってもよい。なお、最大幅W5は、手架54を除いた値である。厚みD5は、カバー材57を除いた値である。
【0099】
<吊り足場設置方法>
次に、本発明の一実施形態に係る吊り足場設置方法について、詳細に説明する。
【0100】
本実施形態の吊り足場設置方法は、上記した吊り足場設置装置10を用いた方法であって、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を第1吊り金具6に取り付けた状態で、ハンガーレール11に沿って送り出し装置13を送り出し、第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする工程と、伸ばした第2支持部3と、この第2支持部3に隣り合う第1支持部2の上に、足場板5を配置する工程と、を備える。
【0101】
これらの場合には、第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にし、その上に足場板5を配置すれば吊り足場1を形成できることから、吊り足場1を簡単に設置できる。
【0102】
本実施形態では、まず、
図21(a)に示す状態にする。すなわち、橋脚102に沿って足場103を立設する。この足場103を介して、高架橋100の下から吊り具101でハンガーレール11(レール片111)を吊り下げ、送り出し装置13(第1装置134)を吊り車12に吊り下げる。また、送り出し装置13よりも下方に吊り足場1を吊り下げる。吊り下げた吊り足場1の先端部に折り畳んだ状態の第2支持部3を取り付ける。そして、折り畳んだ状態の第2支持部3を連結している支柱4の第1吊り金具6に、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を取り付ける。
【0103】
次に、ハンガーレール11に沿って矢印A方向に送り出し装置13を送り出し、
図21(b)に示すように、第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする。
【0104】
次に、
図22(c)に示すように、レール片111を連結する。また、第1装置134に第2装置135を連結する。吊り足場1の先端部に折り畳んだ状態の第2支持部3を新たに取り付け、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を第1吊り金具6に取り付ける。
【0105】
次に、ハンガーレール11に沿って矢印A方向に送り出し装置13を送り出し、
図22(d)に示すように、新たに取り付けた第2支持部3を折り畳んだ状態から伸ばした状態にする。
【0106】
そして、
図23(e)に示すように、レール片111を新たに連結し、吊り足場1の先端部に折り畳んだ状態の第2支持部3を新たに取り付け、送り出し装置13から吊り下げられた吊り具101を第1吊り金具6に取り付ける。本実施形態では、このような工程を繰り返すことによって、吊り足場1を水平方向に設置する。
【0107】
以上、本発明に係る実施形態について例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0108】
10・・・吊り足場設置装置
1・・・吊り足場
2・・・第1支持部
2a・・・長辺
2b・・・短辺
2c・・・上部
2d・・・端部
2d1・・・第1筒部
2e・・・側部
2e1・・・第3取付部
21・・・支持枠
21a・・・長辺
21b・・・短辺
22・・・支持材
2A・・・長辺方向
2B・・・短辺方向
2H・・・蝶番構造
3・・・第2支持部
3a・・・長辺
3b・・・短辺
3c・・・上部
3c1・・・凹部
3d・・・端部
3d1・・・第2筒部
31・・・支持片
31a・・・筒部
32・・・ジョイントリング
33・・・ジョイント棒
34・・・支持枠
34a・・・長辺
34b・・・短辺
35・・・支持材
3A・・・長辺方向
3B・・・短辺方向
3H1・・・蝶番構造
3H2・・・蝶番構造
4・・・支柱
41・・・支柱本体
41a・・・中心
42・・・第1取付部
42a・・・第1接続部
42b・・・中心
43・・・第2取付部
43a・・・第2接続部
43b・・・中心
44・・・凸部
4A・・・長手方向
5・・・足場板
5a・・・長辺
5b・・・短辺
5c・・・長辺に沿った側面
5d・・・短辺に沿った側面
51・・・第1爪部
52・・・第2爪部
53・・・第3爪部
54・・・手架
55・・・凹凸
56・・・足場本体
56a・・・ホロー材
57・・・カバー材
5A・・・長辺方向
5B・・・短辺方向
5H・・・ジョイント構造
6・・・第1吊り金具
61・・・リング部
62・・・芯棒
62a・・・突起
63・・・ストッパー
63a・・・切り欠き
63b・・・ツマミ
71・・・第1ジョイント棒
72・・・第2ジョイント棒
73・・・第3ジョイント棒
74・・・ワイヤー
75・・・リング
8・・・第3支持部
8a・・・長辺
8b・・・短辺
8c・・・上部
8d・・・端部
8d1・・・第3筒部
81・・・支持片
81a・・・筒部
82・・・ジョイントリング
83・・・ジョイント棒
8A・・・長辺方向
8B・・・短辺方向
8H1・・・蝶番構造
8H2・・・蝶番構造
11・・・ハンガーレール
111・・・レール片
12・・・吊り車
13・・・送り出し装置
13a・・・長辺
13b・・・短辺
131・・・第2吊り金具
131a・・・リング部
132・・・支持枠
132a・・・長辺
132b・・・短辺
133・・・支持材
134・・・第1装置
134a・・・筒部
135・・・第2装置
135a・・・筒部
136・・・ジョイントリング
137・・・ジョイント棒
13H・・・蝶番構造
14・・・上吊り金具
14a・・・リング部
15・・・下吊り金具
15a・・・リング部
16・・・ハンガーレール受け
17・・・グラビティピン
18・・・吊り車用ストッパー
100・・・高架橋
101・・・吊り具
102・・・橋脚
103・・・足場