(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127554
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】駆動機構、および、車両
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20230906BHJP
B62M 6/70 20100101ALI20230906BHJP
B62K 19/34 20060101ALI20230906BHJP
B62K 25/28 20060101ALN20230906BHJP
【FI】
B62M6/55
B62M6/70
B62K19/34
B62K25/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023026791
(22)【出願日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 202 104.5
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッティンガー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェンク ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フント ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】ビンダー ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】キミッヒ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ジグムント
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト シュテファン
【テーマコード(参考)】
3D014
3D212
【Fターム(参考)】
3D014DF12
3D212BK00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両の駆動機構を提供する。
【解決手段】本発明は、筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両の駆動機構(1)に関し、駆動ユニット(2)と、フレームインターフェース(3)とを含み、駆動ユニット(2)は少なくとも部分的にフレームインターフェース(3)の第1の壁部(31)と第2の壁部(32)との間に配置され、両方の壁部(31,32)の各々で駆動ユニット(2)を保持する保持部(5)を含み、保持部(5)は前記第2の壁部(32)に取り付けられ、および、許容差補償部材(7)を含み、第1の壁部(31)は第1の壁開口部(31a)を有し、許容差補償部材(7)はスリーブ状に構成されて第1の壁開口部(31a)の内部に配置され、保持部(5)の1つの部分(53)は許容差補償部材(7)の内部で軸方向へ可動なように配置される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両(100)の駆動機構において、
駆動ユニット(2)と、
フレームインターフェース(3)とを含み、
前記駆動ユニット(2)は少なくとも部分的に前記フレームインターフェース(3)の第1の壁部(31)と第2の壁部(32)との間に配置され、
前記両方の壁部(31,32)の各々で前記駆動ユニット(2)を保持する保持部(5)を含み、
前記保持部(5)は前記第2の壁部(32)に取り付けられ、および、
許容差補償部材(7)を含み、
前記第1の壁部(31)は第1の壁開口部(31a)を有し、
前記許容差補償部材(7)はスリーブ状に構成されて前記第1の壁開口部(31a)の内部に配置され、
前記保持部(5)の1つの部分(53)は前記許容差補償部材(7)により前記壁開口部(31a)の内部で軸方向へ可動なように配置される、駆動機構。
【請求項2】
前記許容差補償部材(7)は、すべり軸受ブッシュ(71)と、前記すべり軸受ブッシュ(71)を取り囲む緩衝カバー(72)とを有する、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
すべり軸受ブッシュ(71)と保持部(5)は、前記許容差補償部材(7)の内部に配置される前記保持部(5)の前記部分(53)が、前記許容差補償部材(7)を前記第1の壁部(31)と径方向で応力固定するために、前記すべり軸受ブッシュ(71)を径方向で拡張するように構成される、請求項2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記すべり軸受ブッシュ(71)はスリットを有するように構成される、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記すべり軸受ブッシュ(71)の前記スリット(77)は前記すべり軸受ブッシュ(71)の軸方向に関して斜めに形成される、請求項4に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記許容差補償部材(7)の内部に配置される前記保持部(5)の前記部分(53)は前記第2の壁部(32)に向かう方向で先細になるように構成される、請求項3または4に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記緩衝カバー(72)は少なくとも1つのシールリップ(72a)を径方向外面に有し、
少なくとも1つの前記シールリップ(72a)は、前記許容差補償部材(7)が前記第1の壁開口部(31a)の中に配置されたときに、緩衝カバー(72)と第1の壁部(31)との間で軸方向の形状接合が成立するように構成される、請求項3から6までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記緩衝カバー(72)は少なくとも1つのシールリップ(72b)を径方向内面に有する、請求項3から7までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記緩衝カバー(72)は、前記保持部(5)の前記部分(53)が前記許容差補償部材(7)の内部に配置されたときに、少なくとも1つの前記シールリップ(72a,72b)が径方向外側に向かって押し除けられるように構成される、請求項7または8に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記許容差補償部材(7)の前記緩衝カバー(72)は振動吸収性の材料、特にエラストマーで形成される、請求項2から9までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項11】
前記すべり軸受ブッシュ(71)は長手方向に対して平行に配置された複数の溝(73)を外側円周に有する、請求項2から10までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項12】
前記駆動ユニット(2)は貫通孔(20)を有し、
前記保持部(5)は前記貫通孔(20)に挿通される貫通ボルト(5)を有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項13】
前記貫通ボルト(5)はねじとして構成され、前記貫通ボルトは前記第2の壁部(32)の雌ねじ(32a)にねじ込まれる、請求項12に記載の駆動機構。
【請求項14】
前記貫通ボルト(5)はねじとして構成され、
前記貫通ボルト(5)は前記第2の壁部(32)に配置されたナット(51)にねじ込まれる、請求項13に記載の駆動機構。
【請求項15】
前記ナット(51)は前記第2の壁部(32)の切欠き(32b)の中で回り止めされて配置される、請求項14に記載の駆動機構。
【請求項16】
前記保持部(5)は共通のねじ軸(60)の上に配置された2つのねじ(6)を有し、
前記駆動ユニット(2)は各々のねじ(6)によって前記両方の壁部(31,32)のうちのそれぞれ一方に取り付けられる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項17】
前記駆動ユニット(2)のそれぞれ1つの開口部(20)に両側で差し込まれた2つのスリーブ(41,42)をさらに含み、
各々のスリーブ(41,42)はシャフト(43)とフランジ(44)とを有し、
前記シャフト(43)は少なくとも部分的に前記開口部(20)の内部に配置され、
前記フランジ(44)は前記開口部(20)の外部に配置される、請求項1から16までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項18】
各々のスリーブ(41,42)は前記駆動ユニット(2)のほうを向いている前記フランジ(44)の側に配置された緩衝部材(45)を有し、
前記緩衝部材(45)は振動吸収性の材料で形成される、請求項17に記載の駆動機構。
【請求項19】
前記緩衝部材(45)は追加的に前記シャフト(43)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項18に記載の駆動機構。
【請求項20】
前記駆動ユニット(2)の前記開口部(20)は共通の貫通孔として構成され、
前記両方のスリーブ(41,42)は、前記貫通孔の中へ完全に差し込まれた状態のとき、かつ応力のかかっていない状態のとき、前記両方のスリーブ(41,42)の間に前記貫通孔の内部で事前定義された軸方向間隔(27)が存在するように設計される、請求項18または19に記載の駆動機構。
【請求項21】
事前定義される前記軸方向間隔(27)は、完全に応力をかけられた状態にあるとき、前記貫通ボルト(5)により前記両方のスリーブ(41,42)が応力をかけられることによって、および前記緩衝部材(45)の弾性変形によって、前記軸方向間隔(27)が補償されるように設計される、請求項20に記載の駆動機構。
【請求項22】
少なくとも1つのスリーブ(41,42)の前記フランジ(44)は前記スリーブ(41,42)の前記シャフト(43)の壁厚(43h)に実質的に相当する厚み(41h)を有し、または、
少なくとも1つのスリーブ(41,42)の前記フランジ(44)は前記スリーブ(41,42)の前記シャフト(43)の壁厚(43h)の少なくとも1.5倍に相当する厚み(41h)を有する、請求項17から21までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項に記載の駆動機構(1)を含んでいる車両、特に筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両、好ましくは電動自転車。
【請求項24】
前記駆動ユニット(2)の従動軸(108)と結合されたチェーンホイール(106)をさらに含み、前記駆動機構(1)の前記第2の壁部(32)は前記チェーンホイール(106)の側に配置される、請求項23に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動機構に関し、および、駆動機構を含んでいる車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フレームインターフェースの2つの壁部の間に保持された駆動ユニットを備えた駆動機構が知られている。駆動ユニットは、両方の向かい合う壁部とねじ止めされる。このとき通常、駆動ユニットと壁部のうちの一方との間の間隙が橋渡しされる。このことを可能にするために、たとえば間隙を橋渡しするために弾性的に変形する保持板が駆動ユニットに設けられていてよい。しかしこのことは、機械的負荷や駆動機構の密閉性に不都合な影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0003】
それに対して、請求項1の構成要件を有する本発明による駆動機構は、ハウジングの内部での駆動ユニットの負荷技術的に好ましい保持が可能になるという特徴がある。これに加えて、特別に簡易で低コストな駆動機構の製造と組立が可能となる。このことは、駆動ユニットと、フレームインターフェースとを含む駆動機構によって実現される。駆動ユニットは、少なくとも部分的にフレームインターフェースの第1の壁部と第2の壁部との間に配置される。第1の壁部と第2の壁部は結合壁によって互いに結合されるのが好ましく、特に、それにより第1の壁部、第2の壁部、および結合壁が共同で一体的なU字型のフレームを形成する。さらに駆動機構は、両方の壁部の各々で駆動ユニットを保持する保持部を含む。特に保持部は、両方の壁部の各々で駆動ユニットを機械的に保持する1つまたは複数の取付部材として設けられていてよい。このとき保持部は第2の壁部に取り付けられ、特に固定される。さらに駆動機構は、スリーブ状に構成された、第1の壁部の第1の壁開口部の内部に配置される許容差補償部材を含む。このとき保持部の1つの部分が許容差補償部材により、第1の壁開口部の内部で軸方向へ可動なように配置される。
【0004】
換言すると駆動ユニットは保持部によって、第2の壁部では固定が行われるようにフレームインターフェースに取り付けられ、第1の壁部では軸方向の運動性を成立させることができる。たとえばこの取付は、第2の壁部での固定軸受機構および第1の壁部での浮動軸受機構であるとみなすことができる。それによって数多くの利点が得られる。このようにして第1の壁部での軸方向の運動性により、特別に簡易な方式で、両方の壁部を有するフレームインターフェースと駆動ユニットとの間で許容差補償を行うことができる。たとえば、それによって製造上の許容差を補償することができ、ならびに、駆動機構の作動中に発生する伸長や長さ変化も補償することができる。許容差補償部材が追加のコンポーネントとして提供されることで、特別に簡易な方式で、かつそのつどの許容差状況に合わせて正確に適合化して、許容差補償を行うことができる。特に許容差補償部材は、壁開口部の径方向で、保持部と第1の壁部との間のクリアランスのない配置を可能にするために意図される。
【0005】
従属請求項は、本発明の好ましい発展例を内容としている。
【0006】
許容差補償部材はすべり軸受ブッシュと緩衝カバーとを有するのが特別に好ましく、緩衝カバーはすべり軸受ブッシュを取り囲む。たとえば緩衝カバーは、すべり軸受ブッシュを周方向で完全に取り囲む。その代替として好ましくは、緩衝カバーが1つまたは複数の切欠きを有することができる。このように、すべり軸受ブッシュは径方向内側に配置されるのが好ましい。それにより、保持部と許容差補償部材との間の摩擦の少ないすべり接触が提供され、それにより、保持部と第1の壁部との間で意図されない軸方向の応力がかかるのを特別に高い信頼度で回避することができる。このとき緩衝カバーは、一方では第1の壁部と保持部の間の振動伝達を防止または低減し、他方では、壁開口部での許容差補償部材の確実な取付を保証する。
【0007】
すべり軸受ブッシュと、許容差補償部材の内部に配置される保持部の部分とは、許容差補償部材の内部に配置される保持部の部分が、特に完全に組み付けられた状態にあるときに許容差補償部材を第1の壁部と応力固定するために、すべり軸受ブッシュを径方向に拡張するように設計されるのが好ましい。たとえばこのことは、保持部の前記部分とすべり軸受ブッシュとの間の相応の嵌め合いによって実現することができる。すべり軸受ブッシュはその内側円周で円筒状に構成されるのが好ましい。その代替としてすべり軸受ブッシュは、駆動ユニットに向かう方向へと内側の円周で先細になるように構成されていてよく、保持部の前記部分はこれよりも大きい直径を有する。それにより、許容差補償部材が保持部によって、第1の壁部の壁開口部の中へと径方向に圧入されることが実現され、それにより、特別に確実で固定的な保持が可能となる。さらに、それによって径方向の許容差をゼロまで低減することができる。
【0008】
すべり軸受ブッシュはスリットを有するように構成されるのが好ましい。それにより、径方向の拡張を特別に簡易かつ的確に惹起することができる。さらに、それによって壁開口部への許容差補償部材の圧入を容易にすることができる。
【0009】
すべり軸受ブッシュのスリットは、すべり軸受ブッシュの軸方向に関して、特に径方向からスリットを見たときに、斜めに配置されるのが好ましい。それにより、最善の均等な機械的支持を円周全体の周囲で、およびすべり軸受ブッシュの軸方向の長さ全体にわたって、提供することができる。
【0010】
許容差補償部材の内部に配置される保持部の部分は、第2の壁部に向かう方向で少なくとも部分的に先細になるように、好ましくは挿入斜面の形態で、構成されるのが好ましい。たとえばこの部分は、ねじのボルト頭またはねじ頭であってよい。それにより、特別に簡易な組立と、すべり軸受ブッシュの的確な径方向の拡張とを実現することができる。
【0011】
緩衝カバーは少なくとも1つのシールリップを径方向外面に有するのが特別に好ましい。少なくとも1つのシールリップは、緩衝カバーの軸方向端部に配置されるのが好ましい。両方の軸方向端部に、それぞれ1つのシールリップが配置されるのが好ましい。このとき少なくとも1つのシールリップは、許容差補償部材が第1の壁開口部の内部に配置されたときに、緩衝カバーと第1の壁部との間で軸方向の形状接合が成立するように構成される。換言すると許容差補償部材は、シールリップによって第1の壁開口部の中へ形状接合式に取り付けることができ、たとえばクリップ嵌めすることができる。それにより、許容差補償部材の特別に簡易で確実な保持を実現することができる。さらに、特別に信頼度の高いシール作用が第1の壁開口部で提供される。
【0012】
許容差補償部材の緩衝カバーは、少なくとも1つのシールリップを径方向内面に有するのが好ましい。緩衝カバーの両方の軸方向端部に、それぞれ径方向内側に向かって突出するシールリップが設けられるのが好ましい。それにより、第1の壁部でのシール作用をいっそう改善することができる。
【0013】
緩衝カバーは、保持部の前記部分が許容差補償部材の内部にあるときに、少なくとも1つのシールリップが保持部によって径方向外側に向かって押し除けられるように構成されるのが特別に好ましい。このときシールリップが許容差補償部材の径方向内側で突出するのが好ましく、これが保持部の前記部分によって径方向外側に向かって押圧され、そのようにして径方向外側のシールリップも外方に向かって押し除ける。これら両方のシールリップは、駆動ユニットのほうを向いている許容差補償部材の側に配置されるのが好ましい。それにより、シールリップが常に駆動ユニットの方向へ径方向外側に向かって屹立することが保証される。それによってたとえば、シールリップの一部が摩擦力により内方に向かってすべり軸受ブッシュの方向に動くことがさらに防止される。
【0014】
許容差補償部材の緩衝スリーブは振動吸収性の材料、好ましくはエラストマーで形成されるのがさらに好ましい。それにより、駆動ユニットとフレームインターフェースとの間の振動伝達を確実に低減することができ、このことは駆動機構の作動に対して、機械的および音響的に特別に好ましく影響を及ぼす。
【0015】
すべり軸受ブッシュはその外側円周に複数の溝を含むのが好ましく、これらの溝はすべり軸受ブッシュの長手方向に対して、特に軸方向に対して、平行にアライメントされる。特に各々の溝の中に、許容差補償部材の緩衝カバーの部分領域が配置される。それにより、緩衝カバーをすべり軸受ブッシュの外面で確実に保持することができ、たとえば周方向へ相対的に変位し得ないようにすることが可能となる。
【0016】
駆動ユニットは貫通孔を有するのが特別に好ましい。このとき保持部は、貫通孔に挿通される貫通ボルトを有する。このように、特に貫通ボルトは駆動ユニットを両方の壁部の各々で保持する。一方では、それによってフレームインターフェースへの、またはこれからの、特別に簡易な駆動機構の組立と取外しを行うことができる。たとえば貫通ボルトを両方の壁部のうちの一方の側で操作することができ、すなわち、たとえば差し込んで回したり、引き出したりすることができる。このことは、電動自転車で適用される場合に制約される、チェーンホイールの側でのアクセス性に基づいて特別に好ましい。それに応じて貫通ボルトの操作性は、これと向かい合う側で意図されていてよい。さらに、比較的大きい直径を有する貫通ボルトを利用することで、特に横荷重に対して特別にロバストな結合を実現することができる。たとえば、それによってねじ結合のすべりも回避することができる。
【0017】
貫通ボルトは第2の壁部に取り付けられるのが好ましい。このとき貫通ボルトは、両方のスリーブと第2の壁部へ相互に応力をかける。特に貫通ボルトは、特に許容差補償部材の内部に配置される保持部の部分を形成するボルト頭と、第2の壁部との間に両方のスリーブを挟み込む。
【0018】
貫通ボルトがねじとして構成されて、第2の壁部の雌ねじにねじ込まれるのが特別に好ましい。それにより、特別に簡易で低コストな、かつ少ないコンポーネントに基づいて軽量である駆動機構を提供することができる。
【0019】
貫通ボルトがねじとして構成されて、第2の壁部に配置されたナットにねじ込まれるのが好ましい。それにより、特別にロバストなねじ止めを提供することができる。たとえば貫通ボルトとナットを、フレームインターフェースよりも硬質の材料で構成することができるからである。たとえば鋼材からなる貫通ボルトとナットを利用することで、特別に高いトルクをねじ止めのために適用することができる。さらに、雌ねじが損傷したケースではナットの容易な交換を行うことができる。さらにナットの利用は、それが径方向で設定されるクリアランスによって、第1の壁部の壁開口部に対して相対的な許容差補償となり、そのようにして常に正確に一直線上に並ぶという別の利点がある。
【0020】
ナットは第2の壁部の切欠きの中で回り止めされて配置されるのが好ましい。このときたとえばナットと切欠きは、たとえば特に第2の壁部を通る貫通開口部の軸に関して接線上の面取りの形態で、非円形のジオメトリーを有することができる。それにより、駆動機構の特別に簡易な組立を可能にすることができる。
【0021】
保持部は、共通のねじ軸の上に配置された2つのねじを有するのがさらに好ましい。このとき駆動ユニットは、両方のねじのうちの各々によって、両方の壁部のうちのそれぞれ一方に取り付けられる。駆動ユニットは、相応のねじによって第2の壁部に固定的にねじ止めされるのが好ましい。特に他方のねじは第1の壁部の側で、許容差補償部材により軸方向へ可動なように第1の壁部で保持される。それにより、フレームインターフェースへの駆動ユニットの代替的な好ましい取付を提供することができる。
【0022】
さらに駆動機構は、駆動ユニットのそれぞれ1つの開口部に両側で差し込まれた2つのスリーブを含むのが好ましい。これらの開口部は、たとえば駆動ユニットを通る貫通孔の向かい合う軸方向端部であってよい。各々のスリーブは、シャフトとフランジとを有するのが好ましい。シャフトは中空円筒状に構成されるのが好ましく、フランジはシャフトの軸方向端部に配置され、シャフトよりも大きい外径を有するのが好ましい。このときシャフトは少なくとも部分的に駆動ユニットの開口部の内部に配置され、フランジは開口部の外部に配置される。特にフランジは、開口部を取り囲む駆動ユニットの端面に当接可能なように構成され、スリーブのシャフトの差込深さを正確に定義することができる。それにより、所望の機械的負荷を特別に簡易かつ正確に調整することができる。スリーブによって、駆動ユニットの所望の負荷状態を最適に調整することができる。たとえばスリーブを相応に設計することで、駆動ユニットに対して軸方向力が作用しない、駆動ユニットのニュートラルな取付状態を提供することができる。その代替としてスリーブは、たとえば保持部によって応力をかけることで、駆動ユニットの弱い圧力負荷または強い圧力負荷が軸方向に作用するように設計されていてよく、このことは、流体侵入に対する駆動ユニットの密閉性に好ましく影響を及ぼすことができる。
【0023】
スリーブのフランジを、特にスリーブの軸方向に関して、さまざまに異なる厚みで提供可能であると特別に好ましい。たとえば第1の実施形態のスリーブのフランジは第1の厚みを有することができ、第2の実施形態のスリーブのフランジは第1の厚みの少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、特に少なくとも3倍である第2の厚みを有することができる。それにより、好ましくは貫通孔の軸方向に沿って測定される駆動機構の幅が、特別に簡易かつ低コストな方式で可変であるという利点がもたらされる。たとえばこのとき駆動機構の幅を、スリーブのフランジの厚みを変えることで、さまざまに異なる幅のフレームインターフェースに合わせて適合化することができ、それにより、駆動機構を特別にフレキシブルかつ低コストに利用することができる。
【0024】
各々のスリーブは、駆動ユニットのほうを向いているフランジの側に配置された緩衝部材を有するのが特別に好ましい。このとき緩衝部材は、振動吸収性の材料で形成される。緩衝部材はエラストマーで形成されるのが好ましい。このとき緩衝部材は弾性的な変形可能性によって、フランジと駆動ユニットの間である程度の緩衝作用を生成する。それにより駆動機構を簡易かつ低コストな方式で、緩衝部材が変形することによって、ないしは圧縮されるように部分的に押圧されることによって、駆動ユニットがたとえばフレームインターフェースの両方の壁部の間でクリアランスなしに保持されるように設計することができる。これに加えて緩衝部材は、駆動ユニットとフレームインターフェースの間での振動や揺れの伝達を低減することができる。さらに緩衝部材は、スリーブと駆動ユニットの間でシール作用を惹起するという利点がある。
【0025】
緩衝部材は、追加的にシャフトを少なくとも部分的に、好ましくは全面的に、円周方向で取り囲むのが好ましい。このように特に緩衝部材は、シャフトおよびシャフトのほうを向いているフランジの側の押出被覆として構成される。このように緩衝部材は、フレームインターフェースへの駆動ユニットの振動工学的に最適化された取付という利点を提供する。このことは、ねじ止めの耐久性に特別に好ましく影響を及ぼす。特に振動吸収作用により、振動や揺れの伝達ならびに変化する動的負荷が、緩衝部材のばね作用による緩衝特性によって低減されるからである。このようにして、ねじ結合の変化する機械的負荷も低減もしくは防止され、それにより、高い耐久性を提供することができる。さらに、それによってたとえば不慮の騒音の発生も低減することができる。さらに緩衝部材はある程度の許容差補償も可能にする。さらに、たとえば駆動ユニットがアルミニウムまたはマグネシウムからなるハウジングを有していて、スリーブがたとえば鋼材で形成される場合に、特に電解腐食などの腐食に対する追加的な保護という利点が得られる。さらに、駆動ユニットで軸方向と径方向のシール作用を提供することができる。
【0026】
駆動ユニットのそれぞれの開口部は共通の貫通孔として構成されるのがさらに好ましい。このとき両方のスリーブは、貫通孔の中へ完全に差し込まれた状態のとき、かつ同時に応力のかかっていない状態のとき、貫通孔の内部で事前定義された軸方向間隔を相互において配置されるように設計されるのがさらに好ましい。換言すると、スリーブが応力をかけずに貫通孔に差し込まれたとき、これらの軸方向長さの合計は貫通孔の軸方向長さ全体よりも小さい。
【0027】
事前定義される軸方向間隔は、保持部によって惹起される、両方のスリーブが応力をかけられた状態にあるとき、緩衝部材の弾性変形に基づいて軸方向間隔が補償されるように設計されるのが好ましい。すなわち、スリーブが貫通孔の内部で互いに接触する。換言すると両方のスリーブは、応力をかけられた状態で、両方のスリーブが貫通孔の内部で互いに接触したときに、両方のスリーブのそれぞれの緩衝部材が弾性変形するように、特にフランジと駆動ユニットとの間で押圧されるように、設計される。それによって特に、駆動ユニットの事前定義された負荷状態を、事前定義された低い圧力負荷をもって容易に調整することができる。さらに、変形ないし押圧される緩衝部材による封止が確実に保証される。さらに、スリーブが互いに接触することによって、軸方向の機械的な力がスリーブを介して受け止められることが保証され、それにより、たとえば高いトルクでの貫通ボルトのねじ止めを、駆動ユニットの高すぎる機械的負荷が生じることなく可能にすることができる。それと同時に、それによって特別に安定したねじ止めを行うことができる。
【0028】
各々のスリーブのシャフトはプレス領域を有するのがさらに好ましい。このときプレス領域と駆動ユニットの対応する開口部との間に、プレス嵌めが形成される。このようにして、特別に高い信頼度で定義された保持と力伝達がスリーブと駆動ユニットの間で可能となる。
【0029】
プレス領域は、特に直接的に、フランジに隣接するように配置されるのが好ましい。このとき各々のスリーブのシャフトは、プレス領域よりも小さい外径を有する先細領域を追加的に有するのが好ましい。このように、特に先細領域はフランジと向かい合うほうのプレス領域の側に配置される。それにより、貫通孔の中へのスリーブの簡易な差込を可能にするために、先細領域を駆動ユニットの貫通孔の中へ簡易に軽い動作で挿入できることが可能となる。
【0030】
少なくとも1つのスリーブのフランジは、特にスリーブの長手方向に対して平行の方向で、特に径方向でのシャフトの壁厚に実質的に等しい、事前決定された厚みを有するのがさらに好ましい。その代替として、少なくとも1つのスリーブのフランジは、特にスリーブの長手方向に対して平行の方向で、特に径方向でのシャフトの壁厚の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、特別に好ましくは少なくとも3倍である、事前決定された厚みを有するのが好ましい。そのようにして、さまざまに異なる幅のフレームインターフェースに合わせた適合化を特別に簡易かつ低コストな方式で可能にする、駆動機構の可変の幅を提供することができる。
【0031】
駆動ユニットは、モータおよび/または伝動装置を有するのが好ましい。このときフレームインターフェースの各壁部の間での特別な配置と保持によって、駆動ユニットの長期の耐用寿命を可能にするために、好ましい機械的な力配分をもって最善の確実な結合を提供することができる。さらに、駆動機構の少ない重量を簡易かつ低コストな方式で可能にすることができる。
【0032】
さらに本発明は、上述した駆動機構を含んでいる車両、好ましくは筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両、好ましくは電動自転車へとつながる。フレームインターフェースは、たとえば車両の車両フレームの一部であってよい。
【0033】
車両は車両フレームを含むのが好ましい。このとき駆動機構のフレームインターフェースは車両フレームの一体化された構成要素であり、すなわち、車両フレームはフレームインターフェースとともに一体的なコンポーネントとして構成され、駆動ユニットは好ましくは直接的に、すなわち特に間に介在する追加のコンポーネントなしに、フレームインターフェースと結合される。その代替として好ましくは駆動機構のフレームインターフェースは、および/またはフレームインターフェースの壁部のうちの一方もしくは両方は、車両フレームに対して別個のコンポーネントとして構成されて、車両フレームと結合され、好ましくはねじ止めされる。このように、たとえばフレームインターフェースへの駆動ユニットの間接的な取付を行うことができる。
【0034】
さらに車両は、駆動ユニットの従動軸と結合されたチェーンホイールを含むのが特別に好ましい。このとき駆動機構の第2の壁部はチェーンホイールの側に配置される。特に、第2の壁部では取付部が固定軸受として構成され、第1の壁部では取付部が浮動軸受として構成される場合、それによって最善の直接的な力伝達を駆動ユニットとチェーンホイールとの間で行うことができる。さらに、チェーンホイールの正確な位置決め、すなわち正確なチェーンラインが保証される。
【0035】
次に、図面との関連で実施例を参照しながら本発明について説明する。以下において、機能的に同じコンポーネントはそれぞれ同じ符号で表されている。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施例に基づく駆動機構を有する車両を示す簡略化した模式図である。
【
図2A】
図1の駆動機構を完全にねじ止めされた状態で示す断面図である。
【
図2B】ねじ止めされる前の
図1の駆動機構を示す断面図である。
【
図4】
図2Aの駆動機構の組立を示す斜視詳細図である。
【
図5】本発明の第2の実施例に基づく駆動機構の許容差補償部材を示す斜視詳細図である。
【
図6】本発明の第3の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【
図7】本発明の第4の実施例に基づく駆動機構を示す詳細図である。
【
図9】本発明の第5の実施例に基づく駆動機構を示す詳細断面図である。
【
図10】
図9の駆動機構を示す別の詳細断面図である。
【
図11】本発明の第6の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【
図12】本発明の第7の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【
図13】本発明の第8の実施例に基づく駆動機構の許容差補償部材を示す断面図である。
【
図15】本発明の第9の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【
図16】本発明の第10の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【
図17】本発明の第10の実施例に基づく駆動機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の第1の実施例に基づく駆動機構1を含む、筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両100の簡略化した模式図を示している。この車両100は電動自転車である。駆動機構1はボトムブラケットの領域に配置されており、駆動ユニット2を含んでいる。駆動ユニット2は電気モータと伝動装置とを含んでおり、電気モータで生成されるトルクによって、筋力で生成される運転者の踏力をアシストするために意図される。ここでは駆動ユニット2は、電気エネルギー蓄積器109から電気エネルギーの供給を受ける。
【0038】
第1の実施例の駆動機構1が、
図2Aの断面図に示されている。駆動機構1はU字型のフレームインターフェース3を含んでいて、その内部に駆動ユニット2が部分的に収容されている。フレームインターフェース3は、車両100の車両フレーム105の一体的な構成要素である(
図1参照)。ここではフレームインターフェース3は第1の壁部31と第2の壁部32とを有していて、これらの間に駆動ユニット2が配置されている。第1の壁部31と第2の壁部32は結合壁部33を介して互いに結合されており、それに伴って共通の一体的なコンポーネントを形成する。
【0039】
駆動ユニット2は、以下に詳しく説明するとおり、挿通ねじ止めによってフレームインターフェース3に取り付けられる。
【0040】
詳細には駆動ユニット2は、駆動ユニット2を横方向で完全に貫通する貫通孔20を有している。特に貫通孔20は、好ましくはアルミニウムまたはマグネシウムで形成される、駆動ユニット2のハウジングに構成される。駆動ユニット2のハウジングは2部分で構成されていてよく、ハウジングシール材2cが両方のハウジング半体2a,2bの間に配置される。
【0041】
貫通孔20には2つのスリーブ41,42が差し込まれている。ここでは両方のスリーブ41,42はそれぞれ一方の側を起点として、すなわち貫通孔20の1つの軸方向端部で、貫通孔20に差し込まれている。スリーブ41,42は、アルミニウムまたは鋼材で形成されるのが好ましい。
【0042】
各々のスリーブ41,42は、実質的に中空円筒状に構成された、貫通孔20に差し込まれるシャフト43と、フランジ44とを有している。フランジ44は貫通孔20の外部に配置され、シャフト43よりも大きい外径を有している。
【0043】
ここではシャフト43は、フランジ44に直接的に隣接して配置されたプレス領域43aを有している。ここではプレス領域43aは、プレス領域43aと貫通孔20との間でプレスフィットすなわちプレス嵌めが形成されるように構成されている。
【0044】
貫通孔20の中央部に、貫通開口部20の内径が先細になる先細領域20aが形成されている。先細領域20aとスリーブ41,42との間では、好ましくは遊び嵌めが形成される。それにより、先細領域20aがスリーブ41,42のセンタリングを惹起し、そのようにして、スリーブ41,42の特別に正確な配置を惹起する。
【0045】
両方のスリーブ41,42は、簡易かつ低コストな製造のために、同一に構成されるのが好ましい。
【0046】
スリーブ41,42の、特にそれぞれシャフト43の、軸方向の長さは、スリーブ41,42が(あとで説明するとおり)差し込まれて完全にねじ止めされた状態にあるとき、貫通孔20の内部で互いに接触するように設計される。
【0047】
さらに駆動機構1は、貫通孔20および両方のスリーブ41,42に挿通された貫通ボルト5を含んでいる。貫通ボルト5はねじとして構成されており、一方の軸方向端部にボルト頭53を有するとともに他方の軸方向端部に雄ねじ54を有しており、雄ねじ54は貫通ボルト5の部分領域にわたってのみ延びている。
【0048】
雄ねじ54により、第2の壁部32にあるナット51に貫通ボルト5がねじ込まれている。ここではボルト頭53は第1の壁部31の側にあり、特に、第1の壁部31の外面に当接する。
【0049】
貫通ボルト5と、スリーブ41,42の内側の貫通開口部との間で、簡易な挿通を可能にするために、それぞれ遊び嵌めが形成されるのが好ましい。各々のスリーブ41,42の内部の貫通ボルト5の領域には、スリーブ41,42の内部への、および貫通孔20の内部への、流体侵入を回避するために、それぞれシール材が、たとえばOリングシール材56が、貫通ボルト5とスリーブ41ないし42との間に配置されるのが好ましい。
【0050】
ここでは貫通ボルト5は、貫通ボルト5の軸方向で第2の壁部32に向かって両方のスリーブ41,42に応力をかけるようにねじ込まれている。このとき、このように応力がかかることが、両方のスリーブ41,42のフランジ44の間で軸方向に駆動ユニット2への圧力負荷につながらないことが、または厳密に定義された圧力負荷にしかつながらないことが、スリーブ41,42により保証される。特に、両方のスリーブ41,42によって駆動ユニット2の引張負荷が回避される。
【0051】
このとき駆動機構1の特別な挿通ねじ止めが数多くの利点を提供する。たとえば貫通ボルト5の利用は、駆動ユニット2の特別にロバストな取付を可能にする。特に、ねじ止めを高いトルクで行うことができる。このときスリーブ41,42によって高い圧縮力が受け止められることで、駆動ユニット2の許容されない高い機械的負荷を特別に高い信頼度で回避することができる。さらに、たとえばスリーブ41,42が適合化されることで、駆動機構1の許容差状況を定義されたとおりに簡易かつ低コストに調整することができる。さらに、挿通ねじ止めにより特別に簡易な駆動機構1の組立が可能となる。貫通ボルト5の差込とねじ込みのための貫通ボルト5の操作を一方の側からだけで、すなわち第1の壁部31の側からだけで、実行することができるからである。このことは特に、第2の壁部32の側でアクセス性に制約がある場合に、たとえばこの側にチェーンホイール106(
図1参照)がある場合に、好ましい。
【0052】
これに加えて各々のスリーブ41,42は、弾性的で振動吸収性の材料で形成された緩衝部材45を含んでいる。特に、緩衝部材45はエラストマーで形成される。ここでは詳細にはシャフト43とフランジ44のそれぞれ径方向外側の外面と、駆動ユニット2のほうを向いているフランジ44の側とが、緩衝部材45で覆われ、ないしは被覆される。このように緩衝部材45は、スリーブ41,42の押出被覆の形態で構成されるのが好ましい。
【0053】
さらに、スリーブ41,42のシャフト43の軸方向の長さは、貫通開口部20へ完全に差し込まれて、貫通ボルト5でまだ応力をかけられていない状態のとき、
図2Bに示すように、事前定義された軸方向間隔27すなわち間隙が、貫通開口部20の内部で両方のスリーブ41,42の間に生じるように構成されている。ここで着目しているのは、両方のスリーブ41,42が応力をかけられてはいないが、各々のスリーブ41,42の各々のフランジ44の領域で緩衝部材45が駆動ユニット2に当接している状態である。特にこのとき、両方のシャフト43の軸方向の長さは、貫通開口部20の軸方向の長さの半分よりも、事前決定された差異の分だけ小さくなっており、事前決定されるこの差異は、フランジ44の領域における緩衝部材45のうちの1つの厚みの2倍よりも小さい。
【0054】
図2Aに示す完全にねじ止めされた状態では、第1の壁部31と第1のスリーブ41との間に事前定義された間隙29が存在する。
【0055】
両方のスリーブ41,42および貫通孔20の長さがこのように特別に調整されることで、フランジ44と駆動ユニット2との間にそのつど位置する、各々のスリーブ41,42の緩衝部材45の部分が、フランジ44と駆動ユニット2との間で貫通ボルト5によって応力をかけられることで部分的に押圧され、ないしは挟み込まれ、それによって弾性変形することが実現される。
【0056】
緩衝部材45は、および、応力をかけられていない状態で軸方向間隔を有するスリーブ41,42の相応の設計は、応力をかけられた状態のとき駆動ユニット2に対して僅少な圧力負荷が及ぼされることにつながる。このことは、駆動ユニット2そのものの密閉性に好ましく影響し得る。さらに、緩衝部材45が弾性変形することで、スリーブ41,42と駆動ユニット2との間で特別に高い信頼度の封止が可能となる。
【0057】
さらに
図1には、チェーンホイール106と回転不能に結合された、駆動ユニット2の従動軸108が示されている。ここでは従動軸108は、一方では運転者の筋力によって、および他方では駆動ユニット2のモータ力によって、駆動可能である。
図1に見られるように、チェーンホイール106は第2の壁部32の側にある。それにより、すでに上で述べたとおり、好ましいアクセス性と簡易化された駆動機構1の組立がもたらされる。さらにそれにより、従動軸108とフレームインターフェース3の間での直接的な力伝達という利点が得られ、チェーンホイール側では機械的な力が高くなることから、直接的でロバストな結合によって、第2の壁部32で特別に良好にこれを受け止めることができる。さらに、それにより従動軸108の軸方向に関して、フレームインターフェース3に対して相対的に、チェーンホイール106の定義された姿勢が保証され、このことは、チェーンラインが高い信頼度で正確に配置されるという利点をもたらす。
【0058】
さらに、駆動ユニット2とフレームインターフェース3が緩衝部材45を介して結合されることで、駆動ユニット2が車両100に振動遮断式に保持されるという利点が得られる。車両100の作動時の騒音の低減に好ましく影響する、音響振動の伝達の防止または低減に加えて、機械的な振動の伝達も低減または防止される。それにより、このような種類の振動がねじ止めに及ぼす有害な作用を防止または低減することができる。すなわち、ねじ止めの緩みや締め直しを防止または低減することができる。さらに、緩衝部材45そのものの弾性によって、たとえば穴や開口部などの同軸性の観点から、ある程度の許容差補償を行うことができる。
【0059】
これに加えて第1の壁部31では、軸方向へ可動の貫通ボルト5の保持が意図される。ここでは貫通ボルト5のボルト頭53は、第1の壁部31の壁開口部31aの内部にある。このように第1の壁部31の変形が意図されるのではなく、特別に剛性が高くロバストなフレームインターフェース3を提供することができる。
【0060】
軸方向へ可動の保持は、許容差補償部材7によって実現される。許容差補償部材7によるこのような保持が、
図3に拡大して示されている。ここでは許容差補償部材7は、中空円筒状のすべり軸受ブッシュ71と緩衝カバー72とを含んでいる。緩衝カバー72は特に弾性材料で、好ましくはエラストマーで、構成される。ここでは緩衝カバー72は、すべり軸受ブッシュ71の径方向外側を実質的に完全に取り囲んでおり、たとえば(図示しない)切欠きが緩衝カバー72に設けられていてもよい。これに加えて緩衝カバー72は、すべり軸受ブッシュ71の両方の軸方向の端面を覆う。すべり軸受ブッシュ71は径方向内側では露出しており、それにより、ボルト頭53が許容差補償部材7に対して相対的に少ない摩擦をもって軽い動作で動くことができる。
【0061】
すべり軸受ブッシュ71は、円周方向に沿って中実材料で構成されていてよいのが好ましく、またはその代替としてスリットを入れて構成されていてよく、すなわち軸方向に長手方向スリットを有する。これら両方のケースにおいてすべり軸受ブッシュ71は、貫通ボルト5がねじ込まれ、それによりボルト頭53がすべり軸受ブッシュ71に食い込むことですべり軸受ブッシュ71が径方向で拡張され、それによって許容差補償部材7と壁開口部31aとの間でプレス嵌めが生じるように構成されるのが好ましい。それにより、径方向でクリアランスのないボルト頭53の保持を壁開口部31aの内部で可能にすることができる。
【0062】
ここでは第1の壁部31と第1のスリーブ41との間の間隙29は、ねじ止めされていない状態のときにも完全にねじ止めされた状態のときにも存在する(
図1および3を参照)。
【0063】
ボルト頭53は、スリーブ41のほうを向く側に、貫通ボルト5の差込とねじ込みを容易にする挿入斜面53a(
図3参照)を有するのが好ましい。
【0064】
緩衝カバー72は両方の軸方向端部に、径方向内側に向かっても径方向外側に向かっても突出するリップとして構成されたシールリップ72aをそれぞれ有している。このとき緩衝カバー72の弾性により、貫通ボルト5がねじ込まれるときに、シールリップ72aがボルト頭53によって径方向外側に向かって押し除けられる。それにより、確実で定義された封止が第1の壁部31と許容差補償部材7との間で、ならびにボルト頭53と許容差補償部材7との間で、もたらされる。さらにシールリップ72aは、第1の壁部31と許容差補償部材7との軸方向の形状接合を惹起する。それにより、第1の壁部31に対して相対的に許容差補償部材7の確実で定義された配置が保証される。
【0065】
許容差補償部材7は、
図4に示すように、第1の壁部31の壁開口部31aの中へ駆動ユニット2が配置される前に、外から、すなわちフレームインターフェース3の外部から、特にシールリップ72aによる僅少な形状接合によってクリップ嵌めされて、差し込むことができるのが好ましい。
【0066】
これに加えて第1の実施例では貫通ボルト5のねじ止めは、第2の壁部32でナット51によって構成される。ここでは貫通ボルト5は、第2の壁部32でナット51にねじ込まれる。ここではナット51は、高いトルクでの特別に固定的なねじ止めを可能にするために、好ましくは貫通孔5と同じく、鋼材で形成されていてよいのが好ましい。
【0067】
ここではナット51は、第2の壁部32の切欠き32bの中に回り止めされて配置されている。切欠き32bは、第2の壁部32を貫通する円形の第2の壁開口部32cの、外側に位置する径方向の拡張部であるのが好ましい。
図4に見られるとおり、切欠き32bは向かい合う2つの面取り32dを有しており、すなわち、接線方向に配置された直線状の平行の2つの壁部を有している。ナット51は、2つの向かい合う面取り51aを含む対応するジオメトリーを有している。ここでは面取り32d,51aは、たとえば貫通ボルト5がねじ込まれるときにナット51が第2の壁部32の中で回転できないことを惹起し、それにより、駆動機構1の特別に簡易で迅速な組立が可能となる。
【0068】
さらにナット51は、断面で見てT字型に構成されている。それにより、貫通ボルト5との固定的で確実なねじ止めを可能にするために、駆動機構1全体の最善のコンパクト性のもとで、最大のねじ山長さを提供することができる。
【0069】
図5は、本発明の第2の実施例に基づく駆動機構1の許容差補償部材7の斜視詳細図を示している。第2の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、許容差補償部材7のすべり軸受ブッシュ71が代替的な構成を有するという相違がある。ここではすべり軸受ブッシュ71が
図5の斜視図に示されている。
【0070】
このすべり軸受ブッシュ71は、実質的に中空円筒状のすべり軸受ブッシュ71を軸方向と径方向で完全に貫通する長手方向スリット77を有している。長手方向スリット77は、すべり軸受ブッシュ71の長軸70に関して斜めに配置されており、すなわち、長軸70の平面に対して径方向に投影したときに長軸70に対して好ましくは少なくとも5°、好ましくは最大で45°の角度で配置される線に沿って延びている。それにより、すべり軸受ブッシュ71の円周全体の周りで最善の機械的な支持を提供することができる。たとえばボルト頭53と第1の壁部31との間に投影された載置面の断絶がなく、もしくは僅少な断絶しかないからである。このことは、たとえばフレームインターフェース3に対して相対的な駆動ユニット2の改善された同軸の位置精度を可能にすることができる。
【0071】
さらに、
図5のすべり軸受ブッシュ71は各々の軸方向端部の外側円周に、それぞれ係止ラグ78を有している。係止ラグ78は、すべり軸受ブッシュ71の外側円周から突出する部材として構成されており、第1の壁部31とのいっそう強力な形状接合を惹起する(これに関しては
図3も参照)。
図5に見られるとおり、図示している両方の係止ラグ78のそれぞれが長手方向スリット77に直接的に隣接しており、両方の係止ラグ78は周方向に関して、長手方向スリット77の互いに向かい合う側に配置されている。両方の係止ラグ78の各々は、すべり軸受ブッシュ71の円周の一部にわたってのみ延びている。さらに別の(図示しない)係止ラグ78がすべり軸受ブッシュ71の円周の周りに配分されて設けられていてよいのが好ましい。
【0072】
さらに、
図5のすべり軸受ブッシュ71は各々の軸方向端部に、実質的にU字型に構成されてすべり軸受ブッシュ71を径方向で完全に貫通する、円周の周りで配分された複数の切欠き79を有している。これらの切欠き79により、すべり軸受ブッシュ71の外側円周にある緩衝部材72の層を径方向内側の層と結合する、緩衝部材72の材料をいっそう多く利用することができる。それにより、すべり軸受ブッシュ71と緩衝部材72との最善の結合を成立させることができる。
【0073】
すべり軸受ブッシュ71の内側円周にある段部71bによって、すべり軸受ブッシュ71と緩衝部材72との結合がいっそう最適化される。ここでは段部71bは、摺動面71aを起点とするすべり軸受ブッシュ71の内径の拡大部として設けられている。すなわち、すべり軸受ブッシュ71の軸方向端部にそれぞれ1つがある段部71bに、緩衝部材72の径方向内側の領域が配置されていてよい。
【0074】
図6は、本発明の第3の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第3の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、緩衝部材45がそれぞれのスリーブ41,42のフランジ44にのみ配置されているという相違がある。すなわち緩衝部材45はそれぞれ円板状に構成されており、駆動ユニット2のほうを向いているフランジ44の側と、駆動ユニット2との間にのみ配置されている。
【0075】
図7は、本発明の第4の実施例に基づく駆動機構1の詳細図を示している。第4の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、代替的なスリーブ41,42という相違がある。
【0076】
図7には両方のスリーブ41,42のうちの一方だけが図示されており、両方のスリーブ41,42は同一に構成されるのが好ましい。スリーブ41が
図8に斜視図として示されている。
【0077】
スリーブ41はシャフト43とフランジ44を含んでいる。シャフト43が、駆動ユニット2の貫通開口部20に差し込まれる。フランジ44は、フレームインターフェース3の第2の壁部32の内面に当接するために意図される(たとえば
図2A参照)。スリーブ41のフランジ44は、壁部32に付属する側に、多数の突出する形状接合部材41cを有している。形状接合部材41cは、1つまたは複数の、好ましくは
図7に示すように2つの、スリーブ41の貫通開口部に対して同心的な円に配置されるのが好ましい。
【0078】
図7のスリーブ41のただ1つの形状接合部材41cが、
図8に詳細断面図として示されている。各々の形状接合部材41cは、フランジ44の表面41fから突出する角錐41dを有している。その代替として好ましくは、各々の形状接合部材41cが突出する円錐を有することもできる。角錐41dは直角錐として構成されており、好ましくは60°よりも小さい開口角41kを有する。このとき角錐41dは、スリーブ41が壁部32とねじ止めされたときに壁部32の表面に圧入し、すなわち表面を可塑変形させることを惹起する。それにより、ねじ軸に対して垂直の平面でスリーブ41と壁部32の間にマイクロ形状接合が生起され、それにより、駆動ユニット2とフレームインターフェース3との特別に固定的な相互の結合を可能にすることができる。フレームインターフェース3に対して相対的な駆動ユニット2のすべりを、それに伴って確実に防止することができる。
【0079】
ここでは各々の形状接合部材41cは、角錐41dに追加して、角錐41dの外周でフランジ44の表面41fに構成された凹部41eをそれぞれ有している。凹部41eは、たとえば角錐41dが壁部32に食い込むことによって押し除けられる壁部32の材料を収容することができ、それにより、壁部32とフランジ44を高い信頼度で正確に平坦に相互に載置することができる。たとえば1つの角錐41dごとに、角錐41dを部分的または全面的に取り囲むそれぞれ1つの凹部41eが設けられていてよい。その代替として好ましくは、径方向の内側および/または外側に角錐41dが配置される、ただ1つの凹部41eがフランジ44の表面41fに構成されていてよい。
【0080】
図9は、本発明の第5の実施例に基づく駆動機構1の詳細断面図を示している。ここで
図9に図示されているのはスリーブ41,42のうちの一方だけであり、すなわち、第2の壁部32の側にあるスリーブ42である。第1の壁部31にある第1のスリーブ41も同一に構成されるのが好ましい。第5の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、フランジ44の領域におけるスリーブ42の代替的な構成という相違がある。ここではスリーブ42は、フランジ44の径方向外側の端部に、シャフト43のほうを向いているフランジ44の側で先細部41gを有している。ここでは先細部41gは、フランジ44の最大の厚み41hと最小の厚み41iとの差異が、スリーブ42のシャフト43の壁厚43hの少なくとも50%、好ましくは最大で150%に相当するように構成されている。このとき厚みは、スリーブ42の長軸に対して平行の方向に沿って観察される。
【0081】
ここでは緩衝部材45は、フランジ44の先細部41gを補償するように構成されている。これに加えて緩衝部材45は、径方向でもっとも外側の端部に肉厚部42gを有している。それにより、フランジ44の径方向で外側の端部に特別に厚い緩衝部材42が存在する。このことは、スリーブ42と駆動ユニット2の間の最善の封止に好ましい影響を与える。
【0082】
さらに、
図10に示すように第5の実施例で設けられる、駆動ユニット2の突出する環状リブ2gによって、このような封止が補助される。突出する環状リブ2gは台形状の断面を有しており、駆動ユニット2の貫通開口部20に対して同心的に配置されている。ここではスリーブ42が貫通開口部20に圧入された状態にあるとき、突出する環状リブ2gとスリーブ42の先細部41gが、貫通開口部20の穴軸20gに関して同一の半径上に位置する。それにより、スリーブ42と駆動ユニット2が完全にねじ止めされた状態で相互に押圧されたときに、突出する環状リブ2gが先細部41gの領域で緩衝部材45の軟質のゾーンに入り込む。このように緩衝部材45の弾性により、駆動ユニット2で最善に封止をすることができる。
【0083】
図11は、本発明の第6の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第6の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、駆動ユニット2がフレームインターフェース3と間接的にねじ止めされるという相違がある。ここでは詳細には、駆動ユニット2がねじ止めされる両方の壁部31,32が、フレームインターフェース3に対して別個のコンポーネントとして構成されている。たとえば壁部31,32は、保持板として構成されていてよい。このとき壁部31,32は追加のねじ結合部30および/または(図示しない)溶接結合部によって、フレームインターフェース3のフレーム壁31e,32eと結合されていてよい。それにより、駆動機構1の特別に高いフレキシビリティを提供することができる。
【0084】
図12は、本発明の第7の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第7の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、スリーブ41,42の代替的な構成という相違がある。
図12の第7の実施例では両方のスリーブ41,42は、特別に簡易かつ低コストに製造可能な短縮された金属スリーブとして構成されている。ここではスリーブ41,42は、貫通孔20の内部で互いに接触しないように構成される。さらに両方のスリーブ41,42は、たとえば貫通孔20の内径よりも短い、短い軸方向の長さ41lを有している。それによって材料を削減することができ、さらには、わずかな押圧長さしか存在しないので、貫通孔20へのスリーブ41,42の容易な圧入を可能にすることができる。このように、第7の実施例の駆動機構1は特別に簡易かつ低コストな構造を可能にする。
【0085】
図13は、本発明の第8の実施例に基づく駆動機構1の許容差補償部材7の断面図を示している。第8の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、許容差補償部材7の緩衝カバー72が径方向内側にも径方向外側にも、シールリップを両方の軸方向端部に有するという相違がある。詳細には径方向外側のシールリップ72aが、第1の実施例(
図3参照)と同じように設けられている。これに加えて、すべり軸受ブッシュ71の摺動面71aを越えて径方向内側に向かって突出する径方向内側のシールリップ72bが設けられている。それにより、許容差補償部材7で、すなわち第1の壁開口部31aで、特別に信頼度の高い封止を提供することができる。
【0086】
図14は、
図13の許容差補償部材7の斜視断面図を示している。
図14に見られるとおり、すべり軸受ブッシュ72はその外側円周に、許容差補償部材7の長手方向に対して平行に配置された複数の溝73を有している。ここではこれらの溝73は、すべり軸受ブッシュ72の円周の周りに均等に配分されている。溝73は緩衝カバー72の部分領域により充填されている。それにより、すべり軸受ブッシュ71と緩衝カバー72との特別に良好な結合を可能にすることができる。
【0087】
図15は、本発明の第9の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第9の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、貫通ボルト5に代えて、ちょうど2つの個々のねじ6が設けられるという相違がある。さらに、貫通孔20が駆動ユニット2に設けられるのではなく、別個の開口部20が設けられていて、これらの中にスリーブ41,42が圧入されている。ここでは開口部20は、駆動ユニット2から突出するブラケット21に形成されている。第9の実施例では、ねじ6はそれぞれのスリーブの(図示しない)雌ねじにそれぞれねじ込まれる。このように
図15の第9の実施例は、たとえば車両でのスペース提供に応じて好ましい場合がある、ねじ止めの代替的な選択肢を提供する。
【0088】
図16は、本発明の第10の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第10の実施例は、
図9および10の第5の実施例に実質的に相当しているが、代替的なスリーブ41,42が使用されるという相違がある。詳細には、
図16の第10の実施例のスリーブ41,42のフランジ44は、第5の実施例におけるよりも肉厚に製作されている。詳細には、第10の実施例のフランジ44の厚み41hは、それぞれのスリーブ41,42の対応するシャフト43の壁厚43hの数倍であり、好ましくは少なくとも3倍である。それにより、フランジ44の厚み41hがたとえばシャフト43の壁厚43hにほぼ等しい第5の実施例と比較して、駆動機構1の全幅1hを大きく構成することができる。このように
図16の第10の実施例は、スリーブ41,42を変更することで、種々の車両100に合わせた駆動機構1の適合化が特別に簡易かつ低コストに可能であることを明確にする。
【0089】
図17は、本発明の第11の実施例に基づく駆動機構1の断面図を示している。第11の実施例は、
図1から4の第1の実施例に実質的に相当しているが、第1の壁部31での浮動支承部の代替的な構成という相違がある。
図17の第11の実施例では、貫通ボルト5と許容差補償部材7が第1の壁部31に対して相対的に、共同で軸方向へ可動なように支承されている。ここでは第1の実施例とは異なり、ボルト頭53ではなく、貫通ボルト5のボルトシャフト53dが許容差補償部材7の内部に配置される。このとき第11の実施例では貫通ボルト5は、第1のスリーブ41に向かって許容差補償部材7に追加的に応力をかける。このように貫通ボルト5と許容差補償部材7は、第1の壁部31の壁開口部31aの中で共同で摺動することができる。さらに、壁開口部31aは外面に拡大された直径31bを有しており、それにより、ボルト頭53が部分的に壁開口部31aの内部に配置され得る。その代替として、ボルト頭53が完全に壁開口部31aの外部に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 駆動機構
2 駆動ユニット
3 フレームインターフェース
5 貫通ボルト、保持部
6 ねじ
7 許容差補償部材
20 貫通孔、開口部
27 軸方向間隔
31 第1の壁部
31a 壁開口部
32 第2の壁部
32a 雌ねじ
32b 切欠き
41,42 スリーブ
41c 形状接合部材
41d 角錐
41e 凹部
41h 厚み
43 シャフト
43a プレス領域
43h 壁厚
44 フランジ
45 緩衝部材
51 ナット
53 ボルト頭、保持部の部分
60 ねじ軸
71 すべり軸受ブッシュ
72 緩衝カバー
72a シールリップ
77 スリット
100 車両
106 チェーンホイール
108 従動軸
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
図14は、
図13の許容差補償部材7の斜視断面図を示している。
図14に見られるとおり、すべり軸受ブッシュ7
1はその外側円周に、許容差補償部材7の長手方向に対して平行に配置された複数の溝73を有している。ここではこれらの溝73は、すべり軸受ブッシュ7
1の円周の周りに均等に配分されている。溝73は緩衝カバー72の部分領域により充填されている。それにより、すべり軸受ブッシュ71と緩衝カバー72との特別に良好な結合を可能にすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両(100)の駆動機構において、
駆動ユニット(2)と、
フレームインターフェース(3)とを含み、
前記駆動ユニット(2)は少なくとも部分的に前記フレームインターフェース(3)の第1の壁部(31)と第2の壁部(32)との間に配置され、
前記両方の壁部(31,32)の各々で前記駆動ユニット(2)を保持する保持部(5)を含み、
前記保持部(5)は前記第2の壁部(32)に取り付けられ、および、
許容差補償部材(7)を含み、
前記第1の壁部(31)は第1の壁開口部(31a)を有し、
前記許容差補償部材(7)はスリーブ状に構成されて前記第1の壁開口部(31a)の内部に配置され、
前記保持部(5)の1つの部分(53)は前記許容差補償部材(7)により前記壁開口部(31a)の内部で軸方向へ可動なように配置される、駆動機構。
【請求項2】
前記許容差補償部材(7)は、すべり軸受ブッシュ(71)と、前記すべり軸受ブッシュ(71)を取り囲む緩衝カバー(72)とを有する、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
すべり軸受ブッシュ(71)と保持部(5)は、前記許容差補償部材(7)の内部に配置される前記保持部(5)の前記部分(53)が、前記許容差補償部材(7)を前記第1の壁部(31)と径方向で応力固定するために、前記すべり軸受ブッシュ(71)を径方向で拡張するように構成される、請求項2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記すべり軸受ブッシュ(71)はスリットを有するように構成される、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記すべり軸受ブッシュ(71)の前記スリット(77)は前記すべり軸受ブッシュ(71)の軸方向に関して斜めに形成される、請求項4に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記許容差補償部材(7)の内部に配置される前記保持部(5)の前記部分(53)は前記第2の壁部(32)に向かう方向で先細になるように構成される、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記緩衝カバー(72)は少なくとも1つのシールリップ(72a)を径方向外面に有し、
少なくとも1つの前記シールリップ(72a)は、前記許容差補償部材(7)が前記第1の壁開口部(31a)の中に配置されたときに、緩衝カバー(72)と第1の壁部(31)との間で軸方向の形状接合が成立するように構成される、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記緩衝カバー(72)は少なくとも1つのシールリップ(72b)を径方向内面に有する、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記緩衝カバー(72)は、前記保持部(5)の前記部分(53)が前記許容差補償部材(7)の内部に配置されたときに、少なくとも1つの前記シールリップ(72a,72b)が径方向外側に向かって押し除けられるように構成される、請求項7または8に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記許容差補償部材(7)の前記緩衝カバー(72)は振動吸収性の材料、特にエラストマーで形成される、請求項2から8までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項11】
前記すべり軸受ブッシュ(71)は長手方向に対して平行に配置された複数の溝(73)を外側円周に有する、請求項2から8までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項12】
前記駆動ユニット(2)は貫通孔(20)を有し、
前記保持部(5)は前記貫通孔(20)に挿通される貫通ボルト(5)を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項13】
前記貫通ボルト(5)はねじとして構成され、前記貫通ボルトは前記第2の壁部(32)の雌ねじ(32a)にねじ込まれる、請求項12に記載の駆動機構。
【請求項14】
前記貫通ボルト(5)はねじとして構成され、
前記貫通ボルト(5)は前記第2の壁部(32)に配置されたナット(51)にねじ込まれる、請求項13に記載の駆動機構。
【請求項15】
前記ナット(51)は前記第2の壁部(32)の切欠き(32b)の中で回り止めされて配置される、請求項14に記載の駆動機構。
【請求項16】
前記保持部(5)は共通のねじ軸(60)の上に配置された2つのねじ(6)を有し、
前記駆動ユニット(2)は各々のねじ(6)によって前記両方の壁部(31,32)のうちのそれぞれ一方に取り付けられる、請求項1から8までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項17】
前記駆動ユニット(2)のそれぞれ1つの開口部(20)に両側で差し込まれた2つのスリーブ(41,42)をさらに含み、
各々のスリーブ(41,42)はシャフト(43)とフランジ(44)とを有し、
前記シャフト(43)は少なくとも部分的に前記開口部(20)の内部に配置され、
前記フランジ(44)は前記開口部(20)の外部に配置される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項18】
各々のスリーブ(41,42)は前記駆動ユニット(2)のほうを向いている前記フランジ(44)の側に配置された緩衝部材(45)を有し、
前記緩衝部材(45)は振動吸収性の材料で形成される、請求項17に記載の駆動機構。
【請求項19】
前記緩衝部材(45)は追加的に前記シャフト(43)を少なくとも部分的に取り囲む、請求項18に記載の駆動機構。
【請求項20】
前記駆動ユニット(2)の前記開口部(20)は共通の貫通孔として構成され、
前記両方のスリーブ(41,42)は、前記貫通孔の中へ完全に差し込まれた状態のとき、かつ応力のかかっていない状態のとき、前記両方のスリーブ(41,42)の間に前記貫通孔の内部で事前定義された軸方向間隔(27)が存在するように設計される、請求項18に記載の駆動機構。
【請求項21】
事前定義される前記軸方向間隔(27)は、完全に応力をかけられた状態にあるとき、前記貫通ボルト(5)により前記両方のスリーブ(41,42)が応力をかけられることによって、および前記緩衝部材(45)の弾性変形によって、前記軸方向間隔(27)が補償されるように設計される、請求項20に記載の駆動機構。
【請求項22】
少なくとも1つのスリーブ(41,42)の前記フランジ(44)は前記スリーブ(41,42)の前記シャフト(43)の壁厚(43h)に実質的に相当する厚み(41h)を有し、または、
少なくとも1つのスリーブ(41,42)の前記フランジ(44)は前記スリーブ(41,42)の前記シャフト(43)の壁厚(43h)の少なくとも1.5倍に相当する厚み(41h)を有する、請求項17に記載の駆動機構。
【請求項23】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の駆動機構(1)を含んでいる車両、特に筋力および/またはモータ力によって作動可能な車両、好ましくは電動自転車。
【請求項24】
前記駆動ユニット(2)の従動軸(108)と結合されたチェーンホイール(106)をさらに含み、前記駆動機構(1)の前記第2の壁部(32)は前記チェーンホイール(106)の側に配置される、請求項23に記載の車両。
【外国語明細書】