(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127557
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】樹脂組成物、放熱部材及び電子機器
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230906BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20230906BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20230906BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20230906BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230906BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20230906BHJP
C09K 5/10 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L33/06
C08L63/00 C
C08L9/00
C08L67/00
C08L83/04
C09K5/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027520
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2022031074
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】下地頭所 彰
(72)【発明者】
【氏名】緒方 雄大
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CD051
4J002CP031
4J002DE147
4J002DF017
4J002EJ016
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱伝導性粒子の分散性に優れ、かつ放熱性に優れる成形体の作製に適した樹脂組成物を提供する。また、該樹脂組成物を用いた放熱部材及び電子機器を提供する。
【解決手段】樹脂成分と、分散剤と、熱伝導性粒子とを含有する樹脂組成物であって、前記分散剤は、下記式で表される構成単位(A-1)、(A-1’)、(A-2)、(A-2’)等からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分(I)と、分散剤(II)と、熱伝導性粒子(III)とを含有する樹脂組成物であって、
前記分散剤(II)は、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する、樹脂組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R
4はそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R
6及びR
7はそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。
【請求項2】
前記分散剤(II)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有する、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記分散剤(II)は、前記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記分散剤(II)は、前記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記分散剤(II)は、重量平均分子量が400以上、1万以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が2である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が3である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記分散剤(II)は、少なくとも部分的に水添された水添体である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記分散剤(II)中の炭素に占める生物由来の炭素の含有率が10%以上である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記熱伝導性粒子(III)が、金属酸化物、金属窒化物、炭化物、炭素系材料、及び、金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記熱伝導性粒子(III)が、アルミナ、ダイヤモンド、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記樹脂成分(I)が、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、及び、シリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物の成形体である、放熱部材。
【請求項14】
放熱シートである、請求項13記載の放熱部材。
【請求項15】
請求項13記載の放熱部材を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱部材に用いることのできる樹脂組成物に関する。また、本発明は、該樹脂組成物を用いた放熱部材及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器では、電子部品の発熱による故障が生じるため、発熱を機器外部に放熱するための放熱部材を設けることがある。近年、電子機器の小型化・高性能化に伴い、駆動に伴い発生する熱を効率よく放散させる技術が求められている。
【0003】
放熱部材としては、樹脂中に、放熱性を有する粒子を分散させたものが知られている。このような粒子の分散には、分散剤が用いられることがある。粒子分散用の分散剤としては種々のものが用いられており、例えば、特許文献1には、水酸基を有する構造単位を一定量有する特定の化合物を分散剤として用いることで、充填材の分散性を向上させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、優れた放熱性を有する粒子(熱伝導性粒子)は樹脂への均一な分散が難しかった。樹脂における粒子の分散性が低下すると、粒子が局所的に凝集するため、樹脂中に均一な伝熱経路を形成できなくなったり、シート状に成形したときの表面平滑性が低下して発熱部材等の被着体に対する密着性が低下したりしてしまう。その結果、放熱部材としての放熱性(熱伝導性)が低下してしまう。また、粒子の分散が不充分だと樹脂内に空隙が生じ、この空隙に水分などが浸入することで電子部品に求められる絶縁性が充分に得られなくなるおそれがある。これに対し、従来は、粒子や樹脂の種類に応じて、適切な分散剤を選択する必要があり、熱伝導性粒子の分散性に優れた新たな分散剤が求められていた。
【0006】
本発明は、熱伝導性粒子の分散性に優れ、かつ放熱性に優れる成形体の作製に適した樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該樹脂組成物を用いた放熱部材及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、樹脂成分(I)と、分散剤(II)と、熱伝導性粒子(III)とを含有する樹脂組成物であって、前記分散剤(II)は、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する、樹脂組成物である。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
式中、R1、R2、R3及びR5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R4はそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R6及びR7はそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。
本開示2は、前記分散剤(II)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有する、本開示1の樹脂組成物である。
本開示3は、前記分散剤(II)は、前記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下である、本開示1又は2の樹脂組成物である。
本開示4は、前記分散剤(II)は、前記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下である、本開示1~3のいずれかの樹脂組成物である。
本開示5は、重量平均分子量が400以上、1万以下である、本開示1~4のいずれかの樹脂組成物である。
本開示6は、前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が2である、本開示1~5のいずれかの樹脂組成物である。
本開示7は、前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が3である、本開示1~5のいずれかの樹脂組成物である。
本開示8は、前記分散剤(II)は、少なくとも部分的に水添された水添体である、本開示1~7のいずれかの樹脂組成物である。
本開示9は、前記分散剤(II)中の炭素に占める生物由来の炭素の含有率が10%以上である、本開示1~8のいずれかの樹脂組成物である。
本開示10は、前記熱伝導性粒子(III)が、金属酸化物、金属窒化物、炭化物、炭素系材料、及び、金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、本開示1~9のいずれかの樹脂組成物である。
本開示11は、前記熱伝導性粒子(III)が、アルミナ、ダイヤモンド、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、本開示1~10のいずれかの樹脂組成物である。
本開示12は、前記樹脂成分(I)が、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、及び、シリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、本開示1~11のいずれかの樹脂組成物である。
本開示13は、本開示1~12のいずれかの樹脂組成物であるの成形体である、放熱部材である。
本開示14は、放熱シートである、本開示13の放熱部材である。
本開示15は、本開示12又は13の放熱部材を備える、電子機器である。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、構成単位(A)を有する化合物が、フェノール等の多価の官能基と金属原子との間でキレート配位が生じることにより高極性の粒子に対して優れた分散性を有するとともに、低極性物質にも相互作用しやすいことを見出した。そして、構成単位(A)を有する化合物を分散剤として、樹脂成分及び熱伝導性粒子に配合することで、樹脂や粒子の種類に関わらず、熱伝導性粒子を均一に分散させることができ、高い放熱性能を発現させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(I)を含有する。
上記樹脂成分(I)は、特に限定されないが、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマー樹脂等が挙げられる。なお、硬化性樹脂は、一般的に主剤を硬化剤により硬化させることで、硬化する樹脂成分であり、主剤は高分子成分であってもよいし、モノマー成分であってもよい。このような場合、主剤と硬化剤により樹脂成分が構成される。
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1-)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等が挙げられる。
また、エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等が挙げられる。これらエラストマー樹脂は、室温(23℃)、常圧(1気圧)で液状となる液状エラストマーであってもよいし、固体状のものであってもよいし、これらの混合物であってもよい。また、エラストマー樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも使用できる。
【0015】
上記樹脂成分(I)としては、シリコーンオイル、プロセスオイル等の液状樹脂成分でもよい。液状樹脂成分とは、配合時に室温かつ常圧下に液状であり、かつ使用時においても液状ないしゲル状となる成分である。すなわち、液状樹脂成分は、硬化剤等により硬化されない高分子成分であり、また、硬化されるものであっても硬化後、液状ないしゲル状の高分子成分となるものである。
【0016】
上記樹脂成分(I)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記樹脂成分(I)としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、及び、シリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリル樹脂としては特に限定されないが、炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られるものが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸Sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルなる表現は、アクリルおよびメタクリルを総称するものである。上述した(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0019】
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、得られる樹脂のガラス転移温度および極性を調整するために、他のビニルモノマーを共重合させてもよい。このような共重合可能なビニルモノマーとしては、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン等に代表されるスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルに代表されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエスエル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル等の不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸アルキルエステル;(メタ)アクリルニトニル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、(メタ)アクリルアミド、ビニルカルバゾール等を挙げることができる。
【0020】
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、凝集力を高めるために架橋を導入してもよい。架橋の手法としてはイソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等の架橋剤を用いた化学架橋が挙げられる。また、電子線等の放射線架橋や紫外線等の照射による光架橋を施すようにしてもよい。また、無架橋の状態で(メタ)アクリル樹脂と熱伝導性粒子(III)を混練・混合を行うことによってより多くの熱伝導性粒子(III)を配合することができ、こうして得られた樹脂組成物をシート状に形成し、後架橋することによって、放熱性と粘着性が優れた放熱シートを得ることができる。上記(メタ)アクリル樹脂には、石油樹脂、水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、ロジン樹脂等のタッキファイヤーを添加してもよい。このようにタッキファイヤーを添加すると、より粘着性の高い層を形成することができる。
【0021】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、エポキシ基を少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有するエポキシ化合物を使用することが好ましい。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン型、トリフェノールアルカン型、ビフェニル型、環状脂肪族型、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物単独で使用されてもよいが、一般的には、上記エポキシ化合物を主剤とし、さらに硬化剤が加えられたものが使用される。硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタン、ジシアンジアミド等が挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。これは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記ポリエステル樹脂としては特に限定されないが、芳香族ポリエステル樹脂を用いることができる。上記芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0023】
上記シリコーン樹脂としては特に限定されないが、縮合硬化型シリコーン樹脂、付加反応硬化型シリコーン樹脂等が好ましく、付加反応硬化型シリコーン樹脂がより好ましい。付加反応硬化型シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン化合物と、主剤を硬化させる硬化剤とからなることが好ましい。主剤として使用されるシリコーン化合物は、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。付加反応硬化型シリコーン樹脂に使用される硬化剤としては、上記した主剤であるシリコーン化合物を硬化できるものであれば、特に限定されないが、ヒドロシリル基(SiH)を2つ以上有するオルガノポリシロキサンである、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。これら、シリコーン化合物と硬化剤とを硬化させる硬化触媒として白金系触媒などを用いることが好ましい。
【0024】
上記樹脂成分(I)の量は特に限定されないが、樹脂組成物全量基準で、好ましくは5~98重量%である。上記樹脂成分(I)の量が5~98重量%であれば、好適な放熱性を確保しつつシート状等への成形が容易になる。上記樹脂成分(I)の量は樹脂組成物全量基準でより好ましくは10~90重量%であり、更に好ましくは15~80重量%である。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、分散剤(II)を含有する。上記分散剤(II)は、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する。なかでも、上記構成単位(A)は、上記構成単位(A-1)~(A-3)及び上記構成単位(A-1’)~(A-3’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
式中、R1、R2、R3及びR5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R4はそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R6及びR7はそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
【0031】
上記分散剤(II)は、上記構成単位(A)を側鎖中に有していてもよいし、主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有していてもよい。なかでも、分散剤として好適な物性を有することができることから、上記分散剤(II)は、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有することが好ましい。
【0032】
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)において、R1はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-1)に含まれる複数のR1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1)に含まれる複数のR1も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-1’)に含まれる複数のR1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1’)に含まれる複数のR1も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)において、nは2以上、4以下の整数であり、n’は2以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、n及びn’が2又は3であることが好ましい。
【0034】
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)として、より具体的には例えば、ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が2の場合)、トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が3の場合)等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシキシレン、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジアセチルジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシフェニル-2-ブタノン、ジヒドロキシフェニル酢酸メチル、ベンジルジヒドロキシフェニルケトン、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシメトキシベンゼン、ジヒドロキシベンジルアルコール、ジヒドロキシフェニルエタノール、ジヒドロキシフェニルグリコール、ジヒドロキシフェニルアセトニトリル、ジヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく熱伝導性粒子(III)と相互作用しやすいことから、ピロカテコールが好ましい。
上記トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジフェニルメタン、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシフェニルエタノン、トリヒドロキシフェニルブタノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのトリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく熱伝導性粒子(III)と相互作用しやすいことから、ピロガロールが好ましい。
【0035】
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)において、R2はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-2)に含まれる複数のR2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2)に含まれる複数のR2も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-2’)に含まれる複数のR2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2’)に含まれる複数のR2も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)において、mは1以上、4以下の整数であり、m’は1以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、m及びm’が1又は2であることが好ましい。
【0037】
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)として、より具体的には例えば、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、2-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、4-メチル安息香酸、2-エチル安息香酸、3-エチル安息香酸、4-エチル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、これらの誘導体等に由来する構成単位等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく熱伝導性粒子(III)と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
【0038】
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、R3はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のR3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のR3も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のR3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のR3も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、R4はそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のR4は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のR4も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のR4は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のR4も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、lは2以上、4以下の整数であり、l’は2以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、l及びl’が2又は3であることが好ましい。
【0041】
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)として、より具体的には例えば、ジアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(l及びl’が2の場合)、トリアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(lが3の場合)等が挙げられる。上記ジアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン等が挙げられる。上記トリアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2,3-トリメトキシベンゼン、1,2,4-トリメトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン等が挙げられる。これらのトリアルコキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく熱伝導性粒子(III)と相互作用しやすいことから、1,2,3-トリメトキシベンゼンが好ましい。
【0042】
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、R5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のR5は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のR5も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のR5は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のR5も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、R6及びR7はそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のR6及びR7は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のR6及びR7も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のR6及びR7は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のR6及びR7も、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、kは1以上、4以下の整数であり、k’は1以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、k及びk’が1、2又は3であることが好ましい。
【0045】
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)として、より具体的には例えば、アミノベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(kが1の場合)等が挙げられる。上記アミノベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等が挙げられる。これらのアミノベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
上記構成単位(A)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(A)を構成するモノマーとしては、例えば、レゾルシノール、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンジルアルコール、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。
【0047】
上記分散剤(II)における上記構成単位(A)の含有率(モル基準)は特に限定されないが、好ましい下限は1モル%、好ましい上限は60モル%である。上記構成単位(A)の含有率が1モル%以上であれば、熱伝導性粒子(III)に対する分散性をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60モル%以下であれば、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5モル%、より好ましい上限は50モル%であり、更に好ましい下限は10モル%、更に好ましい上限は30モル%である。
【0048】
上記分散剤(II)における上記構成単位(A)の含有率(重量基準)は特に限定されないが、好ましい下限は0.9重量%、好ましい上限は60重量%である。上記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上であれば、熱伝導性粒子(III)に対する分散性をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60重量%以下であれば、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は50重量%であり、更に好ましい下限は10重量%、更に好ましい上限は30重量%である。
【0049】
上記分散剤(II)は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することが好ましい。即ち、上記分散剤(II)は、上記構成単位(A)に加えて、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することが好ましい。上記構成単位(B)を有することにより、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を確保しつつ、樹脂成分(I)との相溶性を向上することができる。
なかでも、分散剤(II)が樹脂成分(I)に配合されたときの接着性をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位又はビニル系モノマーに由来する構成単位が好ましく、テルペン系モノマーに由来する構成単位とビニル系モノマーに由来する構成単位とを併用することも好ましい。また、分散剤(II)と樹脂成分(I)との相溶性を向上させる観点からは、テルペン系モノマーに由来する構成単位又は共役ジエン系モノマーに由来する構成単位が好ましい。これらの構成単位は不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有するため、化合物がこれらの構成単位を有することにより、分散剤(II)と樹脂成分(I)との相溶性が向上し、相溶性の悪化に起因して成形物を作製する際の成形性や接着性が低下することを抑制することができる。
【0050】
上記テルペン系モノマーは特に限定されず、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、δ-3-カレン、ジメチルオクタトリエン、アロオシメン、ミルセン、オシメン、リナロール、コスメン等が挙げられる。なかでも、分散剤(II)が樹脂成分(I)に配合されたときの接着性をより高めることができることから、α-ピネン、β-ピネン又はリモネンが好ましい。
上記ビニル系モノマーは特に限定されないが、分散剤(II)と樹脂成分(I)との相溶性、特に分散剤(II)と(メタ)アクリル樹脂との相溶性を向上させる観点から、1分子中に芳香環を2以上含む構造(例えば、ナフタレン構造、アントラセン構造、ビフェニル構造、アントラキノン構造、ベンゾフェノン構造等)を有さないビニル系モノマーが好ましい。上記1分子中に芳香環を2以上含む構造を有さないビニル系モノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、クマロン、インデン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン等が挙げられる。なかでも、分散剤(II)が樹脂成分(I)に配合されたときの接着性をより高めることができることから、スチレンが好ましい。
上記共役ジエン系モノマーは特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン等が挙げられる。なかでも、分散剤(II)が樹脂成分(I)に配合されたときの接着性をより高めることができることから、イソプレンが好ましい。
これらのモノマー(b)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
上記構成単位(B)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(B)を構成する上記モノマー(b)としては、例えば、テルペン系モノマー、エチレン、プロピレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0052】
上記分散剤(II)における上記構成単位(B)の含有率は特に限定されないが、好ましい下限は40モル%、好ましい上限は99モル%である。上記構成単位(B)の含有率が40モル%以上であれば、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を確保しつつ、樹脂成分(I)との相溶性を向上することができる。上記構成単位(B)の含有率が99モル%以下であれば、上記構成単位(A)の含有率を充分に確保することができるため、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記構成単位(B)の含有率のより好ましい下限は50モル%、より好ましい上限は90モル%である。
【0053】
上記分散剤(II)は、下記式で表される構造を有する共重合体であることが好ましい。このような構造を有する共重合体は、後述するようなカチオン重合を用いた方法により得られる共重合体であり、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を確保しつつ、樹脂成分(I)との相溶性を向上することができる。
【0054】
【0055】
式中、Aは構成単位(A)を表し、Bは構成単位(B)を表し、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
【0056】
上記分散剤(II)は、上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)を有する化合物であることが好ましく、上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)を有する共重合体であることがより好ましく、更に他の構成単位を有してもよい。共重合体である場合、上記構成単位(A)と上記構成単位(B)とは、ランダムに共重合していてもよいし、例えばそれぞれがブロックセグメントを形成したうえでブロックセグメント同士が結合する場合のように規則性又は周期性をもって共重合していてもよい。
【0057】
上記分散剤(II)は、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
上記分散剤(II)は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(A)又は上記構成単位(B)中に有していてもよいし、他の構成単位中に有していてもよい。なかでも、合成のし易さの観点、及び、分散剤(II)と樹脂成分(I)との相溶性を向上させる観点から、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(B)又は他の構成単位中に有することが好ましい。このような上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有する上記構成単位(B)又は他の構成単位は特に限定されないが、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)が好ましい。即ち、上記分散剤(II)は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)中に有することが好ましい。なかでも、分散剤(II)が樹脂成分(I)に配合されたときの接着性をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位中に有することが好ましい。
【0058】
また、上記他の構成単位としては、例えば、上記構成単位(A)には含まれない他のフェノール系モノマーに由来する構成単位、無水マレイン酸に由来する構成単位等も挙げられる。
上記他のフェノール系モノマーは特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの他のフェノール系モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
上記分散剤(II)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が400、好ましい上限が1万である。上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、分散剤として用いられる場合に必要とされる好適な物性を有することができる。上記重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は500、より好ましい上限は5000であり、更に好ましい下限は700、更に好ましい上限は3000である。
上記重量平均分子量(Mw)を上記範囲に調整するには、例えば、分散剤(II)の組成、重合方法、重合条件等を調整すればよい。
【0060】
なお、重量平均分子量(Mw)及び後述するような分子量分布(Mw/Mn)は、以下の方法により測定できる。
分散剤(II)の溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過する。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(例えば、Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、分散剤(II)のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求める。カラムとしては、例えば、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いる。
【0061】
上記分散剤(II)中の炭素(炭素原子)に占める生物由来の炭素(炭素原子)の含有率は特に限定されないが、炭素に占める生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが好ましい。生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが「バイオベース製品」であることの目安となる。
上記生物由来の炭素の含有率が10%以上であれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点から好ましい。上記生物由来の炭素の含有率のより好ましい下限は30%、更に好ましい下限は60%、更により好ましい下限は70%、一層好ましい下限は90%である。上記生物由来の炭素の含有率の上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14がほとんど含まれない。そのため、上記生物由来の炭素の含有率は、分散剤(II)に含まれるC-14の濃度を測定することによって算出することができる。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866-20に準じて測定することができる。
【0062】
上記分散剤(II)の量は、樹脂組成物全量基準で、好ましくは1~50重量%であり、より好ましくは3~20重量%であり、更に好ましくは5~10重量%である。
【0063】
本発明の樹脂組成物は、上記分散剤(II)が少なくとも部分的に水添された水添体(水素添加体)を含有することが好ましい。なお、水素添加体とは、上述したような化合物に存在する炭素-炭素二重結合を水素添加により飽和化した化合物である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、上記分散剤(II)中の炭素-炭素二重結合の一部が水添された水添体を含有してもよく、上記分散剤(II)中の炭素-炭素二重結合の全てが水添された水添体を含有してもよい。このような水素添加体であっても、熱伝導性粒子(III)を効果的に分散させることができる。なかでも、上記構成単位(B)としてのテルペン系モノマーに由来する構成単位における炭素-炭素二重結合が少なくとも部分的に水素添加されていることが好ましい。
【0064】
上記分散剤(II)を製造する方法は特に限定されないが、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[I]ともいう)である。
【0065】
上記モノマー(a)としては、下記式で表されるモノマー(a-1)、モノマー(a-2)、モノマー(a-3)及びモノマー(a-4)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
式中、R1、R2、R3及びR5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R4はそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R6及びR7はそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n’’は2以上、5以下の整数を表す。m’’は1以上、5以下の整数を表す。l’’は2以上、5以下の整数を表す。k’’は1以上、5以下の整数を表す。
【0071】
上記分散剤(II)の製造方法[I]では、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
カチオン重合を用いることにより、上記モノマー(a)のフェノール性水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基等の官能基を予め化学修飾により保護することなく上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、その後の脱保護も不要となる。このため、より簡便な1段階の反応工程により上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、不純物の低減及び収率の向上にもつながる。
【0072】
上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(b)のカチオンが生じて、上記モノマー(b)同士のカチオン重合が進行するとともに、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とのFridel-Craftsアルキル化反応が進行すると考えられる。このような反応が繰り返し起こることにより、上記モノマー(a)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
上記ルイス酸は特に限定されず、従来公知のルイス酸を用いることができ、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)、ジエチルアルミニウムクロリド(Et2AlCl2)、塩化すず(IV)(SnCl4)、塩化チタン(IV)(TiCl4)、三塩化ホウ素(BCl3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・EtO)等が挙げられる。なかでも、より高い収率が得られることから、塩化アルミニウム(AlCl3)が好ましい。
【0073】
より具体的には例えば、上記モノマー(a)としてピロガロールを用い、上記モノマー(b)としてα-ピネンを用い、これらをルイス酸である塩化アルミニウム(AlCl3)の存在下で反応させる場合、下記スキームに示す反応が進行すると考えられる。
即ち、上記モノマー(b)であるα-ピネンのカチオンが生じて、α-ピネン同士のカチオン重合が進行する(下記スキームの上段)とともに、上記モノマー(a)であるピロガロールと上記モノマー(b)であるα-ピネンとのFridel-Craftsアルキル化反応が進行する(下記スキームの中段)。このような反応が繰り返し起こることにより、ピロガロールに由来する構成単位と、α-ピネンに由来する構成単位とを有する共重合体を得ることができる(下記スキームの下段)。なお、このような共重合体は、ピロガロールに由来する構成単位を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有するものとなる。
【0074】
【0075】
式中、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
【0076】
上記分散剤(II)を製造する方法として、上記構成単位(A)を側鎖中に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)に更に不飽和二重結合を導入したモノマー(a’)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[II]ともいう)である。
【0077】
上記モノマー(a’)としては、例えば、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、4-ビニルカテコール等が挙げられる。これらのモノマー(a’)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく、熱伝導性粒子(III)と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
【0078】
上記分散剤(II)の製造方法[II]においても、上記分散剤(II)の製造方法[I]と同様に上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とを上述したようなルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(a’)中の不飽和二重結合と、上記モノマー(b)中の不飽和二重結合とのカチオン重合が進行し、上記モノマー(a’)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
【0079】
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性粒子(III)を含有する。
上記熱伝導性粒子(III)の材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銅、銀、鉄、アルミニウム、コバルト、すず、ニッケル、チタン、インジウム等の金属及び各種合金;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ベリリウム、酸化インジウムすず(ITO)等の酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウム、窒化ホウ素等の窒化物;炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステン等の炭化物;黒鉛、ダイヤモンド、非晶カーボン、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素系材料;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;石英、石英ガラス等のシリカ類;合成マグネサイト、マグネシウム炭酸塩等の金属炭酸塩等が挙げられる。これら材料は、用途に応じて1種又は2種以上を適宜に選定して使用できる。なかでも、上記熱伝導性粒子(III)は、金属酸化物、金属窒化物、炭化物、炭素系材料、及び、金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、また、アルミナ、ダイヤモンド、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましい。
【0080】
また、上記熱伝導性粒子(III)の形状は特に限定されず、例えば、球状粒子を用いてもよいし、鱗片状粒子を用いてもよいし、両者を併用してもよい。
【0081】
また、上記熱伝導性粒子(III)の粒径は、0.05μm~300μmであることが好ましく、0.1μm~200μmであることがより好ましく、0.5μm~100μmであることが更に好ましく、1μm~50μmであることが特に好ましい。粒径が小さ過ぎると、二次凝集が生じ、樹脂成分(I)への分散が困難になるおそれがあり、粒径が大き過ぎると、得られる成形体の表面平滑性が低下するおそれがある。なお、上記熱伝導性粒子(III)の粒径とは、球状粒子であれば、粒子の直径を指し、球状粒子以外の粒子形状であれば、粒子の最長部の長さを指す。
【0082】
上記熱伝導性粒子の粒径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。熱伝導性粒子の粒径は、任意の熱伝導性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各熱伝導性粒子の粒径の平均値を算出したり、粒度分布測定装置を用いたりして求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの熱伝導性粒子の粒径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の熱伝導性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの熱伝導性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記熱伝導性粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。
【0083】
上記熱伝導性粒子(III)の含有量は、樹脂組成物全量基準で、好ましくは10~95重量%である。上記熱伝導性粒子(III)の含有量が10重量%以上であれば、より効果的に放熱させることができる。上記熱伝導性粒子(III)の含有量が90重量%以下であれば、得られる成形体の表面平滑性を良好に調整しやすくなる。上記熱伝導性粒子(III)の含有量のより好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は90重量%であり、更に好ましい下限は50重量%である。
【0084】
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(I)、分散剤(II)及び熱伝導性粒子(III)を含有するものであれば限定されず、更に、溶媒を含有するものであってもよい。溶媒を含有することにより、樹脂組成物の成形性等の取り扱い性を向上させることができる。
【0085】
上記溶媒としては特に限定されず、水や、有機溶媒を使用することができる。上記有機溶媒としては、例えば、脂肪族アルコール、環状アルコール、脂環式アルコール等のアルコール類が挙げられる。
上記脂肪族アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、トリデカノール、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール、テキサノール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
上記環状アルコールとしては、例えば、クレゾール、オイゲノール等が挙げられる。
上記脂環式アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール等が挙げられる。
なかでも、エタノール、イソプロパノール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、テキサノールが好ましい。
また、他の有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸2-エチルヘキシル、酪酸2-エチルヘキシル等のエステル類等が挙げられる。
【0086】
上記樹脂組成物における上記溶媒の含有量は特に限定されないが、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。
【0087】
上記溶媒の沸点は90~160℃であることが好ましい。上記沸点が90℃以上であることで、蒸発が早くなりすぎず、取り扱い性に優れる。上記沸点を160℃以下とすることで、得られる成形物の強度を向上させることが可能となる。
【0088】
上記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤や、界面活性剤、タッキファイヤー、可塑剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、耐衝撃強化剤、難燃剤、防曇剤、ワックス、金属石鹸等の各種の添加剤を含有していてもよい。
【0089】
上記樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、20℃においてB型粘度計を用いプローブ回転数を5rpmに設定して測定した場合の粘度の好ましい下限が0.1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sである。
上記粘度を0.1Pa・s以上とすることで、ダイコート印刷法等により塗工した後、得られる熱伝導性粒子分散シートが所定の形状を維持することが可能となる。また、上記粘度を100Pa・s以下とすることで、ダイの塗出痕が消えない等の不具合を防止して、印刷性に優れるものとできる。
【0090】
上記樹脂組成物を作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、樹脂成分(I)、分散剤(II)及び熱伝導性粒子(III)及び必要に応じて添加される溶媒等の他の成分を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。上記樹脂組成物の構成成分の添加順序は適宜設定することができる。
【0091】
本発明の樹脂組成物を硬化させ、用途に応じて成形することで、放熱部材を製造することができる。このような樹脂組成物の成形体である、放熱部材もまた本発明の1つである。
本発明の放熱部材の形状は特に限定されないが、例えば、シート形状とすることが好ましい。即ち、本発明の放熱部材は、放熱シートであることが好ましい。放熱シートの厚さは特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、800μm以下であることが好ましい。
【0092】
本発明の放熱シートの製造方法としては、例えば、本発明の樹脂組成物をロールコーター、ダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の塗工方式によって支持フィルム上に均一に塗膜を形成する方法等が挙げられる。
【0093】
上記支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって支持フィルムの表面に樹脂組成物を塗布することができ、得られる放熱シートをロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
【0094】
上記支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレン等の含フッ素樹脂、ナイロン、セルロース等が挙げられる。
上記支持フィルムの厚みは、例えば、20~100μmが好ましい。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0095】
本発明の放熱部材は、熱伝導性粒子が均一に分散されていることから放熱性能に優れ、被着体の熱を効果的に伝えることができる。したがって、本発明の放熱部材は、電子機器内部の放熱に用いられることが好ましい。このような放熱部材を備える、電子機器もまた本発明の1つである。
【0096】
本発明の電子機器としては特に限定されず、例えば、半導体モジュール等の電子部品;ノートパソコン、モバイル機器等のコンピュータ;鉄道車両、電気自動車等の輸送機器;IH調理器、冷蔵庫等の家電製品等が挙げられる。
【発明の効果】
【0097】
本発明によれば、熱伝導性粒子の分散性に優れ、かつ放熱性に優れる成形体の作製に適した樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該樹脂組成物を用いた放熱部材及び電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0099】
<分散剤(II)の調製>
(合成例A)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl3)2重量部を投入した。ここに、表1に示す構成単位(A)形成用のモノマー(a)、及び、構成単位(B)形成用のモノマー(b)合計50重量部(モル比は表1に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl3)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体の樹脂状化合物である分散剤(II)を得た。
得られた分散剤(II)についてlH-NMR測定を行い、分散剤(II)が、モノマー(a)であるカテコールに由来する構成単位(A)と、モノマー(b)であるα-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体であることを確認した。
得られた分散剤(II)をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、分散剤(II)のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
また、得られた分散剤(II)について、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
【0100】
(合成例B~I及びK~M)
構成単位(A)形成用のモノマー(a)、及び、構成単位(B)形成用のモノマー(b)を表1に示すように変更したこと以外は合成例Aと同様にして、分散剤(II)を得た。なお、合成例Dと合成例Iとでは同じモノマーを使用したが、合成例Iではピロガロール(n=3)及びα-ピネン合計70重量部(モル比は表1に示すとおり)をトルエン30重量部に溶かした溶液を滴下することにより重量平均分子量(Mw)の異なる化合物を得た。
【0101】
(合成例J)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl3)2重量部を投入した。ここに、4-ビニル安息香酸(m=1)及びα-ピネン合計70重量部(モル比は表1に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl3)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体状の分散剤(II)を得た。
得られた分散剤(II)についてlH-NMR測定を行い、分散剤(II)が、4-ビニル安息香酸に由来する構成単位(A)と、α-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体(構成単位(A)を側鎖中に有する共重合体)であることを確認した。
得られた分散剤(II)をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、分散剤(II)のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
また、得られた分散剤(II)について、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
【0102】
【0103】
<樹脂組成物の製造>
(実施例1)
樹脂成分(I)としてのウレタンアクリレート(Sartomer社製、商品名「CN9005」)及び光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、商品名「Omnirad819」)10重量%(ウレタンアクリレート:光重合開始剤=100:1)、合成例Aで作製した分散剤(II)10重量%、熱伝導性粒子(III)としてのダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、商品名「TMS 325/400」、メッシュ粒度:#325/#400)85重量%を混合し、上記混合物100重量部に対して、有機溶媒としてトルエン50重量部を混合し攪拌して、樹脂組成物を得た。
【0104】
(実施例2~17、比較例1~3)
樹脂成分(I)、分散剤(II)、及び、熱伝導性粒子(III)の種類を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。使用した材料のうち、表1に記載されていないものを以下に示す。
【0105】
<樹脂成分(I)>
エポキシ樹脂主剤(三菱ケミカル社製、商品名「jER828」)
エポキシ樹脂硬化剤(メタキシリレンジアミン(MXDA)、三菱ガス化学トレーディング社製)
シリコーンオイル(三菱化学社製、商品名「SH200CV」)
<分散剤(II)>
ロジンエステル系樹脂(荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE359」)
テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターG150」)
<熱伝導性粒子(III)>
球状アルミナ(デンカ社製、商品名「DAM-45」、平均粒径(d50)42.8μm、比表面積0.2m2/g)
窒化アルミニウム熱伝導フィラー(東洋アルミニウム社製、商品名「トーヤルテックフィラー TFZ-N05P」、平均粒径5.0μm、比表面積1.0m2/g)
【0106】
<評価>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
【0107】
(分散性評価)
樹脂組成物の粘度を測定することで、熱伝導性粒子の分散性を評価した。粘度が低いほど、分散性が良好であることを示している。
粘度の測定は、粘度計(BROOKFIELD社製「LV-DV-E」)を用いて、25℃にて行った。
以下の基準で分散性を評価した。
◎:300cp未満
○:300cp以上400cp未満
△:400cp以上500cp未満
×:500cp以上
【0108】
(シート性評価)
樹脂組成物を離型PETシート上に厚み500μmとなるように塗布した。実施例1~13、及び、比較例1~3で得られた各樹脂組成物については、110℃で10分間加熱した後、メタルハライドランプを用いて100mW/cm2の光を30秒間照射して硬化することで、樹脂組成物より形成されたシートを得た。実施例14、15については120℃で30分間加熱することで、樹脂組成物より形成されたシートを得た。シートの表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製「VK-8700」)により観察し、算術平均粗さ(Ra)を算出し評価した。
○:表面粗さが5μm未満
×:表面粗さが5μm以上
【0109】
(熱伝導率評価)
上記シート性評価で作製したシートについて、23℃±2℃の雰囲気温度で、ASTM D5470に従って熱伝導率を測定した。測定装置としてはMentor, a Siemens Business社の「T3Ster DynTIM Tester」を用いた。
○:比較例1と比べて1.2倍以上の熱伝導率であった
×:比較例1と比べて1.2倍未満の熱伝導率であった
【0110】
(絶縁性評価)
上記シート性評価で作製したシートについて、実施例及び比較例の各シートを100×100mmの大きさに切りだしてサンプルを得た。得られたサンプルにパターン電極を作製の後、50℃オーブンにて60分間保持して、テストサンプルを得た。耐電圧試験器(EXTECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.5kV/minの速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。テストサンプルが破壊した電圧を絶縁破壊電圧とし、以下の基準で評価した。
○:12kV/mm以上
△:8kV/mm以上12kV/mm未満
×:8kV/mm未満
【0111】
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によれば、熱伝導性粒子の分散性に優れ、かつ放熱性に優れる成形体の作製に適した樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該樹脂組成物を用いた放熱部材及び電子機器を提供することができる。