(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127572
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】繊維製品処理剤用の香料組成物
(51)【国際特許分類】
D06M 13/00 20060101AFI20230906BHJP
C11B 9/00 20060101ALN20230906BHJP
【FI】
D06M13/00
C11B9/00 B
C11B9/00 G
C11B9/00 E
C11B9/00 S
C11B9/00 C
C11B9/00 P
C11B9/00 K
C11B9/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029492
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022031185
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】澤田 奎太
(72)【発明者】
【氏名】安達 侑里
(72)【発明者】
【氏名】勝賀瀬 祥子
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 沙絵
【テーマコード(参考)】
4H059
4L033
【Fターム(参考)】
4H059BA01
4H059BA12
4H059BA14
4H059BA15
4H059BA17
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA22
4H059BA30
4H059BA36
4H059BB03
4H059BB04
4H059BB45
4H059DA09
4H059EA35
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA00
(57)【要約】
【課題】繊維製品処理の広範な工程に亘って発香できる香料組成物を提供すること。
【解決手段】繊維製品処理製品剤用香料組成物であって、25℃における蒸気圧が0.00100 mmHgよりも高い香料成分Aと、25℃における蒸気圧が0.00100 mmHg以下の香料成分Bとを含み、香料組成物の総質量に対して、香料成分Aの含量が40~90質量%であり、香料成分Bの含量が10~60質量%であることを特徴とする、香料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料組成物であって、
25℃における蒸気圧が0.00100 mmHgよりも高い香料成分A、及び、
25℃における蒸気圧が0.00100 mmHg以下の香料成分B、を含み、
香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~90質量%であり、
香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~60質量%である、
ことを特徴とする、繊維製品処理剤用香料組成物。
【請求項2】
香料成分Aの25℃における蒸気圧が0.003~8mmHgである、及び/又は、
香料成分Bの25℃における蒸気圧が4.0×10-6~0.001mmHgである、請求項1に記載の香料組成物。
【請求項3】
香料成分Aとして、分子量が100~240である化合物を、香料組成物の総質量に対して30~90質量%含む、及び/又は、
香料成分Bとして、分子量が160~290である化合物を、香料組成物の総質量に対して10~60質量%含む、請求項1又は2に記載の香料組成物。
【請求項4】
香料成分AのlogP値が1~6である、及び/又は、
香料成分BのlogP値が1~6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項5】
香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して50~90質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~270であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~50質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項6】
香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して50~90質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~280であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して20~50質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項7】
香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~60質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~275であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して20~60質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項8】
香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~70質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~290であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~40質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の香料組成物を含む、繊維製品処理剤。
【請求項10】
液体柔軟剤である、請求項9に記載の繊維製品処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品処理剤用の香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維製品処理剤(洗剤や柔軟剤等)のうち、香りを訴求した製品の国内シェアは年々伸長している。香りを訴求した製品で採用されている技術として、即放性のフリー香料と、徐放性のカプセル香料や香料前駆体とを併用することで、洗濯機から取り出した後の繊維製品から持続的に発香させる技術が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗濯機から取り出した後の繊維製品からの発香に加えて、取り出す前でも発香(例えば、処理剤を洗濯機へ投入する際や、洗濯機を開扉する際の発香)させることで、消費者が香りを楽しめる期間を拡張し、繊維製品処理全般に対する体験価値を向上させることのできる製品の開発を目的として検討を行った。
しかし、従来の技術は、乾燥工程以降の繊維製品からの発香に重点が置かれており、前記目的の達成には十分ではないことが判明した。
そこで、繊維製品処理の広範な工程(処理剤を洗濯機へ投入するとき~乾燥工程)に亘って発香できる香料組成物の提供を課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
鋭意検討した結果、本発明者は、拡散速度に関与する蒸気圧により区別される2種類の香料成分を所定の割合で組み合わせると、前記の課題が解決できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔10〕に関するものである。
〔1〕香料組成物であって、
25℃における蒸気圧が0.00100 mmHgよりも高い香料成分A、及び、
25℃における蒸気圧が0.00100 mmHg以下の香料成分B、を含み、
香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~90質量%であり、
香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~60質量%である、
ことを特徴とする、繊維製品処理剤用香料組成物。
〔2〕香料成分Aの25℃における蒸気圧が0.003~8mmHgである、及び/又は、
香料成分Bの25℃における蒸気圧が4.0×10-6~0.001mmHgである、前記〔1〕に記載の香料組成物。
〔3〕香料成分Aとして、分子量が100~240である化合物を、香料組成物の総質量に対して30~90質量%含む、及び/又は、
香料成分Bとして、分子量が160~290である化合物を、香料組成物の総質量に対して10~60質量%含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の香料組成物。
〔4〕香料成分AのlogP値が1~6である、及び/又は、
香料成分BのlogP値が1~6である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔5〕香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して50~90質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~270であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~50質量%である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔6〕香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して50~90質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~280であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して20~50質量%である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔7〕香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~60質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~275であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して20~60質量%である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔8〕香料成分Aの分子量が100~240であり、かつ、香料成分Aの含量が、香料組成物の総質量に対して40~70質量%である、及び/又は、
香料成分Bの分子量が160~290であり、かつ、香料成分Bの含量が、香料組成物の総質量に対して10~40質量%である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔9〕前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の香料組成物を含む、繊維製品処理剤。
〔10〕液体柔軟剤である、前記〔9〕に記載の繊維製品処理剤。
【発明の効果】
【0006】
後述の実施例で示されるように、本発明の香料組成物は、洗濯機から取り出した繊維製品を乾燥させる工程だけでなく、取り出す前の場面(処理剤を洗濯機へ投入する際や、洗濯機を開扉する際)でも発香できるので、消費者が香りを楽しめる期間を拡張することができる。したがって、本発明は、従来製品にはない付加価値(繊維製品処理全般に対する体験価値の向上)を有する繊維製品処理剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔香料組成物〕
香料組成物は、香料成分AとBを必須成分として含む。
【0008】
〔香料成分A〕
香料成分Aは、25℃における蒸気圧(以下、「蒸気圧」ともいう)が0.00100 mmHgよりも高い香料である。
香料成分Bよりも蒸気圧が高く、香料成分Bよりも速く拡散する香料成分Aは、主に、繊維製品を洗濯機から取り出す前の場面(例えば、処理剤を洗濯機へ投入する際や、洗濯機を開扉する際)で香りを提供するために配合する。
香料成分Aの蒸気圧は、好ましくは0.003~8mmHgである。
蒸気圧の値は、例えば、ウェブサイト(URL: http://www.thegoodscentscompany.com/search3.php)から入手できる。
【0009】
香料成分Aの分子量(MW)は、好ましくは100~240である。分子量が100~240であると、繊維製品を洗濯機から取り出す前の場面で、より優れた発香を提供できる。
【0010】
香料成分AのlogP値は、好ましくは1~6である。logP値が1~6であると、繊維製品への吸着性が向上し、洗濯水やすすぎ水への流出が抑制されるので、より優れた発香を提供できる。
logP値は、化合物の1-オクタノール/水分配係数P(1-オクタノール中及び水中の平衡濃度の比)を、底10に対する対数logPの形態で表した値である。logP値は、例えば、蒸気圧について述べたウェブサイトから入手できる。
【0011】
香料成分Aである「0.00100 mmHgよりも高い蒸気圧を有する香料」の例としては以下のものが挙げられる。
(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、
アンブロキサイド(Ambrox)、
ジメチルベンジルカルビニルブチレート(dimethyl benzyl carbinyl butyrate)、
β-オプロペノン(Beta-Oplopenone)、
2-フェノキシエチルイソブチレート(2-Phenoxyethyl isobutyrate)、
フルーティカルボキシレート(Fruitate)、
α-メチルイオノン(alpha-methyl ionone)、
ガーデニアアセタール(Floropal)、
α-イソメチルイオノン(Alpha-Isomethyl Ionone)、
1,1,2,3,3-ペンタメチル-2,5,6,7-テトラヒドロインデン-4-オン(Cashmeran)、
N-メチルイオノン(N-Methyl Ionone)、
イソオイゲノールアセテート(Isoeugenol Acetate)、
シクラメンホモアルデヒド(SILVIAL)、
リリアール(Lilial)、
ジシクロペンタジエンプロピオネート(Florocyclene)、
ウッディアセテート(woody acetate、Vertenex)、
(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート(Verdox)、
シトロネリルアセテート(Citronellyl Acetate)、
(シクロヘキシルオキシ)酢酸2-プロペニル(Cyclogalbanat)、
リナリルアセテート(Linalyl Acetate)、
ゲラニルアセテート(Geranyl Acetate)、
アリルシクロヘキシルプロピオネート(Allyl Cyclohexyl Propionate)、
エチルサフラネート(ethyl safranate)、
α-イオノン(alpha-ionone)、
β-イオノン(Beta-Ionone)、
酢酸トリシクロデセニル(Jasmacyclene)、
α-ダマスコン(Alpha-Damascone)、
1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセニル)ペント-4-エン-1-オン(Dynascone)、
アセトキシジヒドロジサイクロペンタジエン(Cyclacet)、
フローラルブタナール(florhydral)、
β-ダマセノン(beta-Damascenone)、
シクラメンプロロパナール(Bourgeonal)、
シクラメンアルデヒド(Cyclamen Aldehyde)、
エチル2-シクロヘキシルプロピオネート(poirenate)、
γ-ウンデカラクトン(Gamma-Undecalactone)、
ドデカンニトリル(CLONAL)、
3-メチル-5-フェニルペンタン-1-オール(Pnenoxanol)、
リリープロパノール(majantol)、
ルバフラン(RHUBAFURAN)、
エチルシンナメート(ethyl cinnamate)、
エチルトランスシンナメート(E-Ethyl Cinnamate)、
アップルケタル(fructone)、
2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florosa)、
アリルヘプタノエート(Allyl heptanoate)、
γ-デカラクトン(Gamma-Decalactone)、
フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール(Viridine)、
ジヒドロオイゲノール(dihydroeugenol)、
スチラリルアセテート(Styralyl Acetate)、
フェニルエチルアセテート(Phenethyl Acetate)、
メチルシンナメート(Methyl Cinnamate)、
(2R、4S)-2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン(Oxane)、
テトラヒドロリナロール(Tetrahydrolinalool)、
ネロリンヤラヤラ(Nerolin Yara Yara)、
アリルヘキサノエート(Allyl Hexanoate)、
ジヒドロミルセノール(Dihydromyrcenol)、
シトロネロール(Citronellol)、
ジヒドロリナロール(Dihydrolinalool)、
(4-プロパン-2-イルシクロヘキシル)メタノール(Mayol)、
γ-ノナラクトン(Gamma-Nonalactone)、
ネロール(Nerol)、
ローズオキサイド(Roseoxide)、
α-ターピネオール(Alpha-Terpineol)、
ゲラニオール(Geraniol)、
リナロール(Linalool)、
シトロール(Citrol)、
メチルサリシレート(Methyl salicylate)、
ゲラニアール(Geranial)、
ネラール(Neral)、
バニリン(Vanillin)、
ベンジルアセテート(Benzyl Acetate)、
ヘリオトロピン(Heliotropine)、
アネトール(Anethole)、
クマリン(Coumarin)、
エチル2-メチルペンタノエート(Manzanate)、
ヘキシルアセテート(Hexyl Acetate)、
γ-オクタラクトン(gamma-octalactone)、
cis-3-ヘキセニルアセテート(cis-3-Hexenyl Acetate)、
2、6-ジメチル-5-ヘプテナール(Melonal)、
2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(Triplal)、
β-ピネン(Beta-Pinene)、
ミルセン(Myrcen)、
フェランドレン(Phellandrene)、
γ-ターピネン(Gamma-Terpinene)、
メトキシベンズアルデヒド(Anisaldehyde)、
安息香酸メチル(Methyl Benzoate)、
リモネン(Limonene)、
シンナミルアルコール(Cinnamyl Alcohol)、
エチル-2-メチルブチレート(Ethyl 2-Methylbutyrate)、
イソアミルアセテート(Isoamyl Acetate)、
フェニルエチルアルコール(Phenethyl Alcohol)、
ブチルアセテート(Butyl Acetate)、
γ-ヘキサラクトン(gamma-hexalactone)、
ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)、及び、
cis-3-ヘキセノール(cis-3-Hexenol)。
【0012】
香料成分Aの含量は、香料組成物の総質量に対して40~90質量%、好ましくは45~80質量%、更に好ましくは45~75質量%である。香料成分Aの含量が40~90質量%であると、後述する含量の香料成分Bと組み合わせることで、繊維製品処理の広範な工程に亘って発香することができる。
【0013】
香料成分Aは公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
香料成分Aは単一種類を使用してもよく、複数種類(好ましくは5種類以上、より好ましくは10種類以上)を併用してもよい。
【0014】
〔香料成分B〕
香料成分Bは、25℃における蒸気圧(以下、「蒸気圧」ともいう)が0.00100 mmHg以下の香料である。
香料成分Aよりも蒸気圧が低く、香料成分Aよりも遅く拡散する香料成分Bは、主に、繊維製品を洗濯機から取り出した後の場面(例えば、繊維製品を乾燥する工程)で香りを提供するために配合する。
香料成分Bの蒸気圧は、好ましくは4.0×10-6~0.001mmHgである。
蒸気圧の値は、前述したウェブサイトから入手できる。
【0015】
香料成分Bの分子量(MW)は、好ましくは160~290、より好ましく160~270である。分子量が160~290であると、繊維製品を洗濯機から取り出した後の場面で、より優れた発香を提供できる。
【0016】
香料成分BのlogP値は、好ましくは1~6である。logP値が1~6であると、繊維製品への吸着性が向上し、洗濯水やすすぎ水への流出が抑制されるので、より優れた発香を提供できる。
logP値は、前述したウェブサイトから入手できる。
【0017】
香料成分Bである「0.00100 mmHg以下の蒸気圧を有する香料」の例としては以下のものが挙げられる。
トリエチルシトレート(Triethyl Citrate)、
エチレンブラシレート(Ethylene Brassylate)、
ローズアセテート(Rose Acetate)、
ムスクメチルケトン(Traseolide)、
1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチルシクロペンタ-γ-2-ベンゾピラン(Galaxolide)、
5-アセチル-1,1,2,3,3,6-ヘキサメチルインダン(Tonalid)、
1-オキサシクロヘプタデカン-2-オン(Hexadecanolide)、
メチルセドリルケトン(Vertofix)、
シクロペンタデカノリド(Cyclopentadecanolide)、
(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、
1-(2,3,8,8-テトラヒドロ-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(Iso E Super)、
メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)、
ジヒドロファルネソール(Dihydro Farnesol)、
サンダルシクロプロパン(javanol)、
ヘキシルサリシレート(Hexyl Salicylate)、
ファルネサール(Farnesal)、
シクロヘキシルサリシレート(cyclohexyl salicylate)、
cis-3-ヘキシルサリシレート(cis-3-Hexenyl Salicylate)、
1-スピロ[4.5]デカ-7-エン-7-イルペンタ-4-エン-1-オン(Spirogalbanone)、
ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、
ベンジルベンゾエート(Benzyl Benzoate)、
2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-2-ブテン-1-オール(Bacdanol)、
β-イソメチルイオノン(Beta-Isomethyl Ionone)、
β-メチルイオノン(Beta-Methyl Ionone)、
4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-8-イリデン)ブタナール(dupical)、
2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、
サンダルブテノール(Hindinol)、
δ-デカラクトン(Delta-Decalactone)、
エチルバニリン(Ethyl Vanillin)、及び、
ラズベリーケトン(Raspberry Ketone)。
【0018】
香料成分Bの含量は、香料組成物の総質量に対して10~60質量%、好ましくは20~55質量%である。香料成分Bの含量が10~60質量%であると、前述の含量の香料成分Aと組み合わせることで、繊維製品処理の広範な工程に亘って発香することができる。
【0019】
香料成分Bは公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
香料成分Bは単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0020】
香料成分Aと香料成分Bとを所定量で含有する本発明の香料組成物の香りは、後述する共通形容詞「軽い」と「優しくやわらかな」との組み合わせで表現される。
また、本願発明の香料組成物は、その香りの拡散性が早い。
本発明の好ましい態様として、以下の香料組成物1~4が挙げられる。
【0021】
〔香料組成物1〕
香料組成物1は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Aを含む。
香料成分Aの蒸気圧が、0.005~1.3mmHg、好ましくは0.01~0.5mmHgである。
香料成分Aの分子量が、100~240、好ましくは100~200である。
香料成分AのlogP値が、1~5、好ましくは2.5~4である。
香料成分Aとしては、アルコール化合物であるシトロネロール(Citronellol)、ゲラニオール(Geraniol)、リナロール(Linalool)及びネロール(Nerol)からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
香料成分Aの含量は、香料組成物の総質量に対して50~90質量%、好ましくは60~80質量%である。
香料成分Aのうち、シトロネロール(Citronellol)、ゲラニオール(Geraniol)、リナロール(Linalool)及びネロール(Nerol)からなる群より選ばれる一種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。
【0022】
香料組成物1は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Bを含む。
香料成分Bの蒸気圧が、0.00000400~0.001mmHgである。
香料成分Bの分子量が、160~270、好ましくは200~260である。
香料成分BのlogP値が、1~6、好ましくは4~6である。
香料成分Bとしては、2-エチル-4-(2、2、3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-2-ブテン-1-オール(Bacdanol)、ベンジルベンゾエート(Benzyl Benzoate)、ファルネサール(Farnesal)、(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、ヘキシルサリシレート(Hexyl Salicylate)、ジヒドロファルネソール(Dihydro Farnesol)、及び、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
なかでも、ファルネサール(Farnesal)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)ヘキシルサリシレート(Hexyl Salicylate)及びジヒドロファルネソール(Dihydro Farnesol)からなる群より選ばれる一種以上が好ましい。
香料成分Bの含量は、香料組成物の総質量に対して10~50質量%、好ましくは10~30質量%である。
香料成分Bのうち、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-2-ブテン-1-オール(Bacdanol)、ベンジルベンゾエート(Benzyl Benzoate)、ファルネサール(Farnesal)、(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、ヘキシルサリシレート(Hexyl Salicylate)、ジヒドロファルネソール(Dihydro Farnesol)、及び、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)からなる群より選ばれる一種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10~20質量%、好ましくは10~15質量%である。
【0023】
香りは、全体の輪郭を表現するために当該技術分野で使用されている共通形容詞の組み合わせで表現できる。
香料組成物1の香りは、以下の共通形容詞の組み合わせで表現できる。
「軽い」、「優しくやわらかな」、「自然な」、「さわやかな」、「シトラス様の」、「ムスク様の」及び「グリーン様の」
【0024】
〔香料組成物2〕
香料組成物2は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Aを含む。
香料成分Aの蒸気圧が、0.002~8mmHg、好ましくは0.005~3mmHgである。
香料成分Aの分子量が、100~240、好ましくは100~200である。
香料成分AのlogP値が、1~5、好ましくは1.2~4.5である。
香料成分Aとしては、α-デカラクトン(α-Decalactone)、γ-デカラクトン(γ-Decalactone)、δ-ノナラクトン(δ-Nonalactone)、σ-ノナラクトン(σ-Nonalactone)、γ-ノナラクトン(γ-Nonalactone)、δ-ウンデカラクトン(δ-Undecalactone)、σ-ウンデカラクトン(σ-Undecalactone)、γ-ウンデカラクトン(γ-Undecalactone)、メチルシンナメート(Methyl cinnamate)、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、アリルシンナメート(Allyl Cinnamate)、シクラメンアルデヒド(Cyclamen aldehyde)、シス-3-ヘキセニルアセテート(cis-3-hexenyl acetate)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florosa)、β-イオノン(β-ionone)、α-ダマスコン(α-Damascone)、β-ダマスコン(β-Damascone)、δ-ダマスコン(δ-Damascone)、γ-ダマスコン(γ-Damascone)、ネロリンヤラヤラ(Nerolin Yara Yara)、ジヒドロミルセノール(Dihydromyrcenol)、及び、クマリン(Coumarin)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
なかでも、γ-デカラクトン(γ-Decalactone)、γ-ノナクトン(γ-Nonalactone)、メチルシンナメート(Methyl cinnamate)、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、シクラメンアルデヒド(Cyclamen aldehyde)、シス-3-ヘキセニルアセテート(cis-3-hexenyl acetate)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florosa)、β-イオノン(β-ionone)、α-ダマスコン(α-Damascone)、ネロリンヤラヤラ(Nerolin Yara Yara)、ジヒドロミルセノール(Dihydromyrcenol)、及び、クマリン(Coumarin)からなる群より選ばれる一種以上が好ましい。
香料成分Aの含量は、香料組成物の総質量に対して50~90質量%、好ましくは50~60質量%である。
香料成分Aのうち、α-デカラクトン(α-Decalactone)、γ-デカラクトン(γ-Decalactone)、σ-ノナラクトン(σ-Nonalactone)、γ-ノナラクトン(γ-Nonalactone)、σ-ウンデカラクトン(σ-Undecalactone)、γ-ウンデカラクトン(γ-Undecalactone)、メチルシンナメート(Methyl cinnamate)、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、シクラメンアルデヒド(Cyclamen aldehyde)、シス-3-ヘキセニルアセテート(cis-3-hexenyl acetate)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florosa)、β-イオノン(β-ionone)、α-ダマスコン(α-Damascone)、β-ダマスコン(β-Damascone)、δ-ダマスコン(δ-Damascone)、γ-ダマスコン(γ-Damascone)、ネロリンヤラヤラ(Nerolin Yara Yara)、ジヒドロミルセノール(Dihydromyrcenol)、及び、クマリン(Coumarin)からなる群より選ばれる1種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは20~30質量%である。
【0025】
香料組成物2は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Bを含む。
香料成分Bの蒸気圧が、0.000042~0.001mmHg、である。
香料成分Bの分子量が、160~280、好ましくは165~270である。
香料成分BのlogP値が、好ましくは1~6である。
香料成分Bとしては、エチレンブラシレート(Ethylene brassylate)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、ローズアセテート(Rose acetate)、メチルセドリルケトン(Vertofix)、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)、cis-3-ヘキシルサリシレート(cis-3-Hexenyl salicylate)、2-エチルヘキシルサリシレート(2-ethyl hexyl salicylate)、アミルサリシレート(Amyl salicylate)、ベンジルサリシレート(Benzyl salicylate)、ヘキシルサリシレート(Hexyl salicylate)、1-スピロ[4.5]デカ-7-エン-7-イルペンタ-4-エン-1-オン(Spirogalbanone)、フェニルエチルサリシレート(Phenethyl salicylate)、フェニルサリシレート(Phenyl salicylate)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、及び、エチルバニリン(Ethyl Vanillin)からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
なかでも、エチレンブラシレート(Ethylene brassylate)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、ローズアセテート(Rose acetate)、メチルセドリルケトン(Vertofix)、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)、cis-3-ヘキシルサリシレート(cis-3-Hexenyl salicylate)、1-スピロ[4.5]デカ-7-エン-7-イルペンタ-4-エン-1-オン(Spirogalbanone)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、及び、エチルバニリン(Ethyl Vanillin)からなる群より選ばれる一種以上が好ましい。
香料成分Bの含量は、香料組成物の総質量に対して20~50質量%、好ましくは40~50質量%である。
香料成分Bのうち、エチレンブラシレート(Ethylene brassylate)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、ローズアセテート(Rose acetate)、メチルセドリルケトン(Vertofix)、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl Dihydrojasmonate)、cis-3-ヘキシルサリシレート(cis-3-Hexenyl salicylate)、1-スピロ[4.5]デカ-7-エン-7-イルペンタ-4-エン-1-オン(Spirogalbanone)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl Cinnamic Aldehyde)、及び、エチルバニリン(Ethyl Vanillin)からなる群より選ばれる一種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは30~50質量%である。
【0026】
香料組成物2の香りは、以下の共通形容詞の組み合わせで表現できる。
「軽い」、「優しくやわらかな」、「洗練された」、「フローラル様の」および「ウォータリー様の」
【0027】
〔香料組成物3〕
香料組成物3は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Aを含む。
香料成分Aの蒸気圧が、0.003~3mmHgである。
香料成分Aの分子量が、100~240、好ましくは100~200である。
香料成分AのlogP値が、1~6、好ましくは1~4.5である。
香料成分Aとしては、α-ダマスコン(α-Damascone)、β―ダマセノン(beta-Damascenone)、β-イオノン(β-Ionone)、γ-ウンデカラクトン(γ-Undecalactone)、γ-デカラクトン(γ-Decalactone)、シトロネロール(Citronellol)、ローズオキサイド(Rose Oxide)、クマリン(Coumarin)、メトキシベンズアルデヒド(Anisaldehyde)、安息香酸メチル(Methyl Benzoate)、及び、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
香料成分Aの含量は、香料組成物の総質量に対して40~60質量%、好ましくは40~50質量%である。
香料成分Aのうち、α-ダマスコン(α-Damascone)、β―ダマセノン(beta-Damascenone)、β-イオノン(β-Ionone)、γ-ウンデカラクトン(γ-Undecalactone)、γ-デカラクトン(γ-Decalactone)、シトロネロール(Citronellol)、ローズオキサイド(Rose Oxide)、クマリン(Coumarin)、メトキシベンズアルデヒド(Anisaldehyde)、安息香酸メチル(Methyl Benzoate)、及び、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)からなる群より選ばれる1種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10~20質量%である。
【0028】
香料組成物3は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Bを含む。
香料成分Bの蒸気圧が、0.000004~0.001mmHgである。
香料成分Bの分子量が、160~275、好ましくは160~270である。
香料成分BのlogP値が、1~6、好ましくは1.3~6である。
香料成分Bとしては、エチレンブラシレート(Ethylene brassylate)、ローズアセテート(rose acetate)、(E)-12-ムスクデカノン(HABANOLIDE)、1-(2,3,8,8-テトラヒドロ-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(Iso E Super)、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-8-イリデン)ブタナール(dupical)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(peonile)、ラズベリーケトン(raspberry ketone)、及び、エチルバニリン(Ethyl Vanillin)からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
香料成分Bの含量は、香料組成物の総質量に対して20~60質量%、好ましくは50~60質量%である。
香料成分Bのうち、エチレンブラシレート(Ethylene brassylate)、ローズアセテート(rose acetate)、(E)-12-ムスクデカノン(HABANOLIDE)、1-(2,3,8,8-テトラヒドロ-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(Iso E Super)、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-8-イリデン)ブタナール(dupical)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(peonile)、ラズベリーケトン(raspberry ketone)、及び、エチルバニリン(Ethyl Vanillin)からなる群より選ばれる一種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは35~45質量%である。
【0029】
香料組成物3の香りは、以下の共通形容詞の組み合わせで表現できる。
「軽い」、「優しくやわらかな」、「ムスク様の」、「フローラル様の」、「女性らしい」、「甘い」および「パウダリー」
【0030】
〔香料組成物4〕
香料組成物4は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Aを含む。
香料成分Aの蒸気圧が、0.003~3mmHg、好ましくは0.005~0.2mmHgである。
香料成分Aの分子量が、100~240、好ましくは160~240である。
香料成分AのlogP値が、1~6、好ましくは2.7~6である。
香料成分Aとしては、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(2R,4S)-2-メチル-4-プロピル-1、3-オキサチアン(Oxane)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート(Verdox)、シクラメンアルデヒド(Cyclamen aldehyde)、3-メチル-5-フェニルペンタン-1-オール(Phenoxanol)、アリルヘプタノエート(Allyl heptanoate)、γ-デカラクトン(gamma-decalactone)、ヘリオトロピン(Heliotropine)、及び、アンブロキサイド(Ambrox)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中では、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(2R,4S)-2-メチル-4-プロピル-1、3-オキサチアン(Oxane)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート(Verdox)、γ-デカラクトン(gamma-decalactone)、アンブロキサイド(Ambrox)、及び、アリルへプタノエート(Allyl heptanoate)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
香料成分Aの含量は、香料組成物の総質量に対して40~70質量%、好ましくは55~65質量%である。
香料成分Aのうち、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(2R、4S)-2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン(Oxane)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート(Verdox)、γ-デカラクトン(gamma-decalactone)、ヘリオトロピン(Heliotropine)、及び、アンブロキサイド(Ambrox)からなる群より選ばれる1種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10~20質量%である。
【0031】
香料組成物4は、好ましくは以下の物性を有する香料成分Bを含む。
香料成分Bの蒸気圧が、0.000004~0.001mmHgである。
香料成分Bの分子量が、160~290、好ましくは160~240である。
香料成分BのlogP値が、1~6、好ましくは1.3~6である。
香料成分Bとしては、(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、1-(2,3,8,8-テトラヒドロ-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(ISO E SUPER)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl cinnamic aldehyde)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、エチルバニリン(Ethyl vanillin)、及び、ラズベリーケトン(Raspberry ketone)からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
これらの中では、(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、1-(2,3,8,8-テトラヒドロ-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(ISO E SUPER)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl cinnamic aldehyde)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、及び、ラズベリーケトン(Raspberry ketone)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
香料成分Bの含量は、香料組成物の総質量に対して10~40質量%、好ましくは30~40質量%である。
香料成分Bのうち(E)-12-ムスクデカノン(Habanolide)、1-(2、3、8、8-テトラヒドロ-1、3、4、5、6、7-ヘキサヒドロナプタレン-2-イル)エタノン(ISO E SUPER)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(Hexyl cinnamic aldehyde)、2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル(Peonile)、及び、ラズベリーケトン(Raspberry ketone)からなる群より選ばれる1種以上の含量は、香料組成物の総質量に対して、25~35質量%である。
【0032】
香料組成物4の香りは、以下の共通形容詞の組み合わせで表現できる。
「軽い」、「優しくやわらかな」、「ムスク様の」、「フローラル様の」、「女性らしい」、「甘い」および「パウダリー」
【0033】
〔香料組成物の任意成分〕
香料成分A及びBの配合効果を損なわない範囲で、下記の任意成分を配合してもよい。
【0034】
〔追加香料成分〕
香料組成物には、香料成分A及びB以外の追加の香料成分を配合してもよい。
追加香料成分は、繊維製品処理剤分野で公知の香料から適宜選択できる。使用可能な香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Perfumery MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)、「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0035】
追加香料成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
追加香料成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
ところで、香料成分A、香料成分B及び追加香料成分のなかには、香料組成物やこれを含む繊維製品処理剤の変色(黄変又は赤変)に関与するものがある。
黄変に関与する香料成分としては、香料成分Aであるバニリン、香料成分Bであるエチルバニリンや、追加香料成分であるシンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナール、イソシクロシトラール及びシトラール等がある。
赤変に関与する香料成分としては、追加香料成分であるエチルマルトールや、マルトール等がある。
変色に関与する香料成分の配合は、本発明の効果(消費者が香りを楽しめる期間の拡張)の観点からは何ら制限されないが、この発香に関する効果に加えて変色抑制効果を奏する態様においては、その含量は、香料組成物の総質量に対して0.5質量%以下であることが好ましい。なお、この態様においても、バニリンとエチルバニリン(特にエチルバニリン)は、前述の共通形容詞「軽い」と「優しくやわらかな」との組み合わせで表現される香りへの寄与が大きいので配合することが好ましい。
発香に関する効果の観点からは、エチルバニリンの含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
変色抑制の観点からは、エチルバニリンの含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.4質量%以下である。
【0036】
〔香料用溶剤〕
香料用溶剤としては、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3-ブチレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンや、ハーコリン等が挙げられる。
香料用溶剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
香料用溶剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
香料用溶剤の含量は香料成分の含量に応じて適宜設定できるが、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~20量%である。
【0037】
〔酸化防止剤〕
酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンE誘導体、エリソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)や、ローズマリー抽出物等が挙げられる。
酸化防止剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
酸化防止剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
酸化防止剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0.0001~10質量%、更に好ましくは0.001~5質量%である。
【0038】
〔香料組成物の製法〕
香料組成物の製法は特に限定されず、常法で製造できる。例えば、各成分を香料用溶剤へ添加し、撹拌することで製造できる。
【0039】
〔香料組成物の用途〕
香料組成物は繊維製品処理剤へ配合される。
香料組成物の含量は、繊維製品処理剤の総質量に対して、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.3~1.5質量%、更に好ましくは0.5~1質量%である。
繊維製品処理剤は、香りを訴求するものであれば特に制限されない。具体例としては、液体柔軟剤、洗剤、消臭剤や、スプレータイプの香りづけ剤等が挙げられる。なかでも、柔軟剤に対して好適に使用できる。本発明の香料組成物を含む柔軟剤は、洗濯機から取り出した繊維製品を乾燥させる場面だけでなく、取り出す前の場面(柔軟剤を洗濯機へ投入する際や、洗濯機を開扉する際)でも発香できるので、繊維製品処理剤のなかでも消費者の体験価値を向上させる効果が高い。
繊維製品処理剤(特に液体柔軟剤及び液体洗剤)の液外観は、透明、半透明及び不透明のいずれでもよいが、透明又は半透明が好ましく、透明であることがより好ましい。
繊維製品処理剤の液外観が透明又は半透明であると、香りの輪郭を表現する共通形容詞の1つ「軽い」の評価が、不透明の繊維製品処理剤よりも向上する。
後述するとおり、本明細書において、透明とは、測定セルの光路長10mmのガラスセルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率が95%以上であることを意味し、半透明とは、前記透過率が30%以上95%未満であることを意味する。
以下、香料組成物を含む液体柔軟剤及び液体洗剤を詳述する。
【0040】
〔液体柔軟剤〕
香料組成物の含量は、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.2~1質量%である。
【0041】
液体柔軟剤には、香料組成物に加えて、液体柔軟剤へ配合可能な公知の成分を特に制限なく配合できる。以下、シリコーン高分子化合物とカチオン性を有する水溶性高分子化合物を詳述する。
【0042】
〔シリコーン高分子化合物〕
シリコーン高分子化合物は、10~100000000 mm2/s(B型粘度計、25℃)の粘度を有するのが好ましい。繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさを付与することが可能であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン高分子化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
シリコーン高分子化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン高分子化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン高分子化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。柔軟処理した繊維製品の黄変を防止するために、アミノ基を含有しないシリコーン高分子化合物であることが好ましい。さらに、後述する「カチオン性を有する水溶性高分子化合物」によるシリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、柔軟性、滑らかさを高める点から、非イオン性であることが好ましく、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましく、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが更に好ましい。
【0043】
このなかでも特に好ましいシリコーン高分子化合物として、柔軟性付与及び液体柔軟剤組成物を透明ないし半透明にし、商品価値を高めることができる等の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。なお、本明細書において、透明とは、測定セルの光路長10mmのガラスセルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率が95%以上であることを意味し、半透明とは、前記透過率が30%以上95%未満であることを意味する。該シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有するとともに、透明な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1~3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2~5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【0045】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10~10000、好ましくは50~1000、より好ましくは100~300、Nは1~1000、好ましくは5~300、より好ましくは5~100、かつM>Nであることが好ましく、aは2~100、好ましくは5~50、より好ましくは5~20、bは0~50、好ましくは0~10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素であるのがより好ましい。
上記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることにより製造することができる。
【0046】
【0047】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5~10000、Bは2~10000であることが好ましく、hは2~100、iは0~50が好ましい。Rとしては炭素数1~5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。また、式(II)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、柔軟性、滑らかさの観点から15,000~100,000,000であることが好ましい。
上記線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
【0048】
ポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、ダウ・東レ(株)製のCF1188HV、BY22-029、SH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22-008、SF8421、SILWET L-7001、SILWET L-7002、SILWET L-7602、SILWET L-7604、SILWET FZ-2104、SILWET FZ-2120、SILWET FZ-2161、SILWET FZ-2162、SILWET FZ-2164、SILWET FZ-2171、SILWET FZ2222、ABN SILWET FZ-F1-009-01、ABN SILWET FZ-F1-009-02、ABN SILWET FZ-F1-009-03、ABN SILWET FZ-F1-009-05、ABN SILWET FZ-F1-009-09、ABN SILWET FZ-F1-009-11、ABN SILWET FZ-F1-009-13、ABN SILWET FZ-F1-009-54、ABN SILWET FZ-2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
シリコーン高分子化合物の配合量は特に限定されないが、柔軟性、滑らかさ及び組成物の粘度の点から、組成物の全質量を基準として、0.5~10質量%が好ましく、さらに好ましくは1~5質量%である。これにより、柔軟性、滑らかさなどの効果を優秀なものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0049】
〔カチオン性を有する水溶性高分子化合物〕
カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、25℃の水100gに対し、水溶性高分子化合物1gを加えたときに、その液が濁らず透明であり、シリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を有するものである。カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解した時にカチオン性を有するものが使用し得るが、特にカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、アミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。低分子量のカチオン性界面活性剤に比べて、香料成分を繊維表面に吸着させる効果が高いので好ましい。
カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、例えば0.1~35であるのがよく、特に1.5%以上が好ましく、例えば2.0~15であるのがよい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、共存するシリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を優秀なものとすることができ、かつ、多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。
【0050】
カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記数式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記数式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 ・・・数式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y-Z)×100 ・・・数式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0051】
カチオン化度の算出例として、下記式(III)で表されるマーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3-2.78×10-3)×100=3.0
である。
【0052】
【0053】
m:n=65:35
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20
よって、上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0054】
カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000~5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000~1,000,000であり、さらに好ましくは5,000~500,000である。これにより臭気を良好に防止することができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
カチオン性を有する水溶性高分子化合物の例としては、マーコート(MERQUAT)100(日本ルーブリゾール社製)、アデカカチオエースPD-50(旭電化工業(株))、ダイドールEC-004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、マーコート(MERQUAT)550、JL5(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、マーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、ルビカット(LUVIQUAT)-FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、ルガルバン(LUGALVAN)-G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。
この中で、シリコーンの付与する柔軟性などの風合いを妨げない観点から、カチオン性を有する水溶性高分子化合物単独で吸着した時に繊維に付与する剛性の小さいものが好ましい。塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、カチオン化セルロースが好ましい。
特に好ましい高分子としては、下記一般式(IV)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。また、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0055】
【化4】
(式中X
-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)
【0056】
【0057】
【0058】
式中、c、dは、各々平均重合度であり、各々6~30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20~6000、さらに好ましくは30~3000の範囲である。
このような高分子の例としては、マーコート(MERQUAT)100(ナルコ(NALCO)社製)、アデカカチオエースPD-50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC-004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
カチオン性を有する水溶性高分子化合物の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量を基準として、0.1~15質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5~10質量%とするのがよい。カチオン性を有する水溶性高分子化合物の配合量をこのような範囲のものとすることにより、シリコーン高分子化合物の繊維製品表面への吸着促進効果を高め、柔軟性、滑らかさなどの効果を十分なものとすることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0059】
〔液体柔軟剤の製造方法〕
液体柔軟剤は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤の製造方法と同様の方法により製造できる。
【0060】
〔液体柔軟剤の使用方法〕
液体柔軟剤の使用方法に特に制限はなく、一般の液体柔軟剤と同様の方法で使用できる。例えば、洗濯のすすぎ段階のすすぎ水へ液体柔軟剤を溶解させて繊維製品を柔軟処理する方法や、液体柔軟剤をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。
【0061】
〔液体洗剤〕
香料組成物の含量は、液体洗剤の総質量に対して、好ましくは0.1~3質量%、更に好ましくは0.2~1質量%である。
【0062】
液体洗剤には、香料組成物に加えて、繊維製品用洗剤へ配合可能な公知の成分を特に制限なく配合できる。以下、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を詳述する。
【0063】
〔ノニオン界面活性剤〕
ノニオン界面活性剤としては、繊維製品用の液体洗剤に用いられているノニオン界面活性剤を用いることができる。
ノニオン界面活性剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗剤を繊維製品に塗布して長時間放置したときにゲル化し難い点で、下記一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)ともいう。)が好ましい。
また、インク汚れ、皮脂汚れ等の洗浄力に優れる点で、下記一般式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)ともいう。)が好ましい。
【0064】
R1-C(=O)O-[(EO)s/(PO)t]-(EO)u-R2・・・(I)
R3-O-[(EO)v/(PO)w]-(EO)x-H・・・(II)
【0065】
式(I)中、R1は炭素数7~22の炭化水素基であり、R2は炭素数1~6のアルキル基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、6~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。tが1以上である場合、[(EO)s/(PO)t]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
【0066】
式(II)中、R3は炭素数7~22の炭化水素基であり、vはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。wが1以上である場合、[(EO)v/(PO)w]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0067】
〔アニオン界面活性剤〕
アニオン界面活性剤としては、従来、繊維製品用などの液体洗剤に用いられているアニオン界面活性剤を用いることができる。例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α-オレフィンスルホン酸又はその塩;直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩;ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩;α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩;アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
アニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
液体洗剤にアニオン界面活性剤を含有させる場合、液体洗剤の総質量に対して、アニオン界面活性剤の含有量は、50質量%未満であり、1~35質量%が好ましく、3~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。下限値以上であると、長時間塗布したときの洗浄力がより優れ、上限値以下であると、液体洗剤の安定性がより優れる。
【0069】
〔水〕
液体洗剤は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水、イオン交換水など、いずれも用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の含量は特に限定されず、所望の成分組成を達成するために適宜配合することができる。
【0070】
〔液体洗剤のpH〕
液体洗剤のpHは特に限定されないが、25℃におけるpHを4~9の範囲に調整することが好ましく、6~8の範囲に調整することがより好ましい。pHがこのような範囲にあると液体洗剤の液安定性を良好に維持できる。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0071】
〔液体洗剤の粘度〕
液体洗剤の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の液体洗剤の25℃における粘度が800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
なお、液体洗剤の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定することができる。
【0072】
〔液体洗剤の製造方法〕
液体洗剤は、公知の方法、例えば主剤としてノニオン界面活性剤を用いる従来の液体洗剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、液体洗剤は、本発明の香料組成物と、上記ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤、必要に応じてその他の成分、水を混合することにより調製される。
混合条件は特に限定されないが、酵素(アルカラーゼ)を添加する際のpH(25℃)は7付近が好ましい。また酵素(アルカラーゼ)を添加する際の温度は、40℃以下が好ましい。また、ノニオン界面活性剤を所定量含有する溶液に酵素(アルカラーゼ)を配合した場合、水分が少ないため凝集して濁りが生じるおそれがある。したがって、酵素(アルカラーゼ)は予め、水、または安息香酸ナトリウム等を添加した水溶液と混合し、その後、他の成分と混合することが好ましい。
【0073】
〔液体洗剤の使用方法〕
液体洗剤の使用方法に特に制限はなく、一般の液体洗剤と同様の方法で洗濯に使用することができる。具体例としては、液体洗剤を洗濯時に被洗物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに液体洗剤を直接塗布する方法や、液体洗剤を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。
【実施例0074】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例における各成分の配合量は全て質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0075】
〔香料組成物〕
表1(香料成分A)及び表2(香料成分B)に示す組成を有する香料組成物を使用した。表1及び表2中、各成分の数値の単位は、香料組成物の総質量に対する質量%である。
香料組成物は、各香料成分と香料用溶剤(DPG)とを混合して調製した。
【0076】
〔液体柔軟剤〕
下記の組成を有する液体柔軟剤を調製した。各成分の含量の単位は、液体柔軟剤の総質量に対する質量%である。
柔軟剤は、組成に従い各成分を混合することで調製した。調製した柔軟剤の液外観は透明であった。
【0077】
【0078】
〔洗濯機の開扉を模した場面における香りの拡散性の評価〕
洗濯機を模した蓋付きのモリブデン寸胴鍋(容量:4.5L)を使用して評価を行った。
新品の市販綿タオル10枚(タオル1枚の重さ:約70g)を、市販合成洗剤(商品名:トップ、ライオン株式会社製)による洗浄処理(10分間の洗浄、続く3分間のためすすぎ(浴比20倍)を2回)に供した。2回目のすすぎ時に液体柔軟剤1gを加えて柔軟処理を行った。
柔軟処理後に脱水(1分間)したタオルをモリブデン寸胴鍋に入れ、蓋をして2分間静置した。その後、静かに蓋を開けたときの香りを、モリブデン寸胴鍋から45cm離れた位置にて、下記の評価基準に従って評価した。評価は専門パネラー10名により行った。10名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「洗濯機の開扉を模した場面における香りの拡散性」の評価とした。結果を、表3の「香りの拡散性」欄に示す。◎及び○を合格とした。
<評価基準>
3点:蓋を開けてから0~5秒で香りが感じられる
2点:蓋を開けてから5秒超~10秒で香りが感じられる
1点:蓋を開けてから10秒より長く経過した後に香りが感じられる
0点:蓋を開けても香りが感じられない
<判定基準>
◎:平均点が2.6以上
〇:平均点が2.1~2.5
△:平均点が1.1~2.0
×:平均点が1.0以下
【0079】
〔洗濯機から取り出した後の繊維製品の香り(残香性)の評価〕
新品の市販綿タオル10枚(タオル1枚の重さ:約70g)を、市販合成洗剤(商品名:トップ、ライオン株式会社製)による洗浄処理(10分間の洗浄、続く3分間のためすすぎ(浴比20倍)を2回)に供した。2回目のすすぎ時に液体柔軟剤1gを加えて柔軟処理を行った。
柔軟処理後に脱水(1分間)し、更に室温下で放置(24時間)した後のタオルの香り立ちを下記の評価基準に従って評価した。評価は専門パネラー10名により行った。10名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「洗濯機から取り出した後の繊維製品の香り(残香性)」の評価とした。結果を、表3の「残香性」欄に示す。◎及び○を合格とした。
<評価基準>
3点:香りがしっかりと感じられ、香りの特徴(フレーバプロフィール)がバランスよく捉えられる
2点:香りがしっかり感じられ、香りの特徴の一部が捉えられる
1点:香りは感じられるが、香りの特徴は捉えられない
0点:香りが感じられない
<判定基準>
◎:平均点が2.6以上
〇:平均点が2.1~2.5
△:平均点が1.1~2.0
×:平均点が1.0以下
【0080】
〔香りの評価〕
新品の市販綿タオル10枚(タオル1枚の重さ:約70g)を、市販合成洗剤(商品名:トップ、ライオン株式会社製)による洗浄処理(10分間の洗浄、続く3分間のためすすぎ(浴比20倍)を2回)に供した。2回目のすすぎ時に液体柔軟剤1gを加えて柔軟処理を行った。
柔軟処理後に脱水(1分間)したタオルをモリブデン寸胴鍋に入れ、蓋をして2分間静置した。その後、静かに蓋を開けたときの香りを、モリブデン寸胴鍋から45cm離れた位置にて、下記の評価基準に従って評価した。評価は専門パネラー10名により行った。10名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「フレーバプロフィール」の評価とした。結果を、表3に示す。◎及び○を合格とした。
<評価基準>
3点:該当イメージをしっかり感じる
2点:該当イメージをかなり感じる
1点:該当イメージを感じる
0点:該当イメージを感じない
各香料組成物の香りのイメージは、以下の共通形容詞の組み合わせにより構成した。
<判定基準>
◎:平均点が2.6以上
〇:平均点が2.1~2.5
△:平均点が1.1~2.0
×:平均点が1.0以下