(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127601
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ファンフィルターユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 8/108 20210101AFI20230907BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20230907BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20230907BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20230907BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20230907BHJP
F24F 8/80 20210101ALN20230907BHJP
【FI】
F24F8/108 320
F24F8/108 120
F24F7/003
F24F1/0022
F24F13/08 A
B01D46/00 F
F24F8/80 252
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031365
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】向 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】安井 伸行
【テーマコード(参考)】
3L049
3L081
4D058
【Fターム(参考)】
3L049BB05
3L049BB07
3L049BB09
3L049BB11
3L049BC02
3L049BD01
3L081AA01
3L081AB03
4D058JA12
4D058KB02
4D058QA01
4D058QA11
4D058QA17
4D058QA21
4D058QA23
4D058SA04
4D058UA25
(57)【要約】
【課題】フィルターから吹き出される空気の風速分布の均一化を図ったファンフィルターユニットを提供する。
【解決手段】非浄化領域3から浄化待機空間22及びフィルター6を介して浄化領域4に空気を導く送風ユニット5を備えたファンフィルターユニット2であって、前記非浄化領域3から空気を吸い込むための吸込口21と、同一平面上に設けられた前記浄化待機空間22を、前記吸込口21に接続する第1浄化待機空間8と当該第1浄化待機空間8を挟んで前記吸込口21とは逆側に設けられた第2浄化待機空間9とに分割する隔壁10と、前記第1浄化待機空間8を迂回して前記吸込口21と前記第2浄化待機空間9とを接続する迂回風路12と、を備え、前記隔壁10は、前記第1浄化待機空間8から前記第2浄化待機空間9へ連通する通風孔15を備えた、ファンフィルターユニットを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非浄化領域から浄化待機空間及びフィルターを介して浄化領域に空気を導く送風ユニットを備えたファンフィルターユニットであって、
前記非浄化領域から空気を吸い込むための吸込口と、
同一平面上に設けられた前記浄化待機空間を、前記吸込口に接続する第1浄化待機空間と当該第1浄化待機空間を挟んで前記吸込口とは逆側に設けられた第2浄化待機空間とに分割する隔壁と、
前記第1浄化待機空間を迂回して前記吸込口と前記第2浄化待機空間とを接続する迂回風路と、を備え、
前記隔壁は、
前記第1浄化待機空間から前記第2浄化待機空間へ連通する通風孔を備えたファンフィルターユニット。
【請求項2】
前記フィルターは、
前記第1浄化待機空間及び前記第2浄化待機空間に面したフィルター上流面と、
前記浄化領域に面したフィルター下流面と、を備えた請求項1に記載のファンフィルターユニット。
【請求項3】
前記迂回風路は、
前記同一平面上であって前記第1浄化待機空間および前記第2浄化待機空間の周囲に隣接して配置され、
前記第1浄化待機空間と空間的に独立して設けられ、
前記第2浄化待機空間と連通する通風開口を備えた、請求項1または2に記載のファンフィルターユニット。
【請求項4】
前記通風開口は、
前記迂回風路における前記第2浄化待機空間に隣接する部位全周にわたって設けられた請求項3に記載のファンフィルターユニット。
【請求項5】
前記迂回風路は、
前記第2浄化待機空間から前記迂回風路内まで突出し、前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ空気を誘導する整流板を備えた請求項3または4に記載のファンフィルターユニット。
【請求項6】
前記迂回風路は、
前記迂回風路の外周側壁面と前記整流板との間に前記迂回風路の下流へ空気を通過させるための漏出空間を備えた請求項5に記載のファンフィルターユニット。
【請求項7】
前記迂回風路は、
前記整流板よりも下流の位置に、前記迂回風路に流れる空気を当該迂回風路のさらに下流へ流れる空気と前記第2浄化待機空間へ流れる空気とに分ける分流壁を備えた請求項5または6に記載のファンフィルターユニット。
【請求項8】
前記迂回風路は、
内周側に前記第2浄化待機空間を挟んで前記隔壁と対向する境界底面と、
前記境界底面の両端から前記隔壁の方向に向けてそれぞれ直角に延伸する境界側面と、を備え、
前記分流壁は、
前記境界側面における前記境界底面側の端部に、当該境界側面と平行にそれぞれ設けられた請求項7に記載のファンフィルターユニット。
【請求項9】
前記吸込口は、
前記フィルター下流面側に設けられ、
前記送風ユニットは、
前記吸込口に設けられる遠心ファンであり、
前記遠心ファンは、
前記フィルター下流面側から当該吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで前記非浄化領域から空気を吸い込み、前記第1浄化待機空間及び前記迂回風路へ排気し、
前記迂回風路は、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路と、を備え、
前記整流板は、
前記第2浄化待機空間にて前記隔壁側へ湾曲した湾曲部を備え、
前記正回転側流路の湾曲部は、
前記逆回転側流路の湾曲部よりも前記第2浄化待機空間の前記隔壁側へ湾曲した請求項5から8のいずれかに記載のファンフィルターユニット。
【請求項10】
前記吸込口は、
前記フィルター上流面側に設けられ、
前記送風ユニットは、
前記吸込口に設けられる遠心ファンであり、
前記遠心ファンは、
前記フィルター上流面側から当該吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで前記非浄化領域から空気を吸い込み、前記第1浄化待機空間及び前記迂回風路へ排気し、
前記迂回風路は、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路と、を備え、
前記整流板は、
前記第2浄化待機空間にて前記隔壁側へ湾曲した湾曲部を備え、
前記正回転側流路の湾曲部は、
前記逆回転側流路の湾曲部よりも前記第2浄化待機空間の前記隔壁側へ湾曲した請求項5から8のいずれかに記載のファンフィルターユニット。
【請求項11】
前記吸込口は、
前記フィルター下流面側に設けられ、
前記送風ユニットは、
前記吸込口に設けられる遠心ファンであり、
前記遠心ファンは
前記フィルター下流面側から当該吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで前記非浄化領域から空気を吸い込み、前記第1浄化待機空間及び前記迂回風路へ排気することを特徴とし、
前記迂回風路は、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路と、を備え、
前記正回転側流路の整流板は、
前記逆回転側流路の整流板よりも前記迂回風路の内部へ突出した請求項5から10のいずれかに記載のファンフィルターユニット。
【請求項12】
前記吸込口は、
前記フィルター上流面側に設けられ、
前記送風ユニットは、
前記吸込口に設けられる遠心ファンであり、
前記遠心ファンは
前記フィルター上流面側から当該吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで前記非浄化領域から空気を吸い込み、前記第1浄化待機空間及び前記迂回風路へ排気することを特徴とし、
前記迂回風路は、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、
前記整流板を介して前記迂回風路から前記第2浄待機空間へ前記正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路と、を備え、
前記正回転側流路の整流板は、
前記逆回転側流路の整流板よりも前記迂回風路の内部へ突出した請求項5から10のいずれかに記載のファンフィルターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンフィルターユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンフィルターユニットは、浮遊粉塵や化学成分等を捕集するフィルターを搭載し、クリーン環境が必要となる領域に清浄化した空気を供給する目的で使用されるものである。ファンフィルターユニットの利用環境としては液晶パネル工場等で製造設備を配置されたクリーンルームや、製造設備である半導体製造装置、クリーンブース等の天井部に配置されることが多い。
【0003】
近年、製造設備において設備外観の意匠性や製造のプロセスに合わせた風路の最適化のためファンフィルターユニットを製造設備内部に配置するケースが増えており、製造設備内部のレイアウトに合わせてファンフィルターユニットが薄型化する傾向がある(例えば特許文献1参照)。このような薄型のファンフィルターユニットは、一般的にフィルター上流面側の気圧をフィルター下流面側の気圧よりも大きくすることで浄化した空気を排出する。
【0004】
以下、従来のファンフィルターユニットについて
図9を参照しながら説明する。
図9は特許文献1におけるファンフィルターユニット101の内部構成を示す図である。
【0005】
ファンフィルターユニット101はターボファン102とフィルター103と案内板104と最奥壁105とを備える。ここで最奥壁105とは、案内板104を挟んでターボファン102の逆側に設けられたファンフィルターユニット101の外壁である。
【0006】
ターボファン102によってファンフィルターユニット101の内部に吹き出された空気は、案内板104によってフィルター103の上流面側へ誘導される。フィルター103の上流面側は、ターボファン102によって常に空気が供給されることで空気が溜まりフィルター103の下流面側よりも気圧が高く保たれる。このため、フィルター103の上流面側に溜まった空気が下流面側へ流れ、フィルター103によって浄化された空気である浄化空気がファンフィルターユニット101の外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来のファンフィルターユニット101は、フィルター103の上流面側において空気の溜まりやすさにバラつきを有する。具体的には、最奥壁105の近傍では空気が溜まりやすい。これはターボファン102から吹き出された空気の流れが最奥壁105によってせき止められるためである。
【0009】
上記のような空気の溜まりやすさの違いによってフィルターの上流面側における気圧の高さもフィルターの部位によってバラつきを有する。このため、ファンフィルターユニットから吹き出される浄化空気の風速がフィルターの部位によってバラつきやすく、風速分布の均一化が課題となっている。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、フィルターから吹き出される空気の風速分布の均一化を図ったファンフィルターユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係るファンフィルターユニットは、非浄化領域から浄化待機空間及びフィルターを介して浄化領域に空気を導く送風ユニットを備えたファンフィルターユニットであって、前記非浄化領域から空気を吸い込むための吸込口と、同一平面上に設けられた前記浄化待機空間を、前記吸込口に接続する第1浄化待機空間と当該第1浄化待機空間を挟んで前記吸込口とは逆側に設けられた第2浄化待機空間とに分割する隔壁と、前記第1浄化待機空間を迂回して前記吸込口と前記第2浄化待機空間とを接続する迂回風路と、を備え、前記隔壁は、前記第1浄化待機空間から前記第2浄化待機空間へ連通する通風孔を備えた構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルターから吹き出される空気の風速分布の均一化を図ったファンフィルターユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ファンフィルターユニットを設けた製造設備の斜視図
【
図2】ファンフィルターユニットの部品構成を示す分解図
【
図6】第2浄化待機空間と迂回風路の空気の流れを示す図
【
図8】送風ユニットの回転方向と迂回風路内の空気の流れを示す図
【
図9】従来のファンフィルターユニットの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通じて同一の符号を付して2度目以降の説明を省略または簡略化している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳細については説明を省略している。
【0015】
(実施の形態1)
まず
図1を参照して、本発明における実施の形態1に係るファンフィルターユニットの製造設備内部への設置事例を説明する。
図1はファンフィルターユニットを設けた製造設備の斜視図である。
【0016】
製造設備1は、外郭のみを線画で示している。製造設備1は、発埃機器を搭載もしくは外気給気口を備える等により、製造設備1の内部下方に非浄化領域3が存在し、非浄化領域3の上方には浄化空気の供給が必要な浄化領域4を有する。ここで、非浄化領域3とは、微細な埃などの浄化対象物を含んだ空気である非浄化空気が存在する領域であり、言い換えると、後述のフィルター6による浄化対象物が存在し得る領域を指す。これに対して浄化領域4とは、主にフィルターを介して排出された空気が存在する領域であり、言い換えると、フィルター6によって浄化対象物を含んだ空気から浄化対象物が排除された浄化空気が存在する領域を指す。
【0017】
製造設備1の内部の一側壁34にファンフィルターユニット2の背面が位置して設置される。ファンフィルターユニット2は、送風ユニット5で製造設備1の下方の非浄化領域3の空気、すなわち非浄化空気を給気し、上方に備えるフィルター6を介して浄化された浄化空気を浄化領域4に排出する。
【0018】
続いて、
図2を参照してファンフィルターユニットの詳細構造を説明する。なお、
図2は、ファンフィルターユニット2の部品構成を示す分解図である。
【0019】
ファンフィルターユニット2は、チャンバー7と、フィルター配置部材13と、カバー14と、フィルター6と、備える。
【0020】
チャンバー7は、厚みを有する矩形平板形状を有し、背面板30上に風路を備える。以下の説明にて、必要に応じて背面板30側を底面側、背面板30に対向する側(
図2におけるフィルター6側)を天面側と称する。チャンバー7は、吸込口21と、送風ユニット5と、浄化待機空間22と、迂回風路12と、隔壁10と、を備える。
【0021】
吸込口21は、チャンバー7の長手方向における下端(
図2における下方端部)に設けられ非浄化空気が通過する風路である。吸込口21は、非浄化領域3に面した矩形の開口を有し、送風ユニット5を格納するための凹形状を備える。凹形状における側面の浄化待機空間22側(
図2における上方)には吹出開口29が設けられる。吸込口21は、送風ユニット5を構成するファンの数だけ設けられ、本実施の形態では吸込口21a、吸込口21b、吸込口21c及び吸込口21dの4つ設けられる。
【0022】
送風ユニット5は、吸込口21の凹形状における開口部に嵌め込むことで送風ユニット5の天面側に設けられたユニット吸込口31が吸込口21の凹形状における開口部に一致して吸込口21に格納される。送風ユニット5は、側面にユニット吹出口32を備えており、送風ユニット5が吸込口21に格納されることで、ユニット吹出口32が吸込口21の吹出開口29と一致する。送風ユニット5は、給電によりファンが回転することで、非浄化領域3から吸込口21を介して浄化待機空間22に非浄化空気を導く。送風ユニット5は、例えば同一の送風能力を有する4つのファンを直線状に連結して構成されている。送風ユニット5を構成する4つのファンは、例えば遠心ファンであり、より好ましくはターボファンである。
【0023】
浄化待機空間22は、送風ユニット5によって非浄化領域3から送り込まれた非浄化空気を一時的にチャンバー7の内部に保持するための空間である。浄化待機空間22は、送風ユニット5によって常に非浄化空気が供給されることで空気が溜まり、浄化領域4よりも気圧が高い状態で維持される。浄化待機空間22に溜まった非浄化空気は、浄化待機空間22と浄化領域4との気圧の差によってフィルター6を介することで浄化空気となって浄化領域4へ吹き出される。浄化待機空間22は、隔壁10によって分割された第1浄化待機空間8と第2浄化待機空間9とを備える。隔壁10についての詳細は後述する。
【0024】
第1浄化待機空間8は、天面が開口した中空平板形状であり、底面がファンフィルターユニット2の背面と一致する。天面に設けられた開口は略矩形であり、フィルター6に対向する。第1浄化待機空間8は、吸込口21b及び吸込口21cに接続される。言い換えると、第1浄化待機空間8は、直線状に連結された4つのファンのうち中央の2つに接続された空間である。第1浄化待機空間8の外壁は、隔壁10、一端を隔壁10の端部に接続し対向する2つの迂回風路内周壁23、及び迂回風路内周壁23の天面側に重ねて配置されたフィルター配置部材13によって形成される。第1浄化待機空間8は当該外壁によって第2浄化待機空間9及び迂回風路12から空間的に独立する。言い換えると、第1浄化待機空間8は、吸込口21b及び吸込口21c以外から非浄化空気を供給されない。
【0025】
第2浄化待機空間9は、同一平面上であって、隔壁10を挟んで第1浄化待機空間8と逆側に設けられた第1浄化待機空間8と隣接する空間である。第2浄化待機空間9は、底面がファンフィルターユニット2の背面と一致し、天面側にフィルター6に対向する略矩形の開口を有する。第2浄化待機空間9は、迂回風路12を介して吸込口21a及び吸込口21dに接続される。言い換えると、第2浄化待機空間9は、迂回風路12を介して直線状に連結された4つのファンのうち両端の2つに接続された空間である。第2浄化待機空間9は、迂回風路12に設けられた通風開口24によって非浄化空気を供給される。第2浄化待機空間9の周囲(外壁)は、隔壁10と、仮想的に後述の境界側面18及び境界底面17とによって特定される。
【0026】
迂回風路12は、吸込口21a及び吸込口21dから吸い込まれた非浄化空気を第2浄化待機空間9へ送るための風路である。言い換えると、迂回風路12は、直線状に連結された4つのファンのうち左右両端の2つと第2浄化待機空間9とを接続する。迂回風路12はチャンバー7の背面及び外壁と、迂回風路内周壁23及びフィルター配置部材13と、後述のカバー14とで形成される。迂回風路12は、第1浄化待機空間8との境界、つまり内周側壁面に迂回風路内周壁23及びフィルター配置部材13を有し、内周側壁面は、外周側壁面であるチャンバー7の外壁と同等の高さを有する。迂回風路12は、第1浄化待機空間8から空間的に独立して設けられ、第2浄化待機空間9にのみ非浄化空気を供給する。迂回風路12は、通風開口24と整流板11とを備える。なお、通風開口24及び整流板11についての詳細は後述する。
【0027】
フィルター配置部材13は、フィルター6の浄化平面を第1浄化待機空間8及び第2浄化待機空間9に対向して配置させるための部材である。フィルター配置部材13は、フィルターを格納するための凹形状を有する。フィルター配置部材13は、当該フィルター配置部材13の二つの側面を連結する配置部材中央部26を有し、当該配置部材中央部26の底面側と隔壁10とが接するようにチャンバー7に配置される。このとき、フィルター配置部材13の外周は、迂回風路内周壁23及び後述の境界底面17及び境界側面18と一致する。フィルター配置部材13は、浄化待機空間22に対向する面において第1浄化待機空間8の略矩形の開口と同等の面積を有する配置部材開口部27aと、第2浄化待機空間9の略矩形の開口と同等の面積を有する配置部材開口部27bと、を備える。
【0028】
カバー14は、中央に開口を有する中空矩形形状である。カバー14は、外周がチャンバー7の外壁に一致し、内周がフィルター配置部材13の外周に一致してチャンバー7に固定される。つまり、カバー14の縁部33は迂回風路12の天面を構成する。
【0029】
フィルター6は、矩形形状であり、内部に浄化対象物を捕集する繊維状の濾材からなる浄化平面を有する。フィルター6は、外周がフィルター配置部材の内周に一致して配置される。フィルター6は、例えばフィルター中央部28で2枚のフィルター6aとフィルター6bとに分割して一方を第1浄化待機空間8に、他方を第2浄化待機空間9に対向するように設けてもよい。このときフィルター中央部28は、フィルター6を二等分する位置に設けられ配置部材中央部26に一致して配置される。フィルター6は、第1浄化待機空間8及び第2浄化待機空間9に対向するフィルター上流面と浄化領域4に対向するフィルター下流面とを有し、フィルター上流面側からフィルター下流面側へ流れる非浄化空気を濾過する。
【0030】
続いて、
図3を参照してチャンバー7の内部構造について詳しく説明する。
図3はチャンバーの内部を斜視した図である。
【0031】
吸込口21は、非浄化領域3から吸い込んだ非浄化空気を送風ユニット5によって第1浄化待機空間8及び迂回風路12へ吹き出すための吹出開口29を備える。
【0032】
吹出開口29は、吸込口21と第1浄化待機空間8及び迂回風路12とを連通する矩形の開口として設けられる。
【0033】
迂回風路12は、同一平面上であって第1浄化待機空間8及び第2浄化待機空間9の周囲に当該第1浄化待機空間8及び第2浄化待機空間9と隣接して配置される。言い換えると、迂回風路12は浄化待機空間22の周囲を覆うようにして配置される。ここで周囲を覆うとは全周を網羅する必要は無く、部分的に隣接しておればよい。つまり、全周に限らず例えば浄化待機空間22における吸込口21と対向する面を除いてもよい。
【0034】
境界底面17及び境界側面18は、第2浄化待機空間9と迂回風路12との境界に仮想的に設けられる。境界底面17及び境界側面18は、迂回風路内周壁23と同等の高さを有する。ここで隔壁10と境界底面17と境界側面18とで囲まれた内部空間が第2浄化待機空間9である。
【0035】
境界底面17は、第2浄化待機空間9を挟んで隔壁10に対向する。
【0036】
境界側面18は、境界底面17の両端から隔壁10の方向に向けてそれぞれ直角に延伸し、迂回風路内周壁23と仮想的に接続する。境界側面18は、分流壁16を備える。分流壁16の詳細は後述する。
【0037】
隔壁10は、両端が迂回風路内周壁23の下流側端部に接続し、吹出開口29及び境界底面17と平行に設けられる。隔壁10は、迂回風路内周壁23と同等の高さを有する。隔壁10は、浄化待機空間22を、第1浄化待機空間8と当該第1浄化待機空間8を挟んで吸込口21とは逆側に設けられた第2浄化待機空間9とに分割する。隔壁10は、例えば浄化待機空間22を二等分する位置に設けられる。隔壁10は、通風孔15を備える。
【0038】
通風孔15は、第1浄化待機空間8に溜まった非浄化空気の一部を第2浄化待機空間9へ流す開口である。通風孔15は、例えばスリット状で等間隔に複数設けられる。
【0039】
続いて
図4を参照しながら、第2浄化待機空間9周辺の構成を詳しく説明する。
図4はファンフィルターユニット2の第2浄化待機空間9周辺の斜視図である。
【0040】
通風開口24は、迂回風路12と第2浄化待機空間9との境界に設けられ、迂回風路12から第2浄化待機空間9へ非浄化空気を供給する開口である。ここで迂回風路12と第2浄化待機空間9との境界とは、境界底面17及び境界側面18である。通風開口24は、例えば第2浄化待機空間9に隣接する迂回風路12の全周にわたって設けられる。
【0041】
整流板11は、迂回風路12から第2浄待機空間9へ空気を誘導する部材であり、詳しくは隔壁10側へ空気を誘導する。整流板11は、例えば一端が通風開口24と直交して迂回風路12内まで突出し、他端が第2浄化待機空間9の内部にて隔壁10側へ湾曲した湾曲部を有する。湾曲部は、曲面でも良いがV字形状、つまり屈曲面も含まれる。
【0042】
分流壁16は、通風開口24の一部を覆って設けられる。分流壁16は、例えばフィルター配置部材13における内周の一部を通風開口24と重なるような配置で曲げ加工して形成される。分流壁16は、迂回風路12に流れる非浄化空気を当該迂回風路12のさらに下流へ流れる非浄化空気と第2浄化待機空間9へ流れる非浄化空気とに分ける部材である。分流壁16は、例えば整流板11よりも下流側に位置し、より好ましくは境界側面18における境界底面17側の端部に当該境界側面18と平行にそれぞれ設けられる。
【0043】
続いて
図5を参照しながら、隔壁10及び通風孔15の効果について説明する。
図5は隔壁10近傍における非浄化空気の流れを示す図である。
【0044】
課題で挙げた通り、浄化待機空間22はチャンバー7の外壁によって境界底面17側の方が吸込口21側よりも空気が溜まりやすい。言い換えると、境界底面17側の方が吸込口21側よりも気圧が高くなりやすい。
【0045】
隔壁10は、浄化待機空間22を第1浄化待機空間8と第2浄化待機空間9とに分割することで、吸込口21側にも空気を溜まりやすくするために設けられる。しかし、隔壁10を設けるだけでは吸込口21からの距離が近い第1浄化待機空間8の方が第2浄化待機空間9よりも空気が溜まりやすくなり、気圧の高さのバラつきを解消できない。
【0046】
そこで、隔壁10は、通風孔15を備えることで第1浄化待機空間8側にある程度非浄化空気を残しつつ、非浄化空気の一部を第2浄化待機空間9へ流すことが可能となる。この構成によって、第1浄化待機空間8と第2浄化待機空間9とに溜まる非浄化空気の量が同等となり、浄化待機空間22における気圧の高さが各部位で同等となる。前述の通り浄化空気は浄化待機空間22と浄化領域4との気圧の差によってフィルター6から吹き出されるため、フィルター6の各部位から吹き出される浄化空気の風速のばらつきを抑えて風速分布の均一化を図ることができる。
【0047】
なお、本実施例において、隔壁10に通風孔15を設けたが、スリット状に設けてもよいし、貫通孔としても良いし、隔壁10を多孔体としてもよい。重要な点は隔壁10が第1浄化待機空間8にある程度非浄化空気を残しつつ非浄化空気の一部を第1浄化待機空間8から第2浄化待機空間9へ流すことである。
【0048】
続いて、
図6を参照して整流板11の効果について詳しく説明する。
図6は迂回風路12と第2浄化待機空間9における空気の流れを示す図である。
【0049】
通常であれば第2浄化待機空間9において隔壁10の近傍では非浄化空気が溜まりにくいことで気圧が低くなるが、整流板11によって、迂回風路12から隔壁10側へ誘導した非浄化空気と通風孔15を通過した非浄化空気とを衝突させることで、隔壁10の近傍でも気圧を高くすることが可能となる。このような構成によってさらにフィルター6の各部位から吹き出される風速分布の均一化を図ることができる。
【0050】
また、整流板11は、例えば迂回風路12への突出を小さくして整流板11と迂回風路12の外周側壁面との間に漏出空間25を備えてもよい。
【0051】
漏出空間25は、整流板11を避けて迂回風路12の下流側へ非浄化空気を通過させるための空間である。漏出空間25は、迂回風路12の外周側壁面と整流板11との間に設けられる。
【0052】
漏出空間25の大きさを調整することで、第2浄化待機空間9における隔壁側と境界底面17側とに溜まる非浄化空気のバランスを調整することが可能となる。
【0053】
続いて、
図7を参照して分流壁16の効果を詳しく説明する。
図7は迂回風路下流側における空気の流れを示す図である。
【0054】
通常、第2浄化待機空間9の中央部は、通風開口24や通風孔15から最も距離が離れているため非浄化空気が溜まりにくい。それに対して、第2浄化待機空間9の境界底面17近傍はチャンバー7の外壁によって非浄化空気が溜まりやすい。
【0055】
分流壁16は、境界側面18における境界底面17側の端部に設けられることで、境界側面18から第2浄化待機空間9の境界底面17近傍へ流れる非浄化空気の一部を第2浄化待機空間9の中央部へ導くことで、フィルター6の各部位から吹き出される風速分布のさらなる均一化を図ることができる。
【0056】
続いて、
図8を参照して送風ユニット5、迂回風路12及び整流板11について詳しく説明する。
図8は、ファンフィルターユニット2をフィルター下流面側(天面側)から正面視した図であり、送風ユニット5の回転方向と迂回風路12内の空気の流れを示す図である。
【0057】
送風ユニット5は、
図8のようにフィルター下流面側から吸込口21を見たとき時計回りを正回転方向として回転して非浄化領域3から非浄化空気を吸い込む。送風ユニット5は、吸い込んだ非浄化空気を吹出開口29を介して第1浄化待機空間8及び迂回風路12へ吹き出す。つまり、迂回風路12には、正回転側流路19と逆回転側流路20とが存在することになる。
【0058】
正回転側流路19は、吸込口21aから第2浄化待機空間直線9へ非浄化空気が流れる風路である。言い換えると直線状に連結された4つのファンのうち一端のファンから吹き出された非浄化空気が流れる風路である。正回転側流路19は、整流板11を介して迂回風路12から第2浄化待機空間9へ正回転方向(天面側から見て時計回り)に非浄化空気を導く。
【0059】
逆回転側流路20は、吸込口21dから第2浄化待機空間9へ非浄化空気が流れる風路である。直線状に連結された4つのファンのうち他端のファンから吹き出された非浄化空気が流れる風路である。逆回転側流路20は、整流板11を介して迂回風路12から第2浄化待機空間9へ正回転方向とは逆回転である逆回転方向(天面側から見て反時計回り)に非浄化空気を導く。
【0060】
ところで、正回転側流路19と逆回転側流路20とで非浄化空気の風速を比較すると、
図8の矢印の大きさで示すように逆回転側流路20の風速の方が小さくなる。これは、逆回転側流路20側では吹出口21dから吹き出された空気が迂回風路内周壁23bによって減速するためである。
【0061】
そこで、正回転側流路19側に設けられた整流板11aは、逆回転側流路20側に設けられた整流板11bよりも一層、迂回風路12の内部へ突出する。言い換えると正回転側流路19側の漏出空間25aは、逆回転側流路20側の漏出空間25bよりも小さくなる。漏出空間25aが小さくなったことで、正回転側流路19では整流板11aよりも下流へ向かう非浄化空気の量が制限される。
【0062】
また、正回転側流路19側に設けられた整流板11aの湾曲部は、逆回転側流路20側に設けられた整流板11bの湾曲部よりも一層、隔壁10側へ湾曲する。整流板11aの湾曲が大きくなったことで整流板11aを介して第2浄化待機空間9に導かれる非浄化空気の風速が低減する。
【0063】
このような構成によって、第2浄化待機空間9の左右から流れ込む非浄化空気の風速が均一化しフィルター6の各部位から吹き出される風速分布のさらなる均一化を図ることができる。
【0064】
なお、本実施の形態において吸込口21はフィルター下流面側に設けられているが、当該吸込口21をファンフィルターユニット2の背面であるフィルター上流面側(底面側)に設けてもよい。この場合、フィルター上流面側から吸込口を見ることになるため本実施の形態とは正回転側流路19と逆回転側流路20との配置が逆転する。言い換えると、吸込口21をフィルター上流面側に設けた場合は、漏出空間25bの方が漏出空間25aよりも小さくなり、整流板11bの湾曲部の方が整流板11aの湾曲部よりも一層、隔壁10側へ湾曲する。
【0065】
(発明の概要)
本発明のファンフィルターユニットは、非浄化領域から浄化待機空間及びフィルターを介して浄化領域に空気を導く送風ユニットを備えたファンフィルターユニットであり、非浄化領域から空気を吸い込むための吸込口と、同一平面上に設けられた浄化待機空間を吸込口に接続する第1浄化待機空間と第1浄化待機空間を挟んで吸込口とは逆側に設けられた第2浄化待機空間とに分割する隔壁と、第1浄化待機空間を迂回して吸込口と第2浄化待機空間とを接続する迂回風路を備え、隔壁は第1浄化待機空間から第2浄化待機空間へ連通する通風孔を備える。
【0066】
これにより、第1浄化待機空間から吹き出される空気が第2浄化待機空間へ流れ、第1浄化待機空間と第2浄化待機空間で吹き出される空気の風速が均一になる。
【0067】
また、フィルターは第1浄化待機空間及び第2浄化待機空間に面したフィルター上流面と浄化領域に面したフィルター下流面を備えたものである。
【0068】
これにより、浄化待機空間の空気をフィルターに通して浄化し、浄化領域に排気する、製造設備内に配置可能なファンフィルターユニットを得られる。
【0069】
また、迂回風路が同一平面上であって第1浄化待機空間および第2浄化待機空間の周囲に隣接して配置され、第1浄化待機空間と空間的に独立して設けられ、第2浄化待機空間と連通する通風開口を備えたものである。
【0070】
これにより、左右の送風ユニットから供給された空気が第1浄化待機空間へと供給された空気に干渉することがなく、第2浄化待機空間へ安定して空気を供給することが可能なファンフィルターユニットを得られる。
【0071】
また、他の手段は、通風開口は、迂回風路における第2浄化待機空間に隣接する部位全周にわたって設けられたことを特徴としたものである。
【0072】
この手段により、送風ユニットから給気した空気が第2浄化待機空間の全体へ供給されることで、第2浄化待機空間から吹き出される空気の風速が均一になる効果が得られる。
【0073】
また、他の手段は、第2浄化待機空間から迂回風路内まで突出し、迂回風路から第2浄待機空間へ空気を誘導する整流板を備えたことを特徴としたものである。
【0074】
この手段により、第2浄化待機空間において、迂回風路に流れている空気を第2浄化待機空間の空気が溜まりにくい箇所に誘導することが可能なファンフィルターユニットを得られる。
【0075】
また、他の手段は、外周側壁面と整流板との間に迂回風路の下流へ空気を通過させるための漏出空間を備えたことを特徴としたものである。
【0076】
この手段により、迂回風路に流れている空気を第2浄化待機空間に誘導する空気の量と、迂回風路のさらに下流に流す空気の量を整流板で調節することができ、第2浄化待機空間の上流側から吹き出される空気と第2浄化待機空間の下流側から吹き出される空気との風速を均一にすることが可能なファンフィルターユニットを得られる。
【0077】
また、他の手段は、整流板よりも下流の位置に、迂回風路に流れる空気を迂回風路のさらに下流へ流れる空気と第2浄化待機空間へ流れる空気とに分ける分流壁を備えたことを特徴としたものである。
【0078】
この手段により、迂回風路の最下流に流れる空気の量と分流壁の上流側から第2浄化待機空間へ誘導する空気の量を調節することで、第2浄化待機空間の下流側から吹き出される空気の風速分布が均一なファンフィルターユニットを得られる。
【0079】
また、他の手段は、迂回風路は、内周側に第2浄化待機空間を挟んで隔壁と対向する境界底面と、境界底面の両端から隔壁の方向に向けてそれぞれ直角に延伸する境界側面を備え、分流壁は境界側面における境界底面側の端部に境界側面と平行にそれぞれ設けられたことを特徴としたものである。
【0080】
この手段により、チャンバーとカバー、フィルター配置部材から形成される迂回風路において、フィルター配置部材の一部を曲げ加工することで分流壁を容易に設けることができる。
【0081】
また、他の手段は、吸込口はフィルター下流面側に設けられ、送風ユニットは、吸込口に設けられるターボファンであり、ターボファンはフィルター下流面側から吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで非浄化領域から空気を吸い込み、第1浄化待機空間及び迂回風路へ排気し、迂回風路は整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ前記正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路を備え、整流板は第2浄化待機空間にて隔壁側へ湾曲した湾曲部を備え、正回転流路の湾曲部は、逆回転流路の湾曲部よりも第2浄化待機空間の隔壁側へ湾曲したことを特徴としたものである。
【0082】
この手段により、ターボファンは高い機外静圧を要する場合において、高静圧を得ることが可能であり、必要な風量を確保することが可能になる。また、ターボファンの回転方向により正回転側流路と逆回転側流路で空気の流れが異なり、逆回転側流路は第2浄化待機空間の上流側において整流板によって誘導される空気の量が少なく、第2浄化待機空間の上流側から吹き出す空気の風速が小さいため、正回転側流路の整流板の湾曲部を逆回転側流路の整流板の湾曲部より隔壁側に湾曲させることで、整流板手前で空気を滞留させ第2浄化待機空間の上流側で吹き出される空気の風速分布をより均一化させることが可能なファンフィルターユニットを得られる。
【0083】
また、他の手段としては、吸込口はフィルター上流面側に設けられ、送風ユニットは、吸込口に設けられるターボファンであり、ターボファンはフィルター上流面側から吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで非浄化領域から空気を吸い込み、第1浄化待機空間及び迂回風路へ排気し、迂回風路は整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路を備え、整流板は第2浄化待機空間にて隔壁側へ湾曲した湾曲部を備え、正回転側流路の湾曲部は逆回転側流路の湾曲部よりも第2浄化待機空間の隔壁側へ湾曲したことを特徴としたものである。
【0084】
この手段により、吸込口がフィルターの上流側に設けられる場合であっても、正回転側流路側の整流板の湾曲部をより隔壁側に湾曲させることで風速分布の改善が可能であり、吸込口とターボファンの回転方向から左右非対称の流路にすることで風速分布の均一化が可能となる。
【0085】
また、他の手段としては、吸込口はフィルター下流面側に設けられ、送風ユニットは吸込口に設けられるターボファンであり、ターボファンはフィルター下流面側から吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで非浄化領域から空気を吸い込み、第1浄化待機空間及び迂回風路へ排気することを特徴とし、迂回風路は整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路を備え、正回転側流路の整流板は逆回転側流路の整流板よりも迂回風路の内部へ突出したことを特徴としたものである。
【0086】
この手段により、ターボファンの回転方向により正回転側流路の迂回風路の下流に流れる空気の量が多いファンフィルターユニットについて、正回転側流路の整流板を迂回風路の突出部をより突出させることで、漏出空間が小さくなり正回転側流路の迂回風路の下流に流れる空気の量を低減する。言い換えると、正回転側流路側の第2浄化待機空間の下流から吹き出される空気の風速が低減される。よって、第2浄化待機空間のフィルターから吹き出される空気の風速分布を均一化することができる。
【0087】
また、他の手段としては、吸込口はフィルター上流面側に設けられ、送風ユニットは吸込口に設けられるターボファンであり、ターボファンはフィルター上流面側から吸込口を見たとき、時計回りを正回転方向として回転することで非浄化領域から空気を吸い込み、第1浄化待機空間及び迂回風路へ排気することを特徴とし、迂回風路は整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向に空気が流れる正回転側流路と、整流板を介して迂回風路から第2浄待機空間へ正回転方向とは逆回転方向に空気が流れる逆回転側流路を備え、正回転側流路の整流板は逆回転側流路の整流板よりも迂回風路の内部へ突出したことを特徴としたものである。
【0088】
この手段により、吸込口がフィルターの上流側に設けられる場合であっても、正回転側流路側の整流板の突出部をより突出させることで風速分布の改善が可能であり、吸込口とターボファンの回転方向から左右非対称の流路にすることで風速分布の均一化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係るファンフィルターユニットは、半導体製造装置やクリーンブース等、設備内部に搭載されるファンフィルターユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 製造設備
2 ファンフィルターユニット
3 非浄化領域
4 浄化領域
5 送風ユニット
6 フィルター
7 チャンバー
8 第1浄化待機空間
9 第2浄化待機空間
10 隔壁
11 整流板
12 迂回風路
13 フィルター配置部材
14 カバー
15 通風孔
16 分流壁
17 境界底面
18 境界側面
19 正回転側流路
20 逆回転側流路
21 吸込口
22 浄化待機空間
23 迂回風路内周壁
24 通風開口
25 漏出空間
26 配置部材中央部
27 配置部材開口部
28 フィルター中央部
29 吹出開口
30 背面板
31 ユニット吸込口
32 ユニット吹出口
33 縁部
34 一側壁
101 ファンフィルターユニット
102 ターボファン
103 フィルター
104 案内板
105 最奥壁