(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127619
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/046 20060101AFI20230907BHJP
E03C 1/08 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E03C1/046
E03C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031412
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲利
(72)【発明者】
【氏名】早川 理々花
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC12
2D060BF03
2D060CB03
2D060CD00
(57)【要約】
【課題】利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置10は、原水吐出部14と、改質水吐出部12とを備えている。原水吐出部14は、給水源から供給される原水を、シャワー状、及びストレート状のいずれかの吐水形態に切り替えて吐出可能である。改質水吐出部12は、原水を改質させた改質水を吐出する。原水吐出部14は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から供給される原水を、シャワー状、及びストレート状のいずれかの吐水形態に切り替えて吐出可能な原水吐出部と、
前記原水を改質させた改質水を吐出する改質水吐出部と、
を備えており、
前記原水吐出部は、前記改質水吐出部を取り囲むように前記改質水吐出部の周囲に配置されている、吐水装置。
【請求項2】
前記原水吐出部は、前記吐水形態が前記シャワー状である時に前記原水を吐出するシャワー吐水部と、前記吐水形態が前記ストレート状である時に前記原水を吐出するストレート吐水部と、を有しており、
前記ストレート吐水部は、前記シャワー吐水部を取り囲むように、前記シャワー吐水部の周囲に配置されている請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記シャワー吐水部は、複数の散水孔が形成された散水面を形成しており、
前記散水面は、前記原水吐出部における前記原水の吐出方向に露出した面であって、外周側から中心側に向かって前記吐出方向の前方に傾斜しており、
前記ストレート吐水部は、前記シャワー吐水部の外周側に設けられており、前記散水面に沿って前記原水吐出部の中心側に向かう前記原水の流れを形成する請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記ストレート吐水部に連通するストレート流路を開閉する開閉部を有しており、
前記原水吐出部は、前記開閉部が前記ストレート流路を閉じた状態では、前記シャワー吐水部からのみ前記原水を吐出してシャワー吐水を形成し、前記開閉部が前記ストレート流路を開いた状態では、前記ストレート吐水部及び前記シャワー吐水部のそれぞれから吐出された前記原水が合流したストレート吐水を形成する請求項2及び請求項3のいずれか一項に記載の吐水装置。
【請求項5】
複数の散水孔が形成されて前記シャワー吐水部を構成する散水部材と、
前記散水部材を貫通して設けられ、先端に前記改質水吐出部を有する管状の管部材を備えており、
前記散水部材は、前記管部材の軸方向に沿って移動自在に設けられており、
前記ストレート吐水部は、前記散水部材の外周側に設けられた第1ストレート吐水部であり、
前記原水吐出部は、前記散水部材と前記管部材との間に形成され、前記吐水形態が前記ストレート状である時に前記原水を吐出する第2ストレート吐水部を有しており、
前記開閉部は、前記ストレート流路としての第1ストレート流路を開閉する第1開閉部であり、
前記第2ストレート吐水部に連通する第2ストレート流路を開閉する第2開閉部を有しており、
前記第1開閉部及び前記第2開閉部は、前記散水部材が前記軸方向の一方に移動することによって前記第1ストレート流路及び前記第2ストレート流路をそれぞれ開き、前記散水部材が前記軸方向の他方に移動することによって前記第1ストレート流路及び前記第2ストレート流路をそれぞれ閉じる請求項4に記載の吐水装置。
【請求項6】
前記第2開閉部は、前記第1開閉部が前記第1ストレート流路を閉じるよりも先に前記第2ストレート流路を閉じる請求項5に記載の吐水装置。
【請求項7】
前記管部材は、前記軸方向に沿って移動自在であり且つ前記軸方向の一方に向けた弾性力が付与されており、
前記第2開閉部は、前記散水部材が、前記弾性力に抗して前記管部材を前記軸方向の他方に押し返すようにして前記軸方向の他方に移動することによって、前記第2ストレート流路を閉じる請求項5及び請求項6のいずれか一項に記載の吐水装置。
【請求項8】
前記原水を前記ストレート流路に誘導する誘導部を有している請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吐水装置を開示している。この吐水装置は、給水源から供給される原水を吐出する。この吐水装置は、吐水形態をシャワー状とストレート状とに切り替えて吐水することができ、利便性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐水装置としては、吐水形態の違いの他、原水とは異なる性質の水、例えば原水に対して処理を施した改質水を吐出できるものも知られている。このような機能を特許文献1の吐水装置に更に設ける場合、原水と改質水の流路及び吐水口は、改質水の品質の観点では別々に設けることが理想である。しかしこの場合、シャワー吐水用とストレート吐水用の各構成に加えて改質水用の流路及び吐水口が更に必要となるため、装置の大型化が懸念される。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる吐水装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る吐水装置は、給水源から供給される原水のみを、シャワー状、及びストレート状のいずれかの吐水形態に切り替えて吐出可能な原水吐出部と、前記原水を改質させた改質水のみを吐出する改質水吐出部と、を備えており、前記原水吐出部は、前記改質水吐出部を取り囲むように前記改質水吐出部の周囲に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る吐水装置を備えた水栓装置を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る吐水装置を備えた水栓装置を概略的に示す側面図であり、一部を破断して示す。
【
図3】実施形態1に係る吐水装置を示す断面図である。
【
図4】実施形態1に係る吐水装置を示す要部拡大断面図である。
【
図5】実施形態1に係る吐水装置を示す分解斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る吐水装置を示す図であり、
図2の矢視VI-VI相当図である。
【
図7】実施形態1に係る吐水装置を示す要部拡大断面図であり、散水部材が第1位置にある状態を示す。
【
図8】実施形態1に係る吐水装置を示す要部拡大断面図であり、散水部材が第2位置にある状態を示す。
【
図9】実施形態1に係る吐水装置の作用を説明するための図である。
【
図10】実施形態2に係る吐水装置を示す要部拡大断面図である。
【
図11】実施形態3に係る吐水装置を示す要部拡大断面図である。
【
図12】実施形態4に係る吐水装置を示す要部拡大断面図である。
【
図13】実施形態5に係る吐水装置を示す要部拡大斜視断面図であり、散水部材が第1位置にある状態を示す。
【
図14】実施形態5に係る吐水装置を示す要部拡大斜視断面図であり、散水部材が第2位置にある状態を示す。
【
図15】実施形態6に係る吐水装置を示す要部拡大斜視断面図であり、散水部材が第1位置にある状態を示す。
【
図16】実施形態6に係る吐水装置を示す要部拡大斜視断面図であり、散水部材が第2位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示に係る吐水装置を具体化した実施形態1から実施形態6について、図面を参照しつつ説明する。以下の各実施形態の説明では、各吐水装置が
図1に示すキッチンカウンター110に取り付けられた形態を例示する。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る吐水装置10は、
図1及び
図2に示すように、水栓装置100における吐水管90の下流端部に連結されている。水栓装置100は、キッチンカウンター110に取り付けられている。水栓装置100は、水栓本体60、原水用操作部70、改質水用操作部80、吐水管90、及び吐水装置10を具備している。水栓装置100は、給水源に連通した給水路1、給湯源に連通した給湯路3、及び給水路1を分岐して途中に改質水生成部120が接続された分岐路5がそれぞれ連通し、湯水及び改質水が流入する。改質水生成部120は、浄水等、原水を改質した改質水を生成する。
【0010】
水栓装置100は、原水として、給水路1から流入した水と給湯路3から流入した湯を混合したもの、及び混合していないもののいずれかを、吐水装置10における後述する原水吐出部14から吐出する。水栓装置100は、改質水生成部120において生成された改質水を吐水装置10における後述する改質水吐出部12から吐水することができる。
【0011】
水栓本体60は、中央本体部61、右側本体部63、及び左側本体部65を有している。中央本体部61は、水栓本体60がキッチンカウンター110に取り付けられた際、キッチンカウンター110の上面から鉛直方向に直線状に延び、外形が円柱形状である。右側本体部63及び左側本体部65は、水栓本体60がキッチンカウンター110に取り付けられた際、中央本体部61に対して左右方向に延び外形が円柱形状である。右側本体部63の中心軸と左側本体部65の中心軸とは、同一直線上を水平方向に延びている。
【0012】
水栓本体60は、右側本体部63の内部に図示しない止水機能付き混合弁を組み込んでいる。止水機能付き混合弁は、2つの流入ポートが給水路1と給湯路3に連通し、1つの流出ポートが吐水管90の原水供給路7に連通している。止水機能付き混合弁は、給水路1及び給湯路3と原水供給路7とを連通する流路を開閉したり、原水供給路7への原水の流出量を変更したり、給水路1及び給湯路3のそれぞれから流入する湯水の混合比を変更して流出温度を変更したりする。
【0013】
原水用操作部70は水栓本体60の右側本体部63の右端部に取り付けられている。原水用操作部70は、操作部本体71と、操作レバー73とを有している。操作部本体71は、右側本体部63と同軸上に設けられ、外形が円柱形状である。操作レバー73は操作部本体71の外周面から径方向の外側に延びている。原水用操作部70は止水機能付き混合弁の可動部に連動している。水栓装置100は、操作レバー73の操作によって、原水吐出部14からの原水の吐止水を切り替えたり、吐水流量を変更したり、吐水温度を変更したりすることができる。
【0014】
改質水用操作部80は、接触式センサであり、水栓本体60の左側本体部65に設けられている。改質水用操作部80は後述する改質水生成部120に信号を送るように接続されている。水栓装置100は、改質水用操作部80を操作すると、改質水生成部120が改質水を生成する。改質水生成部120において生成された改質水は、改質水供給路9を介して改質水吐出部12から吐出される。
【0015】
吐水管90は、水栓本体60の中央本体部61の上端部に中央本体部61の中心軸周りに回転自在に設けられている。吐水管90は、上流部91と、下流部93とを有している。上流部91は中央本体部61の上端部から鉛直上方に向けて直線状に延びている。下流部93は上流部91の上端から上側に突出した円弧状に湾曲している。吐水管90の下流端開口は下方に向いている。
【0016】
吐水管90の内部には原水供給路7及び改質水供給路9が配置されている。原水供給路7は、図示しない止水機能付き混合弁を介して給水路1及び給湯路3に連通しており、混合弁を経由した原水が流通する。改質水供給路9は、分岐路5に直接的に連通しており、改質水生成部120において生成された改質水が流通する。
【0017】
本実施形態の場合、原水供給路7及び改質水供給路9は、
図2に示すように、吐水管90内に挿入された2つのフレキシブルチューブ95,97によって形成されている。2つのフレキシブルチューブ95,97は2重管を形成し、2系統の流路を形成している。改質水供給路9は、内側のフレキシブルチューブ95内に形成されている。原水供給路7は、内側のフレキシブルチューブ95と外側のフレキシブルチューブ97との間に形成されている。フレキシブルチューブ95,97は、吐水管90の下流端部から取り外した吐水装置10とともに、吐水管90の下流端部から引き出すことができる。
【0018】
図3に示すように、吐水装置10は、全体として軸Cを中心とする円柱状をなしている。吐水装置10は、軸方向の一端側において吐水管90に取り付けられ、軸方向の他端側において改質水及び原水を吐出する。吐水装置10は、吐水管90の下流端部に着脱自在に取り付けられている。吐水装置10は、吐水管90の下流端部からフレキシブルチューブ95,97とともに引出して使用することができる。以下の説明では、吐水装置10における軸方向の一端側である吐水管90側を上流側、その反対側を下流側とも表記する。
【0019】
吐水装置10は、改質水流路11、改質水吐出部12、原水流路13、及び原水吐出部14を備えている。改質水流路11は、上流側端部において吐水管90側の改質水供給路9に連通しており、改質水供給路9から流入した改質水が流通する。改質水吐出部12は、改質水流路11を流通した改質水を吐出する。原水流路13は、上流側端部において吐水管90側の原水供給路7に連通しており、原水供給路7から流入した原水が流通する。原水吐出部14は、原水流路13を流通した原水を吐出する。原水吐出部14は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。
【0020】
図4に示すように、原水吐出部14は、第1ストレート吐水部15、シャワー吐水部16、及び第2ストレート吐水部17を有している。これら第1ストレート吐水部15、シャワー吐水部16、及び第2ストレート吐水部17は、散水部材30によって、同心状に配置された円管状の領域をそれぞれ形成している。第1ストレート吐水部15は、本開示に係るストレート吐水部の例示である。第1ストレート吐水部15は、原水吐出部14からの吐水形態がストレート状である時に原水を吐出する。シャワー吐水部16は、原水吐出部14からの吐水形態がシャワー状である時に前記原水を吐出する。シャワー吐水部16は、第1ストレート吐水部15に取り囲まれて配置されている。第2ストレート吐水部17は、第1ストレート吐水部15とともに、原水吐出部14からの吐水形態がストレート状である時に原水を吐出する。
【0021】
図4に示すように、吐水装置10は、第1開閉部18、及び第2開閉部19を備えている。第1開閉部18は、本開示に係る開閉部の例示である。第1開閉部18は、第1ストレート吐水部15に連通する第1ストレート流路15Aを開閉する。第1ストレート流路15Aは、本開示に係るストレート流路の例示である。第2開閉部19は、第2ストレート吐水部17に連通する第2ストレート流路17Aを開閉する。吐水装置10は、第1開閉部18及び第2開閉部19が第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aをそれぞれ開閉することによって、シャワー状とストレート状のいずれかに吐水形態を切り替える。
【0022】
図3から
図5に示すように、吐水装置10は、部品構成的には、管部材20、散水部材30、第1内筒部材41、第2内筒部材42、第1外筒部材51、第2外筒部材52等を備えて構成されている。これらはいずれも軸Cに対して同軸状に配置されている。管部材20は円管状に形成されている。管部材20は、その中心軸を軸Cに沿わせて配置されている。管部材20は、上流端部において、改質水供給路9を形成するフレキシブルチューブ95に接続されている。管部材20の内周面内側の空間は改質水流路11である。管部材20は、外周面外側に原水流路13となる空間を形成する。すなわち、吐水装置10は、吐水管90側と同様に、2系統の流路を2重管によって形成している。
【0023】
図5に示すように、管部材20の外周面には、フランジ部21、及びリブ部22が形成されている。フランジ部21は、管部材20の下流端部において、外周面から径方向外側に鍔状に拡がっている。
図4に示すように、フランジ部21の下流側端面21Aは、管部材20の中心軸に直交する方向に沿った平坦状をなしている。下流側端面21Aには平パッキンP1が取り付けられている。平パッキンP1は、後述する第3筒部33の上流側端部33Aとともに第2開閉部19を構成する。フランジ部21の上流側端面21Bは、管部材20の外周面からフランジ部21の外周縁にかけて、断面円弧状をなしてなだらかに拡がっている。これによって、フランジ部21は、原水流路13を管部材20の外周面に沿って流通する原水を、径方向外側に案内する。フランジ部21は、本開示に係る誘導部の例示である。フランジ部21は、管部材20の外周面を管部材20の軸方向に沿って流通する原水を、第1ストレート流路15Aの方向に誘導する。
【0024】
図5に示すように、リブ部22は、管部材20の中心軸に沿って延びている。リブ部22は、管部材20の周方向に複数形成されている。リブ部22は、原水流路13を流通する原水を整流する。各リブ部22は張出部22Aを有している。張出部22Aは、リブ部22の中間部において径方向外側に張り出している。各張出部22Aの上流側端面にはワッシャWが取り付けられている。ワッシャWにはコイルばねCの一端が接触している。コイルばねCの他端は、第1内筒部材41における後述するばね座部41Aに接触している。これによって、コイルばねCは、第1内筒部材41に対して管部材20が下流側に相対移動する方向への弾性力を付与している。張出部22Aの下流側端面は第2内筒部材42の上端面に接触する。
【0025】
図3に示すように、管部材20の内部には、上流側から、緩衝部23、整流部24、及び開口部25が設けられている。緩衝部23は、管部材20の上流側端部に設けられている。緩衝部23は、改質水供給路9から改質水流路11に流入した改質水を一時的に滞留させ、吐水における脈動を抑制する。整流部24は、管部材20の中間部に設けられている。整流部24は、流通する改質水を整流する。開口部25は、管部材20の下流端に形成されている。開口部25は、吐水装置10における改質水吐出部12を構成する。
【0026】
図6及び
図7に示すように、散水部材30は、吐水装置10における原水吐出部14に設けられている。散水部材30は、管部材20に対して、管部材20の軸と同軸である軸Cに沿った方向に移動自在に設けられている。吐水装置10は、散水部材30を軸C方向に移動させることによって、原水吐出部14から吐出される原水の吐水形態を、ストレート吐水及びシャワー吐水のいずれかに切り替える。
【0027】
図6及び
図7に示すように、散水部材30は、第1筒部31、第2筒部32、第3筒部33、散水部34、及び連結リブ35を有している。第1筒部31、第2筒部32、及び第3筒部33は、それぞれ円筒状をなしている。第1筒部31、第2筒部32、及び第3筒部33は同心状に配置されている。
【0028】
第1筒部31は、3つの筒部31,32,33の中で最も外側に配置されている。第1筒部31の内周面側には、第1ストレート流路15Aが形成されている。第1筒部31は、縮径部31A、突起31B、及び切欠部31Cを有している。縮径部31Aは、第1筒部31における下流側端部を内側方向に断面鈎状に屈曲させた形態である。縮径部31Aの内径は、第1筒部31における縮径部31Aよりも上方の部位の内径よりも小さい。これによって、縮径部31Aは、第1ストレート流路15Aを形成する第1筒部31の内周面に沿って流通する原水を、径方向内側に案内する。突起31Bは、第2外筒部材52の内周面に形成された後述するめねじ部52A内に配置される。突起31Bは、第2外筒部材52の回転操作によってめねじ部52A内を移動する。
【0029】
切欠部31Cは、
図5に示すように、第1筒部31における上流側端部を軸方向に切り欠いた形態である。切欠部31Cは、第1筒部31における周方向に複数設けられている。各切欠部31Cには、第2内筒部材42における後述する凸状部42Aが配置される。切欠部31Cは、凸状部42Aの周方向の幅よりも僅かに大きな幅、且つ凸状部42Aの軸方向の長さよりも十分に大きな長さを有している。散水部材30は、これら切欠部31C及び凸状部42Aの作用によって、第2内筒部材42に対する軸方向の相対移動のみが許容され、軸周りの相対回転が阻止される。
【0030】
図6及び
図7に示すように、第2筒部32は、第1筒部31の内側に配置されている。第2筒部32は、第1筒部31との間に第1ストレート流路15Aを形成している。第2筒部32の上流側端部32Aは、第1開閉部18を構成する。第2筒部32の上流側端部32Aは、散水部材30が軸方向の上流側に移動することによって後述するリップパッキンP2に接触し、第1ストレート流路15Aを閉じる。
【0031】
第3筒部33は、3つの筒部31,32,33の中で最も内側に配置されている。第3筒部33の内側には管部材20の下流端部が挿入されている。第3筒部33の内周面と管部材20の外周面との間には隙間が形成されている。この隙間は、第2ストレート吐水部17に連通する第2ストレート流路17Aである。第3筒部33の上流側端部33Aは、第2開閉部19を構成する。第3筒部33の上流側端部33Aは、散水部材30が軸方向の上流側に移動することによって平パッキンP1に接触し、第2ストレート流路17Aを閉じる。
【0032】
散水部34は、第2筒部32の下流側端部と第3筒部33の下流側端部とを接続する円環状をなしている。散水部34は、散水面34A、及び複数の散水孔34Bを形成している。散水面34Aは、原水吐出部14における原水の吐出方向に露出している。複数の散水孔34Bは、散水面34Aに開口している。複数の散水孔34Bは、上流側において、原水流路13に連なるシャワー流路16Aに連通している。散水面34Aは、外周側において第2筒部32の外周面に滑らかに連続している。散水面34Aの内周側の部分は、第3筒部33の内周面に滑らかに連続している。散水面34Aは、外周側から中心側に向かって、原水吐出部14における原水の吐出方向の前方に傾斜している。
【0033】
連結リブ35は、第1筒部31と第2筒部32とを連結する。連結リブ35は、周方向に等間隔で複数設けられている。
【0034】
図3及び
図5に示すように、第1内筒部材41及び第2内筒部材42は、それぞれ筒状に形成されている。第1内筒部材41及び第2内筒部材42は、第1内筒部材41が上流側、第2内筒部材42が下流側となる形態で、軸方向に固定的に連結されている。連結された状態の第1内筒部材41及び第2内筒部材42は、リテーナ43によって軸方向に抜け止めされる。第1内筒部材41及び第2内筒部材42は、内部に管部材20を収納する。第1内筒部材41及び第2内筒部材42は、管部材20と同軸に配置される。第1内筒部材41及び第2内筒部材42の内周面と、管部材20の外周面との間の隙間は、原水流路13として機能する。
【0035】
図3に示すように、第1内筒部材41はばね座部41Aを有している。ばね座部41Aは、第1内筒部材41の内周部分の一部を他の部分よりも縮径して形成されている。ばね座部41Aは、管部材20に軸方向の弾性力を付与するコイルばねCの他端が接触する。
図5に示すように、第2内筒部材42は凸状部42Aを有している。凸状部42Aは、第2内筒部材42の外周面から凸状に突出して形成されている。凸状部42Aは、散水部材30における切欠部31Cの内側に配置される。
【0036】
図4及び
図5に示すように、第2内筒部材42の下流側端部にはリップパッキンP2が取り付けられている。リップパッキンP2は、外周縁において散水部材30における第1筒部31の内周面に水密に接触している。リップパッキンP2は、下流側端面において、散水部材30が軸方向上流側に移動した際に第2筒部32の上流側端部32Aが接触する。
【0037】
図3及び
図5に示すように、第1外筒部材51及び第2外筒部材52は、それぞれ筒状に形成されている。第1外筒部材51及び第2外筒部材52は、第1内筒部材41及び第2内筒部材42の外側に配置される。第1外筒部材51及び第2外筒部材52は、第1外筒部材51が上流側、第2外筒部材52が下流側となる形態でで、軸方向に並んで配置されている。第1外筒部材51は、第1内筒部材41に対して固定的に配置される。
【0038】
図4及び
図5に示すように、第2外筒部材52は、E型止め輪Eによって、第2内筒部材42に取り付けられる。第2外筒部材52は、E型止め輪Eによって、第2内筒部材42に対しての軸方向の移動が規制され、軸周りの回転は許容される。第2内筒部材42は、軸周りの回転によって、散水部材30を軸方向に移動させる。すなわち、第2内筒部材42は、原水の吐水形態を切り替える際の切り替え操作部として機能する。具体的には、第2内筒部材42の内周面には、めねじ部52Aが形成されている。めねじ部52Aには、散水部材30の外周面に形成された突起31Bが配置される。第2内筒部材42は、軸周りに回転することによって、突起31Bを含む散水部材30の全体を軸方向に移動させる。第2内筒部材42の外周面にはローレット部52Bが形成されている。ローレット部52Bは、吐水装置10の使用者が第2外筒部材52を回転操作する際に指を掛ける部分となる。
【0039】
上記構成の吐水装置10の作用について説明する。吐水装置10は、改質水用操作部80を操作すると、改質水生成部120が改質水を生成する。改質水生成部120において生成された改質水は、改質水供給路9を流通して管部材20の内側の改質水流路11に導入される。改質水流路11に導入された改質水は、緩衝部23及び整流部24を経て緩衝、整流されたのち、改質水吐出部12から吐出される。
【0040】
吐水装置10は、原水用操作部70を操作すると、図示しない混合弁において混合した湯と水を原水として原水供給路7に送る。原水供給路7を流通した原水は原水流路13に導入され、原水吐出部14から吐出される。この原水吐出部14は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。このため、吐水装置10は、すっきりとした良好な外観である。吐水装置10は、原水吐出部14が改質水吐出部12の周囲に配置されていることから、改質水を吐出する場合、及び原水を吐出する場合のいずれも、同じ場所から同じ方向に吐水され、使い勝手が良好である。
【0041】
吐水装置10は、原水吐出部14からの吐水形態をシャワー状及びストレート状とのいずれかに切り替えて吐出可能である。この切り替えは、第1開閉部18及び第2開閉部19による第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aの開閉によって行われる。第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aの開閉は、第2外筒部材52を軸周りに回転させることによって、散水部材30を軸方向に移動させて行う。散水部材30は、
図7に示す第1位置と、
図8に示す第2位置との間で軸方向に移動する。第1位置は、散水部材30が第2位置から軸方向の一方である下流側に移動した位置である。反対に、第2位置は、散水部材30が第1位置から軸方向の他方である上流側に移動した位置である。
【0042】
散水部材30が
図7に示す第1位置にある状態において、吐水装置10は、第1開閉部18及び第2開閉部19が第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aを開いた状態となる。この状態において、吐水装置10は、原水吐出部14からストレート状の吐水形態で原水を吐出する。詳細には、散水部材30が第1位置にある状態において、原水流路13は、各ストレート吐水部15,17及びシャワー吐水部16のそれぞれと連通した状態となる。このため、原水流路13を流通した原水は、第1ストレート流路15A、シャワー流路16A、及び第2ストレート流路17Aのそれぞれに流入可能である。これら各流路15A,16A,17Aのうち、第1ストレート流路15Aは、原水吐出部14において最も外側の第1ストレート吐水部15に連通する流路である。
【0043】
第1ストレート流路15Aは、散水部材30における第1筒部31と第2筒部32との間に形成されている。第1ストレート流路15Aに流入した原水は、第2筒部32の外周面に沿って流通する。この第2筒部32の外周面は、下流側端部において、散水部34の散水面34Aに滑らかに接続されている。散水面34Aは、中心側に向かって、原水吐出部14における原水の吐出方向の前方に傾斜している。このため、第2筒部32の外周面に沿って流通する原水は、表面張力の作用によって、散水部34における散水面34Aの表面に沿って更に流通する。これによって、第1ストレート吐水部15から吐出される原水は、散水面34Aの表面に沿って原水吐出部14の中心側に向かう流れを形成する。
【0044】
同様に、第1ストレート流路15Aを流通する原水は、第1筒部31の内周面に沿って流通する。第1筒部31の内周面に沿って流通する原水は、第1筒部31の下流側端部において縮径部31Aによって流通方向が変更され、原水吐出部14の中心側に案内される。このように、第1ストレート吐水部15は、原水吐出部14の中心側に向かう原水の流れを形成する。
【0045】
これらの原水の流れは、第1ストレート吐水部15よりも中心側のシャワー吐水部16及び第2ストレート吐水部17のそれぞれから吐出される原水を浚って合流する。このようにして合流した原水はストレート吐水を形成する。以上のように、吐水装置10は、第1開閉部18及び第2開閉部19が各ストレート流路15A,17Aを開いた状態では、各ストレート吐水部15,17及びシャワー吐水部16のそれぞれから吐出された原水が合流したストレート吐水を形成する。
【0046】
図7に示すように、散水部材30が第1位置にある状態において、原水流路13を流通した原水は、フランジ部21によって第1ストレート流路15Aに誘導される。このため、吐水装置10は、原水吐出部14から吐出される原水の吐水形態がストレート状である場合には、第1ストレート流路15Aに十分な流量の原水が供給される。これによって、第1ストレート吐水部15からは、原水吐出部14の中心側に向かう十分な流量の原水が吐出され、シャワー吐水部16及び第2ストレート吐水部17から吐出される原水を好適に合流させることができる。
【0047】
これに対し、散水部材30が
図8に示す第2位置にある状態において、吐水装置10は、第1開閉部18及び第2開閉部19が第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aを閉じた状態となる。具体的には、散水部材30が第1位置から管部材20の軸方向の他方である上流側方向に移動して第2位置に至ると、散水部材30における第2筒部32の上流側端部32Aが平パッキンP1に水密に接触し、第3筒部33の上流側端部33AがリップパッキンP2に水密に接触する。これによって、第1開閉部18及び第2開閉部19が第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aを閉じた状態にする。この状態において、吐水装置10は、原水吐出部14からシャワー状の吐水形態で原水を吐出する。
【0048】
散水部材30が第2位置にある状態において、原水流路13は、第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aと非連通状態であり、シャワー吐水部16のみと連通した状態となる。このため、原水流路13を流通した原水は、シャワー流路16Aのみに流入可能である。したがって、原水流路13を流通した原水は、シャワー流路16Aを経て複数の散水孔34Bからのみ吐出され、シャワー吐水を形成する。以上のように、吐水装置10は、第1開閉部18及び第2開閉部19が各ストレート流路15A,17Aを閉じた状態では、シャワー吐水部16からのみ吐出された原水がシャワー吐水を形成する。
【0049】
図9に示すように、散水部材30が第1位置から第2位置に向かう過程において、第2開閉部19は、第1開閉部18が第1ストレート流路15Aを閉じるよりも先に、第2ストレート流路17Aを閉じる。上述のように、第2開閉部19は、散水部材30における第3筒部33の上流側端部33Aを有して構成されている。第2開閉部19は、第3筒部33の上流側端部33Aが平パッキンP1に接触することによって第2ストレート流路17Aを閉じる。管部材20は、軸方向に沿って移動自在であり、且つコイルばねCによる軸方向の弾性力が付与されている。散水部材30における第3筒部33の上流側端部33Aは、この弾性力に抗しつつ平パッキンP1に押し当てられる。散水部材30は、第3筒部33の上流側端部33Aが平パッキンP1とともに管部材20を上流側に押し返すようにして更に上流側に移動し、第2筒部32における上流側端部32AがリップパッキンP2の下流側端面に接触する。
【0050】
すなわち、吐水装置10において、散水部材30は、第3筒部33の上流側端部33Aと平パッキンP1とが接触した状態をコイルばねCの弾性力によって維持しつつ管部材20を上流側に移動させ、第2筒部32の上流側端部32AをリップパッキンP2の下流側端面に接触させる。これによって、吐水装置10は、第1開閉部18による第1ストレート流路15Aの閉塞、及び第2開閉部19による第2ストレート流路17Aの閉塞の両方を好適に実現することができる。
【0051】
以上説明したように、実施形態1に係る吐水装置10は、原水吐出部14と、改質水吐出部12とを備えている。原水吐出部14は、図示しない給水源から給水路1を介して供給される原水を、シャワー状、及びストレート状のいずれかの吐水形態に切り替えて吐出可能である。改質水吐出部12は、原水を改質させた改質水を吐出する。原水吐出部14は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。
【0052】
このように、吐水装置10は、原水吐出部14からの吐水形態をシャワー状とストレート状とに切り替え可能である。吐水装置10は、原水吐出部14とは別に、改質水吐出部12を備えている。吐水装置10は、複数の吐水形態で吐水できるとともに、複数の水種を選択して吐水できるため、利便性が良好である。吐水装置10において、原水吐出部14と改質水吐出部12とが別々に設けられている。このため、改質水吐出部12から吐出される改質水は、原水と混ざることがなく良好な品質が確保される。改質水吐出部12は、原水吐出部14によって周囲を取り囲まれている。このため、吐水装置10は、各吐出部を前後、左右等に並べて配置する場合や、別々の吐水装置に設ける場合と比較して、コンパクトな構成を実現できる。したがって、吐水装置10は、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。
【0053】
吐水装置10において、原水吐出部14は、シャワー吐水部16と、ストレート吐水部としての第1ストレート吐水部15と、を有している。シャワー吐水部16は、吐水形態がシャワー状である時に原水を吐出する。第1ストレート吐水部15は、吐水形態がストレート状である時に原水を吐出する。第1ストレート吐水部15は、シャワー吐水部16を取り囲むように、シャワー吐水部16の周囲に配置されている。このため、吐水装置10は、シャワー吐水部16と、第1ストレート吐水部15とをコンパクトに配置できる。
【0054】
吐水装置10において、シャワー吐水部16は、複数の散水孔34Bが形成された散水面34Aを形成している。散水面34Aは、原水吐出部14における原水の吐出方向に露出した面であって、外周側から中心側に向かって吐出方向の前方に傾斜している。第1ストレート吐水部15は、シャワー吐水部16の外周側に設けられており、散水面34Aに沿って原水吐出部14の中心側に向かう原水の流れを形成する。このため、第1ストレート吐水部15から吐出される原水は中心側に収束し、整ったストレート吐水を実現できる。
【0055】
吐水装置10は、開閉部としての第1開閉部18を有している。第1開閉部18は、第1ストレート吐水部15に連通するストレート流路としての第1ストレート流路15Aを開閉する。原水吐出部14は、第1開閉部18が第1ストレート流路15Aを閉じた状態では、シャワー吐水部16からのみ原水を吐出してシャワー吐水を形成する。原水吐出部14は、第1開閉部18が第1ストレート流路15Aを開いた状態では、第1ストレート吐水部15及びシャワー吐水部16のそれぞれから吐出された原水が合流したストレート吐水を形成する。このように、吐水装置10は、シャワー吐水部16からの吐水を利用してストレート吐水を実現する。このため吐水装置10は、シャワー吐水時の吐水部とストレート吐水時の吐水部とを完全に切り替える場合と比較して、コンパクトにできる。
【0056】
吐水装置10は、散水部材30と、管部材20とを備えている。散水部材30は、複数の散水孔34Bが形成されてシャワー吐水部16を構成する。管部材20は、散水部材30を貫通して設けられ、先端に改質水吐出部12を有する。散水部材30は、管部材20の軸方向に沿って移動自在に設けられている。第1ストレート吐水部15は、散水部材30の外周側に設けられている。原水吐出部14は第2ストレート吐水部17を有している。第2ストレート吐水部17は、散水部材30と管部材20との間に形成され、吐水形態がストレート状である時に原水を吐出する。吐水装置10は、第1開閉部18に加えて第2開閉部19を有している。第2開閉部19は、第2ストレート吐水部17に連通する第2ストレート流路17Aを開閉する。第1開閉部18及び第2開閉部19は、散水部材30が軸方向の一方に移動することによって第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aをそれぞれ開く。第1開閉部18及び第2開閉部19は、散水部材30が軸方向の他方に移動することによって第1ストレート流路15A及び第2ストレート流路17Aをそれぞれ閉じる。このように、吐水装置10は、散水部材30と管部材20との間の隙間からの吐水を利用してストレート吐水を実現できる。吐水装置10は、シャワー吐水時には、第2開閉部19によって第2ストレート流路17Aが閉じられるため、整ったシャワー吐水を実現できる。
【0057】
吐水装置10において、第2開閉部19は、第1開閉部18が第1ストレート流路15Aを閉じるよりも先に第2ストレート流路17Aを閉じる。これによって、吐水装置10は、整ったストレート吐水及びシャワー吐水を実現できる。
【0058】
例えば、ストレート吐水からシャワー吐水への切り替えの際、第1ストレート吐水部15が先に止水されると、シャワー吐水部16及び第2ストレート吐水部17から吐水された状態となり、その時点でシャワー吐水に切り替わったと誤認され、切り替え操作が中断されてしまうおそれがある。これに対し、第2ストレート吐水部17が先に止水されることによって、第1ストレート吐水部15からの吐水がある間はストレート吐水であると認識され易い。このため、吐水装置10は、使用者が所望するストレート吐水が生じるまで、切り替え操作を続けさせることができる。このように、吐水装置10は、ストレート吐水からシャワー吐水への切り替え操作の完遂を使用者に促すことができ、完全な切り替え操作が行われることで、整ったストレート吐水及びシャワー吐水を実現できる。
【0059】
吐水装置10において、管部材20は、軸方向に沿って移動自在であり且つ軸方向の一方に向けた弾性力が付与されている。第2開閉部19は、散水部材30が、弾性力に抗して管部材20を軸方向の他方に押し返すようにして軸方向の他方に移動することによって、第2ストレート流路17Aを閉じる。このように、吐水装置10は、第2開閉部19が弾性力を利用して第2ストレート流路17Aを閉じ、その閉じた状態を確保したまま管部材20を軸方向に移動することで、第1開閉部18が第2ストレート流路17Aを確実に閉じることができる。その結果、吐水装置10は、2箇所の開閉部18,19によって第1ストレート流路15Aと第2ストレート流路17Aを確実に閉じることができ、整ったシャワー吐水を実現できる。
【0060】
吐水装置10は、管部材20にフランジ部21を設けている。フランジ部21は、原水流路13を流通する原水をストレート流路としての第1ストレート流路15Aに誘導する。すなわち、フランジ部21は本開示に係る誘導部として機能する。このため、吐水装置10は、第1ストレート流路15Aへ流通させる原水の流量を十分に確保される。この十分な流量の原水が散水面34Aに沿って中心側に流れ、シャワー吐水部からの原水を浚って合流させるため、整ったストレート吐水を実現できる。
【0061】
<実施形態2>
実施形態2に係る吐水装置は、異なる形状の散水面を有する散水部材を備えている点等において、実施形態1の吐水装置と相違する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
実施形態2に係る吐水装置210は、
図10に示すように、散水部材230を備えている。散水部材230において、散水面234Aは、第2筒部32と第3筒部33との間の中心部において原水の吐出方向に最も突出した断面U字状に形成されている。このような散水部材230を備える吐水装置210では、第1ストレート吐水部15が散水面234Aの表面に沿って原水吐出部14の中心側に向かう原水の流れを形成するとともに、第2ストレート吐水部17が散水面234Aの表面に沿って原水吐出部14の外側に向かう原水の流れを形成する。
【0063】
上記構成の吐水装置210は、実施形態1と同様に、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。吐水装置210において、第1ストレート吐水部15及び第2ストレート吐水部17は、互いに衝突し合う方向に向けて原水を吐出するため、各ストレート吐水部15,17からの原水の流れを確実に合流させることができる。その結果、吐水装置210は、一層整ったストレート吐水を実現することができる。
【0064】
<実施形態3>
実施形態3に係る吐水装置は、筒部材と散水部材との間にシール部材を設けている点等において、実施形態1の吐水装置と相違する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
実施形態3に係る吐水装置310は、
図11に示すように、シール部材P3を備えている。シール部材P3は、管部材20の外周面と、散水部材30における第3筒部33の内周面との間の隙間を常時水密に封止する。すなわち、吐水装置310は、第2ストレート吐水部を有さず、第1ストレート吐水部15及びシャワー吐水部16によって、原水吐出部14が構成された形態であるといえる。吐水装置310は、第2ストレート吐水部を有さないことから、第2ストレート吐水部に連通する流路も有さず、この流路を開閉するための第2開閉部等の構成も不要である。吐水装置310は、第2開閉部を有さない構成であるため、管部材20が軸方向に移動自在な構成、管部材20に対して軸方向に弾性力を付与するための構成等も不要となる。
【0066】
上記構成の吐水装置310は、実施形態1と同様に、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。吐水装置310は、管部材20の外周面と、散水部材30における第3筒部33の内周面との間の隙間を水密に封止するシール部材P3を設けたことによって、第2ストレート吐水部を形成していない。これによって、吐水装置310は、第2ストレート吐水部に関連する構成が不要となる。このため、吐水装置310は、構成の簡素化を図ることができる。
【0067】
<実施形態4>
実施形態4に係る吐水装置は、筒部材に対して散水部材に相当する構成を一体化した点等において、実施形態1の吐水装置と相違する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0068】
実施形態4に係る吐水装置410は、
図12に示すように、管部材420を備えている。管部材420は、実施形態1に係る散水部材30に相当する構成を一体に設けている。詳細には、管部材420は、実施形態1の第1筒部31、第2筒部32、第3筒部33、散水部34、及び連結リブ35と同様の構成を有している。管部材420は、第3筒部33を下端部の外周面に接続した形態である。このため、吐水装置410は、第2ストレート吐水部、第2ストレート流路、第2開閉部に相当する構成等を有さない。吐水装置410は、実施形態3と同様に、第1ストレート吐水部15及びシャワー吐水部16によって、原水吐出部14が構成された形態であるといえる。
【0069】
実施形態4の吐水装置410の場合、シャワー吐水とストレート吐水の切り替えの際には、管部材420全体が軸方向に移動する。これによって、第1開閉部18による第1ストレート流路15Aの開閉が行われる。吐水装置410は、第2開閉部を有さない構成であるため、筒部材に対して軸方向に弾性力を付与するための構成等が不要である。
【0070】
上記構成の吐水装置410は、実施形態1と同様に、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。吐水装置410は、散水部材に相当する構成を一体化した管部材420を備えたことによって、第2ストレート吐水部を形成せず、第2ストレート吐水部に関連する構成が不要となる。このため、吐水装置410は、構成の簡素化を図ることができる。
【0071】
<実施形態5>
実施形態5に係る吐水装置は、シャワー吐水とストレート吐水とを切り替える機構において、上記各実施形態の吐水装置と相違する。以下の説明において、上記各実施形態と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
実施形態5に係る吐水装置510は、
図13及び
図14に示すように、原水吐出部514を備えている。原水吐出部514は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。原水吐出部514は、ストレート吐水部515及びシャワー吐水部516を有している。ストレート吐水部515は、シャワー吐水部516を取り囲むように、シャワー吐水部516の周囲に配置されている。
【0073】
吐水装置510は、散水部材530及び管部材520を備えている。管部材520は、内部に改質水流路11を形成する筒状である。管部材520は、先端に改質水吐出部12を有している。管部材520は、散水部材530を貫通して設けられている。管部材520の外周面側には、原水流路513が形成されている。原水流路513の下流側端部は閉塞板部513Aによって閉塞されている。閉塞板部513Aには連通孔513Bが形成されている。原水流路513を流通する原水は、連通孔513Bからのみ下流側に流通可能である。連通孔513Bは、軸C周りに等間隔で複数形成されている。
【0074】
散水部材530は、吐水装置510における原水吐出部514に設けられている。散水部材530は、管部材520に対し、管部材520の軸と同軸である軸C周りに回転自在に設けられている。吐水装置510は、散水部材530を軸C周りに回転させることによって、原水吐出部514から吐出される原水の吐水形態を、ストレート吐水及びシャワー吐水のいずれかに切り替える。
【0075】
散水部材530は、第1筒部531、第2筒部532、第3筒部533、及び散水部534を有している。第1筒部531、第2筒部532、及び第3筒部533は、それぞれ円筒状をなしている。散水部材530は、外側から第1筒部531、第2筒部532、及び第3筒部533の順に同心状に配置している。第1筒部531と第2筒部532とは図示しない連結リブによって間隔をおいて連結されている。第1筒部531と第2筒部532との間の隙間はストレート流路515Aである。第2筒部532と第3筒部533との間の空間はシャワー流路516Aである。第3筒部533は、散水部534によって第2筒部532の下流側端部に連結されている。第3筒部533の下流側端部は、管部材520の下流側端部よりも下流側まで延びている。散水部534は散水面534Aを有している。散水面534Aは、軸Cに対して直交する方向に拡がる平坦状である。
【0076】
散水部材530には有孔板536が取り付けられている。この有孔板536は、本開示に係る誘導部として機能する。有孔板536は、第1筒部531の外径と同等の外径で形成された円板状をなしている。有孔板536は、シャワー流路516Aを上流側から閉塞するように、散水部材530の上流側端部に取り付けられている。有孔板536は、散水部材530に対して相対移動不能に取り付けられている。
図14に示すように、有孔板536は貫通孔536Aを形成している。貫通孔536Aは、連通孔513Bと同数、同ピッチ径で、軸C周りに等間隔で複数形成されている。
【0077】
散水部材530は、第1筒部531の外周面側において第2外筒部材52に連結されている。これによって、散水部材530は、第2外筒部材52の回転操作に応じて軸C周りに回転する。有孔板536は、散水部材530に対して相対移動不能に取り付けられていることから、散水部材530の軸C周りの回転に伴って回転する。これによって、有孔板536に形成された複数の貫通孔536Aの軸C周りの位置が変更される。
【0078】
散水部材530は、
図13に示す第1位置と、
図14に示す第2位置との間で、軸C周りに回転自在である。吐水装置510は、散水部材530が第1位置にある状態において、有孔板536における複数の貫通孔536Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置とずれた状態となる。吐水装置510は、有孔板536における複数の貫通孔536Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置とずれた場合、連通孔513Bから噴出する原水を有孔板536に衝突させ、外周側のストレート流路515Aに導入することができる。すなわち、連通孔513Bから噴出する原水は、有孔板536によってストレート流路515Aに誘導される。これによって、吐水装置510は、原水吐出部514からストレート状の吐水形態で原水を吐出する。
【0079】
吐水装置510は、散水部材530が第2位置にある状態において、有孔板536における複数の貫通孔536Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置と合致した状態となる。吐水装置510は、有孔板536における複数の貫通孔536Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置と合致した場合には、貫通孔536Aを介して、連通孔513Bから噴出する原水を下流側のシャワー流路516Aに導入することができる。これによって、吐水装置510は、原水吐出部514からシャワー状の吐水形態で原水を吐出する。
【0080】
上記構成の吐水装置510は、実施形態1と同様に、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。吐水装置510は、開閉部等を設けることなく、シャワー吐水とストレート吐水との切り替えを行うことができる。このため、吐水装置510は、構成の簡素化を図ることができる。
【0081】
<実施形態6>
実施形態6に係る吐水装置は、原水吐出部におけるシャワー吐水部とストレート吐水部の配置という点で、上記各実施形態の吐水装置と相違する。以下の説明において、上記各実施形態と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0082】
実施形態6に係る吐水装置610は、
図15及び
図16に示すように、原水吐出部614を備えている。原水吐出部614は、改質水吐出部12を取り囲むように、改質水吐出部12の周囲に配置されている。原水吐出部614は、ストレート吐水部615及びシャワー吐水部616を有している。原水吐出部614において、ストレート吐水部615は、シャワー吐水部616よりも軸C寄りに配置されている。すなわち、原水吐出部614は、シャワー吐水部616を、ストレート吐水部615を取り囲むようにストレート吐水部615の周囲に配置している。
【0083】
吐水装置610は、散水部材630と、実施形態5と同様の管部材520を備えている。散水部材630は、吐水装置610における原水吐出部614に設けられている。散水部材630は、管部材520に対し、管部材520の軸と同軸である軸C周りに回転自在に設けられている。吐水装置610は、第2外筒部材52を回転操作して散水部材630を軸C周りに回転させることによって、原水吐出部614から吐出される原水の吐水形態をストレート吐水及びシャワー吐水のいずれかに切り替える。吐水装置610において、散水部材630を軸C周りに回転させることによって原水の吐水形態を切り替える点は、実施形態5の散水部材530と同様である。
【0084】
散水部材630において、第1筒部631と第2筒部632との間の隙間はシャワー流路616Aである。散水部634は、第1筒部631と第2筒部632との間に設けられている。第2筒部632と管部材520の外周面との間の空間はストレート流路615Aである。このストレート流路615Aを形成する空間には、成形の都合により、散水部材630とは別体の整流部材637が取り付けられている。
【0085】
散水部材630には邪魔板部636が設けられている。この邪魔板部636は、本開示に係る誘導部として機能する。邪魔板部636は、ストレート流路615Aを覆うように、散水部材630の上流側端部に設けられている。
図16に示すように、邪魔板部636には、扇状の開口636Aが軸C周りの周方向に等間隔で複数形成されている。開口636Aは、連通孔513Bと同数形成されている。開口636Aの周縁には仕切部636Bが軸方向に沿って立ち上がっている。
【0086】
散水部材630は、第1筒部631の外周面側において第2外筒部材52に連結されている。これによって、散水部材630は、第2外筒部材52の回転操作に応じて軸C周りに回転する。邪魔板部636は、散水部材630に対して相対移動不能に取り付けられていることから、散水部材630の軸C周りの回転に伴って回転する。これによって、邪魔板部636に形成された複数の開口636Aの軸C周りの位置が変更される。
【0087】
散水部材630は、
図15に示す第1位置と、
図16に示す第2位置との間で、軸C周りに回転自在である。吐水装置610は、散水部材630が第1位置にある状態において、邪魔板部636によって連通孔513Bの下流側が覆われた状態となる。この状態において、吐水装置610は、邪魔板部636に衝突した原水を外周側のシャワー流路616Aに流入させる。これによって、吐水装置610は、原水吐出部614からシャワー状の吐水形態で原水を吐出する。
【0088】
吐水装置610は、散水部材630が
図16に示す第2位置にある状態において、邪魔板部636における複数の開口636Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置と合致した状態となる。吐水装置610は、邪魔板部636における複数の開口636Aの軸C周りの位置が複数の連通孔513Bの軸C周りの位置と合致した場合には、開口636Aを介して、連通孔513Bから噴出する原水を下流側のストレート流路615Aに導入することができる。すなわち、連通孔513Bから噴出する原水は、邪魔板部636によってストレート流路615Aに誘導される。これによって、吐水装置610は、原水吐出部614からストレート状の吐水形態で原水を吐出する。
【0089】
上記構成の吐水装置610は、実施形態1と同様に、利便性と改質水の品質とを確保しつつ、大型化を抑制できる。吐水装置610は、開閉部等を設けることなく、シャワー吐水とストレート吐水との切り替えを行うことができる。このため、吐水装置610は、構成の簡素化を図ることができる。
【0090】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0091】
本開示に係る改質水は、上記各実施形態において例示した浄水に限定されない。改質水は、例えば、アルカリイオン水、炭酸水等であってもよい。
【0092】
本開示に係る吐水装置は、吐水管に対して引出し不能に取り付けられたものであってもよい。吐水装置と吐水管との接続形態は、上記各実施形態に限定されない。吐水装置が取り付けられる吐水管の形状、大きさ等は、特に限定されない。
【0093】
原水吐出部からの吐水形態を切り替える際の切り替え操作の形態は、上記各実施形態に限定されない。
【0094】
吐水装置が誘導部を備えることは必須ではない。
【符号の説明】
【0095】
10,210,310,410,510,610…吐水装置、12…改質水吐出部、14,514,614…原水吐出部、15…第1ストレート吐水部(ストレート吐水部)、15A…第1ストレート流路(ストレート流路)、16,516,616…シャワー吐水部、17…第2ストレート吐水部、17A…第2ストレート流路、18…第1開閉部(開閉部)、19…第2開閉部、20,420,520…管部材、30,230,530,630…散水部材、34A,234A,534A…散水面、34B…散水孔、515,615…ストレート吐水部、515A,615A…ストレート流路、C…軸(管部材の軸)