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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127632
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】防護柵の設置方法及び防護柵
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
E01F15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031432
(22)【出願日】2022-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月8日から令和4年1月31日の期間に滋賀県大津市上田上桐生町地先及び滋賀県甲賀市甲南町地先工事にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000161817
【氏名又は名称】ケイコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】村上 国夫
(72)【発明者】
【氏名】次廣 知之
(72)【発明者】
【氏名】丹野 篤
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101DA02
2D101EA01
2D101EA09
2D101FA13
2D101FB11
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法において、簡易に防護柵の設置工事を行うことのできる防護柵の設置方法及びこの設置方法に使用できる防護柵を提供することである。
【解決手段】コンクリート製防護柵であって埋め戻し部の前記防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有し、上部と下部に分割された防護柵の前記上部を、掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置する工程、前記掘削部となる位置を掘削する工程、前記掘削部に前記防護柵の前記下部を設置する工程、前記掘削部に設置した前記下部の周囲を埋め戻して前記下部を固定する工程、前記上部を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、前記下部の上に移動させる工程、及び前記下部に前記上部を固定する工程、を含む防護柵の設置方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法であって、
前記防護柵は、コンクリート製防護柵であって埋め戻し部の前記防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有し、上部と下部に分割された防護柵であり、
前記防護柵の前記上部を、前記掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置する工程、
前記掘削部となる位置を掘削する工程、
前記掘削部に前記防護柵の前記下部を設置する工程、
前記掘削部に設置した前記下部の周囲を埋め戻して前記下部を固定する工程、
前記上部を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、前記下部の上に移動させる工程、及び
前記下部に前記上部を固定する工程、
を含む防護柵の設置方法。
【請求項2】
上部と下部に分割され、前記上部と前記下部は分離及び一体化できるコンクリート製防護柵であって、
前記上部は、単スロープ型、フロリダ型又は直壁型の仮設防護柵として使用でき、
前記下部は、前記上部と一体となってSC種、SB種、SA種又はSS種の防護柵として使用できる質量を有する請求項1記載の設置方法に使用するための防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法及び前記設置方法に使用するための防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
防護柵を路肩に設置する場合、防護柵の設置個所には舗装やシールコンクリートが施されていないため、防護柵の車両が通行する側(車両が衝突する側)と反対側の根入れ部で車両の衝突に対する滑動抵抗が見込めない。そのため、設置面を掘削し掘削部に防護柵を設置して土砂で埋め戻し、防護柵の自重で滑動抵抗を得る必要がある。例えば、高速道路上で必要なSB種の防護柵を築造し、その設置個所の背面側(車両が通行する側と反対側)が土砂もしくは土砂もない場合に自重で衝突荷重に抵抗するには、約1,300kg/mの質量が必用である。しかし、このような質量物を搬入し設置するには非常に手間とコストがかかる。さらに、既に路側に設置されている既設の防護柵を撤去して、新たに防護柵を設置する場合、(i)既設の防護柵を撤去する前に、通行車両の路外逸脱防止のために仮設防護柵を設置する、(ii)既設防護柵を撤去する、(iii)新たな防護柵を築造する、(iv)仮設防護柵を撤去する、の(i)~(iv)の工程が必要であった。仮設防護柵は、例えばA種防護柵として設置するために必要な質量は約630kg/mであり、仮設防護柵を本設の防護柵として使用することはできない。したがって、仮設防護柵と本設防護柵を別々に用意する必要があり、仮設防護柵にはリース料(又は購入費)、持込み費、設置費、撤去費、持出し費等の別途費用がかかっていた。仮設防護柵を移動させて本設防護柵として使用することも考えられるが、移動させる場所が舗装やシールコンクリートの場合は、移動させた仮設防護柵を舗装やシールコンクリートにアンカーで固定することも考えられるものの、土砂で埋め戻す必要がある場所では固定することは無理であった。特許文献1では、仮設防護柵を移動させて、地盤中に設けたプレキャストコンクリート構造物又は現場打設コンクリート基礎と固定することが記載されているが、移動させた仮設防護柵を単に固定することを意図したものであり、設置個所の背面側が土砂の場合に適用できるものではなかった。このように、従来、路側等の設置した防護柵の背面側が土砂となる場所で、既設の防護柵を簡易に交換できる方法は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5701435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法において、簡易に防護柵の設置工事を行うことのできる防護柵の設置方法及びこの設置方法に使用できる防護柵を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を開始したところ、埋め戻し部の防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有し本設の防護柵として使用できる防護柵を上下に分割し、上部を工事中は仮設防護柵として使用して、下部を防護柵の本来の設置場所に設置し、工事完了時に仮設防護柵として使用した上部を下部に固定することにより、コストを抑えて簡易に防護柵の設置、又は既設防護柵の撤去と新設防護柵の設置を行えることを見いだした。本発明は、こうして完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法であって、前記防護柵は、コンクリート製防護柵であって埋め戻し部の前記防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有し、上部と下部に分割された防護柵であり、前記防護柵の前記上部を、前記掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置する工程、前記掘削部となる位置を掘削する工程、前記掘削部に前記防護柵の前記下部を設置する工程、前記掘削部に設置した前記下部の周囲を埋め戻して前記下部を固定する工程、前記上部を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、前記下部の上に移動させる工程、及び前記下部に前記上部を固定する工程、を含む防護柵の設置方法。
(2)上部と下部に分割され、前記上部と前記下部は分離及び一体化できるコンクリート製防護柵であって、前記上部は、単スロープ型、フロリダ型又は直壁型の仮設防護柵として使用でき、前記下部は、前記上部と一体となってSC種、SB種、SA種又はSS種の防護柵として使用できる質量を有する上記(1)記載の設置方法に使用するための防護柵。
【発明の効果】
【0007】
本発明の防護柵の設置方法によれば、本設防護柵の一部を仮設防護柵として使用できるので、別途に仮設防護柵を用意する必要がなく、さらに路側等の土砂の埋め戻しにより固定せざるを得ない場所でも、車両の衝突に耐えられる防護柵を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の防護柵の一実施形態を示す図である。
図2図2は、本発明の防護柵を設置した状態を示す図である。
図3図3は、本発明の防護柵の設置方法における工程を示す図である。
図4図4は、本発明の防護柵の設置方法における工程を示す図である。
図5図5は、本発明の防護柵の設置方法における工程を示す図である。
図6図6は、本発明の防護柵の設置方法における工程を示す図である。
図7図7は、本発明の防護柵の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の防護柵の設置方法は、路面を掘削して掘削部に防護柵を設置し、前記掘削部を土砂で埋め戻すことにより前記防護柵を固定する防護柵の設置方法であって、前記防護柵は、コンクリート製防護柵であって埋め戻し部の前記防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有し、上部と下部に分割された防護柵であり、(i)前記防護柵の前記上部を、前記掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置する工程、(ii)前記掘削部となる位置を掘削する工程、(iii)前記掘削部に前記防護柵の前記下部を設置する工程、(iv)前記掘削部に設置した前記下部の周囲を埋め戻して前記下部を固定する工程、(v)前記上部を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、前記下部の上に移動させる工程、及び(vi)前記下部に前記上部を固定する工程を含む。本発明の設置方法に使用する防護柵(以下、本発明の防護柵ともいう)は、上部(以下、防護柵上部ともいう)と下部(以下、防護柵下部ともいう)に分割され、最終的に本設防護柵として使用するときには、防護柵上部を防護柵下部の上面に固定することにより一体として使用される。また、本発明の防護柵は、本発明の設置方法における工程中では、分割した状態で使用される。防護柵上部と防護柵下部の固定方法は、一体として防護柵として使用できる程度に固定できる方法であれば特に制限されず、例えば、防護柵上部と防護柵下部を連結ボルトで固定する方法、ボルトの代わりに強力な接着剤で一体化させる方法、下部から鉄筋を出しておき上部下スロープ部にコンクリートを打設して接合する方法等を挙げることができる。本発明の防護柵は、コンクリート製防護柵であって埋め戻し部の防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量を有する。本発明において、「掘削部を土砂で埋め戻すことにより防護柵を固定する」、「埋め戻し部の前記防護柵の背面側が土砂であっても」とは、埋め戻し部の全体が土砂であってもよく、埋め戻し部の上部がコンクリート、アスファルト、砂利等であってもよい。埋め戻し部の上部がコンクリート等であっても、背面側のスペースが狭い等の理由で車両衝突時に十分な滑動抵抗を得られない場合があり、そのような場合でも本発明を使用することができる。防護柵の種別は、「車両用防護柵標準仕様・同解説」(平成16年3月、公益社団法人 日本道路協会)によると表1のように定められている。本発明における埋め戻し部の防護柵の背面側が土砂であっても車両の衝突に耐えられる質量とは、「車両用防護柵標準仕様・同解説」で種別毎に定められている衝突荷重に耐えられる質量のことであり、例えば、上下一体化した防護柵として、長さ50mの場合、SC種では1m当たり800kg、SB種では1m当たり1300kg、SA種は1m当たり2000kg、SS種は1m当たり2600kg程度となる。本発明において防護柵下部は、背面側が土砂であっても十分な滑動抵抗を得る必要がある点から、防護柵全体の20~40%の高さを有することが好ましい。また、防護柵上部の形状は、仮設設置時も本設設置時も「車両用防護柵標準仕様・同解説」で定められている単スロープ型、フロリダ型又は直壁型となる形状とし、防護柵下部の形状は、防護柵上部の底面と同じ幅以上を有し、高さは衝突荷重から定まる滑動抵抗値を背面側根入れ部の土砂で確保できる高さを算出し、それ以上の高さとする。また、本発明の防護柵は、上部(防護柵上部)と下部(防護柵下部)に分割され、上部と下部は分離及び一体化できるコンクリート製防護柵であって、上部は、単スロープ型、フロリダ型又は直壁型の仮設防護柵として使用でき、下部は、上部と一体となってSC種、SB種、SA種又はSS種の防護柵として使用できる質量を有する防護柵であり、上部、下部及び上部と下部が一体となった防護柵が上記の形状及び質量を有することを特徴とする、本発明の防護柵の設置方法に使用できる防護柵、あるいは本発明の防護柵の設置方法に使用するための防護柵である。
【0010】
【表1】
【0011】
本発明の設置方法における工程(i)は、本発明の防護柵の防護柵上部を、掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置する工程である。掘削部となる位置とは、本発明の防護柵を本設の防護柵として設置するために路面を掘削する位置をいう。本発明では、防護柵上部を掘削部となる位置よりも車両通行側に仮設防護柵として設置することにより、工事区間への車両の進入を防ぎ、工事作業員の安全を図ることができる。既設の防護柵があり、これを撤去する必要がある場合には、防護柵上部を既設の防護柵よりも車両通行側に仮設防護柵として設置して、車両の進入を防ぎながら既設防護柵の撤去作業を進めることができる。防護柵上部を仮設防護柵として設置する際、必要に応じて路面の舗装やコンクリートにアンカーボルトで固定してもよい。本発明の設置方法における工程(ii)は、掘削部となる位置を掘削する工程である。工程(ii)では、本発明の防護柵を本設の防護柵として設置する位置を掘削する。本発明の設置方法における工程(iii)は、本発明の防護柵を本設の防護柵として設置するために掘削した掘削部に、防護柵下部を設置する工程である。本発明の設置方法における工程(iv)は、掘削部に設置した防護柵下部の周囲を埋め戻して防護柵下部を固定する工程である。埋め戻しは土砂等により行うことができ、防護柵上部を固定するための防護柵下部の部位が埋まらないように埋め戻して、防護柵下部を土砂中に固定する。本発明の設置方法における工程(v)は、防護柵上部を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、防護柵下部の上に移動させる工程である。本発明の設置方法における工程(vi)は、周囲を埋め戻して固定した防護柵下部に、その上に移動させた防護柵上部を固定して、防護柵上部と防護柵下部を一体化させ本設の防護柵とする工程である。
【0012】
本発明の防護柵の設置方法を図を用いて説明する。図1は、本発明の防護柵の一実施形態を示す図であり、防護柵10を左側面側から見た断面図である。本願明細書においては、防護柵の車両通行側に向く面を正面、その反対の面を背面、正面に向かって左側を左側面、右側を右側面という。防護柵10は防護柵上部11と防護柵下部12に分割され、防護柵上部11が上下連結ボルト15により防護柵下部12に固定されている。防護柵上部11は、フロリダ型の形状をしており、防護柵下部12は、防護柵上部11の底面と同じ幅で同じ長さを有する直方体をしている。防護柵上部11と防護柵下部12との間には、緩衝パッキン13がはさまれている。PC鋼より線孔14は、仮設又は本設防護柵として設置したときにPC鋼より線を通す穴である。図2は、防護柵10を本設防護柵として設置した状態を示す図である。防護柵10は、防護柵下部12が土砂50中に埋まり、防護柵上部11は防護柵下部12に固定されている。また、防護柵下部12は、基礎砕石23、均しコンクリート22及び敷モルタル21の上に設置されている。
【0013】
図3図6は、本発明の防護柵の設置方法を工程ごとに示した図であり、防護柵の左側面から見た断面図として模式的に表した図である。図3は、工程(i)を示す図であり、防護柵上部11を仮設防護柵として設置した状態を示す。図3では、既設ガードレール30が既に設置されているので、既設ガードレール30より車両通行側に、防護柵上部11を仮設防護柵として設置して工事区間への車両の進入を防止した後、既設ガードレール30を撤去する。図4は、工程(ii)を示す図であり、防護柵10を設置する位置を掘削して掘削部40を設けた状態を示す。図5は、工程(iii)及び(iv)を示す図であり、掘削部40に防護柵下部12を設置して、その周囲を土砂50で埋め戻して防護柵下部12を固定した状態を示す図である。図5では、掘削部40に基礎砕石23を敷き、基礎砕石23の上に均しコンクリート22を打設して、その上に敷モルタル21層を設けて、敷モルタル21の上に防護柵下部12を設置し、防護柵下部12の周囲を土砂50で埋め戻している。なお、防護柵下部12は、防護柵上部11を固定するための部位となる上面が埋まらないように土砂で周囲を埋め戻され、背面側は土砂だけで埋め戻され、正面側は土砂で埋め戻した上に舗装されている。図5では、防護柵下部12は、その上面以外は土砂中に埋まるように設置されているが、防護柵下部12の土砂中に埋められる部分の割合は、車両の衝突に対する抵抗が得られるように決定することができる。図6は、工程(v)及び(vi)を示す図であり、防護柵上部11を仮設防護柵として設置した位置から撤去して、防護柵下部12の上に移動させ、防護柵上部11の下面と防護柵下部12の上面とを上下連結ボルト15により固定して一体化し本設の防護柵10としている。
【0014】
図1~6は、防護柵上部がフロリダ型の場合を示しているが、単スロープ型及び直壁型の場合も同様である。図7は、防護柵上部がフロリダ型の変形である場合を示した図である。防護柵70は、防護柵上部71と防護柵下部72とからなり、防護柵上部71は下部の傾斜を緩くしたスロープが正面側(車両通行側)のみに形成され、正面側の前記スロープに対応する背面側は、傾斜が垂直となっている。防護柵上部71の下部の傾斜を緩くしたスロープは、必ずしも両側に必要なわけでなく、車両が衝突する側(正面側)がその形状であればよい。本発明におけるフロリダ型とは、車両が衝突する側(正面側)がフロリダ型の形状を有しているものを意味し、背面側の形状は特に制限されない。防護柵上部の形状は、上下一体となったときに本発明において要求される質量、及び仮設防護柵として使用するときに要求性能を満たす質量であれば、背面側は防護柵70のような形状でもよく、傾斜が変化せず上部から同じ傾斜を有する形状でもよく、鉛直な壁面であってもよい。路側で用いる防護柵は、車両通行側からだけの衝突に対して耐力があればよいので、図7に示すように上下を一体化させるためのボルト結合は、正面側だけでも要求性能を満たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の防護柵の設置方法は、路側、路肩等を掘削して掘削部に防護柵を設置し、掘削部を土砂で埋め戻すことにより防護柵を固定する設置方法において、簡易に防護柵の設置工事を行うことができるので、路側、路肩等の土砂により防護柵を固定する場所での防護柵の設置工事や交換工事等に好適に利用できる。また、本発明の防護柵は、本発明の防護柵の設置方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0016】
10 防護柵
11 防護柵上部
12 防護柵下部
13 緩衝パッキン
14 PC鋼より線孔
15 上下連結ボルト
21 敷モルタル
22 均しコンクリート
23 基礎砕石
30 既設ガードレール
40 掘削部
50 土砂
60 舗装
70 防護柵
71 防護柵上部
72 防護柵下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7