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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127635
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】鍵保管装置及び鍵管理システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20230907BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20230907BHJP
【FI】
E05B19/00 E
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031435
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】520073689
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・アイ・エム
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】池田 時浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】鍵の受け渡しを容易にし、かつ、鍵の使用状況を把握可能にした鍵保管装置及び鍵管理システムを提供する。
【解決手段】賃貸物件に設置され、空き物件の鍵を保管するボックス部を備えた鍵保管ボックス1は、ボックス部に有し各鍵を収納する鍵フック部材35と、鍵フック部材35の収納状態を検出する鍵検出部36と、扉部の施錠及び解錠を行う鍵部材33aと、鍵データを読み取るカメラ31と、カメラ31が読み取った鍵データと許可データ記憶部22に記憶されている許可データとを照合する照合部12と、照合ができた場合に、鍵部材33aを解錠する解錠部13と、解錠部13による解錠の前後における鍵検出部36が検出した鍵フック部材35の収納状態と、カメラ31が読み取った鍵データから特定可能な管理業者IDとを含む鍵使用データを、使用履歴記憶部23に登録する使用履歴登録部15と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産物件に設置され、空き物件の鍵を保管するボックス部を備えた鍵保管装置であって、
前記ボックス部の開口部に有する扉部と、
前記ボックス部に有し、前記空き物件の鍵を収納する鍵収納部と、
前記鍵収納部の収納状態を検出する収納状態検出部と、
前記扉部の施錠及び解錠を行う鍵部材と、
前記鍵部材の解錠を許可する許可情報を記憶する許可情報記憶部と、
鍵情報を読み取る読取部材と、
前記読取部材が読み取った前記鍵情報と、前記許可情報記憶部に記憶されている前記許可情報とを照合し、照合できた場合に前記鍵部材を解錠する解錠手段と、
前記解錠手段による解錠の前後における前記収納状態検出部が検出した前記鍵収納部の収納状態と、前記読取部材が読み取った前記鍵情報から特定可能な使用者に係る情報とを含む鍵使用データを、履歴記憶部に記憶させる履歴記憶手段と、
を備える、鍵保管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵保管装置において、
前記許可情報記憶部は、前記使用者ごとに異なる前記許可情報を記憶する、鍵保管装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鍵保管装置において、
前記読取部材は、コード情報である前記鍵情報を撮影して読み取る撮影装置である、鍵保管装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鍵保管装置において、
日時情報を取得する日時取得手段を備え、
前記履歴記憶手段は、前記解錠手段が解錠した際に前記日時取得手段が取得した前記日時情報をさらに含む前記鍵使用データを前記履歴記憶部に記憶させる、鍵保管装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の鍵保管装置と、
前記鍵保管装置に対して通信可能に接続された情報処理サーバと、
を備えた鍵管理システムであって、
前記鍵保管装置は、前記履歴記憶部に記憶された前記鍵使用データを、通信部を介して前記情報処理サーバに送信する履歴送信手段を備え、
前記情報処理サーバは、前記鍵保管装置から受信した前記鍵使用データを、受信履歴記憶部に記憶させる受信履歴登録手段を備える、鍵管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の鍵管理システムにおいて、
前記情報処理サーバは、
前記許可情報から前記鍵情報を生成する鍵情報生成手段と、
前記鍵情報生成手段が生成した前記鍵情報を、所定の携帯端末に送信する鍵情報送信手段と、
を備える、鍵管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の鍵管理システムにおいて、
前記情報処理サーバは、新たな許可情報を生成する許可情報生成手段を備え、
前記鍵情報生成手段は、前記新たな許可情報から前記鍵情報を生成し、
前記鍵情報送信手段は、前記鍵情報生成手段が生成した前記鍵情報を、前記所定の携帯端末に送信する、鍵管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の鍵管理システムにおいて、
前記情報処理サーバは、前記許可情報生成手段が生成した前記新たな許可情報を、前記鍵保管装置に送信する許可情報送信手段を備え、
前記鍵保管装置は、
前記通信部を介して前記新たな許可情報を受信する許可情報受信手段と、
前記許可情報記憶部に記憶された対応する前記許可情報を、前記許可情報受信手段が受信した前記新たな許可情報に書き換える情報書換手段と、
を備える、鍵管理システム。
【請求項9】
請求項5から請求項8までのいずれかに記載の鍵管理システムにおいて、
前記情報処理サーバは、
前記空き物件のオーナが使用する端末から前記空き物件の鍵の使用状況に係る照会データを受信する照会受信手段と、
前記照会受信手段が受信した前記照会データに基づいて、前記受信履歴記憶部を参照して照会結果データを生成し、前記端末に送信する照会処理手段と、
を備える、鍵管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵保管装置及び鍵管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産投資等のために不動産を保有するオーナの間では、オーナが保有する賃貸物件の管理を、管理業者に委託することが行われている。オーナが賃貸物件の利用による収入を得るために、賃貸物件は、常に満室状態にしておくことが望ましい。しかし、賃貸物件に空きが発生する場合があり、その際には、管理業者が、オーナに代わって空き物件を紹介して利用を促進することが行われている。
オーナは、例えば、空き物件のままである場合に、空き物件を早く解消したいために、空き物件の紹介依頼を、他の管理業者を含む複数の管理業者に対して行うことがある。各管理業者では、入居希望者に空き物件を紹介する場合に当該空き物件を内覧することを行うが、その際に、当該空き物件の鍵の受け渡しが問題になる。
【0003】
このような鍵の受け渡しに関するものとして、例えば、「顧客が内覧を希望する集合住宅に設置され、前記集合住宅における空室の鍵が収容されて施錠され、他の鍵収容装置と識別するための第1識別情報が付与された鍵収容装置と、前記集合住宅を顧客に紹介する仲介業者が携帯する第1端末装置と、前記集合住宅を管理する管理会社等に設置された制御装置と、前記集合住宅を所有する所有者が操作する第2端末装置と、を備え、前記鍵収容装置は、鍵の取り出し又は鍵の収納のための解錠を操作し、錠の状態を状態通知情報として前記第1端末装置に通知する錠操作手段と、前記第1端末装置から前記第1識別情報が指定された解錠通知を受信すると、前記錠操作手段に解錠を指示する錠制御手段とを備え、前記第1端末装置は、前記第1識別情報を読み取る読取手段と、他の仲介業者と識別するための第2識別情報と共に、前記読取手段より読み取った前記第1識別情報を、前記制御装置へ要求通知として送信して、前記鍵収容装置の解錠を要求する要求手段と、前記制御装置からの解錠許可を受信すると、前記第1識別情報と共に、前記鍵収容装置に解錠通知を送信する許可通知手段と、前記鍵収容装置からの状態通知情報を前記制御装置に通知する状態通知手段とを備え、前記制御装置は、前記第1端末装置からの要求通知に基づいて、前記第1端末装置に解錠許可を通知する判定手段と、前記第1端末装置からの状態通知情報に前記第1識別情報及び前記第2識別情報を関連付けて鍵使用履歴情報として記憶手段に格納する履歴処理手段とを備え、前記第2端末装置は、前記制御装置に鍵使用履歴情報の閲覧を要求し、前記制御装置からの鍵使用履歴情報を表示手段に表示する閲覧手段を備えた鍵管理システム。」が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-141331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものは、鍵収容装置の解錠が管理されており、具体的には、1回の内覧において2回の解錠があることを管理している。しかし、この仕組みだけでは、鍵の収納を忘れた場合に、いつ、誰が収納を忘れたのかがすぐに把握できない。
【0006】
本発明は、鍵の受け渡しを容易にし、かつ、鍵の使用状況を把握可能にした鍵保管装置及び鍵管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、不動産物件に設置され、空き物件の鍵を保管するボックス部を備えた鍵保管装置であって、前記ボックス部の開口部に有する扉部と、前記ボックス部に有し、前記空き物件の鍵を収納する鍵収納部と、前記鍵収納部の収納状態を検出する収納状態検出部と、前記扉部の施錠及び解錠を行う鍵部材と、前記鍵部材の解錠を許可する許可情報を記憶する許可情報記憶部と、鍵情報を読み取る読取部材と、前記読取部材が読み取った前記鍵情報と、前記許可情報記憶部に記憶されている前記許可情報とを照合し、照合できた場合に前記鍵部材を解錠する解錠手段と、前記解錠手段による解錠の前後における前記収納状態検出部が検出した前記鍵収納部の収納状態と、前記読取部材が読み取った前記鍵情報から特定可能な使用者に係る情報とを含む鍵使用データを、履歴記憶部に記憶させる履歴記憶手段と、を備える、鍵保管装置に関する。
【0008】
また、鍵保管装置において、前記許可情報記憶部は、前記使用者ごとに異なる前記許可情報を記憶してもよい。
【0009】
また、鍵保管装置において、前記読取部材は、コード情報である前記鍵情報を撮影して読み取る撮影装置であってもよい。
【0010】
また、鍵保管装置において、日時情報を取得する日時取得手段を備え、前記履歴記憶手段は、前記解錠手段が解錠した際に前記日時取得手段が取得した前記日時情報をさらに含む前記鍵使用データを前記履歴記憶部に記憶させてもよい。
【0011】
また、本発明は、上記の鍵保管装置と、前記鍵保管装置に対して通信可能に接続された情報処理サーバと、を備えた鍵管理システムであって、前記鍵保管装置は、前記履歴記憶部に記憶された前記鍵使用データを、通信部を介して前記情報処理サーバに送信する履歴送信手段を備え、前記情報処理サーバは、前記鍵保管装置から受信した前記鍵使用データを、受信履歴記憶部に記憶させる受信履歴登録手段を備える、鍵管理システムに関する。
【0012】
また、鍵管理システムにおいて、前記情報処理サーバは、前記許可情報から前記鍵情報を生成する鍵情報生成手段と、前記鍵情報生成手段が生成した前記鍵情報を、所定の携帯端末に送信する鍵情報送信手段と、を備えてもよい。
【0013】
また、鍵管理システムにおいて、前記情報処理サーバは、新たな許可情報を生成する許可情報生成手段を備え、前記鍵情報生成手段は、前記新たな許可情報から前記鍵情報を生成し、前記鍵情報送信手段は、前記鍵情報生成手段が生成した前記鍵情報を、前記所定の携帯端末に送信してもよい。
【0014】
また、鍵管理システムにおいて、前記情報処理サーバは、前記許可情報生成手段が生成した前記新たな許可情報を、前記鍵保管装置に送信する許可情報送信手段を備え、前記鍵保管装置は、前記通信部を介して前記新たな許可情報を受信する許可情報受信手段と、前記許可情報記憶部に記憶された対応する前記許可情報を、前記許可情報受信手段が受信した前記新たな許可情報に書き換える情報書換手段と、を備えてもよい。
【0015】
また、鍵管理システムにおいて、前記情報処理サーバは、前記空き物件のオーナが使用する端末から前記空き物件の鍵の使用状況に係る照会データを受信する照会受信手段と、前記照会受信手段が受信した前記照会データに基づいて、前記受信履歴記憶部を参照して照会結果データを生成し、前記端末に送信する照会処理手段と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鍵の受け渡しを容易にし、かつ、鍵の使用状況を把握可能にした鍵保管装置及び鍵管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る鍵管理システムの全体構成図である。
図2】本実施形態に係る鍵保管ボックスの説明図である。
図3】本実施形態に係る鍵保管ボックスの機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係る鍵管理サーバ及び携帯端末の機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係る鍵管理サーバの記憶部の例を示す図である。
図6】本実施形態に係る鍵管理システムの事前処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る鍵管理システムのメイン処理を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る携帯端末の表示例及び携帯端末を用いた鍵保管ボックスの使用例を示す図である。
図9】本実施形態に係る鍵管理システムの鍵データ更新処理を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る鍵管理システムの使用状況照会処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
〔鍵管理システム100の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る鍵管理システム100の全体構成図である。
鍵管理システム100は、例えば、賃貸利用をする不動産物件である賃貸物件RP-A,RP-B,・・・に設置された鍵保管ボックス1-A,1-B,・・・に関するシステムである。以下の説明において、各鍵保管ボックス1-A,1-B,・・・を特定しない場合には、単に、鍵保管ボックス1(鍵保管装置)という。賃貸物件RPについても、同様である。
【0019】
鍵保管ボックス1は、賃貸物件RPの1以上の空き部屋(空き物件)の鍵を保管している。鍵管理システム100は、オーナから空き部屋の管理を委託された、例えば、管理業者の社員等が、鍵保管ボックス1から鍵を取り出すために鍵保管ボックス1の解錠に用いる鍵データの管理を行う。ここで、管理業者の社員等は、例えば、携帯端末6を用いて鍵保管ボックス1を解錠する。また、以降の説明において、鍵保管ボックス1を用いて空き部屋の鍵を取り出したり、返却したりする管理業者の社員等を、ユーザという。また、鍵管理システム100は、オーナが、自身の所有する空き部屋の鍵の使用状況を確認するための機能を有する。
【0020】
図1に示す鍵管理システム100は、賃貸物件RPに設置された鍵保管ボックス1と、鍵管理サーバ4(情報処理サーバ)と、携帯端末6と、オーナ端末8(端末)とを備える。
また、鍵保管ボックス1と鍵管理サーバ4との間、並びに、鍵管理サーバ4と携帯端末6及びオーナ端末8との間は、それぞれデータ通信網Nによってデータ通信が可能になっている。データ通信網Nは、例えば、インターネット回線や携帯端末通信網等である。なお、データ通信網Nは、これに限定するものではなく、その他の通信回線を用いてもよいし、有線通信であるか無線通信であるかを問わない。
【0021】
〔鍵保管ボックス1〕
次に、鍵保管ボックス1について説明する。
図2は、本実施形態に係る鍵保管ボックス1の説明図である。
図3は、本実施形態に係る鍵保管ボックス1の機能ブロック図である。
鍵保管ボックス1は、賃貸物件RP内の1つ以上の空き部屋の鍵を収納するボックス型の装置であり、例えば、賃貸物件RPの共用部の壁等に取り付けられる。
図2(A)に示すように、鍵保管ボックス1は、扉部30を備え、鍵保管ボックス1の内部であるボックス部34と外部とを扉部30により隔てている。扉部30には、ボックス部34側とは反対側である外面に、カメラ31(読取部材)と、スイッチ32と、取手部材33とを有する。
【0022】
カメラ31は、撮影装置である。カメラ31は、後述するが、携帯端末6に表示されたQRコード(登録商標)に代表される二次元コード(鍵情報)を読み取る際に使用される。
スイッチ32は、カメラ31を起動させるための操作ボタンである。
取手部材33は、扉部30を開放するためにユーザがつまむ部材である。
また、図2(B)に示すように、鍵保管ボックス1は、扉部30を開放することで、ボックス部34が露出する。ボックス部34には、複数の鍵フック部材35(鍵収納部)を有する。鍵フック部材35に鍵71をかけることで、鍵フック部材35に対応する後述する鍵検出部36(収納状態検出部)(図3参照)は、鍵71が収納されていることを検出する。また、鍵フック部材35にかかっていた鍵71が取り出されることで、鍵フック部材35に対応する鍵検出部36は、鍵71が収納されていないことを検出する。
【0023】
鍵71は、各空き部屋の鍵であり、それぞれ形状等が異なる。なお、図示していないが、鍵71と、鍵71に対応する鍵フック部材35の近傍との両方に、当該鍵71で解錠可能な空き部屋の部屋番号等が記載されていることが望ましい。
鍵保管ボックス1は、扉部30の内側に鍵部材33aを有し、扉部30を閉じた際に鍵部材33aに対応する位置に、鍵受け部材33bを有する。なお、図2(B)に示す鍵部材33a及び鍵受け部材33bの形状は、一例であって、他の形状のものであってもよい。また、鍵部材33aは、例えば、電子錠であってもよい。
【0024】
ここでは、鍵保管ボックス1のボックス部34は、鍵フック部材35によって鍵71を収納するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、鍵71を入れる小さなボックスが並んで配置されたもの等であってもよく、鍵71が収納されているか否かを、後述する鍵検出部36が検出できるものであれば、形状や仕様等は限定されない。
さらに、鍵保管ボックス1は、扉部30の開閉状態を検出する検出部を備えてもよい。そうすることで、扉部30が開放後に閉じられた場合に、検出部による検出に基づいて鍵部材33aを施錠することができる。
【0025】
次に、鍵保管ボックス1の機能ブロックについて説明する。
図3に示すように、鍵保管ボックス1は、上記したカメラ31と、スイッチ32と、鍵部材33aとの他に、制御部10と、記憶部20と、電源供給部28と、データ通信IF(インタフェース)29(通信部)と、鍵検出部36とを備える。
制御部10は、鍵保管ボックス1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部20に記憶されているプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0026】
制御部10の各機能を説明する前に、記憶部20について説明する。
記憶部20は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部20は、プログラム記憶部21と、許可データ記憶部22(許可情報記憶部)と、使用履歴記憶部23(履歴記憶部)とを備える。
プログラム記憶部21は、次に説明する制御部10が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶する記憶領域である。
【0027】
許可データ記憶部22は、鍵部材33aの解錠を許可する許可データ(許可情報)を記憶する記憶領域である。許可データは、鍵データとの照合に用いる照合キーである。また、許可データは、例えば、管理業者ごとに異なり、定期的に、又は、不定期で更新されるデータである。許可データ記憶部22には、鍵保管ボックス1が設置された賃貸物件RPを管理する管理業者の許可データが記憶されている。よって、鍵保管ボックス1ごとに、許可データ記憶部22に記憶される許可データが異なる。また、許可データ記憶部22に記憶される許可データは、1つ以上である。例えば、複数の管理業者が賃貸物件RPを管理する場合、許可データ記憶部22には、当該賃貸物件RPを管理する複数の管理業者の許可データが記憶される。
【0028】
使用履歴記憶部23は、鍵保管ボックス1の使用に係る鍵使用データを記憶する記憶領域である。使用履歴記憶部23は、例えば、鍵の収納状態を含む鍵状態に係る情報と、鍵データから特定される管理業者を識別する管理業者ID(IDentification)と、日時とを対応付けて記憶する。鍵状態に係る情報は、例えば、鍵の収納位置と、鍵の収納有無とに関する情報を含む。
なお、記憶部20に記憶されているものは、一例である。他のデータを記憶していてもよい。例えば、記憶部20は、鍵保管ボックス1を識別する鍵保管装置IDを記憶していてもよい。
【0029】
次に、制御部10について説明する。
制御部10は、鍵データ受付部11と、照合部12と、解錠部13(解錠手段)と、日時取得部14(日時取得手段)と、使用履歴登録部15(履歴記憶手段)と、使用履歴送信処理部16(履歴送信手段)と、許可データ受信部17(許可情報受信手段)と、許可データ書換部18(情報書換手段)とを備える。
【0030】
鍵データ受付部11は、カメラ31を介して鍵データを受け付ける。
照合部12は、鍵データ受付部11が受け付けた鍵データと、許可データ記憶部22に記憶されている許可データとを照合し、鍵データに一致する許可データがあるか否かを判定する。
解錠部13は、照合部12による照合ができた場合に、鍵保管ボックス1を解錠する。より具体的には、解錠部13は、鍵保管ボックス1に設けられた鍵部材33aを解錠するように制御する。
【0031】
日時取得部14は、日時情報を取得する。日時取得部14は、例えば、日時を含む電波時計の電波を受信して、日時を取得してもよいし、鍵保管ボックス1の内部に時計装置(図示せず)を設け、この時計装置から出力された日時情報を用いてもよい。
使用履歴登録部15は、鍵部材33a(図2参照)の解錠の前後において鍵検出部36が検出した鍵の収納状態を含む鍵状態に係る情報と、鍵データ受付部11が受け付けた鍵データ特定される管理業者の管理業者IDと、日時取得部14が取得した日時とを含む鍵使用データを生成し、使用履歴記憶部23に記憶させる。ここで、鍵状態に係る情報は、例えば、解錠の前後において鍵の収納有無に変化のあった鍵の収納位置と、鍵の収納有無とに関する情報であってもよい。
【0032】
使用履歴送信処理部16は、使用履歴記憶部23に記憶された鍵使用データを、鍵管理サーバ4に送信する。使用履歴送信処理部16は、例えば、日次や週次、月次といった、予め決められたタイミングで、鍵使用データを鍵管理サーバ4に送信してもよい。また、使用履歴送信処理部16は、使用履歴記憶部23に記憶されている鍵使用データの量が所定量以上になった場合に、鍵使用データを鍵管理サーバ4に送信してもよい。さらに、使用履歴送信処理部16は、使用履歴記憶部23に記憶したら随時鍵使用データを鍵管理サーバ4に送信してもよい。
そして、使用履歴送信処理部16は、鍵使用データを鍵管理サーバ4に送信した後に、使用履歴記憶部23に記憶された鍵使用データを消去してもよい。
【0033】
許可データ受信部17は、鍵管理サーバ4から新たな許可データを受信する。
許可データ書換部18は、許可データ記憶部22に記憶されている許可データを、許可データ受信部17により受信した新たな許可データに書き換える。
なお、許可データ記憶部22に複数の管理業者の許可データが記憶されている場合には、許可データ受信部17がそれらの複数の管理業者の許可データを受信し、許可データ書換部18が、受信した複数の管理業者の許可データを用いて全てを書き換えてもよい。また、許可データ受信部17が新たな許可データのみを受信し、許可データ書換部18が、受信した管理業者の許可データのみを書き換えてもよい。なお、管理業者が増えた場合や、減った場合等、管理業者の変更があった場合には、許可データを全て書き換えることが望ましい。
【0034】
電源供給部28は、鍵保管ボックス1に電力を供給するためのものである。電源供給部28は、例えば、電池等であってもよい。
データ通信IF29は、データ通信網Nを介して鍵管理サーバ4との間で通信を行うためのインタフェースである。
鍵検出部36は、例えば、フック形状の鍵フック部材35に連携した検出装置である。鍵検出部36は、鍵の収納の有無を検出する、例えば、重量センサである。鍵検出部36は、検出した重量により、鍵が収納されている状態か、又は、鍵が取り出されている状態か、といった鍵の収納状態を検出する。
【0035】
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、鍵保管ボックス1は、制御部10、記憶部20等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
【0036】
〔鍵管理サーバ4〕
次に、鍵管理サーバ4について説明する。
図4は、本実施形態に係る鍵管理サーバ4及び携帯端末6の機能ブロック図である。
図5は、本実施形態に係る鍵管理サーバ4の記憶部50の例を示す図である。
鍵管理サーバ4は、鍵管理システム100を運営する、例えば、不動産のオーナが利用するサイト等の運営企業に設置され、運営企業が運営するサーバである。鍵管理サーバ4は、各賃貸物件RPに設置された各鍵保管ボックス1と、鍵保管ボックス1に収納された空き部屋の鍵とを管理する。
【0037】
図4(A)に示すように、鍵管理サーバ4は、制御部40と、記憶部50と、データ通信IF59とを備える。
制御部40は、鍵管理サーバ4の全体を制御するCPUである。制御部40は、記憶部50に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0038】
制御部40の各機能を説明する前に、記憶部50について説明する。
記憶部50は、制御部40が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部50は、プログラム記憶部51と、物件情報記憶部52と、許可データ記憶部53と、鍵保管情報記憶部54と、受信履歴記憶部55とを備える。
プログラム記憶部51は、次に説明する制御部40が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶する記憶領域である。
【0039】
物件情報記憶部52は、賃貸物件RPに係る物件情報を記憶する記憶領域である。
図5(A)に、物件情報記憶部52の各項目を例示する。
物件情報記憶部52は、物件IDと、物件名と、オーナIDと、鍵保管装置IDと、管理業者IDとの各項目を有する。
物件IDは、賃貸物件RPを識別する識別情報である。
物件名は、物件IDで特定される賃貸物件RPの物件名である。
オーナIDは、物件のオーナを識別する識別情報である。
鍵保管装置IDは、賃貸物件RPに設置された鍵保管ボックス1を識別する識別情報である。基本的に、1つの物件IDには、1つの鍵保管装置IDが対応付けられる。
管理業者IDは、物件IDが示す物件を管理する管理業者を識別する識別情報である。1つの物件IDには、1つ以上の管理業者IDが対応付けられる。
なお、物件情報記憶部52は、その他、賃貸物件RPの住所等の各種情報を有してもよい。
【0040】
許可データ記憶部53は、許可データを記憶する記憶装置である。許可データ記憶部53に記憶される許可データは、鍵保管ボックス1に送信され、許可データ記憶部22(図3参照)に記憶される。
図5(B)に、許可データ記憶部53の各項目を例示する。
許可データ記憶部53は、管理業者IDと、許可データと、生成日時と、ステータスとの各項目を有する。
管理業者IDは、管理業者を識別する識別情報である。
許可データは、鍵保管ボックス1を解錠するために、鍵保管ボックス1に記憶される照合用データである。
生成日時は、許可データを生成した日時である。
ステータスは、許可データに関する各種の状態を示す。ステータスは、許可データから鍵データを生成したか否かを示す。また、ステータスは、管理業者IDが示す管理業者の社員であるユーザの携帯端末6に、生成した鍵データを送信したか否かを示す。さらに、ステータスは、許可データを鍵保管ボックス1に送信したか否かを示す。
【0041】
鍵保管情報記憶部54は、鍵保管ボックス1に係る情報を記憶する記憶領域である。
図5(C)に、鍵保管情報記憶部54の各項目を例示する。
鍵保管情報記憶部54は、鍵保管装置IDと、収納位置と、部屋番号と、鍵番号との各項目を有する。
鍵保管装置IDは、鍵保管ボックス1を識別する識別情報である。
収納位置は、鍵保管ボックス1で鍵を収納する位置を示す情報である。収納位置は、鍵フック部材35の位置を示すものであってもよい。
部屋番号は、鍵保管ボックス1が設置された賃貸物件RPの空き部屋の部屋番号である。
鍵番号は、鍵保管ボックス1に収納される空き部屋の鍵71を識別する識別情報である。
鍵保管情報記憶部54は、鍵保管装置IDに対して1つ以上の収納位置が対応付けられ、各収納位置には、各部屋番号が対応付けられ、各部屋番号には、1つの鍵番号が対応付けられる。
【0042】
受信履歴記憶部55は、鍵保管ボックス1から受信した鍵使用データを記憶する記憶領域である。
図5(D)に、受信履歴記憶部55の各項目を例示する。
受信履歴記憶部55は、受信日時と、鍵保管装置IDと、鍵使用データとの各項目を有する。
受信日時は、鍵使用データを受信した日時である。
鍵保管装置IDは、鍵保管ボックス1を識別する識別情報である。
鍵使用データは、鍵保管ボックス1から受信した鍵使用データそのものである。
なお、記憶部50に記憶されているものは、一例である。他のデータを記憶していてもよい。また、記憶部50に記憶されている各記憶部の項目は、一例である。例えば、後述する鍵管理システム100を利用するユーザの情報を記憶してもよい。
【0043】
次に、鍵管理サーバ4の制御部40について説明する。
図4(A)に示す制御部40は、使用履歴受信部41と、受信履歴登録部42(受信履歴登録手段)と、許可データ生成部43(許可情報生成手段)と、許可データ送信部44(許可情報送信手段)と、鍵データ生成部45(鍵情報生成手段)と、鍵データ送信部46(鍵情報送信手段)と、履歴照会処理部47(照会受信手段、照会処理手段)とを備える。
使用履歴受信部41は、鍵保管ボックス1から鍵使用データを受信する。
受信履歴登録部42は、使用履歴受信部41が受信した鍵使用データを、受信履歴記憶部55に登録する。その際、受信履歴登録部42は、受信した鍵使用データに対して、鍵保管装置IDを付与した上で、受信履歴記憶部55に登録する。
【0044】
許可データ生成部43は、新たな許可データを生成する。許可データ生成部43は、例えば、3ヶ月おき等の定期的なタイミングで、新たな許可データを生成してもよい。また、許可データ生成部43は、例えば、管理業者からの依頼を受けて、新たな許可データを生成してもよい。
許可データ送信部44は、物件情報記憶部52を参照して、許可データ生成部43が生成した新たな許可データを、当該許可データに対応する管理業者が管理する賃貸物件RPの鍵保管ボックス1に対して送信する。
【0045】
鍵データ生成部45は、許可データ生成部43が生成した新たな許可データから鍵データを生成する。鍵データは、例えば、許可データを含むデータを二次元コードにしたものである。
鍵データ送信部46は、鍵データ生成部45が生成した鍵データを、ユーザの携帯端末6に送信する。
履歴照会処理部47は、オーナ端末8から空き物件の鍵の使用状況に係る照会データを受信する。また、履歴照会処理部47は、照会データに基づいて、受信履歴記憶部55を参照して照会結果データを生成し、オーナ端末8に送信する。
データ通信IF59は、データ通信網Nを介して鍵保管ボックス1や携帯端末6との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0046】
〔携帯端末6〕
次に、携帯端末6について説明する。
図1に示す携帯端末6は、管理業者の社員等であるユーザが携行する端末である。携帯端末6は、例えば、一般的なコンピュータの機能と電話機能とを有した端末であり、一般的なスマートフォン、タブレット等であってよい。
図4(B)に示すように、携帯端末6は、制御部60と、記憶部65と、タッチパネル67と、データ通信IF69とを備える。
制御部60は、携帯端末6の全体を制御するCPUである。制御部60は、記憶部65に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0047】
制御部60は、鍵データ要求部61と、鍵データ受信処理部62と、鍵データ出力部63とを備える。
鍵データ要求部61は、ユーザが、賃貸物件RPに行く前等、事前に鍵管理サーバ4に対して鍵データを要求する。
鍵データ受信処理部62は、鍵管理サーバ4から鍵データを受信する。そして、鍵データ受信処理部62は、受信した鍵データを、記憶部65に記憶させる。
鍵データ出力部63は、タッチパネル67に、記憶部65に記憶させた鍵データを出力させる。
【0048】
記憶部65は、制御部60が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部65は、上記した鍵データの他、携帯端末プログラム66を備える。携帯端末プログラム66は、上述した制御部60が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。ユーザは、鍵管理システム100を利用する場合に、例えば、携帯端末プログラム66を予め携帯端末6にインストールしておく。
タッチパネル67は、ユーザによるタッチ操作を受け付ける入力部としての機能と、液晶パネル等で構成される表示部としての機能とを有する。
データ通信IF69は、データ通信網Nを介して鍵管理サーバ4との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0049】
〔オーナ端末8〕
次に、オーナ端末8について説明する。
図1に示すオーナ端末8は、賃貸物件RPのオーナが使用する端末である。図1では、オーナ端末8を、スマートフォン又はタブレットとして例示しているが、これに限定されない。オーナ端末8は、PC(パーソナルコンピュータ)等であってもよい。
図示しないが、オーナ端末8は、制御部と、記憶部と、入力部と、表示部と、データ通信IFとを備える。
【0050】
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、鍵管理サーバ4、携帯端末6及びオーナ端末8は、それぞれ制御部、記憶部等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
【0051】
〔処理の説明〕
次に、鍵保管ボックス1を用いた鍵管理を行うための事前処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る鍵管理システム100の事前処理を示すフローチャートである。
まず、運営企業は、管理したい賃貸物件RPに鍵保管ボックス1を設置する。また、運営企業は、設置した鍵保管ボックス1に空き部屋の鍵を収納する。
次に、運営企業は、例えば、図示しない鍵管理サーバ4に接続された端末を用いて、鍵管理サーバ4の物件情報記憶部52に、当該賃貸物件RPに関する情報を登録する。また、運営企業は、鍵保管情報記憶部54に、鍵保管ボックス1が設置された賃貸物件RPの空き部屋の部屋番号及び鍵保管ボックス1に収納する鍵についての情報を登録する。
【0052】
その後、運営企業は、例えば、図示しない鍵管理サーバ4に接続された端末から許可データの生成を指示することで、図6のステップS(以下、「ステップS」を、単に「S」という。)11において、鍵管理サーバ4の制御部40(許可データ生成部43)は、管理業者ごとに許可データを生成し、許可データ記憶部53に生成した許可データを記憶させる。
【0053】
S12において、制御部40(許可データ送信部44)は、物件情報記憶部52を参照し、対象物件である賃貸物件RPの鍵保管ボックス1に対して、生成した許可データを送信する。例えば、賃貸物件RP-Aを管理業者Xのみが管理している場合には、制御部40は、管理業者Xに対応した許可データを、賃貸物件RP-Aの鍵保管ボックス1-Aに送信する。また、例えば、賃貸物件RP-Bを管理業者XとYとが管理している場合には、制御部40は、管理業者Xに対応した許可データと、管理業者Yに対応した許可データとを、賃貸物件RP-Bの鍵保管ボックス1-Bに送信する。
【0054】
S13において、鍵保管ボックス1の制御部10(許可データ受信部17)は、許可データを受信したことに応じて、許可データ記憶部22に、受信した許可データを記憶させる。その後、鍵保管ボックス1の制御部10は、本処理を終了する。
S14において、鍵管理サーバ4の制御部40(鍵データ生成部45)は、許可データから鍵データを生成する。
S15において、制御部40(鍵データ送信部46)は、生成した鍵データを、生成元の許可データ対応する管理業者のユーザの携帯端末6に送信する。
【0055】
S16において、制御部40は、許可データ記憶部53のステータスを更新する。更新したステータスは、(1)許可データから鍵データを生成済であり、(2)管理業者IDが示す管理業者の社員であるユーザの携帯端末6に、生成した鍵データを送信済であり、(3)許可データを鍵保管ボックス1に送信済である、ことを示す。その後、鍵管理サーバ4の制御部40は、本処理を終了する。
S17において、携帯端末6の制御部60(鍵データ受信処理部62)は、鍵管理サーバ4から鍵データを受信したことに応じて、受信した鍵データを記憶部65に記憶させる。その後、携帯端末6の制御部60は、本処理を終了する。
【0056】
鍵管理システム100は、このように、鍵管理サーバ4を中心にした許可データ及び鍵データの処理によって、鍵保管ボックス1には、鍵保管ボックス1を使用する管理業者の許可データのみを記憶させることができる。また、管理業者の携帯端末6には、許可データに対応した鍵データを記憶させることができる。
これにより、ユーザが賃貸物件RPの内覧をする場合に、携帯端末6を所持して、鍵保管ボックス1に携帯端末6に保存された鍵データを用いれば、鍵保管ボックス1を解錠することができるようになる。
【0057】
次に、鍵データを使用した処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る鍵管理システム100のメイン処理を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態に係る携帯端末6の表示例及び携帯端末6を用いた鍵保管ボックス1の使用例を示す図である。
鍵データを使用する場合、携帯端末6を所持したユーザは、鍵保管ボックス1の前で鍵保管ボックス1を解錠するための作業を行う。
【0058】
ユーザが、鍵保管ボックス1のスイッチ32を、例えば、指等で押すことで、図7のS31において、鍵保管ボックス1の制御部10は、スイッチ32の操作を受け付ける。
S32において、鍵保管ボックス1の制御部10は、カメラ31を起動させる。
そして、ユーザは、自身が携行する携帯端末6を操作して携帯端末プログラム66を起動することで、携帯端末6の制御部60(鍵データ出力部63)は、記憶部65に記憶させた鍵データを、タッチパネル67に表示させる。
【0059】
図8(A)は、携帯端末6のタッチパネル67に表示された鍵画面75の例である。鍵画面75は、二次元コード75aを含む。二次元コード75aは、記憶部65に記憶された鍵データである。
ユーザは、図8(B)に示すように、カメラ31に鍵画面75が表示された携帯端末6を読み取らせるように、携帯端末6のタッチパネル67の面を、カメラ31の撮影方向に向ける。
そうすることで、図7のS33において、鍵保管ボックス1の制御部10(鍵データ受付部11)は、鍵データを取得する。なお、鍵データを取得できた場合には、例えば、鍵保管ボックス1の制御部10は、鍵データが取得できたことを示す音や光等を出力して、ユーザに報知してもよい。
【0060】
S34において、制御部10(照合部12)は、取得した鍵データと、許可データ記憶部22に記憶されている許可データとを照合する。
S35において、制御部10(照合部12)は、照合ができたか否かを判断する。照合ができた場合(S35:YES)には、制御部10は、処理をS36に移す。他方、照合ができなかった場合(S35:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。つまり、照合ができなかった場合は、携帯端末6から取得した鍵データが、異なるものである。そのため、鍵保管ボックス1は、鍵部材33aを解錠することがなく、鍵71を取り出せない。なお、照合ができなかった場合にも、例えば、鍵保管ボックス1の制御部10は、鍵データが不正であることを示す音や光等を出力して、ユーザに報知してもよい。
【0061】
S36において、制御部10(解錠部13)は、鍵部材33aを解錠する。そうすることで、ユーザは、取手部材33をつまんで扉部30を開放することができる。
S37において、制御部10(日時取得部14、使用履歴登録部15)は、解錠前後における鍵検出部36による鍵使用データを生成し、使用履歴記憶部23に鍵使用データを登録する。
S38において、制御部10は、扉部30が閉じられた場合に、鍵部材33aを施錠する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0062】
このような処理によって、鍵保管ボックス1は、許可データ記憶部22に記憶された許可データに一致する鍵データを有している者のみが、鍵保管ボックス1を解錠して、中から鍵71を取り出すことができる。また、解錠前後における鍵検出部36による鍵の収納状態を含む鍵使用データを生成して使用履歴記憶部23に登録するので、鍵71の取り出し状態等を履歴として記憶させることができる。
【0063】
なお、鍵保管ボックス1の制御部10は、使用履歴記憶部23に記憶された鍵使用データは、適宜のタイミングで、鍵管理サーバ4に送信する。そうすると、鍵管理サーバ4の制御部40(使用履歴受信部41、受信履歴登録部42)は、鍵使用データを受信して、受信履歴記憶部55に登録する。そうすることで、鍵管理サーバ4では、様々な賃貸物件RPに設置した鍵保管ボックス1から送信された鍵使用データを一元的に管理ができ、後から鍵使用データを確認することで、使用状況を把握できる。
【0064】
次に、鍵データの更新について説明する。
鍵データの更新は、例えば、管理業者のユーザが退職した場合等に、当該ユーザが退職後にも鍵データを使用して鍵保管ボックス1を解錠するのを防ぐために行う。
図9は、本実施形態に係る鍵管理システム100の鍵データ更新処理を示すフローチャートである。
【0065】
例えば、管理業者の管理者は、例えば、鍵管理システム100が提供する図示しない管理画面等から鍵データの変更依頼をすることで、図9のS51において、携帯端末6の制御部60(鍵データ要求部61)は、鍵データの変更依頼を、鍵管理サーバ4に送信する。
鍵データの変更依頼を受信した鍵管理サーバ4は、S52において、制御部40(許可データ生成部43)は、依頼のあった管理業者についての許可データを生成する。そして、制御部40は、許可データ記憶部53の該当の管理業者の許可データを、生成した許可データに更新する。
S53において、制御部40(鍵データ生成部45)は、S52の処理で生成した許可データから鍵データを生成する。
S54において、制御部40(鍵データ送信部46)は、生成した鍵データを、管理業者の携帯端末6に送信する。
【0066】
鍵データを受信した携帯端末6の制御部60(鍵データ受信処理部62)は、S55において、記憶部65に受信した鍵データを記憶させる。その際、既に記憶部65に記憶されている鍵データは、削除することが望ましい。
S56において、鍵管理サーバ4の制御部40(許可データ送信部44)は、物件情報記憶部52を参照し、当該管理業者が管理する賃貸物件RPの鍵保管ボックス1に対して、生成した許可データを送信する。
S57において、制御部40は、許可データ記憶部53の対応するレコードのステータスを更新する。その後、制御部40は、本処理を終了する。
他方、S58において、鍵保管ボックス1の制御部10(許可データ受信部17、許可データ書換部18)は、許可データを受信し、受信した許可データに、許可データ記憶部22の許可データを書き換える。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0067】
次に、鍵保管ボックス1を用いた鍵71の使用状況を照会する処理について説明する。
使用状況の照会は、例えば、賃貸物件RPのオーナが、管理業者が自身の賃貸物件RPをどの程度案内したかといったことを確認するのに用いる。
図10は、本実施形態に係る鍵管理システム100の使用状況照会処理を示すフローチャートである。
【0068】
例えば、オーナは、例えば、鍵管理システム100が提供する図示しないオーナ用画面等から照会画面の出力を指示することで、図10のS71において、オーナ端末8の制御部は、鍵管理サーバ4から受信した照会画面を、表示部に表示させる。
そこで、オーナは、照会画面に対して照会内容を入力する。オーナは、例えば、照会対象の期間を指定してもよい。また、オーナは、例えば、自身の物件の物件名や物件IDをさらに指定してもよい。そして、オーナは、照会するための操作をすることで、S72において、オーナ端末8の制御部は、照会内容を受け付けて、鍵管理サーバ4に送信する。
【0069】
照会内容を受信した鍵管理サーバ4は、S73において、制御部40(履歴照会処理部47)は、照会内容に基づき、受信履歴記憶部55から鍵使用データを抽出する。その際、制御部40は、鍵保管装置IDが当該オーナの所有する物件の鍵使用データを抽出し、抽出した鍵使用データのうち、日時が照会期間内の鍵使用データを特定する。
S74において、制御部40(履歴照会処理部47)は、鍵保管情報記憶部54を用いて、特定した鍵使用データの内容を編集した照会結果画面を生成する。鍵使用データに含まれる鍵状態に係る情報は、例えば、解錠の前後において鍵の収納有無に変化のあった鍵の収納位置と、鍵の収納有無とに関する情報である。そのため、制御部40は、鍵保管情報記憶部54を用いて、収納位置から部屋番号を特定し、鍵の収納有無の変化に係る情報から貸出及び返却を特定する。また、制御部40は、鍵使用データに含まれる管理業者IDから管理業者名を特定する。
【0070】
S75において、制御部40(履歴照会処理部47)は、生成した照会結果画面を、オーナ端末8に送信する。
S76において、照会結果画面を受信したオーナ端末8の制御部は、照会結果画面を出力する。その後、オーナ端末8の制御部は、本処理を終了する。
このようにすることで、オーナは、オーナ端末8を用いて鍵保管ボックス1に収納されている鍵の貸出及び返却を把握することができる。そのため、オーナは、管理業者ごとに、どの程度の頻度で顧客に斡旋(営業)をしているのかを、鍵の使用状況から確認ができる。
【0071】
このように、本実施形態の鍵管理システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)賃貸物件RPに設置される鍵保管ボックス1は、ボックス部34の開口部に扉部30を有し、扉部30の施錠及び解錠を行う鍵部材33aと、鍵部材33aの解錠に用いる鍵データを読み取るカメラ31と、鍵部材33aの解錠を許可する許可データを記憶する許可データ記憶部22とを備える。また、ボックス部34には、各鍵71を収納する鍵フック部材35を有する。そして、鍵検出部36が鍵フック部材35の収納状態を検出し、カメラ31が読み取った鍵データが許可データ記憶部22に記憶されている許可データに一致した場合に、鍵部材33aを解錠し、解錠の前後において、鍵検出部36が検出した鍵フック部材35の収納状態と、カメラ31が読み取った鍵データから特定可能な使用者に係る情報とを含む鍵使用データを、使用履歴記憶部23に記憶させる。
よって、鍵71を収納して保管する鍵保管ボックス1を、鍵データによって解錠することができるので、ユーザが鍵データを有していればよく、データであるため、当該鍵データの受け渡しを容易に行うことができ、利便性が高いものにできる。また、鍵71の使用状況を含む鍵使用データを履歴として記憶するので、後から鍵の使用状況を把握可能なものにできる。
【0072】
(2)鍵データと照合する許可データは、管理業者ごとに異なるものにするので、鍵データを、管理業者ごとに異なるものにできる。よって、鍵使用データから、どこの管理業者が鍵保管ボックス1を解錠したかを把握することができる。
【0073】
(3)鍵データは、二次元コードに代表されるコード情報であり、カメラ31が二次元コードを読み取る。よって、既にある技術を用いて、簡単に構築ができる。また、鍵データは、二次元コードであるので、例えば、携帯端末6等に表示させることで、カメラ31による読み取りを簡単にできる。
(4)鍵使用データは、解錠した際の日時情報を含むので、いつ解錠したかを把握できる。
(5)鍵保管ボックス1は、使用履歴記憶部23に記憶された鍵使用データを、鍵管理サーバ4に送信するので、鍵管理サーバ4は、鍵使用データを鍵保管ボックス1ごとに記憶することができる。また、管理業者等は、鍵管理サーバ4に対してアクセスすれば、記憶された鍵使用データにより鍵保管ボックス1の解錠状況を確認することができて便利である。
【0074】
(6)鍵管理サーバ4は、許可データから鍵データを生成し、生成した鍵データを所定の携帯端末6に送信するので、例えば、携帯端末6のタッチパネル67に、鍵データを表示させることができる。
(7)鍵管理サーバ4は、新たな許可データを生成し、生成した新たな許可データから鍵データを生成し、生成した鍵データを、所定の携帯端末6に送信する。よって、許可データに変更があった場合に、変更後の許可データから生成した鍵データを携帯端末6が受け取ることができる。
(8)鍵管理サーバ4は、生成した新たな許可データを鍵保管ボックス1に送信し、鍵保管ボックス1は、新たな許可データを受信した場合に、受信した新たな許可データに、許可データ記憶部22を書き換える。
よって、新たな許可データを生成した場合でも、鍵保管ボックス1は、新たな許可データを用いた鍵データとの照合を行うことができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0076】
(変形形態)
(1)本実施形態では、管理業者ごとに異なる鍵データを用いるものを例に説明したが、これに限定されない。鍵保管ボックスの使用に際し、管理対象に応じて変更可能である。例えば、管理業者のユーザごとに異なる鍵データを用いるようにしてもよい。その場合には、許可データ記憶部に、管理業者IDにさらにユーザIDを追加すればよい。また、単に鍵保管ボックスの使用頻度等のみを知りたい場合には、一律の許可データであってもよい。
【0077】
(2)本実施形態では、賃貸物件の空き部屋の鍵を保管するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、売買物件であってもよい。また、本実施形態では、鍵保管ボックスに複数の鍵を保管するものを例に説明したが、複数の鍵に限定されるものではなく、1つの鍵を保管するものであってもよい。
【0078】
(3)本実施形態では、鍵データとして二次元コードを例に説明したが、これに限定されない。バーコード等であってもよい。
また、本実施形態では、カメラを用いて鍵データを読み取るものを説明したが、これに限定されない。例えば、鍵データを、例えば、ICチップ等に記憶した端末を近づけると、鍵データを読み取るようなNFC(Near Field Communication)リーダ等であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1,1-A,1-B 鍵保管ボックス
4 鍵管理サーバ
6 携帯端末
8 オーナ端末
10,40,60 制御部
11 鍵データ受付部
12 照合部
13 解錠部
14 日時取得部
15 使用履歴登録部
16 使用履歴送信処理部
17 許可データ受信部
18 許可データ書換部
20,50,65 記憶部
22,53 許可データ記憶部
23 使用履歴記憶部
28 電源供給部
30 扉部
31 カメラ
32 スイッチ
33a 鍵部材
34 ボックス部
35 鍵フック部材
36 鍵検出部
41 使用履歴受信部
42 受信履歴登録部
43 許可データ生成部
44 許可データ送信部
45 鍵データ生成部
46 鍵データ送信部
47 履歴照会処理部
52 物件情報記憶部
54 鍵保管情報記憶部
55 受信履歴記憶部
61 鍵データ要求部
62 鍵データ受信処理部
63 鍵データ出力部
67 タッチパネル
71 鍵
75 鍵画面
75a 二次元コード
100 鍵管理システム
N データ通信網
RP,RP-A,RP-B 賃貸物件
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10