(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127641
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/22 20060101AFI20230907BHJP
B65D 43/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65D43/22
B65D43/02 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031445
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】倉地 寿乃介
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AB10
3E084BA03
3E084CA03
3E084CB02
3E084DA03
3E084DB09
3E084DB14
3E084DB18
3E084FA02
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB17
3E084GB26
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】操作突部の操作制を保ちつつ、開口を広げることが求められている。
【解決手段】本開示のコンテナ10は、蓋体30における蓋本体部31には、土手部33の内側に、上面開放の収容部35が形成されている。この収容部35は、扉部材50により開閉可能になっている。扉部材50は、薄肉ヒンジ部50Hを中心に回動可能となっていて、薄肉ヒンジ部50Hと反対側に操作突部55を備えている。操作突部55は、蓋本体部31の操作溝40に受容され、操作溝40には、操作突部55の側方に第1空間K1が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の一面に形成された開口を閉塞する蓋部材が包囲壁により包囲されている蓋付き容器において、
前記蓋部材は、前記包囲壁に当接又は近接する位置まで外方へ突出した操作突部を備え、
前記操作突部の側方には、前記操作突部を操作可能とする隣接操作空間が設けられている蓋付き容器。
【請求項2】
前記操作突部の裏側に、前記隣接操作空間と連通する裏側操作空間を備える請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記操作突部には指掛け部が設けられている請求項1又は2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記蓋部材の裏面の外縁から突出した外縁突壁を備え、
前記外縁突壁のうち前記操作突部の基端部に配される部分の裏側端部は、その隣の部分の裏側端部と同一平面上又はそれより奥側に位置し、
前記操作突部の前記外縁突壁は、前記操作突部の基端部から前記操作突部の先端部に近づくにつれて短くなり、前記指掛け部となっている請求項3に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
前記包囲壁と、前記包囲壁と対向しかつ前記開口の開口縁を形成する開口形成壁との間に設けられて前記操作突部を受容する受容凹部を備え、
前記外縁突壁のうち前記操作突部の基端部に配される部分は、前記受容凹部の底部に当接又は近接する請求項4に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
前記操作突部の基端部から裏側へ突出し、対向する前記外縁突壁同士を連絡する連絡壁と、
前記包囲壁に対向しかつ前記開口の開口縁を形成し、前記蓋部材の前記外縁突壁及び前記連絡壁に内側から隣接する開口形成壁と、
前記連絡壁及び前記開口形成壁にそれぞれ配され、互いに係合する係合部と、を備える請求項4又は5に記載の蓋付き容器。
【請求項7】
前記容器は、上面開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記上面開口を閉塞しかつ前記包囲壁を備える蓋体と、を有し、
前記包囲壁は、前記容器本体の側壁に内側から当接又は近接する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器の一面に形成された開口を閉塞する蓋部材が包囲壁により包囲されている蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋付き容器にとして、蓋部材が外方へ突出した操作突部を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-42764号公報(段落[0027]及び
図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の蓋付き容器は、包囲壁側と操作突部との間に操作突部を操作するための操作空間を有していたが、開口を包囲壁側へ広げると、包囲壁側と操作突部との間が狭くなり、操作突部を操作しにくくなるという問題が生じ得た。これに鑑み、操作突部の操作性を保ちつつ、開口を広げることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、容器の一面に形成された開口を閉塞する蓋部材が包囲壁により包囲されている蓋付き容器において、前記蓋部材は、前記包囲壁に当接又は近接する位置まで外方へ突出した操作突部を備え、前記操作突部の側方には、前記操作突部を操作可能とする隣接操作空間が設けられている蓋付き容器である。
【0006】
請求項2の発明は、前記操作突部の裏側に、前記隣接操作空間と連通する裏側操作空間を備える請求項1に記載の蓋付き容器である。
【0007】
請求項3の発明は、前記操作突部には指掛け部が設けられている請求項1又は2に記載の蓋付き容器である。
【0008】
請求項4の発明は、前記蓋部材の裏面の外縁から突出した外縁突壁を備え、前記外縁突壁のうち前記操作突部の基端部に配される部分の裏側端部は、その隣の部分の裏側端部と同一平面上又はそれより奥側に位置し、前記操作突部の前記外縁突壁は、前記操作突部の基端部から前記操作突部の先端部に近づくにつれて短くなり、前記指掛け部となっている請求項3に記載の蓋付き容器である。
【0009】
請求項5の発明は、前記包囲壁と、前記包囲壁と対向しかつ前記開口の開口縁を形成する開口形成壁との間に設けられて前記操作突部を受容する受容凹部を備え、前記外縁突壁のうち前記操作突部の基端部に配される部分は、前記受容凹部の底部に当接又は近接する請求項4に記載の蓋付き容器である。
【0010】
請求項6の発明は、前記操作突部の基端部から裏側へ突出し、対向する前記外縁突壁同士を連絡する連絡壁と、前記包囲壁に対向しかつ前記開口の開口縁を形成し、前記蓋部材の前記外縁突壁及び前記連絡壁に内側から隣接する開口形成壁と、前記連絡壁及び前記開口形成壁にそれぞれ配され、互いに係合する係合部と、を備える請求項4又は5に記載の蓋付き容器である。
【0011】
請求項7の発明は、前記容器は、上面開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記上面開口を閉塞しかつ前記包囲壁を備える蓋体と、を有し、前記包囲壁は、前記容器本体の側壁に内側から当接又は近接する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の蓋付き容器である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の蓋付き容器では、操作突部が、包囲壁との間から操作されるのではなく、操作突部の側方に設けられた隣接操作空間から操作されるので、操作突部の操作性を保ちつつ、開口を包囲壁側に広げることが可能となる。
【0013】
請求項2の蓋付き容器では、操作突部の裏側に、隣接操作空間と連通する裏側操作空間が設けられているので、隣接操作空間から操作突部の裏側に指をかけて操作突部を操作することができる。
【0014】
請求項3の蓋付き容器は、操作突部に指をかけやすくなっている。
【0015】
請求項4の蓋付き容器のように、指掛け部は、操作突部の外縁突壁を、基端部から先端部に近づくにつれて短くして構成してもよい。
【0016】
請求項5の蓋付き容器では、外縁突壁のうち操作突部の基端部に配される部分が受容凹部の底部に当接又は近接しているので、操作突部が受容凹部の底部側へ向けて負荷を受けたときに操作突部が破損することが防がれる。
【0017】
請求項6の蓋付き容器では、操作突部の基端部から裏側へ突出する連絡壁と、開口の開口縁を形成する開口形成壁と、に、互いに係合する係合部が備えられているので、蓋部材が開口を閉塞している状態が安定すると共に、係合の解除が操作突部の操作によりスムーズに行われる。
【0018】
請求項7の蓋付き容器では、蓋体の包囲壁が容器本体の側壁に内側から当接又は近接する位置に配されているので、開口を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】段積み状態のコンテナの操作突部近傍の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図8を参照して特許請求の範囲中の「蓋付き容器」に相当するコンテナ10について説明する。
図1及び
図2に示すように、コンテナ10は、上面開放のコンテナ本体11(特許請求の範囲中の「容器本体」に相当する)と、コンテナ本体11に装着可能であり、扉部材50(特許請求の範囲中の「蓋部材」に相当する)により閉塞可能な収容部35を備える蓋体30(特許請求の範囲中の「蓋体」、「蓋付き容器」に相当する)と、を備えている。
【0021】
図2に示すように、コンテナ本体11は、長方形状の底壁12の外縁から側壁13が起立した箱状をなし、その上端から上端フランジ15が外方に張り出すと共に、上端フランジ15の少し下方から中間フランジ16が外方に張り出している。中間フランジ16の張り出し量は、上端フランジ15の張り出し量よりも大きくなっている。中間フランジ16と上端フランジ15との間は、複数の連絡リブ15Lにより連絡されている。この連絡リブ15Lの外側端面は、上端フランジ15の外側端面と面一になっている。即ち、連絡リブ15Lの下端部は、中間フランジ16の外縁より内側に位置している。
【0022】
また、コンテナ本体11には、中間フランジ16の下面のうち、コンテナ本体11の四隅のコーナー部から垂下したコーナー縦リブ17Aと、コーナー部の両側方から垂下したコーナー側方縦リブ17Bと、が設けられている。コーナー側方縦リブ17Bの下端は、コンテナ本体11の下端よりも上方に位置していて、コーナー縦リブ17Aの下端は、コーナー側方縦リブ17Bの下端よりも上方に位置している。コーナー縦リブ17Aの下端と、コーナー側方縦リブ17Bの側面の下端寄り位置と、側壁13の下端寄り位置とは、コーナー連絡壁18により連絡されている。コーナー連絡壁18は、側壁13から外方に向かうにつれて少しずつ下るように傾斜している。このコーナー連絡壁18の外縁からは、コーナー側方縦リブ17Bの下端の高さまでコーナー外壁19が垂下している。
【0023】
また、底壁12の長辺部から起立した側壁13には、両端部のコーナー側方縦リブ17Bの下端同士を連絡する下端部フランジ20が側方に張り出している。コンテナ本体11同士を段積みすると、上段側のコンテナ本体11の下端部フランジ20及びコーナー側方縦リブ17Bの下端部が下段側のコンテナ本体11の上端フランジ15に当接し、下段側のコンテナ本体11の上面開口11Kに上段側のコンテナ本体11の下端部(下端部フランジ20より下方部分)が嵌合し、上下のコンテナ本体11の横ずれが規制される。
【0024】
図2及び
図3に示すように、蓋体30は、コンテナ本体11の上面開口11Kを閉塞する蓋本体部31の外縁からコンテナ本体11の上端フランジ15及び連絡リブ15Lの外側に嵌合される外側嵌合壁32が垂下した構造をなしている。外側嵌合壁32は、下方に向かうにつれて広がるように延び、その下端部は、コンテナ本体11の中間フランジ16に当接又は近接する。
【0025】
蓋本体部31には、その外縁部に沿って土手部33が形成されている。その土手部33は、下面開放の断面角溝状をなし、コンテナ本体11の上端フランジ15に上方から重なる。土手部33の下端部には、それぞれ僅かに側方へ張り出した内縁張出部33N及び外縁張出部33Mが設けられている。また、土手部33の内部には、土手部33を幅方向に横切るように複数の補強リブ33Lが形成されている。この補強リブ33Lの下端は、土手部33の下端部の少し下方に位置し、外側嵌合壁32と後述する内側嵌合壁38との上端部同士の間を連絡している。蓋体30がコンテナ本体11に被せられると、補強リブ33Lがコンテナ本体11の上端フランジ15に当接する。
【0026】
図4に示すように、蓋体30の上にコンテナ本体11を段積みすると、上段側のコンテナ本体11の下端部フランジ20及びコーナー側方縦リブ17Bの下端部が蓋体30の土手部33の上面(上端フランジ15)に当接し、蓋体30の土手部33の内側にコンテナ本体11の下端部(下端部フランジ20より下方部分)が嵌合する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、蓋本体部31には、土手部33の内側に、上述した収容部35が形成されている。収容部35は、底壁35Aとその外縁から起立した側壁35B(特許請求の範囲中の「開口形成壁」に相当する)とを有し、その平面形状は、土手部33の内側部分より一回り小さくなっている。この収容部35の開口が、特許請求の範囲中の「開口」に相当する。また、蓋本体部31のうち、土手部33の一方の短辺部(以降、「第1短辺部33A」という)と収容部35との間には、土手部33の内縁張出部33Nをそのまま内側に延長した平坦部36が設けられている。収容部35の側壁35Bの上端は、この平坦部36の上面よりも板厚1枚分下方に位置している。なお、この平坦部36には、ロゴマーク等を凹凸形成や印刷することが可能である。
【0028】
蓋本体部31のうち、土手部33の他方の短辺部(以降、「第2短辺部33B」という)と収容部35との間には、蓋体30の短手方向に延びた操作溝40が設けられている。操作溝40は、第2短辺部33Bの内縁張出部33Nの端部から垂下した溝側壁40Bと、収容部35の側壁35Bと、溝側壁40Bの下端部と収容部35の側壁35Bの中間部とを連絡する溝底壁40Aと、から構成され、その深さは、収容部35の深さの半分ほどになっている。また、操作溝40は、土手部33のうち長辺部の第2短辺部33B側端部の内縁張出部33Nから垂下した溝閉塞壁40Cにより閉塞されている。
【0029】
蓋本体部31には、土手部33の内縁張出部33Nのうち、溝側壁40B及び溝閉塞壁40Cが設けられている部分以外の部分から垂下した内縁リブ37が設けられている。内縁リブ37は、溝閉塞壁40Cと面一に延びている。この内縁リブ37と溝閉塞壁40Cと溝側壁40Bとから内側嵌合壁38が構成され、コンテナ本体11の側壁13の内側に嵌合する。
【0030】
蓋本体部31における収容部35の周囲のうち両長辺部と第1短辺部33A側の短辺部とには、蓋嵌合溝41が設けられている。蓋嵌合溝41の長辺部は、収容部35の側壁35Bと、内縁リブ37と、両者の間を連絡する連絡壁(図示せず)により構成されている。蓋嵌合溝41の第1短辺部33A側の短辺部は、収容部35の側壁35Bと、側壁35Bの上端寄り位置から側方に延びたのち起立した溝構成壁41Hとにより構成されている。
【0031】
図3に示すように、蓋本体部31は、溝構成壁41Hの上端縁から平坦部36側へ延びた延長壁39と、延長壁39及び平坦部36の向き合う先端部同士から垂下した1対の垂下壁39S,36Sと、を有している。1対の垂下壁39S,36S同士の間は、スリット状の扉固定部42となっている。
【0032】
図1及び
図2に示すように、蓋体30は、収容部35を開閉可能な扉部材50を備えている。
図5及び
図6に示される扉部材50は、蓋本体部31(
図3参照)のうち扉固定部42から収容部35の第2短辺部33B側端部までを覆う平面視長方形の扉本体部51と、扉部材50を蓋体30に固定するための固定片52と、を備えている。また、固定片52と扉本体部51との間は、薄肉ヒンジ部50Hとなっている。
【0033】
図3及び
図6に示すように、固定片52は、扉本体部51の第1短辺部33A側の側縁の略全体から下方に垂下してなる。また、固定片52には、延在方向の3箇所に、下縁から下方に突出した突片52Aが設けられている。突片52Aの下端部は係止爪52Bとなっている。この固定片52が扉固定部42に差し込まれ、突片52Aが1対の垂下壁39S,36Sの下端部から突き抜けて係止爪52Bが係止することで、扉部材50が蓋体30に回動可能に固定される。
【0034】
扉本体部51には、蓋嵌合溝41に受容され、収容部35の側壁35Bの外側に嵌合する扉嵌合部51K(特許請求の範囲中の「外縁突壁」に相当する)が備えられている。扉嵌合部51Kは、扉本体部51の外縁における第2短辺部33B側端部から第1短辺部33A側端部寄り位置までの部分と、その端部寄り位置同士を連絡する部分とから垂下している。なお、内縁リブ37と溝閉塞壁40Cと溝側壁40Bと垂下壁36Sとから、扉部材50を包囲する「包囲壁」が構成されている。
【0035】
さて、
図1及び
図6に示すように、扉部材50には、扉本体部51の第2短辺部33B側の側縁の中央部から扉本体部51の第2短辺部33B側へ張り出した操作突部55が設けられている。操作突部55は、平面視四角形状をなし、その先端部55Sは溝側壁40Bに近接している。操作突部55の外縁からは、突部垂下壁56(特許請求の範囲中の「外縁突壁」に相当する)が垂下している。
【0036】
操作突部55の先端部55Sにおける突部垂下壁56の突出量は、扉嵌合部51Kの突出量よりも小さくなっている。そして、操作突部55の側辺部55Tにおける突部垂下壁56の突出量は、第2短辺部33B側から第1短辺部33A側へ向かう途中部分まで(以降、適宜、「指掛け部55Y」という)は、操作突部55の先端部55Sの突部垂下壁56の突出量と同一になっていて、その途中部分からは、第1短辺部33A側に近づくにつれて大きくなっている。突部垂下壁56のうち第2短辺部33B側の端部では、その下端が、扉嵌合部51Kの下端よりも下方に位置し、操作溝40の底面よりも板厚1~2枚分上方に位置している(
図4参照)。
【0037】
図4及び
図7に示すように、操作突部55の基端部からは、突部垂下壁56のうち第1短辺部33A側の端部同士の間及び扉嵌合部51Kの端部同士の間を連絡する垂下連絡壁57(特許請求の範囲中の「連絡壁」に相当する)が垂下している。垂下連絡壁57の下端と突部垂下壁56の下端とは連続している。
【0038】
また、この垂下連絡壁57の下端部の横方向の中央には、第2短辺部33B側へ陥没した係合凹部57Kが形成されている。一方、扉本体部51の収容部35の側壁35Bの外面には、扉部材50の係合凹部57Kと対応する位置に、係合突部35Tが形成されている。係合突部35Tは、上面が第2短辺部33B側へ向かうにつれて下るガイド傾斜面35T1となっている一方、下面が平坦な係止面35T2となっている。なお、操作突部55の基端部寄り位置には、係合凹部57Kの上側の壁まで陥没した凹部55Uが形成され、この凹部55Uを構成する壁部が係合凹部57Kを構成する壁部と連絡し、突部垂下壁56が補強されている(
図4及び
図8参照)。
【0039】
図1及び
図8に示すように、扉部材50が収容部35を閉塞した状態では、扉嵌合部51Kが蓋嵌合溝41に受容されて収容部35の側壁35Bの外側に嵌合すると共に、操作突部55の係合凹部57Kに収容部35の側壁35Bの係合突部35Tが係止する。これにより、扉部材50が収容部35を閉塞した状態が安定する。このとき、扉部材50の操作突部55は操作溝40に受容され、操作突部55の両側方(蓋体30の短手方向の両側方)に第1空間K1が存在し、操作突部55の下方に、第1空間K1と連通する第2空間K2が存在する状態となっている。なお、扉部材50の上面と平坦部36の上面とは同一平面上に位置している。
【0040】
扉部材50を開くときは、操作溝40における操作突部55の側方(第1空間K1)から操作突部55の裏側(第2空間K2)へ指を差し込み、指掛け部55Yに指を掛け、上方に押し上げるように操作することで、操作突部55が撓み、係合凹部57Kと係合突部35Tとの係合が解除され、そのまま操作突部55を上方へ回動させることで扉部材50が回動し、収容部35が開放される。なお、凹部55Uが形成されていることで、操作突部55が撓みやすくなっている。
【0041】
扉部材50を閉じるときは、扉嵌合部51Kが蓋嵌合溝41に受容されるように扉部材50を下方へ回動させる。すると、操作突部55の係合凹部57Kの下端壁が係合突部35Tのガイド傾斜面35T1に当接し、操作突部55が撓むように案内される。そして、係合凹部57Kの下端壁が係合突部35Tを通過すると、操作突部55が弾性復帰して、係合凹部57Kの下端壁が係合突部35Tの係止面35T2と対向し、係合凹部57Kと係合突部35Tとが係合する。
【0042】
本実施形態のコンテナ10の構成は以上である。次に、コンテナ10の作用効果について説明する。本実施形態のコンテナ10では、蓋体30に収容部35が設けられているので、コンテナ本体11内とは別に荷物を収容することができる、しかも、収容部35が扉部材50により閉塞可能となっているので、収容部35内の荷物が落下することが防がれる。
【0043】
ここで、従来の容器では、扉部材の操作突部の先端部と、操作突部を受容する受容凹部の側壁との間に空間が設けられ、その空間に指を差し込み、操作突部を操作する構成となっていた。この構成では、収容部を操作突部側へ広げようとすると、操作突部と受容凹部の側壁との間の空間が狭くなり、操作突部を操作しにくくなるという問題があった。
【0044】
これに対して、本実施形態のコンテナ10は、操作突部55が、溝側壁40Bとの間から操作されるのではなく、操作突部55の側方に設けられた第1空間K1から操作されるので、操作突部55の操作性を保ちつつ、収容部35を第2短辺部33B側に広げることが可能となる。さらに、操作突部55の下方に第1空間K1と連通する第2空間K2が存在し、操作突部55の裏側へ指を差し込むことが可能なので、操作突部55がより操作しやすくなっている。
【0045】
また、扉部材50が収容部35を閉塞した状態では、扉部材50の係合凹部57Kと収容部35の側壁35Bの係合突部35Tとが係合して、衝撃等により扉部材50が開くことが防がれる。しかも、係合凹部57Kが操作突部55に配置されているので、係合の解除を操作突部55の操作によりスムーズに行うことができ、操作性が高まる。また、突部垂下壁56のうち操作突部55の基端部における部分が、垂下連絡壁57の下端と連絡する位置まで延びているので、垂下連絡壁57が補強され、係合凹部57Kの破損が防がれる。
【0046】
また、操作溝40の溝側壁40Bを、コンテナ本体11の側壁13に内側から当接または近接させ、その溝側壁40Bに、操作突部55の先端部55Sを近接させることで、収容部35を第2短辺部33B側へ大きくとることができる。
【0047】
ところで、操作突部55の外方に「包囲壁」がなく開放した構成とすれば、操作空間が容易に確保され、操作性を確保しつつ収容部35(収容部35の開口)を広げることが可能であるところ、本実施形態のコンテナ10では、コンテナ10同士が段積み可能となっていて、蓋体30に、上方のコンテナ10が嵌合する土手部33が設けられている。そして、収容部35は、土手部33より内側に配されている。この場合、操作突部55の外方を開放した構成とすることは難しく、操作突部55の側方に空間(第1空間K1)を設けることによる効果をより享受できる。
【0048】
[他の実施形態]
(1)指掛け部55Yは、下方ではなく側方に張り出していてもよい。
【0049】
(2)突部垂下壁56が操作溝40の底面に当接又は近接する位置まで延びていてもいい。この場合、操作突部55が下方へ向けて負荷を受けたときに操作突部55が破損することが防がれる。なお、操作溝40の底面に当接又は近接する位置まで延びるのは、突部垂下壁56の操作突部55の基端部における部分のみであってもよいし、全体であってもよい。
【0050】
(3)操作突部55の下端と操作溝40の底面に空間がない又は、その空間が第1空間K1と連通しない構成であってもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、操作突部55を操作するための空間(第1空間K1)が操作突部55の両側方に設けられていたが、一側方のみに設けられていてもよい。この場合、他方側の操作突部55が操作溝40の側壁に近接又は当接する構成であってもよい。
【0052】
(5)蓋体30に、収容部35ではなく、コンテナ本体11の内部空間に通じる開口を設けた構成であってもよい。
【0053】
(6)扉部材50は回動ではなくスライドする構成であってもよい。また、蓋体30から取り外される蓋部材により開口(収容部35の開口)を閉塞する構成であってもよい。
【0054】
(7)上記実施形態では、扉部材50がコンテナ10の蓋体30の収容部35を閉塞する構成であったが、容器自体の一面(上面であっても側面であってもよい)に設けられた開口を閉塞する構成であってもよい。
【0055】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0056】
10 コンテナ
11 コンテナ本体
30 蓋体
35 収容部
35B 側壁
35T 係合突部
40 操作溝
50 扉部材
55 操作突部
56 突部垂下壁
57 垂下連絡壁
57K 係合凹部