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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012766
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】発信装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116430
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 高章
(72)【発明者】
【氏名】廣野 耕之助
(72)【発明者】
【氏名】武田 直也
(72)【発明者】
【氏名】石井 健郎
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA51
2B121BA58
2B121FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鳥獣を捕獲した場合の捕獲検知に対する信頼性が高く、かつ、捕獲時の破損を抑制可能な発信装置を提供する。
【解決手段】発信装置20は、取付対象Tに取り付けられ、鳥獣を捕獲する罠装置に接続される取付部材と、前記取付部材に設けられ、鳥獣捕獲状態の前記罠装置から受ける引張荷重によって動作する動作部材30と、前記動作部材30の動作を検知する検知センサと、前記検知センサで検知した検知情報を外部へ送信する送信装置と、前記取付部材22と前記罠装置とを接続し、前記罠装置から前記引張荷重より高い荷重を受けると前記取付部材22と前記罠装置との接続を解除する接続部50と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に取り付けられ、鳥獣を捕獲する罠装置に接続される取付部材と、
前記取付部材に設けられ、鳥獣捕獲状態の前記罠装置から受ける引張荷重によって動作する動作部材と、
前記動作部材の動作を検知する検知センサと、
前記検知センサで検知した検知情報を外部へ送信する送信装置と、
前記取付部材と前記罠装置とを接続し、前記罠装置から前記引張荷重より高い荷重を受けると前記取付部材と前記罠装置との接続を解除する接続部と、
を備える発信装置。
【請求項2】
前記動作部材は、磁性部材を有し、前記取付部材に対して相対移動可能とされており、
前記検知センサは、前記動作部材と共に移動する前記磁性部材の移動による磁力変化を検知する、請求項1に記載の発信装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記動作部材を介して前記罠装置と前記取付部材を接続している、請求項2に記載の発信装置。
【請求項4】
前記接続部は、棒状部材であり、
前記動作部材は、前記棒状部材を保持する保持部を有する、請求項3に記載の発信装置。
【請求項5】
前記棒状部材には、脆弱部が設けられている、請求項4に記載の発信装置。
【請求項6】
前記送信装置を動作させるための発電装置をさらに備える請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発信装置。
【請求項7】
前記検知センサ及び前記送信装置が前記取付部材の内部に収容されている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の発信装置。
【請求項8】
前記発電装置が前記取付部材の内部に収容されている、請求項6を引用する請求項7に記載の発信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、罠向けの発信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、罠に獲物がかかると、罠に取り付けられた引糸が張ってピンが引き抜かれてパルス信号を発信する発信装置について開示されている。
【0003】
特許文献2には、くくり罠に獲物がかかると、くくり罠に設けられた加速度センサが獲物の捕獲を検知して捕獲情報を外部に送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1-8124号公報
【特許文献2】特許第6725445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の発信装置では、捕獲後の獲物が大人しい場合、罠から引糸に伝わる荷重がピンの引き抜き荷重未満となることがある。この場合には、発信装置からピンが引き抜かれないため、パルス信号が発信されない。すなわち、捕獲した獲物が大人しい場合、獲物の捕獲を検知できないため、捕獲検知に対する信頼性が低い。
【0006】
特許文献2に開示の技術では、捕獲後に獲物が暴れた場合、くくり罠の上部に配置されている加速度センサが地面に落下して破損する虞がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、鳥獣を捕獲した場合の捕獲検知に対する信頼性が高く、かつ、捕獲時の破損を抑制可能な発信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様の発信装置は、取付対象に取り付けられ、鳥獣を捕獲する罠装置に接続される取付部材と、前記取付部材に設けられ、鳥獣捕獲状態の前記罠装置から受ける引張荷重によって動作する動作部材と、前記動作部材の動作を検知する検知センサと、前記検知センサで検知した検知情報を外部へ送信する送信装置と、前記取付部材と前記罠装置とを接続し、前記罠装置から前記引張荷重より高い荷重を受けると前記取付部材と前記罠装置との接続を解除する接続部と、を備える。
【0009】
第1態様の発信装置では、鳥獣捕獲状態の罠装置から動作部材が引張荷重を受けると、動作部材が動作し、その動作が検知センサによって検知される。検知センサで検知された検知情報は、送信装置を介して外部へ送信される。このように上記発信装置では、罠装置で鳥獣を捕獲した場合に、動作部材の動作によって鳥獣を捕獲したことが検知されるため、捕獲検知に対する信頼性が高い。
また、上記発信装置では、罠装置から鳥獣捕獲状態の引張荷重よりも高い荷重を接続部が受けると、接続部が取付部材と罠装置との接続を解除する。このため、取付対象に取り付けられた取付部材に所定荷重以上の荷重が作用するのを抑制できる。このように上記発信装置では、罠装置で鳥獣を捕獲した場合に、取付部材及び取付部材周りの電子機器(検知センサ、送信装置等)の破損を抑制することができる。すなわち、罠装置で鳥獣を捕獲した場合の発信装置の捕獲時の破損を抑制することができる。
【0010】
本発明の第2態様の発信装置は、第1態様の発信装置において、前記動作部材は、磁性部材を有し、前記取付部材に対して相対移動可能とされており、前記検知センサは、前記動作部材と共に移動する前記磁性部材の移動による磁力変化を検知する。
【0011】
第2態様の発信装置では、鳥獣捕獲状態の罠装置から動作部材が引張荷重を受けると、動作部材が取付部材に対して相対移動する。動作部材が移動すると磁性部材も移動する。この移動により、検知センサに対する磁性部材の相対位置が変化し、検知センサによって検知される磁性部材の磁力が変化する。そして、検知センサによって磁性部材の磁力変化が検知されると、検知情報が送信装置によって外部へ送信される。このように発信装置では、検知センサに対する磁性部材の相対位置の変化にともなう磁力の変化を検知センサが検知するため、罠装置に鳥獣が捕獲されたことを高い精度で把握することができる。
【0012】
本発明の第3態様の発信装置は、第2態様の発信装置において、前記接続部は、前記動作部材を介して前記罠装置と前記取付部材を接続している。
【0013】
第3態様の発信装置では、接続部が動作部材を介して罠装置と取付部材を接続していることから、罠装置で鳥獣の捕獲を検知した後に、確実に取付部材と罠装置との接続を解除することができる。
【0014】
本発明の第4態様の発信装置は、第3態様の発信装置において、前記接続部は、棒状部材であり、前記動作部材は、前記棒状部材を保持する保持部を有する。
【0015】
第4態様の発信装置では、動作部材が保持部を有することから、動作部材に対して棒状部材を保持させやすい。
【0016】
本発明の第5態様の発信装置は、第4態様の発信装置において、前記棒状部材には、脆弱部が設けられている。
【0017】
第5態様の発信装置では、棒状部材に脆弱部を設けていることから、鳥獣捕獲状態の罠装置から引張荷重より高い荷重を受けると、棒状部材が脆弱部を起点に破壊されて取付部材と罠装置との接続が解除される。ここで、上記発信装置では、棒状部材に破壊の起点となる脆弱部を設けていることから、取付部材と罠装置との接続解除に至る荷重をコントロールしやすい。
【0018】
本発明の第6態様の発信装置は、第1態様~第5態様のいずれか一態様の発信装置において、前記送信装置を動作させるための発電装置をさらに備える。
【0019】
第6態様の発信装置では、送信装置を動作させるための発電装置をさらに備えることから、電力不足による検知センサ及び送信装置の作動不良を抑制することができる。
【0020】
本発明の第7態様の発信装置は、第1態様~第6態様のいずれか一態様の発信装置において、前記検知センサ及び前記送信装置が前記取付部材の内部に収容されている。
【0021】
第7態様の発信装置では、検知センサ及び送信装置が取付部材の内部に収容されていることから、例えば、検知センサ及び送信装置を取付部材とは別の部材に収容するものと比べて、装置を小型化することができる。
【0022】
本発明の第8態様の発信装置は、第6態様を引用する第7態様の発信装置において、前記発電装置が前記取付部材の内部に収容されている。
【0023】
第8態様の発信装置では、発電装置が取付部材の内部に収容されていることから、例えば、発電装置を取付部材とは別の部材に収容するものと比べて、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、鳥獣を捕獲した場合の捕獲検知に対する信頼性が高く、かつ、捕獲時の破損を抑制することができる発信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る発信装置の設置状態を説明するための説明図である。
図2図1において、くくり罠に鳥獣が捕獲された状態を説明するための説明図である。
図3図1に示される発信装置の正面図であり、くくり罠に鳥獣が捕獲されていない状態を示している。
図4図3に示される発信装置の正面図であり、くくり罠に鳥獣が捕獲されている状態を示している。
図5図3に示される発信装置の正面図であり、くくり罠に捕獲された鳥獣が暴れている状態を示している。
図6図1に示される発信装置を取付部材と動作部材とに分解した状態の正面図である。
図7図6に示される取付部材と動作部材とを組み立てた発信装置の正面図である。
図8図7の8X-8X線断面図である。
図9図7の9X-9X線断面図である。
図10図7に示される発信装置の正面図であり、取付部材に対して動作部材を相対移動させた状態を示している。
図11図10の11X-11X線断面図である。
図12図10の12X-12X線断面図である。
図13図1に示される発信装置を取付部材と動作部材とに分解した状態で背面側から見た斜視図である。
図14図1に示される発信装置を取付部材と動作部材とに分解した状態で正面側から見た斜視図である。
図15図1に示される発信装置の接続部の変形例である。
図16図1に示される発信装置の接続部の他の変形例である。
図17図1に示される発信装置の正面図であり、接続部として小枝を用いた状態を示している。
図18図1の発信装置の取付部材内に収容される電子機器の構成を示す構成図である。
図19図1の発信装置と接続可能な大型の箱罠の斜視図である。
図20図1の発信装置と接続可能な中型の箱罠の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る発信装置を図1図14及び図18を用いて説明する。
【0027】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の発信装置20は、罠装置60に鳥獣が捕獲されたことを外部に発信する装置である。なお、本実施形態では、発信装置20に接続される罠装置60として、くくり罠を用いている。くくり罠は、山林、崖、草原、農地等に設置される罠であり、主として鳥獣の捕獲に用いられる罠である。
【0028】
発信装置20は、取付部材22と、動作部材30と、検知センサ40(図18参照)と、送信装置42(図18参照)と、接続部材50とを備えている。
【0029】
(取付部材22)
図1図3に示されるように、取付部材22は、取付対象Tに取り付けられる部材である。取付部材22が取り付けられる取付対象Tとしては、例えば、木、構造物等が挙げられる。本実施形態では、取付部材22がバンド23を用いて取付対象Tとしての木に取り付けられている。なお、本発明はこの構成に限定されない。例えば、取付部材22は、ブラケット(図示省略)を介して取付対象Tに取り付けられてもよいし、釘やねじなどの締結部材を用いて取付対象Tに取り付けられてもよい。
【0030】
図8及び図9に示されるように、取付部材22の内部には、検知センサ40、送信装置42及び発電装置44を収容するための収容部24が形成されている。この収容部24には、ユニット化された検知センサ40、送信装置42及び発電装置44が収容されている。なお、以下では、検知センサ40、送信装置42及び発電装置44をユニット化したものをセンサユニット46と称する。また、収容部24は、密閉されている。このため、取付部材22の外側から収容部24へ液体が侵入するのが防止される。
【0031】
図6図9に示されるように、取付部材22の下部には、支持部25が設けられている。この支持部25は、動作部材30を移動可能に支持する部分である。具体的には、支持部25は、板状であり、取付部材22の収容部24よりも下方に設けられている。
【0032】
また、取付部材22は、図8及び図9に示されるように、収容部24が形成される上部の厚みが、支持部25が形成される下部の厚みよりも厚くなっている。
【0033】
図6及び図8に示されるように、支持部25には、一対の長孔26が形成されている。これらの長孔26には、支持部25に動作部材30を取り付けるためのねじ部材38のねじ部が貫通するようになっている。
【0034】
また、支持部25には、一対の長孔26の間でかつ収容部24側に磁性部材28が埋め込まれている。この磁性部材28は、一例として永久磁石である。
【0035】
また、支持部25には、一対の長孔26の間でかつ収容部24と反対側に貫通孔29が形成されている。この貫通孔29には、動作部材30の後述する弾性爪34が引っ掛かるようになっている。すなわち、貫通孔29は、動作部材30の弾性爪34を引っ掛けるための引掛部の一例である。
【0036】
また、取付部材22は、樹脂材料で形成されている。この樹脂材料としては、耐候性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。なお、本発明は上記構成に限定されない。取付部材22は、金属材料や木材で形成されてもよい。
【0037】
(動作部材30)
図3図5に示されるように、動作部材30は、鳥獣捕獲状態の罠装置60から受ける引張荷重によって動作する部材である。具体的には、動作部材30は、取付部材22に対して相対移動可能に設けられており、罠装置60から引張荷重を受けることで取付部材22に対して動作する、すなわち、取付部材22に対して相対移動する。
【0038】
図6図12に示されるように、動作部材30は、板部31と、一対の対向部32と、弾性爪34と、一対の保持部35と、磁性部材36と、を備えている。
【0039】
図3及び図8に示されるように、板部31は、取付部材22の支持部25の表面側に配置される。
【0040】
一対の対向部32は、板部31の厚み方向に対向し且つ板部31に対して離隔して配置されている。また、一対の対向部32は、板部31の幅方向に間隔をあけて配置されている。
【0041】
板部31の下端部と一対の対向部32の各下端部はそれぞれ連結されている。この連結部分を以下では、連結部33と称する。この連結部33は、板部31の幅方向に延びている。また、図3及び図8に示されるように、板部31と一対の対向部32との間には、支持部25が配置される。
【0042】
また、板部31と対向部32には、それぞれ同じ位置に貫通孔31A、32Aが形成されている。これらの貫通孔31A、32Aには、ねじ部材38が挿入される。具体的には、取付部材22に動作部材30を取り付けた状態、すなわち、板部31と一対の対向部32との間には、支持部25を差し込んだ状態では、支持部25の厚み方向で貫通孔31A、32Aと長孔26とが重なる。この状態でねじ部材38のねじ部が貫通孔31A、長孔26及び貫通孔32Aを貫通し、ナット部材39にねじ込まれている。このようにして、取付部材22に動作部材30が取り付けられている。
【0043】
図9に示されるように、弾性爪34は、板部31に設けられている。この弾性爪34は、板部31に形成されたコ字状のスリットの内側に形成された弾性板34Aと、弾性板34Aの自由端に形成され、板部31の厚み方向で対向部32側に突出する爪部34Bと、を有している。この弾性爪34は、支持部25の貫通孔29に引っ掛かるようになっている。具体的には、爪部34Bが支持部25の貫通孔29の縁部に引っ掛かるようになっている。
【0044】
なお、以下では、取付部材22に動作部材30が取り付けられた状態で、弾性爪34が貫通孔29に引っ掛かっているときの動作部材30の位置を未動作位置(図7図9参照)と称する。ここで、動作部材30が未動作位置にあるときは、罠装置60に鳥獣が捕獲されていない未捕獲状態と把握される。さらに、本実施形態では、動作部材30が未動作位置にあるとき、磁性部材28と磁性部材36との磁力で動作部材30の位置を仮保持することも可能である。
一方、取付部材22に動作部材30が取り付けられた状態で、弾性爪34が貫通孔29から外れ、ねじ部材38が長孔26の下端部に当接しているときの動作部材30の位置を動作位置(図10図12参照)と称する。ここで、動作部材30が動作位置にあるときは、罠装置60に鳥獣が捕獲されている捕獲状態と把握される。
【0045】
図13及び図14に示されるように、一対の保持部35は、連結部33の両端部にそれぞれ設けられている。保持部35は、板状であり、中央部に貫通孔35Aが形成されている。一対の保持部35の各貫通孔35Aには、接続部材50が挿入されるようになっている。図2図3に示されるように、取付部材22が取付対象Tに取り付けられた状態では、罠装置60から延びるワイヤ61から接続部材50が所定の引張荷重を受けるため、接続部材50が一対の保持部35によって保持される。
【0046】
-磁性部材36-
磁性部材36は、永久磁石であり、図9及び図12に示されるように、動作部材30に設けられている。具体的には、磁性部材36は、図7及び図10に示されるように、動作部材30の保持部35と反対側(図7及び図10では、上側)に埋設されている。
【0047】
また、動作部材30は、樹脂材料で形成されている。この樹脂材料としては、耐候性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。なお、本発明は上記構成に限定されない。動作部材30は、金属材料や木材で形成されてもよい。
【0048】
(検知センサ40)
検知センサ40は、動作部材30の動作を検知するセンサである。具体的には、検知センサ40は、磁性部材36の移動による磁力変化を検知する。より具体的には、検知センサ40は、動作部材30と共に移動する磁性部材36の移動による磁力変化を検知する。この検知センサ40は、図8及び図9に示されるように、取付部材22の収容部24に収容されている。この収容部24には、送信装置42も収容されている。なお、取付部材22において収容部24を形成する部分は、検知センサ40が磁性部材36からの磁力を検知可能で且つ送信装置42から外部へ電波を送信可能な材料によって形成されている。
【0049】
(送信装置42)
送信装置42は、検知センサ40で検知した検知情報を外部へ送信するための装置である。この送信装置42は、検知情報を無線で外部へ送信可能とされている。
【0050】
-発電装置44-
また、発信装置20は、送信装置42を動作させるための発電装置44(図18参照)をさらに備えている。この発電装置44は、検知センサ40及び送信装置42と共に取付部材22の内部に収容されている(図8及び図9参照)。また、本実施形態の発電装置44は、電磁誘導を利用した発電装置であり、磁性部材36の移動による磁力の変化(磁束密度の変化)によって発電するようになっている。
なお、本実施形態の発電装置44は、電磁誘導を利用しているが本発明はこれに限定されない。例えば、発電装置44として、太陽光発電装置を用いてもよいし、蓄電池を用いてもよい。
【0051】
(接続部材50)
図1及び図3に示されるように、接続部材50は、取付部材22と罠装置60とを接続する部材である。具体的には、接続部材50は、罠装置60から延びたワイヤ61が引掛けられた状態で動作部材30の一対の保持部35で保持される。また、接続部材50は、罠装置60のワイヤ61から所定値よりも高い引張荷重を受けると、取付部材22と罠装置60との接続を解除するようになっている。具体的には、接続部材50に所定値よりも高い引張荷重が作用した場合、接続部材50が破壊され、取付部材22と罠装置60との接続が解除される。
ここで、動作部材30が未動作位置にある場合、ワイヤ61には所定の張力が付与されている。そして、罠装置60に鳥獣が捕獲されると、ワイヤ61を介して接続部材50に引張荷重が作用する。接続部材50に引張荷重が作用すると、弾性爪34が貫通孔29から外れて動作部材30が長孔26の長手方向に沿って(図5では下方へ)移動する。そして、ねじ部材38が長孔26の下端部に当接すると、動作部材30が停止する。動作部材30が停止すると、ワイヤ61からの引張荷重が接続部材50に集中する。この状態で、ワイヤ61からの引張荷重が所定値(予め設定した値)よりも高くなると、接続部材50が破壊される。
【0052】
また、接続部材50は、一対の保持部35で保持されることから、動作部材30を介して罠装置60と取付部材22とを接続している。この接続部材50は、棒状部材であり、例えば、円柱状の棒状部材である。
【0053】
また、接続部材50は、ワイヤ61から受ける引張荷重が所定値に達したときに確実に破壊されるように材料や断面積を設定することが好ましい。また、例えば、図15に示される変形例の接続部材51のように、長手方向の中央部に脆弱部51Aとして切り込みを形成してもよい。一方、図16に示される変形例の接続部材52のように、長手方向の中央部に脆弱部52Aとして周方向に連続する環状の溝を形成してもよい。これらの脆弱部51A、52Aには、ワイヤ61からの引張荷重がそれぞれ集中するようになっている。
【0054】
なお、本実施形態の接続部材50は、本発明における接続部の一例である。
【0055】
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の発信装置20では、鳥獣捕獲状態の罠装置60から動作部材30が引張荷重を受けると、図4に示すように動作部材30が動作し、その動作が検知センサ40によって検知される。検知センサ40で検知された検知情報は、送信装置42を介して外部へ送信される。このように発信装置20では、罠装置60で鳥獣を捕獲した場合に、動作部材30の動作によって鳥獣を捕獲したことが検知されるため、捕獲検知に対する信頼性が高い。
【0056】
また、発信装置20では、罠装置60から鳥獣捕獲状態の引張荷重よりも高い荷重を接続部材50が受けると、図2及び図5に示すように接続部材50が取付部材22と罠装置60との接続を解除する。このため、取付対象Tに取り付けられた取付部材22に所定荷重以上の荷重が作用するのを抑制できる。このように発信装置20では、罠装置60で鳥獣を捕獲した場合に、取付部材22及び取付部材22周りの電子機器(ここではセンサユニット46)の破損を抑制することができる。すなわち、罠装置60で鳥獣を捕獲した場合の発信装置20の捕獲時の破損を抑制することができる。
【0057】
発信装置20では、鳥獣捕獲状態の罠装置60から動作部材30が引張荷重を受けると、図4に示すように動作部材30が取付部材22に対して相対移動する。動作部材30が移動すると磁性部材36も移動する。この移動により、検知センサ40に対する磁性部材36の相対位置が変化し、検知センサ40によって検知される磁性部材36の磁力が変化する。そして、検知センサ40によって磁性部材36の磁力変化が検知されると、検知情報が送信装置42によって外部へ送信される。このように発信装置20では、検知センサ40に対する磁性部材36の相対位置の変化にともなう磁力の変化を検知センサ40が検知するため、罠装置60に鳥獣が捕獲されたことを高い精度で把握することができる。
【0058】
発信装置20では、接続部材50が動作部材30を介して罠装置60(具体的には罠装置60のワイヤ61)と取付部材22を接続していることから、罠装置60で鳥獣の捕獲を検知した後に、確実に取付部材22と罠装置60との接続を解除することができる。
【0059】
また、発信装置20では、動作部材30が保持部35を有することから、動作部材30に対して接続部材50を保持させやすい。
【0060】
発信装置20では、送信装置42を動作させるための発電装置44をさらに備えることから、電力不足による検知センサ40及び送信装置42の作動不良を抑制することができる。
【0061】
また、発信装置20では、検知センサ40及び送信装置42が取付部材22の収容部24に収容されていることから、例えば、検知センサ40及び送信装置42を取付部材22とは別の部材に収容するものと比べて、装置を小型化することができる。
【0062】
さらに、発信装置20では、発電装置44が取付部材22の収容部24に収容されていることから、例えば、発電装置44を取付部材22とは別の部材に収容するものと比べて、装置を小型化することができる。
【0063】
なお、発信装置20では、棒状の接続部材50に脆弱部を設けてもよい。例えば、接続部材51のように脆弱部51Aを設けた場合、接続部材51が鳥獣捕獲状態の罠装置60から引張荷重より高い荷重を受けると、接続部材51が脆弱部51Aを起点に破壊されて取付部材22と罠装置60との接続が解除される。このように接続部材51に破壊の起点となる脆弱部51Aを設けることで、取付部材22と罠装置60との接続解除に至る荷重をコントロールしやすい。言い換えると、接続部材51に所定の引張荷重を超えた荷重が作用した際に確実に取付部材22と罠装置60との接続を解除することができる。例えば、接続部材52のように脆弱部52Aを設けた場合も、接続部材51と同様である。すなわち、接続部材52に破壊の起点となる脆弱部52Aを設けることで、取付部材22と罠装置60との接続解除に至る荷重をコントロールしやすい。言い換えると、接続部材52に所定の引張荷重を超えた荷重が作用した際に確実に取付部材22と罠装置60との接続を解除することができる。
【0064】
また、発信装置20は、既設の罠装置と接続することができる。例えば、くくり罠の途中にワイヤを接続し、このワイヤを接続部材50に引掛け、接続部材50を取付対象Tに取り付けられた取付部材22に取り付けられた動作部材30の一対の保持部35で保持させることで、前述の発信装置20と同じ作用並びに効果を得ることができる。
【0065】
そして、発信装置20では、罠装置60で鳥獣を捕獲したことを外部に発信するため、鳥獣が弱る前に鳥獣を保護することが可能になる。このような発信装置20を罠装置60に接続することで、罠装置60が設置された場所の生態系を維持することが可能になる。
【0066】
また、本実施形態の発信装置20では、罠装置60で鳥獣を捕獲したことで接続部材50が破壊されても、動作部材30の一対の保持部35に、棒状部材(例えば、小枝や割り箸等の消耗品)を保持させることで発信装置20を再利用することができる。このように再利用ができるため、発信装置20の運用コストを抑えることができる。なお、図17では、接続部材50の代わりに小枝65を用いて発信装置20を利用している状態を示している。
【0067】
前述の実施形態では、接続部材50を棒状部材としているが、本発明はこの構成に限定されない。ワイヤ61と動作部材30を接続し、所定の引張荷重で動作部材30とワイヤ61との接続を解除できれば、特に限定されない。
【0068】
前述の実施形態では、検知センサ40、送信装置42及び発電装置44をユニット化しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、検知センサ40、送信装置42及び発電装置44をユニット化しなくてもよいし、検知センサ40及び送信装置42のみをユニット化してもよいし、送信装置42及び発電装置44のみをユニット化してもよい。
【0069】
前述の実施形態では、罠装置60をくくり罠としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、罠装置を箱罠やその他の罠としてもよい。箱罠としては、図19に示される大型の罠装置62、図20に示される中型の罠装置64が挙げられる。罠装置62では、大型の鳥獣(例えば、鹿や猪等)を捕獲することができ、罠装置64では、中型の獣(例えば、狐や)を捕獲することができる。また、罠装置62では、箱罠の入口がスライドドアによって開閉される。このスライドドアが閉まると、図示しないワイヤが引っ張られて発信装置20が作動する。すなわち、発信装置20から検知情報が発信される。一方、罠装置64では、箱罠の入口が回転ドアによって開閉される。この回転ドアが閉まると、図示しないワイヤが引っ張られて発信装置20が作動する。すなわち、発信装置20から検知情報が発信される。
【0070】
前述の実施形態では、取付部材22の下部である支持部25が上部である収容部24に対して固定されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、収容部を有する取付部材に対して支持部が別部材とされ、この別部材である支持部材が取付部材に対して回動可能に取り付けられる構成であってもよい。この場合には、支持部材と共に動作部材が取付部材に対して回動可能なため、罠の設置場所の自由度が向上する。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
20 発信装置
22 取付部材
30 動作部材
35 保持部
36 磁性部材
40 検知センサ
42 送信装置
44 発電装置
50 接続部材
51 接続部材
51A 脆弱部
52 接続部材
52A 脆弱部
60 罠装置
62 罠装置
64 罠装置
T 取付対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20