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特開2023-127675医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラム
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  • 特開-医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127675
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031506
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 毅人
(72)【発明者】
【氏名】山本 博基
(72)【発明者】
【氏名】石原 隆尋
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB44
4C096AD03
4C096AD15
4C096AD19
4C096EA10
4C096FC20
(57)【要約】
【課題】ユーザに対してメンテナンスのタイミングを報知することができる画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、取得部と、報知部とを備える。取得部は、医用画像診断装置の使用に関する使用情報を取得する。報知部は、使用情報に基づいて、医用画像診断装置のメンテナンスを行うメンテナンスタイミングを報知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像診断装置の使用に関する使用情報を取得する取得部と、
前記使用情報に基づいて、前記医用画像診断装置のメンテナンスを行うメンテナンスタイミングを報知する報知部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記医用画像診断装置を撮影する撮影装置から、前記医用画像診断装置の使用時の状況を撮影した撮影画像を前記使用情報として取得する、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記医用画像診断装置の診断対象となる被検者の診断に係る診断条件を前記使用情報として取得する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記使用情報を解析し、前記医用画像診断装置が備える各部位の使用回数又は使用時間を導出する解析部を更に備え、
前記報知部は、前記解析部が導出した前記部位の前記使用回数又は前記使用時間の累積値が閾値を超えた場合に、当該部位のメンテナンスタイミングを報知する、
請求項2又は3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記医用画像診断装置が備える各部位のメンテナンスタイミングの決定に係る閾値を定めた設定情報に基づいて、前記使用回数又は前記使用時間の累積値が閾値を超えたか否かを判定する、
請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記設定情報には、前記累積値の算出方法として、前記使用回数又は前記使用時間を指標値に換算する換算基準が前記部位毎に設定されており、
前記報知部は、前記換算基準に基づき換算した前記指標値の累積値が閾値を超えたか否かを判定する、
請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記設定情報を設定する設定部を更に備え、
前記設定部は、前記医用画像診断装置が備える部位のうち、人体に接触する頻度が高い部位ほど前記メンテナンスタイミングが早まるように、前記閾値を低く又は前記換算基準を大きく設定する、
請求項6に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記報知部は、ユーザに前記メンテナンスタイミングまでの残り使用回数又は使用時間を報知する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記メンテナンスタイミングまでの残り使用回数又は使用時間を表す情報を表示装置に出力する出力制御部を更に備える、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記メンテナンスタイミングとして、前記医用画像診断装置が備える各部位の清掃を行うタイミング、滅菌を行うタイミング、消毒を行うタイミング、交換を行うタイミングのうち、少なくとも1つを報知する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の医用画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置である、
磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記取得部は、被検者に装着して使用されるRFコイルの前記使用情報を取得し、
前記報知部は、前記使用情報に基づいて、前記RFコイルのメンテナンスタイミングを報知する、
請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記取得部は、前記被検者の撮像条件を前記使用情報として取得する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
医用画像診断装置のコンピュータに、
医用画像診断装置の使用に関する使用情報を取得する取得ステップと、
前記使用情報に基づいて、前記医用画像診断装置のメンテナンスを行うメンテナンスタイミングを報知する報知ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置等の医用画像診断装置では、清掃、消毒、部品交換等のメンテナンスが定期的に行われている。また、ユーザが目視で装置の状態を確認して、メンテナンスのタイミングを決定することも行われている。
【0003】
しかしながら、医用画像診断装置の使用状況によっては、例えば、目視できない汚れが蓄積しているような場合もある。このような場合、ユーザがメンテナンスのタイミングを逸してしまうことから、不適切な状態で医用画像診断装置を使用してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-005665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザに対してメンテナンスのタイミングを報知することができる医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラムを提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、取得部と、報知部とを備える。取得部は、医用画像診断装置の使用に関する使用情報を取得する。報知部は、使用情報に基づいて、医用画像診断装置のメンテナンスを行うメンテナンスタイミングを報知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るMRI装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るポイント加算テーブルの一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る使用状況の確認画面の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るMRI装置が実行する処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断装置、磁気共鳴イメージング装置、及びプログラムを説明する。以下の説明では、医用画像診断装置がMRI装置であるものとして説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用RF(Radio Frequency)コイル4、局所用RFコイル5、送信回路6、受信回路7、架台8、寝台9、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、処理回路13乃至16、及びカメラ17を備える。
【0010】
静磁場磁石1は、被検者(被検者)Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、超伝導磁石や永久磁石等である。ここでいう超伝導磁石は、例えば、液体ヘリウム等の冷却剤が充填された容器と、当該容器に浸漬された超伝導コイルとから構成される。
【0011】
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検者Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。
【0012】
Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿うように設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿うように設定される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。
【0013】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。
【0014】
なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
【0015】
ここで、リードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及びスライス傾斜磁場は、それぞれ静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検者Sから発生する磁気共鳴信号に空間的な位置情報を付与する。
【0016】
全身用RFコイル4は、傾斜磁場コイル2の内周側に配置されており、撮像空間に配置された被検者Sに高周波磁場を送信し、当該高周波磁場の影響によって被検者Sから発生する磁気共鳴信号を受信する。
【0017】
具体的には、全身用RFコイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給される高周波パルス信号に基づいて、その内周側に位置する撮像空間に配置された被検者Sに高周波磁場を送信する。また、全身用RFコイル4は、高周波磁場の影響によって被検者Sから発生する磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。
【0018】
局所用RFコイル5は、被検者Sから発生した磁気共鳴信号を受信する。具体的には、局所用RFコイル5は、被検者Sの各部位に適用できるように複数種類用意されており、被検者Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の表面近傍に配置される。そして、局所用RFコイル5は、全身用RFコイル4によって送信された高周波磁場の影響によって被検者Sから発生した磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。
【0019】
なお、局所用RFコイル5は、被検者Sに高周波磁場を送信する機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用RFコイル5は、送信回路6に接続され、送信回路6から供給される高周波パルス信号に基づいて、被検者Sに高周波磁場を送信する。
【0020】
例えば、局所用RFコイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをエレメント(コイルエレメント)として組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。つまり、局所用RFコイル5は、エレメントそのものではなく、一つまたは複数のエレメントが筐体に格納されたコイル装置である。
【0021】
送信回路6は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有のラーモア周波数に対応する高周波パルス信号を全身用RFコイル4に出力する。具体的には、送信回路6は、パルス発生器、高周波発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、高周波パルス信号の波形を生成する。高周波発生器は、ラーモア周波数の高周波信号を発生する。
【0022】
変調器は、高周波発生器によって発生した高周波信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、高周波パルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって生成された高周波パルス信号を増幅して全身用RFコイル4に出力する。
【0023】
受信回路7は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路14に出力する。例えば、受信回路7は、選択器、前段増幅器、位相検波器、及び、A/D(Analog/Digital)変換器を含む。選択器は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号を選択的に入力する。
【0024】
前段増幅器は、選択器から出力される磁気共鳴信号を電力増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。A/D変換器は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することで磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路14に出力する。
【0025】
なお、ここで、受信回路7が行うものとして説明した各処理は、必ずしも全ての処理が受信回路7で行われる必要はなく、全身用RFコイル4や局所用RFコイル5で一部の処理(例えば、A/D変換器による処理等)が行われてもよい。
【0026】
架台8は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア8aを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び全身用RFコイル4を収容している。具体的には、架台8は、ボア8aの外周側に全身用RFコイル4を配置し、全身用RFコイル4の外周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の外周側に静磁場磁石1を配置した状態で、それぞれを収容している。
【0027】
ここで、架台8が有するボア8a内の空間が、撮像時に被検者Sが配置される撮像空間となる。また、架台8は、架台モニタ8bを有する。なお、架台モニタ8bは、表示部の一例である。
【0028】
寝台9は、被検者Sが載置される天板9aと、当該天板9aを上下方向及び水平方向に移動させる移動機構とを有する。ここで、上下方向は、鉛直方向であり、水平方向は、静磁場磁石1の中心軸に沿った方向である。このような構成により、寝台9は、天板9aを上下方向に移動させることで、天板9aの高さを変更可能となっている。また、寝台9は、天板9aを水平方向に移動させることで、架台8の外側の空間と、架台8の内側のボア8a内にある撮像空間との間で天板9aの位置を変更可能となっている。
【0029】
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び全身用RFコイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構造を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。
【0030】
例えば、MRI装置100は、被検者Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構造を有していてもよい。このようなオープン型の構造では、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構造におけるボアに相当する。
【0031】
インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路16に出力する。
【0032】
例えば、インタフェース10は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。
【0033】
なお、本明細書において、インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を含むものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース10の例に含まれる。
【0034】
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0035】
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、磁気共鳴データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0036】
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。寝台制御機能13aは、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。
【0037】
例えば、寝台制御機能13aは、インタフェース10、又は、架台8に設けられた操作パネルを介して、天板9aを上下方向又は水平方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する移動機構を動作させる。例えば、寝台制御機能13aは、被検者Sの撮像が行われる際に、被検者Sが載置された天板9aを架台8の内側のボア8a内にある撮像空間に移動させる。
【0038】
処理回路14は、データ収集機能14aを有する。データ収集機能14aは、各種のパルスシーケンスを実行することで、被検者Sの磁気共鳴データを収集する。具体的には、データ収集機能14aは、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、各種のパルスシーケンスを実行する。
【0039】
ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用RFコイル4に高周波パルス信号を供給するタイミング及び供給する高周波パルスの強さ、受信回路7が磁気共鳴信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。
【0040】
そして、データ収集機能14aは、パルスシーケンスを実行した結果として受信回路7から出力される磁気共鳴データを受信し、記憶回路12に記憶させる。このとき、記憶回路12に記憶される磁気共鳴データは、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によってリードアウト方向、フェーズアウト方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元のk空間を表すデータとして記憶される。
【0041】
処理回路15は、画像生成機能15aを有する。画像生成機能15aは、処理回路14によって収集された磁気共鳴データに基づいて、各種の画像を生成する。具体的には、画像生成機能15aは、処理回路14によって収集された磁気共鳴データを記憶回路12から読み出し、読み出した磁気共鳴データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。そして、画像生成機能15aは、生成した画像を記憶回路12に記憶させる。
【0042】
処理回路16は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路16は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ11に表示し、インタフェース10を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。
【0043】
例えば、処理回路16は、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路14に出力することで、磁気共鳴データを収集させる。また、例えば、処理回路16は、処理回路15を制御することで、処理回路14によって収集された磁気共鳴データに基づいて画像を生成させる。
【0044】
また、例えば、処理回路16は、操作者からの要求に応じて、記憶回路12に記憶された画像を読み出し、読み出した画像をディスプレイ11に表示させる。
【0045】
また、処理回路16は、第1取得機能16a、第2取得機能16b、第1解析機能16c、第2解析機能16d、設定機能16e、加算機能16f及び出力制御機能16gを有する。ここで、第1取得機能16a及び第2取得機能16bは、取得部の一例である。第1解析機能16cは、解析部の一例である。設定機能16eは、第1設定部及び第2設定部の一例である。出力制御機能16gは、報知部及び出力制御部の一例である。
【0046】
第1取得機能16a、第2取得機能16b、第1解析機能16c、第2解析機能16d、設定機能16e、加算機能16f及び出力制御機能16gの処理内容については、後述する。
【0047】
ここで、上述した各処理回路は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶される。そして、各処理回路は、記憶回路12から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、図1の各処理回路内に示された各機能を有することとなる。
【0048】
なお、ここでは、各プロセッサが単一のプロセッサによって実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0049】
また、図1に示す例では、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0050】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device :CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0051】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路12にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。
【0052】
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0053】
上述したMRI装置100の各構成要素は、室内の空間を電磁波から遮蔽するシールドルームとして構成された撮影室と、MRI装置100の操作を行う操作室とに分けて配置される。
【0054】
例えば、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、全身用RFコイル4、局所用RFコイル5、受信回路7、架台8、寝台9、及び処理回路13が、撮影室に配置され、傾斜磁場電源3、送信回路6、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路14乃至16が操作室に設置される。
【0055】
なお、撮影室及び操作室の他に、さらに機械室が設けられている場合には、傾斜磁場電源3、送信回路6、記憶回路12、及び処理回路14乃至16の一部又は全部が機械室に設置されてもよい。
【0056】
カメラ17は、MRI装置100を撮影する。例えば、カメラ17は、撮影室の天井や架台8に取り付けられ、MRI装置100の各部位を撮影する。カメラ17によって撮影された画像は、例えば、記憶回路12、又はPACS(Picture Archiving and Communication System)等の外部記憶装置に記録される。なお、カメラ17によって撮影された画像を「撮影画像」とも表記する。なお、撮影画像には、静止画像及び動画像が含まれるものとする。
【0057】
なお、カメラ17は、必ずしも天井に取り付けられなくてもよい。例えば、カメラ17は、架台8又は寝台9の端部に取り付けられてもよいし、架台8又は寝台9の周辺の壁に取り付けられてもよい。また、図1では、カメラ17が1台設けられる場合を説明するが、2台以上設けられていても良い。なお、カメラ17は、撮影装置の一例である。
【0058】
ところで、MRI装置においては、ユーザが目視でMRI装置の状態を確認し、清掃や消毒等のメンテナンスを行うタイミングを決定する場合がある。しかしながら、この方法では、MRI装置の各部位に目視できない汚れ等が蓄積している場合、適切なタイミングでの清掃が行われないまま、ユーザがMRI装置を使用し続けてしまう可能性がある。
【0059】
そこで、実施形態に係るMRI装置100は、ユーザに適切なメンテナンスのタイミングを報知するために、以下の各処理機能を実行する。
【0060】
第1取得機能16aは、MRI装置100の使用に関する使用情報を取得する。具体的には、第1取得機能16aは、MRI装置100のユーザや被検者S等の人が接触する部分(以下、接触部位ともいう)の使用時の状態を撮影した動画像を当該接触部位の撮影画像として取得する。
【0061】
より具体的には、第1取得機能16aは、カメラ17により撮影された動画像から、処理の対象となる対象接触部位が撮影範囲に含まれているフレーム(静止画像)を抽出する。そして、第1取得機能16aは、抽出された時間的に連続する複数のフレームを対象接触部位の撮影画像として取得する。例えば、第1取得機能16aは、所定時間(フレーム数)毎に撮影画像を取得する。また、例えば、第1取得機能16aは、動画像を形成する一連のフレームを撮影画像として取得する。
【0062】
ここで、動画像を構成する各フレームには、撮影時間の情報が含まれる。これにより、第1取得機能16aが複数のフレームを対象接触部位の撮影画像として取得した場合に、後述する第1解析機能16cは、対象接触部位の時間的変化を検出することができる。
【0063】
なお、第1取得機能16aは、MRI装置100が複数のカメラ17を備える場合、接触部位毎に対応するカメラ17を予め定めておき、対象接触部位に対応するカメラ17が撮影した動画像を対象接触部位の撮影画像として取得してもよい。
【0064】
上記の場合の接触部位の撮影画像は、MRI装置100の使用状況を記録した情報であり、MRI装置100の使用に関する情報といえる。したがって、接触部位の撮影画像は、使用情報の一例である。
【0065】
ここで、接触部位としては、例えば、上述した局所用RFコイル5、ボア8a、天板9a、操作パネル(インタフェース10の一例)、ディスプレイ11の他、寝台手置き台、コイルポート、ファントム、無線同期ユニット、マット、ペーシェントコール、移動式寝台持ち手、移動式寝台ペダル、フットスイッチ等(何れも図示せず)が挙げられる。
【0066】
第2取得機能16bは、被検者Sの診断に係る診断条件を取得する。例えば、第2取得機能16bは、被検者Sの診断に係る条件として、被検者Sの撮像に関する撮像情報を取得する。
【0067】
具体的には、第2取得機能16bは、被検者S毎に、当該被検者Sの撮像条件及び撮像部位の情報を撮像情報として取得する。MRI装置100は、撮像条件及び撮像部位に基づいて、被検者Sの撮像を実行するため、撮像条件及び撮像部位は、被検者Sから発生する磁気共鳴信号を受信する局所用RFコイル5等の使用状況を表す情報といえる。したがって、撮像条件及び撮像部位は、使用情報の一例である。
【0068】
なお、本実施形態では、第2取得機能16bは、被検者Sの撮像条件及び撮像部位の情報を撮像情報として取得するが、撮像条件又は撮像部位の何れか一方のみを撮像条件として取得してもよい。また、第2取得機能16bは、撮像プロトコルや電子カルテ等から撮像情報を取得してもよい。
【0069】
第1解析機能16cは、撮影画像を解析し、MRI装置100の各部位の使用回数又は使用時間を導出する。具体的には、第1解析機能16cは、第1取得機能16aにより取得された接触部位の撮影画像の解析を実行する。より具体的には、第1解析機能16cは、撮影画像に含まれた、MRI装置100の接触部位の使用状況を解析し、当該接触部位の使用回数及び使用時間を導出する。
【0070】
ここで、本実施形態において、使用回数とは、MRI装置100の接触部位が動作した回数又は人が接触部位に接触した回数を表す情報のことをいう。例えば、対象接触部位がボア8aや天板9aの場合、使用回数は、ボア8aや天板9aが動作を始めてから停止するまでを1回とした動作回数である。また、対象接触部位が操作パネルやディスプレイ11の場合、使用回数は、人と操作パネルやディスプレイ11とが接触した回数である。
【0071】
また、使用時間とは、MRI装置100の接触部位が動作した時間を表す情報のことをいう。例えば、対象接触部位がボア8aや天板9aの場合、使用時間は、ボア8aや天板9aが動作していた時間である。また、対象接触部位が操作パネルやディスプレイ11の場合、使用時間は、人と操作パネルやディスプレイ11とが接触していた時間である。
【0072】
なお、第1解析機能16cは、対象接触部位の特性に応じて予め定められた情報を導出する構成としてもよい。これにより、第1解析機能16cは、対象接触部位の特性に応じて、使用時間又は使用回数の何れか一方のみを導出したり、使用回数及び使用時間の両方を導出したりすることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、第1解析機能16cは、解析結果として、MRI装置100の各部位の使用回数及び使用時間を導出しているが、使用回数又は使用時間の何れか一方のみを導出してもよい。また、本実施形態では、局所用RFコイル5の使用回数及び使用時間は、後述する第2解析機能16dが導出する構成としているが、第1解析機能16cがカメラ画像から導出する構成としてもよい。
【0074】
第2解析機能16dは、被検者Sの診断条件を解析し、局所用RFコイル5の使用回数及び使用時間を導出する。具体的には、第2解析機能16dは、第2取得機能16bにより撮像情報として取得された撮像条件及び撮像部位の解析を実行する。より具体的には、第2解析機能16dは、撮像情報に含まれた、局所用RFコイル5の使用状況を解析し、局所用RFコイル5の使用回数及び使用時間を導出する。
【0075】
設定機能16eは、MRI装置100の各部位のメンテナンスタイミングの決定に係る設定情報を設定する。
【0076】
具体的には、設定機能16eは、MRI装置100の接触部位の清掃タイミングや消毒タイミング、MRI装置100の各部品の交換タイミング等を決定するため、MRI装置100の接触部位の汚染状態等の使用状況を示す指標ポイントの閾値及び加算基準を設定する。指標ポイントの閾値及び加算基準は、メンテナンスタイミングの決定に係る設定情報の一例である。指標ポイントの閾値及び加算基準の詳細については後述する。
【0077】
なお、本実施形態では、MRI装置100の各部位のメンテナンスタイミングを決定するための基準を設定機能16eが設定しているが、当該基準は、予め定められたものであってもよい。
【0078】
例えば、設定機能16eは、ユーザの指示に従い、人が触る頻度が高いMRI装置100の部位ほど、メンテナンスタイミングが早まるように、指標ポイントの閾値及び加算基準を設定したポイント加算テーブル12a(図2参照)を生成する。例えば、ポイント加算テーブル12aは、記憶回路12等に記憶される。ポイント加算テーブル12aは、ユーザの操作により更新できるようにしてもよい。
【0079】
なお、設定機能16eは、指標ポイントの閾値又は加算基準の何れか一方のみを設定してもよい。例えば、設定機能16eは、MRI装置100の全ての部位の指標ポイントの閾値を一定として、加算基準のみを部位毎に変化させて設定してもよい。
【0080】
また、汚染状態の指標は、指標ポイントの閾値及び加算基準に限らず、他の指標を用いてもよい。例えば、設定機能16eは、MRI装置100の各接触部位の使用回数の累積値の閾値や各接触部位の使用時間の累積値の閾値を、汚染状態の指標として設定してもよい。この場合、設定機能16eは、使用回数の累積値の閾値及び使用時間の累積値の閾値の両方を設定してもよいし、何れか一方を設定してもよい。
【0081】
加算機能16fは、使用情報に基づいて、MRI装置100の部位毎に指標ポイントの加算を行う。例えば、加算機能16fは、第1解析機能16c及び第2解析機能16dの解析結果、及びポイント加算テーブル12aに従い、MRI装置100の部位毎に指標ポイントの加算を行う。また、加算機能16fは、加算した指標ポイントを、例えば、記憶回路12に累積記録する。
【0082】
なお、加算機能16fは、上記に加え、前回のメンテナンスからの経過時間に応じて、指標ポイントの加算を行ってもよい。これにより、本実施形態に係るMRI装置100は、例えば、時間経過により増殖していく病原体等による汚染も考慮した適切な清掃タイミングや消毒タイミングをユーザに報知することができる。
【0083】
また、加算機能16fは、ユーザからインタフェース10を介してメンテナンスの実行の入力を受付けた場合、累積記録された指標ポイントをリセットする。
【0084】
出力制御機能16gは、MRI装置100に関する情報の出力を制御する。例えば、出力制御機能16gは、処理回路15の画像生成機能15aが生成した画像をディスプレイ11に表示させる制御を行う。また、出力制御機能16gは、使用情報に基づいて、MRI装置100のメンテナンスを行うメンテナンスタイミングを報知する制御を行う。
【0085】
具体的には、出力制御機能16gは、第1解析機能16c又は第2解析機能16dが導出したMRI装置100の各部位の使用回数又は使用時間の累積値が閾値を超えた場合に、当該部位のメンテナンスタイミングを報知する。
【0086】
例えば、出力制御機能16gは、操作パネルの指標ポイントの累積値が、設定機能16eにより設定された、操作パネルの指標ポイントの閾値を超えた場合、ユーザに対して操作パネルの清掃タイミングになったことを報知するポップアップメッセージをディスプレイ11に表示する制御を行う。なお、報知の方法はポップアップメッセージに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16gは、スピーカから特定の音を鳴らすこと等で報知を行ってもよい。
【0087】
また、出力制御機能16gは、ユーザにメンテナンスタイミングに達するまでの残り使用回数又は使用時間を報知する。例えば、出力制御機能16gは、指標ポイントが一定の数値に達した場合に、ポイント加算テーブル12aに基づいて、残り使用回数又は使用時間を算出する。出力制御機能16gは、算出した残り使用回数又は使用時間をディスプレイ11に表示する制御を行うことにより、ユーザにメンテナンスタイミングに達するまでの残り使用回数又は使用時間を報知する。
【0088】
また、出力制御機能16gは、メンテナンスまでの残り使用回数又は使用時間を表す情報を表示装置に出力する。例えば、出力制御機能16gは、MRI装置100の各部位について、現在の指標ポイントと、メンテナンスタイミングとなる指標ポイントの数値と、を表示する使用状況の確認画面11a(図3参照)をディスプレイ11に表示させる制御を行う。
【0089】
以下、指標ポイントの加算処理及びメンテナンスタイミングの報知処理について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、実施形態に係るポイント加算テーブル12aの一例を示す図である。設定機能16eは、例えば、ユーザの指示に従い、図2に示すようなポイント加算テーブル12aを生成する。
【0090】
ここで、図2のポイント加算テーブル12aは、MRI装置100の接触部位毎に、メンテナンスタイミングと判断する指標ポイントの「閾値」と、指標ポイントの加算基準を表す「ポイント」とを定めたデータテーブルである。指標ポイントの加算基準は、使用回数又は使用時間を指標ポイントに換算するものといえるため、換算基準の一例である。
【0091】
例えば、ポイント加算テーブル12aの1行目は、対象接触部位が「ペーシェントコール」に関する閾値と加算基準とを定めたものである。具体的には、「ペーシェントコール」の指標ポイントの閾値が、「1000」であることを示している。また、被検者Sが1回ペーシェントコールを持つ(保持する)毎に「20」ポイントを指標ポイントとして加算するとともに、保持する時間が1分経過する毎に「1」ポイントを加算することを定めている。
【0092】
同様に、図2のポイント加算テーブル12aの2行目は、対象接触部位が「16chフレックスコイル」に関する閾値と加算基準とを定めたものである。具体的には、「16chフレックスコイル」の指標ポイントの閾値が、「1000」であることを示している。また、1回の頭部巻き付けでの撮像を行う毎に「20」ポイントを指標ポイントとして加算するとともに、1回の頭部巻き付けでの撮像の撮像時間に応じて、1分毎に「1」ポイントを加算することを定めている。
【0093】
また、図2のポイント加算テーブル12aの2行目は、1回の腹部の撮像を行う毎に「10」ポイントを指標ポイントとして加算するとともに、1回の腹部の撮像の撮像時間に応じて、1分毎に「0.5」ポイントを加算することを定めている。
【0094】
なお、16chフレックスコイルは、RFコイルの一例である。ここで、頭部巻き付けでの撮像の方が腹部撮像よりも加算されるポイントが高くなっているのは、頭部巻き付けでの撮像の場合、16chフレックスコイルが直接被検者Sに触れることになるのに対し、腹部の撮像の場合は、被検者Sが身に着けている衣服越しに被検者Sに触れることになるため、汚染の度合いが低くなるからである。
【0095】
したがって、例えば、同じ16chフレックスコイルであっても、頭部巻き付けでの撮像のみを実行し続けた場合と、腹部撮像のみを実行し続けた場合とでは、頭部巻き付けでの撮像のみを実行し続けた場合の方が早く指標ポイントの閾値に達することになる。
【0096】
このように、設定機能16eは、同じRFコイルであったとしても、被検者Sの撮像部位によって加算されるポイントを変化させて、指標ポイントの加算基準を設定する。これにより、本実施形態に係るMRI装置100は、より適切なメンテナンスタイミングをユーザに報知することが可能となる。
【0097】
また、設定機能16eは、ユーザや被検者Sが手等で直接触れる接触部位については、指標ポイントを高く(又は閾値を低く)設定することが好ましい。これにより、ユーザや
被検者Sが触れる頻度が高い接触部位については、頻繁にユーザに報知が行われるようになり、清掃も頻繁に行われるようになる。そして、清掃を頻繁に行うことで、ユーザや被検者Sが触れる頻度が高い接触部位について清潔な環境を保つことができる。
【0098】
ここで、被検者Sに対して頭部巻き付けでの撮像が1回3分間行われ、被検者Sがその間ペーシェントコールを持ち続け、ユーザが操作パネルに10回触れた場合を例に説明する。
【0099】
この場合、まず、第1取得機能16aは、MRI装置100の各接触部位を撮影した動画像を取得する。次いで、第1取得機能16aは、当該動画像からペーシェントコールが撮影範囲に含まれているフレームを抽出する。そして、第1取得機能16aは、抽出した複数のフレームをペーシェントコールの撮影画像として取得する。
【0100】
また、上記と同様に、第1取得機能16aは、取得した動画像から操作パネルが撮影範囲に含まれるフレームを抽出する。そして、第1取得機能16aは、抽出した複数のフレームを操作パネルの撮影画像として取得する。
【0101】
次に、第1解析機能16cは、ペーシェントコールの撮影画像を解析することで、被検者Sが「ペーシェントコール」を1回保持し、3分間保持し続けたという「ペーシェントコール」の使用回数及び使用時間を導出する。また、上記と同様に、第1解析機能16cは、操作パネルの撮影画像を解析することで、ユーザが「操作パネル」に10回接触したという「操作パネル」の使用回数を導出する。
【0102】
また、第2取得機能16bは、被検者Sに対して実行された撮像の撮像条件及び撮像部位を撮像情報として取得する。次いで、第2解析機能16dは、撮像情報を解析することで、16chフレックスコイルを用いて頭部巻き付けで3分間の撮像が実行されたという16chフレックスコイルの使用時間を導出する。
【0103】
加算機能16fは、第1取得機能16a及び第2取得機能16bが取得した、MRI装置100の各部位の使用状況に基づき、指標ポイントを、累積記録された指標ポイントに加算する。
【0104】
具体的には、加算機能16fは、第1解析機能16c及び第2解析機能16dが導出した使用回数及び使用回数に基づき、「ペーシェントコール」について、「20(ポイント)+1(ポイント)×3(分)=23(ポイント)」の指標ポイントを、累積記録されている「ペーシェントコール」の指標ポイントに加算する。
【0105】
同様に、加算機能16fは、「16chフレックスコイル」について、「20(ポイント)+1(ポイント)×3(分)=23(ポイント)」の指標ポイントを、累積記録されている「16chフレックスコイル」の指標ポイントに加算する。また、同様に、加算機能16fは、「操作パネル」に「0.5(ポイント)×10(回)=5(ポイント)」の指標ポイントを、累積記録されている「操作パネル」の指標ポイントに加算する。
【0106】
加算機能16fによる加算結果は、出力制御機能16gによりディスプレイ11等に出力される。ここで、図3は、使用状況の確認画面11aの一例を示す図である。使用状況の確認画面11a(以下、単に確認画面11aともいう)は、例えば、ユーザから確認画面11aの表示指示を受付けた場合に、出力制御機能16gの制御によりディスプレイ11に表示される。
【0107】
確認画面11aは、部位名称NM、メータMT、及びマークMRから構成される。部位名称NMは、MRI装置100の各接触部位の名称を表す。メータMTは、接触部位毎の指標ポイントを表す。メータMTは、図中右方に行けば行くほど指標ポイントが高いことを表している。マークMRは、清掃タイミングを表す。マークMRの位置は、ポイント加算テーブル12aに設定された閾値に対応している。
【0108】
上記のように、加算機能16fによりMRI装置100の各接触部位に指標ポイントが加算されると、出力制御機能16gは、加算されたポイント分、確認画面11a上の指標ポイントを表すメータを右方へ移動(増加)させる。
【0109】
図3に示した形態で使用状況の確認画面が表示されることにより、ユーザは、メータMTとマークMRとの位置関係から、各接触部位の清掃タイミングを直感的に把握することができる。つまり、図3に示した表示形態を採用することにより、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0110】
また、出力制御機能16gは、例えば、指標ポイントを表すメータの色を、清掃タイミングが近づくと青色から黄色に変化させ、更に清掃タイミングが近づくと黄色から赤色に変化させる。これにより、ユーザは、MRI装置100の各部位について、あとどれくらいの使用で清掃タイミングになるかを視覚的に把握することができる。
【0111】
そして、例えば、16chフレックスコイルの指標ポイントが図3に示した清掃タイミングを超えた場合、出力制御機能16gは、16chフレックスコイルの清掃タイミングが訪れたことをユーザに報知する。これにより、ユーザは適切なタイミングで16chフレックスコイルの清掃を実行することができる。なお、図3に示した表示形態は一例であり、使用状況の確認画面の表示形態はこれに限定されるものではない。
【0112】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るMRI装置100が実行する処理について説明する。図4は、実施形態に係るMRI装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、第1取得機能16aは、MRI装置100の各部位を撮影した撮影画像を取得する(ステップS1)。具体的には、第1取得機能16aは、カメラ17により撮影された各接触部位の撮影画像を取得する。
【0114】
次いで、第1解析機能16cは、撮影画像の画像解析を行う(ステップS2)。具体的には、第1解析機能16cは、第1取得機能16aにより取得された各対象接触部位の撮影画像の解析を実行する。第1解析機能16cは、解析結果から、各接触部位の使用回数及び使用時間を導出する。
【0115】
次いで、第2取得機能16bは、被検者Sの撮像に関する撮像情報を取得する(ステップS3)。具体的には、第2取得機能16bは、被検者Sの撮像条件及び撮像部位を撮像情報として取得する。
【0116】
第2解析機能16dは、撮像情報の解析を行う(ステップS4)。具体的には、第2解析機能16dは、第2取得機能16bにより撮像情報として取得された撮像条件及び撮像部位の解析を実行する。第2解析機能16dは、解析結果から、局所用RFコイル5の使用回数及び使用回数を導出する。
【0117】
次いで、加算機能16fは、第1解析機能16c及び第2解析機能16dの解析結果に基づき、MRI装置100の各部位の指標ポイントの加算を行う(ステップS5)。具体的には、加算機能16fは、ポイント加算テーブル12aと、第1解析機能16c及び第2解析機能16dにより解析結果として取得されたMRI装置100の各部位の使用回数及び使用時間と、に基づいて、MRI装置100の各部位について、指標ポイントを加算する。
【0118】
次いで、出力制御機能16gは、MRI装置100の各部位について、指標ポイントの閾値を超えている部位が存在するか否かを確認する(ステップS6)。閾値を超えている部位が存在しない場合(ステップS6:No)、ステップS1の処理に移行する。
【0119】
一方、閾値を超えている部位が存在する場合(ステップS6:Yes)、出力制御機能16gは、ユーザに当該部位のメンテナンスを実行するよう促す報知を行う(ステップS7)。具体的には、出力制御機能16gは、ユーザに当該部位のメンテナンスを実行するよう促すポップアップメッセージをディスプレイ11に表示させる制御を行う。
【0120】
次いで、加算機能16fは、ユーザからメンテナンスの実行入力を受付けたか否かを確認する(ステップS8)。メンテナンスの実行入力を受付けていない場合(ステップS9:No)、ステップS1の処理に移行する。一方、メンテナンスの実行入力を受付けた場合(ステップS9:Yes)、加算機能16fは、指標ポイントをリセットし、本処理を終了する(ステップS9)。
【0121】
以上に述べた実施形態に係るMRI装置100は、MRI装置100に対する使用に関する使用情報を取得し、当該使用情報に基づいて、MRI装置100に対するメンテナンスタイミングを報知する。
【0122】
これにより、ユーザは、目視でMRI装置100の状態を確認しなくても、部品の清掃タイミング、部品の消毒タイミング、及び部品の交換タイミング等のメンテナンスを実行するタイミングを知ることができる。つまり、本実施形態に係るMRI装置100によれば、ユーザに対して適切なメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0123】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、MRI装置100の各部位を撮影するカメラ17を備え、カメラ17により撮影された、MRI装置100の各接触部位の撮影画像に基づいて、使用情報を取得する。これにより、本実施形態に係るMRI装置100は、例えば、ユーザや被検者S等がMRI装置100の各部位に触れたこと等を正確に把握できる。したがって、本実施形態に係るMRI装置100は、ユーザが目視する場合よりも正確にMRI装置100の各部位の使用状況を把握することができる。
【0124】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、接触部位の撮影画像を解析することにより、MRI装置100の各部位の使用回数又は使用時間を取得し、当該使用回数又は使用時間を表す指標ポイントが閾値を超えた場合に、MRI装置100に対するメンテナンスタイミングを報知する。
【0125】
これにより、本実施形態に係るMRI装置100は、ユーザが目視しても把握することが難しいMRI装置100の各部位の使用回数又は使用時間に基づいて、ユーザにMRI装置100に対するメンテナンスタイミングを報知することができる。つまり、本実施形態に係るMRI装置100によれば、ユーザに対してより適切なメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0126】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、MRI装置100の各部位のメンテナンスタイミングを決定するための基準を、人が触る頻度が高い部位ほど、メンテナンスのタイミングが早まるように設定する。これにより、本実施形態に係るMRI装置100は、人が触れやすい部分ほど早い段階でメンテナンスタイミングをユーザに報知することができる。つまり、本実施形態に係るMRI装置100によれば、ユーザに対してより適切なメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0127】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、ユーザにメンテナンスまでの残り使用回数又は使用時間を報知する。これにより、ユーザはメンテナンスタイミングが訪れる前に、あとどれくらいの使用でメンテナンスを実行する必要があるのかを把握することができる。
【0128】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、ユーザにメンテナンスまでの残り使用回数又は使用時間を表示装置に表示する制御を行う。これにより、ユーザはあとどれくらいの使用でメンテナンスを実行する必要があるのかを視覚的に把握することができる。
【0129】
また、本実施形態に係るMRI装置100は、被検者Sの撮像条件又は撮像部位に基づいて、RFコイルの使用回数又は使用時間を取得する。RFコイルは、被検者Sの撮像条件や撮像部位に応じて動作するため、本実施形態に係るMRI装置100は、カメラ17でRFコイルを撮影する場合よりも正確にRFコイルの使用状況を把握することができる。
【0130】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0131】
(変形例1)
上述の実施形態においては、医用画像診断装置がMRI装置である場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。医用画像診断装置は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、一般X線撮影装置、PET-CTシステム、アンギオ-CTシステム、核医学診断装置等であってもよい。
【0132】
本変形例によれば、MRI装置以外の医用画像診断装置でも上述した実施形態と同様に、ユーザに対してより適切なメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0133】
(変形例2)
上述の実施形態においては、出力制御機能16gがメンテナンスタイミングとして、清掃タイミング、消毒タイミング、及び部品の交換タイミングを報知する形態について説明した。しかしながら、メンテナンスタイミングの種類はこれに限定されるものではない。例えば、出力制御機能16gは、メンテナンスタイミングとして滅菌タイミングを報知してもよい。
【0134】
本変形例によれば、出力制御機能16gは、滅菌が必要な部位が存在する医用画像診断装置について、適切な滅菌タイミングを報知することができる。
【0135】
(変形例3)
上述の実施形態においては、加算機能16fが、ユーザからメンテナンスの実行の入力を受付けた場合に累積記録された指標ポイントをリセットする形態について説明した。しかしながら、加算機能16fは、接触部位の撮影画像の解析結果に基づいて、メンテナンスの実行を認識し、メンテナンスの実行を認識した場合に累積記録された指標ポイントをリセットしてもよい。
【0136】
本変形例では、第1取得機能16aは、カメラ17により撮影された接触部位の清掃を行うユーザの動画像を取得する。加算機能16fは、当該動画像の解析結果から、ユーザによる対象接触部位の清掃の実行を認識する。そして、加算機能16fは、ユーザによる清掃の実行を認識した場合、累積記録された対象接触部位の指標ポイントをリセットする。
【0137】
本変形例によれば、加算機能16fは、ユーザからメンテナンスの実行の入力を受付ける必要がなくなる。したがって、本変形例に係るMRI装置100は、ユーザのメンテナンスの実行の入力の失念により、ユーザがMRI装置100の各部位の使用状況を正しく把握できなくなってしまう事態を防止することができる。
【0138】
(変形例4)
上述の実施形態においては、MRI装置100は、接触部位を処理の対象とする形態について説明した。しかしながら、MRI装置100は、接触部位以外の非接触部位を処理の対象としてもよい。
【0139】
本変形例において、第2解析機能16dは、被検者Sの撮像条件等の診断条件に基づいて、対象非接触部位の使用回数及び使用時間を導出する。また、加算機能16fは、第2解析機能16dが導出した対象非接触部位の使用回数及び使用時間及びポイント加算テーブル12aに従い、対象非接触部位の指標ポイントの累積値に指標ポイントの加算を行う。そして、出力制御機能16gは、対象非接触部位の指標ポイントの累積値が閾値を超えた場合に、当該部位のメンテナンスタイミングを報知する。
【0140】
本変形例によれば、例えば、全身用RFコイル4を構成する部品等のMRI装置100の非接触部位について、ユーザに対して部品交換等のメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0141】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザに対してメンテナンスのタイミングを報知することができる。
【0142】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
100 MRI装置
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
3 傾斜磁場電源
4 全身用RFコイル
5 局所用RFコイル
6 送信回路
7 受信回路
8 架台
8a ボア
8b 架台モニタ
9 寝台
9a 天板
10 インタフェース
11 ディスプレイ
12 記憶回路
13 処理回路
13a 寝台制御機能
14a データ収集機能
14 処理回路
15a 画像生成機能
15 処理回路
16 処理回路
16a 第1取得機能
16b 第2取得機能
16c 第1解析機能
16d 第2解析機能
16e 設定機能
16f 加算機能
16g 出力制御機能
図1
図2
図3
図4