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特開2023-127727巻回体入り収容箱、および収容箱中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127727
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】巻回体入り収容箱、および収容箱中間体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20230907BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65D5/72 A ZBP
B65D25/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031593
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】関 孝幸
【テーマコード(参考)】
3E060
3E062
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA13
3E060BB01
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA17
3E060DA30
3E060EA08
3E060EA14
3E062AA01
3E062AB13
3E062AC02
3E062AC03
3E062AC05
3E062AC07
3E062LA06
3E062LA19
(57)【要約】
【課題】収容箱のなかの巻回体の動きを規制する収容箱を提供する。
【解決手段】副前板は、底板に向けて凸となる切れ込み線によって区切られたフラップを備え、フラップは、切れ込み線の一方の端部と他方の端部とに挟まれた部分を有する第1フラップと、第1フラップに接続線を介して連接する第2フラップと、を備え、底板から開口に向く方向は、高さ方向であり、フラップは、高さ方向における巻回体の中心よりも開口側において後板に向けて凸となるように接続線で山折りされている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された長尺物を有する巻回体と、
前記巻回体を収容する収容箱と、を備え、
前記収容箱は、開口を備える本体部と、前記開口を開閉可能な蓋部と、を備え、
前記本体部は、前記開口と対向する底板と、前記蓋部が連接する後板と、前記後板に対向する前板と、前記開口を区画する前記前板の前板端辺で前記前板に接続され、かつ前記前板に対する前記本体部の内側に折り曲げられた副前板と、を備え、
前記副前板は、切れ込み線の一方の端部から他方の端部へ前記底板に向けて凸となる前記切れ込み線によって区切られたフラップを備え、
前記フラップは、前記切れ込み線の前記一方の端部と前記他方の端部とに挟まれた部分を有する第1フラップと、前記第1フラップに接続線を介して連接する第2フラップと、を備え、
前記底板から前記開口に向く方向は、高さ方向であり、
前記フラップは、前記高さ方向における前記巻回体の中心よりも前記開口側において前記後板に向けて凸となるように前記接続線で山折りされている
巻回体入り収容箱。
【請求項2】
前記接続線は、切れ線、ミシン目、半切れ線の少なくとも1つである
請求項1に記載の巻回体入り収容箱。
【請求項3】
前記副前板は、前記副前板の長手方向に並ぶ複数の前記フラップを備える
請求項1または2に記載の巻回体入り収容箱。
【請求項4】
前記副前板は、複数の前記フラップを備え、
複数の前記フラップは、前記副前板の長手方向における中心を挟むように位置する
請求項1から3のいずれか一項に記載の巻回体入り収容箱。
【請求項5】
前記副前板は、少なくとも前記副前板の長手方向における中心に配置された前記フラップを備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の巻回体入り収容箱。
【請求項6】
前記第2フラップの少なくとも一部は、前記巻回体と接触している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の巻回体入り収容箱。
【請求項7】
巻回された長尺物を有する巻回体を内部に収容するための収容箱の中間体であって、
前記収容箱は、開口を備える本体部と、前記開口を開閉可能な蓋部と、を備え、
前記本体部は、前記開口と対向する底板と、前記蓋部が連接する後板と、前記後板に対向する前板と、前記開口を区画する前記前板の前板端辺で前記前板に接続され、かつ前記前板に対する前記本体部の内側に折り曲げられた副前板と、を備え、
前記蓋部は、前記前板の外側に接合された蓋部前板と、前記後板に連接する蓋部頂板とを備え、
前記中間体は、
前記前板の外側に前記蓋部前板が接合されることによって、前記底板、前記後板、前記蓋部頂板、および前記蓋部前板を、外周壁とする筒状を備え、前記外周壁の内側に、前記前板と、前記前板に対する前記外周壁の内側に折り曲げられた前記副前板と、を備え、
前記中間体は、内部に前記巻回体が挿入される前の扁平筒状を備え、前記扁平筒状から、前記中間体の内部に前記巻回体が挿入される際には、前記底板に対し前記前板が立ち上がる筒状に変形するように構成され、
前記副前板は、切れ込み線の一方の端部から他方の端部へ前記底板に向けて凸となる前記切れ込み線によって区切られたフラップを備え、
前記フラップは、前記切れ込み線の前記一方の端部と前記他方の端部とに挟まれた部分を有する第1フラップと、前記第1フラップに接続線を介して連接する第2フラップと、を備え、
前記底板から前記開口に向く方向は、高さ方向であり、
前記切れ込み線は、前記底板に対し前記前板が立ち上がることによって、前記副前板から前記外周壁の内側に前記フラップが立ち上がることを促し、
前記接続線は、前記底板に対し前記前板が立ち上がることによって、前記高さ方向における前記巻回体の中心よりも前記開口側において前記後板に向けて前記フラップが凸となる山折りを誘導する
収容箱中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回体を収容する巻回体入り収容箱、および収容箱中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
収容箱の一例は、ラップフィルムを収容するための直方体状のカートンである。筒状の芯体に巻き回されたラップフィルムは、収容箱の内面と巻回体の間に隙間を空けた状態で、収容箱に収容されている。
【0003】
収容箱と巻回体との間の隙間により、巻回体は、ラップフィルムの引き出し時に、収容箱のなかで前後方向に動いたり、芯体の軸線が左右方向に対して斜めになるように動いたりする。こうした巻回体の動きによる不安定な引き出しは、ラップフィルムを切断しにくくしたり、本来切断されるべき方向に対して斜めとなる方向にラップフィルムの切断を誘導したりする。また、巻回体は、収容箱と巻回体との間の隙間により、ラップフィルムの引き出し時に飛び出しやすい。
【0004】
上述した巻回体の動きを抑制する収容箱の一例は、収容箱の内側に、前板の上辺で折り返された副前板を備える。収容箱の内側に配置される副前板は、収容箱の前板と面接触すると共に、副前板の面内に形成された折返し片を含む。折返し片は、先端部が前板から離れるように収容箱の内側に向けて折り返されている。折返し片は、後方、かつ底板に向けて巻回体を押さえ付け、これによって、収容箱のなかでの巻回体の動きや、巻回体の飛び出しを抑える(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-210486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、収容箱から巻回体を取り出し、再度収容するときに、上述した折返し片の形状を、折られる前の平面状に戻してしまうことがあった。
例えば、折返し片は底板に向けて突となり、かつ折返し片の先端が上方に向くように谷折りされている。引き出されたラップフィルムが収容箱のなかに戻ってしまった場合のように、巻回体を収容箱から一度取り出して収容箱に再度収容するとき、上方に向く折返し片の先端と巻回体との接触により、折返し片は底板に向けて先端が押し込まれる。結果として、折返し片の先端が底板に向いてしまい、折られる前の平面状に戻されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための巻回体入り収容箱は、巻回された長尺物を有する巻回体と、前記巻回体を収容する収容箱と、を備え、前記収容箱は、開口を備える本体部と、前記開口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記本体部は、前記開口と対向する底板と、前記蓋部が連接する後板と、前記後板に対向する前板と、前記開口を区画する前記前板の前板端辺で前記前板に接続され、かつ前記前板に対する前記本体部の内側に折り曲げられた副前板と、を備え、前記副前板は、切れ込み線の一方の端部から他方の端部へ前記底板に向けて凸となる前記切れ込み線によって区切られたフラップを備え、前記フラップは、前記切れ込み線の前記一方の端部と前記他方の端部とに挟まれた部分を有する第1フラップと、前記第1フラップに接続線を介して連接する第2フラップと、を備え、前記底板から前記開口に向く方向は、高さ方向であり、前記フラップは、前記高さ方向における前記巻回体の中心よりも前記開口側において前記後板に向けて凸となるように前記接続線で山折りされている。
【0008】
上記課題を解決するための収容箱中間体は、巻回された長尺物を有する巻回体を内部に収容するための収容箱の中間体であって、前記収容箱は、開口を備える本体部と、前記開口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記本体部は、前記開口と対向する底板と、前記蓋部が連接する後板と、前記後板に対向する前板と、前記開口を区画する前記前板の前板端辺で前記前板に接続され、かつ前記前板に対する前記本体部の内側に折り曲げられた副前板と、を備え、前記蓋部は、前記前板の外側に接合された蓋部前板と、前記後板に連接する蓋部頂板とを備え、前記中間体は、前記前板の外側に前記蓋部前板が接合されることによって、前記底板、前記後板、前記蓋部頂板、および前記蓋部前板を、外周壁とする筒状を備え、前記外周壁の内側に、前記前板と、前記前板に対する前記外周壁の内側に折り曲げられた前記副前板と、を備え、前記中間体は、内部に前記巻回体が挿入される前の扁平筒状を備え、前記扁平筒状から、前記中間体の内部に前記巻回体が挿入される際には、前記底板に対し前記前板が立ち上がる筒状に変形するように構成され、前記副前板は、切れ込み線の一方の端部から他方の端部へ前記底板に向けて凸となる前記切れ込み線によって区切られたフラップを備え、前記フラップは、前記切れ込み線の一方の端部と前記他方の端部とに挟まれた部分を有する第1フラップと、前記第1フラップに接続線を介して連接する第2フラップと、を備え、前記底板から前記開口に向く方向は、高さ方向であり、前記切れ込み線は、前記底板に対し前記前板が立ち上がることによって、前記副前板から前記外周壁の内側に前記フラップが立ち上がることを促し、前記接続線は、前記底板に対し前記前板が立ち上がることによって、前記高さ方向における前記巻回体の中心よりも前記開口側において前記後板に向けて前記フラップが凸となる山折りを誘導する。
【0009】
上記各構成によれば、高さ方向における巻回体の中心よりも開口側に、後板に向けて凸となるように山折りされたフラップが配置される。フラップの第2フラップは、前板に向けた巻回体の動きを抑制すると共に、開口に向けた巻回体の動きを抑制する。これによって、収容箱のなかでの巻回体の動きや、巻回体の飛び出しが抑えられる。そして、巻回体を収容箱から一度取り出して収容箱に再度収容するとき、後板に向くフラップの先端と、底板に向くフラップの先端とは、後板と底板とにそれぞれ向き続け、結果として、フラップの山折りが保たれやすい。したがって、フラップの山折りが、折られる前の平面状に戻りにくい分だけ、巻回体の再度の収容後も、巻回体の動きや、巻回体の飛び出しが抑えられる。
【0010】
上記巻回体入り収容箱において、前記接続線は、切れ線、ミシン目、半切れ線の少なくとも1つでもよい。この構成によれば、フラップの折り癖が保たれやすいため、巻回体の再度の収容後においても、巻回体の動きや、巻回体の飛び出しが抑えられる効果の実効性が高められる。
【0011】
上記巻回体入り収容箱において、前記副前板は、前記副前板の長手方向に並ぶ複数の前記フラップを備えてもよい。この構成によれば、副前板の長手方向に複数のフラップが並ぶため、巻回体の動きや、巻回体の飛び出しを抑える効果が、巻回体の軸方向における複数の部位で得られる。
【0012】
上記巻回体入り収容箱において、前記副前板は、複数の前記フラップを備え、複数の前記フラップは、前記副前板の長手方向における中心を挟むように位置してもよい。この構成によれば、副前板の長手方向におけるフラップの位置に偏りを抑えるため、巻回体の動きや、巻回体の飛び出しを抑える効果が、巻回体の軸方向で均一化される。
【0013】
上記巻回体入り収容箱において、前記副前板は、少なくとも前記副前板の長手方向における中心に配置された前記フラップを備えてもよい。この構成によれば、副前板の長手方向における中心にフラップが配置されるため、巻回体の長尺物が収容箱から引き出されるときなどのように、巻回体を動かす外力が長手方向の中心から作用する場合に、巻回体の動きや、巻回体の飛び出しが好適に抑えられる。
【0014】
上記巻回体入り収容箱において、前記第2フラップの少なくとも一部は、前記巻回体と接触してもよい。この構成によれば、第2フラップの少なくとも一部が、巻回体に接触しているため、収容箱のなかでの巻回体の動きや、巻回体の飛び出しを抑える効果の実効性がさらに高められる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、開封前の収容箱を正面右側上方から見た収容箱の斜視図である。
図2図2は、開封後の収容箱を正面右側上方から見た収容箱の斜視図である。
図3図3は、収容箱の内部から副前板を見た山折り前の副前板の平面図である。
図4図4は、収容箱の内部から副前板を見た山折り後の副前板の平面図である。
図5図5は、扁平筒状の収容箱中間体を示す断面図である。
図6図6は、積層前板が立ち上げられた収容箱中間体の断面図である。
図7図7は、山折り後の副前板の断面図である。
図8図8は、収容箱中間体を製造するためのブランクを示す平面図である。
図9図9は、変更例の収容箱における副前板の平面図である。
図10図10は、変更例の収容箱における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図8を参照して、巻回体入り収容箱の一実施形態を説明する。まず、図1図2とを参照して巻回体入り収容箱の全体に関わる構成を説明する。次に、図3図4を参照して巻回体入り収容箱の副前板を説明する。図5から図7を参照して収容箱中間体、および巻回体入り収容箱の作用を説明する。なお、巻回体入り収容箱における各構成の説明を補助するため、図8を参照して収容箱中間体、および巻回体入り収容箱を製造するためのブランクを適宜参照する。
【0017】
[巻回体入り収容箱]
図1が示すように、巻回体入り収容箱は、収容箱10と、ラップフィルム巻回体(以下、単に巻回体50Rともいう)とを備える。収容箱10は、1つの方向に延びる直方体状を有する。収容箱10、および収容箱10を製造するための収容箱中間体は、例えば、コートボール紙などの1枚の厚紙からなるブランク(図8を参照)を折り曲げて接着することによって製造される。巻回体50Rは、芯材となる紙製の筒体50Cと、長尺物の一例であるラップフィルム50とを備える。ラップフィルム50は、筒体50Cに巻き付けられている。筒体50Cの軸方向Aの長さは、ラップフィルム50の左右方向における長さよりも長い。筒体50Cの軸方向Aの両端は、巻回されたラップフィルム50のフィルム端から突出している。
【0018】
[収容箱10]
収容箱10は、本体部20と蓋部30とを備える。本体部20は、上面が開口した直方体状を有する。本体部20は、前板の一例である積層前板21、後板22、右脇板23、左脇板24、および、底板25を備える。右脇板23と、左脇板24とは、左右で一対の脇板を構成する。積層前板21、後板22、右脇板23、および、左脇板24は、底板25から立設し、1つの周壁を構成する。
【0019】
本体部20と蓋部30とを構成する材料は、特に限定されず、例えば、プラスチック、金属、ダンボール、または複数の厚紙が積層された積層板でもよいし、1枚の厚紙でもよい。収容箱10の製造における取り扱いが容易である点から、本体部20と蓋部30とを構成する材料は、コートボール紙などの板紙であることが好ましい。
【0020】
図2が示すように、本体部20の開口20Tは、周壁の上辺によって区画される。巻回体50Rは、開口20Tを通じて出し入れされる。巻回体50Rの軸方向Aは、収容箱10が延在する方向とほぼ平行である。ラップフィルム50は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテンからなる群から選択されるいずれか1種類を原材料とするフィルム、もしくは、これらを組み合わせた多層フィルムであるが、これに限定されるものではない。巻回体50Rの動きを抑制することで、ラップフィルム50の最外層に位置するフィルムが傷つくことを抑えられる点から、ラップフィルム50は、塩化ビニリデン系樹脂を主成分とすることが好ましい。塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン単位を含むものであればよい。
【0021】
以下、底板25に対する開口20Tの側を上側、開口20Tに対する底板25の側を下側として説明する。また、積層前板21に対する後板22の側を後側、後板22に対する積層前板21の側を前側として説明する。また、右脇板23に対する左脇板24の側を左側、および、左脇板24に対する右脇板23の側を右側として説明する。積層前板21から後板22に向かう方向は、幅方向DWである。底板25から開口20Tに向かう方向は、高さ方向DHである。右脇板23から左脇板24に向かう方向、および左脇板24から右脇板23に向かう方向は、長手方向DLである。
【0022】
[本体部20]
積層前板21、後板22、および底板25は、それぞれ左右方向に延びる矩形板状を有する。積層前板21と後板22とは、前後方向に向かい合う。底板25の前辺は、積層前板21の下辺であり、底板25の後辺は、後板22の下辺である。また、積層前板21において高さ方向DHに延びる辺は前板短辺であり、後板22の高さ方向DHに延びる辺は後板短辺である。
【0023】
右脇板23、および左脇板24は、矩形板状を有し、左右方向に向かい合う。右脇板23の下辺は、積層前板21の下辺、後板22の下辺、および、底板25の右辺に繋がる。左脇板24の下辺もまた、積層前板21の下辺、後板22の下辺、および、底板25の左辺に繋がる。
【0024】
積層前板21は、主前板21B(図6を参照)と副前板21A(図6を参照)とを備える。主前板21Bは、積層前板21の外表面を構成する。副前板21Aは、本体部20の内表面を構成する。副前板21Aは、主前板21Bの上辺である前板端辺21Tにおいて主前板21Bに連接する。副前板21Aは、主前板21Bに対して前板端辺21Tで本体部20の内側に折り曲げられている。
【0025】
主前板21Bの外表面は、ラップフィルム50を仮止めするための仮止め部21Sを備える。主前板21Bは、左右で一対の主前板フラップ21Fを備える。主前板フラップ21Fは、主前板21Bのなかの高さ方向DHの中央よりも前板端辺21T寄りで、仮止め部21Sを左右方向で挟むように位置する。
【0026】
主前板フラップ21Fは、前板端辺21Tのなかの一部分と、主前板21Bにおける前板端辺21Tの近傍に両端を有した曲線状の切れ込み線21FCとによって囲まれる。切れ込み線21FCは、主前板21Bの前板端辺21T近傍の一端から近傍の他端に向けて底板25側に凸となる曲線状を有する。主前板フラップ21Fにおける長手方向DLの長さの一例は、主前板21Bにおける長手方向DLの長さの1/3以上1/2以下である。主前板フラップ21Fにおける長手方向DLの位置は、主前板21Bの長手方向DLにおける中心を挟んで左右に形成されている。
【0027】
主前板21Bは、副前板21Aに対し前板端辺21Tで折り曲げられることによって、積層前板21のなかの前板端辺21T付近に、主前板フラップ21Fの折り曲げを戻すように、板紙の復元力が作用する。切れ込み線21FCの両端が前板端辺21T上に形成されると板紙の復元力は強くなり、主前板フラップ21Fは副前板21Aから浮き上がりやすくなる。一方、切れ込み線21FCの端部と前板端辺21Tとの間の距離が大きいほど、主前板フラップ21Fは、主前板21Bのなかで主前板フラップ21F以外の部分に追従しやすく、副前板21Aから主前板フラップ21Fを浮き上がらせる板紙の復元力は弱まる。蓋部30を開けて開口20Tが開くとき、主前板フラップ21Fは、本体部20の前方に回動して主前板21Bから浮き上がる。主前板21Bから浮き上がる主前板フラップ21Fは、開口20Tから引き出されて切断されたラップフィルム50の切断端を主前板21Bから浮き上がらせる。
【0028】
仮止め部21Sは、左右方向に並ぶ複数の四角形状を有した仮止め要素を備える。仮止め部21Sの位置は、主前板21Bの外表面のなかで高さ方向DHの中央よりも前板端辺21T寄りであり、かつ、左右方向の中央を含む。仮止め部21Sは、UVニスで形成されることが好ましいが、ラップフィルム50を仮止めできるものであれば、これに限定されない。仮止め部21Sは、本体部20の開口20Tから引き出されて積層前板21の前板端辺21Tから垂れ下がるラップフィルム50を主前板21Bの外表面に仮止めする。
【0029】
副前板21Aの上部は、前後方向に延びる規制片3R,4Rを備える。規制片3R,4Rは、副前板21Aの上辺である前板端辺21Tの左右両端部に位置する。規制片3R,4Rは、前板端辺21Tから罫線LR(図8を参照)で折り曲げられている。規制片3R,4Rは、ラップフィルム50を本体部20から引き出すときに、巻回体50Rの筒体50Cに前方上側から当たる。これによって、規制片3R,4Rは、巻回体50Rが本体部20から飛び出すことを抑える。
【0030】
図3は、副前板21Aを本体部20の内側から見た正面図である。図3が示すように、前板端辺21Tは、主前板21Bと副前板21Aとの境界である。副前板21Aは、前板端辺21Tの全体にわたって主前板21Bに連接している。副前板21Aにおける高さ方向DHの長さは、主前板21Bにおける高さ方向DHの長さよりも若干短い。副前板21Aは、主前板21Bに対し前板端辺21Tで折り曲げられることによって、主前板21Bと面で接触している。副前板21Aが主前板21Bと面で接触する状態は、副前板21Aが主前板21Bに対し前板端辺21Tの周方向で180度曲げられた状態である。主前板21Bに対し副前板21Aを折り曲げることによって、積層前板21のなかの前板端辺21T付近には、副前板21Aの折り曲げを戻すように、板紙の復元力が作用する。
【0031】
副前板21Aは、フラップの一例である左右で一対の副前板フラップ21Gを備える。2つの副前板フラップ21Gは、副前板21Aの長手方向DLの中心Cに対し線対称である。副前板フラップ21Gは、主前板フラップ21Fと対向するように配置されている。副前板フラップ21Gにおける長手方向DLの長さは、主前板フラップ21Fにおける長手方向DLの長さよりも短い。
【0032】
副前板フラップ21Gは、副前板21Aの上辺である前板端辺21Tのなかの一部分と、当該一部分に両端を有した曲線状の切れ込み線21GLとによって囲まれる。切れ込み線21GLは、切れ込み線21GLの一方の端部から他方の端部へ副前板21Aの前板端辺21Tから底板25に向けて凸となる弧状を有する。ここでいう曲線状は、円弧状、優弧状、劣弧状、U字状、V字状、屈曲線状、外形が底板に向けて凸となる波線状、を含める。切れ込み線21GLは、線状を有した複数の切れ込みが副前板フラップ21Gの外形を区切るように並ぶ線でもよいし、線状を有した1つの切れ込みが副前板フラップ21Gの外形を区切るように連続する線でもよい。切れ込み線21GLが備える2つの端部は、前板端辺21Tに達している。切れ込み線21GLの端部が前板端辺21Tに達することは、前板端辺21Tにおける板紙の復元力によって副前板フラップ21Gが主前板21Bから幅方向DWに浮き上がることを促す。なお、副前板フラップ21Gの幅方向DWへの浮き上がりは、主前板フラップ21Fの浮き上がり(復元力)を調整することにより、適度な浮き上がりとすることができる。復元力の調整は、主前板フラップ21Fを形成する切れ込み線21FCの両端部と前板端辺21Tとの距離によって行うことができる。
【0033】
副前板フラップ21Gは、第1フラップ21G1と第2フラップ21G2とを備える。第1フラップ21G1は、副前板フラップ21Gのなかで、切れ込み線21GLにおける一方の端部と他方の端部とに挟まれた部分を含む。第2フラップ21G2は、第1フラップ21G1に接続線21CLを介して連接する。接続線21CLは、第1フラップ21G1と第2フラップ21G2との境界である。接続線21CLは、ほぼ長手方向DLに沿って副前板フラップ21Gの全体にわたり延びる。接続線21CLは、切れ線でもよいし、ミシン目でもよいし、半切れ線でもよい。接続線21CLは、切れ線、ミシン目、半切れ線からなる群から選択される少なくとも2つ以上の組み合わせでもよい。接続線21CLが切れ線の場合には、切れ線の間にニック(つなぎ)を形成することで、第2フラップ21G2を第1フラップ21G1に連接することができる。また、半切れ線とは、収容箱の材料に、材料の厚さの半分程度の深さの切り込みを入れた線をいう。
【0034】
副前板フラップ21Gが有する長手方向DLの長さは、前板端辺21Tにおいて最も長い。副前板フラップ21Gにおける長手方向DLの長さは、前板端辺21Tから底板25に向かうに連れて徐々に短くなり、接続線21CLにおいて急峻に短くなる。副前板フラップ21Gにおける長手方向DLの長さは、接続線21CLから底板25に向かうに連れて徐々に短くなる。副前板フラップ21Gが接続線21CLを備えること、および、副前板フラップ21Gにおける長手方向DLの長さが接続線21CLで急峻に短くなることは、副前板フラップ21Gが接続線21CLで折れ曲がることを促す。
【0035】
第1フラップ21G1における長手方向DLの長さは、前板端辺21Tから接続線21CLに向かうに連れて徐々に短くなる。第1フラップ21G1における長手方向DLの両側辺は、緩やかな円弧状を有する。第1フラップ21G1における長手方向DLの両側辺が緩やかな円弧状を有することで、長手方向DLや高さ方向DHに動くラップフィルム50と擦れるとしても、第1フラップ21G1の両側辺は、ラップフィルム50に傷つけることを抑える。
【0036】
第2フラップ21G2における長手方向DLの長さは、接続線21CLから底板25に向かうに連れて徐々に短くなる。第2フラップ21G2における長手方向DLの両側辺は、緩やかな円弧状を有する。第2フラップ21G2における長手方向DLの両側辺が緩やかな円弧状を有することで、長手方向DLや高さ方向DHに動くラップフィルム50と擦れるとしても、第2フラップ21G2の両側辺は、ラップフィルム50に傷つけることを抑える。
【0037】
第1フラップ21G1の高さ方向DHにおける長さH1は、第2フラップ21G2の高さ方向DHにおける長さH2と等しくてもよい。第1フラップ21G1の長さH1は、第2フラップ21G2の長さH2よりも長くてもよいし、第2フラップ21G2の長さH2よりも短くてもよい。第1フラップ21G1の長さH1と第2フラップ21G2の長さH2との合計は、主前板21Bの高さ方向DHにおける長さの半分以上でもよいし、副前板21Aの高さ方向DHにおける長さの半分未満でもよい。第1フラップ21G1の長さH1と第2フラップ21G2の長さH2との合計は、主前板21Bの高さ方向DHにおける長さの半分以上でもよいし、主前板21Bの高さ方向DHにおける長さの半分未満でもよい。長さH1と長さH2の適切な大きさは、主前板21Bの長さを100%とした場合、それぞれ20~30%の範囲である。この範囲にすることで副前板フラップ21Gに山折りの形成を容易にし、ロールの動きを制御しつつ、ロールの出し入れなどの作業性も改善することができる。更により好ましい範囲は22~27%であり、前述の各効果をバランスよく高めることができる。
【0038】
本体部20に収容された巻回体50Rは、収容箱10の輸送などによって、高さ方向DHに動く。高さ方向DHに動く巻回体50Rは、第2フラップ21G2に当たる。図4が示すように、副前板フラップ21Gは、副前板21Aから接続線21CLを後板22側に突き出すようにして、接続線21CLで山折りに折り曲げられる。
【0039】
図2に戻り、右脇板23は、第1右脇板13F、第2右脇板23F、および第3右脇板53F(図8を参照)を備える。左脇板24は、第1左脇板14F、第2左脇板24F、および第3左脇板54F(図8を参照)を備える。第1右脇板13F、および第2右脇板23Fは、本体部20の内表面を構成する。第1左脇板14F、および第2左脇板24Fは、本体部20の内表面を構成する。第3右脇板53F、および第3左脇板54Fは、本体部20の外表面を構成する。第2右脇板23Fは、第1右脇板13Fの内側に位置する。第2左脇板24Fは、第1左脇板14Fの内側に位置する。
【0040】
右脇板23は、前後方向に延びる蓋係止片3Tを備える。左脇板24は、前後方向に延びる蓋係止片4Tを備える。蓋係止片3Tは、右脇板23を構成する第3右脇板53Fの上辺3Eに接続される。蓋係止片3Tは、第3右脇板53Fの上辺3Eとなる罫線LT2で本体部20の外側(右側)に折り曲げられて、本体部20の右側に突き出ている。蓋係止片3Tは、前後方向に延在している。蓋係止片4Tは、左脇板24を構成する第3左脇板54Fの上辺4Eに接続される。蓋係止片4Tは、第3左脇板54Fの上辺4Eとなる罫線LT2で本体部20の外側(左側)に折り曲げられて、本体部20の左側に突き出ている。蓋係止片4Tは、前後方向に延在している。
【0041】
[蓋部30]
図1に戻り、蓋部30は、蓋部頂板31、蓋部前板32、蓋部右脇板33、および蓋部左脇板34を備える。蓋部頂板31は、後板22の上辺に回転可能に連接する。蓋部頂板31は、後板22の上辺22Tを軸として、本体部20に対して回転し、本体部20の開口20Tを開閉する。
【0042】
蓋部前板32と積層前板21とは、相互にほぼ同形の矩形板状を有する。蓋部前板32の上辺は、蓋部頂板31の前辺である。蓋部前板32は、蓋部30が開口20Tを塞いだ状態で、積層前板21の外表面全体を覆う。蓋部前板32は、高さ方向DHの中間よりも下方に、半円状を有した複数の切り込み部32Cを備える。切り込み部32Cの内側面は、積層前板21の外表面と接着される。蓋部前板32における高さ方向DHのほぼ中央は、左右方向の全幅にわたるミシン目線32Mを備える。ミシン目線32Mは、下方に向けた凸となる形状を有する。ミシン目線32Mの右端は、ミシン目線32Mに沿って蓋部前板32を上下に分割するための開封端32Nである。
【0043】
開封端32Nが前方に引っ張られるとき、蓋部前板32はミシン目線32Mで切断される。また、積層前板21と蓋部前板32との接着は、切り込み部32Cで引き剥がされる。これにより、蓋部前板32は、蓋部前板32の左右方向の全幅が、ミシン目線32Mを境にして、下側と上側とに分割される。蓋部前板32のなかでミシン目線32Mに区画された上側は、掩蓋板32Pである。蓋部前板32のなかでミシン目線32Mに区画された下側は、切り取り片32Kである。
【0044】
図2に戻り、切り取り片32Kは、ラップフィルム50の使用の開始に際して、本体部20から切り離される。切り取り片32Kが蓋部30から切り離されると、掩蓋板32Pの下端辺から、切断刃35の刃先全体が露出する。そして、蓋部30が後板22の上辺22Tで回転することによって、本体部20の開口20Tが開く。
【0045】
掩蓋板32Pは、蓋部30が開口20Tを塞いだ状態で、蓋部頂板31の前辺から下方に向けて延びる板状を有し、積層前板21の外表面上部を覆う。掩蓋板32Pの高さ方向DHでの幅は、左右方向の両端部を除き、左右方向の中央部で最も大きく、左右方向の中央部からそれぞれの端部に移動するにつれて、高さ方向DHの幅が短くなる。
【0046】
掩蓋板32Pの内表面には、切断刃35が接合される。切断刃35は、左右方向に並ぶ刃先を有した鋸刃状を有する。切断刃35は、蓋部30が開口20Tを塞いだ状態で、複数の刃先が掩蓋板32Pから下方に突出するように、掩蓋板32Pに接合される。掩蓋板32Pに切断刃35を接合する方法は、例えば、掩蓋板32Pと切断刃35との間にシーラント層や接着層を介在させて、超音波接着によって行われる。また、掩蓋板32Pに切断刃35を接合する方法は、切断刃35を構成する刃材樹脂層にシーラント層をラミネートした構成とすることもできる。
【0047】
切断刃35を構成する材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、あるいは、金属である。切断刃35は、例えば、樹脂と添加剤とを含み、添加剤の種類や、その添加量によって、切断刃35の剛性や、掩蓋板32Pに対する切断刃35の接着性を調整することができる。
【0048】
切断刃35を構成する樹脂は、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂である。切断刃35を構成する添加剤は、例えば、オレフィン系樹脂などの樹脂や、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルクなどの無機材料である。シーラント層を構成する樹脂は、例えば、官能基をポリオレフィンに導入して接着性を付与した変性ポリオレフィンなどが使用される。
【0049】
蓋部右脇板33は、蓋右脇板33Fと接合片323とを備える。蓋部左脇板34は、蓋左脇板34F,接合片324を備える。蓋右脇板33Fは、蓋部頂板31と蓋右脇板33Fとの交線である短辺で蓋部頂板31に連接する。蓋左脇板34Fは、蓋部頂板31と蓋左脇板34Fとの交線である短辺で蓋部頂板31に連接する。
【0050】
蓋部右脇板33と蓋部左脇板34とにおいて、各蓋脇板33F,34Fは、蓋部30の外表面を構成する。各接合片323,324は、蓋部30の内表面を構成する。蓋部右脇板33と蓋部左脇板34とは、蓋部30が開口20Tを塞いだ状態で、右脇板23の外表面上部を覆い、また、左脇板24の外表面上部を覆う。
【0051】
接合片323は、蓋部頂板31と蓋右脇板33Fとの交線である短辺の間に隙間を空けて位置する。接合片324もまた、蓋部頂板31と蓋左脇板34Fとの交線である短辺の間に隙間を空けて位置する。これにより、接合片323,324は、蓋部頂板31との間に隙間を空けて位置し、蓋部右脇板33、蓋部左脇板34の内表面に、段部33S,34Sを形成する。上述した各蓋係止片3T,4Tは、蓋部30が開口20Tを塞ぐとき、段部33S,34Sに嵌まり込み、クリック音を発生させて、段部33S,34Sと係合する。各蓋係止片3T,4Tは、段部33S,34Sとの係合を通じ、閉塞状態で蓋部頂板31が浮き上がることを抑える。
【0052】
[巻回体入り収容箱の組立]
図5が示すように、巻回体入り収容箱の組立において、まず、ブランクは、副前板21Aが主前板21Bよりも本体部20の内側に位置するように、副前板21Aが主前板21Bに対し前板端辺21Tで折り曲げられると共に、副前板21Aが主前板21Bの内側に貼り付けられる。次に、ブランクは、底板25が後板22に対し罫線Lで折り曲げられると共に、積層前板21が蓋部頂板31に対し罫線Lで折り曲げられる。また、主前板21Bの上に蓋部前板32が重ねられると共に、主前板21Bの下部と切り取り片32Kが使用時に剥離可能になるように接着される。これによって、ブランクは、扁平の四角筒状を有した収容箱中間体に成形される。
【0053】
この際、扁平の四角筒状を有した収容箱中間体は、他の収容箱中間体を重ねられるように積み重ねられる。第1フラップ21G1は、前板端辺21Tの折り曲げによる板紙の復元力を受けながらも、他の収容箱中間体の荷重を受けるため、主前板21Bに追従し平面状である。第2フラップ21G2もまた、主前板21Bに追従し平面状である。
【0054】
図6が示すように、収容箱中間体は、底板25に対して主前板21B、および副前板21Aが立ち上がり、かつ底板25に対して後板22が立ち上がるように、罫線Lで折り曲げられる。これによって、収容箱中間体は、矩形の四角筒状に成形される。
【0055】
次に、第2右脇板23Fが後板22に対し罫線LTで折り曲げられ、第1右脇板13Fが主前板21Bに対し罫線LTで折り曲げられると共に、第3右脇板53Fが底板25に対し罫線LTで折り曲げられる。また、第1右脇板13Fが第2右脇板23Fの外側に折り重ねられると共に、第3右脇板53Fが第1右脇板13Fの外側に折り重ねられて接着される。これによって、右脇板23が成形される。
【0056】
次に、蓋係止片3Tが、第3右脇板53Fの上辺3Eで本体部20の外側に折り曲げられる。規制片3Rが、副前板21Aの上辺である前板端辺21Tから罫線LRで折り曲げられる。さらに、蓋右脇板33Fが蓋部頂板31に対し罫線LTで折り曲げられると共に、接合片323が、掩蓋板32Pに対し罫線LTで折り曲げられる。そして、蓋右脇板33Fが接合片323の外側に折り重ねられて接着されることによって、蓋部右脇板33が成形される。
【0057】
次に、四角筒状を有した中間体のなかに巻回体50Rが挿入される。また、第2左脇板24Fが後板22に対し罫線LTで折り曲げられ、第1左脇板14Fが主前板21Bに対し罫線LTで折り曲げられると共に、第3左脇板54Fが底板25に対し罫線LTで折り曲げられる。さらに、第1左脇板14Fが第2左脇板24Fの外側に折り重ねられると共に、第3左脇板54Fが第1左脇板14Fの外側に折り重ねられて接着される。これによって、左脇板24が成形される。
【0058】
次に、蓋係止片4Tが、第3左脇板54Fの上辺4Eで本体部20の外側に折り曲げられる。規制片4Rが、副前板21Aの上辺である前板端辺21Tから罫線LRで折り曲げられる。さらに、蓋左脇板34Fが蓋部頂板31に対し罫線LTで折り曲げられると共に、接合片324が、掩蓋板32Pに対し罫線LTで折り曲げられる。そして、蓋左脇板34Fが接合片324の外側に折り重ねられて接着されることによって、蓋部左脇板34が成形される。
【0059】
四角筒状を有した収容箱中間体において、第1フラップ21G1と第2フラップ21G2との境界である接続線21CLは、副前板21Aの高さ方向DHにおける中心よりも開口20Tの側に位置する。第1フラップ21G1、および第2フラップ21G2は、四角筒状に成形された直後は前板端辺21Tの折り曲げによる板紙の復元力を受けにくく浮き上がりにくいが、徐々に板紙の復元力を受け、後板22に向けて浮き上がる。第1フラップ21G1、および第2フラップ21G2は、底板25に対し積層前板21が立ち上がることによって、副前板21Aから本体部20の内側である後板22に向けて立ち上がることを促される。第1フラップ21G1が主前板21Bから浮き上がると、第2フラップ21G2が巻回体50Rに突き当たる。第2フラップ21G2が巻回体50Rに突き当たると、接続線21CLが、第1フラップ21G1に対し第2フラップ21G2が接続線21CLで緩やかに山折りに折り曲げられることを誘導する。なお、接続線21CLは、山折りが誘導されやすくなるように、収容箱中間体を成形する際に、あらかじめ折り加工を行ってもよい。
【0060】
[作用]
上述したように、副前板フラップ21Gは、積層前板21の高さ方向DHにおけるほぼ中心、すなわち高さ方向DHにおける巻回体50Rの中心よりも開口20Tの側において、後板22に向けて凸となるように接続線21CLで緩やかに山折りされている。高さ方向DHにおける巻回体50Rの中心よりも開口20Tの側に、後板22に向けて凸となるように山折りされた副前板フラップ21Gが配置される。
【0061】
収容箱10が輸送されるとき、本体部20のなかで巻回体50Rが動く。巻回体50Rが底板25から開口20Tに向けて動いたり、巻回体50Rが後板22から積層前板21に向けて動いたりする。これによって、図7が示すように、第1フラップ21G1と第2フラップ21G2とが形成する角度がさらに小さくなると共に、副前板フラップ21Gがさらに急な山折りになる。
【0062】
後板22に向けて凸となるように山折りされた副前板フラップ21Gは、積層前板21に向けた巻回体50Rの動きを抑制すると共に、開口20Tに向けた巻回体50Rの動きを抑制する。
【0063】
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)副前板フラップ21Gは、積層前板21に向けた巻回体50Rの動きを抑制すると共に、開口20Tに向けた巻回体50Rの動きを抑制する。これによって、本体部20のなかでの巻回体50Rの動きや、巻回体50Rの飛び出しが抑えられる。
【0064】
(2)巻回体50Rを本体部20から一度取り出して本体部20に再度収容するとき、後板22、あるいは底板25に向く副前板フラップ21Gの先端は、後板22、あるいは底板25に向き続け、結果として、副前板フラップ21Gの山折りが保たれやすい。したがって、副前板フラップ21Gの山折りが、折られる前の平面状に戻りにくい分だけ、巻回体50Rの再度の収容後も、巻回体50Rの動きや、巻回体50Rの飛び出しが抑えられる。
【0065】
(3)接続線21CLは、切れ線、ミシン目、半切れ線の少なくとも1つである場合、副前板フラップ21Gが折れ曲がりやすく、また、折り癖が保たれやすいため、巻回体50Rの再度の収容後においても、上記(1)(2)に準じた効果の実効性が高められる。
【0066】
(4)副前板21Aの長手方向DLに複数の副前板フラップ21Gが並ぶため、上記(1)から(3)に準じた効果が、巻回体50Rの軸方向Aにおける複数の部位で得られる。
【0067】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[副前板フラップ21G]
・切れ込み線21GLの1つの端部は、前板端辺21Tに達していなくてもよい。切れ込み線21GLの2つの端部は、前板端辺21Tに達していなくてもよい。切れ込み線21GLと前板端辺21Tとの間の距離が大きいほど、副前板フラップ21Gは、副前板21Aのなかで副前板フラップ21G以外の部分に追従しやすく、主前板21Bから副前板フラップ21Gを浮き上がらせる板紙の復元力は弱まる。切れ込み線21GLと前板端辺21Tとの間の距離は、板紙の復元力によって主前板21Bから副前板フラップ21Gを浮き上がらせる大きさであればよい。
【0068】
・左右で一対の副前板フラップ21Gにおける長手方向DLの中心は、副前板21Aにおける長手方向DLの中央とは異なる位置であってもよい。左右で一対の副前板フラップ21Gは、副前板21Aの長手方向DLにおける中心を挟むように位置してもよい。
【0069】
・副前板21Aは、長手方向DLに並ぶ3つ以上の副前板フラップ21Gを備えてもよいし、1つの副前板フラップ21Gを備えてもよい。副前板21Aが1つの副前板フラップ21Gを備える場合、副前板21Aは、副前板21Aの長手方向DLにおける中心と重なる位置に副前板フラップ21Gを備えてもよい。長手方向DLに並ぶ3つ以上の副前板フラップ21Gは、長手方向DLに等配されてもよい。副前板21Aの長手方向DLにおける副前板フラップ21Gの位置に偏りを抑える構成は、上記(1)から(4)に準じた効果を、巻回体50Rの軸方向Aで均一化する。
【0070】
図9が示すように、副前板21Aが1つの副前板フラップ21Gを備える場合、副前板フラップ21Gは、副前板21Aの長手方向DLにおける中心Cと重なるように位置してもよい。この際、巻回体50Rは、引き出しシール50Sを備えてもよい。引き出しシール50Sは、巻回体50Rの外表面に位置するラップフィルム50の切断端に重なる。引き出しシール50Sは、巻回体50Rからラップフィルム50を引き出すための目印や摘まみしろとして機能する。
【0071】
この際、図10が示すように、引き出しシール50Sは、巻回体50Rにおける外表面のほぼ接線方向に突き出ると共に、後板22に向けて凸となるように山折りにされた副前板フラップ21Gに乗り上げやすい。これによって、引き出しシール50Sの位置を開口20T側で安定させることができ、ラップフィルム50の引き出しに際して、引き出しシール50Sが視認できるので、指などによって摘まむことが容易となる。
【0072】
・長手方向DLにおける副前板フラップ21Gの位置は、長手方向DLにおける引き出しシール50Sの位置と重なる範囲でもよい。これによれば、上述したように、引き出しシール50Sを指などによって摘まむことが容易となる。
【符号の説明】
【0073】
DH…高さ方向
DL…長手方向
DW…幅方向
L、LR,LT…罫線
10…収容箱
20…本体部
20T…開口
21…積層前板
21T…前板端辺
3E,4E…上辺
21A…副前板
21B…主前板
21CL…接続線
21G…副前板フラップ
21G1…第1フラップ
21G2…第2フラップ
21FC,21GL…切れ込み線
22…後板
25…底板
30…蓋部
31…蓋部頂板
32…蓋部前板
50…ラップフィルム
50C…筒体
50R…巻回体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10