(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127742
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】測量装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031615
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測距光の光量を調整可能な測量装置を提供する。
【解決手段】測定対象物に測距光32を射出する測距光射出部23と、前記測定対象物からの反射測距光45を受光する受光素子36を有する測距光受光部24と、前記測距光射出部を制御し、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記測距光射出部は、前記測距光の光軸25に対して挿脱可能なピンホール板28を有し、該ピンホール板には所定の径のピンホール33が形成され、前記ピンホール板の挿脱により前記測距光の光量と広がり角を変更可能とする様構成された。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に測距光を射出する測距光射出部と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子を有する測距光受光部と、前記測距光射出部を制御し、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記測距光射出部は、前記測距光の光軸に対して挿脱可能なピンホール板を有し、該ピンホール板には所定の径のピンホールが形成され、前記ピンホール板の挿脱により前記測距光の光量と広がり角を変更可能とする様構成された測量装置。
【請求項2】
前記測距光射出部は、2つのプリズムを接合させた反射プリズムを有し、該反射プリズムの接合面に所定の反射率及び透過率を有するビームスプリッタ膜が形成され、前記反射プリズムは前記ビームスプリッタ膜を介して前記測距光の光軸を前記反射測距光の光軸と合致する様偏向する様構成された請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記反射プリズムは、前記反射測距光の光軸に対して傾斜しており、前記測距光は前記反射プリズムの射出面に対して僅かに傾斜して入射する様構成された請求項2に記載の測量装置。
【請求項4】
前記測距光受光部は、前記反射測距光の光軸上に設けられた光量調整板を有し、該光量調整板には前記反射測距光の入射位置での透過率を変更可能な光量調整面を形成する様構成された請求項1~請求項3のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項5】
前記測定対象物に前記測距光と同軸で追尾光を射出する追尾光射出部と、前記測定対象物から前記反射測距光と同軸で反射された反射追尾光を受光する追尾受光素子を有する追尾光受光部を更に具備し、前記測距光と前記追尾光の共通光路上に前記測距光の光軸と前記追尾光の光軸とを合致させるダイクロイックミラーを設け、前記反射測距光と前記反射追尾光の共通光路上に前記測距光の光軸と前記反射測距光の光軸とを分離させる分離面が設けられる様構成された請求項1~請求項4のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項6】
前記測距光が射出される前記反射プリズムの射出面に可視光を反射するロングパスフィルタを設け、該ロングパスフィルタの反射光軸上に撮像部を設ける様構成された請求項2~請求項5のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項7】
レーザポインタ光を前記測距光と同軸に射出するレーザポインタ光射出部と、前記反射測距光と可視光を分離させる撮像部とを更に具備する請求項1~請求項5のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元座標を取得可能な測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナやトータルステーション等の測量装置は、測定対象物として再帰反射性を有するプリズムを用いたプリズム測距、反射プリズムを用いないノンプリズム測距により測定対象物迄の距離を検出する光波距離測定装置を有している。
【0003】
従来の測量装置では、測定対象物に向けて射出される測距光と、測定対象物から反射される反射測距光の光軸とを合致させる為に、測距光や反射測距光の光軸がミラー等により偏向される。又、測量装置の光学系を小型化する為、測距光や反射測距光の光軸を複数回偏向させる場合もある。
【0004】
測量装置の中には、プリズム測距をノンプリズム測距の両方が可能なものがある。一方で、ノンプリズム測距は測定対象物の反射率が低い場合がある為、充分な光量の反射測距光を得る為に光量の大きい測距光を用いる必要がある。然し乍ら、光量の大きい測距光を用いてプリズム測距を行った場合、反射測距光の光量が過剰となり、受光系が飽和して測定不能となる虞れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0181494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、測距光の光量を調整可能な測量装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測定対象物に測距光を射出する測距光射出部と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子を有する測距光受光部と、前記測距光射出部を制御し、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記測距光射出部は、前記測距光の光軸に対して挿脱可能なピンホール板を有し、該ピンホール板には所定の径のピンホールが形成され、前記ピンホール板の挿脱により前記測距光の光量と広がり角を変更可能とする様構成された測量装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記測距光射出部は、2つのプリズムを接合させた反射プリズムを有し、該反射プリズムの接合面に所定の反射率及び透過率を有するビームスプリッタ膜が形成され、前記反射プリズムは前記ビームスプリッタ膜を介して前記測距光の光軸を前記反射測距光の光軸と合致する様偏向する様構成された測量装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記反射プリズムは、前記反射測距光の光軸に対して傾斜しており、前記測距光は前記反射プリズムの射出面に対して僅かに傾斜して入射する様構成された測量装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記測距光受光部は、前記反射測距光の光軸上に設けられた光量調整板を有し、該光量調整板には前記反射測距光の入射位置での透過率を変更可能な光量調整面を形成する様構成された測量装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記測定対象物に前記測距光と同軸で追尾光を射出する追尾光射出部と、前記測定対象物から前記反射測距光と同軸で反射された反射追尾光を受光する追尾受光素子を有する追尾光受光部を更に具備し、前記測距光と前記追尾光の共通光路上に前記測距光の光軸と前記追尾光の光軸とを合致させるダイクロイックミラーを設け、前記反射測距光と前記反射追尾光の共通光路上に前記測距光の光軸と前記反射測距光の光軸とを分離させる分離面が設けられる様構成された測量装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記測距光が射出される前記反射プリズムの射出面に可視光を反射するロングパスフィルタを設け、該ロングパスフィルタの反射光軸上に撮像部を設ける様構成された測量装置に係るものである。
【0013】
更に又本発明は、レーザポインタ光を前記測距光と同軸に射出するレーザポインタ光射出部と、前記反射測距光と可視光を分離させる撮像部とを更に具備する測量装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定対象物に測距光を射出する測距光射出部と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子を有する測距光受光部と、前記測距光射出部を制御し、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記測距光射出部は、前記測距光の光軸に対して挿脱可能なピンホール板を有し、該ピンホール板には所定の径のピンホールが形成され、前記ピンホール板の挿脱により前記測距光の光量と広がり角を変更可能とする様構成されたので、光量の大きい前記測距光を用いた場合の前記受光素子の飽和を防止することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る測量装置を示す正断面図である。
【
図2】(A)は、本発明の第1の実施例に係る距離測定部を示す構成図であり、(B)は反射プリズムの側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【
図4】本発明の第2の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【
図5】本発明の第3の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【
図6】本発明の第4の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【
図7】本発明の第5の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【
図8】本発明の第6の実施例に係る距離測定部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
先ず、
図1に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
【0018】
測量装置1は、例えばレーザスキャナであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。
【0019】
前記整準部2は整準ネジ10を有し、該整準ネジ10により前記測量装置本体3の整準を行う。
【0020】
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、鉛直回転部である走査ミラー15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18と、距離測定部19等を具備している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。
【0021】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0022】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0023】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0024】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
【0025】
前記托架部5には、凹部22が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部22内に延出し、前記一端部に前記走査ミラー15が固着され、該走査ミラー15は前記凹部22に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0026】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査ミラー15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0027】
前記走査ミラー15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記走査ミラー15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0028】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのメモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0029】
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算するプログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
【0030】
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔の変更等を行う操作部と、測距結果や画像等を表示する表示部とを兼用している。
【0031】
次に、
図2(A)、
図2(B)、
図3を参照して、前記距離測定部19について説明する。
【0032】
該距離測定部19は、測距光射出部23と測距光受光部24とを有している。尚、前記測距光射出部23と前記測距光受光部24とにより測距部が構成される。
【0033】
前記測距光射出部23は、測距光軸25を有している。又、前記測距光射出部23は、発光側から順に、前記測距光軸25上に設けられた発光素子26、例えばレーザダイオード(LD)と、コリメータレンズ27と、広がり角調整部材としてのピンホール板28と、反射プリズム29とを有している。又、該反射プリズム29の反射光軸上には前記走査ミラー15が設けられている。更に、該走査ミラー15の反射光軸上には、透明材料で形成され、前記走査ミラー15と一体に回転する窓部31が設けられている。尚、
図2中では該窓部31が設けられているが、該窓部31はなくてもよい。
【0034】
尚、前記コリメータレンズ27、前記ピンホール板28、前記反射プリズム29等は投光光学系30を構成する。又、本実施例では、前記測距光軸25と、前記反射プリズム29で反射された前記測距光軸25とを総称して、該測距光軸25としている。
【0035】
前記発光素子26は、所定波長のレーザ光線を測距光32として射出し、前記コリメータレンズ27は、前記測距光32を平行光束とする様構成される。
【0036】
前記ピンホール板28は、中心部にピンホール33が穿設された例えば黒色の板材となっている。前記ピンホール板28は、駆動機構34、例えばソレノイドを介して前記測距光軸25に対して挿脱可能となっている。前記ピンホール板28が前記測距光軸25上に挿入された状態では、前記ピンホール33の中心が前記測距光軸25上に位置する。尚、前記ピンホール33の径は、例えばφ=0.5mm~2mmの範囲で適宜設定される。
【0037】
測定対象物が再帰反射性を有するプリズム等であるプリズム測定を実行する場合、前記ピンホール板28が前記測距光軸25上に挿入され、測定対象物がプリズム以外のノンプリズム測定を実行する場合、前記ピンホール板28が前記測距光軸25上から取除かれる。
【0038】
前記ピンホール板28が前記測距光軸25上へと挿入された際には、前記ピンホール板28に入射した前記測距光32は、前記ピンホール33に入射した前記測距光32のみが前記ピンホール板28を通過し、前記ピンホール33以外に入射した前記測距光32は前記ピンホール板28によって遮断される。従って、前記測距光32は、前記ピンホール板28により減光されると共に、回折効果により所定の広がり角で発散しつつ前記ピンホール33から射出される。尚、回折により拡大される広がり角φは、例えば6分であり、2~20分の範囲で適宜設定される様、前記ピンホール33の径が設定される。
【0039】
又、本実施例では、前記ピンホール板28は、前記コリメータレンズ27と前記反射プリズム29との間に設けられているが、前記ピンホール板28を前記発光素子26と前記コリメータレンズ27に設けてもよい。
【0040】
前記反射プリズム29は、2つの台形状のプリズムを接合させて形成され、2つのプリズムが接合された状態では、前記反射プリズム29は直方体形状となっている。前記測距光32の入射面は前記測距光軸25に対して直交し、前記反射プリズム29の接合面35は前記測距光軸25に対して所定角度傾斜している。更に、前記反射プリズム29の射出面は、前記接合面35で反射された前記測距光軸25が僅かに、例えば2.5°程度傾斜して入射する様構成されている。従って、前記反射プリズム29の射出面で内部反射された前記測距光32が受光素子36(後述)に受光されるのを防止している。尚、前記接合面35の傾斜角は、前記測距光軸25が受光光軸37(後述)及び前記軸心11aと合致する様、前記測距光軸25を偏向(反射)させる角度となっている。又は、前記接合面35の傾斜角を45°とし、前記測距光軸25が前記受光光軸37及び前記軸心11aと合致する様、前記反射プリズム29の入射面に対して傾けて前記測距光32を入射させてもよい。
【0041】
前記接合面35の中心部にはビームスプリッタ膜38が形成され、前記反射プリズム29の表裏全体に反射防止膜39が形成される。前記ビームスプリッタ膜38は、前記測距光32の光束に合わせて楕円形状となっている。又、前記ビームスプリッタ膜38の大きさは、前記ピンホール33により発散された前記測距光32の光束径と同等又は僅かに大きくなっている。更に、前記ビームスプリッタ膜38は、例えば80%の光を反射し、20%の光を透過する光学特性を有している。
【0042】
尚、前記ビームスプリッタ膜38に於ける反射率と透過率の割合は、用途や測定対象物迄の距離に応じて適宜設定される。例えば、測定対象物迄の距離が近い場合には、前記ビームスプリッタ膜38を例えば反射率50%~70%、透過率30%~50%の範囲から選択し、測定対象物迄の距離が遠い場合には、前記ビームスプリッタ膜38を例えば反射率70%~90%、透過率10~30%の範囲から選択するのが望ましい。
【0043】
前記測距光受光部24は、前記受光光軸37を有している。又、前記測距光受光部24は、受光側から順に前記受光光軸37上に設けられた前記受光素子36と、光量調整板41と、受光プリズム42を有すると共に、該受光プリズム42で反射された前記受光光軸37上に設けられた所定のNAを有する受光レンズ43を有している。
【0044】
尚、前記光量調整板41、前記受光プリズム42、前記受光レンズ43、前記反射プリズム29等で受光光学系44が構成される。又、本実施例では、前記受光光軸37と、前記受光プリズム42で反射された前記受光光軸37とを総称して、該受光光軸37としている。
【0045】
前記距離測定部19は、前記演算制御部17により制御される。前記発光素子26から前記測距光軸25上にパルス状の前記測距光32が射出されると、該測距光32は前記コリメータレンズ27により平行光束とされる。又、前記測距光軸25上に前記ピンホール板28が存在している場合には、前記ピンホール33を通過する前記測距光32以外は前記ピンホール板28によって遮断される為、前記測距光32の総光量が低減されると共に、前記ピンホール33を通過する際の回折効果により前記測距光32が所定の広がり角で射出される。
【0046】
前記ピンホール33を通過した前記測距光32は、前記反射プリズム29の入射面に対して直角に入射し、該反射プリズム29内部を透過して前記接合面35(ビームスプリッタ膜38)で前記受光光軸37及び前記軸心11aと同軸になる様反射される。前記反射プリズム29から射出される前記測距光32は、前記走査ミラー15によって直角に偏向され、前記窓部31を介して測定対象物に照射される。前記走査ミラー15が前記軸心11aを中心に回転することで、前記測距光32は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0047】
尚、前記窓部31は、該窓部31で反射された前記測距光32が前記受光素子36に入射しない様、前記測距光軸25の光軸に対して所定角度傾斜して設けられている。
【0048】
測定対象物で反射された前記測距光32(以下、反射測距光45)は、前記走査ミラー15で直角に反射され、前記受光光学系44を経て前記受光素子36で受光される。該受光素子36は、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)、或は同等の光電変換素子となっている。
【0049】
前記演算制御部17は、前記発光素子26の発光タイミングと、前記受光素子36の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)と光速に基づき、前記測距光32の1パルス毎に測距を実行する(Time Of Flight)。尚、前記発光素子26の発光のタイミング、即ちパルス間隔は、前記操作パネル16を介して変更可能となっている。
【0050】
尚、前記距離測定部19には内部参照光光学系(後述)が設けられ、該内部参照光光学系から受光した内部参照光(後述)と前記反射測距光45の受光タイミングの時間差と光速に基づき測距を行うことで、より高精度な測距が可能となる。
【0051】
前記托架部5と前記走査ミラー15とがそれぞれ定速で回転し、該走査ミラー15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回転との協動により、前記測距光32が2次元に走査される。又、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより、測定対象物の3次元座標及び測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0052】
次に、前記受光光学系44について説明する。尚、
図2(A)、
図3中では、前記測距光32の主光線(前記測距光軸25)及び前記反射測距光45の主光線(前記受光光軸37)のみを記載している。
【0053】
前記受光プリズム42は、所定の屈折率を有する4角形のプリズムであり、前記受光レンズ43を透過した前記反射測距光45が入射する第1面42a、該第1面42aの表面を透過した前記反射測距光45が反射する第2面42b、該第2面42bと前記第1面42aで反射された前記反射測距光45が入射する第3面42c、前記第1面42aに入射した前記反射測距光45と交差する方向に前記第3面42cで反射された前記反射測距光45が透過する透過面としての第4面42dとを有している。該第4面42dを透過した前記反射測距光45は、前記受光素子36に入射する様になっている。
【0054】
前記光量調整板41は、例えばプラスチック製の円板である。該光量調整板41の表面には円形のグラデーションフィルム膜が形成され、該グラデーションフィルム膜の一部が前記受光光軸37と直交する様に配置される。又、前記光量調整板41は、回転軸46を中心にモータ47により回転可能であり、前記光量調整板41の回転により、該光量調整板41に対する前記反射測距光45の入射位置が変化する様に構成される。
【0055】
前記グラデーションフィルム膜は、θ=0°~360°の間で透過率が漸次増大(又は減少)する様に構成されている。従って、前記モータ47を駆動させ、前記反射測距光45の前記光量調整板41に対する入射位置を制御することで、前記反射測距光45の透過率を例えば0.0001%~100%の範囲で制御することができる。前記光量調整板41の透過率については、測定対象物の種類や測定対象物迄の距離に応じて適宜設定される。
【0056】
又、前記走査ミラー15の下方には、再帰反射性を有するリファレンスプリズム48が設けられている。前記走査ミラー15を介して前記測距光32を回転照射する過程で、該測距光32の一部が前記リファレンスプリズム48に入射する。該リファレンスプリズム48により再帰反射された前記測距光32は、前記走査ミラー15を介して前記受光光学系44に入射し、前記受光素子36に受光される様に構成される。
【0057】
ここで、前記発光素子26から前記リファレンスプリズム48迄の光路長、該リファレンスプリズム48から前記受光素子36迄の光路長は既知である。従って、前記リファレンスプリズム48で反射された前記測距光32を内部参照光49として利用することができる。前記走査ミラー15と前記リファレンスプリズム48とにより内部参照光光学系51が構成される。
【0058】
次に、前記距離測定部19を有する前記測量装置1により測定を行う場合について説明する。前記距離測定部19の各種動作は、前記演算制御部17が各種プログラムを実行することでなされる。尚、以下では、プリズム測定が行われる場合について説明している。
【0059】
前記発光素子26から発せられた前記測距光32は、前記コリメータレンズ27により平行光束とされた後、前記ピンホール板28の前記ピンホール33を介して減光及び所定の広がり角で広がりつつ前記反射プリズム29に直角に入射する。
【0060】
該反射プリズム29に入射した前記測距光32は、前記反射プリズム29内を透過し、前記接合面35の前記ビームスプリッタ膜38で前記受光光軸37及び前記軸心11aと同軸となる様偏向(反射)される。この時、該ビームスプリッタ膜38の大きさは、前記測距光32の光束径と同等又は僅かに大きくなっているので、前記測距光32は全て前記ビームスプリッタ膜38に入射する。又、前記測距光軸25に対して前記反射プリズム29の射出面が傾斜しているので、該射出面で内面反射された前記測距光32が前記受光素子36に受光されることがない。
【0061】
該ビームスプリッタ膜38で反射された前記測距光32は、前記反射プリズム29の射出面に対して僅かに傾斜して透過し、前記走査ミラー15を介して測定対象物、例えば再帰反射性を有するプリズムに照射される。
【0062】
該プリズムで反射された前記反射測距光45は、前記走査ミラー15で直角に反射され、前記反射プリズム29を透過して前記受光光学系44に入射する。ここで、前記反射測距光45のうち、中心部の光は前記接合面35の前記ビームスプリッタ膜38を通過する。又、該ビームスプリッタ膜38以外の箇所については、前記反射防止膜39を介して前記反射測距光45が全透過する。一方で、前記ビームスプリッタ膜38が設けられた箇所については、前記反射測距光45の一部が透過する。本実施例では、前記ビームスプリッタ膜38は20%の透過率を有するので、前記ビームスプリッタ膜38に入射した前記反射測距光45のうちの20%が前記ビームスプリッタ膜38を透過する。
【0063】
前記反射プリズム29を透過し、前記受光光学系44に入射した前記反射測距光45は、前記受光レンズ43及び前記第1面42aを透過する過程で屈折される。前記反射測距光45は、前記受光プリズム42の内部で前記第2面42b、前記第1面42aで順次反射され、前記第3面42cに入射する。又、前記反射測距光45は、前記第3面42cで前記第4面42dに向って、即ち前記第1面42aから入射した前記反射測距光45と交差する方向に反射される。前記第4面42dを透過した前記反射測距光45は、前記光量調整板41を透過する過程で減光されつつ前記受光素子36に受光される。
【0064】
前記演算制御部17は、前記距離測定部19の測距結果、前記水平角エンコーダ9及び前記鉛直角エンコーダ14の検出結果に基づき、前記プリズムの3次元座標を演算する。
【0065】
尚、プリズムの測定は、全周或は前記プリズムの周辺を前記測距光32で走査し、前記反射測距光45を受光した位置を前記プリズムの位置として測定してもよい。
【0066】
上述の様に、第1の実施例では、前記測距光軸25に対して挿脱可能な前記ピンホール板28を設け、該ピンホール板28の前記ピンホール33を介して前記測距光32の減光と広がり角の拡大を可能とする。
【0067】
ここで、ノンプリズム測定では、測定対象物の反射率が低い場合でも充分な前記反射測距光45の受光量が得られる様、光量の大きい前記測距光32が用いられる。一方で、光量が大きい前記測距光32を用いてプリズム測定を行う場合、前記反射測距光45の受光量が過剰となり、前記受光素子36が飽和する。
【0068】
従って、プリズム測定を行う場合には、前記ピンホール板28を前記測距光軸25上に挿入し、前記測距光32を減光させることで、前記受光素子36が飽和するのを防止することができる。即ち、前記ピンホール板28の挿脱により、前記測距光32の光量及び広がり角を変更することができる。
【0069】
又、前記測距光32が前記ピンホール33を通過する際に、回折効果により前記測距光32が所定の広がり角で発散するので、該測距光32を容易にプリズムに照射することができ、作業性を向上させることができる。
【0070】
又、前記ピンホール33は孔であり、前記測距光32が前記ピンホール33を通過する際に屈折を生じない。従って、前記ピンホール板28を前記測距光軸25と直交する様正確に配置する必要がなく、前記ピンホール板28の表面を正確な平面とする必要がないので、製作コストの低減が図れると共に、作業性を向上させることができる。
【0071】
又、第1の実施例では、前記測距光軸25を前記受光光軸37に合致させる為の光学部材として、2つのプリズムを組合わせた前記反射プリズム29を用い、該反射プリズム29の前記接合面35に形成された前記ビームスプリッタ膜38で前記測距光32を偏向させている。
【0072】
ここで、測定対象物迄の距離が短い場合、前記反射測距光45の中心部の光量が大きくなり、測定対象物迄の距離が長い場合、前記反射測距光45の周辺部の光量が大きくなる。
【0073】
従って、前記ビームスプリッタ膜38に入射した前記反射測距光45のうち、一部が所定の透過率を有する前記ビームスプリッタ膜38を透過するので、該ビームスプリッタ膜38による前記反射測距光45のケラレを低減でき、近距離測定に於いても測距可能な充分な受光量を得ることができる。
【0074】
又、前記ビームスプリッタ膜38を通過する前記反射測距光45のケラレが低減できるので、測定対象物として小型のコーナキューブ等が用いられ、前記反射測距光45のビーム径が小さい場合でも、測定が可能となる。
【0075】
又、前記受光プリズム42と前記受光素子36との間に回転により透過率を変更可能な前記光量調整板41を設け、該光量調整板41の回転により前記受光素子36に受光される前記反射測距光45の光量を調整可能となっている。
【0076】
従って、前記受光素子36が飽和する程前記反射測距光45の光量が大きい場合であっても、前記光量調整板41によって前記反射測距光45の光量を適正光量迄減衰させることができる。
【0077】
又、前記反射プリズム29の射出面は、前記ビームスプリッタ膜38によって偏向された前記測距光軸25に対して僅かに傾斜しているので、前記射出面で内部反射された前記測距光32が前記受光素子36に受光されるのを防止することができ、測定誤差を低減できる。
【0078】
更に、前記受光プリズム42を設け、該受光プリズム42内で前記反射測距光45を複数回反射させているので、水平方向(紙面に対して左右方向)の光路長を短くすることができ、前記距離測定部19の光学系の小型化を図ると共に、前記測量装置1の軽量化を図ることができる。
【0079】
次に、
図4に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図4中、
図2(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
第2の実施例では、測距光軸25が2回偏向されることで、該測距光軸25が受光光軸37及び軸心11aと合致する構成となっている。即ち、第2の実施例では、ピンホール板28と反射プリズム29との間に、前記測距光軸25を直角に偏向(反射)する反射ミラー52を設けている。
【0081】
発光素子26から発せられた前記測距光32は、前記反射ミラー52で直角に偏向された後、反射プリズム29に垂直に入射する。該反射プリズム29に対して入射した後の工程については第1の実施例と同様である。
【0082】
第2の実施例では、前記測距光軸25を直角に偏向させる前記反射ミラー52を設けているので、軸心6a方向(紙面に対して上下方向、
図1参照)の光路長を短くすることができ、距離測定部19の光学系を小型化することができる。
【0083】
次に、
図5に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図5中、
図2(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
第3の実施例では、第2の実施例と同様、測距光軸25が2回偏向され、受光光軸37及び軸心11aと合致する構成となっている。一方で、第3の実施例では、反射プリズム53が2つのプリズムが接合された台形のプリズムとなっている。
【0085】
前記反射プリズム53は、該反射プリズム53に対して直角に入射した測距光32を接合面35に向って反射(偏向)する反射面54を有している。該反射面54で反射された前記測距光32は、前記接合面35のビームスプリッタ膜38で受光光軸37及び軸心11aと合致する様に偏向される。前記ビームスプリッタ膜38に入射した後の工程については第1の実施例と同様である。
【0086】
第3の実施例では、前記反射プリズム53が測距光軸25を前記ビームスプリッタ膜38に向って偏向させる前記反射面54を有している。従って、軸心6a方向(紙面に対して上下方向)の光路長を短くすることができ、距離測定部19の光学系を小型化することができる。
【0087】
又、前記測距光軸25を前記ビームスプリッタ膜38に向って偏向させる為の光学部材として、ミラーではなくプリズムを使用しているので、測量装置本体3に対する温度変化に基づく光軸のズレ(偏角誤差)が抑制され、測定精度を向上させることができる。
【0088】
次に、
図6に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、
図6中、
図2(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
第4の実施例は、第1の実施例の測量装置に追尾機能を追加した構成であり、距離測定部19は追尾光射出部55と追尾光受光部56とを有している。
【0090】
前記追尾光射出部55は、追尾光軸57を有している。又、前記追尾光射出部55は、発光側から順に前記追尾光軸57上に設けられた追尾発光素子58、コリメータレンズ59、ダイクロイックミラー61、反射プリズム29を有している。尚、本実施例では、前記追尾光軸57と前記反射プリズム29によって反射された前記追尾光軸57を総称して該追尾光軸57としている。更に、該ダイクロイックミラー61の反射側に測距光射出部23、即ち発光素子26、コリメータレンズ27及びピンホール板28が設けられている。
【0091】
前記追尾発光素子58は、例えばレーザダイオード(LD)であり、測距光32とは異なる近赤外波長の追尾光62を射出する様構成されている。又、前記ダイクロイックミラー61は、前記追尾光62を透過し、前記測距光32を反射する様に構成されている。
【0092】
即ち、前記ダイクロイックミラー61は、前記測距光32と前記追尾光62の共通光路上(測距光軸25と前記追尾光軸57の交差位置)に設けられ、前記測距光軸25が前記追尾光軸57と合致する様に前記測距光軸25を偏向(反射)する。従って、前記測距光32と前記追尾光62とは同軸で測定対象物に向って照射される。
【0093】
前記追尾光受光部56は、追尾受光光軸63を有している。又、前記追尾光受光部56は、受光側から順に前記追尾受光光軸63上に設けられた追尾受光素子64、受光プリズム65及び受光レンズ43を有している。
【0094】
前記受光プリズム65は、所定の屈折率を有する四角プリズムである第1プリズム66と、所定の屈折率を有する三角プリズムである第2プリズム67とを接合し、一体化されて構成されている。前記第1プリズム66と前記第2プリズム67の接合面68には、ダイクロイックフィルタ膜が設けられており、該接合面68は反射測距光45を透過し、測定対象物で反射された前記追尾光62(反射追尾光69)を反射する様構成されている。即ち、前記接合面68は、前記反射測距光45と前記反射追尾光69を分離する為の分離面となっている。尚、前記受光プリズム65に於ける第1面、第2面、第3面については、第1の実施例に於ける受光プリズム42の第1面42a、第2面42b、第3面42cと同様の構成となっている。
【0095】
又、前記接合面68の透過側に光量調整板41と受光素子36とが設けられ、前記接合面68の反射側に前記追尾受光素子64が設けられている。即ち、前記接合面68は、前記反射測距光45と前記反射追尾光69の共通光路上(受光光軸37と追尾受光光軸63に交差位置)に位置し、前記受光プリズム65に同軸で入射した前記反射測距光45と前記反射追尾光69とを分離する。
【0096】
前記追尾受光素子64は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記追尾受光素子64上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記追尾受光素子64の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記追尾受光素子64上での位置が特定される。
【0097】
測定対象物の追尾を行う際には、演算制御部17が前記測距光32と同軸で前記追尾光62を照射し、測定対象物で反射された前記反射追尾光69の前記追尾受光素子64に対する入射位置を演算し、該偏差に基づき前記反射追尾光69の入射位置が前記追尾受光素子64の中心となる様に水平回転モータ8と前記鉛直回転モータ13を制御する。これにより、前記測量装置本体3が測定対象物を追尾する。
【0098】
第4の実施例では、測距の為の光学部材と追尾の為の光学部材の一部を共用とし、前記測距光32と前記追尾光62とを同軸で照射する様に構成されている。従って、前記測量装置1に追尾機能を追加した場合であっても、前記距離測定部19の光学系の小型化を図ることができる。
【0099】
尚、前記ダイクロイックミラー61の透過側を測距光射出部23とし、反射側を前記追尾光射出部55としてもよいし、前記接合面68の透過側を前記追尾光受光部56とし、反射側を測距光受光部24としてもよい。
【0100】
次に、
図7に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、
図7中、
図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
第5の実施例では、第4の実施例と同様の測距光射出部23、測距光受光部24、追尾光射出部55、追尾光受光部56に加えて、レーザポインタ光射出部71と撮像部72とを同軸に設けている。
【0102】
前記レーザポインタ光射出部71は、レーザポインタ発光素子73から射出されるレーザポインタ光(レーザポインタ光軸74)上に設けられた投光レンズ75と、ビームスプリッタ76と、該ビームスプリッタ76の反射光軸上に設けられたミラー77と、該ミラー77の反射光軸上に設けられたショートパスフィルタ板78とを有している。尚、本実施例では、前記レーザポインタ光軸74と、前記ミラー77及び前記ショートパスフィルタ板78で反射されたレーザポインタ光軸74とを総称して該レーザポインタ光軸74としている。
【0103】
前記レーザポインタ発光素子73は、例えば可視光領域のレーザ光線を射出するレーザダイオードとなっている。前記ビームスプリッタ76は、前記レーザポインタ光軸74を撮像光軸79(後述)と同軸に偏向する。即ち、前記ビームスプリッタ76は、前記レーザポインタ光軸74と前記撮像光軸79の交差位置に配置される。又、前記ミラー77は前記レーザポインタ光軸74を前記ショートパスフィルタ板78に向って反射する。
【0104】
該ショートパスフィルタ板78は、可視光を透過し、測距光32(反射測距光45)と追尾光62(反射追尾光69)を反射する光学特性を有している。又、前記ショートパスフィルタ板78は、該ショートパスフィルタ板78を透過したレーザポインタ光軸74と同軸となる様、測距光軸25及び追尾光軸57を偏向する。更にショートパスフィルタ板78は、前記撮像光軸79を前記受光光軸37及び追尾受光素子64から分離させる。即ち、前記ショートパスフィルタ板78は、前記測距光32(前記追尾光62)とレーザポインタ光の共通光路上に配置される。
【0105】
前記撮像部72は、撮像素子81に受光される背景光の光軸(前記撮像光軸79)上に設けられた受光レンズ群82と、前記ビームスプリッタ76と、前記ミラー77と、前記ショートパスフィルタ板78とを有している。
【0106】
前記撮像素子81は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記撮像素子81上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像素子81の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記撮像素子81上での位置が特定される。
【0107】
同軸で照射されると共に、同軸で反射された前記反射測距光45、前記反射追尾光69、反射レーザポインタ光は、背景光と共に前記距離測定部19に入射し、反射レーザポインタ光及び背景光が前記ショートパスフィルタ板78で分離される。
【0108】
更に該ショートパスフィルタ板78を透過したレーザポインタ光及び背景光は、前記ミラー77で反射され、前記ビームスプリッタ76及び前記受光レンズ群82を介して前記撮像素子81に結像され、画像が取得される。
【0109】
第5の実施例では、前記測距光軸25及び前記追尾光軸57と同軸になる様前記レーザポインタ光射出部71及び前記撮像部72を設けている。従って、測距、追尾、撮像等で用いられる光学部材の一部を共用できるので、光学系の小型化が図れると共に、部品点数の削減を図ることができる。
【0110】
次に、
図8に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、
図8中、
図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
第6の実施例では、測距光射出部23、測距光受光部24、追尾光射出部55、追尾光受光部56に加えて、撮像部72を追加している。
【0112】
又、第6の実施例では、反射プリズム83は、軸心11aに対して35°程度傾斜し、前記反射プリズム83の射出面(紙面に対して左側の面)がロングパスフィルタを設けたロングパスフィルタ面84となっている。又、前記反射プリズム83の下部には面取り加工が施されている。
【0113】
前記ロングパスフィルタ面84は、可視光を反射し、赤外光及び近赤外光を透過する光学特性を有している。即ち、前記ロングパスフィルタ面84は、同軸で入射した背景光を反射し、反射測距光45及び反射追尾光69を透過する分離面となっている。
【0114】
前記ロングパスフィルタ面84で分離反射された背景光の光軸が前記撮像光軸79となっており、該撮像光軸79上に受光レンズ群82及び撮像素子81が設けられる。従って、前記反射プリズム83に入射した背景光は、前記ロングパスフィルタ面84で反射され、撮像素子81に入射する様になっている。その他の構成については第6の実施例と略同様である。
【0115】
第6の実施例では、前記反射プリズム83の射出面に設けた前記ロングパスフィルタ面84を背景光が分離する為の分離面としている。従って、背景光を分離する為にミラーやプリズムを別途設ける必要がないので、部品点数の削減が図れると共に、光学系の小型化を図ることができる。
【0116】
尚、本発明に於いて、第1の実施例~第6の実施例を適宜組合わせてもよいのは言う迄もない。
【0117】
又、第1の実施例~第6の実施例に於いて、前記ピンホール板28に物理的に穿設した孔を前記ピンホール33としているが、エレクトロウェッティングによるマスクや、ガラス板にクロム蒸着したマスクにより形成した開口部をピンホールとしてもよい。エレクトロウェッティングを用いると、印加する電圧によりピンホールの大きさを変更できるので、より細かな光量調整が可能となる。
【符号の説明】
【0118】
1 測量装置
3 測量装置本体
6 水平回転軸
11 鉛直回転軸
15 走査ミラー
17 演算制御部
19 距離測定部
23 測距光射出部
24 測距光受光部
28 ピンホール板
29 反射プリズム
32 測距光
33 ピンホール
35 接合面
38 ビームスプリッタ膜
41 光量調整板
45 反射測距光
53 反射プリズム
54 反射面