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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127744
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】開閉検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20230907BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20230907BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20230907BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B21/00 U
G08B25/08 A
B60J5/00 E
B60J5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031618
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 吉孝
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA34
5C086BA22
5C086CA08
5C086CA21
5C086EA04
5C087AA02
5C087DD08
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG70
(57)【要約】
【課題】移動体に設けられた扉の開閉検出における誤検出を防止し、扉の開閉状態の確認において適切に対応することが可能な開閉検出装置を提供する。
【解決手段】移動体に設けられた扉に装着される開閉検出装置であって、前記扉の開閉状態を検出する開閉検出センサと、前記開閉検出装置の動きを検出する加速度センサと、検出された前記扉の開閉状態と前記開閉検出装置の動きとに基づき、前記扉が意図的に開かれたか否かを判定する制御部と、判定結果を前記開閉検出装置の外部の装置へ送信する通信部と、を備える開閉検出装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた扉に装着される開閉検出装置であって、
前記扉の開閉状態を検出する開閉検出センサと、
前記開閉検出装置の動きを検出する加速度センサと、
検出された前記扉の開閉状態と前記開閉検出装置の動きとに基づき、前記扉が意図的に開かれたか否かを判定する制御部と、
判定結果を前記開閉検出装置の外部の装置へ送信する通信部と、
を備える開閉検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記扉の開閉状態に基づき前記扉が開いたことが検出され、かつ前記開閉検出装置の動きに基づき前記扉の開く動きが検出されなかった場合、前記扉が意図的に開かれていないと判定する、
請求項1に記載の開閉検出装置。
【請求項3】
前記扉の開閉状態に基づき前記扉が開いたことが検出された場合に、前記加速度センサへ電力を供給する電源部、
をさらに備え、
前記加速度センサは、前記電力を供給された場合に前記開閉検出装置の動きを検出する、
請求項1又は請求項2に記載の開閉検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記扉の開閉状態に基づき前記扉が開いたことが検出された場合に、前記扉が開いたことが検出されるまでの前記開閉検出装置の動きの時系列変化に基づき前記扉の開く動きが検出されたか否かに応じて、前記扉が意図的に開かれたか否かを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の開閉検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のセンサ装置を用いて、扉(ドア)の開閉を検出するための技術が各種提案されている。例えば、下記特許文献1には、扉に近接スイッチと検出体を取付け、近接スイッチが検出体を検出した際に出力される検出信号に基づき開閉状態を判断する技術が開示されている。
【0003】
トラックや貨物列車等の移動体に備わる扉(例えばコンテナの扉)は、閉め忘れや走行中の振動などによって開いてしまう場合がある。例えば移動体の走行中に扉が開いてしまった場合、事故につながる恐れがある。このため、特許文献1の技術のようにして扉が開いたことが検出された場合、移動体を停車して扉を閉める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-156312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術のようにセンサ装置を用いて扉の開閉状態の検出を行う場合、走行中の振動などによって扉が開いたと誤検出される場合がある。誤検出であれば、移動体を停車して扉の開閉状態を確認する必要はない。しかしながら、特許文献1の技術では、誤検出であるか否かの識別まではできない。そのため、扉が開いていることが検出された場合、誤検出であっても移動体を停車して扉の開閉状態を確認する必要があり、手間であった。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、移動体に設けられた扉の開閉検出における誤検出を防止し、扉の開閉状態の確認において適切に対応することが可能な開閉検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る開閉検出装置は、移動体に設けられた扉に装着される開閉検出装置であって、前記扉の開閉状態を検出する開閉検出センサと、前記開閉検出装置の動きを検出する加速度センサと、検出された前記扉の開閉状態と前記開閉検出装置の動きとに基づき、前記扉が意図的に開かれたか否かを判定する制御部と、判定結果を前記開閉検出装置の外部の装置へ送信する通信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体に設けられた扉の開閉検出における誤検出を防止し、扉の開閉状態の確認において適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る開閉検出システムの構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る開閉検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態に係る開閉検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、図面には、必要に応じて相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。各軸において、矢印が延びる方向を「正方向」、正方向と逆の方向を「負方向」と称する。
【0011】
本発明の実施形態に係る開閉検出システムは、扉の開閉状態を検出するためのシステムである。以下の実施形態では、一例として、移動体に設けられた扉の開閉状態を検出するために開閉検出システムが利用される例について説明する。なお、開閉検出システムによる開閉状態の検出対象は、移動体に設けられた扉に限定されない。
移動体は、例えば、貨物自動車や貨物列車などである。移動体に設けられた扉は、例えば、貨物自動車の荷台の扉や貨物列車の貨車の扉である。貨物自動車の荷台の形状がウィングボディである場合、貨物自動車の荷台の扉は、上方向に開く左右のウィング部を指す。なお、移動体に設けられた扉は、貨物自動車や貨物列車に積載されたコンテナの扉であってもよい。また、扉の位置は、移動体のサイド側にあってもよいし、リア側にあってもよい。扉の種類は、開き戸、引き戸、上開き戸、フラップ戸などである。開き戸の種類は、片開き戸、両開き戸などである。引き戸の種類は、片引き戸、引違い戸、引分け戸などである。フラップ戸は上下のいずれかに開く戸である。
以下の実施形態では、移動体が貨物自動車であり、移動体に設けられた扉が貨物自動車の荷台の扉であり、荷台の扉が両開き戸である例を一例として説明する。
【0012】
<<1.第1の実施形態>>
図1から図3を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
<1-1.開閉検出システムの構成>
図1を参照して、第1の実施形態に係る開閉検出システムの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る開閉検出システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、開閉検出システム1は、開閉検出装置10と、ユーザ端末20とを備える。図1には、貨物自動車の一例として、トラック2が示されている。トラック2の荷台3には、扉4が設けられている。開閉検出装置10は、扉4に装着されている。ユーザ端末20は、トラック2の車内に設けられている。
【0014】
(1)開閉検出装置10
開閉検出装置10は、扉4の開閉状態を検出するための装置である。開閉検出装置10は、トラック2の扉4に装着される。
開閉検出装置10は、独立して開閉する扉(戸)ごとに設けられることが好ましい。例えば、扉4が、2枚の戸を有する扉(両開き戸、引違い戸、引分け戸など)であって、それぞれ独立して開閉する戸であったとする。この場合、それぞれの戸に対して開閉検出装置10を設けることで、それぞれの戸の開閉状態を検出することが可能である。なお、2枚の戸を有する扉4であっても、一方の戸に連動して開閉する戸である場合、一方の戸に対してのみ開閉検出装置10が設けられていればよい。一方の戸に連動して開閉する戸は、例えば、召合せ(左右の戸が合わさって重なる部分)を有する両開き戸である。
なお、図1には、扉4が召合せの両開き戸であり、重なった際に上側となる戸のみに開閉検出装置10が設けられた例が示されている。
【0015】
開閉検出装置10は、扉4が開いていることを検出した場合、必要に応じてユーザ端末20へ通知を行う。この通知の種類には、警報通知と警告通知があり、警報通知の方が警告通知よりも緊急度が高い通知である。
警報通知は、意図しない扉4の開きが検出された場合に行われ、即時に扉4の開閉状態の確認を行うよう促す通知である。これは、扉4が開いた状態が継続すると事故につながる可能性があり、即時に扉4の状態を確認した方がよいためである。例えば、警報通知は、トラック2の走行中に意図しない扉4の開きが検出された場合に行われる。これにより、扉4が意図せずに開いたことを起因とした事故の発生を防ぐことができる。
警告通知は、扉4の開きが誤検出された場合に行われ、即時にではなくてよいが扉4の開閉状態の確認を行うよう促す通知である。これは、誤検出であるため扉4が開いていない可能性が高いが、開いている可能性も少なからずあるためである。例えば、警告通知は、トラック2の走行中に扉4が開いたことが検出されたが扉4が開く動きが検出されなかった場合に行われる。
なお、意図した扉4の開きが検出された場合、開閉検出装置10は、特に通知を行わないが、悪意のある第三者による不要な開閉の監視を目的として通知するように設定することも可能である。
【0016】
(2)ユーザ端末20
ユーザ端末20は、ユーザによって利用される端末である。ユーザは、例えば、トラック2の運転手である。ユーザ端末20は、入力装置(タッチパネル、マイク、ボタン等)、出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)、中央処理装置、記憶装置等を任意に備える端末である。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレットなどの端末であればいずれを用いるようにしてもよい。
ユーザ端末20は、開閉検出装置10から受信した通知を出力装置に出力する。例えば、ユーザ端末20は、開閉検出装置10から受信した警報通知又は警告通知の内容を示す情報をディスプレイに表示してもよいし、各通知に対応する音をスピーカから出力してもよい。
【0017】
<1-2.開閉検出装置の機能構成>
以上、第1の実施形態に係る開閉検出システム1の構成について説明した。続いて、図2を参照して、第1の実施形態に係る開閉検出装置10の機能構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る開閉検出装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、開閉検出装置10は、電源部110と、開閉検出センサ120と、加速度センサ130と、制御部140と、記憶部150と、通信部160とを備える。なお、第1の実施形態において、制御部140と記憶部150の機能は、マイクロコントローラ(マイコン)によって実現される。
【0018】
(1)電源部110
電源部110は、電力を供給する機能を有する。電源部110は、例えば、円筒型又はボタン型の乾電池(一次電池)やバッテリ(二次電池)等の電池である。
第1の実施形態に係る電源部110は、開閉検出センサ120、加速度センサ130、制御部140、記憶部150、及び通信部160へ電力を供給する。
【0019】
(2)開閉検出センサ120
開閉検出センサ120は、扉4の開閉状態を検出するセンサ装置である。開閉検出センサ120は、扉4の開閉状態を検出可能であれば任意のセンサ装置であってよい。本実施形態では、一例として、開閉検出センサ120は磁気センサである例について説明する。磁気センサは、センシング対象である扉4の開閉状態を検出し、扉4が開いたことを検出した場合には検出信号を制御部140へ出力する。なお、センサ装置は、磁気センサに限定されず、例えば近接センサ、赤外線センサ、反射センサなどであってもよい。開閉検出センサ120による誤検出は、例えば、トラック2の走行中に生じる振動によって扉4がずれることによって生じ得る。
【0020】
(3)加速度センサ130
加速度センサ130は、開閉検出装置10の動きを検出するセンサ装置である。加速度センサ130は、3軸方向の動きを検出可能なセンサであり、開閉検出装置10が装着される位置や扉4が開く方向に応じて、その軸方向が設定される。
例えば、図1に示すように3軸方向が設定された場合、トラック2の走行方向はX軸方向で示され、扉4の開閉方向はX軸方向とY軸方向で示される。
加速度センサ130は、検出した開閉検出装置10の動きを示す情報(3軸方向の加速度)を記憶部150に書き込んで、記憶させる。
【0021】
(4)制御部140
制御部140は、開閉検出装置10の動作全般を制御する機能を有する。制御部140は、開閉検出装置10がハードウェアとして備えるマイコン内のCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0022】
制御部140は、開閉検出センサ120によって検出された扉4の開閉状態と、加速度センサ130によって検出された開閉検出装置10の動きとに基づき、扉4が意図的に開かれたか否かを判定する。制御部140は、開閉検出センサ120から扉4が開いたことを示す検出信号を受信した際に、この判定を行う。
【0023】
制御部140は、加速度センサ130によって検出された開閉検出装置10の動きに基づき、扉4の開く動きを解析し、扉4に開く動きがあったか否かを検出する。具体的には、制御部140は、加速度センサ130によって検出された3軸方向の加速度を解析し、扉4が開かれる際に生じる加速度(開閉方向の加速度)と同様の加速度が加速度センサ130によって検出されたか否かを判定する。
より具体的に、制御部140は、加速度センサ130によって所定の時間に検出された3軸方向の加速度の時系列変化を示す波形と、扉4が開かれる際に生じる加速度の時系列変化を示す波形とを取得し、各波形を比較する。比較の結果、各波形が同様の波形であった場合、制御部140は、同様の加速度が検出されたため扉4を開く動きが検出されたと判定する。一方、各波形が同様の波形でなかった場合、制御部140は、同様の加速度が検出されなかったため扉4を開く動きが検出されなかったと判定する。
扉4が開かれる際に生じる加速度の時系列変化を示す波形は、後述する記憶部150に予め記憶されている。この波形は、例えば、移動体の種類、扉の種類、扉の位置などに応じて検出される波形であり、開閉する速度などに対応した複数の波形パターンなどである。
【0024】
また、制御部140は、加速度センサ130によって検出された開閉検出装置10の動きに基づき、トラック2の走行状態を解析し、トラック2が走行中であるか否かを判定する。具体的には、制御部140は、加速度センサ130によって検出された3軸方向の加速度を解析し、トラック2が走行している際に生じる加速度と同様の加速度が加速度センサ130によって検出されたか否かを判定する。トラック2が走行している際に生じる加速度は、主に進行方向の加速度(図1におけるX軸方向の加速度)であるが、進行方向以外の加速度(図1におけるY軸方向とZ軸方向の加速度)も加味されることが好ましい。Y軸方向の加速度は、例えばカーブでの動きや左右方向の揺れなどによって生じる。Z軸方向の加速度は、例えば路面の凹凸による上下動などによって生じる。
より具体的に、制御部140は、加速度センサ130によって所定の時間に検出された3軸方向の加速度の時系列変化を示す波形と、トラック2が走行している際に生じる加速度の時系列変化を示す波形とを取得し、各波形を比較する。比較の結果、各波形が同様の波形であった場合、制御部140は、同様の加速度が検出されたためトラック2が走行中であると判定する。一方、各波形が同様の波形でなかった場合、制御部140は、同様の加速度が検出されなかったためトラック2が走行中でないと判定する。
トラック2が走行中である場合の波形は、例えば連続的な波形、不連続的な波形、非周期的な波形などが混在した形状となる。トラック2が停車中でアイドリング状態の場合の波形は、例えば、周期的な波形の形状となる。トラック2が停車中でエンジンを切った状態の場合、又はアイドリングストップ状態の場合、加速度が検出されないため波形も検出されない。
トラック2の走行状態に応じて生じる加速度の時系列変化を示す波形は、後述する記憶部150に予め記憶されている。トラック2が走行している際の波形は、例えば、移動体の種類などに応じて検出される波形であり、発進時や停止時、走行中などの複数の波形パターンなどがある。
【0025】
開閉検出センサ120によって扉4が開いたことが検出された際に、制御部140によって扉4の開く動きとトラック2が走行中であることが検出されたとする。この場合、扉4が開く動きが検出されたことから扉4が実際に開いたことが分かり、トラック2が走行中であることが検出されたことから扉4が意図せずに開いたことが分かる。よって、制御部140は、扉4が意図的に開かれなかったと判定し、警報通知を行う。
開閉検出センサ120によって扉4が開いたことが検出された際に、制御部140によって扉4の開く動きとトラック2が走行中でないことが検出されたとする。この場合、扉4が開く動きが検出されたことから扉4が実際に開いたことが分かり、トラック2が走行中でないことが検出されたことから扉4が意図的に開かれたことが分かる。よって、制御部140は、扉4が意図的に開かれたと判定し、特に通知を行わない。
開閉検出センサ120によって扉4が開いたことが検出された際に、制御部140によって扉4の開く動きが検出されなかったとする。この場合、扉4が開いたことが検出されたが開く動きが検出されなかったことから、扉4が実際に開いていないことが分かる。よって、制御部140は、開閉検出センサ120によって扉4の開きが誤検出されたと判定し、警告通知を行う。
【0026】
このように、制御部140は、扉4の開閉状態に基づき扉4が開いたことが検出された場合に、扉4が開いたことが検出されるまでの開閉検出装置10の動きの時系列変化(波形)に基づき、扉4の開く動きが検出されたか否かとトラック2が走行中であるか否かを判定する。そして、制御部140は、各判定結果に応じて、扉4が意図的に開かれたか否かを判定する。
なお、制御部140による判定処理は、AI(機械学習)を用いて行われてもよい。
【0027】
(5)記憶部150
記憶部150は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部150は、開閉検出装置10がハードウェアとして備えるマイコン内のメモリによって実現される。記憶部150は、予め登録される加速度の波形やパラメータ、加速度センサ130によって検出される加速度を記憶する。パラメータは、開閉検出装置10が装着される移動体の種類、扉の種類、扉の位置などを示す情報である。このパラメータを、移動体の車種や扉の種類に応じて設定して記憶部150に記憶することにより、移動体の車種や扉の種類ごとに複数の種類の開閉検出装置10を製造することなく、1つの開閉検出装置10で様々な移動体に対応可能となる。記憶部150は、加速度センサ130が検出した加速度を所定の時間分だけ記憶する。
【0028】
(6)通信部160
通信部160は、制御部140による判定結果を開閉検出装置10の外部の装置へ送信する機能を有する。例えば、通信部160は、制御部140による判定結果を示す警報通知又は警告通知をユーザ端末20へ送信する。送信は、有線では配線の必要があるため、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)やBluetooth(登録商標)のような無線通信方式が好ましい。
【0029】
<1-3.処理の流れ>
以上、第1の実施形態に係る開閉検出装置10の機能構成について説明した。続いて、図3を参照して、第1の実施形態に係る処理の流れについて説明する。図3は、第1の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0030】
図3に示すように、まず、電源部110は、開閉検出装置10の全体に電力を供給する(ステップS101)。
次いで、加速度センサ130は、開閉検出装置10の動きを検出する(ステップS102)。加速度センサ130は、電力の供給後、開閉検出装置10の動きの検出を継続的に行う。加速度センサ130は、検出した動きを示す加速度を記憶部150に書き込んで、記憶させる。なお、記憶部150に記憶させるデータは、車両の動きと扉の開閉動作を判定するために必要なデータ量であればよく、記憶部150の容量に応じて適宜上書きがされる。
次いで、開閉検出センサ120は、扉4の開閉状態を検出する(ステップS103)。扉4の開閉状態に基づき扉4が開いたことが検出された場合(ステップS104/YES)、処理をステップS105へ進める。一方、扉4の開閉状態に基づき扉4が開いたことが検出されなかった場合(ステップS104/NO)、処理をステップS103へ戻す。
【0031】
処理がステップS105へ進んだ場合、制御部140は、扉4の開く動きを解析する(ステップS105)。扉4の開く動きが検出された場合(ステップS106/YES)、処理をステップS107へ進める。一方、扉4の開く動きが検出されなかった場合(ステップS106/NO)、処理をステップS113へ進める。
【0032】
処理がステップS107へ進んだ場合、制御部140は、トラック2の走行状態を解析する(ステップS107)。トラック2が走行中であることが検出された場合(ステップS108/YES)、処理をステップS109へ進める。一方、トラック2が走行中でないことが検出された場合(ステップS108/NO)、処理をステップS111へ進める。
【0033】
処理がステップS109へ進んだ場合、制御部140は、扉4に意図しない開きがあったと判定する(ステップS109)。そして、制御部140は、警報通知を行い(ステップS110)、処理をステップS103から繰り返す。
【0034】
処理がステップS111へ進んだ場合、制御部140は、扉4に意図した開きがあったと判定する(ステップS111)。そして、制御部140は、通知を行わず(ステップS112)、処理をステップS103から繰り返す。
【0035】
処理がステップS113へ進んだ場合、制御部140は、開閉検出センサ120によって扉4の開きが誤検出されたと判定する(ステップS113)。そして、制御部140は、警告通知を行い(ステップS114)、処理をステップS103から繰り返す。
【0036】
なお、図3に示すフローチャートにおいて、処理がステップS103に戻る場合、図示していないが、例えば、開閉検出装置10の電源を一旦切って再起動させるか、開閉検出装置10に解除ボタンを設けるなどして、警報状態又は警告状態を解除するステップを踏んだ後に、ステップS103に戻るものとする。また、処理がステップS103に戻る場合、図示していないが、例えば、開閉検出センサ120によって扉4が閉じたことを検出するステップを踏んだ後に、ステップS103に戻るものとする。
【0037】
以上説明したように、第1の実施形態に係る開閉検出装置10は、開閉検出センサ120によって検出される扉4の開閉状態と、加速度センサ130によって検出される開閉検出装置10の動きとに基づき、扉4が意図的に開かれたか否かを判定する。これにより、開閉検出装置10は、開閉検出センサ120の検出に誤検出があったか否かと、扉4が意図的に開かれたか否かを判定し、判定結果に応じた対応を促す通知をユーザ端末20へ行うことができる。
【0038】
よって、第1の実施形態に係る開閉検出装置10は、移動体に設けられた扉の開閉検出における誤検出を防止し、扉の開閉状態の確認において適切に対応することを可能とする。
【0039】
<<2.第2の実施形態>>
以上、第1の実施形態について説明した。続いて、図4及び図5を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、電源部110が開閉検出装置10の全体へ常時電力を供給する例について説明したが、かかる例に限定されない。第2の実施形態では、扉4が開いたことが検出された場合のみ、電源部110から電力が供給される例について説明する。
なお、以下では、第1の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0040】
<2-1.開閉検出システムの構成>
第2の実施形態に係る開閉検出システム1aの構成は、図1を参照して説明した第1の実施形態に係る開閉検出システム1の構成と同様であり、重複するため説明を省略する。
【0041】
<2-2.開閉検出装置の機能構成>
以上、第2の実施形態に係る開閉検出システム1aの構成について説明した。続いて、図4を参照して、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aの機能構成について説明する。図4は、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、開閉検出装置10aは、電源部110aと、開閉検出センサ120aと、加速度センサ130aと、制御部140aと、記憶部150aと、通信部160aとを備える。なお、第2の実施形態において、制御部140aと記憶部150aの機能は、マイコンによって実現される。
【0042】
(1)電源部110a
電源部110aは、開閉検出センサ120aには、常時電力を供給する。開閉検出センサ120aによって扉4が開いたことが検出され、開閉検出センサ120aから検出信号を受け取った場合に、電源部110aは、制御部140aへ電力を供給するための電源回路をオンにする。これにより、制御部140aへ電力が供給され、制御部140aを介して加速度センサ130a、記憶部150a、及び通信部160aへ電力が供給される。
これにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0043】
(2)開閉検出センサ120a
開閉検出センサ120aには、電源部110aから常時電力が供給される。開閉検出センサ120aは、センシング対象である扉4の開閉状態を検出し、扉4が開いたことを検出した場合には検出信号を電源部110aへ出力する。
【0044】
(3)加速度センサ130a
開閉検出センサ120aには、扉4が開いたことが検出された場合に、制御部140aを介して電源部110aから電力が供給される。加速度センサ130aは、電源部110aから電力を供給された場合に開閉検出装置10aの動きを検出する。
【0045】
(4)制御部140a
制御部140aには、扉4が開いたことが検出された場合に電源部110aから電力が供給される。電力が供給された制御部140aは、加速度センサ130a、記憶部150a、及び通信部160aに対して、電源部110aからの電力を供給する。
制御部140aは、加速度センサ130が電力の供給を受けてから所定の時間に検出した開閉検出装置10の動きに基づき、第1の実施形態に係る制御部140と同様にして、扉4の開く動きの有無やトラック2の走行状態を判定する。
【0046】
(5)記憶部150a
記憶部150aには、扉4が開いたことが検出された場合に、制御部140aを介して電源部110aから電力が供給される。記憶部150aには、第1の実施形態に係る記憶部150と同様に、予め登録される加速度の波形やパラメータ、加速度センサ130aによって検出される加速度を記憶する。
【0047】
(6)通信部160a
通信部160aには、扉4が開いたことが検出された場合に、制御部140aを介して電源部110aから電力が供給される。通信部160aの機能は、第1の実施形態に係る通信部160の機能と同様であり、重複するため説明を省略する。
【0048】
<2-3.処理の流れ>
以上、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aの機能構成について説明した。続いて、図5を参照して、第2の実施形態に係る処理の流れについて説明する。図5は、第2の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、まず、開閉検出センサ120aは、扉4の開閉状態を検出する(ステップS201)。扉4の開閉状態に基づき扉4が開いたことが検出された場合(ステップS202/YES)、処理をステップS203へ進める。一方、扉4の開閉状態に基づき扉4が開いたことが検出されなかった場合(ステップS202/NO)、処理をステップS201へ戻す。
処理がステップS203へ進んだ場合、電源部110aは、加速度センサ130a、制御部140a、記憶部150a、及び通信部160aへ電力を供給する(ステップS203)。
次いで、加速度センサ130aは、電力の供給を受けて開閉検出装置10の動きを検出する(ステップS204)。
【0050】
ステップS205からステップS214の処理は、図3を参照して説明したステップS105からステップS114の処理と同様であり、重複するため説明を省略する。
なお、図5に示すフローチャートにおいて、処理がステップS201に戻る場合、図示していないが、例えば、開閉検出装置10aの電源を一旦切って再起動させるか、開閉検出装置10aに解除ボタンを設けるなどして、警報状態又は警告状態を解除するステップ及び電源部110aをオフするステップを踏んだ後に、ステップS201に戻るものとする。また、処理がステップS201に戻る場合、図示していないが、例えば、開閉検出センサ120aによって扉4が閉じたことを検出するステップ及び電源部110aをオフするステップを踏んだ後に、ステップS201に戻るものとする。
【0051】
以上説明したように、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aは、第1の実施形態に係る開閉検出装置10と同様に、移動体に設けられた扉の開閉検出における誤検出を防止し、扉の開閉状態の確認において適切に対応することを可能とする。
また、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aでは、少なくとも加速度センサ130aは、扉4が開いたことが検出されたタイミングのみ電力の供給を受けて起動する。さらに、制御部140a、記憶部150a、及び通信部160aについても、扉4が開いたことが検出されたタイミングのみ電力の供給を受けて起動するようにしてもよい。これにより、第2の実施形態に係る開閉検出装置10aは、消費電力の低減を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態の変形例について説明した。なお、上述した実施形態における開閉検出装置10及び10aの一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0053】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,1a…開閉検出システム、2…トラック、3…荷台、4…扉、10,10a…開閉検出装置、20…ユーザ端末、110,110a…電源部、120,120a…開閉検出センサ、130,130a…加速度センサ、140,140a…制御部、150,150a…記憶部、160,160a…通信部
図1
図2
図3
図4
図5