(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127758
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】包装用形成品
(51)【国際特許分類】
B65D 1/40 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B65D1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031642
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 冴理
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 智久
(72)【発明者】
【氏名】眞嶋 大介
(72)【発明者】
【氏名】丹菊 裕介
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA13
3E033CA20
3E033EA03
3E033FA04
(57)【要約】
【課題】
潰しやすく減容した状態を維持できる包装用形成品を提供する。
【解決手段】
側面220を有する包装用形成品200であって、側面220は、中央面210から外側のフランジ230に向けて傾斜しており、側面220には、包装用形成品200を上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲する谷折部250と、谷折部250の上下に補強部260が設けられており、包装用形成品200が押し潰される前は、外側の補強部260は、谷折部250を挟んで、内側の補強部260と離間しているが、包装用形成品200が押し潰された際は、外側の補強部260は、谷折部250を超えて、内側の補強部260に近接した状態となることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面を有する包装用形成品であって、
前記側面は、中央面から外側のフランジに向けて傾斜しており、
前記側面には、前記包装用形成品を上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲する谷折部と、前記谷折部の上下に補強部が設けられており、
前記包装用形成品が押し潰される前は、外側の前記補強部は、前記谷折部を挟んで、内側の前記補強部と離間しているが、
前記包装用形成品が押し潰された際は、外側の前記補強部は、前記谷折部を超えて、内側の前記補強部に近接した状態となることを特徴とする包装用形成品。
【請求項2】
前記側面において、外側の前記補強部の更に外側には、前記包装用形成品が押し潰された際に、反り返りが可能な反返部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装用形成品。
【請求項3】
前記側面において、内側の前記補強部の更に内側には、前記包装用形成品が押し潰された際に、変形を防止する形状保持部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用形成品。
【請求項4】
前記谷折部が、山折線で構成される平行四辺形状凹凸部の長対角線であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の包装用形成品。
【請求項5】
前記平行四辺形状凹凸部が複数設けられており、当該平行四辺形状凹凸部は、前記包装用形成品の周方向において互いに隣接していることを特徴とする請求項4に記載の包装用形成品。
【請求項6】
前記谷折部が、接地面に対して水平であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用形成品。
【請求項7】
隣接する前記側面の間に、上下へ延出するリブが設けられており、
当該リブの一方の短尺状の側面と、他方の長尺状の側面のそれぞれには、第2谷折部が設けられており、
前記第2谷折部は、前記包装用形成品を上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲可能であることを特徴とする請求項1、2、又は6に記載の包装用形成品。
【請求項8】
前記補強部が、複数の三角形の面によって構成された凹凸面であることを特徴とする請求項1、2、6、又は7に記載の包装用形成品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用形成品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜や薬味等の食品を収容する容器本体と蓋体とからなる包装用形成品が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。そして、利用者が包装用形成品から食品を取り出した後、使用後の包装用形成品を潰し、減容して廃棄できる包装用形成品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す包装用容器は、底面である外側平面と、その外周に立ち上げ外壁と、先端が底面まで伸びる押上げリブを備えている。そして、利用者は押上げリブに力を加えて底面を持ち上げ、包装用容器を潰して減容することができる。また、特許文献2に示す包装用容器は、底面と、側壁と、底面と側壁との間に、折れ線部を中心に有する凹みを備えている。そして、利用者が力を加えると、凹みによって、包装用容器が容易に潰れて減容することができる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示す包装用容器では、底面も反り返るように潰れるため、底面が変形して安定せず、包装用容器が潰しにくいという問題があった。
【0004】
さらに、特許文献3に示す容器は、底面と、側壁と、側壁に複数の谷折り部を備えている。そして、利用者が下方に力を加えると、谷折り部が屈曲して、容器が容易に潰れて減容することができる。しかしながら、特許文献3に示す包装用容器では、屈曲した谷折り部が元に復元しやすく、減容した状態が維持しにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2009-178423
【特許文献2】特願2004-166806
【特許文献3】特願1998-147328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、潰しやすく減容した状態を維持できる包装用形成品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用形成品は、側面を有する包装用形成品であって、前記側面は、中央面から外側のフランジに向けて傾斜しており、前記側面には、前記包装用形成品を上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲する谷折部と、前記谷折部の上下に補強部が設けられており、前記包装用形成品が押し潰される前は、外側の前記補強部は、前記谷折部を挟んで、内側の前記補強部と離間しているが、前記包装用形成品が押し潰された際は、外側の前記補強部は、前記谷折部を超えて、内側の前記補強部に近接した状態となることを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、谷折部の外側及び内側の補強部によって、谷折部に効果的に応力を加えることができるため、谷折部周辺は容易に潰れるように屈曲する。すると、谷折部を備えた側面が効果的に潰れることから、応力は側面に吸収され、中央面に不用意に応力がかからない。そのため、接地面に置かれた中央面が不用意に変形しないため、包装用形成品を安定して容易に潰すことができるのである。さらに、谷折部の両側の補強部が谷折部を起点に大きく反り返るように潰れることができ、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果も発揮しているのである。よって、包装用形成品を減容した状態を維持しやすいのである。
【0009】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用形成品は、前記側面において、外側の前記補強部の更に外側には、前記包装用形成品が押し潰された際に、反り返りが可能な反返部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、包装用形成品が押し潰された際に、反返部の内面側が上方へ向くように反り返る。そして、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品を減容した状態を維持しやすいのである。
【0011】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用形成品は、前記側面において、内側の前記補強部の更に内側には、前記包装用形成品が押し潰された際に、変形を防止する形状保持部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、側面の下側(中央面側)が倒れて潰れることがない。そのため、包装用形成品を安定して容易に潰すことができると共に、包装用形成品を減容した状態を維持しやすい。
【0013】
さらに、本願発明の請求項4に係る包装用形成品は、前記谷折部が、山折線で構成される平行四辺形状凹凸部の長対角線であることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、平行四辺形状凹凸部は、周囲の四辺が山折線で囲まれて補強されると共に、長対角線が谷折部となっているので、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、周囲の四辺側からの応力が、長い谷折部へ集中するのである。その結果、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、谷折部は内側に屈曲しやすいのである。
【0015】
さらに、本願発明の請求項5に係る包装用形成品は、前記平行四辺形状凹凸部が複数設けられており、当該平行四辺形状凹凸部は、前記包装用形成品の周方向において互いに隣接していることを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、平行四辺形状凹凸部が包装用形成品の周方向において互いに隣接した状態となっているため、半径が小さくなるように側面が押し潰されると、隣接する平行四辺形状凹凸部同士が上下に重なることになる。そして、その重なった部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品を減容した状態を維持しやすいのである。
【0017】
さらに、本願発明の請求項6に係る包装用形成品は、前記谷折部が、接地面に対して水平であることを特徴とする。
【0018】
上記特徴によれば、谷折部が接地面に対して水平になっているので、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、応力が谷折部に効率的に伝わり、谷折部が折れ曲がり易いのである。
【0019】
さらに、本願発明の請求項7に係る包装用形成品は、隣接する前記側面の間に、上下へ延出するリブが設けられており、当該リブの一方の短尺状の側面と、他方の長尺状の側面のそれぞれには、第2谷折部が設けられており、前記第2谷折部は、前記包装用形成品を上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲可能であることを特徴とする。
【0020】
上記特徴によれば、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、長尺状の他方の側面が、短尺状の一方の側面の下側に潜り込んで重なり、一方の側面を上方へ突き上げるように潰れる。そして、その重なった部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品を減容した状態を維持しやすいのである。
【0021】
さらに、本願発明の請求項8に係る包装用形成品は、前記補強部が、複数の三角形の面によって構成された凹凸面であることを特徴とする。
【0022】
上記特徴によれば、包装用形成品が上下方向に押し潰された際に、潰れにくく、谷折部に効果的に応力を伝えることが出来るように、補強されている。
【発明の効果】
【0023】
本願発明の包装用形成品は、潰しやすく減容した状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願発明の実施形態1に係る包装用形成品の全体斜視図である。
【
図2】(a)は、本願発明の実施形態1に係る包装用形成品の平面図、(b)は包装用形成品の側面図である。
【
図3】(a)は、本願発明の実施形態1に係る包装用形成品の底面図、(b)は、
図2(b)のA―A端面図である。
【
図4】(a)は、潰した状態の包装用形成品の平面図、(b)は、包装用形成品の側面図である。
【
図6】本願発明の実施形態2に係る包装用形成品の全体斜視図である。
【
図7】(a)は、本願発明の実施形態2に係る包装用形成品の平面図、(b)は包装用形成品の正面図である。
【
図8】(a)は、本願発明の実施形態2に係る包装用形成品の底面図、(b)は、
図7(b)のC―C端面図である。
【
図9】(a)は、潰した状態の包装用形成品の平面図、(b)は、包装用形成品の正面図、(c)は、包装用形成品の側面図である。
【符号の説明】
【0025】
200 包装用形成品
210 中央面
220 側面
230 フランジ
250 谷折部
260 補強部
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用形成品の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0027】
<実施形態1>
まず、
図1から
図3には、本願発明の実施形態1に係る包装用形成品200を示す。なお、
図1は包装用形成品200の全体斜視図、
図2(a)は包装用形成品200の平面図、
図2(b)は包装用形成品200の側面図、
図3(a)は包装用形成品200の底面図、
図3(b)は、
図2(b)のA―A端面図である。
【0028】
図1から
図3に示すように、包装用形成品200は、内部に食品等を収容できる容器本体の態様をしている。包装用形成品200は、上方に開口した深皿型形状であり、平面視略円形形状の平坦で水平方向に広がる中央面210と、当該中央面210の外側から上方へ立ち上がる側面220と、当該側面220の先端から外側へ延出する平坦なフランジ230と、側面220の先端とフランジ230との間において、内側に向けて凸状の嵌合部240とを備える。この嵌合部240は任意で設けるもので、蓋体の嵌合部と嵌合できるように構成されている。
【0029】
また、包装用形成品200は、開口面を上にして水平な接地面上に載置して利用するため、中央面210が接地面に設置される底面となる。中央面210の外縁部211には、後述する谷折部250が形成されておらず、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、中央面210は潰れにくくなっている。また、側面220は、中央面210から外側のフランジ230へ向けて傾斜している。さらに、側面220には複数の谷折部250が設けられている。この谷折部250は、内側に突出するように谷折状に形成されており、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、内側に屈曲可能に構成されている。また、
図3(b)に示すように、谷折部250の外側の角度αは任意の角度であってもよいが、角度αが鈍角であると、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、谷折部250は大きく折れ曲がりやすくなる。
【0030】
また、谷折部250の上下には補強部260が設けられている。この補強部260は、外側に突出するように山折状に形成されている。そして、補強部260は、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、谷折部250が内側に屈曲できるように、上下から谷折部250に応力を十分に加えることができる程度の剛性に補強された箇所となっている。つまり、補強部260は、谷折部250よりも剛性が高く、変形し難い箇所となっている。なお、補強部260は、山折状に形成されているがこれに限定されず、谷折部250よりも剛性が高く変形し難いのであれば、リブ形状や面形状など、任意の形状であってもよい。
【0031】
また、側面220が中央面210からフランジ230へ向けて傾斜しているため、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、側面視で、谷折部250の上側の補強部260は、谷折部250の下側の補強部260より外側に配置されることになる。そして、外側の補強部260は、谷折部250を挟んで、内側の補強部260と離間した状態となっている。
【0032】
また、谷折部250及び補強部260は、側面視で平行四辺形状に形成された平行四辺形状凹凸部270の一部を構成している。具体的には、平行四辺形状凹凸部270は、隣接する平行四辺形状凹凸部270との境界である両側の境界山折線271と、上下の補強部260とで四辺を囲む平行四辺形状となっており、その平行四辺形の対角線の長い方、つまり長対角線が谷折部250となっている。このように、平行四辺形状凹凸部270は、周囲の四辺が山折線で囲まれて補強されると共に、長対角線が谷折部250となっているので、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、周囲の四辺側からの応力が、長い谷折部250へ集中するのである。その結果、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、谷折部250は内側に屈曲しやすいのである。なお、谷折部250が直線状に形成されているが、これに限定されず、任意の形状であってもよい。ただ、谷折部250が直線状に形成されていると、上下方向からの押し潰す力に対して反発力が少なく、谷折部250が容易に内側に曲がるのである。また、平行四辺形状凹凸部270の長対角線となる谷折部250は、
図2に示すように、水平な接地面に対して傾斜しているのが好ましい。なぜなら、平行四辺形状凹凸部270の頂部(つまり、山折線の交点)は補強されて折れ曲がりにくいため、平行四辺形状凹凸部270の長対角線となる谷折部250が水平になるように構成すると、補強されて折れ曲がりにくい平行四辺形状凹凸部270の頂部と、谷折部250とが、水平に直線状に並ぶため、谷折部250が折れ曲がりにくくなるからである。
【0033】
また、側面220に形成された平行四辺形状凹凸部270は、包装用形成品200の周方向へ連続して複数設けられ、包装用形成品200の周方向において互いに隣接した状態となっている。さらに、平行四辺形状凹凸部270は、包装用形成品200の上下方向にも連続して複数設けられている。具体的には、フランジ230に隣接する上段側(フランジ230側)の平行四辺形状凹凸部270と、中央面210に隣接する下段側(中央面210側)の平行四辺形状凹凸部270と、上段側の平行四辺形状凹凸部270と下段側の平行四辺形状凹凸部270とに挟まれた中段の平行四辺形状凹凸部270とを備えている。そして、隣接するフランジ230によって補強された上段側の平行四辺形状凹凸部270と、隣接する中央面210によって補強された下段側の平行四辺形状凹凸部270は、中段の平行四辺形状凹凸部270に比べて、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に変形しにくくなっている。そのため、包装用形成品200が上下方向に押し潰される際に、中段の平行四辺形状凹凸部270が容易に変形して包装用形成品200を効率的に減容できると共に、押し潰す力を加えるフランジ230側と、接地面に載置される中央面210側が変形しにくいので、安定して包装用形成品200を押し潰すことができるのである。さらに、中央面210に隣接する下段側(中央面210側)の平行四辺形状凹凸部270には、形状保持部201が設けられている。この形状保持部201は、内側に凹状で、上下方向に直線状に延出した縦リブの態様をしており、側面220の下側(中央面210側)を補強している。なお、形状保持部201は、内側に凹状で、上下方向に直線状に延出した縦リブの態様をしているが、これに限定されず、側面220の下側(中央面210側)を補強できるのであれば、任意の形状であってもよい。また、後述するように、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、上段側の平行四辺形状凹凸部270は、外側に反り返りが可能な反返部280となる。
【0034】
なお、側面220、フランジ230、及び平行四辺形状凹凸部270は、包装用形成品200の周方向へ全周にわたり連続して設けられているが、これに限定されず、断続的に設けてもよい。また、平行四辺形状凹凸部270は、上下方向に3段設けられているが、これに限定されず、平行四辺形状凹凸部270は上下方向に1段のみ、又は、4段以上設けてもよい。さらに、包装用形成品200は平面視略円形形状となっているが、これに限定されず、平面視略多角形等、任意の形状とすることができる。
【0035】
なお、包装用形成品200は、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、包装用形成品200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたもの、紙や金属などを用いることができる。
【0036】
では次に、包装用形成品200が潰されて減容された状態について、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、
図4(a)は、潰した状態の包装用形成品200の平面図、
図4(b)は、包装用形成品200の側面図、
図5は、
図4(b)のB―B端面図である。
【0037】
図4及び
図5に示すように、包装用形成品200を潰して減容する際は、包装用形成品200の中央面210を水平な平坦面の接地面上に置き、利用者はフランジ230を上から指等で押さえる。そして、利用者がフランジ230に下方へ押し付けるように力を加えると、谷折部250が内側へ向けて屈曲し、包装用形成品200を下方へ潰して減容することができる。その際、谷折部250の外側及び内側の補強部260によって、谷折部250に効果的に応力を加えることができるため、谷折部250周辺は容易に潰れように屈曲する。すると、谷折部250を備えた側面220が効果的に潰れることから、応力は側面220に吸収され、中央面210に不用意に応力がかからない。そのため、接地面に置かれた中央面210が不用意に変形しないため、包装用形成品200を安定して容易に潰すことができるのである。
【0038】
また、
図5に示すように、中段の平行四辺形状凹凸部270の谷折部250が屈曲するため、潰れる前に谷折部250の上側に位置していた外側の補強部260が、下側へ折れ曲がる。すると、外側の補強部260は、谷折部250を超えて下方(中央面210側)へ移動し、内側の補強部260に近接した状態となる。このようにして、谷折部250の両側の補強部260が谷折部250を起点に大きく反り返るように潰れることができ、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果も発揮しているのである。よって、包装用形成品200を減容した状態を維持しやすいのである。また、内側の補強部260の更に内側には、形状保持部201が設けられているので、包装用形成品200が上下方向に押し潰された際に、側面220の下側(中央面210側)が倒れて潰れることがない。そのため、包装用形成品200を安定して容易に潰すことができると共に、包装用形成品200を減容した状態を維持しやすい。
【0039】
また、
図4及び
図5に示すように、中段の平行四辺形状凹凸部270の外側の反返部280は、反返部280の内面側が上方へ向くように反り返っている。そして、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品200を減容した状態を維持しやすいのである。特に、反返部280は、反返部280の谷折部250を中心に屈曲して、大きく反り返ることができるようになっている。
【0040】
また、
図4に示すように、包装用形成品200が押しつぶされると、平行四辺形状凹凸部270は谷折部250を起点に内側に向けて屈曲し、平行四辺形状凹凸部270付近の側面220の半径が小さくなるように、側面220は内側に潰れる。そして、側面220では、平行四辺形状凹凸部270が包装用形成品200の周方向において互いに隣接した状態となっているため、半径が小さくなるように側面220が押し潰されると、隣接する平行四辺形状凹凸部270同士が上下に重なることになる。そして、その重なった部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品200を減容した状態を維持しやすいのである。
【0041】
なお、包装用形成品200は、内部に食品等を収容できる容器本体の態様をしており、開口面を上にして水平な接地面上に載置して利用するため、中央面210が接地面に設置される底面となるが、これに限定されない。例えば、包装用形成品200は、容器本体に取り付ける蓋体の態様であってもよく、包装用形成品200を蓋体として利用する場合は、開口面を下にするので、中央面210が容器本体の上方を覆う天面となる。そして、包装用形成品200を蓋体として利用する場合であっても、蓋体の態様の包装用形成品200を潰して減容する際は、包装用形成品200の上下をひっくり返して開口面を上にし、中央面210を水平な接地面上に載置する。そして、
図3から
図5で説明した包装用形成品200の潰し方と同様の方法で、蓋体の態様の包装用形成品200を潰して減容するのである。
【0042】
<実施形態2>
次に、
図6から
図8には、本願発明の実施形態2に係る包装用形成品200Aを示す。なお、
図6は包装用形成品200Aの全体斜視図、
図7(a)は包装用形成品200Aの平面図、
図7(b)は包装用形成品200Aの正面図、
図8(a)は包装用形成品200Aの底面図、
図8(b)は、
図7(b)のC―C端面図である。
【0043】
図6から
図8に示すように、包装用形成品200Aは、内部に食品等を収容できる容器本体の態様をしている。包装用形成品200Aは、上方に開口した深皿型形状であり、平面視略長方形状の平坦で水平方向に広がる中央面210Aと、当該中央面210Aの外側から上方へ立ち上がる側面220Aと、当該側面220Aの先端から外側へ延出する平坦なフランジ230Aと、側面220Aの先端とフランジ230Aとの間において、外側へ向けて凹状の嵌合部240Aとを備える。この嵌合部240Aは任意で設けるもので、蓋体の嵌合部と嵌合できるように構成されている。
【0044】
また、包装用形成品200Aは、開口面を上にして水平な接地面上に載置して利用するため、中央面210Aが接地面に設置される底面となる。また、側面220Aは、中央面210Aから外側のフランジ230Aへ向けて傾斜している。さらに、側面220Aには、直線状に延出する谷折部250Aが設けられている。この谷折部250Aは、内側に突出するように谷折状に形成されており、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、内側に屈曲可能に構成されている。また、谷折部250Aは、中央面210Aに対して水平になっており、中央面210Aが置かれた接地面に対しても平行となる。谷折部250Aが接地面に対して水平になっているので、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、応力が谷折部250Aに効率的に伝わり、谷折部250Aが折れ曲がり易いのである。さらに、
図8(b)に示すように、谷折部250Aの外側の角度βは任意の角度であってもよいが、角度βが鈍角であると、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、谷折部250Aは大きく折れ曲がれやすくなる。
【0045】
そして、谷折部250Aの上側には補強部260Aが設けられ、谷折部250Aの下側には補強部290Aが設けられている。この補強部260Aは、複数の三角形状面261Aによって外側に突出した凹凸面に形成されて補強されている。また、この補強部260Aは、谷折部250Aに沿って直線状に連続している。そして、補強部260Aは、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、谷折部250Aが内側に屈曲できるように、谷折部250Aの上方から谷折部250Aに応力を十分に加えることができる程度の剛性に補強された箇所となっている。つまり、補強部260Aは、谷折部250Aよりも剛性が高く、変形し難い箇所となっている。なお、補強部260Aは、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、潰れにくく、谷折部250Aに効果的に応力を伝えることが出来るように、複数の三角形状面261Aによって外側に突出した凹凸面に形成されているが、これに限定されず、谷折部250Aよりも剛性が高く変形し難いのであれば、リブ形状や面形状など、任意の形状であってもよい。
【0046】
また、補強部260Aの外側には、直線状に延出し、内側に屈曲可能な折線が形成されており、この折線は、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、外側に反り返りが可能な反返部280Aとなる。
【0047】
また、谷折部250Aの下側の補強部290Aは、上下方向に延出する壁面であって、複数のリブ291Aによって補強されている。そして、補強部290Aは、谷折部250Aに沿って直線状に連続している。この補強部290Aは、包装用形成品200Aが上下方向に押し潰された際に、谷折部250Aが内側に屈曲できるように、谷折部250Aの下方から谷折部250Aを支持して、谷折部250Aに応力を十分に加えることができる程度の剛性に補強された箇所となっている。つまり、補強部290Aは、谷折部250Aよりも剛性が高く、変形し難い箇所となっている。なお、補強部290Aは、上下方向に延出する壁面であって、複数のリブ291Aによって補強されているが、これに限定されず、谷折部250Aよりも剛性が高く変形し難いのであれば、補強部260Aと同様に複数の三角形状面261Aによって外側に突出した凹凸面など、その他の任意の形状であってもよい。
【0048】
また、側面220Aが中央面210Aからフランジ230Aへ向けて傾斜しているため、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、側面視で、谷折部250Aの上側の補強部260Aは、谷折部250Aの下側の補強部290Aより外側に配置されることになる。そして、外側の補強部260Aは、谷折部250Aを挟んで、内側の補強部290Aと離間した状態となっている。
【0049】
また、包装用形成品200Aの四隅の各コーナにおいて、隣接する側面220Aの間には、上下方向へ延出するリブ300Aが設けられている。そして、リブ300Aの一方の側面310Aには、短尺状の第2谷折部311Aが設けられ、リブ300Aの他方の側面320Aには、長尺状の第2谷折部321Aが設けられている。このように、リブ300Aは、長尺状の他方の側面320Aと、短尺状の一方の側面310Aとを備えた、平面視左右非対称な柱形状をしている。また、第2谷折部311A及び第2谷折部321Aは、包装用形成品200Aを上下方向に押し潰した際に、内側に向けて屈曲するように構成されている。
【0050】
なお、側面220A、フランジ230A、補強部260A及び補強部290Aは、包装用形成品200Aの周方向へ全周にわたり連続して設けられているが、これに限定されず、断続的に設けてもよい。さらに、包装用形成品200Aは平面視略直方形状となっているが、これに限定されず、平面視略円形や平面視略多角形等、任意の形状とすることができる。
【0051】
なお、包装用形成品200Aは、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、包装用形成品200Aの素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたもの、紙や金属などを用いることができる。
【0052】
では次に、包装用形成品200Aが潰されて減容された状態について、
図9及び
図10を参照して説明する。なお、
図9(a)は、潰した状態の包装用形成品200Aの平面図、
図9(b)は、包装用形成品200Aの正面図、
図9(c)は、包装用形成品200Aの側面図、
図10は、
図9(b)のD―D端面図である。
【0053】
図9及び
図10に示すように、包装用形成品200Aを潰して減容する際は、包装用形成品200Aの中央面210Aを水平な平坦面の接地面上に置き、利用者はフランジ230Aを上から指等で押さえる。そして、利用者はフランジ230Aに下方へ押し付けるように力を加えると、谷折部250Aが内側へ向けて屈曲し、包装用形成品200Aを下方へ潰して減容することができる。その際、谷折部250Aの外側の補強部260A及び内側の補強部290Aによって、谷折部250Aに効果的に上下から応力を加えることができるため、谷折部250A周辺は容易に潰れように屈曲する。すると、谷折部250Aを備えた側面220Aが効果的に潰れることから、応力は側面220Aに吸収され、中央面210Aに不用意に応力がかからない。そのため、接地面に置かれた中央面210Aが不用意に変形しないため、包装用形成品200Aを安定して容易に潰すことができるのである。
【0054】
また、谷折部250Aが屈曲すると、潰れる前に谷折部250Aの上側に位置していた外側の補強部260Aが、下側へ折れ曲がる。すると、外側の補強部260Aは、谷折部250Aを超えて下方(中央面210A側)へ移動し、内側の補強部290Aに近接した状態となる。このようにして、谷折部250Aの両側の補強部260Aと補強部290Aが谷折部250Aを起点に大きく反り返るように潰れることができ、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果も発揮しているのである。よって、包装用形成品200Aを減容した状態を維持しやすいのである。
【0055】
また、
図9及び
図10に示すように、外側の補強部260Aより更に外側に位置している反返部280Aは、反返部280Aの内面側が上方へ向くように屈曲して反り返っている。そして、その反り返った部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品200Aを減容した状態を維持しやすいのである。
【0056】
また、
図6に示すように、リブ300Aの一方の側面310Aには、短尺状の第2谷折部311Aが設けられ、リブ300Aの他方の側面320Aには、長尺状の第2谷折部321Aが設けられている。そして、包装用形成品200Aが上下に潰された際には、長尺状の第2谷折部321Aと短尺状の第2谷折部311Aとが同時に内側に屈曲して、リブ300Aが反り返るように潰れる。その際、長尺状の第2谷折部321Aが設けられた他方の側面320Aは長尺状なので、つまり、他方の側面320Aの幅は広いので、それだけ内側に大きく突出するように潰れる。また、短尺状の第2谷折部311Aが設けられた一方の側面310Aは短尺状なので、つまり、一方の側面310Aの幅は他方の側面320Aの幅よりも狭いので、他方の側面320Aに比べて内側に突出するように潰れる範囲が少ない。そのため、長尺状の他方の側面320Aが、短尺状の一方の側面310Aを内側に押しつつ、上方へ向けて反り返るように潰れるのである。すると、
図9に示すように、長尺状の他方の側面320Aが、短尺状の一方の側面310Aの下側に潜り込んで重なり、一方の側面310Aを上方へ突き上げるように潰れるのである。そして、その重なった部分が、潰れた状態が元に戻らないように、潰れた状態を維持する効果を発揮し、包装用形成品200Aを減容した状態を維持しやすいのである。
【0057】
なお、包装用形成品200Aは、内部に食品等を収容できる容器本体の態様をしており、開口面を上にして水平な接地面上に載置して利用するため、中央面210Aが接地面に設置される底面となるが、これに限定されない。包装用形成品200Aは、容器本体に取り付ける蓋体の態様であってもよく、包装用形成品200Aを蓋体として利用する場合は、開口面を下にするので、中央面210Aが容器本体の上方を覆う天面となる。そして、包装用形成品200Aを蓋体として利用する場合であっても、蓋体の態様の包装用形成品200Aを潰して減容する際は、包装用形成品200Aの上下をひっくり返して開口面を上にし、中央面210Aを水平な接地面上に載置する。そして、
図8から
図10で説明した包装用形成品200Aの潰し方と同様の方法で、蓋体の態様の包装用形成品200Aを潰して減容するのである。
【0058】
なお、本願発明の包装用形成品は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。