IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -電動カート 図1
  • -電動カート 図2
  • -電動カート 図3
  • -電動カート 図4
  • -電動カート 図5
  • -電動カート 図6
  • -電動カート 図7
  • -電動カート 図8
  • -電動カート 図9
  • -電動カート 図10
  • -電動カート 図11
  • -電動カート 図12
  • -電動カート 図13
  • -電動カート 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127769
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】電動カート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20230907BHJP
   B62K 5/01 20130101ALI20230907BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B62B3/00 B
B62K5/01
B62B3/00 F
B62B5/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031660
(22)【出願日】2022-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】522082403
【氏名又は名称】高元 輝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】高元 輝彦
【テーマコード(参考)】
3D011
3D050
【Fターム(参考)】
3D011AA07
3D011AD19
3D011AD22
3D050AA02
3D050BB04
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK14
3D050KK15
(57)【要約】
【課題】暑い日であっても生鮮食材の新鮮さを維持でき、座位姿勢で運転でき歩行姿勢で後退させながら進めることができる電動カートを提供することを課題とする。
【解決手段】フレーム部の下方にバッテリー及びモータを含む駆動手段部を配設し、フレーム部の上方に、座面部を上面に設けた、冷凍室及び冷蔵室を上面に配設したスライド式台板を前後方向にスライド可能にするスライドレールを設け、スライド式台板は、スライド式台板の前端とハンドルポスト部との間隔が僅少となる位置を前進端とし、スライド式台板の前端とハンドルポスト部との間隔が使用者用の足載せ可能なスペースを確保可能となる位置を後退端として前進端と後退端間をスライド可能としてそれぞれの位置でスライド式台板をロック可能なロック手段を設け、ハンドルポスト部の上端に設けたハンドルバーを左右方向に略直線状としたことを特徴とする電動カートにより課題解決できた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪又は履帯を支持する、外枠が略四角枠状のフレーム部と、前記フレーム部の前端部に立設したハンドルポスト部とを備えた電動カートであって、
前記フレーム部の上方に、座面部を上面に固定した冷凍室及び冷蔵室を、前後方向にスライド可能な、下面の左右端部近傍に下方に向けて締結用突起部を突設した略平板状のスライド式台板の上面に締結手段で固定し、
前記フレーム部の下方に、商用電源から充電可能なバッテリー及びモータを含む駆動手段部を配設し、
前記フレーム部の上側の左右端部にそれぞれ前後方向に配設したスライドレールの左右のスライドするインナーメンバーに前記締結用突起部を締結手段で締結して前記スライド式台板を連結し、
前記スライド式台板は、前記スライド式台板の前端と前記ハンドルポスト部との間隔が僅少となる位置を前進端とし、前記スライド式台板の前端と前記ハンドルポスト部との間隔が使用者の足載せ可能なスペースを確保可能となる位置を後退端として前記前進端と前記後退端間をスライド駆動手段によりスライド可能とし、前記スライド式台板の前記前進端及び前記後退端でそれぞれ前記スライド式台板と前記フレーム部との前後方向位置関係をロックするロック手段を設けたことを特徴とする電動カート。
【請求項2】
前記ハンドルポスト部の上端に設けたハンドルバーを左右方向に略直線状とし、前記ハンドルバーの前記フレーム部側からは座位姿勢で、又は、前記ハンドルバーの前方側からは歩行姿勢で操作可能な高さに前記ハンドルバーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動カート。
【請求項3】
前記スライド駆動手段が、
前記スライド式台板の下面に下向きに前後方向に取り付けられたラックと、前記ラックと螺接したピニオンと、前記ピニオンの回転軸と連結されたモータと、前記モータと接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板が前後方向にスライドするラック・ピニオン機構形態、
前記スライド式台板の下面に取り付けられたナット部と、前記ナット部に螺挿状態で前後方向に配設されたボールネジ部と、前記ボールネジ部の回転軸と連結されたモータと、前記モータと接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板が前後方向にスライドするボールネジ・ナット機構形態、
又は、手で前記スライド式台板を前後方向にスライドさせる手動形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転免許を必要とせずに運転でき、買物、通院・通所、散歩などに使用され、スーパー内やエレベーター籠内に乗り入れ可能な大きさで、電動で動く一人乗りの乗り物である電動カートに関する。
【背景技術】
【0002】
運転免許を返納した高齢者、虚弱の高齢者、徒歩や自転車等での外出が体力的につらい人、外出したいが他の人に負担をかけるのが心苦しい人、バスなどの公共交通だけでは不便な人等が、電動車椅子や電動カートを利用されている。これらの人は買物時に野菜、魚介類、肉類などの生食材を1回の買物に出たときに多くの量を、例えば1週間分を購入したいと思うが、力が弱っているのに持ち運びしなければならないとか、地球温暖化で熱い夏日には歩行速度が遅いので生食材の鮮度に影響が生ずるとか、帰宅して冷蔵庫まで重たい食材を持ち運びしなければならないという実情がある。また、足腰が歩行困難であるほど弱っていない使用者に、暑い日に冷凍・冷蔵でき、座位姿勢で運転したり歩行姿勢で運搬したり使用目的等によって使用方法を変えたいというニーズがあった。
【0003】
特許文献1には、車輪を支持する車体フレームと、車輪を操作するハンドルと、車体フレーム上に設けられ、バッテリーを含む駆動系を配置する収納部と、その収納部の上に設けられた座席と、前記座席と前記収納部との間に設けられた箱型収納部とを備え、前記収納部上に前記座席を支持する脚部が設けられ、前記座席と前記収納部との間に、前記箱型収納部を配置するための収容空間が設けられ、前記収納部の天板上には、前記箱型収納部の底部が嵌り込む凹部が形成され、前記凹部の底面は、車体の後方側へ向かって下り勾配の傾斜面に形成され、前記箱型収納部は、その底部が前記 凹部に嵌り込んだ状態で、車体の後方側への移動を前記凹部の壁面によって制限され 、かつ、前記箱型収納部は、その底部が前記凹部に嵌り込んだ状態で、車体の前方側への移動及び車体の左右方向への移動を前記脚部によって制限され、前記箱型収納部が前記収容空間から取り外し可能に、かつ車体の後方側から出し入れ可能に設けられている電動カートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5862981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電動カートは、利用することが多い買い物に真夏日などの暑い日に使用すると箱型収納箱内の温度は昇温するので収納した生鮮食材の新鮮さを維持させることが困難であるという問題があった。また、座りっぱなしではなく、時には電動カートを押しながら歩行しながら移動や買い物をしたいという使用者のニーズを満たすことは困難であるという問題があった。
【0006】
また、自宅から遠いところにある、例えば1km離れた場所にあるスーパーマーケットまでは歩けないという、自動車運転免許を返納した、又は、自動車運転免許のない高齢者の中には電動カートを運転してスーパーマーケットに行かれる方がおられるが、スーパーマーケット店内に運転しながら入店し、陳列棚の奥側の商品をよく見て品定めしたり、陳列棚の奥側の商品を掴もうとするには、電動カートに乗車したままでは商品を品定めすることが難しく、商品を掴むことが難しいので、買いたい商品の近くにくるたびに電動カートから降りて商品をじっくりと品定めしたり商品を掴むという行為を繰り返さねばならないという煩わしさがあるという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、暑い日であっても生鮮食材の新鮮さを維持でき、自宅からスーパーマーケットまでは座位姿勢で運転でき、スーパーマーケットなどの店内ではカゴを載せた電動カートをゆっくりと押しながら歩いて、立ち止まって商品を品定めしたり商品を掴むことが楽にできる電動カートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電動カートは、車輪又は履帯を支持する、外枠が略四角枠状のフレーム部と、前記フレーム部の前端部に立設したハンドルポスト部とを備えた電動カートであって、前記フレーム部の上方に、座面部を上面に固定した冷凍室及び冷蔵室を、前後方向にスライド可能な、下面の左右端部近傍に下方に向けて締結用突起部を突設した略平板状のスライド式台板の上面に締結手段で固定し、前記フレーム部の下方に、商用電源から充電可能なバッテリー及びモータを含む駆動手段部を配設し、前記フレーム部の上側の左右端部にそれぞれ前後方向に配設したスライドレールの左右のスライドするインナーメンバーに前記締結用突起部を締結手段で締結して前記スライド式台板を連結し、前記スライド式台板は、前記スライド式台板の前端と前記ハンドルポスト部との間隔が僅少となる位置を前進端とし、前記スライド式台板の前端と前記ハンドルポスト部との間隔が使用者の足載せ可能なスペースを確保可能となる位置を後退端として前記前進端と前記後退端間をスライド駆動手段によりスライド可能とし、前記スライド式台板の前記前進端及び前記後退端でそれぞれ前記スライド式台板と前記フレーム部との前後方向位置関係をロックするロック手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の電動カートは、請求項1において、前記ハンドルポスト部の上端に設けたハンドルバーを左右方向に略直線状とし、前記ハンドルバーの前記フレーム部側からは座位姿勢で、又は、前記ハンドルバーの前方側からは歩行姿勢で操作可能な高さに前記ハンドルバーを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の記載の電動カートは、請求項1又は2において、前記スライド駆動手段が、前記スライド式台板の下面に下向きに前後方向に取り付けられたラックと、前記ラックと螺接したピニオンと、前記ピニオンの回転軸と連結されたモータと、前記モータと接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板が前後方向にスライドするラック・ピニオン機構形態、前記スライド式台板の下面に取り付けられたナット部と、前記ナット部に螺挿状態で前後方向に配設されたボールネジ部と、前記ボールネジ部の回転軸と連結されたモータと、前記モータと接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板が前後方向にスライドするボールネジ・ナット機構形態、又は、手で前記スライド式台板を前後方向にスライドさせる手動形態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の電動カートは、最高速度6kmまでの車両であり、座面部の下方に冷蔵室及び冷凍室を設け、前記座面部、冷蔵室及び冷凍室を車輪又は履帯を支持するフレーム部に対して前後方向にスライドできることから、例えば道路等を乗車して走行する場合は、前記座面部、冷蔵室及び冷凍室を後方にスライドさせ前記座面部に座位姿勢でハンドルバーを握って運転することができ、例えば建物内などで電動カートを押すようにして移動する場合は、前記座面部、冷蔵室及び冷凍室を前方にスライドさせハンドルバーの前方の通路などに立ってハンドルバーを前方から握って歩行しながら進むことができるという効果を奏する。暑い日であっても生鮮食材の新鮮さを維持でき、座位姿勢で運転でき歩行姿勢で後退させながら進めることができるという効果を奏する。そして、前記座面部、冷蔵室及び冷凍室を前方にスライドさせた形態のときは電動カートの全長を短くできるので例えばエレベーター籠内に入ることもでき2階以上との移動が容易にできる。
【0012】
また、自宅から遠いところにあるスーパーマーケットまでは電動カートを運転して行き、座面部などを前進させて全長を短くして電動カートを歩いて押しながら歩くことができるので、歩行中の他のお客様との進む速度がほぼ同じになりぶつかる危険が減少するという効果を奏し、また、自宅からスーパーマーケットまでは座位姿勢で運転でき、スーパーマーケットなどの店内ではカゴを載せた電動カートをゆっくりと押しながら歩いて、立ち止まって商品の品定めをしたり、商品を掴みレジまで運ぶことが楽にできるという効果を奏する。また、購入した後は購入した生鮮食材や飲料物を冷蔵室又は冷凍室に収納して自宅まで座位姿勢で運転して帰ることができ、真夏日の帰宅途中でも生鮮食材や飲料物は冷えた状態を維持でき新鮮さが維持できるという効果を奏する。
【0013】
また、商用電源から充電器に充電できるので、例えば帰宅してコンセントに接続させれば買物し冷蔵室又は冷凍室に収容した飲食料品を自宅にある冷蔵庫に入れなくてもそのままの状態で、例えばビール等の飲料品の低温維持をすることができる。
【0014】
請求項2に記載の電動カートは、ハンドルバーを左右方向に直線状にしているので、ハンドルバーの後方から使用者がハンドルバーを握ることができ、ハンドルバーの前方から歩行する使用者がハンドルバーを握ることができる。
【0015】
請求項3に記載の電動カートは、座面部を上面に固定した冷凍室及び冷蔵室を載設したスライド式台板を電動で前後方向にスライドさせることができ、電動カートの全長を、例えばエレベーター籠内に入れるときは短くし、座位姿勢で運転するときは長くするという電動カートの全長の切替が楽にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の電動カートの、座面部を上面に設けた冷凍室及び冷蔵室、並びに、冷却機構を配設したスライド式台板をフレーム部に対して前進端に位置づけしたときの左側面視の概要説明図である。
図2】本発明の電動カートの、座面部を上面に設けた冷凍室及び冷蔵室、並びに、冷却機構を配設したスライド式台板をフレーム部に対して後退端に位置づけしたときの左側面視の概要説明図である。
図3図1における正面視の概要説明図である。
図4図1における背面視の概要説明図である。
図5図2の形態の電動カートの使用例であり、運転者が運転する例の説明図である。
図6図1の形態の電動カートの使用例であり、歩行しながら使用する例の説明図である。
図7】履帯を備えた本発明の電動カートの左側面視の概要説明図である。
図8図1に示す形態に、ハンドルポスト部に踏み台車を取り付けた形態の左側面視の概要説明図である。
図9図8に示す形態で、踏み台車を収納した状態を示す左側面視の概要説明図である。
図10図9に示す状態で正面視の概要説明図である。
図11図4におけるA部の拡大図である。
図12図1における背面視で、スライド式台板を電動でスライドさせるラックピニオン機構を見えるようにした概要説明図である。
図13図12におけるB部の拡大図である。
図14】ロック手段の事例の説明図で、(a)は図1における前進端におけるロック状態の説明図で、(b)は図2における後退端におけるロック状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の電動カート1は、運転免許を必要とせずに運転でき、買物、通院・通所、散歩などに使用され、スーパー内やエレベーター籠内に乗り入れ可能な大きさで、電動で動く一人乗りの乗り物である。
【0018】
本発明の電動カート1は、図1図4に示すように、車輪15又は履帯16を支持する、外枠が略四角枠状のフレーム部2と、前記フレーム部2の前端部に立設したハンドルポスト部3とを備えた電動カート1であって、前記フレーム部2の上方に、座面部8を上面に固定した冷凍室6及び冷蔵室7を、前後方向にスライド可能な、下面の左右端部近傍に下方に向けて締結用突起部5aを突設した略平板状のスライド式台板5の上面に締結手段26で固定し、前記フレーム部2の下方に、商用電源から充電可能なバッテリー及びモータを含む駆動手段部4を配設し、前記フレーム部2の上側の左右端部にそれぞれ前後方向に配設したスライドレール9の左右のスライドするインナーメンバー9bに前記締結用突起部5aを締結手段25で締結して前記スライド式台板5を連結し、前記スライド式台板5は、前記スライド式台板5の前端と前記ハンドルポスト部3との間隔が僅少となる位置を前進端21とし、前記スライド式台板5の前端と前記ハンドルポスト部3との間隔が使用者80の足載せ可能なスペースを確保可能となる位置を後退端22として前記前進端21と前記後退端22間をスライド駆動手段によりスライド可能とし、前記スライド式台板5の前記前進端21及び前記後退端22でそれぞれ前記スライド式台板5と前記フレーム部2との前後方向位置関係をロックするロック手段10を設けている。
【0019】
そして、前記ハンドルポスト部3の上端に設けたハンドルバー12を左右方向に略直線状とし、前記ハンドルバー12の前記フレーム部2側からは座位姿勢で、又は、前記ハンドルバー12の前方側からは歩行姿勢で操作可能な高さに前記ハンドルバー12を設けている。
【0020】
前記電動カート1は、図1図4に示すように車輪15で走行する形態、又は、図7に示すように履帯16で走行する形態がある。そして、前記車輪15又は履帯16を支持する前記フレーム部2を備える。前記フレーム部2は前記電動カート1の土台の機能を有し、前記フレーム部2は左右方向の複数の直線状のフレーム部材及び前後方向の複数の直線状のフレーム部材を組み合わせており、少なくとも使用者の足載せスペースは前記フレーム部2間に床材19が覆設されている。そして、左右の両端部には前後方向にスライドレール9が図4又は図13に示すように配設されている。
【0021】
前記フレーム部2は、外枠が略四角枠状の形態をしており、下方に商用電源から充電可能なバッテリー及びモータを含む駆動手段部4(図なし)を設け、上方に、座面部8を上面に固定した冷凍室6及び冷蔵室7を、前後方向にスライド可能なスライド式台板5に締結手段26で固定して配設している。図1においては、前記冷凍室6を後側に前記冷蔵室7を前側に配設しているが、前記冷凍室6と前記冷蔵室7とは前後が入れ替わってもよい。
【0022】
前記駆動手段部4は、図示はしていないが、一般的な電動カートの駆動関連の構成要素を備えており、例えば、バッテリーなどの電源関連、及び、電磁ブレーキを内装させているモータや車軸などの駆動関連を有し、前記電源関連としてはバッテリー及び充電器が備えられ、充電器と商用電源とを接続することにより充電可能になるので自宅等で充電させることができる。
【0023】
次に、操作関連としては、一般的な電動カートの操作に関する構成要素を備えており、例えば、前記ハンドルバー12には操作手段(図示なし)及び文字盤(図示なし)が設けられ、例えばスイッチであるアクセルレバー(図示なし)、前進後退切替レバー(図示なし)、及びあらかじめ速度設定した速度スイッチ(図示なし)を備えている。そして、前記アクセルレバーを押す又は引くことによりモータが駆動するように制御され、前記モータと前記車輪15又は履帯16を回転させる回転軸とを連結させた、駆動用軸や駆動用歯車を有する駆動伝達部(図示なし)を備える。前記文字盤の文字の向きは図5に示すようにハンドルバー12に対して後側から運転するときに読みやすい向きと、図6に示すようにハンドルバー12に対して前側からバック走行で押す場合に読みやすい向きとの2方向の向きを併記してもよい。
【0024】
前記フレーム部2には、下方に前記駆動手段部4を配設し、上方には、前端部に前記ハンドルポスト部3を立設し、前記ハンドルポスト部3に接する後側には、使用者80の足載せ用の床板19が覆設され、左右端部には前記スライドレール9が前後方向に配設されている。そして、前記フレーム部2には、前記スライド式台板5の前記前進端21及び前記後退端22に相当する位置に前記スライド式台板5と前記フレーム部2との前後方向位置関係をロックするロック手段10が設けられている。
【0025】
前記スライドレール9は重量用スライドレールであり、アウターメンバー9aが前記フレーム部2に締結手段(図示なし)で固定され、インナーメンバー9bが前記アウターメンバー9aに対して前後方向にスライドする。そして、インナーメンバー9bにはスライドさせる部材を取り付ける、例えば締結手段25がボルトナットとするとナットが取り付けられている。
【0026】
前記スライド式台板5は、図11に示すように、前記冷凍室6及び前記冷蔵室7を載設して固定し、前記スライドレール9に固定してスライド可能にし、前記ロック手段10を左右端に設置するなど基盤的機能を有する。前記スライド式台板5は、前記スライド式台板5の下方に突設させた締結用突起部5aを左右の前記インナーメンバー9bに締結手段25で固定し、前記インナーメンバー9bと一体的にスライド可能にする。そして、前記スライド式台板5は、前記スライド式台板5の前端と前記ハンドルポスト部3との間隔が僅少となる位置を前進端21とし、前記スライド式台板5の前端と前記ハンドルポスト部3との間隔が使用者80の足載せ可能なスペースを確保可能となる位置を後退端22として前記前進端21と前記後退端22間をスライド可能とする。
【0027】
前記スライド駆動手段としては、前記スライド式台板5を前後方向にスライドさせる手段である。前記スライド駆動手段としては、ラック・ピニオン機構形態A、ボールネジ・ナット機構形態B、又は、手動形態Cがある。
【0028】
前記手動形態Cは、前記スライド式台板5を使用者が図11に示すように手でスライドさせる。
【0029】
前記ラック・ピニオン機構形態Aは、図12又は図13に示すように、前記スライド式台板5の下面に下向きに前後方向に取り付けられたラック41と、前記ラック41と螺接したピニオン42と、前記ピニオン42の回転軸と連結されたモータ43と、前記モータ42と接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板5が前後方向にスライドする構成をしている。前記前進指示手段又は前記後退指示手段としては、例えば前記ハンドルバー12に取り付けられた操作手段として押釦又はレバーなどがある。
【0030】
前記ボールネジ・ナット機構形態Bは、図示していないが、前記スライド式台板5の下面に取り付けられたナット部と、前記ナット部に螺挿状態で前後方向に配設されたボールネジ部と、前記ボールネジ部の回転軸と連結されたモータと、前記モータと接続された前進指示手段及び後退指示手段と、を備え、前記前進指示手段又は前記後退指示手段がスイッチオンのときのみ、前記スライド式台板5が前後方向にスライドする構成をしている。前記前進指示手段又は前記後退指示手段としては、例えば前記ハンドルバー12に取り付けられた操作手段として押釦又はレバーなどがある。
【0031】
そして、図1図2又は図14に示すように、前記スライド式台板5の前記前進端21及び前記後退端22に相当する位置に前記スライド式台板5と前記フレーム部2との前後方向位置関係をロックするロック手段10を設ける。
【0032】
前記ロック手段10は、前記スライド式台板5の左右方向端面を前記フレーム部2の左右方向端面と平面視でほぼ同じ位置まで延設し、前記スライド式台板5の左右端面と前記フレーム部2の左右端面に上下方向でロック可能に設けられ、前記ロック手段10としては例えばパッチン錠があり、前記ロック手段10を左右1~2か所ずつ設けている。前記ロック手段10は、パッキン錠に限定せず自動ロック機構も含めてロック可能な手段であればいずれでもよい。
【0033】
前記パッチン錠の場合、図14(a)及び(b)に示すように、前記フレーム部2に前進端兼後退端用にパッキン錠レバー側10a、及び、パッキン錠レバー側10bが固定され、前記スライド式台板5に前進端用にパッキン錠凹部側10a2、パッキン錠凹部側10b2が固定され、後退端用にパッキン錠凹部側10a1、パッキン錠凹部側10b1が固定されている。
【0034】
前記スライド式台板5を前進方向Fにスライドさせ前進端21に到達させたときは、前記パッキン錠レバー側10aを前記パッキン錠凹部側10a2に引っかけて押し下げて前後方向位置関係をロックし、前記パッキン錠レバー側10bを前記パッキン錠凹部側10b2に引っかけて押し下げて前後方向位置関係をロックする。また、前記スライド式台板5を後退方向Rにスライドさせ後退端22に到達させたときは、前記パッキン錠レバー側10aを前記パッキン錠凹部側10a1に引っかけて押し下げて前後方向位置関係をロックし、前記パッキン錠レバー側10bを前記パッキン錠凹部側10b1に引っかけて押し下げて前後方向位置関係をロックする。
【0035】
前記冷凍室6及び前記冷蔵室7はヒートポンプ等の冷却機構(図示なし)を備えており、前記バッテリーと電気回路上で接続され、前記冷凍室6及び前記冷蔵室7の室内の雰囲気温度を下げることができる。前記冷凍室6の開閉扉又は前記冷蔵室7の開閉扉はそれぞれ別途に開閉可能に分離されており、前記冷凍室6又は前記冷蔵室7の上壁が座面部8と一体化され一辺に設けた蝶番で上下方向に開閉可能にした形態、又は、前記冷凍室6又は前記冷蔵室7の左右方向の側壁を一辺に設けた蝶番での開閉式扉とし横方向に開閉する形態等がある。前記冷凍室6及び前記冷蔵室7は下側に前記スライド式台板5に固定させるための締結手段用穴を有する平板部を設けている。
【0036】
よって、前記冷凍室6及び前記冷蔵室7は、移動中は蓄電されたバッテリーに接続され、自宅で保管中は商用電源に充電器を介して接続されたバッテリーに接続されることができるので、希望するならば24時間連続させて冷凍室6及び冷蔵室7を冷却し続けることができる。このため、自宅の冷蔵庫に持ち運ばなくても、例えば重量的に重いビール瓶等はそのまま保管して飲みたいときのみ取り出して飲むこともできる。
【0037】
次に、ハンドルについて説明する。前記ハンドルは、図3又は図4に示すように、ハンドルバー12のように直線状の形態、又は、リング状の形態(図示なし)があるが、いずれでもよい。
【0038】
前記ハンドルバー12について説明する。前記ハンドルバー12は、前記ハンドルポスト部3の上端に設けられ左右方向に略直線状の形態である。そして、前記ハンドルバー12の高さは、前記ハンドルバー12の前記フレーム部2側からは座位姿勢で、又は、前記ハンドルバー12の前方側からは歩行姿勢で操作可能な高さに設けてある。略直線状にしているので、座位姿勢でも歩行姿勢でも容易にハンドル操作をすることができる。
【0039】
そして、操作関連は一般的な電動カートの操作関連部材を備えており、例えば、前記電動カート1を走行させるアクセルレバーを前記ハンドルバー12の左右端部のいずれか一方に設け、前記アクセルレバーをスイッチとし前記アクセルレバーを引いたり又は押したりすることで走行可能にし、モータに電磁ブレーキを内蔵させているので前記アクセルレバーを離すとブレーキがかかるようにしている。また、前進又は後退は、前記ハンドルポスト部3上端に設けた前進・後退切替レバーにより切り替えることができる。なお、操作関連の構成については前記事例に限定されず、前進・後退・停止機能を有する操作関連部材であればいずれでもよい。
【0040】
次に、図8図10に示すように、歩行姿勢で電動カート1を後退させながら進むのではなく、使用者80が歩行せずに楽に電動カート1を後退させながら進むという使用をすることができる構成について説明する。使用者80が立つことができる部位である足踏み台車30を、使用時は図8に示すように前記ハンドルポスト部3に固定した軸受け部に上下方向に回転自在の軸と連結したアーム部31を前方に出して、かつ前記アーム部31と上下方向に回転自在に踏み台32を連結し、前記踏み台32の下方に車輪部33を垂設させている。この状態で使用者80が前記踏み台32上に立てば歩行しない立姿勢で前記電動カート1を後退させながら楽に進ませることができる。また、前記足踏み台車30を不使用にするときは、図10に示すように、前記ハンドルポスト部3の前側に折り畳み状態で収納できる。
【0041】
次に、使用方法について説明する。図5に示すように、座位姿勢で電動カート1を運転する場合について説明する。まず、前記スライド式台板5を、前記フレーム部2に対して後退端22まで手で、あるいは、前記前進指示手段又は前記後退指示手段でスライドさせ、ロック手段10で前後方向位置関係をロックする。そして、電動カート1の走行の操作は一般的な電動カートと同じであり、例えば、座面部8に座って前記前進・後退切替レバーが前進になっているのを確認し、ハンドルバー12に設けられたアクセルレバーを手で押す又は引いて走行させる。このときの走行速度はあらかじめ設定された速度切替スイッチで設定する。そして前記アクセルレバーを手から離すと停止する。そして、後退させたいときは、前記前進・後退切替レバーを後退に切替てアクセルレバーを手で押す又は引くと後退する。そして前記アクセルレバーを手から離すと停止する。前記電動カート1が走行時も停止時も冷凍室6及び冷蔵室7は冷却状態が維持され続けている。
【0042】
図6に示すように、歩行姿勢で電動カート1を走行させる場合について説明する。まず、前記スライド式台板5を、前記フレーム部2に対して前進端21まで手で、あるいは、前記前進指示手段又は前記後退指示手段でスライドさせ、ロック手段10で前記スライド式台板5と前記フレーム部2との前後方向位置関係をロックする。そして、電動カート1の前側に立って、電動カート1の走行の操作は一般的な電動カートと同じであり、例えば、前記前進・後退切替レバーが後退になっているのを確認し、あらかじめ設定された速度切替スイッチで歩行についていける速度に切り変え、ハンドルバー12に設けられたアクセルレバーを手で押す又は引いて走行させる。そして前記アクセルレバーを手から離すと停止する。電動カート1が走行時も停止時も冷凍室6及び冷蔵室7は冷却状態が維持され続けている。
【0043】
したがって、本発明の電動カート1は、24時間前記冷凍室6・前記冷蔵室7を使用することができ、座面部8と一致化した前記冷凍室6・前記冷蔵室7を前後方向でスライドさせて座位姿勢で道路上を運転したり、歩行姿勢でスーパーマーケット内で押し台車的な使用ができ、前後方向の長さを短くしてエレベーター籠内に入れることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 電動カート
2 フレーム部
3 ハンドルポスト部
4 駆動手段部
5 スライド式台板
5a 締結用突起部
6 冷凍室
7 冷蔵室
8 座面部
9 スライドレール
9a アウターメンバー
9b インナーメンバー
10 ロック手段
10a パッキン錠レバー側
10a1 パッキン錠凹部側
10a2 パッキン錠凹部側
10b パッキン錠レバー側
10b1 パッキン錠凹部側
10b2 パッキン錠凹部側
12 ハンドルバー
15 車輪
16 履帯
19 床板
21 前進端
22 後退端
25 締結手段
26 締結手段
30 足踏み台車
31 アーム部
32 踏み台
33 車輪部
40 ラックピニオン
41 ラック
42 ピニオン
43 モータ
80 使用者
81 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14