(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012777
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】シール部材及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20230119BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230119BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20230119BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230119BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230119BHJP
【FI】
F16J15/06 P
F16J15/06 E
F21S2/00 664
F21V31/00 100
F21Y115:10
F21Y101:00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116450
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】中村 宗明
【テーマコード(参考)】
3J040
3K014
【Fターム(参考)】
3J040AA12
3J040BA03
3J040EA01
3J040EA15
3J040EA19
3J040EA25
3J040FA01
3J040FA05
3J040FA12
3J040FA13
3J040HA15
3K014AA01
3K014NA02
(57)【要約】
【課題】 密着性及び防水性をより高めることが可能なシール部材を提供する。
【解決手段】 本発明のシール部材10は、環状ベース部11と、環状ベース部11の第1当接面111及び第2当接面112の少なくとも一方の面に形成された1つ又は複数の環状凸部12とを含み、第1当接面111は、第1部材と当接する面であり、第2当接面112は、第2部材と当接する面であり、環状凸部12は、環状ベース部11の開口部113を取り囲むように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ベース部と、
前記環状ベース部の第1当接面及び第2当接面の少なくとも一方の面に形成された1つ又は複数の環状凸部とを含み、
前記第1当接面は、第1部材と当接する面であり、
前記第2当接面は、第2部材と当接する面であり、
前記環状凸部は、前記環状ベース部の開口部を取り囲むように形成されている、シール部材。
【請求項2】
前記環状ベース部の開口部の中心と、前記環状凸部の中心とは、同心である、請求項1記載のシール部材。
【請求項3】
前記環状ベース部及び前記環状凸部は、弾性変形可能である、請求項1又は2記載のシール部材。
【請求項4】
前記環状凸部の抜き勾配は、0.5°~3°である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシール部材。
【請求項5】
さらに、1つ又は複数の線状凸部を含み、
前記線状凸部は、前記環状凸部と交わるように前記環状ベース部の径方向に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシール部材。
【請求項6】
前記第1部材がカバー又は本体のいずれか一方であり、
前記第1部材がカバーである場合、前記第2部材が本体であり、
前記第1部材が本体である場合、前記第2部材がカバーであり、
照明装置に用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシール部材を含む、照明装置。
【請求項8】
前記本体と前記カバーとの間に前記シール部材が配置されている、請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
航空機着陸誘導閃光装置として用いられる、請求項7又は8記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソケット本体側と当接する第1当接部及び締付カバー側と当接する第2当接部の外周がそれぞれ外方へ凸状となる曲面で形成されているパッキンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外部からの液体侵入を防ぐために、シール部材には、より高い密着性及びより高い防水性が求められている。これは、照明装置に限らず、各種装置においても同様である。
【0005】
そこで、本発明は、密着性及び防水性をより高めることが可能なシール部材及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のシール部材は、
環状ベース部と、
前記環状ベース部の第1当接面及び第2当接面の少なくとも一方の面に形成された1つ又は複数の環状凸部とを含み、
前記第1当接面は、第1部材と当接する面であり、
前記第2当接面は、第2部材と当接する面であり、
前記環状凸部は、前記環状ベース部の開口部を取り囲むように形成されている、シール部材である。
【0007】
本発明の照明装置は、
本発明のシール部材を含む、装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、密着性及び防水性をより高めることが可能なシール部材及びそれを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1におけるシール部材の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1におけるシール部材の構成のその他の例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すシール部材の構成のその他の例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態2における照明装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。なお、以下の図面において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態における説明は、それぞれ、互いを援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す部分があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0011】
[実施形態1]
図1は、本実施形態におけるシール部材10の構成の一例を示す模式図である。
図1(A)は、環状ベース部11における環状凸部12が形成された面からみた正面図であり、
図1(B)は、
図1(A)の断面A’-A’からみた側面図である。本実施形態のシール部材10は、
図1に示すように、環状ベース部11と環状凸部12とを含む。
図1では、環状ベース部11の一方の面にのみ環状凸部12が形成されている一例を示すが、これは例示であって、後述するように、これに限られない。シール部材10は、例えば、後述するように、任意の構成として、さらに、線状凸部13等を含んでもよい。なお、特に言及しない限り、
図1に示すシール部材10の各部の形状、大きさ、数、配置位置等は、一例であって、これらは任意に変更可能である。
【0012】
シール部材10は、第1部材と第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材との間を密封する。シール部材10は、例えば、パッキンやガスケットともいう。
【0013】
シール部材10の用途は、特に制限されず、例えば、照明装置等の各種装置の部材間を密封するために適用される。
【0014】
前記第1部材及び前記第2部材は、特に制限されない。シール部材10が照明装置に用いられるシール部材である場合、例えば、前記第1部材は、カバーであり、前記第2部材は、本体であってもよい。また、これとは逆に、前記第1部材は、本体であり、前記第2部材は、カバーであってもよい。前記本体及び前記カバーについては、実施形態2記載の照明装置20にて本体21及びカバー22として後述する。
【0015】
環状ベース部11は、前記第1部材と当接する第1当接面111と、前記第2部材と当接する第2当接面112と、開口部113とを有する。また、環状ベース部11は、例えば、前記第1部材と前記第2部材とシール部材10とを係合する係合穴(図示せず)が設けられていてもよい。
【0016】
環状ベース部11の外径X、内径Y、及び高さZ1は、シール部材10を適用する装置、特に、前記第1部材及び前記第2部材の大きさに基づき適宜設計可能である。
【0017】
前記係合穴は、1つでもよいし、複数あってもよい。前記係合穴は、例えば、環状ベース部11上において、後述の環状凸部12及び線状凸部13と重複しない位置に配置される。また、前記係合穴の周囲には、例えば、前記係合穴を囲うように、係合穴用凸部が設けられていてもよい。前記係合穴用凸部の一部は、例えば、後述の環状凸部12及び/又は線状凸部13の一部を兼ねてもよい。また、前記係合穴用凸部は、例えば、後述の環状凸部12及び/又は線状凸部13と接して配置されていてもよい。前記係合穴用凸部によれば、前記係合穴がある場合であっても、高い密着性及び高い防水性を実現可能である。
【0018】
環状凸部12は、環状凸部12の第1当接面111及び第2当接面112の少なくとも一方の面に形成されている。
図1では、第1当接面111に環状凸部12が形成されている一例を示す。環状凸部12は、図示するように、環状ベース部11の開口部113を取り囲むように形成されている。環状凸部12は、1つでもよいし、複数あってもよい。環状凸部12の数は、環状ベース部11の大きさ(具体的には、「外径X」-「内径Y」にて算出される環の厚さ)に基づき、適宜設計可能である。
図1では、環状ベース部11の外周側に形成されている環状凸部12と、環状ベース部11の内周側(開口部113側)に形成されている環状凸部12との2つを例示する。
【0019】
環状凸部12の外径及び内径は、環状ベース部11の外径Xよりも小さく、且つ環状ベース部11の内径よりも大きければよく、特に制限されない。環状凸部12の高さZ2、及び幅Wは、特に制限されず、適宜設定可能である。環状凸部12が複数ある場合、各環状凸部12の外径、内径、高さZ2、及び幅Wは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0020】
環状凸部12が1つの場合、例えば、環状凸部12は、環状ベース部11の外周側の端部と内周側(開口部113側)の端部との中間位置に形成されてもよいし、外周側又は内周側(開口部113側)のいずれかの端部に偏っていてもよい。一方で、
図1に示すように、環状凸部12が複数ある場合、各環状凸部12の間隔は、例えば、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。また、環状凸部12が複数ある場合、各環状凸部12の間隔と、最も外径及び内径が大きい環状凸部12から環状ベース部11の外周側の端部までの距離と、最も外径及び内径が小さい環状凸部12から環状ベース部11の内周側の端部までの距離とも、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。
【0021】
複数の環状凸部12は、例えば、同心であってもよい。また、環状ベース部11の開口部113の中心と、環状凸部12の中心とは、例えば、同心であってもよい。
【0022】
環状凸部12の抜き勾配は、例えば、0.5°~3°である。これにより、例えば、金型を用いてシール部材10を製造する場合、前記金型からシール部材10をスムーズに取り出すことができる。
【0023】
環状ベース部11及び環状凸部12における「環状」とは、真円、楕円、及び歪んだ円等の円環状に限られず、コーナーをもつ環状等であってもよい。前記コーナーをもつ環状とは、例えば、三角、四角等の多角形型の環状である。
【0024】
環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、連続一体に成形された部材であってもよいし、それぞれが独立して成形された部材であってもよい。独立して成形された部材である場合、環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、接着部材により、接着される。また、環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、溶着等の公知の技術を用いて接着されてもよい。前記接着部材は、特に制限されず、例えば、接着剤、溶着剤等の公知の技術を用いることができる。
【0025】
環状ベース部11及び環状凸部12を構成する材料は、特に制限されず、例えば、天然ゴム、人造ゴム、皮革、プラスチック、木綿、アスベスト、ガラス繊維、紙、木材等の弾性材料が挙げられる。また、前記材料は、例えば、前記弾性材料に加えて、鉄、銅、鉛及びこれらの合金等の金属との組み合わせにより構成されていてもよい。
【0026】
環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、弾性変形可能である。環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、前記第1部材及び前記第2部材と比較して、弾性が高い材料により構成されていれば、その材料は特に制限されない。具体的には、例えば、前記弾性材料を主成分とすることで、弾性変形可能な環状ベース部11及び環状凸部12となる。ここで、「弾性変形可能な環状ベース部11及び環状凸部12」とは、一般的な弾性的性質を有する環状ベース部11及び環状凸部12を指し、具体的には、外力が加えられた際に変形可能であり、かつ、外部応力が除荷された際に元の寸法に戻ろうとする弾性が働く環状ベース部11及び環状凸部12を指す。なお、弾性の度合い(更には、密度や硬度等)は用途等に応じて変更すればよい。シール部材10は、弾性変形可能な環状ベース部11及び環状凸部12により、前記第1部材及び前記第2部材とより密着することができる。
【0027】
また、環状ベース部11及び環状凸部12は、例えば、それぞれ異なる、弾性の度合い(更には、密度や硬度等)を有していてもよい。環状ベース部11と環状凸部12とで弾性の度合い(更には、密度や硬度等)が異なることで、例えば、密着性及び防水性をより高めることが可能である。
【0028】
図2に、シール部材10の構成のその他の例を示す。
図2(A)は、環状ベース部11における環状凸部12が形成された面からみた正面図であり、
図2(B)は、
図2(A)の断面A’-A’からみた側面図である。また、
図3に、
図2に示すシール部材10の構成のその他の例を示す。
図3(A)は、
図2(A)のその他の例を示し、
図3(B)は、
図2(B)のその他の例を示す。特に言及しない限り、前述の記載を援用可能である。シール部材10は、例えば、図示するように、さらに、1つ又は複数の線状凸部13を含んでもよい。線状凸部13の数は、環状ベース部11の大きさ(具体的には、「外径X」-「内径Y」にて算出される環の厚さ)に基づき、適宜設計可能である。
図2及び3では、環状ベース部11の1時~12時の方向の計12か所に線状凸部13が形成されている一例を示す。
【0029】
線状凸部13は、
図2及び3に示すように、環状凸部12と交わるように、環状ベース部11の径方向に形成されている。線状凸部13は、環状凸部12と交わっていればよく、例えば、
図2(B)に示すように環状ベース部11の外周側の端部及び内周側の端部まで線状凸部13が形成されていてもよいし、
図3(B)に示すように、各端部まで形成されていなくともよい。線状凸部13は、例えば、
図2(A)に示すように環状ベース部11の径方向に連続して形成されていてもよいし、
図3(A)に示すように間欠的に形成されていてもよい。線状凸部13が間欠的に形成されている場合とは、すなわち、環状凸部12と交わる点のみに線状凸部が形成されている場合ともいえる。
【0030】
線状凸部13の長さX2は、環状ベース部11の厚さ(「外径X」-「内径Y」にて算出される環の厚さ)及び環状凸部12の幅Wによって適宜設定可能である。線状凸部13の幅Wは、例えば、環状凸部13の幅Wと同じであってもよいし、異なっていてもよい。線状凸部13の高さZ3は、例えば、環状凸部12の高さZ2と同じであってもよいし、低くともよいし、高くともよい。
【0031】
環状ベース部11の大きさ(具体的には、「外径X」-「内径Y」にて算出される環の厚さ)にもよるが、線状凸部13が間欠的に形成されている場合、線状凸部13の長さX2は、例えば、環状凸部12の幅Wよりも、長い。ここで、線状凸部13の長さX2とは、環状凸部12の幅Wと重複する部分を含む長さである。また、この場合、線状凸部13は、環状凸部12から線状凸部13の一端のみが突出するように形成されてもよいし、線状凸部13の両端が突出するように形成されてもよい。
【0032】
線状凸部13の位置は、環状凸部12と交わる位置であればよく、特に制限されない。線状凸部13が複数ある場合、各線状凸部13の間隔は、例えば、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。
【0033】
線状凸部13の抜き勾配は、例えば、0.5°~3°である。これにより、例えば、金型を用いてシール部材10を製造する場合、前記金型からシール部材10をスムーズに取り出すことができる。環状凸部12と線状凸部13の抜き勾配は、例えば、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
線状凸部13における「線状」とは、直線に限られず、例えば、曲線、波線等であってもよい。
【0035】
線状凸部13は、例えば、環状ベース部11及び環状凸部12と、連続一体に成形された部材であってもよいし、それぞれが独立して成形された部材であってもよい。独立して成形された部材である場合、線状凸部13は、例えば、前記接着部材や溶着等の公知の技術を用いて、環状ベース部11及び環状凸部12と接着される。
【0036】
線状凸部13を構成する材料は、例えば、環状ベース部11及び環状凸部12と同様である。また、線状凸部13も、環状ベース部11及び環状凸部12と同様に、弾性変形可能であってもよい。環状ベース部11、環状凸部12、及び線状凸部13は、互いに同程度の弾性であってもよく、異なる弾性であってもよい。
【0037】
本実施形態のシール部材10によれば、環状凸部12により、密着性及び防水性をより高めることが可能である。特に、環状凸部12は、環状ベース部11の開口部113を取り囲むように形成されているため、環状ベース部11外から開口部113に向けて侵入する液体をより効果的に防ぐことができる。また、シール部材10がさらに線状凸部13を設けることで、密着性及び防水性を更に高めることが可能である。仮に、劣化により、液体が侵入したとしても、
図2に示すシール部材10によれば、液体侵入の被害を最小限に抑えることができる。具体的に、複数の環状凸部12と、複数の線状凸部13とを含み、線状凸部13が環状ベース部11の径方向に連続して形成されているシール部材10によれば、環状ベース部11上に複数の区画が形成されるため、外部から侵入した液体を前記区画内に留まらせることができ、被害を最小限に抑えることができる。
【0038】
安全性及び使用目的の観点から、照明装置、特に、航空機着陸誘導閃光装置の場合、外部に光が漏れないことも求められる。これに対して、本実施形態のシール部材10によれば、環状凸部12が遮光壁としても機能し、外部への光漏れをより抑制可能である。
【0039】
仮に、環状ベース部上にドット状に凸部が設けられたシール部材であれば、下記(1)~(3)の問題が生じる。
【0040】
(1)密着性の低下
前記凸部が多くなるほど、凸部1つあたりに負荷される荷重が低くなり、密着性が低下する。また、前記凸部の増加によって各前記凸部間が密になると、前記凸部の潰れ代によって互いに干渉し、密着性が低下する。
【0041】
(2)防水性の低下
前記凸部が少なくなるほど、環状ベース部上の構造(前記凸部による迷路構造)が簡素化するため、防水性が低下する。
【0042】
(3)高コスト
前記凸部の数が多くなるほど、シール部材を製造する金型の構造が複雑になり、前記金型の製作費用が高くなる。
【0043】
このように、環状ベース部上にドット状に凸部が設けられたシール部材であれば、高い密着性、及び高い防水性、を両立させること、さらには、低コスト性をも実現することが困難である。これに対し、本実施形態のシール部材10によれば、前記ドット状に設けられた1つの前記凸部と比較して、1つの環状凸部12で広範囲を圧潰可能である。このため、1つの環状凸部12であっても、密着性を高め、且つ防水性を高めることができる。また、ドット状の凸部よりも環状凸部12の数を少なくできるため、前記金型の構造が複雑化することなく、前記金型の作製にかかるコストを抑えることができる。このように、本実施形態のシール部材10によれば、高い密着性、及び高い防水性、を両立させること、さらには、低コスト性をも実現することができる。
【0044】
次に、本発明のシール部材の製造方法及び本発明の金型について説明する。本発明のシール部材の製造方法は、金型を用いてシール部材を製造する方法であって、前記シール部材が前述のシール部材10であることを特徴とする。本発明のシール部材の製造方法は、前記シール部材が前述のシール部材10であること以外、従来公知の技術を用いることができる。
【0045】
本発明の金型は、シール部材の製造用の金型であって、前記シール部材が前述のシール部材10であることを特徴とする。本発明の金型は、前記シール部材が前述のシール部材10であること以外、従来公知の技術を用いることができる。
【0046】
具体的に、前記金型の内周形状は、シール部材10の外周形状に応じた形状である。すなわち、前記金型の内周形状は、環状ベース部11の形状に応じた環状ベース面と、環状凸部12の形状に応じた環状凹部と、を含む。また、前記金型の内周形状は、例えば、線状凸部13の形状に応じた線状凹部を含んでもよい。前記金型には、例えば、前記弾性材料が溶融状態で充填されて、前記金型内で前記弾性材料が固化される。前記固化の手法は、特に制限されず、例えば、冷却、紫外線照射、荷重負荷、湿度等である。
【0047】
[実施形態2]
図4に、本実施形態における照明装置20の構成の一例を示す。
図4(A)は、照明装置20の照射方向を左側にした場合の側面の断面図(全体の側面図)であり、
図4(B)は、シール部材10の配置部分を拡大した
図4(A)の断面拡大図である。
【0048】
本実施形態の照明装置20は、前記実施形態1記載のシール部材10と、本体21と、カバー22と、光源部23とを含む。なお、これは例示であって、本実施形態の照明装置20は、シール部材10を有していればよく、それ以外の構成は、従来公知の照明装置の構成を用いてもよい。シール部材10は、前記実施形態1の記載を援用可能である。
【0049】
図5では、照明装置20として、航空機着陸誘導閃光装置を示す。なお、これは例示であって、これに限定されない。照明装置20は、例えば、航空機着陸誘導閃光装置以外の照明装置(例えば、シーリングライト等)であってもよい。
【0050】
本体21は、光源部23を固定可能である。
図4に示す本体21は、開口部を有する筐体であって、その内部に光源部23等を収容している。具体的に、
図4に示す本体21は、その内壁が、光源部23から本体21の開口部に向かって広がるテーパー状が例示でき、この形状は、例えば、傘状ともいう。また、
図4に示す本体21は、例えば、光源部23から本体21の開口部に向かう断面が、例えば、円弧状でもよいし、
図4に示すようにフラットな直線状でもよい。なお、光源部23を固定する(取り付ける)手法は、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。
【0051】
照明装置20は、例えば、さらに、配光部を含んでもよい。前記配光部は、光源部23の光照射側に配置されている。前記配光部は、光源部23が発した光を、例えば、反射、集光、拡散等により、カバー22側へと送る部材である。前記配光部の種類は、特に制限されず、例えば、リフレクタ(反射板)、レンズ等があげられる。前記配光部は、例えば、前記リフレクタと前記レンズのいずれか一方でもよいし、両者を組合せて使用してもよい。前記配光部は、例えば、公知の技術を用いることができる。
【0052】
カバー22は、少なくとも光源部23を保護するために、光源部23の照射面(例えば、
図4の場合は、本体21の前記開口部)を隈なく覆うように配置され、光源部23の直線的な出射光を拡散して照明装置20外に透過させる。カバー22の部材は、例えば、透光性を有し、また、さらに拡散性を有する部材があげられ、具体例としては、アクリル樹脂等の透光性樹脂等があげられる。カバー22の表面は、例えば、磨りガラス状やスリット状の模様に加工されることにより防眩性や光拡散性が付与されていてもよい。カバー22は、例えば、本体21に着脱可能である。
【0053】
光源部23は、光を照射する。前記光は、特に制限されず、例えば、可視光線であってもよいし、不可視光線(赤外線、紫外線)であってもよい。光源部23は、例えば、基板に搭載された発光素子を有する部材でもよいし、長手方向と短手方向を有する蛍光管等であってもよい。光源部23において、前記基板の大きさおよび材質、前記基板に実装される発光素子(例えば、LED)の数、前記発光素子による発光色等は、特に制限されない。光源部23は、例えば、LED、キセノンランプ等を用いることができる。本体21が長手方向と短手方向とを有する形状である場合、光源部23は、例えば、本体21の長手方向に沿って取り付けられる。光源部23は、例えば、
図4及び5に示すように、本体21とカバー22とで覆われる空間内に配置される。航空機着陸誘導閃光装置用の照明装置20である場合、照明装置20の輝度は、例えば、従来の航空機着陸誘導閃光装置のキセノンランプと同程度またはそれ以上の輝度であってもよい。光源部23における前記基板および前記発光素子の条件は、例えば、所望の輝度に応じて適宜設定できる。
【0054】
シール部材10は、例えば、
図4に示すように、本体21とカバー22との間を密封するように配置される。シール部材10の環状凸部12は、本体21と当接する面及びカバー22と当接する面の少なくとも一方に設けられている。シール部材10は、例えば、本体21とカバー22との間以外にも配置されていてもよい。
【0055】
本体21と、シール部材10と、カバー22とは、例えば、この順番で固定されている。前記固定の手法は、特に制限されず、例えば、ねじ、クランプ等の係合部材を用いて固定してもよいし、前記接着部材を用いて固定してもよいし、溶着等の公知の技術を用いて固定してもよい。
【0056】
特に、屋外での使用が想定される航空機着陸誘導閃光装置等の照明装置は、照明装置内に雨水が侵入しやすい。これに対し、本実施形態によれば、シール部材10により、密着性及び防水性をより高めることができる。また、本実施形態によれば、シール部材10により、照明装置20外に光が漏れることを抑制可能である。
【0057】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、密着性及び防水性をより高めることが可能なシール部材及びそれを用いた照明装置を提供することができる。本発明は、例えば、航空機着陸誘導閃光装置等の屋外での使用が想定される照明装置及びそのシール部材において有用である。
【0059】
10 シール部材
11 環状ベース部
111 第1当接面
112 第2当接面
113 開口部
12 環状凸部
13 線状凸部
20 照明装置
21 本体
22 カバー
23 光源部