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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127772
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】浴室乾燥時期推定システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/02 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
F26B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031664
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC52
3L113AC53
3L113AC67
3L113AC78
3L113AC80
3L113BA14
3L113CA20
3L113DA25
3L113DA30
(57)【要約】
【課題】気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の浴室乾燥対象物(浴室自身を含む)の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定する。
【解決手段】複数の浴室暖房乾燥機100による浴室B内での乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転に係る情報をネットワークNを介して収集可能なサーバSを備え、複数の浴室暖房乾燥機100の所定の情報取得期間における乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を取得する情報取得部S1と、情報取得部S1が取得した使用率関連情報から、現在の時期が浴室暖房乾燥機100にて乾燥運転が実施される可能性が高い浴室乾燥時期であるかを推定する浴室乾燥時期推定部S4とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の浴室乾燥機による浴室内での乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転に係る情報をネットワークを介して収集可能なサーバを備えた浴室乾燥時期推定システムであって、
複数の前記浴室乾燥機の所定の情報取得期間における乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記使用率関連情報から、現在の時期が前記浴室乾燥機にて前記乾燥運転が実施される可能性が高い浴室乾燥時期であるかを推定する浴室乾燥時期推定部とを備える浴室乾燥時期推定システム。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記使用率関連情報に加え、複数の前記浴室乾燥機が設置される夫々の地域での乾燥に係る気候関連情報を取得し、
前記浴室乾燥時期推定部は、前記情報取得部が取得した前記気候関連情報及び前記使用率関連情報から、現在の時期が前記浴室乾燥時期としての浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期であるかを推定する請求項1に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項3】
前記使用率関連情報は、前記情報取得期間としての一日のうちで、複数の前記浴室乾燥機のうちで使用された前記浴室乾燥機の台数を意味する浴室乾燥使用率であり、
前記浴室乾燥使用率は、前記情報取得期間としての一日のうちで前記乾燥運転を使用した前記浴室乾燥機の台数を、前記乾燥運転に係る情報を取得可能な前記浴室乾燥機の台数で除算して算出される請求項1又は2に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項4】
前記浴室乾燥時期推定部は、すべての季節を含む期間である判定基準期間での前記情報取得期間にて取得した前記浴室乾燥使用率のヒストグラムを、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する前記浴室乾燥使用率の閾値の設定に用いる、又はすべての季節を含む期間である判定基準期間での前記情報取得期間にて取得した前記浴室乾燥使用率の偏差値のヒストグラムを、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する前記浴室乾燥使用率の偏差値の閾値の設定に用いる請求項3に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項5】
前記浴室乾燥時期推定部は、前記判定基準期間を1年として、
前記浴室乾燥使用率の閾値を前記判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の中間値とする、又は前記浴室乾燥使用率の偏差値の閾値を前記判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の偏差値の中間値とする請求項4に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項6】
前記浴室乾燥時期推定部は、
すべての季節を含む期間である判定基準期間における前記情報取得期間に取得される前記気候関連情報としての温度関連情報及び降水量関連情報と、前記判定基準期間における前記情報取得期間に取得される前記使用率関連情報とを一のデータ点として、前記判定基準期間において取得された複数の前記データ点を前記温度関連情報と前記降水量関連情報と前記使用率関連情報とを3軸としてマップ化したマップ情報を、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する閾値の設定に用いる請求項2に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項7】
前記浴室乾燥時期推定部は、前記判定基準期間を1年として、
前記浴室乾燥使用率の閾値を前記判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の中間値とする請求項6に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【請求項8】
前記浴室乾燥時期推定部にて推定された前記浴室乾燥時期を外部に提供する情報提供部を備える請求項1~7の何れか一項に記載の浴室乾燥時期推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の浴室乾燥機による浴室内での乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転に係る情報をネットワークを介して収集可能なサーバを備えた浴室乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の暖房、換気に加え、浴室内に干してある洗濯物等を乾燥する乾燥運転を実行可能な浴室暖房乾燥機が知られている(特許文献1を参照)。
当該特許文献1に開示の技術では、浴室暖房乾燥機のリモコンが、インターネット回線を介して外部の気象サーバから、季節や外気に関する温度・湿度等の情報を取得し、取得した情報に基づいて、洗濯物に最も適した時間帯を稼働時間帯に設定し、乾燥効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-35222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室暖房乾燥機にて、使用者が乾燥運転を実行する可能性が高い時期がわかれば、例えば、浴室での乾燥運転を実行した場合に利用頻度が高くなる室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等を、使用者の需要に合わせて市場に提供する等の用に供することができ、使用者が乾燥運転を実行する際の利便性の向上に寄与することができる。
しかしながら、従来技術にて使用される気温や降水量(湿度)のみにて乾燥運転が実行される可能性が高い時期を推定しようとする場合、例えば、降水量(湿度)が一時的に高くなる状況であっても、使用者の乾燥運転を実行する可能性は必ずしも高くなるとは言えず、適切な推定を行えない状況にあり、新たな技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の浴室乾燥対象物(浴室自身を含む)の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定できる浴室乾燥時期推定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための浴室乾燥時期推定システムは、
複数の浴室乾燥機による浴室内での乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転に係る情報をネットワークを介して収集可能なサーバを備えた浴室乾燥時期推定システムであって、その特徴構成は、
複数の前記浴室乾燥機の所定の情報取得期間における乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記使用率関連情報から、現在の時期が前記浴室乾燥機にて前記乾燥運転が実施される可能性が高い浴室乾燥時期であるかを推定する浴室乾燥時期推定部とを備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、まずもって、複数の浴室乾燥機からその使用率に関連する使用率関連情報を、ネットワークを介してサーバが取得できるから、一の浴室乾燥機からの使用率に関する情報に比して、多くの使用者の使用率に関する情報に基づいて、より一般性の高い判定につなげることができる。
更に、浴室乾燥時期推定部は、収集した複数の浴室乾燥機の使用率関連情報から、例えば、気温や降水量等の気候関連情報の評価等を通して、一般消費者の行動変容に与える影響度合いを踏まえつつ、現在の時期が、乾燥運転が実施される可能性が高い浴室乾燥時期であるかを推定することが可能となる。
これにより、例えば、現在の時期が浴室乾燥時期にあたると推定した場合には、当該推定結果を、当該推定結果に基づいて、乾燥運転に伴って必要になる室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等の需要の予測等につなげることができる。
結果、気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の浴室乾燥対象物の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定できる浴室乾燥時期推定システムを実現できる。
【0008】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成は、
前記情報取得部は、前記使用率関連情報に加え、複数の前記浴室乾燥機が設置される夫々の地域での乾燥に係る気候関連情報を取得し、
前記浴室乾燥時期推定部は、前記情報取得部が取得した前記気候関連情報及び前記使用率関連情報から、現在の時期が前記浴室乾燥時期としての浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期であるかを推定する点にある。
【0009】
発明者らは、乾燥運転が実行される時期は、気候により異なり、使用率と、気候関連情報としての気温や降水量との相関をみると、乾燥運転の使用率が高くなる条件としては、2つあるという知見を得た。
一つ目は、気温が高く降水量が多い梅雨時期である。降水量が多く気温も高いため、乾燥運転がよく使われる。
二つ目は、気温が低い冬季時期である。降水量は低いものの、気温が低いため、梅雨時期と同程度の使用率で乾燥運転が実行される。
ここで、梅雨時期では、特に、湿度が高いことから部屋干しでの臭い、カビなどが発生しやすいため、これらを抑制するための室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等の需給の判断材料として、当該梅雨時期で乾燥運転が実行される浴室乾燥梅雨時期であるか否かが推定できることが好ましい。
しかしながら、梅雨時期で乾燥運転が実行される浴室乾燥梅雨時期と、冬季時期で乾燥運転が実行される浴室乾燥冬季時期とでは、乾燥運転の使用率がほぼ同程度となっているため、乾燥運転の使用率のみでは、両者の区別がつき難いという課題がある。
上記特徴構成によれば、情報取得部が、使用率関連情報に加え、複数の浴室乾燥機が設置される夫々の地域での乾燥に係る気候関連情報を取得して、浴室乾燥時期推定部が、乾燥運転の使用率に加えて、温度や降水量等の気候関連情報も含めて、浴室乾燥時期を推定するから、現在の時期が、浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期の何れかにあるかを峻別する形で、良好に浴室乾燥時期の推定を行うことができる。
これにより、例えば、当該推定結果を、これらを抑制するための室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等の需要の判断材料として、良好に用いることができる。
【0010】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成として、
前記使用率関連情報を、前記情報取得期間としての一日のうちで、複数の前記浴室乾燥機のうちで使用された前記浴室乾燥機の台数を意味する浴室乾燥使用率とし、
前記浴室乾燥使用率は、前記情報取得期間としての一日のうちで前記乾燥運転を使用した前記浴室乾燥機の台数を、前記乾燥運転に係る情報を取得可能な前記浴室乾燥機の台数で除算して算出される値とすることができる。
【0011】
このように設定された使用率関連情報としての浴室乾燥使用率は、浴室乾燥機にて乾燥運転が使用される頻度を的確に表す指標して良好に用いることができる。
【0012】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成は、
前記浴室乾燥時期推定部は、すべての季節を含む期間である判定基準期間での前記情報取得期間にて取得した前記浴室乾燥使用率のヒストグラムを、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する前記浴室乾燥使用率の閾値の設定に用いる、又はすべての季節を含む期間である判定基準期間での前記情報取得期間にて取得した前記浴室乾燥使用率の偏差値のヒストグラムを、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する前記浴室乾燥使用率の偏差値の閾値の設定に用いる点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、浴室乾燥使用率の閾値及び浴室乾燥使用率の偏差値の閾値を、ヒストグラムにより適切に設定できる。
ちなみに、当該明細書においては、浴室乾燥使用率の偏差値は、使用率関連情報に含まれる概念であるとする。
【0014】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成として、
前記浴室乾燥時期推定部は、前記判定基準期間を1年として、
前記浴室乾燥使用率の閾値を前記判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の中間値とする、又は前記浴室乾燥使用率の偏差値の閾値を前記判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の偏差値の中間値とすることが好ましい。
【0015】
浴室乾燥使用率の閾値のその中間値への設定は、上述の浴室乾燥使用率(又は浴室乾燥使用率の偏差値)のヒストグラムを用いることにより、容易に設定できる。
また、判定基準期間を1年とすることで、四季の移り替わりを示す1年間のすべてのデータを、浴室乾燥時期の推定の基礎データとすることができ、例えば、判定基準期間を1年より短い期間に設定する場合に比べて、浴室乾燥時期の推定の精度の向上を図ることができる。
【0016】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成は、
前記浴室乾燥時期推定部が、
すべての季節を含む期間である判定基準期間における前記情報取得期間に取得される前記気候関連情報としての温度関連情報及び降水量関連情報と、前記判定基準期間における前記情報取得期間に取得される前記使用率関連情報とを一のデータ点として、前記判定基準期間において取得された複数の前記データ点を前記温度関連情報と前記降水量関連情報と前記使用率関連情報とを3軸としてマップ化したマップ情報を、前記浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する閾値の設定に用いる点にある。
【0017】
発明者らは、すべての季節を含む期間である判定基準期間における情報取得期間に取得される気候関連情報としての温度関連情報及び降水量関連情報と、判定基準期間における情報取得期間に取得される使用率関連情報とを一のデータ点として、判定基準期間において取得された複数のデータ点を温度関連情報と降水量関連情報と使用率関連情報とを3軸としてマップ化したマップ情報は、浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する閾値を設定するのに有効であるという知見を得た。
即ち、温度関連情報及び降水量関連情報の気候関連情報のみではなく、使用率関連情報も合わせたデータ点の複数を、3次元的に捉えることで、浴室乾燥時期を峻別するための閾値を効率的且つ効果的に抽出できる。
当該特徴構成においても、判定基準期間を1年として、浴室乾燥使用率の閾値を判定基準期間における前記浴室乾燥使用率の中間値とすることが好ましい。
【0018】
浴室乾燥時期推定システムの更なる特徴構成は、
前記浴室乾燥時期推定部にて推定された前記浴室乾燥時期を外部に提供する情報提供部を備える点にある。
【0019】
これまで説明してきたように、浴室乾燥時期は、例えば、室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等の需要の予測に用いることができるから、例えば、情報提供部が、推定した浴室乾燥時期を、製造会社やマーケティング会社等に提供することで、各種洗剤等の市場への投入を、使用者のニーズにより則した状態で実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る浴室乾燥時期推定システムの概略構成図である。
図2】浴室乾燥時期を推定する指標の閾値を決めるための3次元データである。
図3】判定基準期間としての1年間に取得した浴室乾燥使用率のヒストグラムである。
図4】判定基準期間としての1年間に取得した浴室乾燥使用率の偏差値を示すヒストグラムである。
図5】浴室乾燥時期の推定に係る制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る浴室乾燥時期推定システム200は、気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の洗濯物の浴室乾燥対象物(浴室自身を含む)の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定できるものに関する。
以下、図面に基づいて、実施形態に係る浴室乾燥時期推定システム200の実施形態を説明する。
【0022】
〔浴室暖房乾燥機に係る構成〕
図1に示すように、浴室暖房乾燥機100(100a、100b・・・:浴室乾燥機の一例)は、装置本体MEと、その装置本体MEに加熱した熱媒を循環供給する熱源機Gと、浴室暖房乾燥機100の運転を制御する制御部Rと、当該制御部Rに各種制御指令が指示される際に用いられるリモコンREとを備えて構成されている。リモコンREは、浴室に隣接される脱衣所に備えられる。
【0023】
リモコンREは、浴室暖房乾燥機100を有する宅内に設置された外部ネットワークであるネットワーク回線Nとの中継器(宅内ルータRU)と通信可能に構成されている。特に、当該実施形態においては、浴室暖房乾燥機100にて実施される乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を、ネットワーク回線Nを介して接続されるサーバSに送信可能に構成されている。
【0024】
装置本体MEは、下方が略全体にわたって開口した概ね直方体形状の箱状のケースによって構成される。図1に示すように、装置本体MEは、浴室B内の空間に面する吸入口から吸い込んだ空気を、同じく浴室B内の空間に面する吹出口から循環ファン(図示せず)により吹き出すと共に、吸入口(図示せず)から排気ファン(図示せず)により吸い込んだ空気をダクト接続部E(図1)を通してケース外に排出する可能に構成されている。また、循環ファンにより通風される空気を熱源機Gからの熱媒循環路を通して循環供給される熱媒にて加熱する暖房用熱交換器(図示せず)等が装備されている。
【0025】
制御部Rは、循環ファン、排気ファン、及び熱源機G等の動作を制御することで、後述する浴室B内を換気する換気運転、浴室B内を暖房する暖房運転、浴室B内を乾燥する乾燥運転などの各種制御を実行する。
【0026】
具体的には、浴室暖房乾燥機100は、浴室B内の空気を排気ファンにより浴室B外に排出するように構成されており、制御部Rは、換気運転として排気ファンを動作させ、浴室Bの換気を行う。なお、換気運転においては、排気ファンの動作と同時に、循環ファンを動作させ、浴室B内の空気の循環を促す構成としても構わない。
【0027】
また、浴室暖房乾燥機100は、浴室B内の空気を吸入口を通して循環ファンにより吸引して暖房用熱交換器にて加熱した後、吹出口を通して浴室B内に送風するように構成されており、制御部Rは、暖房運転として循環ファン及び暖房用熱交換器を動作させ、浴室B内を暖房する。
【0028】
さらに、浴室暖房乾燥機100は、乾燥運転として、換気運転と暖房運転を同時に行うことで、浴室B内の空気を乾燥させることができるように構成される。乾燥運転は、吹出口の近辺に洗濯物としての衣類等を配置した状態で実行することで衣類の乾燥を行うことができる。
【0029】
浴室暖房乾燥機100は、リモコンREを介して、これらの換気運転、暖房運転、乾燥運転の実行を指示可能に構成されている。
【0030】
〔浴室乾燥時期の推定に係る構成〕
さて、当該実施形態に係る浴室乾燥時期推定システム200では、気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の浴室乾燥対象物の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定すべく、複数の浴室暖房乾燥機100(100a、100b・・・)による浴室B内での乾燥対象物としての洗濯物を乾燥させる乾燥運転に係る情報をネットワーク回線Nを介して収集可能なサーバSを備えており、当該サーバSには、複数の浴室暖房乾燥機100の所定の情報取得期間(例えば、1日)における乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を取得する情報取得部S1と、情報取得部S1が取得した使用率関連情報を用いて、現在の時期が浴室暖房乾燥機100にて乾燥運転が実施される可能性が高い浴室乾燥時期であるかを推定する浴室乾燥時期推定部S4とを備える。
【0031】
即ち、複数の浴室暖房乾燥機100の制御部Rの夫々は、情報取得期間の間に乾燥運転が実行されたか否かの乾燥運転実行情報を保持しており、例えば情報取得期間毎に、サーバSに対して当該乾燥運転実行情報を送信する。
情報取得部S1は、取得した乾燥運転実行情報に基づいて、使用率関連情報を導出する。当該実施形態では、使用率関連情報は、情報取得期間としての一日のうちで、複数の浴室暖房乾燥機100のうちで使用された浴室暖房乾燥機100の台数を意味する浴室乾燥使用率とする。説明を追加すると、浴室乾燥時期推定部S4は、一日のうちで乾燥運転を使用した浴室暖房乾燥機100の台数を、サーバSに上記乾燥運転実行情報を送信している浴室暖房乾燥機100のうち乾燥運転に係る情報(乾燥運転を実行したか否かの情報)を取得可能な浴室暖房乾燥機100の台数で除算して算出される値として、浴室乾燥使用率を算出する。
【0032】
更に、情報取得部S1は、複数の浴室暖房乾燥機100が設置される夫々の地域での乾燥に係る気候関連情報としての日平均気温(温度関連情報の一例)及び日降水合計量(降水量関連情報の一例)を、気象サーバKからネットワーク回線Nを介して取得可能に構成されており、夫々の浴室暖房乾燥機100に紐付ける形態で記憶している。
当該実施形態においては、浴室乾燥時期推定部S4は、情報取得部S1が取得した気候関連情報及び使用率関連情報から、現在の時期が浴室乾燥時期としての浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期であるか否かまで推定する。
【0033】
次に、浴室乾燥時期の推定に用いる閾値の設定方法について説明する。
まず、浴室乾燥使用率の閾値の設定に関し、閾値設定部S3(浴室乾燥時期推定部に含まれる概念)は、すべての季節(四季)を含む期間である判定基準期間(例えば、1年)での情報取得期間にて取得した浴室乾燥使用率のヒストグラム(図3に図示)を、浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する浴室乾燥使用率の閾値の設定に用いる。
当該実施形態においては、閾値設定部S3(浴室乾燥時期設定部に含まれる概念)は、浴室乾燥使用率の閾値を種々の値に設定可能であるが、例えば、浴室乾燥使用率の閾値を判定基準期間における浴室乾燥使用率の中間値とすることができる。図3に示すヒストグラムの例では、発生頻度が浴室乾燥使用率の低い側から積算して50%となる値として、浴室乾燥使用率が10%以上15%以下の値が設定される。
因みに、サーバSに設けられる基礎データ更新部S2が、所定の更新期間毎(例えば、1カ月毎)に、上述の使用率関連情報を更新し、当該基礎データの更新の後、浴室乾燥時期推定部S4は、浴室乾燥使用率及びそのヒストグラムを導出して更新し、更新後の浴室乾燥使用率のヒストグラムを用いて、浴室乾燥使用率の閾値を設定する。
【0034】
更に、閾値設定部S3は、図2に示すように、すべての季節(四季)を含む期間である判定基準期間(例えば、1年)における情報取得期間に取得される気候関連情報としての日平均気温(温度関連情報の一例:図2で縦軸)及び日降水合計量(降水量関連情報の一例:図2で横軸)と、判定基準期間における情報取得期間に取得される使用率関連情報(図2で濃淡表示)とを一のデータ点として、判定基準期間において取得された複数のデータ点を日平均気温と日降水合計量と使用率関連情報とを3軸としてマップ化したマップ情報を、浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する閾値の設定に用いる。
因みに、サーバSに設けられる基礎データ更新部S2が、所定の更新期間毎(例えば、1カ月毎)に、上述のマップ情報を更新し、当該基礎データの更新の後、浴室乾燥時期推定部S4は、更新後のマップ情報を、浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する閾値の設定に用いる。尚、ここでも、浴室乾燥使用率の閾値を判定基準期間における浴室乾燥使用率の中間値とすることができる。
これにより、昨今の急激に変化している気候変動に対応して傾向が大きく変化する可能性のある気温や降水量の情報を、最新のものにアップデートして、当該アップデートされたデータに基づいて、閾値を設定できるから、気候変動に良好に追従する形で、浴室乾燥時期の推定を実行できる。
【0035】
以下、上述した設定方法により設定された閾値を用いた制御を、図5の制御フローに基づいて説明する。
浴室乾燥時期推定システム200は、情報取得部S1は、浴室乾燥時期推定処理を開始すると、図示しない記憶部から、その前に浴室乾燥時期推定処理を実行している場合には前回に推定された現時点での浴室乾燥時期を取得すると共に、前に浴室乾燥時期推定処理を実行していない場合には浴室乾燥時期を未推定とする。
更に、情報取得部S1は、現時点での気候関連情報としての日平均気温及び降水量関連情報である日降水合計量を取得すると共に、複数の浴室暖房乾燥機100の情報取得期間(例えば、1日)における乾燥運転の使用率に関する使用率関連情報を取得する(#01)。使用率関連情報が取得されると、浴室乾燥時期推定部S4は、浴室乾燥使用率を算出する。
【0036】
次に、基礎データ更新部S2は、前回の更新時点から現時点までの時間が更新期間より長い場合(#02でYes)、使用率関連情報を更新して浴室乾燥時期推定部S4が浴室乾燥使用率及びそのヒストグラムを導出して更新すると共に、日平均気温と日降水合計量と使用率関連情報とを3軸とするマップ情報を更新する(#03)。一方、基礎データ更新部S2は、前回の更新時点から現時点までの時間が更新期間以下の場合(#02でNo)、更新処理を行わずに、#04以降の処理を実行する。
【0037】
閾値設定部S3は、基礎データに基づいて浴室乾燥使用率に係る閾値、日平均気温に係る閾値、日降水合計量に係る閾値を設定する(#04)。
【0038】
浴室乾燥時期推定部S4は、前回に推定された浴室乾燥時期が浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期である場合(#05でYes)、浴室乾燥梅雨時期の終了条件を満たすか否かの判定(#09)、及び浴室乾燥冬季時期の終了条件を満たすか否かの判定(#10)を実行する。
即ち、浴室乾燥時期推定部S4は、日降水量合計値が25mm(日降水合計量に係る閾値の一例)以下となり、且つ1日のうちの浴室乾燥使用率が7%(浴室乾燥使用率に係る閾値の一例)以下となった場合(#09でYes)、浴室乾燥時期としての浴室乾燥梅雨時期が終了したと判定し、新たに推定された現在の浴室乾燥時期に関する情報(この場合、現時点は浴室乾燥時期ではないという情報)を外部へ提供する(#08)。つまり、浴室乾燥時期推定システム200は、浴室乾燥時期推定部S4にて推定された浴室乾燥時期を外部に提供する情報提供部S5を備えており、当該情報提供部S5は、ネットワーク回線Nを介して、例えば、室内干し用洗剤、カビ防止用洗剤、除湿用機器等の販売のためのマーケティング端末Mに対して推定された浴室乾燥時期を送信する。マーケティング端末Mは、送信された浴室乾燥時期に基づいて種々の商品の需要の予測を行うことができる。
また、浴室乾燥時期推定部S4は、日平均気温が10℃(日平均気温に係る閾値の一例)以上となり、かつ、1日のうちの浴室乾燥使用率が10%(浴室乾燥使用率に係る閾値の一例)以下となった場合(#10でYes)、浴室乾燥時期としての浴室乾燥冬季時期が終了したと判定し、情報提供部S5が、新たに推定された現在の浴室乾燥時期に関する情報(この場合、現時点は浴室乾燥時期ではないという情報)を外部へ提供する(#08)。
【0039】
一方で、浴室乾燥時期推定部S4は、前回に推定された浴室乾燥時期が浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期でない場合(#05でNo)、浴室乾燥梅雨時期の開始条件を満たすか否かの判定(#06)、及び浴室乾燥冬季時期の開始条件を満たすか否かの判定(#07)を実行する。
即ち、浴室乾燥時期推定部S4は、日平均気温が20℃(日平均気温に係る閾値の一例)以上で、且つ日降水量合計値が50mm(日降水合計量に係る閾値の一例)以上となり、且つ1日のうちの浴乾使用率が15%(浴室乾燥使用率に係る閾値の一例)以上となった場合(#06でYes)、情報提供部S5が、浴室乾燥時期としての浴室乾燥梅雨時期が開始したと判定し、新たに推定された現在の浴室乾燥時期に関する情報(この場合、現時点は浴室乾燥梅雨時期であるという情報)を外部へ提供する(#08)。
また、浴室乾燥時期推定部S4は、日平均気温が10℃(日平均気温に係る閾値の一例)以下で、且つ1日のうちの浴室乾燥使用率が15%(浴室乾燥使用率に係る閾値の一例)以上となった場合、(#07でYes)、浴室乾燥時期としての浴室乾燥冬季時期が開始したと判定し、新たに推定された現在の浴室乾燥時期に関する情報(この場合、現時点は浴室乾燥冬季時期であるという情報)を外部へ提供する(#08)。
【0040】
#06~#10の処理の後、浴室乾燥時期推定部S4は、外部からの浴室乾燥推定処理の終了指示があった場合(#11でYes)、浴室乾燥時期推定処理を終了し、外部からの浴室乾燥推定処理の終了指示がない場合(#11でNo)、所定時間待機後(#12)に、#01以降の処理を継続して実行する。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、温度関連情報として日平均気温を取得すると共に、降水量関連情報として日降水量合計を取得する構成例を示した。
しかしながら、温度関連情報としては、その日の所定時点の温度等であっても構わず、降水量関連情報としては、降水があった時間の合計等であっても構わない。
また、温度については、気象サーバKから取得することなく、夫々の浴室暖房乾燥機100に設けられる温度センサ(図示せず)にて取得する構成を採用しても構わない。
【0042】
(2)上記実施形態では、使用率関連情報として、浴室乾燥使用率を用いたが、浴室関連使用率の偏差値を用いても構わない。
この場合、閾値設定部S3(浴室乾燥時期推定部の一例)は、すべての季節を含む期間である判定基準期間(例えば、1年)での情報取得期間にて取得した浴室乾燥使用率の偏差値のヒストグラム(図4に図示)を、浴室乾燥時期の開始時点及び終了時点の夫々を推定する浴室乾燥使用率の閾値の設定に用いる。
閾値設定部S3は、浴室乾燥使用率の敷地の閾値を判定基準期間における浴室乾燥使用率の偏差値の中間値(偏差値:50)とすることができる。
【0043】
(3)上記実施形態では、浴室乾燥時期推定部S4は、使用率関連情報に加えて、気候関連情報として日平均気温及び日降水合計量を用いる形で、現在の時期が浴室乾燥時期であるか否かを推定するものとした。
その他の構成として、浴室乾燥時期推定部S4は、使用率関連情報のみに基づいて、現在の時期が浴室乾燥時期であるか否かを推定するものとしても構わない。この場合も、浴室乾燥使用率の閾値を判定基準期間における浴室乾燥使用率の中間値とすることができる。
例えば、浴室乾燥時期推定部S4は、使用率関連情報としての浴室使用率が判定基準期間(例えば、1年)での中間値を超える場合に、浴室乾燥時期であると判定し、中間値以下の場合に、浴室乾燥時期でないと判定する。尚、この場合、浴室乾燥時期が、浴室乾燥梅雨時期又は浴室乾燥冬季時期の何れであるかの判定は行わない。
【0044】
(4)上記実施形態では、サーバSに設けられる基礎データ更新部S2が、所定の更新期間毎に、各種の基礎データを更新する構成例を示した。
しかしながら、当該基礎データの更新は、必ずしも行わなくても構わない。
【0045】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の浴室乾燥時期推定システムは、気候等に係るデータのみでは推定が難しい使用者の浴室乾燥対象物(浴室自身を含む)の乾燥に係る行動変容から浴室乾燥時期に係る情報を推定できる浴室乾燥時期推定システムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 :浴室暖房乾燥機
200 :浴室乾燥時期推定システム
B :浴室
N :ネットワーク回線
S :サーバ
S1 :情報取得部
S2 :基礎データ更新部
S3 :閾値設定部
S4 :浴室乾燥時期推定部
S5 :情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5