(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127783
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】熱交換ユニット
(51)【国際特許分類】
F28F 9/22 20060101AFI20230907BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20230907BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
F28F9/22
F28F1/02 A
F28D1/053 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031677
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 章
(72)【発明者】
【氏名】出口 誉
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA14
3L103AA17
3L103AA36
3L103DD32
3L103DD33
3L103DD61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱交換器本体とコアカバーとを有する熱交換ユニットの流通機能の低下を防止すること。
【解決手段】内部に第2流体が流通する偏平チューブ1と、その偏平チューブ1と第1流体8が流通するフィン2とが交互に並列されたコア3を有する熱交換器本体と、コア3の第1流体8の流入側に配置されたコアカバーと、互いに偏平チューブ1の並列方向に離間してコアカバーに支持されるとともに、コア3の第1流体8の流入する面に、夫々の先端縁5bが対向し、偏平チューブ1の長手方向に延在する羽板状のルーバ5と、を具備し、各ルーバ5が、偏平チューブ1の長辺部1aに対し傾斜して配置されている熱交換ユニットにおいて、ルーバ5の延在する方向に垂直な横断面における板厚を二分する仮想中心線7上の視点から、ルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、少なくとも一つの射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第2流体が流通し、その流通する方向に垂直な横断面に一対の長辺部(1a)と、両長辺部(1a)間を筒状に連結する短辺部(1b)と、を有する偏平チューブ(1)と、その偏平チューブ(1)と第1流体(8)が流通するフィン(2)とが交互に並列されたコア(3)を有する熱交換器本体(9)と、
前記コア(3)の第1流体(8)の流入側に配置されたコアカバー(4)と、
互いに前記偏平チューブ(1)の並列方向に離間して前記コアカバー(4)に支持されるとともに、コア(3)の第1流体(8)の流入する面に、夫々の先端縁(5b)が対向し、偏平チューブ(1)の長手方向に延在する羽板状のルーバ(5)と、
を具備し、
各ルーバ(5)が、偏平チューブ(1)の前記長辺部(1a)に対し傾斜して配置されている熱交換ユニットにおいて、
ルーバ(5)に、ルーバ(5)の延在する方向に垂直な横断面における板厚を二分する仮想中心線(7)を設定したときに、
仮想中心線(7)上の視点からルーバ(5)をコア(3)に射影した射影面(6)のうち、
少なくとも一つのルーバ(5)の前記射影面(6)が、偏平チューブ(1)の前記短辺部(1b)に位置していることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー(4)に複数のルーバ(5)が支持され、それらのルーバ(5)のうち過半数のルーバ(5)の前記射影面(6)が、偏平チューブ(1)の前記短辺部(1b)に位置していることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換ユニットにおいて、
複数のルーバ(5)の全てのルーバ(5)の前記射影面(6)が、偏平チューブ(1)の前記短辺部(1b)に位置していることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー(4)が樹脂からなることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー(4)が熱交換器本体(9)に、直接接触するまたは組付けられたことを特徴とする熱交換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ラジエータ等の熱交換器本体とコアカバーとからなる熱交換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来型熱交換ユニットの全体図を示し、
図5は
図4のV-V矢視断面図である。
熱交換ユニットは、熱交換器本体29とコアカバー24とからなる。
熱交換器本体29は偏平チューブ21とフィン22とが交互に並列されたコア23を有している。
偏平チューブ21は、一対の対向する長辺部21aと、両長辺部21a間を筒状に連結する短辺部21bとを有する。
コア23の第1流体28の流入側には、その流入する面に対向してコアカバー24が採用されている。そのコアカバー24の内部には、偏平チューブ21の並列方向に互いに離間して配置された複数のルーバ25が支持されている。このルーバ25は、羽板状であり、第2流体が流通する偏平チューブ21の長手方向に延在しているとともに、偏平チューブ21の長辺部21aに対して傾斜されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のコアカバー24は、熱交換器本体29のコア23の外寸に合わせて形成されている。コアカバー24を採用する目的は、泥除け及び熱交換器本体29のコア23の前面に流体を導くことである。しかしながら、従来型熱交換ユニットのコアカバー24は、第1流体28が流入するコア23の前面に第1流体28を導くものの、第1流体28がコア23内を通過する流通性を考慮して設計されていない。
図6は、従来型熱交換ユニットの偏平チューブ21とルーバ25との関係を示す模式図である。
従来型熱交換ユニットのコアカバー24は、その内部に支持されているルーバ25の仮想中心線27の延長線にある射影面26が偏平チューブ21に隣接するフィン22の位置にある。つまり、
図6に記載のように、熱交換部であるフィン22がルーバ25の影に入る。この場合、フィン22に流入できる第1流体28の流量が減少し、熱交換ユニットの流通機能の低下が生じていた。
本発明は、熱交換ユニットの流通機能の低下を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、内部に第2流体が流通し、その流通する方向に垂直な横断面に一対の長辺部1aと、両長辺部1a間を筒状に連結する短辺部1bと、を有する偏平チューブ1と、その偏平チューブ1と第1流体8が流通するフィン2とが交互に並列されたコア3を有する熱交換器本体9と、
前記コア3の第1流体8の流入側に配置されたコアカバー4と、
互いに前記偏平チューブ1の並列方向に離間して前記コアカバー4に支持されるとともに、コア3の第1流体8の流入する面に、夫々の先端縁5bが対向し、偏平チューブ1の長手方向に延在する羽板状のルーバ5と、
を具備し、
各ルーバ5が、偏平チューブ1の前記長辺部1aに対し傾斜して配置されている熱交換ユニットにおいて、
ルーバ5に、ルーバ5の延在する方向に垂直な横断面における板厚を二分する仮想中心線7を設定したときに、
仮想中心線7上の視点からルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、
少なくとも一つのルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置していることを特徴とする熱交換ユニットである。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー4に複数のルーバ5が支持され、それらのルーバ5のうち過半数のルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置していることを特徴とする熱交換ユニットである。
【0006】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の熱交換ユニットにおいて、
複数のルーバ5の全てのルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置していることを特徴とする熱交換ユニットである。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー4が樹脂からなることを特徴とする熱交換ユニットである。
【0008】
請求項5に記載の本発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の熱交換ユニットにおいて、
前記コアカバー4が熱交換器本体9に、直接接触するまたは組付けられたことを特徴とする熱交換ユニットである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ルーバ5の延在する方向に垂直な横断面における板厚を二分する仮想中心線7を設定したときに、仮想中心線7上の視点からルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、少なくとも一つのルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置している熱交換ユニットである。
この構成により、熱交換部であるフィン2がルーバ5の影に入らないようになるため、ルーバ5によって導かれたフィン2に流入する第1流体8の流量を増やして熱交換性能が向上する。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、コアカバー4に複数のルーバ5が支持され、それらのルーバ5のうち過半数のルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置しているため、複数のルーバ5によって導かれたフィン2に流入する第1流体8の流量を増やして熱交換性能が向上する。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数のルーバ5の全てのルーバ5の前記射影面6が、偏平チューブ1の前記短辺部1bに位置しているため、さらにフィン2に流入する第1流体8の流量を増やして熱交換性能が向上する。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、前記コアカバー4が樹脂からなるため、金型の構造によりルーバ5の位置を容易に熱交換器本体9の偏平チューブ1の位置へ変更することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、前記コアカバー4が熱交換器本体9に、直接接触するまたは組付けられたものであるため、熱交換器本体9とコアカバー4との位置合わせが容易となり、偏平チューブ1の位置へルーバ5を合わせる精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】同熱交換ユニットの偏平チューブ1とルーバ5との関係を示す模式図。
【
図6】従来型熱交換ユニットの偏平チューブ21とルーバ25との関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の熱交換ユニットの全体図であり、
図2は
図1のII-II矢視断面図である。
本発明の熱交換ユニットは、
図1に示す如く、熱交換器本体9とコアカバー4とを具備する。
熱交換器本体9は、
図2に示す如く、偏平チューブ1とフィン2とが交互に並列されたコア3を有している。偏平チューブ1は、その横断面が一対の長辺部1aと両長辺部1a間を筒状に連結する短辺部1bとからなる。
【0016】
コアカバー4は、
図2に示す如く、コア3の放熱部であるフィン2に導かれる第1流体8の流入側に配置されており、コアカバー4の内部には、偏平チューブ1の並列方向に互いに離間して配置された複数のルーバ5が支持されている。各ルーバ5は、偏平チューブ1の内部を流通する第2流体の流通方向に延在しているとともに、偏平チューブ1の長辺部1aに対して傾斜されて配置されている。各ルーバ5の偏平チューブ1の長辺部1aに対する傾斜角度θは鋭角になるように配置されている。
各ルーバ5間のピッチPlは、並列された偏平チューブ1間のピッチPtよりも大きい。ルーバ5の端部5bは、熱交換器本体9のコア3の第1流体8の流入側から離間して配置される。
コアカバー4は、樹脂材により成形することが望ましい。
【0017】
図3は、同熱交換ユニットの偏平チューブ1とルーバ5との関係を示す横断面の模式図であり、熱交換器のコアカバー4に支持されている複数のルーバ5のうち、1枚のルーバ5とその近傍に位置する偏平チューブ1との配置関係について示している。
図3において、ルーバ5には、ルーバ5の延在する方向に垂直な横断面における板厚を二分する仮想中心線7を設定する。
ルーバ5の射影面6が、同図に示す如く、仮想中心線7の延長線上にある。
この例では、仮想中心線7上の視点からルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、全てのルーバ5の射影面6に、偏平チューブ1の短辺部1bが位置している。
【0018】
このようにコアカバー4のルーバ5が配置されている場合、熱交換部であるフィン2がルーバ5の影に入らないようになるため、複数のルーバ5によって導かれたフィン2に流入する第1流体8の流量を増やして、熱交換性能が向上する。
なお、
図3のように、仮想中心線7の延長線上に、偏平チューブ1の短辺部1bの中心を配置することが望ましい。この場合、フィン2に流入する第1流体8の流量を増やすことができる。
【0019】
この例では、複数のルーバ5の全てのルーバ5の射影面6に、偏平チューブ1の短辺部1bが位置しており、発明の効果を発揮するのに最もよい形態を示している。
しかしながら、この実施例に限定されるものではなく、複数のルーバ5のうち、仮想中心線7上の視点からルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、過半数のルーバ5が、上記の構成を有するものであってもよい。さらに、仮想中心線7上の視点からルーバ5をコア3に射影した射影面6のうち、少なくとも一つのルーバ5の射影面6に、偏平チューブ1の短辺部1bが位置していればよい。
この例では、ルーバ5の端部5bは、コア3の偏平チューブ1の短辺部1bから離間して配置されている。ただし、これに限らず、コアカバー4が熱交換器本体9に取付けられた時、コアカバー4内のルーバ5の端部5bが偏平チューブ1の短辺部1bに接触していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、ラジエータ等の熱交換器を用いた熱交換ユニットとして、利用することができる。しかしながら、本発明の熱交換ユニットに用いる熱交換器本体は、偏平チューブ内に流通する第2流体を冷却する目的に使用されるものに限定されず、第2流体を加温する目的に使用されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 偏平チューブ
1a 長辺部
1b 短辺部
2 フィン
3 コア
4 コアカバー
5 ルーバ
5a 平面
5b 端部
6 射影面
7 仮想中心線
8 第1流体
9 熱交換器本体
【0022】
21 偏平チューブ
21a 長辺部
21b 短辺部
22 フィン
23 コア
24 コアカバー
25 ルーバ
25a 平面
25b 端部
26 射影面
27 仮想中心線
28 第1流体
29 熱交換器本体
P1 ピッチ
Pt ピッチ
θ 傾斜角度