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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127790
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】通風ドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230907BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20230907BHJP
   E06B 7/04 20060101ALI20230907BHJP
   E06B 3/44 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 A
E06B7/04
E06B3/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031686
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】村山 克哉
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FB02
2E014FC01
2E036JA02
2E036JC02
2E036KA08
2E036KB01
2E036LA03
2E036LB06
2E036MA08
2E239CA03
2E239CA12
2E239CA14
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA35
2E239CA57
2E239CA62
2E239CA67
(57)【要約】
【課題】防火性能を向上できる通風ドアを提供すること。
【解決手段】通風ドア1は、ドア枠2と、ドア枠2内に配置されるドア本体5とを備える。ドア本体5は、上框51と、通風縦枠63、64とを備える通風ユニット枠と、通風縦枠63、64に沿って移動自在に配置された外障子7および内障子8とを備える。一対の通風縦枠63、64には、外障子7の縦框73、74の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される縦枠補強材660がそれぞれ取り付けられる。上框51には、外障子7の上框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される上枠補強材650が取り付けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠と、前記ドア枠内に配置されるドア本体と、を備える通風ドアであって、
前記ドア本体は、
通風ユニット上枠と、通風ユニット縦枠とを備える通風ユニット枠と、
前記通風ユニット縦枠に沿って移動自在に配置された外障子および内障子と、を備え、
前記通風ユニット縦枠には、前記外障子の縦框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される縦枠補強材がそれぞれ取り付けられ、
前記通風ユニット上枠には、前記外障子の上框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される上枠補強材が取り付けられている
ことを特徴とする通風ドア。
【請求項2】
請求項1に記載の通風ドアにおいて、
前記縦枠補強材は、
前記外障子の縦框に対して見込み方向室外側に配置される見付け片と、
前記見付け片から見込み方向室内側に延長されて前記通風ユニット縦枠にネジで固定される見込み片と、を備え、
前記ネジは、前記見込み方向において、前記外障子の縦框の室外見付面よりも室内側の位置に設けられる
ことを特徴とする通風ドア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通風ドアにおいて、
前記縦枠補強材は、
少なくとも、前記外障子の縦框の下端部および前記内障子の縦框の上端部に対して見込み方向室外側に配置されている
ことを特徴とする通風ドア。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の通風ドアにおいて、
前記上枠補強材は、
前記外障子の上框に対して見込み方向室外側に配置される中央見付け片と、
前記中央見付け片の左右両端に連続して形成されて前記外障子の縦框に対して見込み方向室外側に配置される端部見付け片と、を備え、
前記端部見付け片は、前記中央見付け片よりも下方に延長されている
ことを特徴とする通風ドア。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の通風ドアにおいて、
前記上枠補強材は、
前記外障子の上框の上方に配置されて通風ユニット上枠にネジで固定される見込み片を備える
ことを特徴とする通風ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の勝手口などに設けられる通風ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
ドア枠と、ドア枠に開閉可能に取り付けられた扉とを備えるドアにおいて、扉内に上げ下げ窓の通風ユニットを組み込んだ通風ドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-81805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記通風ドアに加熱発泡材を設けて防火仕様にすることが試みられている。このような通風ドアで防火試験を行ったところ、防火試験の時間が経過するにつれて、上げ下げ窓の外障子が下がり、外障子が外側に傾いて火炎が侵入するという新たな課題が生じた。
【0005】
本発明の目的は、防火性能を向上できる通風ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通風ドアは、ドア枠と、前記ドア枠内に配置されるドア本体と、を備える通風ドアであって、前記ドア本体は、通風ユニット上枠と、通風ユニット縦枠とを備える通風ユニット枠と、前記通風ユニット縦枠に沿って移動自在に配置された外障子および内障子とを備え、前記通風ユニット縦枠には、前記外障子の縦框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される縦枠補強材がそれぞれ取り付けられ、前記通風ユニット上枠には、前記外障子の上框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される上枠補強材が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防火性能を向上できる通風ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の通風ドアを示す外観姿図である。
図2】第1実施形態の通風ドアの縦断面図である。
図3】第1実施形態の通風ドアの横断面図である。
図4】第1実施形態の通風ドアのドア枠およびドア本体を示す斜視図である。
図5】第1実施形態の通風ドアの上框および上枠補強材を示す縦断面図である。
図6】第1実施形態の通風ドアの通風縦枠と縦枠補強材を示す横断面図である。
図7】第2実施形態の通風ドアの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図4に示すように、第1実施形態の通風ドア1は、建物の勝手口に配置される通風ドアであり、建物の勝手口の開口に取り付けられたドア枠2と、このドア枠2内に配置されたドア本体5と、ドア本体5内に配置される通風窓枠6と、通風窓枠6内に配置された上げ下げ窓用の外障子7および内障子8と、ドア本体5の室外面に取り付けられる網付格子9とを備える。なお、図4は網付格子9を取り外した状態つまりドア枠2およびドア本体5の斜視図である。
【0010】
ドア枠2は、上枠10、下枠20、左右の縦枠30、40を四角枠状に接合して形成されている。
上枠10は、アルミ形材で構成された上枠本体11と、合成樹脂製のカバー材15とを備えて構成されている。同様に、下枠20、縦枠30、40は、アルミ形材で構成された下枠本体21、縦枠本体31、41と、合成樹脂製のカバー材25、35、45とを備えて構成されている。
各カバー材15、25、35、45には、ドア本体5の室内面に当接する気密材19、29、39、49が取り付けられている。これらの気密材19、29,39、49によって、ドア枠2とドア本体5との隙間101~104から室内空間に外気が流入することを防止している。
【0011】
ドア本体5は、上框51、下框52、左右の縦框53、54を枠組みし、その内部に通風窓枠6、外障子7、内障子8を組み込んで構成されている。上框51、下框52、縦框53、54は、それぞれアルミ製の室外部材510、520、530、540と、合成樹脂製の室内部材515、525、535、545とを組み合わせて構成され、断熱性を向上させている。
ドア本体5の吊元側の縦框53は、丁番55を介してドア枠2の吊元側の縦枠30に取り付けられる。これにより、ドア本体5はドア枠2に開閉自在に取り付けられている。ドア本体5の戸先側の縦框54には、ハンドル56が取り付けられている。
縦框53には、気密材39の室外側で隙間103を塞ぐ気密材57が取り付けられている。縦框54のエッジカバー部分には気密材58が取り付けられている。
【0012】
通風窓枠6は、通風上枠61、通風下枠62、通風縦枠63、64を備える。通風上枠61は、左右の通風縦枠63、64の上端間に配置され、上框51に固定されている。通風下枠62は、通風縦枠63、64の下端間に配置され、下框52に固定されている。
通風縦枠63、64は、縦框53、54の内周側に配置され、縦框53、54に対してネジ止めされている。
【0013】
本実施形態のドア本体5では、後述するように、上框51、下框52、縦框53、54と、通風窓枠6を構成する通風上枠61、通風下枠62、通風縦枠63、64とで、外障子7および内障子8を移動自在に保持する通風ユニット枠が構成されている。
具体的には、上框51および通風上枠61によって通風ユニット上枠が構成され、下框52および通風下枠62によって通風ユニット下枠が構成され、縦框53および通風縦枠63で吊元側の通風ユニット縦枠が構成され、縦框54および通風縦枠64で戸先側の通風ユニット縦枠が構成される。
【0014】
上框51の室外部材510は、図2および図5に示すように、中空筒状に形成された上框本体部511と、上框本体部511の室外面に連続して形成された延出片512とを備える。延出片512は、上框本体部511から水平方向に延びる水平面部513と、水平面部513の室外側端部から下方に延びる鉛直面部514とを備えて断面L字状に形成されている。
通風上枠61は、室外部材510の下面に取り付けられ、この通風上枠61と室外部材510の鉛直面部514との間に、閉鎖位置にある外障子7の上框71が配置される。
【0015】
通風縦枠63、64は、図3に示すように、アルミ押出形材などで構成される通風縦枠本体630、640と、合成樹脂製の化粧枠材639、649とで構成されている。なお、通風縦枠63、64は同一断面形状の部品であるため、図6に示す通風縦枠63でその構造を説明する。
通風縦枠63の通風縦枠本体630は、見込み方向に沿って形成される板状の見込み片部631と、見込み片部631から縦框53側つまり外周側に突出する突片632および断面L字状の係合部633、634と、見込み片部631から内周側に突出する室外ガイド片635、中間ガイド片636、室内ガイド片637とを備えている。中間ガイド片636および室内ガイド片637間には、合成樹脂により断面略L字状に形成されたアタッチメント638が取り付けられている。アタッチメント638は、通風縦枠63の長手方向の略全長に亘って配置され、見込み片部631において中間ガイド片636よりも室内側の面と、中間ガイド片636の室内面とを被覆している。
化粧枠材639は、見込み片部631の係合部634と、室内ガイド片637とに係合され、通風縦枠本体630が室内側に露出しないように被覆している。
また、係合部633には、縦框53の室外部材530が係合され、突片632は、室内部材535に当接あるいは近接している。
室外ガイド片635の上下方向の中間位置には、後述する縦枠補強材660の見込み片665が挿入される挿入溝6351が形成されている。
【0016】
外障子7および内障子8は、図4にも示すように、通風縦枠63、64に沿って上下動可能な可動障子とされている。
外障子7は、図2および図3に示すように、アルミ製の上框71と、下框72と、左右の縦框73、74とを矩形枠状に組んで構成されている。各框71~74の内周面には、複層ガラス75がガスケットを介して取り付けられている。
内障子8は、アルミ製の上框81と、下框82と、左右の縦框83、84とを矩形枠状に組んで構成されている。各框81~84の内周面には、複層ガラス85がガスケットを介して取り付けられている。
なお、下框72以外の各框71、73、74、81~84は、室内空間に露出するため、それぞれアルミ製の室外部材と、合成樹脂製の室内部材とを組み合わせて構成され、断熱性を向上させている。
また、複層ガラス75、85の室外側のガラスは防火性向上のため網入りガラスで構成されている。
【0017】
外障子7および内障子8は、通風縦枠63、64の室外ガイド片635および中間ガイド片636間と、アタッチメント638および室内ガイド片637間とにそれぞれ形成されるガイド溝に沿って上下動可能に設けられている。すなわち、外障子7の縦框73、74の上下両端と、内障子8の縦框83、84の上下両端には、それぞれ前記ガイド溝内をスライド移動可能な図示略のスライダーが取り付けられている。また、外障子7のスライダーと、内障子8のスライダーとには、図示略の滑車を介して掛け渡される図示略のワイヤーが取り付けられている。これにより、閉鎖状態の内障子8を上方に移動させると外障子7は連動して下方に移動してドア本体5は通風可能な状態となる。また、通風状態から内障子8を下方に移動させると外障子7は連動して上方に移動して外障子7および内障子8は閉鎖状態となる。
【0018】
ドア本体5の室外面には、図1~3に示すように、網付格子9がビス等で着脱可能に取り付けられている。網付格子9は、上付子91、下付子92、左右の縦付子93を矩形状に枠組みし、左右の縦付子93間に複数の横格子94を掛け渡して構成されている。横格子94の室内側には防虫網95が設けられ、防虫網95の端縁は、上付子91、下付子92、左右の縦付子93に取り付けられている。また、上枠10およびドア本体5の上框51には、ドアクローザー4が取り付けられている。
【0019】
ドア本体5には、図4に示すように、外障子7が室外側に倒れることを防止する上枠補強材650と、縦枠補強材660が設けられている。以下、図4および図5を参照して、上枠補強材650について説明し、図4および図6を参照して縦枠補強材660について説明する。なお、図5および図6では、図面を見やすくするため、上框51の室外部材510、上框71の室外部材、縦框53の室外部材530、通風縦枠63の通風縦枠本体630、網付格子9については断面を示すハッチングを省略している。
【0020】
[上枠補強材]
上枠補強材650は、スチールやステンレスなどの金属製の板材で構成され、図5に示すように、見付け片651と、見込み片655とを備えて断面L字状に形成されている。
見付け片651は、図4にも示すように、外障子7の上框71に対して見込み方向室外側に配置される中央見付け片652と、中央見付け片652の左右両端に連続して形成されて外障子7の縦框73、74に対して見込み方向室外側に配置される一対の端部見付け片653とを備える。端部見付け片653は、中央見付け片652よりも下方に延長されている。すなわち、中央見付け片652の下端の高さ位置は、鉛直面部514の下端よりも下方であり、かつ、上框71の下端よりも僅かに上方とされている。一方、端部見付け片653の下端の高さ位置は、中央見付け片652の下端や、上框71の下端よりも下方とされている。
【0021】
上枠補強材650は、上框51の長手寸法と略同様の長さ寸法に形成されており、上框51に複数のネジ659によって固定されている。
上枠補強材650の見付け片651は、鉛直面部514の室内面に沿って配置され、見込み片655は、水平面部513の下面に沿って配置されている。ネジ659は、水平面部513に形成された貫通孔から見込み片655に螺合されている。このネジ659によって、上枠補強材650は、通風ユニット上枠を構成する上框51に固定されている。さらに、見込み片655の左右両端は下方に折り曲げられ、通風縦枠63、64の上端部にネジ658で固定されている。
【0022】
上枠補強材650の見付け片651および鉛直面部514には見込み方向に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に挿入されたネジ96によって網付格子9の上付子91が上框51に固定されている。上付子91は、中央見付け片652の室外側に配置され、中央見付け片652が室外側に露出しないように隠している。
さらに、中央見付け片652の室内面には、長手方向の略全長に亘って加熱発泡材200が貼られている。この加熱発泡材200は、火災時には、中央見付け片652と上框71との隙間を塞ぐように上框71に向かって発泡する。
【0023】
[縦枠補強材]
縦枠補強材660は、図4に示すように、向きを変えて通風縦枠63、64に取り付けられる同一部品であり、上枠補強材650と同様に、スチールやステンレスなどの金属製の板材で構成されている。
縦枠補強材660は、外障子7の縦框73、74の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される見付け片661と、見付け片661から見込み方向室内側に延長されて通風縦枠63、64に固定される見込み片665とを備える。
【0024】
見付け片661は、外障子7および内障子8の召合せ部分、つまり外障子7の縦框73、74の下端部分から内障子8の縦框83、84の上端部分に跨がって配置されている。このため、見付け片661は、外障子7の縦框73、74の下端に取り付けられるスライダーや、内障子8の縦框83、84の上端に取り付けられるスライダーの室外側を覆うように配置されている。
また、見付け片661の内周側の先端縁は、図6に示すように、室外ガイド片635よりも延出され、外障子7の縦框73、74の室外側に配置されている。
【0025】
見込み片665は、上下寸法が見付け片661に比べて短くされ、見付け片661の上下方向の中間位置から室内側に延出されている。見込み片665は、図6にも示すように、室外ガイド片635の基端部分に形成された挿入溝6351から挿入され、見込み片部631の内周に沿って配置されている。見込み片665の室内側端縁は、中間ガイド片636に当接あるいは近接するように延長されており、見込み片665の室内側端部において、ネジ669によって見込み片部631に固定されている。すなわち、ネジ669は、見込み方向において、外障子7の縦框73、74の室外見付面よりも室内側の位置に設けられている。
【0026】
見付け片661の室外側には、網付格子9の縦付子93が配置され、見付け片661を覆っている。なお、縦付子93は、縦枠補強材660よりも下方の高さ位置に設けられる図示略のフック部材を、室外ガイド片635に形成した係合溝に挿入して係合することで室外ガイド片635に取り付けられている。
【0027】
[加熱発泡材]
図2、3に示すように、ドア枠2の上枠10、下枠20、縦枠30、40には、加熱発泡材200がそれぞれ貼られている。具体的には、上枠本体11、縦枠本体31、41の見込み面と、下枠本体21の見付け面と、カバー材35、45の気密材39、49の保持溝とに、加熱発泡材200がそれぞれ貼られている。火災時には、これらの加熱発泡材200が発泡して各隙間101~104を塞ぐことができる。
【0028】
図2、3に示すように、ドア本体5の上框51、下框52、縦框53、54の外周面には、火災時にドア枠2との隙間を塞ぐ加熱発泡材200がそれぞれ貼られている。また、下框52および縦框53内には補強材が配置され、これらの補強材には、下框52の中空部の左右の開口や縦框53の下端開口を塞ぐ加熱発泡材200がそれぞれ貼られている。
さらに、外障子7および内障子8において、複層ガラス75、85を保持する凹溝内にも保持溝内で発泡して各框71~74、81~84と複層ガラス75、85との間を塞ぐ加熱発泡材200が適宜配置されている。
図5に示すように、外障子7の上框71の上面と、上框51の室外部材510の傾斜片には、火災時に上框71と見込み片655との隙間を塞ぐ加熱発泡材200が貼られている。外障子7は、縦框73、74の側面に上框71の小口を突き合わせて構成されるため、縦框73、74の上端の小口には加熱発泡材は設けられていない。このため、上框51の室外部材510の傾斜片に設けられる加熱発泡材200は、室外部材510の左右両端部分に設けられている。これにより、上框51に取り付けられた上枠補強材650の見込み片655と、外障子7の上面との隙間の中央部は、上框71の上面に貼られた加熱発泡材200で塞がれ、前記隙間の左右両端部は、室外部材510の傾斜片に貼られた加熱発泡材200で塞がれる。また、見付け片651の室内面に設けられた加熱発泡材200によって、上框71の室外面と見付け片651との隙間が塞がれている。
また、図2に示すように、外障子7の下框72と内障子8の上框81の室外面とには、下框72および上框81間を塞ぐ加熱発泡材200が貼られており、内障子8の下框82の下面と、下框52の上面とには、これらの間を塞ぐ加熱発泡材200が貼られている。
図6に示すように、縦框53の通風縦枠63に対向する面にはこれらの間を塞ぐ200が貼られている。また、外障子7の縦框73の外周面と、この外周面に対向する見込み片部631とには、これらの間を塞ぐ加熱発泡材200が貼られている。また、中間ガイド片636の室内面と、内障子8の縦框83の外周面と、この外周面に対向するアタッチメント638には、これらの間を塞ぐ加熱発泡材200が貼られている。なお、図3では符号を付していないが、縦框54と通風縦枠64との間や、通風縦枠64と外障子7、内障子8との間にも、図6と同様の加熱発泡材200が配置されている。
【0029】
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態の通風ドア1によれば、外障子7の縦框73、74の少なくとも一部の見込み方向室外側に配置される縦枠補強材660と、外障子7の上框71の少なくとも一部の見込み方向室外側に配置される上枠補強材650とを備えているので、火災時にワイヤーが伸びることなどで外障子7が下方にずれて室外側に傾いた場合に、外障子7が上枠補強材650や縦枠補強材660に当接して保持されるため、外障子7が倒れることを防止でき、通風ドア1の防火性能の低下を防止できる。
【0030】
縦枠補強材660を通風縦枠本体630に固定するネジ669は、見込み方向において外障子7の縦框73、74の室外見付け面よりも室内側の位置に設けられているので、火災時にネジ669が火炎に直接曝されることを防止でき、縦枠補強材660を長時間保持できる。すなわち、縦枠補強材660を通風縦枠63の室外見付け面である室外ガイド片635にネジで固定した場合、ネジ固定部分が通風縦枠63の室外面に露出するため室外火災時に火炎に直接曝されてしまい、ネジや通風縦枠63のネジ螺合部が溶融して縦枠補強材660が脱落するまでの時間が短くなる恐れがある。一方、本実施形態によれば、ネジ669が火炎に直接曝されることを防止できるため、縦枠補強材660の保持状態を、防火性能を維持するために必要な時間維持することができる。
【0031】
縦枠補強材660は外障子7および内障子8の召合せ部分の室外側を覆っているので、室外火災時に外障子7の召合せ部分に配置されるスライダーを金属製の見付け片661で隠すことができ、スライダーが焼失して外障子7が下がってしまうことを防止できる。
また、縦枠補強材660は、見付け片661の上下方向の中間位置に見込み片665を設けて上下対称の構造としたので、同一形状の縦枠補強材660を、通風縦枠63および通風縦枠64にそれぞれ取り付けて兼用できるため、コストも低減できる。
【0032】
上枠補強材650の見付け片651は、中央見付け片652と端部見付け片653とを備えているので、外障子7の縦框73、74の上端部分を端部見付け片653でカバーでき、縦框73、74の上端側のスライダーを保護することができる。さらに、外障子7が室外側に倒れた場合、中央見付け片652が上框71を保持するとともに、端部見付け片653が縦框73、74の上端部を保持できるので、外障子7の倒れをより確実に防止できる。
また、上框51の鉛直面部514よりも下方に延出された見付け片651に加熱発泡材200を設けているので、外障子7が下がった場合でも、見付け片651の下端よりも下がらない状態であれば、見付け片651に設けた加熱発泡材200の発泡によって見付け片651と上框71との間を塞ぐことができるため、防火性能を向上できる。
【0033】
上枠補強材650に見込み片655を設け、この見込み片655を上框51の水平面部513にネジ659で固定しているので、ネジ659の固定位置が外障子7の上框71の室外見付け面よりも室外側に設けられる場合に比べて、ネジ螺合部が溶融するまでの時間を長くでき、上枠補強材650の保持状態を、防火性能を維持するために必要な時間維持することができる。また、上枠補強材650は、通風縦枠63、64にもネジ658で固定されるため、上枠補強材650の保持状態をさらに長く維持できる上、上框51の水平面部513の左右の端縁と、通風縦枠63、64の見込み片部631の上端縁との接合部分が口開きすることを防止でき、接合部分が口開きして火炎が通過する貫通孔が形成されることを防止でき、防火性能の低下を防止できる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の通風ドア1Bについて図7を参照して説明する。第2実施形態の通風ドア1Bは、第1実施形態の通風ドア1の構成に加えて、補強裏板670と、コーナー補強材680とを追加したものである。このため、補強裏板670およびコーナー補強材680について説明する。
補強裏板670は、通風ユニット上枠である上框51の水平面部513上に配置された長尺の金属製板材である。補強裏板670の長手方向の寸法は、水平面部513の長手方向の寸法よりも短くされており、補強裏板670は、水平面部513の左右方向の中央位置に配置されている。
ネジ659は、補強裏板670の左右両端部近傍において、補強裏板670および水平面部513を貫通して上枠補強材650の見込み片655に螺合されている。
【0035】
コーナー補強材680は、通風ユニット上枠である上框51の水平面部513と、通風ユニット縦枠である通風縦枠63、64の見込み片部631とに跨がって固定されるL字型の金属製の補強材である。したがって、コーナー補強材680は、通風ユニット上枠の見込み面にネジ659で固定され、通風ユニット縦枠の見込み面にネジ658で固定されている。
【0036】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態の通風ドア1Bにおいても、上枠補強材650や縦枠補強材660を備えているので、第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
上枠補強材650と固定される補強裏板670を備えているため、上枠補強材650の固定強度を向上できる。
また、コーナー補強材680を設けたことにより、火災時に、上框51の水平面部513の左右の端縁と、通風縦枠63、64の見込み片部631の上端縁との接合部分が口開きすることをさらに防止でき、接合部分が口開きして火炎が通過する貫通孔が形成されることを防止でき、防火性能の低下を防止できる。
【0037】
[変形例]
前記実施形態では、上枠補強材650の見付け片651は、中央見付け片652と端部見付け片653とで構成していたが、中央見付け片652のみで構成してもよい。また、外障子7の上框71の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置されていればよく、例えば、見付け片651は、上框71の左右方向の中央部に対して見込み方向室外側に配置されるものでもよいし、上框71の左右方向の両端部に対して見込み方向室外側に配置されるものでもよく、要するに、外障子7が室外側に倒れた際に上框71に当接して、それ以上の外障子7の倒れを防止できるものであればよい。
【0038】
縦枠補強材660の見付け片661は、外障子7および内障子8の召合せ部分に設けられていたが、見付け片661を通風縦枠63、64の長手方向の略全長に亘る長さ寸法に形成してもよいし、外障子7の縦框73、74の室外側のみに設けてもよく、要するに、外障子7が室外側に倒れた際に縦框73、74に当接して、それ以上の外障子7の倒れを防止できるものであればよい。
【0039】
外障子7および内障子8を案内する通風ユニット枠の構成は前記実施形態に限定されない。また、上枠補強材650および縦枠補強材660の固定構造も通風ユニット枠の構成に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
[発明のまとめ]
本発明の通風ドアは、ドア枠と、前記ドア枠内に配置されるドア本体と、を備える通風ドアであって、前記ドア本体は、通風ユニット上枠と、通風ユニット縦枠とを備える通風ユニット枠と、前記通風ユニット縦枠に沿って移動自在に配置された外障子および内障子とを備え、前記通風ユニット縦枠には、前記外障子の縦框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される縦枠補強材がそれぞれ取り付けられ、前記通風ユニット上枠には、前記外障子の上框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側に配置される上枠補強材が取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、外障子の各縦框の少なくとも一部に対して見込み方向室外側にそれぞれ配置される縦枠補強材と、外障子の上框の少なくとも一部の見込み方向室外側に配置される上枠補強材とを備えているので、火災時に外障子が室外側に傾いた場合に、外障子が上枠補強材や縦枠補強材に当接して保持されるため、外障子が室外側に倒れることを防止でき、通風ドアの防火性能の低下を防止できる。
【0041】
本発明の通風ドアにおいて、前記縦枠補強材は、前記外障子の縦框に対して見込み方向室外側に配置される見付け片と、前記見付け片から見込み方向室内側に延長されて前記通風ユニット縦枠にネジで固定される見込み片と、を備え、前記ネジは、前記見込み方向において、前記外障子の縦框の室外見付面よりも室内側の位置に設けられることが好ましい。
本発明によれば、縦枠補強材を通風ユニット縦枠に固定するネジは、見込み方向において外障子の縦框の室外見付け面よりも室内側の位置に設けられているので、火災時にネジが火炎に直接曝されることを防止でき、縦枠補強材を長時間保持できる。
【0042】
本発明の通風ドアにおいて、前記縦枠補強材は、少なくとも、前記外障子の縦框の下端部および前記内障子の縦框の上端部に対して見込み方向室外側に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、縦枠補強材は外障子および内障子の召合せ部分、つまり外障子の縦框の下端部および内障子の縦框の上端部の室外側を覆っているので、室外火災時に外障子の召合せ部分に配置されるスライダーを金属製の縦枠補強材で覆うことができ、スライダーが焼失して外障子が下がってしまうことを防止できる。
【0043】
本発明の通風ドアにおいて、前記上枠補強材は、前記外障子の上框に対して見込み方向室外側に配置される中央見付け片と、前記中央見付け片の左右両端に連続して形成されて前記外障子の縦框に対して見込み方向室外側に配置される端部見付け片と、を備え、前記端部見付け片は、前記中央見付け片よりも下方に延長されていることが好ましい。
本発明によれば、上枠補強材は、中央見付け片と端部見付け片とを備えているので、外障子の縦框の上端部分を端部見付け片でカバーでき、縦框の上端側のスライダーを保護することができる。さらに、外障子が室外側に倒れた場合、中央見付け片が上框を保持するとともに、端部見付け片が縦框の上端部を保持できるので、外障子の倒れをより確実に防止できる。
【0044】
本発明の通風ドアにおいて、前記上枠補強材は、前記外障子の上框の上方に配置されて通風ユニット上枠にネジで固定される見込み片を備えることが好ましい。
本発明によれば、上枠補強材に見込み片を設け、この見込み片を通風ユニット上枠にネジで固定しているので、ネジの固定位置を外障子の上框の室外見付け面よりも室内側に設けることができるため、ネジ螺合部が溶融するまでの時間を長くでき、上枠補強材を長時間保持できる。
【符号の説明】
【0045】
1、1B…通風ドア、2…ドア枠、5…ドア本体、6…通風窓枠、7…外障子、8…内障子、51…上框、52…下框、53…縦框、54…縦框、61…通風上枠、62…通風下枠、63…通風縦枠、64…通風縦枠、71…上框、72…下框、73…縦框、74…縦框、81…上框、82…下框、83…縦框、84…縦框、91…上付子、93…縦付子、96…ネジ、200…加熱発泡材、630…通風縦枠本体、631…見込み片部、635…室外ガイド片、636…中間ガイド片、637…室内ガイド片、638…アタッチメント、639…化粧枠材、640…通風縦枠本体、649…化粧枠材、650…上枠補強材、651…見付け片、652…中央見付け片、653…端部見付け片、655…見込み片、658、659…ネジ、660…縦枠補強材、661…見付け片、665…見込み片、669…ネジ、670…補強裏板、680…コーナー補強材、6351…挿入溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7