IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人電気通信大学の特許一覧

特開2023-127791処理装置、処理方法およびプログラム
<>
  • 特開-処理装置、処理方法およびプログラム 図1
  • 特開-処理装置、処理方法およびプログラム 図2
  • 特開-処理装置、処理方法およびプログラム 図3
  • 特開-処理装置、処理方法およびプログラム 図4
  • 特開-処理装置、処理方法およびプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127791
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20230907BHJP
   H04L 51/02 20220101ALI20230907BHJP
   G06F 16/35 20190101ALI20230907BHJP
【FI】
G06Q10/10
H04L51/02
G06F16/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031693
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真樹
(72)【発明者】
【氏名】野崎 裕二
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FA03
5B175GA04
5B175HB03
5L049AA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】集会において、発言しない人に寄り添う処理装置、処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】処理システムにおいて、処理装置1は、集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの端末から非スピーカーのコメントを取得する取得部21と、非スピーカーのコメントを集約した集約データ13を出力する出力部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの端末から前記非スピーカーのコメントを取得する取得部と、
前記非スピーカーのコメントを集約した集約データを出力する出力部
を備える処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、複数のコメントを複数のクラスタに分割して、各クラスタに属するコメントのうち代表的なコメントを、前記集約データとして出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記非スピーカーのコメントのうち、前記集会のテーマに関連する用語を含むコメントを、重要データとして出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記スピーカーによる発言をテキスト変換した発言テキストを取得し、
前記出力部は、前記発言テキストおよびそのほかのコメントのそれぞれとの類似度が所定値以下のコメントを、前記重要データとして出力する
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記スピーカーによる発言をテキスト変換した発言テキストを取得し、
前記出力部は、前記コメントを、前記発言テキストと比較して出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記非スピーカーのコメントを、他の参加者に秘匿される方法で取得する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記スピーカーの現在の発言テキストとの関連度が所定値よりも高い集約データを、出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記集約データをロボットに出力させるコマンドを出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの端末から前記非スピーカーのコメントを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記非スピーカーのコメントを集約した集約データを出力するステップ
を備える処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会話の空気を考慮して、空間環境の制御を可能にする技術がある(特許文献1参照)。特許文献1は、会話における会話者の満足度と空間環境の関係をモデル化し、会話者の満足度を向上させるように空間環境を調節する。
【0003】
また主題に関する複数の発言を整理し、議論の進行を支援する技術がある(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公報WO2020/246600
【特許文献2】国際公報WO2020/032125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらいずれの文献も、会議、授業、イベント等の集会において、発言しない人に寄り添うものではなく、集会において、発言のない消極的な姿勢の参加者の考えまたは意見を取り出すことができていない。発言する人と発言しない人が生まれる集会において、発言しない人が取り残されることなく、各人の満足度を向上することが求められる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、会議、授業、イベント等の集会において、発言しない人に寄り添うことが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の処理装置は、集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの端末から前記非スピーカーのコメントを取得する取得部と、前記非スピーカーのコメントを集約した集約データを出力する出力部を備える。
【0008】
本発明の一態様の処理方法は、コンピュータが、集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの端末から前記非スピーカーのコメントを取得するステップと、前記コンピュータが、前記非スピーカーのコメントを集約した集約データを出力するステップを備える。
【0009】
本発明の一態様は、上記処理装置として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、集会において、発言しない人に寄り添うことが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る処理システムのシステム構成および処理装置の機能ブロックを説明する図である。
図2図2は、発言データのデータ構造の一例を説明する図である。
図3図3は、コメントデータのデータ構造の一例を説明する図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る処理システムの処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、処理装置に用いられるコンピュータのハードウエア構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0013】
(処理システム)
図1に示す処理システム5は、集会に参加する各参加者に寄り添い、各参加者の幸福度を向上することを可能にする。集会は、会議、授業、イベント等である。集会は、オフラインで開催されても良いし、オンラインで開催されても良い。オフライン集会において、各参加者は、現実に同じ空間で集会に参加する。オンライン集会において、各参加者は、各参加者が利用する端末を通信ネットワークで接続して、仮想的に同じ空間で参加する。
【0014】
集会の参加者は、発言するスピーカーと、発言しない非スピーカーに区分される。発言するスピーカーは、教師、講演者などに限らず、ディスカッションにおける発言者であってもよい。スピーカーおよび非スピーカーの区分は、その時々で異なっても良い。例えば、ディスカッションにおいて発言者が都度変わるので、ある時点におけるスピーカーが、他の時点における非スピーカーであっても良い。あるいは、所定時間以内に一度でも発言をした参加者をスピーカーとし、所定時間以内に発言をしない参加者を非スピーカーとしても良い。
【0015】
一般的な集会において、スピーカーは、発言により自身の意見を他の参加者に伝えることができるが、非スピーカーは、自身の意見を表現する機会がない。特に、参加人数が多い傾向があるオンラインミーティングでディスカッションする場合、参加者全員に平等に発言機会が与えられるのが理想的であっても、発言のタイミングをなかなか得られなかったり、大人数の前で発言するのに躊躇したりして、発言できない参加者もいる。
【0016】
そこで本発明の実施の形態にかかる処理システム5は、非スピーカーからコメントを取得して、非スピーカーのコメントを適切なタイミングに出力することにより、非スピーカーに寄り添う。集会において、一般的にスピーカーは、発言により幸福度が向上するが、処理システム5が非スピーカーの意見を出力することにより、非スピーカーも、幸福度が向上する。これにより処理システム5は、集会における参加者全員に満足感および充実感を与え、ウェルビーイング的な幸福度向上を実現する。
【0017】
図1に示すように処理システム5は、処理装置1、マイク2、非スピーカー端末3、ロボット4を備える。
【0018】
マイク2は、参加者の音声を収集する。マイク2が取得した音声は、処理装置1に入力される。マイク2は、各参加者によって装着されても良いし、集会の会場に設置されても良い。オンラインミーティングの場合など、マイク2は、各参加者の端末(図示せず)を介して、処理装置1に入力されても良い。
【0019】
非スピーカー端末3は、パソコン、スマートフォンなどであって、非スピーカーが利用するコンピュータである。非スピーカー端末3は、非スピーカーが入力したコメントを、通信ネットワークを介して処理装置1に入力する。
【0020】
ロボット4は、処理装置1のコマンドに従って、出力部22による処理結果を出力する。ロボット4は、所定のキャラクターの形状を有するなど、実体のあるロボットでも良いし、画面中に実装される仮想空間で活動するアバターであっても良い。ロボット4は、音声合成により、人が話すように音声で出力しても良いし、備えられた画面に表示をしても良い。ロボット4は、集会における進行係、司会者などの役割を担っても良い。
【0021】
処理装置1は、一般的なコンピュータである。処理装置1は、マイク2および非スピーカー端末3から取得したデータを処理して、ロボット4に発言させるコマンドを出力するなど、処理結果を出力する。
【0022】
図1に示すように処理装置1は、発言データ11、コメントデータ12、集約データ13および重要データ14の各データと、取得部21、出力部22、集約部23、抽出部24および調整部25の各機能を備える。各データは、メモリ902またはストレージ903等の記憶装置に記憶される。各機能は、CPU901に実装される。
【0023】
発言データ11は、集会中に公開される発言をテキスト化したデータである。発言データ11は、例えばマイク2が収集したスピーカーの発言をテキスト化したデータである。発言データ11は、集会中に公開されるホワイトボード、または画面などで掲載されるデータ、あるいは、ロボット4により出力されるデータなど、集会で共有される意見のデータを含んでも良い。発言データ11は、少なくとも、発言された時間と、その発言内容を示す発言テキストを対応づけるデータである。発言データ11は、図2に示すように、その発言をした参加者のIDを対応づけても良い。
【0024】
コメントデータ12は、非スピーカー端末3から送信された非スピーカーのコメントのデータである。コメントデータ12は、コメントの送信元の参加者のID、コメントが送信された時間およびコメントを対応づけるデータである。コメントデータ12は、参加者のIDの公開を許可するまたは許可しないなどのオプションの項目を設けても良い。オプションの項目に、非スピーカー端末3からコメントとともに指定されたオプション、または参加者が事前に指定したオプションが設定されても良い。
【0025】
集約データ13および重要データ14は、後述の出力部22によって、コメントデータ12から生成するデータである。集約データ13は、コメントデータ12における複数のコメントを集約したデータである。重要データ14は、コメントデータ12のコメントのうち特徴的なコメントのデータである。
【0026】
取得部21は、集会に参加するスピーカーと非スピーカーのうち、非スピーカーの非スピーカー端末3から非スピーカーのコメントを取得する。取得部21は、非スピーカー端末3から、コメントを取得すると、非スピーカー端末3に対応する参加者のID、コメントを取得した時間およびコメントを対応づけて、コメントデータ12に保存する。
【0027】
取得部21は、非スピーカーのコメントを、他の参加者に秘匿される方法で取得する。他の参加者に秘匿される方法は、電子メッセージ、メール、チャットなどの形式である。発言の機会をなかなか得られない参加者が躊躇なくコメントを処理装置1に送信し、自身の意見を吐露することができるので、非スピーカーの幸福度の向上が期待できる。また処理装置1は、より多くからの参加者の意見を集約したり、その意見から重要な意見を抽出したりして出力することが可能になる。また処理装置1が参加者の意見を集約したり、抽出したりする際、その意見の送信元の非スピーカーのIDを公開しないことにより、非スピーカーは、自身の意見に対する問い合わせを受けたり、自身の意見に対する意見を聞くことがないので、他の参加者に秘匿される方法でコメントを処理装置1に入力しやすくなる。
【0028】
取得部21は、さらに、スピーカーによる発言をテキスト変換した発言テキストを取得する。取得部21は、マイク2からスピーカーによる発言の音声データを取得すると、音声データを音声認識により、テキストに変換する。取得部21は、音声を取得したマイクの識別子、音声の声紋鑑定等から、発言した参加者のIDを特定しても良い。取得部21は、参加者のID、発言された時間および発言テキストを対応づけて、発言データ11に保存する。
【0029】
非スピーカー端末3から送信されるコメントに、コメントの公開を許可するまたは許可しない、コメントの送信元の参加者のIDの公開を許可するまたは許可しないなどのオプションが指定されても良い。取得部21は、非スピーカー端末3から入力したコメントを、コメントとともに指定されたオプション、または参加者が事前に指定したオプションも、コメントデータ12に保存しても良い。
【0030】
非スピーカー端末3から送信されるコメントを、コメントの公開を許可するまたは許可しない、コメントの送信元の参加者のIDの公開を許可するまたは許可しないなどのオプションでの指定に従って処理装置1が処理することにより、非スピーカーは、集会における意見の提示方法を非スピーカー自身が決定することができる。例えば、コメント公開と送信元の参加者のIDの公開を許可することにより、非スピーカーは、ロボット4にコメントを発表させ、ロボット4からの問い合わせを受け付けたり、他の参加者と個別に議論したりする機会を得ることができる。一方、コメントの公開を許可し送信元の参加者のIDの公開を許可しないことにより、非スピーカーは、ロボット4にコメントを発表させ、自身の意見に対する他の参加者の意見を聞いたり、意見の進行に貢献できたりすることができる。このように、多数が参加する集会、参加者自身の事情などで、参加者が発言しにくい状況においても、各参加者は、集会における意見の提示方法を指定して意見を処理装置1に伝えることができる。処理装置1は、より多くの参加者からの意見を収集することが可能になる。また非スピーカー端末3から送信されたコメントのうち、公開が許可されたコメントであって、ロボット4、ホワイトボード等によって公開されたコメントは、コメントデータ12から削除され、発言データ11に挿入されても良い。
【0031】
出力部22は、発言データ11およびコメントデータ12を処理して、その処理結果を出力する。本発明の実施の形態において出力部22は、ロボット4に出力させる内容、出力させるタイミング等を決定して、決定した内容およびタイミングを指定したコマンドを、ロボット4に出力する。
【0032】
出力部22は、集約部23、抽出部24および調整部25を備える。
【0033】
集約部23は、非スピーカーのコメントの多数派を象徴する集約データ13を生成する。集約部23は、所定の時間毎などの所定の条件を満たすタイミングで、集約データ13を生成する。
【0034】
集約部23は、非スピーカーのコメントを集約した集約データ13を出力する。集約部23は、複数のコメントを複数のクラスタに分割して、各クラスタに属するコメントのうち代表的なコメントを、集約データ13として出力する。
【0035】
集約部23は、複数のコメントを、その意味内容の類似性から、複数のクラスタに分割する。集約部23は、各クラスタに属するコメントから、代表的なコメントを抽出する。このとき集約部23は、各コメントを、集会における意見の重要性の観点から重み付けして、各クラスタに属する各コメントの重みを考慮して、代表的なコメントを抽出しても良い。また各クラスタを、集会における意見の重要性の観点から重み付けして、各クラスタの重みを考慮して、重みの高いクラスタから代表的なコメントを抽出しても良い。集約部23は、集会のテーマに関する用語を予め保持する。集約部23は、予め保持した用語あるいは予め保持した用語に類似または関連する用語を含むコメントを、重要性の高いコメントとして抽出することができる。代表的なコメントは、非スピーカー端末3から取得したコメントそのものでも良いし、複数のコメントを統合したコメントであっても良い。集約部23は、各クラスタの代表的なコメントを含む集約データ13を生成する。
【0036】
集約部23は、非スピーカーによるコメントから、意味内容毎に代表的なコメントを特定する集約データ13を出力する。集約データ13により、非スピーカーによるコメントの傾向を把握することが可能になる。
【0037】
集約部23は、代表的なコメントを特定するために用いられたクラスタに属するコメントの送信元の非スピーカーの人数も、集約データ13に出力しても良い。集約部23は、代表的なコメントを特定するために用いられたクラスタに属するコメントの送信元の非スピーカーのうち、非スピーカー端末3からコメントとともに指定されたオプション、または参加者が事前に指定したオプションで、「IDの公開を許可する」と設定された非スピーカーのIDも、集約データ13に出力しても良い。その場合出力部22は、集約データ13に含まれる非スピーカーのIDも、出力する。
【0038】
抽出部24は、非スピーカーのコメントのうち少数意見であっても、専門性が高いコメント、既出の意見とは切り口の異なるコメントなどの、特徴的なコメントを含む重要データ14を生成する。抽出部24は、所定の時間毎などの所定の条件を満たすタイミングで、重要データ14を生成する。
【0039】
抽出部24は、非スピーカーのコメントのうち、集会のテーマに関連する用語を含むコメントを、重要データ14として出力する。抽出部24は、集会のテーマに関する用語を予め保持する。抽出部24は、予め保持した用語あるいは予め保持した用語に類似または関連する用語を含むコメントを、専門性の高いコメントとして抽出することができる。
【0040】
さらに抽出部24は、発言テキストおよびそのほかのコメントのそれぞれとの類似度が所定値以下のコメントを、重要データ14として出力しても良い。抽出部24は、コメントデータ12の各コメントについて、発言データ11の各発言テキストと、コメントデータ12との各コメントとの類似度を算出する。抽出部24は、算出された各類似度の平均など、算出された各類似度と正の相関を持つ評価値を算出し、算出された評価値が所定の閾値以下のコメントを特定する。特定されたコメントは、既存の意見とは類似度が低いので、既出の意見とは切り口の異なる意見と考えられる。重要データ14により、少数意見であっても有益なコメントを把握することができる。
【0041】
抽出部24は、抽出されたコメントについて、コメントの送信元の非スピーカー端末3からコメントとともに指定されたオプション、または参加者が事前に指定したオプションが「IDの公開を許可する」と設定される場合、送信元の非スピーカーのIDも、重要データ14に出力しても良い。その場合出力部22は、重要データ14に含まれる非スピーカーのIDも、出力する。
【0042】
調整部25は、集会における発言の状況から、集約データ13または重要データ14を出力するタイミングを調整する。集約データ13または重要データ14が生成されたタイミングによって、集会における発話の内容が、集約データ13または重要データ14と異なる場合がある。
【0043】
そこで調整部25は、例えば、スピーカーの現在の発言テキストとの関連度が所定値よりも高い集約データ13または重要データ14を、出力する。より具体的には調整部25は、関連度が所定値よりも高い集約データ13または重要データ14をロボット4に入力し、各データを出力するコマンドをロボット4に入力する。このとき調整部25は、コマンドで、音声合成、画面表示などの出力手段を指定しても良い。
【0044】
調整部25は、現在を含む所定時間におけるスピーカーの発言テキストと、既に生成した集約データ13または重要データ14との関連度を算出する。調整部25は、関連度が所定の閾値よりも高い集約データ13または重要データ14を出力する。関連度が所定の閾値よりも高い集約データ13または重要データ14のボリュームが所定の閾値よりも多い場合、調整部25は、関連度が高い順に所定数の集約データ13または重要データ14を出力しても良い。調整部25が出力する集約データ13または重要データ14を出力するボリュームの閾値は、ディスカッションが停滞している状況、ディスカッションをまとめる状況など、集会における進行によって変更しても良い。
【0045】
現在の発言テキストと、直近で生成された集約データ13または重要データ14の関連度が高い場合、調整部25は、現在進行中の話題について、非スピーカーから送信されたコメントを出力することができる。また現在の発言テキストと、直近で生成された集約データ13または重要データ14の関連度が低い場合、集約データまたは重要データ14を生成する間に集会における話題が変更したと考えられる。この場合、調整部25は、変更後の現在の話題と、以前に生成された集約データ13または重要データ14との関連度が高い場合、その関連度の高い集約データ13または重要データ14を出力しても良い。この際、「以前出されたコメントとして」などと、過去に取得したコメントであることが明示されても良い。
【0046】
また調整部25は、ロボット4に音声合成で出力する場合、スピーカーによる発言が途絶えたタイミング、司会者から促されたタイミングなど、スピーカーの発言に支障のないタイミングに出力しても良い。
【0047】
なお、出力部22は、集約データ13または重要データ14以外にも、発言データ11またはコメントデータ12から生成される各種データを出力しても良い。例えば出力部22は、コメントを、発言テキストと比較して出力しても良い。出力部22は、所定時間おきなど、所定条件を満たすタイミングで、所定時間内に取得したコメントから取得した集約データ13と、代表的な発言テキストとをグラフなどで比較して出力しても良い。代表的な発言テキストは、集約データ13と同様に、複数の発言テキストを複数のクラスタに分割して、各クラスタに属する発言テキストから生成されても良い。
【0048】
出力部22は、集約部23により生成された集約データ13または抽出部24により生成された重要データ14を、調整部25が指定したタイミングで、ロボット4に出力させるコマンドを出力しても良い。コマンドは、集約データ13または重要データ14等の内容と、今すぐ、司会者から促されたタイミングなどの出力タイミングを含む。ロボット4は、出力部22から入力されたコマンドに従って、集約データ13または重要データ14等を出力する。
【0049】
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る処理方法を説明する。
【0050】
ステップS1において処理装置1は、スピーカーの発言を検知すると、発言をテキストデータに変換して、発言データ11に記憶する。ステップS2において処理装置1は、非スピーカー端末3からコメントを受信すると、コメントデータ12に記憶する。
【0051】
ステップS3において処理装置1は、ステップS2で受信したコメントの代表的なコメントを集約データ13として特定する。ステップS4において処理装置1は、ステップS2で受信したコメントのうち重要度の高いコメントを重要データ14として特定する。
【0052】
ステップS5ないしステップS8において、現在進行中の集会におけるスピーカーの発言との類似度に応じて、集約データ13または重要データ14を出力する。
【0053】
例えばステップS5において処理装置1は、現在の発言と、集約データ13との類似度が所定値以上であるか否かを判定する。所定値以上の場合、処理装置1は、ステップS6において集約データ13を出力する。所定値以上でない場合、ステップS7において処理装置1は、現在の発言と、重要データ14との類似度が所定値以上であるか否かを判定する。所定値以上の場合、処理装置1は、ステップS8において重要データ14を出力する。
【0054】
ステップS1ないしステップS8の処理は、集会が終了するまで逐次繰り返される。
【0055】
なお、図4に示す処理の順序は一例であって、これに限るものではない。例えば、ステップS3とステップS4の処理の順序は、逆になっても良いし、平行して実行されても良い。
【0056】
このような本発明の実施の形態に係る処理システム5によれば、発言をしない非スピーカーから入力されたコメントが、処理装置1またはロボット4から出力される。なかなか発言機会を得られないまたは発言を躊躇する参加者でも、意見を吐き出す機会を得られるので、各参加者の幸福度の向上が期待できる。
【0057】
処理システム5は、参加者に代わって、処理装置またはロボット4がコメントを披露する。参加者自身がコメントを披露する場合と比べて、参加者は、コメント主であることを明示しないので、意見を披露する障壁が下がる。これにより処理システム5は、広い参加者のコメントを収集することが可能になる。
【0058】
上記説明した本実施形態の処理装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムが用いられる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたプログラムを実行することにより、処理装置1の各機能が実現される。
【0059】
なお、処理装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また処理装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
【0060】
処理装置1のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 処理装置
2 マイク
3 非スピーカー端末
4 ロボット
5 処理システム
11 発言データ
12 コメントデータ
13 集約データ
14 重要データ
21 取得部
22 出力部
23 集約部
24 抽出部
25 調整部
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5