(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127794
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法
(51)【国際特許分類】
A01H 1/00 20060101AFI20230907BHJP
A01H 6/46 20180101ALI20230907BHJP
A01H 6/54 20180101ALI20230907BHJP
A01H 6/82 20180101ALI20230907BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230907BHJP
A01H 6/74 20180101ALI20230907BHJP
C12N 15/87 20060101ALI20230907BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
A01H1/00 A ZNA
A01H6/46
A01H6/54
A01H6/82
C12N15/09 100
A01H6/74
C12N15/87 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031698
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】柳楽 洋三
(72)【発明者】
【氏名】濱田 晴康
(72)【発明者】
【氏名】三木 隆二
(72)【発明者】
【氏名】吉積 毅
(72)【発明者】
【氏名】木村 光宏
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD07
2B030CA16
2B030CB01
2B030CG05
(57)【要約】
【課題】短期間で効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することのできる、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法並びに植物の作製方法を提供すること。
【解決手段】ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物の改変方法、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物のゲノム編集方法、及びミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程と、前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含むことを特徴とする植物の作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物の改変方法。
【請求項2】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、請求項1に記載の植物の改変方法。
【請求項3】
前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の植物の改変方法。
【請求項4】
前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程を含む、請求項1から3のいずれかに記載の植物の改変方法。
【請求項5】
ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物のゲノム編集方法。
【請求項6】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、請求項5に記載の植物のゲノム編集方法。
【請求項7】
前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、請求項5又は6に記載の植物のゲノム編集方法。
【請求項8】
前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程を含む、請求項5から7のいずれかに記載の植物のゲノム編集方法。
【請求項9】
ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程と、
前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含むことを特徴とする植物の作製方法。
【請求項10】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、請求項9に記載の植物の作製方法。
【請求項11】
前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、請求項9又は10に記載の植物の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞小器官であるミトコンドリアは、核と相互に情報交換することにより細胞の恒常性維持に寄与している。植物において、ミトコンドリアと核が拒絶しあうと花粉が不稔化する現象が知られており、これを細胞質雄性不稔(Cytoplasmic male sterility:CMS)という。
前記現象は、作物の高収量化をもたらすF1ハイブリッド育種に応用されており、主要穀物でCMS系統が作出されている。CMS形質は、ミトコンドリアゲノムに存在する機能未知遺伝子に起因し、イネやコムギでは古典的交配による細胞質置換法により導入される。
【0003】
しかしながら、細胞質置換系統の作出には連続交配を要し、8年前後を必要とすることから、汎用的な遺伝子組換え技術によるCMS形質導入法、すなわちミトコンドリア遺伝子改変法の開発が必要とされている。
【0004】
ミトコンドリア遺伝子改変法を確立する為には、1.DNA断片の細胞導入効率、2.DNA断片のミトコンドリア輸送効率、3.ミトコンドリアゲノム標的部位へのDNA導入効率、の3点が解決すべき課題となるが、これらの課題を解決した技術は今のところ報告されていない。
【0005】
これまでに、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドを用いた、ミトコンドリア遺伝子改変法が報告されているが(特許文献1、非特許文献1)、これらの方法では、DNA断片を、直接浸透法、又は真空及び圧縮処理により、細胞へ導入しており、DNA断片の細胞導入効率が十分ではない。
したがって、短期間で効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することのできる、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/129698号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Biomacromolecules 2018:1582-1591
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、短期間で効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することのできる、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物の改変方法、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物のゲノム編集方法、又はミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程と、前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含むことを特徴とする植物の作製方法により、短期間で効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することのできる、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法が提供できることを知見した。
【0010】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下のとおりである。即ち、
<1> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物の改変方法である。
<2> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物のゲノム編集方法である。
<3> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程と、前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含むことを特徴とする植物の作製方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、短期間で効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することのできる、植物の改変方法及び植物のゲノム編集方法、並びに植物の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、プラスミドDNA pPrrn18::Nlucのコンストラクトを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、プラスミドDNA pPrrn18::sfGFP::Tcox2のコンストラクトを示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1における、ルシフェラーゼ活性測定結果を示す図(箱ひげ図)である。
【
図3A】
図3Aは、実施例2における、ミトコンドリア局在観察結果(GFP蛍光像)を示す写真である。
【
図3B】
図3Bは、実施例2における、ミトコンドリア局在観察結果(Mitotracker染色像)を示す写真である。
【
図4】
図4は、実施例3における、コムギミトコンドリアATP9標的配列を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例3における、伸長反応後のロングオリゴの電気泳動結果を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例3における、Knock-in後のゲノム配列を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例3における、ゲノムPCRの条件検討結果を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例3における、ゲノムPCR結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(植物の改変方法)
前記植物の改変方法は、相互作用工程と、被覆工程と、撃ち込み工程と、を含み、さらにその他の工程を含むことができる。
【0014】
<相互作用工程>
前記相互作用は、核酸と、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと、を相互作用させる工程である。
【0015】
-核酸-
前記核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DNA、RNAなどが挙げられる。
【0016】
前記核酸は、ミトコンドリアに輸送させる核酸であり、ミトコンドリアに輸送させることを目的とする遺伝子(目的配列)などを含むことができる。
前記核酸は、ゲノム編集手段であってもよい。
【0017】
前記ミトコンドリアに輸送させることを目的とする遺伝子(目的配列)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、雄性不稔に関連する遺伝子、又はその断片などが挙げられる。
【0018】
前記核酸は、ベクターに組み込まれたものを使用することができる。
【0019】
前記ベクターの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、環状プラスミド、線状プラスミド、プラスミドを制限酵素等で切断した線状DNA、導入するDNA断片のみを切り出した核酸カセット断片、カセット断片の一方もしくは両方の端に0.8kb以上、1.2kb以下の核酸が付加されたDNA断片、コスミド、人工染色体、などが挙げられる。
【0020】
前記DNA断片は、PCRによって増幅されたDNA断片であってもよい。この場合、付加される核酸としては、特に制限されず、ベクター由来の配列であってもよいが、導入の標的部位の配列が好ましい。
【0021】
前記カセット断片の端に付加される核酸の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5kb以上が好ましく、0.8kb以上がより好ましく、1.0kb以上がさらに好ましい。
前記カセット断片の端に付加される核酸の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0kb以下が好ましく、2.0kb以下がより好ましく、1.5kb以下がさらに好ましい。
【0022】
前記ベクターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pAL51、pAL156等のpAL系、pUC18、pUC19、pUC9等のpUC系、pBI121、pBI101、pBI221、pBI2113、pBI101.2等のpBI系、pPZP系、pSMA系、pLGV23Neo、pNCAT等の中間ベクター系、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、インゲンマメモザイクウイルス(BGMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)などが挙げられる。
【0023】
前記ベクターに目的配列を挿入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製された核酸を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトなどに挿入してベクターに連結する方法などが挙げられる。
また、二重交叉組換え(double cross-over)により中間ベクターに目的配列を挿入してもよく、TAクローニング、In-Fusionクローニングなどを用いてもよい。
【0024】
前記ベクターには、さらに、プロモーター、エンハンサー、インシュレーター、イントロン、ターミネーター、ポリA付加シグナル、選抜マーカー遺伝子などを連結することができる。
【0025】
前記プロモーターとしては、植物体内、又は植物細胞において機能し、構成的に発現するか、植物の特定の組織内あるいは特定の発育段階において発現を導くことのできるDNAであれば、植物由来のものでなくてもよい。
【0026】
前記プロモーターの具体例としては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、El2―35Sオメガプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来ユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来PRタンパク質プロモーター、ADHプロモーター、RuBiscoプロモーターなどが挙げられる。
【0027】
翻訳活性を高める配列、例えば、タバコモザイクウイルスのオメガ配列を用いて翻訳効率を上げることができる。
翻訳開始領域としてIRES(internal ribosomal entry site)をプロモーターの3’-下流側で、翻訳開始コドンの5’-上流側に挿入することで複数のコーディング領域からタンパク質を翻訳させることもできる。
【0028】
前記ターミネーターとしては、前記プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結でき、ポリA付加シグナルを有する配列であればよく、例えば、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子のターミネーター、オクトピン合成酵素(OCS)遺伝子のターミネーター、CaMV 35S ターミネーター、シクロオキシゲナーゼ2(cox2)遺伝子のターミネーターなどが挙げられる。
【0029】
前記選抜マーカー遺伝子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビアラホス耐性遺伝子、グリフォセート耐性遺伝子(EPSPS)、スルホニル尿素系耐性遺伝子(ALS)等の除草剤耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子、蛍光、又はルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニターゼ(GUS)、グリーンフルオレッセンスプロテイン(GFP)等の発光レポーター遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPT II)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ等の酵素遺伝子などが挙げられる。
ただし、本発明によれば選抜マーカー遺伝子を導入しなくても形質転換体の作製は可能である。
【0030】
--ゲノム編集手段--
前記ゲノム編集手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガイドRNA、ガイドRNAをコードする核酸、核酸代謝酵素をコードする核酸、遺伝子結合タンパク質をコードする核酸などが挙げられる。
【0031】
前記ガイドRNAの長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15ヌクレオチド以上が好ましく、16ヌクレオチド以上がより好ましく、17ヌクレオチド以上がさらに好ましく、18ヌクレオチド以上がよりさらに好ましく、19ヌクレオチド以上が特に好ましく、20ヌクレオチド以上が最も好ましい。
前記ガイドRNAの長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30ヌクレオチド以下が好ましく、25ヌクレオチド以下がより好ましく、22ヌクレオチド以下がさらに好ましく、20ヌクレオチド以下が特に好ましい。
前記ガイドRNAは、tracr配列に融合しているガイド配列を含んでいてもよい。
【0032】
前記核酸代謝酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ヌクレアーゼ、又はデアミナーゼなどが挙げられる。
【0033】
前記ヌクレアーゼとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、CRISPR-CASシステムのCASヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ活性を発現するタンパク質、TAL effector nuclease(TALEN)、TARGET AID、メガヌクレアーゼなどが挙げられる。
前記ヌクレアーゼは、由来する生物種が異なるものであってもよく、例えば、動物、植物、微生物、ウイルスなどの遺伝子や、人工合成遺伝子を用いることができる。
【0034】
前記CASヌクレアーゼとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、I型CRISPR系酵素、II型CRISPR系酵素、III型CRISPR系酵素などが挙げられるが、II型CRISPR系酵素であるCas9が好ましい。
前記CASヌクレアーゼは、真核細胞中の発現のためにコドン最適化されていてもよい。前記CASヌクレアーゼは、標的配列の局在における1つ、又は2つの鎖の開裂を指向し得る。
【0035】
前記Cas9としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)のCas9、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のCas9、S.サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)のCas9、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCas9などが挙げられるが、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のCas9が好ましい。また、これらの生物に由来する突然変異Cas9であってもよく、ニッカーゼ(一方のDNA鎖のみにnickを入れるDNA切断酵素)として機能することが知られているCas9のD10A変異体であってもよく、Cas9ホモログ、又はオルソログであってもよい。
【0036】
前記デアミナーゼとしては、脱アミノ化酵素活性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、CRISPR-CASシステムから、ヌクレアーゼ活性を除去したものに付加して使用することができる。
【0037】
前記ガイドRNAをコードする核酸、前記核酸代謝酵素をコードする核酸、前記遺伝子結合タンパク質をコードする核酸は、ベクターに組み込まれたものを使用することができる。
前記ベクターは、前述のとおりである。
【0038】
-ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチド-
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドは、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含み、さらに、その他の配列を含むことができる。
【0039】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミトコンドリアマトリックス標的シグナルペプチド(Biochemical and Biophysical Research Communications 1996 226:561-565)、SS01、SS02、SS31、SS20等のミトコンドリア内膜標的シグナルペプチド(The AAPS Journal 2006 8:E277-E283)、Cytochrome c oxidase subunit IVなどが挙げられる。
これらの中でも、Cytochrome c oxidase subunit IVが好ましく、酵母由来のCytochrome c oxidase subunit IVがより好ましい。
【0040】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、MLSLRQSIRFFK(配列番号1)などが挙げられる。
【0041】
前記その他の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカチオン配列などが挙げられる。
前記ポリカチオン配列は、核酸結合能を有する。
【0042】
前記ポリカチオン配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正に荷電したアミノ酸残基(カチオン性アミノ酸残基)の、リシン(K)、アルギニン(R)及びヒスチジン(H)から選ばれる少なくとも3個のアミノ酸残基を有する配列などが挙げられる。
前記ポリカチオン配列は、前記リシン、アルギニン及びヒスチジンのほかに、その全体的な性質が十分にカチオン性を保持して生理学的条件下で核酸と安定した結合を形成するという条件で、中性アミノ酸を含むこともできる。
【0043】
前記ポリカチオン配列の長さ(アミノ酸残基)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5以上100以下が好ましく、5以上50以下がより好ましく、7以上20以下がさらに好ましい。
【0044】
前記ポリカチオン配列の具体例としては、リシン(K)の連続配列、アルギニン(R)の連続配列、ヒスチジン(H)の連続配列、リシン(K)とヒスチジン(H)の繰り返し連続配列などが挙げられる。
前記連続配列の連続数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上20以下が好ましく、5以上15以下がより好ましく、7以上12以下がさらに好ましい。
これらの中でも、KHKHKHKHKHKHKHKHKH(配列番号2)、又はRRRRRR(配列番号3)が好ましく、KHKHKHKHKHKHKHKHKH(配列番号2)がより好ましい。
【0045】
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、前記ミトコンドリア輸送シグナル配列と前記ポリカチオン配列を含む場合における、前記ミトコンドリア輸送シグナル配列と前記ポリカチオン配列の前記ペプチドの1次構造における相対位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ペプチドのN末側に前記ミトコンドリア輸送シグナル配列が位置し、前記ペプチドのC末側に前記ポリカチオン配列が位置することが好ましい。
【0046】
-相互作用-
前記相互作用としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファンデルワールス力などの分子間力結合、水素結合、共有結合、イオン結合等の化学結合などによる、前記核酸と前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドとの結合が挙げられる。
これらの中でも、イオン結合が好ましい。
前記相互作用により、前記核酸と前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドとは、複合体を形成することができる。
【0047】
前記相互作用の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記核酸と前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドとを混合及び静置する方法などが挙げられる。
【0048】
前記混合及び静置の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃以上40℃以下が好ましく、5℃以上35℃以下がより好ましく、10℃以上30℃以下がさらに好ましい。
【0049】
相互作用させる核酸溶液の濃度(相互作用前)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mg/mL以上100mg/mL以下が好ましく、0.1mg/mL以上10mg/mL以下がより好ましく、0.1mg/mL以上5mg/mL以下がさらに好ましく、0.5mg/mL以上2.5mg/mL以下が特に好ましい。
前記核酸溶液の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、滅菌した超純水やTEバッファーなどが挙げられる。
【0050】
相互作用させるミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチド溶液の濃度(相互作用前)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mg/mL以上100mg/mL以下が好ましく、0.1mg/mL以上10mg/mL以下がより好ましく、0.1mg/mL以上5mg/mL以下がさらに好ましく、0.5mg/mL以上2.5mg/mL以下が特に好ましい。
前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチド溶液の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、滅菌した超純水などが挙げられる。
【0051】
前記相互作用させるときの、前記核酸溶液と前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチド溶液との体積比(前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチド溶液の体積:前記核酸溶液の体積)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:9~9:1が好ましく、1:5~1:1がより好ましく、1:4~1:2がさらに好ましい。
【0052】
<被覆工程>
前記被覆工程は、微粒子を、前記ペプチドと相互作用させた核酸で被覆する工程である。
【0053】
-微粒子-
前記微粒子(マイクロキャリア)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、撃ち込み時における細胞内への貫通力を高める点から、高比重で、かつ、化学的に不活性であり生体に害を及ぼしにくいものが好ましく、例えば、金属微粒子、セラミック微粒子、ガラス微粒子などが挙げられる。
前記金属微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、金属単体微粒子、合金微粒子などが挙げられる。
前記金属単体微粒子としては、金粒子、タングステン粒子などが好ましい。
【0054】
前記微粒子の平均粒径の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましく、0.6μmが特に好ましい。
前記微粒子の平均粒径の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.0μm以下が好ましく、1.4μm以下がより好ましく、1.3μm以下がさらに好ましく、1.2μm以下がよりさらに好ましく、1.1μm以下が特に好ましく、1.0μm以下が最も好ましい。
【0055】
前記平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、個数平均粒径などが挙げられる。
【0056】
前記微粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、立方体、ロッド状、板状などが挙げられるが、これらの中でも球形が好ましい。
【0057】
-被覆-
前記被覆の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記微粒子を、洗浄滅菌し、該微粒子、前記ペプチドと相互作用させた核酸、CaCl2、スペルミジン等をボルテックスミキサーなどで攪拌しながら加えて、前記ペプチドと相互作用させた核酸を微粒子にコーティング(被覆)し、エタノール、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBSなど)で洗浄する方法などが挙げられる。
前記被覆において、さらに、タンパク質をコーティング(被覆)することができる。
【0058】
前記ペプチドと相互作用させた核酸の前記微粒子に対する被覆量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6mgの微粒子に対して、0.1μg以上100μg以下の核酸に相当する量が好ましく、1μg以上10μg以下の核酸に相当する量がより好ましく、4μg以上6μg以下の核酸に相当する量がさらに好ましい。
【0059】
前記微粒子は、ピペットマンなどを用いてマクロキャリアフィルムに可能な限り均一に塗布した後、クリーンベンチなどの無菌環境中で乾燥させることができる。
タンパク質をコートした微粒子の場合は、親水性のマクロキャリアフィルムを用いることが好ましい。
【0060】
前記親水性のマクロキャリアフィルムは、マクロキャリアフィルムに親水性フィルムを貼付してもよいし、親水性コーティングを施してもよい。
フィルムを親水化する手法としては、界面活性剤や光触媒、親水性ポリマーを利用する手法などが挙げられる。
【0061】
前記親水性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、グルコキシオキシエチルメタクリレート、3-スルホプロピルメタクリルオキシエチルジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、1-カルボキシジメチルメタクリロイルオキシエチルメタンアンモニウム等の親水性モノマーの重合体などが挙げられる。
【0062】
前記微粒子の被覆率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記微粒子の全表面であってもよいし、一部であってもよい。
【0063】
<撃ち込み工程>
前記撃ち込み工程は、被覆された微粒子を植物に撃ち込む工程である。
【0064】
-植物-
前記植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、トウガラシ、タバコ等のナス科植物、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ペレニアルライグラス、イタリアンライグラス、メドウフェスク、トールフェスク、オーチャードグラス、チモシー等のイネ科植物、シロイヌナズナ、アブラナ、ハクサイ、キャベツ、ダイコン、ナタネ、ハナナ等の、アブラナ科植物、ダイズ、アズキ、インゲン、ソラマメ等のマメ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ等のウリ科植物、サツマイモ等のヒルガオ科植物、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、アスパラガス等のユリ科植物、シソ等のシソ科植物、キク、シュンギク、レタス等のキク科植物、リンゴ、バラ、イチゴ等のバラ科植物、ミカン、サンショウ等のミカン科植物、ユーカリ等のフトモモ科植物、ポプラ等のヤナギ科植物、ホウレンソウ、テンサイ等のアカザ科植物、リンドウ等のリンドウ科植物、カーネーション等のナデシコ科植物などが挙げられる。
【0065】
-撃ち込み-
前記撃ち込みの方法としては、特に制限はなく、公知の遺伝子工学的手法を用いることができ、例えば、種子胚の子葉、茎頂、又は表皮細胞を標的に、アグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、PEG-リン酸カルシウム法、リポソーム法、マイクロインジェクション法、ウィスカー法、プラズマ法、レーザーインジェクション法などにより、撃ち込むことができる。
【0066】
前記撃ち込みの手段としては、前記微粒子を植物細胞に撃ち込むことができるものであれば特に制限はなく、パーティクルガン法におけるパーティクルガン(遺伝子銃)などが挙げられる。植物体への導入効率から、パーティクルガン法を用いて導入する方法が好ましい。パーティクルガン法は、単子葉植物のようにアグロバクテリウムの感染効率が低い場合に有効である。
【0067】
前記パーティクルガン法を用いた方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記微粒子が塗布されたマクロキャリアフィルム、ターゲットを置床したプレートをパーティクルガン装置に設置し、ガス加速管から高圧ガスをマクロキャリアフィルムに向かって発射する方法が挙げられる。マクロキャリアフィルムはストッピングプレートで止まるが、マクロキャリアフィルムに塗布されていた微粒子はストッピングプレートを通過して、ストッピングプレートの下に設置したターゲットに貫入する。
【0068】
前記高圧ガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘリウムなどが挙げられる。
【0069】
前記パーティクルガン装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Biolistic(登録商標) PDS-1000/He Particle Delivery System(BIO-RAD)、パーティクルインフローガン(Plant Cell Reports, 1992 11:323-328)などが挙げられる。
【0070】
前記PDS-1000では、Gas Acceleration tubeにガスを流し込み、一定の圧力(1100~1600psi)になるとラプチャーディスクが割れ、流れ出たガスにより微粒子を塗布したマクロキャリアフィルムをストッピングプレートに押し当て、微粒子が試料に撃ち込まれる。よって、ガスは試料に直接当たらない。
前記パーティクルインフローガンでは、ガスボンベに取り付けた圧力調節器により一定の圧力のガスを噴出し、電磁弁により噴出時間を調節して、シリンジホルダー内にガスを噴射し、ホルダーに付着させた金粒子を試料に直接撃ち込む。よって、ガスは金粒子とともに試料に当たる。噴出ガス圧力としては、例えば、0.2MPaが挙げられ、電磁弁により調整されたガス噴出時間としては、例えば、0.05秒が挙げられる。
【0071】
前記ストッピングプレートとターゲットとの距離の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2cm以上が好ましく、3cm以上がより好ましく、4cm以上がさらに好ましい。
前記ストッピングプレートとターゲットとの距離の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、9cm以下が好ましく、8cm以下がより好ましく、7cm以下がさらに好ましく、6cm以下が特に好ましい。
【0072】
前記パーティクルガン装置のガス圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,100~1,600psiが好ましく、1,200~1,500psiがより好ましい。
【0073】
前記微粒子を撃ち込む回数の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2回以上が好ましく、3回以上がより好ましく、4回以上がさらに好ましい。
前記微粒子を撃ち込む回数の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20回以下が好ましく、15回以下がより好ましく、10回以下がさらに好ましい。
【0074】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、被覆された微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程、などが挙げられる。
【0075】
-被覆された微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程-
前記生育方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、撃ち込み処理した植物を寒天培地上で1ヶ月程度生育させた後、土へ移植する方法が挙げられる。
茎頂への撃ち込みの場合、薬剤などによる選択圧をかけずに(抗生物質、植物ホルモンなどを含まない)通常の培地で生育させることによっても形質転換体を得ることができるが、薬剤耐性遺伝子をさらに導入してもよい。
薬剤耐性遺伝子を同時に導入することで個体を選択することもできる。薬剤耐性遺伝子を導入した場合は、薬剤により形質転換細胞を選択的に培養することができる。
【0076】
(植物のゲノム編集方法)
前記植物のゲノム編集方法は、相互作用工程と、被覆工程と、撃ち込み工程と、を含み、さらにその他の工程を含むことができる。
前記相互作用工程、前記被覆工程、前記撃ち込み工程、及び前記その他の工程は、前述のとおりである。
【0077】
(植物の作製方法)
前記植物の作製方法は、相互作用工程と、被覆工程と、撃ち込み工程と、被覆された微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含み、さらにその他の工程を含むことができる。
前記相互作用工程、前記被覆工程、前記撃ち込み工程、前記被覆された微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程、及び前記その他の工程は、前述のとおりである。
【実施例0078】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】
<実施例1:ハナナの改変方法>
(1) 植物材料及び生育条件
ハナナ種子(Brassica campestris、品種名 京都伏見寒咲花菜、タキイ種苗、日本)は、70%エタノールで1分間、20%ブリーチ(次亜塩素酸ナトリウム6%溶液)で15分間、滅菌処理を行い、滅菌水で3回リンスした。
前記滅菌種子を発芽用培地に置床し、30℃、7日間、連続光で生育させた。
前記発芽用培地は、1Lの超純水に、2.3g/L ムラシゲ・スクーグ培養用混合塩類(富士フイルム和光純薬、日本)及び10g/L ショ糖、2.5g/L Phytagel(メルク、ドイツ)を添加し、pH5.8に調整した後、オートクレーブにより121℃、20分間滅菌処理を行い、9cm滅菌シャーレに注いで固めたものを使用した。
【0080】
(2) プラスミドDNA作製
プラスミドDNA pPrrn18::Nluc(
図1A)は、pGWT35S(Biotechniques 2018 64:153-161)にGatewayクローニング法(サーモフィッシャー、アメリカ)によりNlucを挿入したプラスミド(Plant Biotechnol. 2019 36:49-52)のCaMV 35Sプロモーター配列をSacI-KpnIにより切り出し、タバコrrn18遺伝子のプロモーター領域をPCR法により増幅してSacI-KpnI部位に導入することにより作製した。
【0081】
前記タバコrrn18遺伝子のプロモーター領域は、タバコの全ゲノムをテンプレートにして、SacI-rrn18 prom F(配列番号4)及びKpnI-rrn18 prom R(配列番号5)の両プライマーを用いてPCR法により増幅した。
前記タバコの全ゲノムは、核、葉緑体、ミトコンドリアゲノムの混合物であり、CTAB法(Murray and Thompson, Nucleic Acids Research, 1980 8:4321-5)により抽出した。
【0082】
(3) ペプチド-DNA複合体作製
ペプチド-DNA複合体は、Biomacromolecules, 2013 14:10-16)に記載の方法に従い、以下のとおり作製した。
ミトコンドリア移行シグナル配列とポリカチオン配列とを有するペプチド cytocox-KH(MLSLRQSIRFFKKHKHKHKHKHKHKHKHKH 配列番号6、Biomacromolecules, 2018 19:1582-1591)と前記プラスミドDNA pPrrn18::Nlucは、それぞれ、1mg/mLの水溶液に調整し、1ショットにつき、2μLのペプチド溶液と6μLのDNA溶液を、プラスチックチューブ内にて、ペプチド:DNA=1:3(体積比)で混合し、室温で20分間静置した。
【0083】
(4) パーティクルボンバード法による植物細胞へのペプチド-DNA複合体導入
直径0.3~2.0μmの金粒子(田中貴金属、日本)は、70%エタノールで60mg/mLに調整し、1ショットにつき、0.6mgの金粒子と5μgのDNAに相当する複合体溶液を混合した。
10μLの2.5M 塩化カルシウム溶液と4μLの0.1M スペルミジンをボルテックスしながら添加し、室温で60分間放置した。2000×gで5秒間遠心分離し、上清を捨て、70%エタノールでリンスした。15μLの100%エタノールを添加し、数秒間、ソニケーションを行った。
【0084】
パーティクルボンバードメント法に用いる装置はパーティクルインフローガンを用いた(Plant Cell Reports, 1992 11:323-328)。
シリンジホルダーにペプチド-DNA複合体を付着させた金粒子を添加して乾燥させ、真空容器内に接続した。0.8%アガロース培地上に置床した播種後7日目のハナナ子葉(1ショットで8枚の子葉に撃ち込んだ:子葉2枚を1サンプルとし、合計40サンプルとした)、を真空容器内に移し、シリンジホルダーと試料の距離を12.5cmとし、真空状態で窒素ガスによる金粒子の撃ち込みを行った(噴出ガス圧0.2MPa、噴射時間0.05秒)。撃ち込んだ前記ハナナ子葉は上記ハナナ滅菌種子の発芽に用いた培地に移植した。
【0085】
(5) ルシフェラーゼ活性測定
pPrrn18::Nlucを導入した前記ハナナ子葉は、30℃、暗所に置いて1日後、子葉2枚当たり200μLのタンパク質抽出バッファー(0.1M リン酸カリウム、2mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、5%グリセロール、20mM ジチオトレイトール、pH7.8、Plant Biotechnol. 1998 15:217-220)を加え、シェイクマスターオート(バイオメディカルサイエンス、日本)により子葉をビーズ破砕した。20000×gで10分間、4℃で遠心分離し、上清をサンプルとして用いた。
【0086】
ルシフェラーゼ活性は、Nano-Glo Luciferase Assay System(プロメガ、アメリカ)を用いて測定した。
タンパク質量はXL-Bradford(アプロサイエンス、日本)を用いて595nmで測定した。
測定結果(RLU mg protein:箱ひげ図)を
図2(右)に示した。
図2の*は、ウィルコクソン検定におけるP<0.05を表し、**は、P<0.01を表す。
箱ひげ図の箱中の仕切りは、中央値を示す。
【0087】
<比較例1:ハナナの改変方法>
ペプチド-DNA複合体作製において、ミトコンドリア移行シグナル配列とポリカチオン配列とを有するペプチド cytocox-KHを使用しなかった以外は実施例1と同様にしてルシフェラーゼ活性を測定し、測定結果を
図2(中央)に示した。
【0088】
<比較例2:ハナナの改変方法>
ペプチド-DNA複合体作製において、プラスミドDNA pPrrn18::Nlucを使用しなかった以外は実施例1と同様にしてルシフェラーゼ活性を測定し、測定結果を
図2(左)に示した。
【0089】
複合体を導入した実施例1のサンプル(RLU mg protein:26238.21±11188.06(平均値±標準誤差))はDNAのみを導入した比較例1のサンプル(RLU mg protein:2343.44±1508.03(平均値±標準誤差))に比べて約11倍、遺伝子導入効率が向上した。また、ペプチドのみを導入した比較例2のサンプル(RLU mg protein:90.73±7.02(平均値±標準誤差))ではルシフェラーゼ活性は確認されなかった。
以上から、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆された微粒子を植物に撃ち込む工程を含む方法を採用することにより、効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することができることが示された。
【0090】
<実施例2:タマネギの改変方法>
(1) プラスミドDNA作製
プラスミドDNA pPrrn18::sfGFP::Tcox2(
図1b)は、タバコrrn18遺伝子のプロモーター領域、sfGFP遺伝子(Nat. Biotechnol. 2006 24:79-88)、酵母cox2遺伝子のターミネーター領域をそれぞれPCR法により増幅、連結し、そのカセットをpCR2.1-TOPO(サーモフィッシャーサイエンティフィック、アメリカ)に導入することにより作製した。
【0091】
前記タバコrrn18遺伝子のプロモーター領域は、タバコの全ゲノムをテンプレートにして、SacI-rrn18 prom F(配列番号4)及びPrrn18-attB1 sfGFP R(配列番号7)を用いてPCR法により増幅した。
前記sfGFP遺伝子は、35S-sfGFP-nosT(Plant Biotechnol., 2015 32:81-87)をテンプレートにして、Prrn18-attB1 sfGFP F(配列番号8)及びsfGFP-Sccox2 3’UTR R1(配列番号9)を用いてPCR法により増幅した。
前記酵母cox2遺伝子のターミネーター領域は、人工合成した酵母cox2遺伝子のターミネーター領域をテンプレートにして、sfGFP-Sccox2 3’UTR F1(配列番号10)及びSccox2 term R1(配列番号11)を用いてPCR法により増幅した。
前記タバコの全ゲノムは、核、葉緑体、ミトコンドリアゲノムの混合物であり、CTAB法(Murray and Thompson, Nucleic Acids Research, 1980 8:4321-5)により抽出した。
【0092】
(2) ペプチド-DNA複合体作製
プラスミドDNA pPrrn18::Nlucに代えて、プラスミドDNA pPrrn18::sfGFP::Tcox2を使用した以外は実施例1と同様にして作製した。
【0093】
(3) パーティクルボンバード法による植物細胞へのペプチド-DNA複合体導入
0.8%アガロース培地上に置床した播種後7日目のハナナ子葉に代えて、タマネギ表皮細胞(1cm角、4枚/ショット)を使用した以外は実施例1と同様にして導入した。
【0094】
(4) 蛍光観察
pPrrn18::sfGFP::Tcox2を導入したタマネギ表皮細胞は、室温、暗所において1日後、50μM N-エチルマレイミドにより1時間処理し、MitoTracker Red CMXRos(サーモフィッシャーサイエンティフィック、アメリカ)により室温で10分間染色し、蛍光顕微鏡(IX83、オリンパス、日本)によりGFP蛍光及びMitotracker染色像を観察した。
結果を
図3A及び
図3Bに示した。
図3AはGFP蛍光像を示し、
図3BはMitotracker染色像を示し、白矢尻はGFP蛍光を発するミトコンドリアを示す。
【0095】
図3の結果より、前記プラスミドDNAがミトコンドリアへ輸送されたことが示された。
【0096】
<実施例3:コムギの改変方法>
(1) コムギミトコンドリアATP9 knock-in断片の作成
コムギミトコンドリアATP9標的配列(配列番号12)を
図4に示した。
前記コムギミトコンドリアATP9標的配列(配列番号12)は、構造遺伝子配列(配列番号13:
図4の灰色の網掛部分)、knock-in断片作成に用いたオリゴのATP特異配列1(配列番号14:
図4の太字の下線部分)、knock-in断片作成に用いたオリゴのATP特異配列2(配列番号15:
図4の太字の下線部分)、挿入確認用のリバースプライマー配列1(配列番号16:
図4のR1)、及び挿入確認用のリバースプライマー配列2(配列番号17:
図4のR2)を含む。
【0097】
(1-1) ロングオリゴの準備
TsATPfrag1(配列番号18)及びTsATPfrag2(配列番号19)をアニールさせた。
前記TsATPfrag1(配列番号18)は、前記ATP9特異配列1(配列番号14:74塩基)及びGUS遺伝子の開始コドンから21塩基を含み、前記TsATPfrag2(配列番号19)は、前記ATP特異配列2(配列番号15:74塩基)の相補鎖及びGUS遺伝子の開始コドンから21塩基の相補鎖を含む。
前記TsATPfrag1(配列番号18)及び前記TsATPfrag2(配列番号19)は、GUS遺伝子配列が互いに相補配列となるため、アニールする。
【0098】
(1-2) ロングオリゴのアニール
ロングオリゴのアニールは、94℃5分間及び室温30分間(アニール反応a)、又は94℃5分間及び55℃10分間(アニール反応b)の条件で行った。
【0099】
(1-3) ロングオリゴの伸長反応
アニール後のロングオリゴの伸長はquick taq (Toyobo)(伸長反応c)、又は Primestar GXL (Takara)(伸長反応d)を用いて、72℃15分間の条件で行った。
図5に、伸長反応後のロングオリゴを電気泳動した結果を示した。
図5のレーン1はTsATP9frag1のサンプルであり、レーン2はTsATP9frag2であり、レーン3はアニール反応a及び伸長反応cを行ったサンプルであり、レーン4はアニール反応b及び伸長反応cを行ったサンプルであり、レーン5はアニール反応a及び伸長反応dを行ったサンプルであり、レーン6はアニール反応b及び伸長反応dを行ったサンプルである。
伸長産物は、200bp付近(矢印)のバンドとして現れる。
伸長産物はカラムにより精製し、オリゴを除いた。
【0100】
(2) ペプチド-DNA複合体作製
プラスミドDNA pPrrn18::Nlucに代えて、前記伸長産物を使用した以外は実施例1と同様にして作製した。
【0101】
(3) パーティクルボンバード法による植物細胞へのペプチド-DNA複合体導入
0.8%アガロース培地上に置床した播種後7日目のハナナ子葉に代えて、下記のとおり調製したコムギ胚を使用した以外は実施例1と同様にして導入した。
【0102】
-コムギ胚の調製-
コムギ乾燥種子100粒を5%次亜塩素酸50mLに30分間浸漬し、表面殺菌し、殺菌種子を得た。500mL滅菌水に前記殺菌種子を加えて5分間攪拌し、水を除去する操作を4回繰り返し、前記殺菌種子を洗浄した。その後、9cm滅菌シャーレに濾紙(ADVANTEC,円形定性濾紙No.2)を一枚敷き、10mL滅菌水を加え、前記洗浄後の殺菌種子を濾紙上に置き、シャーレのフタを閉めて、暗所25℃で一晩発芽させた。発芽種子胚を切除し、種子胚を得た。前記種子胚から子葉、第1、2葉を切除し、茎頂を露出させた。さらにそれらの種子胚の茎頂が0.8%アガロース培地上で上を向くように培地に5mmほど埋め込んだ。
【0103】
(4) 外来遺伝子の挿入の確認
(4-1) ゲノムDNAの抽出
遺伝子導入2日後に、コムギ胚から、Qiagen Plant DNA easy Kitを用いてゲノムDNAを抽出した。
【0104】
Knock-in後のゲノム配列(配列番号20)を
図6に示した。
前記Knock-in後のゲノム配列(配列番号20)は、knock-in断片作成に用いたオリゴのATP特異配列1(配列番号14:
図6の灰色の網掛部分)、GUS遺伝子の開始コドンから21塩基、knock-in断片作成に用いたオリゴのATP特異配列2(配列番号15:
図6の灰色の網掛部分)、挿入確認用のフォワードプライマー配列(配列番号21:
図6の太字の下線部分)、挿入確認用のリバースプライマー配列1(配列番号16:
図6のR1)、及び挿入確認用のリバースプライマー配列2(配列番号17:
図6のR2)を含む。
【0105】
(4-2) PCRの条件検討
PCRは、Primestar GXL (Takara)を用いて、94℃2分間、その後、98℃10秒間、68℃-50℃30秒間、及び68℃45秒間を40サイクル、その後、68℃5分間の条件で行った。
図7に、プライマーとして、挿入確認用のフォワードプライマー配列(配列番号21)、及び挿入確認用のリバースプライマー配列1(配列番号16)を用いた場合のサンプルについて、電気泳動した結果(R1:左側)、及びプライマーとして、挿入確認用のフォワードプライマー配列(配列番号21)、及び挿入確認用のリバースプライマー配列2(配列番号17)を用いた場合のサンプルについて、電気泳動した結果(R2:右側)を示した。
想定するPCR産物のサイズは199bp(R1)、又は309bp(R2)となる。
挿入確認用のリバースプライマー配列1(配列番号16)を用いた場合(R1:左側)は、ラダー化が著しいことがわかった。
一方、挿入確認用のリバースプライマー配列2(配列番号17)を用いた場合(R2:右側)は、アニーリング温度の高くする(R2:右側のレーン3(65.5℃)、レーン4(63.5℃))ことで、ラダー化を抑えることができることが分かった。
以降の解析はアニーリング温度を64℃として設定した。
【0106】
(4-3) PCR
PCRは、Primestar GXL (Takara)を用いて、94℃2分間、その後、98℃10秒間、64℃30秒間、及び68℃45秒間を40サイクル、その後、68℃5分間の条件で行った。
PCRの反応は25μLの容量で行い、鋳型を1000ng(1000ng/μLを1μL)加えて反応させた。
【0107】
プライマーとして、挿入確認用のフォワードプライマー配列(配列番号21)、及び挿入確認用のリバースプライマー配列2(配列番号17)を用いた場合のサンプルについて、電気泳動した結果を
図8示した(レーンCPX:右)。
【0108】
<比較例3:コムギの改変方法>
無処理のコムギ胚について、実施例3と同様にしてゲノムDNAを抽出してPCRを行った結果を
図8(レーン-:左)に示した。
【0109】
<比較例4:コムギの改変方法>
ペプチド-DNA複合体作製において、ミトコンドリア移行シグナル配列とポリカチオン配列とを有するペプチド cytocox-KHを使用しなかった以外は実施例3と同様にしてゲノムDNAを抽出してPCRを行った結果を
図8(レーン+:中央)に示した。
【0110】
図8の結果より、複合体を導入した実施例3のコムギ胚では、組換えが確認できるが(
図8の矢印付近のバンド)、無処理の比較例3のコムギ胚(-)、及びDNAのみを導入した比較例4のコムギ胚(+)では組換えが確認できないことが示された。
以上から、ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆された微粒子を植物に撃ち込む工程を含む方法を採用することにより、効率良くミトコンドリア遺伝子を改変することができることが示された。
【0111】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物の改変方法である。
<2> 前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、前記<1>に記載の植物の改変方法である。
<3> 前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、前記<1>又は<2>に記載の植物の改変方法である。
<4> 前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程を含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の植物の改変方法である。
<5> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程を含むことを特徴とする植物のゲノム編集方法である。
<6> 前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、前記<5>に記載の植物のゲノム編集方法である。
<7> 前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、前記<5>又は<6>に記載の植物のゲノム編集方法である。
<8> 前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程を含む、前記<5>から<7>のいずれかに記載の植物のゲノム編集方法である。
<9> ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドと相互作用させた核酸で被覆した微粒子を植物に撃ち込む工程と、前記微粒子を撃ち込んだ植物を生育し、植物体を得る工程と、を含むことを特徴とする植物の作製方法である。
<10> 前記ミトコンドリア輸送シグナル配列を含むペプチドが、ミトコンドリア輸送シグナル配列及びポリカチオン配列を含むペプチドである、前記<9>に記載の植物の作製方法である。
<11> 前記植物が、コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ及びリンゴからなる群から選択される、前記<9>又は<10>に記載の植物の作製方法である。