IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 竹内工業株式会社の特許一覧

特開2023-127802直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型
<>
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図1
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図2
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図3
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図4
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図5
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図6
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図7
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図8
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図9
  • 特開-直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127802
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】直角切りの切断工程の付いた金属プレス用順送金型
(51)【国際特許分類】
   B30B 13/00 20060101AFI20230907BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20230907BHJP
   B21D 22/30 20060101ALI20230907BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B30B13/00 D
B21D22/20 B
B21D22/30 B
B21D28/02 A
B30B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031710
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000210573
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大越 正則
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 康
【テーマコード(参考)】
4E090
4E137
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090EA01
4E090EB01
4E090EC04
4E090FA02
4E090HA03
4E090HA04
4E137AA11
4E137AA17
4E137BA01
4E137BA04
4E137BA05
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA24
4E137EA01
4E137GA02
4E137HA06
4E137HA08
(57)【要約】
【課題】 薄板金属加工用のプレス用順送金型だけでは切り離しとしては打ち抜き加工は行えるが水平方向への直角切りは行うことができず、直角切りが必要な場合には順送金型とは別のプレス機によって別金型を使用して行わねばならないという課題があった。
【解決手段】 薄板金属加工用のプレス用順送金型において、送りの位置決め用切欠きを加工する位置決め加工工程と、それに続く製品を所定形状に絞り加工する絞り加工工程と、それに続くポンチを押し下げることによってダイを前後左右の水平四方向へ順次動かし製品を水平方向にせん断する製品の切り離し工程より構成されるプレス用順送金型とすることによって後工程での製品の直角切り加工が不要とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板金属を搬送しながら複数組のポンチ、ダイで絞り加工をする金属プレス用順送金型において、送りの位置決め用切欠きを加工する位置決め加工工程と、それに続く製品を所定形状に絞り加工する絞り加工工程と、それに続くポンチを押し下げることによってダイを前後左右の水平四方向へ順次動かし製品を水平方向にせん断する製品の切り離し加工工程より構成されるプレス用順送金型。
【請求項2】
製品の切り離し加工工程は上基台に固定され絞り加工途中製品の内部に侵入できる寸法として形成され先肩部の全周は水平方向に絞り加工途中製品をせん断できるポンチカット面とされた切り離し用ポンチと、絞り加工途中製品が入り込むことができるカット孔が形成されその上面は上基台が下降しているときには切り離し用ポンチのカット面と常に略水平となり絞り加工途中製品を水平方向にせん断することができるダイカット面が形成された切り離し用ダイと、この切り離し用ダイの下方部の前後左右の四方向の外面に形成された同一水平面方向に伸びる断面が台形状のダイ小突起と、切り離し用ダイの外周を抜け出し不能に覆う切り離し用ダイ枠と、この切り離し用ダイ枠の内面の前後左右の四方向に階段状に形成された断面が台形状のダイ枠小突起と、上基台が下降することによって上基台に固定されたダイ押し下げ棒によって切り離し用ダイを押し込むことにより、切り離し用ダイのダイ小突起が順次ダイ枠小突起に乗り上げることによって切り離し用ダイを前後左右方向へ移動させ切り離し用ポンチのポンチカット面と切り離し用ダイのダイカット面で絞り加工途中製品の側面を薄肉金属板より切り離すことができる請求項1記載のプレス用順送金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直角切りの切断工程の付いた薄板金属加工用のプレス用順送金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄、銅、アルミなどの薄板金属加工用のプレス用順送金型は複数個のポンチが固定され上下動する上基台と同じく複数個のダイが固定された下基台と、その間に薄板金属を水平方向に所定間隔で移動させることにより、送りの位置決め用切欠き加工工程、絞り加工工程、切り離し加工工程が行われる構造とされていた。
【0003】
しかしながらこのように構成された薄板金属加工用のプレス用順送金型だけでは切り離しとしてはプレスの金型は上下に動くだけなので、打ち抜き加工やフランジ加工で製品を切り離して口元を整える加工は行えるがプレス加工された製品の側面に対して水平方向への直角切りは行うことができず、そのため直角切りが必要な製品の場合には順送金型とは別のプレス機によって別金型を使用して行わねばならないため手間がかかると共に製品のコストアップにつながるという欠点があった。その例として特開2005-199284号があるが、この方法であっても順送金型内で製品を水平方向への直角切りをすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-199284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は順送金型でプレス加工された製品の側面に対して水平方向へ直角切りする切断工程の付いた薄板金属加工用のプレス用順送金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は水平方向へカットする切断工程の付いた薄板金属加工用のプレス用順送金型とすることによって後工程での製品の側面に対して水平方向への直角切り加工が不要となり一連の順送金型内で製品の直角切りが行えることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は順送金型とは別のプレス機によって別金型を使用しての製品の側面に対して水平方向へ直角切り加工することが不要となり、手間がかからないと共に製品のコストダウンにつなげることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】順送金型の上基台が上がった状態の概略を示す説明図である。
図2】順送金型の上基台が下り切った状態の概略を示す説明図である。
図3】順送金型で加工された薄肉金属板の説明図である。
図4】切り離し加工工程で上基台が上がった状態の説明図である。
図5】切り離し加工工程で上基台が下りた状態の説明図である。
図6】切り離し加工工程で切離し用ダイが右方向へ動いた状態の説明図である。
図7】切り離し加工工程で切離し用ダイが奥方向へ動いた状態の説明図である。
図8】切り離し加工工程で切離し用ダイが左方向へ動いた状態の説明図である。
図9】切り離し加工工程で切離し用ダイが手前方向へ動いた状態の説明図である。
図10】切り離し加工工程の金型の一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は薄板金属を搬送しながら複数組のポンチ、ダイで絞り加工をする金属プレス用順送金型において、送りの位置決め用切欠きを加工する位置決め加工工程と、それに続く製品を所定形状に絞り加工する絞り加工工程と、それに続くポンチを押し下げることによってダイを前後左右の水平四方向へ順次動かし製品を水平方向にせん断する製品の切り離し加工工程より構成されるプレス用順送金型で実施している。
【実施例0010】
以下、図面に示す実施例により、本考案を詳細に説明する。
第1図ないし第10図に示す実施例において、1はプレス機に取り付けられた薄板金属板2加工用のプレス用順送金型で、この順送金型1はプレス機によって上下動する上基台1aとプレス機に固定された下基台1bとそれぞれの基台に取り付けられた複数組のポンチ3、及びダイ4より構成されている。
【0011】
この順送金型1の上基台1aには複数個のポンチ3が固定され、下基台1bには上基台1aと対応する位置にそれぞれダイ4が固定され、送りの位置決め切欠き加工工程5、絞り加工工程6、切り離し加工工程7が順次行えるように構成されている。
【0012】
送りの位置決め用切欠き加工工程5は上基台1aに固定された位置決め加工用ポンチ5aと下基台に固定された位置決め加工用ダイ5bによって薄肉金属板2に位置決め用切欠き5cを加工するもので、この送りの位置決め用切欠き加工工程5は上基台1aが下降することで薄肉金属板2に最初に行われる打ち抜きの加工で、この後は薄肉金属板2はこの位置決め用切欠き5cによってガイドされ等間隔のピッチで送られることになる。
なお図の説明では位置決め用切欠き4cは穴として描いているが位置決めの目的を達成できるものであればどのような切欠きであっても差し支えなく例えば薄肉金属板2の端部を等間隔のピッチで切欠くなどとしたものであっても良い。
【0013】
次に薄肉金属板2は位置決め用切り欠き5cによってガイドされ絞り加工工程6へと送られ、この絞り加工工程6は上基台1aに固定された絞り加工用ポンチ6aと下基台1bに固定された絞り加工用ダイ6bによって薄肉金属板2を所定形状(本実施例の説明では四角形状)の外周面および内周面となるように上基台1aが下降することで絞り加工するもので、製品となる部分の外周面と内周面は加工されるが薄肉金属板2自体からは切り離されないようにした絞り加工途中製品6cとして加工するもので、絞り加工途中製品6cの周囲の大部分は薄肉金属板2から切り離されるが一部が連結部6dとして薄肉金属板2と連結された状態としておく。
このように絞り加工途中製品6cの周囲を絞り加工工程6で薄肉金属板2から同時に切り離しておくことは絞り加工を行う際に絞り加工途中製品6cの形状、寸法を安定させるためのものであるが必ずしも必要なものでは無い。
【0014】
次に絞り加工途中製品6cは位置決め用切り欠き5cによって数ピッチの間隔を設けた先にセットされた絞り加工途中製品6cの水平方向への切り離し加工工程7へと送られるが、ここで絞り加工工程6と切り離し加工工程7の間に数ピッチの間隔を設けることは切り離し加工をする際に薄肉金属板2が進行方向ないしその横方向に若干ゆすぶられるための逃げとしてのものである。
【0015】
切り離し加工工程7は上基台1aに固定された製品の切り離し用ポンチ7aと、上基台1aに固定されたダイ押し下げ棒7eと、切り離し用ダイ7bと、切り離し用ダイ7bの外周を覆うように下基台1bに取り付けられた切り離し用ダイ枠7cと、切り離し用ダイ7bを上方へ付勢するコイルスプリング7dとから構成されている。
【0016】
切り離し用ポンチ7aは絞り加工途中製品6cの内径寸法と略同寸法ではあるが絞り加工途中製品6cの内部に侵入できるような寸法として形成され、さらに先肩部の全周は水平方向に絞り加工途中製品6cをせん断できる形状のポンチカット面7gとして構成されている。
さらにこの切り離し用ポンチ7aの先端部はポンチ縮径部7fとして構成され絞り加工途中製品6cの内底面を押圧することによって絞り加工途中製品6cを後記する切り離し用ダイ7bのカット孔7hに押し付けるように作用している。
【0017】
この切り離し用ポンチ7aの近くに取り付けられたダイ押し下げ棒7eは切り離し用ポンチ7aと同期して上下動できるように上基台1aに取り付けられていて、後記する切り離し用ダイ7bを押し下げながらダイカット面7iとポンチカット面7gが常に水平を保てるように作用している。
【0018】
切り離し用ダイ7bには絞り加工途中製品6cが入り込むことができ絞り加工途中製品6cの外径寸法と略同寸法として形成されたカット孔7hが形成され、その上面には上基台1aが下降しているときには切り離し用ポンチ7aのポンチカット面7gと略水平となり絞り加工途中製品6cを水平方向にせん断することができるダイカット面7iとして構成されていて、その下方部の前後左右の四方向外面には同一水平面方向に伸びる断面が台形状のダイ小突起7jがそれぞれひとつずつ形成されている。
【0019】
この切り離し用ダイ7bはコイルスプリング7dによって常に上方向に付勢されているが、上基台1aが下降しつつある際には切り離し用ポンチ7aのポンチカット面7gが切り離し用ダイ7bのダイカット面7iと略水平となる位置を保てるようにダイ押し下げ棒7eが切り離し用ダイ7bの上面に当接し、それ以後の上基台1aの降下ではダイ押し下げ棒7eが切り離し用ダイ7bを押し下げてゆき、切り離し用ポンチ7aのポンチカット面7gと切り離し用ダイ7bのダイカット面7iが絞り工程途中製品6cを水平方向にせん断できる略水平状態を保つことができるように作用している。
【0020】
7cは切り離し用ダイ7bの外周を覆うように下基台1b固定された切り離し用ダイ枠でこの切り離し用ダイ枠7cは内部に切り離し用ダイ7bを上方へ付勢するコイルスプリング7dを収納するとともに切り離し用ダイ7bが上方へ抜け出すことを防止している。
【0021】
さらにこの切り離し用ダイ枠7cの内面の前後左右の四方向には断面が台形状のダイ枠小突起7kが階段状に形成され、上基台1aが下降するとそれに伴ってダイ押し下げ棒7eによって押し下げられた切り離し用ダイ7bのダイ小突起7iが順次ダイ枠小突起7kに乗り上げることとなり、切り離し用ダイ7bを前後左右の四方向へ順次移動させることができるように構成されている。
【0022】
この切り離し加工工程7はまず図4に示すように絞り加工途中製品6cが所定位置に運ばれると切り離し用ポンチ7a、ダイ押し下げ棒7eが上基台1aとともに下降して図5に示すポンチカット面7gとダイカット面7iとがほぼ水平の位置となり、次に上基台1aが降下するとダイ押し下げ棒7eによって切り離し用ダイ7bが押し下げられ、切り離し用ポンチ7aのポンチカット面7gと切り離し用ダイ7bのダイカット面7iとがほぼ水平の位置を保ったまま図6に示す位置となる。
【0023】
この図6の位置まで切り離し用ダイ7bが押し下げられるとダイ小突起7kが階段状に形成されたダイ枠小突起7kの一番上に形成された突起(図の説明で左側)に乗り上げることになり切り離し用ダイ7bが一番上のダイ枠小突起7kの反対側(図の説明で右側)に絞り加工途中製品6cごと水平に移動され、この際に絞り加工途中製品6cの左側がポンチカット面7gとダイカット面7iによって絞り加工途中製品6cの左側側面が水平かつ側面に対して直角にせん断される。
【0024】
さらに上基台1aが降下すると図7に示す位置関係となりダイ小突起7jが上から二番目のダイ枠小突起7k(図7の説明で奥側)に乗り上げることになり切り離し用ダイ7bが手前側に移動し絞り加工途中製品6cの奥側が直角にせん断され、同様にして上基台1aが降下するとダイ小突起7jが上から三番目のダイ枠小突起7k(図8の説明で右側)と乗り上げ図8に示す位置となり絞り加工途中製品6cの右側が、さらに図9の位置まで押し下げられると絞り加工途中製品6cの手前側が直角にせん断され絞り加工途中製品6cの四面すべてが薄肉金属板2から切り離されて絞り加工途中製品6cは完成品8となる。
【0025】
このようにして一連の工程が終了し、上基台1aが上昇すると切り離し用ポンチ7aはコイルスプリング7dによって上昇し、図4に示す位置まで戻り工程が終了し薄肉金属板2から切り離された完成品8を金型から取り出すことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は以上説明したように構成されているので鉄、銅、アルミなどの薄肉金属板をプレス加工するものであれば何にでも実施でき、化粧品、食器、文具等の内容物を収納するいろいろな製品の加工に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 順送金型
1a 上基台
1b 下基台
2 薄肉金属板
3 ポンチ
4 ダイ
5 位置決め切欠き加工工程
5a 位置決め切欠き加工用ポンチ
5b 位置決め切欠き加工用ダイ
5c 位置決め用切欠き
6 絞り加工工程
6a 絞り加工用ポンチ
6b 絞り加工用ダイ
6c 絞り加工途中製品
6d 連結部
7 切り離し加工工程
7a 切り離し用ポンチ
7b 切り離し用ダイ
7c 切り離し用ダイ枠
7d コイルスプリング
7e ダイ押し下げ棒
7f ポンチ縮径部
7g ポンチカット面
7h カット孔
7i ダイカット面
7j ダイ小突起
7k ダイ枠小突起
8 完成品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10