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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127816
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
F16C29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031728
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 都至
(72)【発明者】
【氏名】石田 尚樹
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA25
3J104AA36
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA24
3J104BA25
3J104BA26
3J104BA33
3J104BA34
3J104BA63
3J104CA01
3J104DA03
3J104DA08
(57)【要約】
【課題】ローラを円滑に循環させて、スライダの摺動性を向上することができる直動案内ユニットを提供する。
【解決手段】直動案内ユニットは、レールと、スライダと、を備える。スライダは、ケーシングと、循環機構と、を含む。循環機構は、第1循環部材と、第2循環部材と、を組み合わせて構成されている。第1循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第1下案内面を含む一体型の第1下循環部品と、第1下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第1上案内面を含む一体型の第1上循環部品と、を組み合わせて構成されている。第2循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品と、第2下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品と、を組み合わせて構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、
前記レールに相対移動可能に取り付けられ、前記第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、
前記第1軌道面と前記第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数のローラと、を備え、
前記スライダは、
前記第2軌道面を含むケーシングと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記複数のローラを循環させる循環機構と、を含み、
前記循環機構は、
前記軌道路と並行するリターン路の一部および前記軌道路と前記リターン路とを接続する第1の方向転換路を含む第1循環部材と、前記リターン路の残部および前記軌道路と前記リターン路とを接続する第2の方向転換路を含む第2循環部材と、を組み合わせて構成されており、
前記複数のローラは、前記軌道路、前記リターン路、前記第1の方向転換路および前記第2の方向転換路によって構成される環状路を循環しており、
前記第1循環部材は、
前記第2軌道面と連なり、前記ローラの転動面を案内する第1下案内面を含む一体型の第1下循環部品と、前記第1下案内面と反対側において前記ローラの転動面を案内する第1上案内面を含む一体型の第1上循環部品と、を組み合わせて構成されており、
前記第2循環部材は、
前記第2軌道面と連なり、前記ローラの転動面を案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品と、前記第2下案内面と反対側において前記ローラの転動面を案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品と、を組み合わせて構成されている、直動案内ユニット。
【請求項2】
前記循環機構の材質は、金属製である、請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記循環機構は、板状部材の折り曲げ加工または絞り加工のうちの少なくともいずれか一方により形成されている、請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記第1循環部材と前記第2循環部材とは、第1の嵌合構造により嵌合されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記第1下循環部品と前記第1上循環部分および前記第2下循環部品と前記第2上循環部品のうちの少なくともいずれか一方は、第1の嵌合構造により組み合わされている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記スライダは、前記ケーシングに取り付けられ、前記循環機構の位置決めを行う位置決め部材をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記スライダは、前記ケーシングに取り付けられ、前記循環機構を覆うカバー部材をさらに含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記スライダは、板状の部材を折り曲げて形成されており、前記ローラを前記ケーシングに保持させる保持板をさらに含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記ケーシングには、前記長手方向に貫通するケーシング貫通孔が設けられており、
前記リターン路は、前記ケーシング貫通孔内に配置されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項10】
前記循環機構は、前記ケーシング貫通孔と嵌合する第3の嵌合構造を有する、請求項9に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動案内ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レールと、スライダと、ローラと、を含むリニアウェイガイドが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示のリニアウェイガイドは、レールと、スライダ本体と、ローラ・モジュールと、循環モジュールと、エンド・プレートとから構成される。循環モジュールは、ほぼU字形を呈する二つの半分循環片で構成されたものである。半分循環モジュールは、ほぼU型を呈する二つの半分循環片を組み合わせて構成される。二つの半分循環片モジュールは、転向ブロックと、支持条と、回流半分切り管とが一体に成形されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4036855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のリニアガイドウェイでは、ローラの円滑な循環を十分に確保することができない。そこで、ローラを円滑に循環させて、スライダの摺動性を向上することができる直動案内ユニットを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に従った直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数のローラと、を備える。スライダは、第2軌道面を含むケーシングと、ケーシングに取り付けられ、複数のローラを循環させる循環機構と、を含む。循環機構は、軌道路と並行するリターン路の一部および軌道路とリターン路とを接続する第1の方向転換路を含む第1循環部材と、リターン路の残部および軌道路とリターン路とを接続する第2の方向転換路を含む第2循環部材と、を組み合わせて構成されている。複数のローラは、軌道路、リターン路、第1の方向転換路および第2の方向転換路によって構成される環状路を循環している。第1循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第1下案内面を含む一体型の第1下循環部品と、第1下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第1上案内面を含む一体型の第1上循環部品と、を組み合わせて構成されている。第2循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品と、第2下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品と、を組み合わせて構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記直動案内ユニットによれば、ローラを円滑に循環させて、スライダの摺動性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す直動案内ユニットを後述する長手方向に垂直な断面で切断した場合の概略断面図である。
図3図3は、図2中の矢印III-IIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
図4図4は、図1に示す直動案内ユニットに含まれるスライダの概略斜視図である。
図5図5は、図4に示すスライダの分解斜視図である。
図6図6は、図5に示すスライダの一部を分解して示す分解斜視図である。
図7図7は、図4に示すスライダの一部を拡大して示す概略斜視図である。
図8図8は、図2に示す直動案内ユニットの一部を拡大して示す概略断面図である。
図9図9は、循環機構の概略側面図である。
図10図10は、第1循環部材の概略斜視図である。
図11図11は、第1循環部材に含まれる後述する第1下循環部品を示す概略斜視図である。
図12図12は、第1循環部材に含まれる後述する第1上循環部品を示す概略斜視図である。
図13図13は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの循環機構に含まれる第1循環部材を示す概略斜視図である。
図14図14は、図13に示す第1循環部材に含まれる第1下循環部品を示す概略斜視図である。
図15図15は、図13に示す第1循環部材に含まれる第1上循環部材を示す概略斜視図である。
図16図16は、循環機構の一例を示す概略斜視図である。
図17図17は、図16に示す循環部材を備える直動案内ユニットに含まれるスライダの一例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
本開示の直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有するレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有するスライダと、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数のローラと、を備える。スライダは、第2軌道面を含むケーシングと、ケーシングに取り付けられ、複数のローラを循環させる循環機構と、を含む。循環機構は、軌道路と並行するリターン路の一部および軌道路とリターン路とを接続する第1の方向転換路を含む第1循環部材と、リターン路の残部および軌道路とリターン路とを接続する第2の方向転換路を含む第2循環部材と、を組み合わせて構成されている。複数のローラは、軌道路、リターン路、第1の方向転換路および第2の方向転換路によって構成される環状路を循環している。第1循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第1下案内面を含む一体型の第1下循環部品と、第1下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第1上案内面を含む一体型の第1上循環部品と、を組み合わせて構成されている。第2循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品と、第2下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品と、を組み合わせて構成されている。
【0009】
本発明者らは、複数のローラが円滑に環状路を循環する構成について検討した。そして、以下の点に着目した。特許文献1に開示される、二つのほぼU字型を呈する半分循環片を組み合わせる構成では、ローラの転動面が、半分循環片を組み合わせた際に生ずる繋ぎ目部分と接触することになる。繋ぎ目部分については段差が生じやすい部分であるため、この部分とローラの転動面が接触してローラを案内する構成では、ローラの円滑な循環を図ることが困難となり、その結果、スライダの摺動性が低くなってしまう。そして本発明者らは鋭意検討し、本開示の直動案内ユニットの構成を採用するに至った。
【0010】
本開示の直動案内ユニットによると、第1循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第1下案内面を含む一体型の第1下循環部品と、第1下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第1上案内面を含む一体型の第1上循環部品と、を組み合わせて構成されている。また、第2循環部材は、第2軌道面と連なり、ローラの転動面を案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品と、第2下案内面と反対側においてローラの転動面を案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品と、を組み合わせて構成されている。このような構成によると、複数のローラが循環する環状路内において、ローラが軌道路から方向転換路に入り込む際に、ローラの転動面が一体型の第1下循環部品に含まれる第1下案内面および一体型の第1上循環部品に含まれる第2上案内面によって案内されることとなる。そうすると、第1循環部材内に形成されるローラの経路において、ローラの転動面が部材を組み合わせた際に生ずる繋ぎ目部分を通過することはなくなる。したがって、第1下案内面および第1上案内面によってローラを適切に案内して、ローラの円滑な循環を確保することができる。第2循環部材内に形成されるローラの経路をローラが通過する際も同様である。その結果、ローラの循環路内における循環を円滑にして、スライダの摺動性の向上を図ることができる。
【0011】
上記直動案内ユニットにおいて、循環機構の材質は、金属製であってもよい。このようにすることにより、耐薬品性や耐熱性を向上させることができる。このような直動案内ユニットは、より用途を広くすることができる。
【0012】
上記直動案内ユニットにおいて、循環機構は、板状部材の折り曲げ加工または絞り加工のうちの少なくともいずれか一方により形成されていてもよい。このようにすることにより、生産性を向上することができると共に、コストダウンを図ることができる。
【0013】
上記直動案内ユニットにおいて、第1循環部材と第2循環部材とは、第1の嵌合構造により嵌合されていてもよい。このようにすることにより、第1循環部材と第2循環部材とが接続されて形成されるリターン路の接続をより適切に行うことができる。したがって、ローラのより円滑な循環を確保することができる。
【0014】
上記直動案内ユニットにおいて、第1下循環部品と第1上循環部品および第2上循環部品と第2上循環部品のうちの少なくともいずれか一方は、第2の嵌合構造により組み合わされていてもよい。このようにすることにより、第1下循環部品と第1上循環部品および第2上循環部品と第2上循環部品のうちの少なくともいずれか一方は、第2の嵌合構造によって、より適切に組み合わせることができる。したがって、ローラのより円滑な循環を確保することができる。
【0015】
上記直動案内ユニットにおいて、スライダは、ケーシングに取り付けられ、循環機構の位置決めを行う位置決め部材をさらに含んでもよい。このようにすることにより、循環機構をより安定して適切な位置に保持することができる。したがって、よりローラの円滑な循環を確保することができる。
【0016】
上記直動案内ユニットにおいて、スライダは、ケーシングに取り付けられ、循環機構を覆うカバー部材をさらに含んでもよい。このようにすることにより、循環機構が配置される位置から環状路内に異物が混入するおそれを低減することができる。
【0017】
上記直動案内ユニットにおいて、スライダは、板状の部材を折り曲げて形成されており、ローラをケーシングに保持させる保持板をさらに含んでもよい。このようにすることにより、ローラを安定してケーシングに保持させることができる。この場合、保持板は、板状の部材を折り曲げて形成されているため、生産性が良好であり、コストダウンを図ることができる。
【0018】
上記直動案内ユニットにおいて、ケーシングには、長手方向に貫通するケーシング貫通孔が設けられていてもよい。リターン路は、ケーシング貫通孔内に配置されていてもよい。このようにすることにより、リターン路をケーシング内に配置して、スライダの構成をコンパクトにすることができる。
【0019】
上記直動案内ユニットにおいて、循環機構は、ケーシング貫通孔と嵌合する第3の嵌合構造を有してもよい。このようにすることにより、ケーシング貫通孔内において、リターン路をより安定して保持することができる。したがって、よりローラの円滑な循環を確保することができる。
【0020】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。図2は、図1に示す直動案内ユニットを後述する長手方向に垂直な断面で切断した場合の概略断面図である。図3は、図2中の矢印III-IIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図4は、図1に示す直動案内ユニットに含まれるスライダの概略斜視図である。図5は、図4に示すスライダの分解斜視図である。図6は、図5に示すスライダの一部を分解して示す分解斜視図である。図7は、図4に示すスライダの一部を拡大して示す概略斜視図である。図8は、図2に示す直動案内ユニットの一部を拡大して示す概略断面図である。なお、図1および以下に示す図において、X方向は、直動案内ユニットの幅方向である短手方向を示し、Y方向は、直動案内ユニットの長手方向を示し、Z方向は、直動案内ユニットの厚さ方向(高さ方向)を示す。X方向、Y方向およびZ方向はそれぞれ、直交している。なお、理解を容易にする観点から、図3において、後述するローラの一部の図示を省略している。
【0022】
図1図8を参照して、本開示の実施の形態1に係る直動案内ユニット10aは、軌道レールであるレール11aと、スライダ21aと、転動体としての複数のローラ20a,20b,20c,20dと、を含む。レール11aは、長手方向であるY方向に真っ直ぐに延びる構成である。実施の形態1に係る直動案内ユニット10aは、転動体として複数のローラ20a,20b,20c,20dを含むことにより、例えば転動体がボールである場合と比較して、サイズをコンパクトにしながら定格荷重を大きくすることができる。本実施形態においては、直動案内ユニット10aは、いわゆる4条列の直動案内ユニットである。
【0023】
まず、レール11aの構成について説明する。レール11aは、Z方向に間隔をあけて配置されるレール上端面12aおよびレール下端面12bと、X方向に間隔をあけて配置される第1レール側面13aおよび第2レール側面13bと、Y方向に間隔をあけて配置されるレール前端面14aおよびレール後端面14bと、を含む。すなわち、レール11aは、長手方向に沿ってそれぞれ平行に延びる第1レール側面13aおよび第2レール側面13bを含む。レール11aは、長手方向に互いに平行に延びる一対の第1軌道溝15a,15bを有する。第1軌道溝15aは、第1レール側面13aに設けられる。第1軌道溝15bは、第2レール側面13bに設けられる。このような構成のレール11aを含む直動案内ユニット10aは、より確実に小型化を実現することができる。
【0024】
第1軌道溝15aは、第1軌道面16a,16bと、側壁面17aと、から構成されている。第1軌道面16aは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール上端面12a側に設けられている。第1軌道面16bは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール下端面12b側に設けられている。側壁面17aは、第1軌道面16aおよび第1軌道面16bのそれぞれに連なって設けられている。第1軌道溝15bも第1軌道溝15aと同様に、第1軌道面16c,16dと、側壁面17bと、から構成されている。第1軌道面16cは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール上端面12a側に設けられている。第1軌道面16dは、X-Y平面に対して傾斜しており、レール下端面12b側に設けられている。側壁面17bは、第1軌道面16cおよび第1軌道面16dのそれぞれに連なって設けられている。すなわち、レール11aは、長手方向に延びる第1軌道面16a,16b,16c,16dを含む。このようなレール11aを含む直動案内ユニット10aは、工作機械や組み立て装置、搬送機械等に好適に用いられる。
【0025】
レール11aには、レール上端面12aからレール下端面12bに至るようZ方向に貫通する複数の貫通孔18が設けられる。複数の貫通孔18は、Y方向において間隔をあけて設けられる。貫通孔18は、例えば直動案内ユニット10aの使用時において、レール11aを所定の箇所に取り付ける際にそれぞれ有効に利用される。
【0026】
次に、スライダ21aの構成について説明する。スライダ21aは、レール11aに相対移動可能に取り付けられる。スライダ21aは、レール11aの幅方向の両側に配置される一対の袖部28a,28bと、一対の袖部28a,28bのそれぞれと連結されるベース部29aと、を含む。一対の袖部28a,28bは、X方向に間隔をあけて配置される。ベース部29aは、スライダ21aをレール11aに取り付けた際に、レール上端面12aと対向する領域を含む。一対の袖部28a,28bとベース部29aとの境界Lは、図2中のX方向に延びる一点鎖線で示される。スライダ21aには、Z方向に凹む凹部24aが設けられている。スライダ21aは、この凹部24aにレール11aが嵌め込まれるようにして取り付けられている。すなわち、スライダ21aは、レール11aに摺動可能に跨架される。本実施形態においては、スライダ21aは、レール11aに跨るように取り付けられ、Y方向に移動可能な構成である。
【0027】
スライダ21aは、ケーシング22aと、ローラ20a,20b,20c,20dをケーシング22aに保持させる保持板41a,41bと、循環機構50a,50b,50c,50dと、を含む。なお、ケーシング22aには複数の取り付け穴25が設けられている。複数の取り付け穴25は、本実施形態においては6つ設けられている。6つの取り付け穴25はそれぞれ、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて設けられており、例えばスライダ21aと他の部材とを連結する際に利用される。
【0028】
ケーシング22aは、第1軌道面16a,16b,16c,16dにそれぞれ対向する第2軌道面32a,32b,32c,32dを含む。ローラ20aが転動する軌道路31aは、第1軌道面16aと第2軌道面32aとから構成される。ローラ20bが転動する軌道路31bは、第1軌道面16bと第2軌道面32bとから構成される。ローラ20cが転動する軌道路31cは、第1軌道面16cと第2軌道面32cとから構成される。ローラ20dが転動する軌道路31dは、第1軌道面16dと第2軌道面32dとから構成される。
【0029】
ケーシング22aには、長手方向(Y方向)に丸穴状に貫通するケーシング貫通孔34a,34b,34c,34dが設けられている。ケーシング貫通孔34a,34b,34c,34dは、軌道路31a,31b,31c,31dとそれぞれ並行するように形成されている。ケーシング貫通孔34a,34b,34c,34dはそれぞれケーシング22aを長手方向に真っ直ぐに貫通するように設けられている。
【0030】
保持板41aは、ローラ20a,20bの他方側に位置する第2端面と接触してローラ20a,20bを案内する第2案内面を含む。保持板41aは、ボルト42aによりケーシング22aに取り付けられて、ローラ20a,20bをケーシング22aに保持させる。保持板41bの構成についても、保持板41aの構成と同様である。すなわち、保持板41bは、ローラ20c,20dの他方側に位置する第2端面と接触してローラ20c,20dを案内する第2案内面を含む。保持板41bは、ボルト42bによりケーシング22aに取り付けられて、ローラ20c,20dをケーシング22aに保持させる。
【0031】
次に、循環機構50a,50b,50c,50dの構成について説明する。循環機構50a,50b,50c,50dはそれぞれ、ケーシング22aに取り付けられる。循環機構50a,50b,50c,50dはそれぞれ、複数のローラ20a,20b,20c,20dを循環させる。循環機構50a,50b,50c,50dはそれぞれ、金属製である。具体的には、循環機構50a,50b,50c,50dの材質は、金属製または樹脂製である。循環機構50a,50b,50c,50dは、板状部材を折り曲げ加工または絞り加工のうちの少なくともいずれか一方により形成されている。具体的には、循環機構50a,50b,50c,50dを構成する各部品は、板状部材を折り曲げ加工または絞り加工のうちの少なくともいずれか一方により形成されており、これらを組み合わせることにより循環機構50a,50b,50c,50dが構成される。
【0032】
循環機構50aは、軌道路31aと並行するリターン路33aと、軌道路31aとリターン路33aとを接続する第1の方向転換路37aと、軌道路31aとリターン路33aとを接続する第2の方向転換路38aと、を含む。循環機構50aのリターン路33aは、ケーシング貫通孔34a内に配置される。このようにして、循環機構50aは、ケーシング22aに取り付けられる。循環機構50bは、軌道路31bと並行するリターン路33bと、軌道路31bとリターン路33bとを接続する第1の方向転換路37bと、軌道路31bとリターン路33bとを接続する第2の方向転換路38bと、を含む。循環機構50bのリターン路33bは、ケーシング貫通孔34b内に配置される。このようにして、循環機構50bは、ケーシング22aに取り付けられる。同様に、循環機構50c,50dのそれぞれのリターン路33c,33dは、ケーシング貫通孔34c,34d内に配置される。そして、各循環機構50c,50dは、ケーシング22aに取り付けられる。
【0033】
図9は、循環機構50aの概略側面図である。図10は、第1循環部材51aの概略斜視図である。図11は、第1循環部材51aに含まれる後述する第1下循環部品53aを示す概略斜視図である。図12は、第1循環部材51aに含まれる後述する第1上循環部品54aを示す概略斜視図である。理解を容易にする観点から、図10において、第1循環部材51a内を移動するローラ20aも図示している。
【0034】
図9図12を併せて参照して、次に、循環機構50aの具体的な構成について説明する。循環機構50aは、第1循環部材51aと、第2循環部材52aと、を含む。循環機構50aは、第1循環部材51aと第2循環部材52aとを組み合わせて構成される。第1循環部材51aは、軌道路31aと並行するリターン路33aの一部である第1ストレート部61aおよび軌道路31aとリターン路33aとを接続する第1の方向転換路37aを含む。第1ストレート部61aの先端部63aは、リターン路33aの残部である第2ストレート部62aの先端部64aと嵌合する形状である。第2循環部材52aは、第2ストレート部62aおよび軌道路31aとリターン路33aとを接続する第2の方向転換路38aを含む。第2ストレート部62aの先端部64aは、先端部63aと嵌合する形状である。リターン路33aは、先端部63aと先端部64aとを嵌合させた状態として、第1ストレート部61aと第2ストレート部62aとから構成される。先端部63aおよび先端部64aは、第1の嵌合構造65aを構成する。複数のローラ20aは、軌道路31a、リターン路33a、第1の方向転換路37aおよび第2の方向転換路38aによって構成される環状路を循環する。
【0035】
ここで、第1循環部材51aは、第1下循環部品53aと、第1上循環部品54aと、を含む。第1下循環部品53aおよび第1上循環部品54aはそれぞれ、帯状の板状部材を折り曲げて形成されている。第1下循環部品53aおよび第1上循環部品54aはそれぞれ、一体型である。
【0036】
第1下循環部品53aは、第2軌道面32aと連なり、ローラ20aの転動面30aを案内する第1下案内面66aを含む。また、第1下循環部品53aは、第1ストレート部61aの一部を構成する第1下延在部67aと、第1下延在部67aから連なって、側面側から見て円弧状部分を含む第1下折り返し部68aと、を含む。第1下循環部品53aは、板状部材の幅方向の両端部57aが外側に折り曲げられ、後述する第1上循環部品54aの両端部58aと嵌合する形状である。
【0037】
第1上循環部品54aは、第1下案内面66aと反対側においてローラ20aの転動面30aを案内する第1上案内面71aを含む。また、第1上循環部品54aは、第1ストレート部61aの残部を構成する第1上延在部72aと、第1上延在部72aから連なって、側面側から見て円弧状部分を含む第1上折り返し部73aと、を含む。第1上循環部品54aは、板状部材の幅方向の両端部58aが内側に折り曲げられ、上記した第1上循環部品54aの両端部58aと嵌合する形状である。すなわち、両端部57aおよび両端部58aは、第2の嵌合構造59aを構成する。第1下循環部品53aと第1上循環部品54aとが第2の嵌合構造59aにより嵌合されるとき、第1下延在部67aおよび第1上延在部72aにより第1ストレート部61aが構成され、第1下折り返し部68aおよび第1上折り返し部73aにより第1の方向転換路37aが構成される。
【0038】
特に図8を参照して、第1下循環部品53aおよび第1上循環部品54aはそれぞれ、板状部材を折り曲げて形成されているため、リターン路33aを構成する部分において、ケーシング貫通孔34a内に配置される際に、第1下循環部品53aおよび第1上循環部品54aが部分的にケーシング貫通孔34aの内壁面35aと接触する。すなわち、図8に示す断面において、ケーシング貫通孔34aの内壁面35aが全てリターン路33aと接触しておらず、部分的に接触して、ケーシング貫通孔34a内にリターン路33aが支持されている。
【0039】
第2循環部材52aは、第2下循環部品55aと、第2上循環部品56aと、を含む。第2下循環部品55aおよび第2上循環部品56aはそれぞれ、一体型である。第2下循環部品55aは、第2軌道面32aと連なり、ローラ20aの転動面30aを案内する第2下案内面を含む。第2上循環部品56aは、第2下案内面と反対側においてローラ20aの転動面30aを案内する第2上案内面を含む。第2下循環部品55aおよび第2上循環部品56aのそれぞれの構成は、第1下循環部品53aおよび第1上循環部品54aのそれぞれの構成と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0040】
また、循環機構50bは、第1循環部材51bと、第2循環部材52bと、を含む(特に図5参照)。第1循環部材51bは、第1下循環部品53bと、第1上循環部品54bと、を含む。第2循環部材52bは、第2下循環部品55bと、第2上循環部品56bと、を含む。循環機構50cは、第1循環部材51cと、第2循環部材と、を含む。第1循環部材51cは、第1下循環部品53cと、第1上循環部品54cと、を含む。第2循環部材は、第2下循環部品と、第2上循環部品と、を含む。循環機構50dは、第1循環部材51dと、第2循環部材と、を含む。第1循環部材51dは、第1下循環部品53dと、第1上循環部品54dと、を含む。第2循環部材は、第2下循環部品と、第2上循環部品と、を含む。循環機構50b,50c,50dを構成するそれぞれの部材および部品の構成は、循環機構50aに含まれる部材および部品と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0041】
スライダ21aは、一対の位置決め部材43aと、カバー部材23a,23bと、エンドシール27a,27bと、を含む(特に図4および図6参照)。位置決め部材43aは、循環機構50c,50dの位置決めを行うガイド部44aを含む。一対の位置決め部材43aはそれぞれ、ケーシング22aの長手方向の両側にそれぞれ配置される。カバー部材23a,23bはそれぞれ、循環機構50a,50b,50c,50dを覆う。カバー部材23a,23bはそれぞれ、ケーシング22aの長手方向の両側に配置される。エンドシール27a,27bはそれぞれ、カバー部材23a,23bの長手方向の両側に配置される。一方の位置決め部材43a、カバー部材23aおよびエンドシール27aは、それぞれに設けられた貫通孔を利用して、複数のボルト26a,26b,26c,26dによりケーシング22aに連結されている。他方の位置決め部材、カバー部材23bおよびエンドシール27bは、それぞれに設けられた貫通孔を利用して、複数のボルトによりケーシング22aに連結されている。
【0042】
次に、上記した直動案内ユニット10aのスライダ21aの組み立て方法について、簡単に説明する。まず、板状部材を用いて、カバー部材23a,23b、循環機構50a,50b,50c,50dを構成する各部品および保持板41a,41bをプレス加工または絞り加工により形成する。そして、循環機構50a,50b,50c,50dをケーシング22aに取り付け、ローラ20a,20b,20c,20dを充填後、保持板41a,41bを取り付ける。その後、予め準備した一対の位置決め部材43aと、カバー部材とをケーシング22aに取り付ける。その後、エンドシール27a,27bをボルト26a,26b,26c,26dによりケーシング22aに取り付ける。このようにして、スライダ21aを組み立てる。
【0043】
上記直動案内ユニット10aによると、第1循環部材51aは、第2軌道面32aと連なり、ローラ20aの転動面30aを案内する第1下案内面66aを含む一体型の第1下循環部品53aと、第1下案内面66aと反対側においてローラ20aの転動面30aを案内する第1上案内面71aを含む一体型の第1上循環部品54aと、を組み合わせて構成されている。また、第2循環部材52aは、第2軌道面32aと連なり、ローラ20aの転動面30aを案内する第2下案内面を含む一体型の第2下循環部品55aと、第2下案内面と反対側においてローラ20aの転動面30aを案内する第2上案内面を含む一体型の第2上循環部品56aと、を組み合わせて構成されている。このような構成によると、複数のローラ20aが循環する環状路内において、ローラ20aが軌道路31aから方向転換路37a,38aに入り込む際に、ローラ20aの転動面30aが一体型の第1下循環部品53aに含まれる第1下案内面66aおよび一体型の第1上循環部品54aに含まれる第1上案内面71aによって案内されることとなる。そうすると、第1循環部材51a内に形成されるローラ20aの経路において、ローラ20aの転動面30aが部材を組み合わせた際に生ずる繋ぎ目部分を通過することはなくなる。したがって、第1下案内面66aおよび第1上案内面71aによってローラ20aを適切に案内して、ローラ20aの円滑な循環を確保することができる。第2循環部材52a内に形成されるローラ20aの経路をローラ20aが通過する際も同様である。その結果、ローラ20aの循環路内における循環を円滑にして、スライダ21aの摺動性の向上を図ることができる。
【0044】
本実施形態においては、循環機構50a,50b,50c,50dの材質は、金属製である。よって、耐薬品性や耐熱性を向上させることができる。このような直動案内ユニット10aは、より用途を広くすることができる。なお、ケーシング22aについても金属製とすることにより、より耐薬品性や耐熱性を向上させることができ、さらに用途を広くすることができる。
【0045】
本実施形態においては、循環機構50a,50b,50c,50dは、板状部材の折り曲げ加工または絞り加工のうちの少なくともいずれか一方により形成されている。よって、生産性を向上することができると共に、コストダウンを図ることができる。また、このような構成によると、ケーシング貫通孔34a内にリターン路33aが配置される際に、ケーシング貫通孔34aの内壁面35aとリターン路33aとの接触する部分を小さくすることができる。したがって、循環機構50a、特にリターン路33aの変形を抑制することができ、リターン路33a内を循環するローラ20aの移動が阻害されるおそれを低減することができる。
【0046】
本実施形態においては、第1循環部材51aと第2循環部材52aとは、第1の嵌合構造65aにより嵌合されている。よって、第1循環部材51aと第2循環部材52aとが接続されて形成されるリターン路33aの接続をより適切に行うことができる。したがって、ローラ20aのより円滑な循環を確保することができる。
【0047】
本実施形態においては、第1下循環部品53aと第1上循環部品54aおよび第2下循環部品55aと第2上循環部品56aは、第2の嵌合構造59aにより組み合わされている。よって、第1下循環部品53aと第1上循環部品54aおよび第2下循環部品55aと第2上循環部品56aは、第2の嵌合構造59aによって、より適切に組み合わせることができる。したがって、ローラ20a,20bのより円滑な循環を確保することができる。
【0048】
本実施形態において、スライダ21aは、ケーシング22aに取り付けられ、循環機構50a,50b,50c,50dの位置決めを行う位置決め部材43aを含む。よって、循環機構50a,50bをより安定して適切な位置に保持することができる。したがって、よりローラ20a,20bの円滑な循環を確保することができる。
【0049】
本実施形態において、スライダ21aは、ケーシング22aに取り付けられ、循環機構50a,50b,50c,50dを覆うカバー部材23a,23bを含む。よって、循環機構50a,50b,50c,50dが配置される位置から環状路内に異物が混入するおそれを低減することができる。
【0050】
本実施形態において、スライダ21aは、板状の部材を折り曲げて形成されており、ローラ20a,20b,20c,20dをケーシング22aに保持させる保持板41a,41bを含む。よって、ローラ20a,20bを安定してケーシング22aに保持させることができる。この場合、保持板41a,41bは、板状の部材を折り曲げて形成されているため、生産性が良好であり、コストダウンを図ることができる。
【0051】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図13は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの循環機構に含まれる第1循環部材を示す概略斜視図である。図14は、図13に示す第1循環部材に含まれる第1下循環部品を示す概略斜視図である。図15は、図13に示す第1循環部材に含まれる第1上循環部材を示す概略斜視図である。
【0052】
まず、図13図15を参照して、実施の形態2における直動案内ユニットのスライダに含まれる循環機構の第1循環部材51eは、第1下循環部品53eと、第1上循環部品54eと、を含む。第1下延在部67eおよび第1下折り返し部68eを含む第1下循環部品53eは、平板状の第1部分と、第1部分の両端部から垂直な方向に延びる平板状の第2部分および平板状の第3部分を含む。第1部分のうちの内側に位置する面が、第1下案内面66eとなる。第1上延在部72eおよび第1上折り返し部73eを含む第1上循環部品54eは、平板状の第1部分と、第1部分の両端部から垂直な方向に延びる平板状の第2部分および平板状の第3部分を含む。第1部分のうちの内側に位置する面が、第1上案内面71eとなる。そして、リターン路が位置する領域において、長手方向に間隔をあけて3つの円板状部材76e,77e,78eが取り付けられている。この円板状部材76e,77e,78eの外径は、ケーシング貫通孔34aに嵌合できる大きさである。すなわち、実施の形態2における直動案内ユニットのスライダに含まれる循環機構50eは、ケーシング貫通孔34aと嵌合する第3の嵌合構造79eを有する(図13および図14参照)。このようにすることにより、ケーシング貫通孔内34aにおいて、リターン路をより安定して保持することができる。したがって、よりローラ20aの円滑な循環を確保することができる。
【0053】
(他の実施の形態)
なお、本開示の直動案内ユニットについては、以下の構成としてもよい。図16は、循環機構の一例を示す概略斜視図である。図16を参照して、リターン路81a、第1の方向転換路82aおよび第2の方向転換路83aを含む循環機構80aは、パイプ状の一体型としてもよい。この場合、例えば、1枚の金属製のパイプを折り曲げて形成してもよい。
【0054】
図17は、図16に示す循環部材を備える直動案内ユニットに含まれるスライダの一例を示す概略斜視図である。図17を参照して、本開示の直動案内ユニットに備えられ、ケーシング22bを含むスライダ21bに含まれる循環機構80a,80b,80c,80dは、金属製のパイプから構成されている。パイプから構成される循環機構80b,80dの一部は、ケーシング22bのX方向の両側面に設けられた掘り込み部84b,85b内に配置されている。このような構成によっても、ローラを円滑に循環させて、スライダの摺動性を向上することができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、エンドシールを含まない構成としてもよい。また、エンドシールについて、耐熱性が高いものを用いると、より耐熱性の向上を図ることができる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
10a 直動案内ユニット、11a レール、12a レール上端面、12b レール下端面、13a 第1レール側面、13b 第2レール側面、14a レール前端面、14b レール後端面、15a,15b 第1軌道溝、16a,16b,16c,16d 第1軌道面、17a,17b 側壁面、18 貫通孔、20a,20b,20c,20d ローラ、21a,21b スライダ、22a,22b ケーシング、23a,23b カバー部材、24a 凹部、25 取り付け穴、26a,26b,26c,26d,42a,42b ボルト、27a,27b エンドシール、28a,28b 袖部、29 ベース部、31a,31b,31c,31d 軌道路、32a,32b,32c,32d 第2軌道面、33a,33b,33c,33d,81a リターン路、34a,34b,34c,34d ケーシング貫通孔、35a 内壁面、37a,37b,82a 方向転換路(第1の方向転換路)、38a,38b,83a 方向転換路(第2の方向転換路)、41a,41b 保持板、43a 位置決め部材、44a ガイド部、50a,50b,50c,50d,80a,80b,80c,80d 循環機構、51a,51b,51c,51d,51e 第1循環部材、52a,52b 第2循環部材、53a,53b,53c,53d,53e 第1下循環部品、54a,54b,54c,54d,54e 第1上循環部品、55a,55b 第2下循環部品、56a,56b 第2上循環部品、57a,58a 端部、59a 第2の嵌合構造、61a 第1ストレート部、62a 第2ストレート部、63a,64a 先端部、65a 第1の嵌合構造、66a,66e 第1下案内面、67a,67e 第1下延在部、68a,68e 第1下折り返し部、71a,71e 第1上案内面、72a,72e 第1上延在部、73a,73e 第1上折り返し部、76e,77e,78e 円板状部材、79e 第3の嵌合構造、84b,85b 掘り込み部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17