(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127821
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
F16C 29/06 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
F16C29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031738
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 健一郎
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA04
3J104AA23
3J104AA34
3J104AA66
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA22
3J104BA23
3J104BA33
3J104DA16
(57)【要約】
【課題】軽量化を図ることができ、部品数の増加を抑えながら他の部材の外筒への取り付け性の向上を図ることができる直動案内ユニットを提供する。
【解決手段】直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有し、長手方向に貫通する軸貫通孔が設けられたスプライン軸と、スプライン軸に相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有する外筒と、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備える。外筒は、軌道路と並行するリターン路およびリターン路と軌道路とを接続する方向転換路を含むエンドキャップと、リターン路の外径側に配置される一体型の軌道部品と、を含む。軌道部品は、第2軌道面が設けられた内径面を有する筒状部と、筒状部の外径面から外径側に突出するフランジ部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1軌道面を有し、前記長手方向に貫通する軸貫通孔が設けられたスプライン軸と、
前記スプライン軸に相対移動可能に取り付けられ、前記第1軌道面に対向する第2軌道面を有する外筒と、
前記第1軌道面と前記第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備え、
前記外筒は、
前記軌道路と並行するリターン路および前記リターン路と前記軌道路とを接続する方向転換路を含むエンドキャップと、
前記リターン路の外径側に配置される一体型の軌道部品と、を含み、
前記軌道部品は、
前記第2軌道面が設けられた内径面を有する筒状部と、
前記筒状部の外径面から外径側に突出するフランジ部と、を含む、直動案内ユニット。
【請求項2】
前記軌道部品は、前記フランジ部から外径側に突出し、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部をさらに含む、請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記突出部の外径面は、前記長手方向に見て、円弧面を含む、請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記突出部の外径面は、前記長手方向に見て、平面を含む、請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記軌道部品は、前記突出部の先端から前記長手方向に沿って延びる延出部をさらに含む、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記延出部の先端は、径方向に折り曲げられている、請求項5に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記フランジ部には、前記長手方向に貫通するフランジ貫通孔が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記エンドキャップは、前記長手方向に分割可能な第1部品および第2部品を組み合わせて構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記第1部品と前記第2部品とは、スナップ嵌合により組み合わされている、請求項8に記載の直動案内ユニット。
【請求項10】
前記エンドキャップは、前記長手方向において前記軌道部品の両側に一対設けられており、
前記一対のエンドキャップは、スナップ嵌合により組み合わされている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項11】
前記スプライン軸は、
前記長手方向の中央に位置する第1領域と、
前記長手方向において前記第1領域よりも前記スプライン軸の端部側に位置する第2領域と、を含み、
前記第1領域は、
前記長手方向に延びる第1平板部と、
前記長手方向に見て前記第1平板部の端部から延び、前記外筒の外径面に沿って湾曲し、前記第2軌道面が設けられた第1湾曲部と、を含み、
前記第2領域は、
前記長手方向に延びる第2平板部と、
前記長手方向に見て前記第2平板部の端部から延び、前記外筒の外径面に沿って湾曲し、前記軸貫通孔を形成する第2湾曲部と、を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直動案内ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールスプライン軸と、ボールスプライン軸に対して摺動可能なスライダと、を備えるフランジカバー付きの直動案内装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、スプライン軸と、スプライン軸に対して摺動可能なスライダと、を含む直動案内装置において、軽量化が求められている。また、摺動可能な外筒とも呼ばれるスライダについて、外筒を含めた直動案内ユニットを構成する部品の数の増加をできるだけ抑えると共に、外筒と共に摺動させる部材の外筒への取り付けやすさの向上も求められている。特許文献1に開示の技術では、十分に対応することができない。
【0005】
そこで、軽量化を図ることができ、部品数の増加を抑えながら他の部材の外筒への取り付け性の向上を図ることができる直動案内ユニットを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有し、長手方向に貫通する軸貫通孔が設けられたスプライン軸と、スプライン軸に相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有する外筒と、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備える。外筒は、軌道路と並行するリターン路およびリターン路と軌道路とを接続する方向転換路を含むエンドキャップと、リターン路の外径側に配置される一体型の軌道部品と、を含む。軌道部品は、第2軌道面が設けられた内径面を有する筒状部と、筒状部の外径面から外径側に突出するフランジ部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記直動案内ユニットによれば、軽量化を図ることができ、部品数の増加を抑えながら他の部材の外筒への取り付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す直動案内ユニットの要部を拡大して示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す直動案内ユニットの要部において、一部の部材を破線で示した概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す直動案内ユニットにおいて一部の部材を省略した状態を示す概略正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す直動案内ユニットを長手方向に垂直な平面で切断した場合の概略断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す直動案内ユニットに含まれる外筒の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す直動案内ユニットに含まれる後述の軌道部品を長手方向に見た図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略正面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に示す軌道部品において、外径側に折り曲げ部を形成した場合の概略側面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態3における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態4における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す軌道部品を含む直動案内ユニットの外筒に摺動部材を取り付けた状態の一部を示す概略斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態5における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施の形態6における直動案内ユニットの概略斜視図である。
【
図17】
図17は、
図16に示す直動案内ユニットに含まれるスプライン軸およびボールを示す概略正面図である。
【
図18】
図18は、
図15に示す直動案内ユニットに含まれるスプライン軸の一部を拡大して示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示の直動案内ユニットは、長手方向に延びる第1軌道面を有し、長手方向に貫通する軸貫通孔が設けられたスプライン軸と、スプライン軸に相対移動可能に取り付けられ、第1軌道面に対向する第2軌道面を有する外筒と、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、を備える。外筒は、軌道路と並行するリターン路およびリターン路と軌道路とを接続する方向転換路を含むエンドキャップと、リターン路の外径側に配置される一体型の軌道部品と、を含む。軌道部品は、第2軌道面が設けられた内径面を有する筒状部と、筒状部の外径面から外径側に突出するフランジ部と、を含む。
【0010】
このような直動案内ユニットによると、スプライン軸には、長手方向に貫通する軸貫通孔が設けられているため、直動案内ユニットを構成するスプライン軸の軽量化を図ることができる。また、外筒に含まれる軌道部品のフランジ部が外径側に突出しているため、このフランジ部を利用して、外筒と共に摺動させる他の部材である摺動部材を取り付けることができる。したがって、取り付け性の向上を図ることができる。この場合、軌道部品は一体型であるため、取り付け性の向上を図る機構を設けるに際し、部品数の増加を抑制することができる。以上より、このような直動案内ユニットによると、軽量化を図ることができ、部品数の増加を抑えながら他の部材の外筒への取り付け性の向上を図ることができる。
【0011】
上記直動案内ユニットにおいて、フランジ部から外径側に突出し、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部をさらに含んでもよい。このようにすることにより、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部を有効利用して、外筒と共に摺動させる摺動部材の外筒への取り付け性の向上をさらに図ることができる。
【0012】
上記直動案内ユニットにおいて、突出部の外径面は、長手方向に見て、円弧面を含んでもよい。このようにすることにより、例えば外筒と共に摺動させる摺動部材が丸穴状の領域を有し、丸穴状の領域の内径面が上記円弧面に沿う形状である場合に、円弧面を含む突出部の外径面と丸穴状の領域の内径面とを嵌め合わせて、より取り付け性の向上を図ることができる。この場合、スプライン軸の中心と摺動部材との同心度をよりよくすることができる。
【0013】
上記直動案内ユニットにおいて、突出部の外径面は、長手方向に見て、平面を含んでもよい。このようにすることにより、例えば外筒と共に摺動させる摺動部材が平面を含む穴状の領域を有し、穴状の領域の内径面が上記平面に沿う形状である場合に、平面を含む突出部の外径面と穴状の領域の内径面とを嵌め合わせて、より取り付け性の向上を図ることができる。この場合、周方向のずれを抑制して、スプライン軸の中心軸を回転中心とした摺動部材の回り止めの効果を発揮することもできる。
【0014】
上記直動案内ユニットにおいて、軌道部品は、突出部の先端から長手方向に沿って延びる延出部をさらに含んでもよい。このようにすることにより、例えば筒状部の外径面と延出部との径方向の間に摺動部材を挟み込んで摺動部材を保持することができ、外筒に取り付けられた摺動部材が外筒から離脱するおそれを低減することができる。ここで長手方向に沿ってとは、必ずしも長手方向に平行に延出することに限定されず、長手方向に対して若干傾斜していてもよい。
【0015】
上記直動案内ユニットにおいて、延出部の先端は、径方向に折り曲げられていてもよい。このようにすることにより、この折り曲げ部を有効利用して、適切に摺動部品を外筒に取り付けることができる。
【0016】
上記直動案内ユニットにおいて、フランジ部には、長手方向に貫通するフランジ貫通孔が設けられていてもよい。このようにすることにより、フランジ貫通孔を利用して、ボルト等により外筒と共に摺動する摺動部材を固定することができる。したがって、さらに確実に外筒に摺動部材を取り付けることができる。
【0017】
上記直動案内ユニットにおいて、エンドキャップは、長手方向に分割可能な第1部品および第2部品を組み合わせて構成されていてもよい。このように、2つの部品を組み合わせることにより、エンドキャップに含まれる方向転換路等を容易に形成することができる。したがって、生産性の向上を図ることができる。
【0018】
上記直動案内ユニットにおいて、第1部品と第2部品とは、スナップ嵌合により組み合わされていてもよい。このようにすることにより、より容易に第1部品と第2部品とを組み合わせてエンドキャップを形成することができる。また、組み合わせた第1部品と第2部品が容易に分離することを抑制することができる。さらにスナップ嵌合させた第1部品と第2部品との嵌合状態を解除して、組み合わせたエンドキャップの分解も行うことができる。
【0019】
上記直動案内ユニットにおいて、エンドキャップは、長手方向において軌道部品の両側に一対設けられていてもよい。一対のエンドキャップは、スナップ嵌合により組み合わされていてもよい。このようにすることにより、一対のエンドキャップを、スナップ嵌合により組み合わせて、エンドキャップに含まれるリターン路等を容易に形成することができる。また、組み合わせた一対のエンドキャップが容易に分離することを抑制することができる。さらにスナップ嵌合させた一対のエンドキャップの嵌合状態を解除して、組み合わせたそれぞれのエンドキャップの分解も行うことができる。
【0020】
上記直動案内ユニットにおいて、スプライン軸は、長手方向の中央に位置する第1領域と、長手方向において第1領域よりもスプライン軸の端部側に位置する第2領域と、を含んでもよい。第1領域は、長手方向に延びる第1平板部と、長手方向に見て第1平板部の端部から延び、外筒の外径面に沿って湾曲し、第2軌道面が設けられた第1湾曲部と、を含んでもよい。第2領域は、長手方向に延びる第2平板部と、長手方向に見て第2平板部の端部から延び、外筒の外径面に沿って湾曲し、軸貫通孔を形成する第2湾曲部と、を含んでもよい。このようにすることにより、スプライン軸の軽量化を図ることができるため、直動案内ユニットのさらなる軽量化を図ることができる。また、このような構成のスプライン軸は、例えば一枚の板状部材をプレス加工することにより形成することができるため、コストダウンを図ることも容易である。
【0021】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0022】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図2は、
図1に示す直動案内ユニットの要部を拡大して示す概略斜視図である。
図3は、
図2に示す直動案内ユニットの要部において、一部の部材を破線で示した概略斜視図である。
図4は、
図1に示す直動案内ユニットにおいて一部の部材を省略した状態を示す概略正面図である。
図5は、
図1に示す直動案内ユニットを長手方向に垂直な平面で切断した場合の概略断面図である。
図5は、
図2に示す直動案内ユニットの断面を、矢印V-Vの向きに見た概略断面図である。
図6は、
図1に示す直動案内ユニットに含まれる外筒の分解斜視図である。
図7は、
図1に示す直動案内ユニットに含まれる後述の軌道部品を長手方向に見た図である。なお、
図6において、理解を容易にする観点から、転動体としてのボールを併せて図示している。
図1および以下に示す図において、X方向およびZ方向は、長手方向から見た場合のスプライン軸の中心からの径方向を示す。すなわち、X方向およびZ方向は、スプライン軸の中心軸の方向をY方向とした場合の方向である。Y方向は、直動案内ユニットの長手方向を示す。X方向は、長手方向に垂直な平面において、Z方向と直交する方向である。
【0023】
図1~
図7を参照して、本開示の実施の形態1における直動案内ユニット10aは、スプライン軸11aと、外筒21aと、転動体としての複数のボール20aと、を含む。スプライン軸11aは、長手方向であるY方向に真っ直ぐに延びる構成である。実施の形態1における直動案内ユニット10aは、転動体として複数のボール20aを含むことにより、例えば転動体がローラである場合と比較して、比較的シンプルな構成とすることができる。このような直動案内ユニット10aは、工作機械や組み立て装置、搬送機械等において、直動案内ユニット10aの軽量化が望まれる場合に好適に用いられる。また、複数の直動案内ユニット10aを準備して並列に配置し、外筒21aと共に摺動させる1つの摺動部材に対してそれぞれの外筒21aを取り付けて使用することもできる。
【0024】
まず、スプライン軸11aの構成について説明する。スプライン軸11aは、外径面12aと、Y方向に間隔をあけて配置される軸端面13a,14aと、を含む。スプライン軸11aには、前側の端面である一方の軸端面13aから後側の端面である他方の軸端面14aに至るまで長手方向に延びる軸貫通孔15aが設けられている。すなわち、軸貫通孔15aは、中空円筒状であって、長手方向(Y方向)に貫通している。スプライン軸11aの外径面12aは、長手方向にそれぞれ延びる複数の第1軌道面16a,17aを有する。第1軌道面16a,17aはそれぞれ、転動体であるボール20aの外形形状に沿って、長手方向に見て半円弧状に外径面12aから内径側に凹むように溝状に設けられている。本実施形態においては、一方の第1軌道面16aを180度回転させた位置に、他方の第1軌道面17aが位置する構成である。第1軌道面16a,17aは、長手方向のスプライン軸11aの両端部に至るまで設けられている。スプライン軸11aの軸端面13a,14aの外形形状は、第1軌道面16a,17aが設けられている領域を除き、長手方向に見て円形状である。なお、第1軌道面16a,17aについては、軸端面13a,14aまで至らない構成であってもよい。
【0025】
次に、外筒21aの構成について説明する。外筒21aは、スプライン軸11aに相対移動可能に取り付けられる。すなわち、外筒21aは、スプライン軸11aに対してY方向に直線往復運動することができる。外筒21aは、外筒21aに取り付けられる他の部材である摺動部材と共に、長手方向(Y方向)に摺動する。外筒21aは、第1軌道面16a,17aにそれぞれ対向する第2軌道面26a,27aを有する。外筒21aは、軌道部品22aと、エンドキャップ(第1エンドキャップ)23aと、エンドキャップ(第2エンドキャップ)24aと、を含む。すなわち、外筒21aは、一対のエンドキャップ23a,24aを含む。一対のエンドキャップ23a,24aは、後述する軌道路18a,19aと並行するリターン路35a,45aおよびリターン路35a,45aと軌道路とを接続する方向転換路33a,43aを含む。エンドキャップ23a,24aは、樹脂製である。本実施形態においては、エンドキャップ23a,24aの材質は、ポリアセタール(POM(Polyoxymethylene))である。なお、エンドキャップ23a,24aの材質は、ポリアミド(PA(Polyamide))、ポリプロピレン(PP(Polypropylene))、ポリフェニレンサルファイド(PPS(Polyphenylenesulfide))またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK(Polyetheretherketone))であってもよい。エンドキャップ23a,24aの材質は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される少なくとも1つの樹脂を含むこととしてもよい。
【0026】
次に、一方のエンドキャップである第1エンドキャップ23aの構成について説明する。第1エンドキャップ23aは、第1部品31aと、第2部品32aと、を含む。本実施形態においては、第1エンドキャップ23aは、長手方向に分割可能な第1部品31aおよび第2部品32aを組み合わせて構成されている。第1部品31aは、第2部品32aよりも軸方向(長手方向)の外側、すなわち、スプライン軸11aの前側の端面である一方の軸端面13a側に設けられている。第1部品31aおよび第2部品32aにはそれぞれ、スプライン軸11aが通る貫通孔が設けられている。第1部品31aには、方向転換路33aの一部が設けられている。第1部品31aには、長手方向に延び、先端が外径側に突出する第1爪部34aが設けられている。第2部品32aには、方向転換路33aの残部と、リターン路35a,45aの一部が設けられている。第2部品32aには、第1爪部34aとスナップ嵌合する第1嵌合穴36aが設けられている。第1部品31aは、第1爪部34aを含む領域を弾性変形させて第2部品32aの第1嵌合穴36aに嵌め込んでスナップ嵌合することにより、第2部品32aに取り付けられている。すなわち、第1部品31aと第2部品32aとは、スナップ嵌合により組み合わされている。また、第2部品32aには、長手方向に延び、先端が外径側に突出する第2爪部37aが設けられている。また、第2部品32aには、後述する第2爪部47aに嵌合する第2嵌合穴38aが設けられている。
【0027】
他方のエンドキャップである第2エンドキャップ24aは、第1部品41aと、第2部品42aと、を含む。本実施形態においては、第2エンドキャップ24aは、長手方向に分割可能な第1部品41aおよび第2部品42aを組み合わせて構成されている。第1部品41aは、第2部品42aよりも軸方向(長手方向)の外側、すなわち、スプライン軸11aの後側の端面である他方の軸端面14a側に設けられている。第1部品41aおよび第2部品42aにはそれぞれ、スプライン軸11aが通る貫通孔が設けられている。第1部品41aには、方向転換路43aの一部が設けられている。第1部品41aには、長手方向に延び、先端が外径側に突出する第1爪部44aが設けられている。第2部品42aには、方向転換路43aの残部と、リターン路35a,45aの残部が設けられている。第2部品42aには、第1爪部44aとスナップ嵌合する第1嵌合穴46aが設けられている。第1部品41aは、第1爪部44aを含む領域を弾性変形させて第2部品42aの第1嵌合穴46aに嵌め込んでスナップ嵌合することにより、第2部品42aに取り付けられている。すなわち、第1部品41aと第2部品42aとは、スナップ嵌合により組み合わされている。また、第2部品42aには、長手方向に延び、先端が外径側に突出する第2爪部47aが設けられている。また、第2部品42aには、第2爪部37aに嵌合する第2嵌合穴48aが設けられている。
【0028】
第1エンドキャップ23aは、上記したように第1部品31aと第2部品32aとをスナップ嵌合により組み合わせて構成されている。具体的には、第1部品31aの第1爪部34aと第2部品32aの第1嵌合穴36aとをスナップ嵌合させることにより、第1部品31aと第2部品32aとを組み合わせて第1エンドキャップ23aを形成している。第2エンドキャップ24aは、第1部品41aと第2部品42aとをスナップ嵌合により組み合わせて構成されている。具体的には、第1部品41aの第1爪部44aと第2部品42aの第1嵌合穴46aとをスナップ嵌合させることにより、第1部品41aと第2部品42aとを組み合わせて第2エンドキャップ24aを形成している。
【0029】
このように、2つの部品、すなわち、第1部品31aと第2部品32aとを組み合わせることにより、第1エンドキャップ23aに含まれる方向転換路33a等を容易に形成することができる。したがって、生産性の向上を図ることができる。また、このようにスナップ嵌合を利用することにより、より容易に第1部品31aと第2部品32aとを組み合わせて第1エンドキャップ23aを形成することができる。また、組み合わせた第1部品31aと第2部品32aが容易に分離することを抑制することができる。さらにスナップ嵌合させた第1部品31aと第2部品32aとの嵌合状態を解除して、組み合わせた第1エンドキャップ23aの分解も行うことができる。第1部品41aと第2部品42aとをスナップ嵌合させて形成される第2エンドキャップ24aについても同様である。
【0030】
そして、長手方向において軌道部品22aの両側に一対設けられるエンドキャップである第1エンドキャップ23aおよび第2エンドキャップ24aは、第2爪部37aと第2嵌合穴48aとをスナップ嵌合させ、第2爪部47aと第2嵌合穴38aとをスナップ嵌合させることにより組み合わされている。第1エンドキャップ23aおよび第2エンドキャップ24aを組み合わせて、リターン路35a,45a等が形成される。
【0031】
このようにすることにより、一対のエンドキャップ23a,24aを、スナップ嵌合により組み合わせて、エンドキャップ23a,24aに含まれるリターン路35a,45a等を容易に形成することができる。また、組み合わせた一対のエンドキャップ23a,24aが容易に分離することを抑制することができる。さらにスナップ嵌合させた一対のエンドキャップ23a,24aの嵌合状態を解除して、組み合わせたそれぞれのエンドキャップ23a,24aの分解も行うことができる。
【0032】
次に、軌道部品22aの構成について説明する。軌道部品22aは、一体型である。軌道部品22aは、例えば金属製である。本実施形態においては、軌道部品22aの材質は、クロムモリブデン鋼(SCM415)である。なお、軌道部品22aの材質は、冷間圧延鋼(SPCC)、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)またはマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS420J2)であってもよい。軌道部品22aは、クロムモリブデン鋼、冷間圧延鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むこととしてもよい。また、軌道部品22aの材質としてクロムモリブデン鋼または冷間圧延鋼を選択した場合、クロムモリブデン鋼または冷間圧延鋼に対して、浸炭焼入焼戻処理、浸炭窒化焼入焼戻処理、浸窒焼入焼戻処理、窒化処理または軟窒化処理を施してもよい。軌道部品22aの材質としてオーステナイト系ステンレス鋼またはフェライト系ステンレス鋼を選択した場合、オーステナイト系ステンレス鋼またはフェライト系ステンレス鋼に対して、窒化処理または軟窒化処理を施してもよい。軌道部品22aの材質としてマルテンサイト系ステンレス鋼を選択した場合、マルテンサイト系ステンレス鋼に対して、真空焼入焼戻処理、窒化処理または軟窒化処理を施してもよい。軌道部品22aは、例えば一枚の金属板にプレス加工や絞り加工を施し、所定の形状に打ち抜くことにより製造される。
【0033】
軌道部品22aは、第2軌道面26a,27aが設けられた内径面28aを有する筒状部51aと、筒状部51aの外径面29aから外径側に突出するフランジ部52aと、を含む。筒状部51aは、長手方向に見て、中央領域において、長手方向に貫通する軌道部品貫通孔53aが設けられている。スプライン軸11aは、軌道部品貫通孔53aを通る。軌道部品貫通孔53aを構成する内径面28aに、第2軌道面26a,27aが形成されている。第2軌道面26a,27aはそれぞれ、転動体であるボール20aの外形形状に沿って、長手方向に見て半円弧状に内径面28aから外径側に凹むように溝状に設けられている。第2軌道面26a,27aは、対向して配置される。筒状部51aの内径面28aの一部が、スプライン軸11aの外径面12aと対向する。筒状部51aは、リターン路35a,45aの外径側に配置される。
【0034】
複数のボール20aは、第1軌道面16aと第2軌道面26aとから構成される軌道路18aを転動する(特に
図5参照)。また、複数のボール20aは、第1軌道面17aと第2軌道面27aとから構成される軌道路19aを転動する。
【0035】
フランジ部52aは、環状に連なっている。フランジ部52aは、筒状部51aから径方向外側に向かって延びる形状である。フランジ部52aは、例えば1枚の金属板に絞り加工を施した後に、平板状の部分を残して打ち抜くことにより形成することができる。
【0036】
軌道部品22aは、フランジ部52aから外径側に突出し、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部61a,62a,63a,64aを含む。本実施形態においては、突出部61a,62a,63a,64aは周方向に間隔をあけて合計4つ設けられている。各突出部61a,62a,63a,64aはそれぞれ帯状であり、長手方向に見て90度間隔で配置されている。
【0037】
長手方向に見て、突出部61a,62a,63a,64aの外径面66a,67a,68a,69aは、円弧面を含む。本実施形態においては、外径面66a,67a,68a,69aは、円弧面である。外径面66a,67a,68a,69aの円弧面はそれぞれ、スプライン軸11aの外径面12aに沿った形状であり、径方向外側に膨らむような円弧面である。
【0038】
軌道部品22aは、突出部61a,62a,63a,64aの先端から長手方向に沿って延びる延出部71a,72a,73a,74aを含む。延出部71a,72a,73a,74aは、突出部61a,62a,63a,64aの先端から筒状部51aが配置される位置側に延びるように設けられている。本実施形態においては、突出部61a,62a,63a,64aを長手方向に折り曲げるようにして、延出部71a,72a,73a,74aが形成されている。
【0039】
延出部71a,72a,73a,74aの先端は、径方向に折り曲げられている。すなわち、延出部71a,72a,73a,74aは、先端が径方向に折り曲げられた折り曲げ部76a,77a,78a,79aを含む。本実施形態においては、折り曲げ部76a,77a,78a,79aは、延出部71a,72a,73a,74aの先端を外径側にやや折り曲げるようにして形成されている。
【0040】
上記直動案内ユニット10aによると、スプライン軸11aには、長手方向に貫通する軸貫通孔15aが設けられているため、直動案内ユニット10aを構成するスプライン軸11aの軽量化を図ることができる。また、外筒21aに含まれる軌道部品22aのフランジ部52aが外径側に突出しているため、このフランジ部52aを利用して、外筒21aと共に摺動させる他の部材である摺動部材を取り付けることができる。したがって、取り付け性の向上を図ることができる。この場合、軌道部品22aは一体型であるため、取り付け性の向上を図る機構を設けるに際し、部品数の増加を抑制することができる。以上より、このような直動案内ユニット10aによると、軽量化を図ることができ、部品数の増加を抑えながら他の部材の外筒21aへの取り付け性の向上を図ることができる。
【0041】
本実施形態においては、フランジ部52aから外径側に突出し、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部61a,62a,63a,64aを含む。よって、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部61a,62a,63a,64aを有効利用して、外筒21aと共に摺動させる摺動部材の外筒21aへの取り付け性の向上をさらに図ることができる。
【0042】
本実施形態においては、突出部61a,62a,63a,64aの外径面66a,67a,68a,69aは、長手方向に見て、円弧面を含む。よって、例えば外筒21aと共に摺動させる摺動部材が丸穴状の領域を有し、丸穴状の領域の内径面が上記円弧面に沿う形状である場合に、円弧面を含む突出部61a,62a,63a,64aの外径面66a,67a,68a,69aと丸穴状の領域の内径面とを嵌め合わせて、より取り付け性の向上を図ることができる。この場合、スプライン軸11aの中心と摺動部材との同心度をよりよくすることができる。
【0043】
本実施形態においては、軌道部品22aは、突出部61a,62a,63a,64aの先端から長手方向に沿って延びる延出部71a,72a,73a,74aを含む。このようにすることにより、例えば筒状部51aの外径面29aと延出部71a,72a,73a,74aとの径方向の間に摺動部材を挟み込んで摺動部材を保持することができ、外筒21aに取り付けられた摺動部材が外筒21aから離脱するおそれを低減することができる。
【0044】
本実施形態においては、延出部71a,72a,73a,74aの先端は、径方向に折り曲げられている。よって、この折り曲げ部76a,77a,78a,79aを有効利用して、適切に摺動部品を外筒21aに取り付けることができる。本実施形態においては、摺動部材を筒状部51aの外径面29aと延出部71a,72a,73a,74aとの径方向の間に組み入れる時に、折り曲げ部76a,77a,78a,79aはが外径側に折り曲げられているため、摺動部材が延出部71a,72a,73a,74aと干渉せずに、円滑に摺動部材を外筒21aに取り付けることができる。この場合、延出部71a,72a,73a,74aと突出部61a,62a,63a,64aとの角度が90度よりも小さければ、摺動部材を筒状部51aの外径面29aと延出部71a,72a,73a,74aとの径方向の間に摺動部材を圧入することになるが、このような場合でも折り曲げ部76a,77a,78a,79aと摺動部材との干渉を避けて、摺動部材を適切に外筒21aに取り付けて保持することができる。
【0045】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図8は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略正面図である。実施の形態2における直動案内ユニットは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2の直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品は、突出部の外径面が平面を含む点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0046】
図8を参照して、実施の形態2の直動案内ユニットに備えられる外筒に含まれる軌道部品22bは、第2軌道面26a,27aが設けられた内径面28aを含む筒状部51aと、筒状部51aの外径面29aから外径側に突出するフランジ部52aと、を含む。軌道部品22bは、フランジ部52aから外径側に突出し、周方向に間隔をあけて配置される複数の突出部61b,62b,63b,64bを含む。突出部61b,62b,63b,64bの外径面66b,67b,68b,69bは、長手方向に見て、平面を含む。本実施形態においては、外径面66b,67b,68b,69bは、平面である。軌道部品22bは、突出部61b,62b,63b,64bの先端から長手方向に沿って延びる延出部71b,72b,73b,74bを含む。延出部71b,72b,73b,74bの先端は、径方向に折り曲げられている。すなわち、延出部71b,72b,73b,74bは、先端が径方向に折り曲げられた折り曲げ部76b,77b,78b,79bを含む。
【0047】
このようにすることにより、例えば外筒と共に摺動させる摺動部材が平面を含む穴状の領域を有し、穴状の領域の内径面が上記平面に沿う形状である場合に、平面を含む突出部61b,62b,63b,64bの外径面66b,67b,68b,69bと穴状の領域の内径面とを嵌め合わせて、より取り付け性の向上を図ることができる。この場合、周方向のずれを抑制して、スプライン軸11aの中心軸を回転中心とした摺動部材の回り止めの効果を発揮することもできる。
【0048】
なお、本実施形態において、軌道部品22bは、延出部の先端を径方向、具体的には内径側に折り曲げた折り曲げ部を含んでもよい。
図9は、実施の形態2に示す軌道部品において、外径側に折り曲げ部を形成した場合の概略側面図である。
図9を参照して、軌道部品22bにおいて、内径側に折り曲げ部76b,77b,78bが折り曲げられている場合には、筒状部51aと延出部71b,72b,73bとの間に配置された摺動部材を、折り曲げ部76b,77b,78bによって押さえ、長手方向の移動を規制することができる。したがって、このような場合にも、摺動部材が軌道部品22a、引いては外筒から脱落するおそれを大きく低減することができる。すなわち、
図9に示す形態によると、折り曲げ部76b,77b,78bを有効利用して、さらに確実に外筒に摺動部材を取り付けることができる。
【0049】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図10は、本開示の実施の形態3における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。実施の形態3における直動案内ユニットは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3の直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品は、突出部を含まず、フランジ部にフランジ貫通孔が設けられている点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0050】
図10を参照して、本開示の実施の形態3における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品22cは、第2軌道面26a,27aが設けられた内径面28aを含む筒状部51aと、筒状部51aの外径面29aから外径側に突出するフランジ部52cと、を含む。フランジ部52cは、環状に連なっている。実施の形態3における直動案内ユニットの軌道部品22cに含まれるフランジ部52cの径方向の長さは、実施の形態1における直動案内ユニットの軌道部品22aに含まれるフランジ部52aの径方向の長さよりも十分に長い。フランジ部52cの外形形状は、長手方向に見て、円形状である。
【0051】
フランジ部52cには、長手方向(Y方向)に貫通するフランジ貫通孔61c,62c,63c,64cが設けられている。フランジ貫通孔61c,62c,63c,64cは、複数、本実施形態においては4つ設けられている。4つのフランジ貫通孔61c,62c,63c,64cは、長手方向に見て90度間隔で設けられている。
【0052】
このようにすることにより、フランジ貫通孔61c,62c,63c,64cを利用して、ボルト等により外筒と共に摺動する摺動部材を固定することができる。したがって、さらに確実に外筒に摺動部材を取り付けることができる。
【0053】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図11は、本開示の実施の形態4における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。
図12は、
図11に示す軌道部品を含む直動案内ユニットの外筒に摺動部材を取り付けた状態の一部を示す概略斜視図である。
図13は、
図12に示す直動案内ユニットの要部を拡大して示す概略斜視図である。
図13において、外筒と共に摺動する摺動部材について、破線で示している。実施の形態4における直動案内ユニットは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態4の直動案内ユニットに含まれる軌道部品は、フランジ部の形状が実施の形態1の場合とは異なっている。
【0054】
図11、
図12および
図13を参照して、実施の形態4における直動案内ユニット10dの外筒21dに含まれる軌道部品22dは、第2軌道面26a,27aが設けられた内径面28aを含む筒状部51aと、筒状部51aの外径面29aから外径側に突出するフランジ部52dと、を含む。フランジ部52dは、長手方向に見て外径面29aの外径形状に沿って環状に連なっている。実施の形態4における直動案内ユニットの軌道部品22cに含まれるフランジ部52cにおいて、第2軌道面26aが設けられた領域の外径側は、他の領域よりも外径側に突き出た構造である。すなわち、この領域に設けられた部分が、フランジ部52dよりも外径側に突出した突出部61dとなる。図示はしないが、第2軌道面27aが設けられた領域の外径側にも突出部が設けられている。
【0055】
このような軌道部品22dを含む外筒21dに対して、摺動部材81dが以下のようにして取り付けられる。外径面82dの外形形状が長手方向に見て円形状である摺動部材81dは、中空円筒状の部材であって、一方の端面83dに、溝部84dが設けられている。本実施形態においては、溝部84dは、Z方向に延びるように設けられている。溝部84dは、対向する一対の側壁部85d,86dと、側壁部85d,86dのそれぞれと連なる底壁部87dと、を含む。底壁部87dに、スプライン軸11aが通る貫通孔が設けられている。
【0056】
側壁部85dには、
図11に示す軌道部品22dに含まれる突出部61dを受け入れる形状の受け入れ凹部88dが設けられている。受け入れ凹部88dが設けられている領域に、突出部61dが配置される。側壁部86dについても、突出部を受け入れる受け入れ凹部が設けられている。側壁部86dに形成された受け入れ凹部が設けられている領域に、第2軌道面27aが設けられた領域の外径側に形成された突出部が配置される。一対の側壁部85d,86dには、突出部61dが設けられていないフランジ部52dが接触する。
【0057】
このようにすることにより、軌道部品22dに対する摺動部材81dの回り止めを行いながら、より確実に軌道部品22d、引いては外筒21dに摺動部材81dを取り付けることができる。
【0058】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図14は、本開示の実施の形態5における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品を示す概略斜視図である。実施の形態5における直動案内ユニットは、基本的には実施の形態4の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態5の直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品は、フランジ部の形状が実施の形態4の場合とは異なっている。
【0059】
図14を参照して、本開示の実施の形態5における直動案内ユニットの外筒に含まれる軌道部品22eは、第2軌道面26a,27aが設けられた内径面28aを含む筒状部51aと、筒状部51aの外径面29aから外径側に突出するフランジ部52eと、を含む。実施の形態5における直動案内ユニットの軌道部品22eは、フランジ部52eから外径側に突出する複数の突出部61e,63eを含む。突出部61eは、実施の形態4における突出部61dと同じ位置に設けられている。突出部63eは、突出部61eをスプライン軸11aの回転中心軸を中心に90度回転させた位置に設けられている。突出部63eは、矩形状に突出している。
【0060】
このようにすることにより、フランジ部52eおよび複数の突出部61e,63eを有効利用して、外筒と共に摺動する摺動部材を固定することができる。
【0061】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。
図15は、本開示の実施の形態6における直動案内ユニットの概略斜視図である。
図16は、
図15に示す直動案内ユニットの概略正面図である。
図17は、
図16に示す直動案内ユニットに含まれるスプライン軸およびボールを示す概略正面図である。
図18は、
図15に示す直動案内ユニットに含まれるスプライン軸の一部を拡大して示す概略斜視図である。実施の形態6における直動案内ユニットは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態6の直動案内ユニットに含まれるスプライン軸の構成が、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0062】
図15~
図18を参照して、実施の形態6における直動案内ユニット10fは、長手方向に延びる第1軌道面16f,17fを有し、長手方向に貫通する軸貫通孔15fが設けられたスプライン軸11fと、スプライン軸11fに相対移動可能に取り付けられる外筒21aと、複数の転動体としてのボール20aと、を備える。外筒21aの構成については、実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
実施の形態6の直動案内ユニット10fに含まれるスプライン軸11fは、長手方向の中央に位置する第1領域91fと、長手方向において第1領域91fよりもスプライン軸の両端部側に位置する第2領域92f,93fと、を含む。第1領域91fと第2領域92f,93fとはそれぞれ、接続部90fによって接続されている。第1領域91fは、長手方向に延びる第1平板部94fと、長手方向に見て第1平板部94fの両端部からそれぞれ延び、外筒21aの外径面に沿って湾曲し、第1軌道面16a,17aがそれぞれ設けられる一対の第1湾曲部95f,96fを含む。この場合、第1平板部94fの上部側は、Z方向に開放されている。
【0064】
第2領域92f,93fは、長手方向に延びる第2平板部97fと、長手方向に見て第2平板部97fの両端部からそれぞれ延び、外筒21aの外径面に沿って湾曲し、軸貫通孔15fを形成する一対の第2湾曲部98f,99fと、を含む。この場合、軸貫通孔15fには、第2湾曲部98f,99fのうちの第2平板部97fと接続されていない側の端部同士の間にスリット80fが形成されている。
【0065】
このような直動案内ユニット10fによると、スプライン軸11fの軽量化を図ることができるため、直動案内ユニット10fのさらなる軽量化を図ることができる。また、このような構成のスプライン軸11fは、例えば一枚の板状部材、具体的には金属板を所定の形状に切り出して、プレス加工することにより形成することができるため、コストダウンを図ることも容易である。
【0066】
なお、上記の実施の形態において、第2領域については、スプライン軸のいずれか一方の端部に設けられる構成としてもよい。
【0067】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態において、転動体をボールであることとしたが、これに限らず、転動体は、ローラであってもよい。
【0068】
また、上記の実施の形態においては、1枚の金属板にプレス加工や絞り加工を施して、軌道部品やスプライン軸を製造することにしたが、これに限らず、軌道部品やスプライン軸は、削り加工により製造することにしてもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態においては、第1部品と第2部品とを組み合わせる際に、スナップ嵌合を用いることとしたが、これに限らず、例えば、第1部品と第2部品とを単に嵌め合わせることにして組み合わせることにしてもよいし、第1部品と第2部品とを接着することにより組み合わせてもよい。一対のエンドキャップを組み合わせる際も同様である。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
10a,10d,10f 直動案内ユニット、11a,11f スプライン軸、12a,29a,66a,66b,67a,67b,68a,68b,69a,69b,82d 外径面、13a,14a 軸端面、15a,15f 軸貫通孔、16a,16f,17a,17f 第1軌道面、18a,19a 軌道路、20a ボール、21a,21d 外筒、22a,22b,22c,22d,22e 軌道部品、23a エンドキャップ(第1エンドキャップ)、24a エンドキャップ(第2エンドキャップ)、26a,27a 第2軌道面、28a 内径面、31a,41a 第1部品、32a,42a 第2部品、33a,43a 方向転換路、34a,44a 第1爪部、35a,45a リターン路、36a,46a 第1嵌合穴、37a,47a 第2爪部、38a,48a 第2嵌合穴、51a 筒状部、52a,52c,52d,52e フランジ部、53a 軌道部品貫通孔、61a,61b,61,61d,62e,62a,62b,63a,63b,63e,64a,64b 突出部、61c,62c,63c,64c フランジ貫通孔、71a,71b,72a,72b,73a,73b,74a,74b 延出部、76a,76b,77a,77b,78a,78b,79a,79b 折り曲げ部、80f スリット、81d 摺動部品、83d 端面、84d 溝部、85d,86d 側壁部、87d 底壁部、88d 受け入れ凹部、90f 接続部、91f 第1領域、92f,93f 第2領域、94f 第1平板部、95f,96f 第1湾曲部、97f 第2平板部、98f,99f 第2湾曲部。