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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127871
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】表示装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20230907BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230907BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230907BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06F3/01 510
G09G5/00 550C
G09G5/36 520K
G09G5/36 520P
G09G5/36 520E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031816
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小磯 久
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AA03
5C182AB08
5C182AC02
5C182AC43
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA55
5C182BA56
5C182CB12
5C182CB32
5C182CB44
5C182CC14
5C182DA65
5E555BA01
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB01
5E555BB05
5E555BB06
(57)【要約】
【課題】表示部の表示対象を回転させる場合に、使用者が回転直前に見ていた部分を適切な位置に表示する。
【解決手段】表示装置は、表示部と、表示部と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する顔角度検出部と、使用者の視線を検出する視線検出部と、顔角度の検出結果に応じて表示部の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線が表示部上に検出される場合には視線に対応する位置を基準位置とする表示制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する顔角度検出部と、
前記使用者の視線を検出する視線検出部と、
前記顔角度の検出結果に応じて前記表示部の基準位置を中心として表示対象を回転させることで前記表示対象の表示角度を調整し、前記使用者の視線が前記表示部上に検出される場合には前記視線に対応する位置を前記基準位置とする表示制御部と
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示対象が行方向に表示されるテキスト情報を含むか否かを判定し、前記行方向に表示される前記テキスト情報を含むと判定した場合には前記使用者の前記視線が前記テキスト情報の表示部分に存在するか否かを判定し、前記使用者の前記視線が前記テキスト情報の表示部分に存在すると判定した場合には前記視線が存在する前記テキスト情報の前記行方向の中心を前記基準位置とする
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、回転直前に前記表示部に表示されている前記テキスト情報がすべて表示されるように前記表示対象のサイズを調整して回転させる
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、回転直前に前記テキスト情報の一部が前記表示部に拡大されて表示されている場合、前記テキスト情報の前記行方向の全体が表示されるように前記表示対象のサイズを調整して回転させる
請求項2又は請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
表示部と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出することと、
前記使用者の視線を検出することと、
前記顔角度の検出結果に応じて前記表示部の基準位置を中心として表示対象を回転させることで前記表示対象の表示角度を調整し、前記使用者の視線が前記表示部上に検出される場合には前記視線に対応する位置を前記基準位置とすることと
を含む表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部と使用者の顔との間の角度に応じて表示対象を回転させる表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-167010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の表示装置では、表示対象を回転させる場合に、使用者が回転直前に見ていた部分が適切な位置に表示されない場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、表示部の表示対象を回転させる場合に、使用者が回転直前に見ていた部分を適切な位置に表示することが可能な表示装置及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、表示部と、前記表示部と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する顔角度検出部と、前記使用者の視線を検出する視線検出部と、前記顔角度の検出結果に応じて前記表示部の基準位置を中心として表示対象を回転させることで前記表示対象の表示角度を調整し、前記使用者の視線が前記表示部上に検出される場合には前記視線に対応する位置を前記基準位置とする表示制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る表示方法は、表示部と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出することと、前記使用者の視線を検出することと、前記顔角度の検出結果に応じて前記表示部の基準位置を中心として表示対象を回転させることで前記表示対象の表示角度を調整し、前記使用者の視線が前記表示部上に検出される場合には前記視線に対応する位置を前記基準位置とすることとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示部の表示対象を回転させる場合に、使用者が回転直前に見ていた部分を適切な位置に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る表示装置の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態に係る表示装置の一例を示す機能ブロック図である。
図10図10は、第2実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。
図13図13は、使用者の視線及び瞼開閉動作の検出対象と、当該検出対象を検出した場合の表示の制御内容との関係の一例を示す図である。
図14図14は、第2実施形態に係る表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る表示装置及び表示方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置100の一例を示す模式図である。図2は、第1実施形態に係る表示装置100の一例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、表示装置100は、筐体10と、表示部20と、撮影部30と、制御部40とを有する。表示装置100は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯型情報端末であってもよい。
【0012】
筐体10は、表示部20、撮影部30及び制御部40を保持する。筐体10には、例えば使用者の歩行を検出可能な不図示の加速度センサ等が設けられてもよい。
【0013】
表示部20は、静止画、動画等の画像情報、文字等のテキスト情報を表示可能である。表示部20は、例えば液晶パネル等のディスプレイが用いられる。表示部20は、後述する顔角度を検出する際に用いられる所定の基準方向が設定される。例えば表示部20が矩形状である場合、基準方向は直交する2辺の一方とすることができる。
【0014】
撮影部30は、使用者の顔及び目を撮影可能である。撮影部30は、例えば筐体10に取り付けられるカメラ等が挙げられる。撮影部30は、使用者の顔及び目を撮影することで、撮影データを生成する。撮影部30は、生成した撮影データを制御部40に送信する。撮影部30は、複数設けられてもよい。
【0015】
制御部40は、表示装置100の動作を統括的に制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部40は、顔角度検出部41と、視線検出部42と、表示制御部43と、記憶部44とを有する。
【0016】
顔角度検出部41は、撮影部30で生成された撮影データに基づいて、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する。顔角度検出部41は、例えば使用者の額から顎までの範囲で幅方向の中心線を検出し、中心線方向と表示部20の基準方向との角度を顔角度として検出する。顔角度は、表示部20の基準方向と使用者の顔の中心線方向との相対的な角度を示す値である。顔角度は、表示部20に垂直な中心軸の軸回り方向(ローリング方向)の回転位置の差分を示す値である。表示部20の基準方向及び使用者の顔の中心線方向の少なくとも一方が変化することにより、顔角度が変化する。なお、顔角度検出部41は、使用者の左右の目の中心を結ぶ線を中心線方向してもよい。
【0017】
視線検出部42は、撮影部30で生成された撮影データに基づいて、使用者の視線を検出する。視線検出部42は、例えば使用者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよいし、使用者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよい。
【0018】
表示制御部43は、表示部20における表示動作を制御する。表示制御部43は、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整する。表示制御部43は、例えば顔角度が閾値以上となった場合に、表示対象を回転させるようにすることができる。表示制御部43は、使用者の視線が表示部20上に検出される場合には視線に対応する位置を基準位置とする。
【0019】
表示制御部43は、表示対象がテキスト情報を含むか否かを判定し、テキスト情報を含むと判定した場合には使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在するか否かを判定する。表示制御部43は、使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在すると判定した場合には、視線が存在するテキスト情報の行方向の中心を基準位置とする。
【0020】
表示制御部43は、回転直前に表示部20に表示されているテキスト情報がすべて表示されるように表示対象のサイズを調整して回転させることができる。また、表示制御部43は、回転直前にテキスト情報の一部が表示部20に拡大されて表示されている場合、テキスト情報の行方向の全体が表示されるように表示対象のサイズを調整して回転させることができる。
【0021】
記憶部44は、各種情報を記憶する。記憶部44は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部44として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。
【0022】
記憶部44は、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する処理と、使用者の視線を検出する処理と、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線が表示部20上に検出される場合には視線に対応する位置を基準位置とする処理とをコンピュータに実行させる表示プログラムを記憶する。
【0023】
次に、上記の表示装置100における表示方法の一例を説明する。図3から図7は、第1実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。図3に示すように、表示制御部43は、表示部20に表示対象21を表示する。使用者は、表示部20に表示される表示対象21を見ることができる。表示対象21には、例えば画像情報P、テキスト情報T等が含まれる。
【0024】
撮影部30は、表示部20を見る使用者の顔及び目を撮影する。撮影部30は、使用者の顔及び目を撮影した撮影データを生成し、制御部40に送信する。制御部40において、顔角度検出部41は、撮影データに基づいて使用者の顔角度を検出する。また、視線検出部42は、撮影データに基づいて使用者の視線を検出する。
【0025】
使用者が例えば表示装置100の表示部20を見ながら座った姿勢から横になる、といった場合に、使用者と表示部20との間の顔角度が変化する場合がある。顔角度検出部41により検出される使用者の顔角度が閾値を超えた場合、表示制御部43は、表示対象の表示角度を調整する。図4に示すように、表示制御部43は、例えば表示対象21のうち画像情報Pの中央部を基準位置とし、当該基準位置を中心として表示対象を90°回転させ、画像情報Pを拡大して表示ことができる。なお、表示対象の表示角度を調整する際、表示制御部43は、回転角度を90°とする構成に限定されず、30°、60°、120°等、回転角度を90°とは異なる角度としてもよい。
【0026】
表示対象21がテキスト情報Tを含む場合、表示制御部43は、以下の処理を行ってもよい。すなわち、表示制御部43は、表示対象がテキスト情報Tを含むか否かを判定し、テキスト情報Tを含むと判定した場合には使用者の視線EPがテキスト情報の表示部分に存在するか否かを判定する。そして、表示制御部43は、使用者の視線EPがテキスト情報の表示部分に存在すると判定した場合には、図5に示すように、視線EPが存在するテキスト情報の行方向の中心を基準位置BPとして、表示対象21を回転させることができる。表示制御部43は、テキスト情報が複数行表示される場合、基準位置BPを視線EPが存在する行に対して次の行の側にずれた位置に設定してもよい。この場合、表示対象21を回転させることで、使用者がこれから読もうとするテキスト情報をより多く表示することができる。また、表示制御部43は、基準位置BPを視線EPに一致するように設定してもよい。なお、表示制御部43は、表示対象21がテキスト情報Tを含むか否かに関わらず、表示対象21を回転させる際、表示部20上において使用者の視線が存在する位置を基準位置としてもよい。
【0027】
また、表示制御部43は、表示対象21を回転させる際、図6に示すように、回転直前に表示部20に表示されているテキスト情報Tがすべて表示されるように、表示対象21のサイズを調整してもよい。この場合、回転時に設定された基準位置BPが表示部20の中心に配置されなくてもよい。
【0028】
また、表示制御部43は、図7に示すように、表示対象21を回転させる際、回転直前にテキスト情報Tの一部が表示部20に拡大されて表示されているか否かを判定する。表示制御部43は、テキスト情報Tの一部が表示部20に拡大されて表示されていると判定した場合、テキスト情報Tの行方向の全体が表示されるように表示対象21のサイズを調整してもよい。
【0029】
図8は、第1実施形態に係る表示装置100の動作の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、表示部20に表示対象が表示された状態において、顔角度検出部41は、表示部20と使用者の顔との間の顔角度を検出する(ステップS101)。また、視線検出部42は、使用者の視線を検出する(ステップS102)。
【0030】
表示制御部43は、顔角度が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS103)、閾値を超えないと判定した場合(ステップS103のNo)、表示対象の表示角度を維持する(ステップS104)。
【0031】
一方、閾値を超えると判定した場合(ステップS103のYes)、表示制御部43は、表示対象が行方向に表示されるテキスト情報を含むか否かを判定する(ステップS105)。行方向に表示されるテキスト情報を含むと判定した場合(ステップS105のYes)、表示制御部43は、使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在するか否かを判定する(ステップS106)。使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在すると判定した場合(ステップS106のYes)、表示制御部43は、視線が存在するテキスト情報の行方向の中心を基準位置とする(ステップS107)。ステップS105において、行方向に表示されるテキスト情報を含まないと判定した場合(ステップS105のNo)、又はステップS106において使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在しないと判定した場合(ステップS106のNo)、表示制御部43は、所定の位置を基準位置とする(ステップS109)。基準位置を設定した後、表示制御部43は、基準位置を中心として表示対象を回転させる(ステップS108)。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る表示装置100は、表示部20と、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する顔角度検出部41と、使用者の視線を検出する視線検出部42と、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線が表示部20上に検出される場合には視線に対応する位置を基準位置とする表示制御部43とを備える。
【0033】
また、本実施形態に係る表示方法は、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出することと、使用者の視線を検出することと、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線が表示部20上に検出される場合には視線に対応する位置を基準位置とすることとを含む。
【0034】
この構成によれば、表示部20の表示対象を回転させる場合に、使用者の視線が表示部20上に検出される場合には、視線に対応する位置を基準位置として表示対象を回転させる。これにより、使用者が回転直前に見ていた部分を適切な位置に表示することができる。
【0035】
本実施形態に係る表示装置100において、表示制御部43は、表示対象が行方向に表示されるテキスト情報を含むか否かを判定し、行方向に表示されるテキスト情報を含むと判定した場合には使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在するか否かを判定し、使用者の視線がテキスト情報の表示部分に存在すると判定した場合には視線が存在するテキスト情報の行方向の中心を基準位置とする。この構成によれば、テキスト情報のうち使用者が回転直前に見ていた部分を適切な位置に表示することができる。
【0036】
本実施形態に係る表示装置100において、表示制御部43は、回転直前に表示部20に表示されているテキスト情報がすべて表示されるように表示対象のサイズを調整して回転させる。この構成によれば、テキスト情報を見ていた使用者に対して回転の前後での違和感を低減することができる。
【0037】
本実施形態に係る表示装置100において、表示制御部43は、回転直前にテキスト情報の一部が表示部20に拡大されて表示されている場合、テキスト情報の行方向の全体が表示されるように表示対象のサイズを調整して回転させる。この構成によれば、使用者に対して回転直前に見ていた部分を含むテキスト情報の行方向の全体を把握させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る表示装置200の一例を示す機能ブロック図である。図9に示すように、表示装置200は、筐体10と、表示部20と、撮影部30と、制御部50とを有する。筐体10は、表示部20及び撮影部30の構成については、第1実施形態に係る表示装置100と同様である。
【0039】
本実施形態では、制御部50の構成が、第1実施形態における表示装置100の制御部40とは異なっている。以下、相違点を中心に説明する。制御部50は、顔角度検出部51と、視線瞼開閉検出部52と、表示制御部53と、記憶部54とを有する。顔角度検出部51については、第1実施形態の顔角度検出部41と同様である。
【0040】
視線瞼開閉検出部52は、撮影部30で生成された撮影データに基づいて、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方を検出する。視線瞼開閉検出部52は、例えば使用者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよいし、使用者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する構成であってもよい。また、視線瞼開閉検出部52は、画像処理に基づいて使用者の瞼の動作を検出することができる。
【0041】
表示制御部53は、表示部20における表示動作を制御する。表示制御部53は、第1実施形態と同様に、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整する。表示制御部53は、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて使用者が所定の非視認状態であるか否かを判定し、非視認状態であると判定した場合には表示対象を回転させないようにする。本実施形態において、非視認状態は、使用者が瞼を閉じている状態及び使用者の視線が表示部20上に存在しない状態の少なくとも一方を含む。表示制御部53は、例えば視線瞼開閉検出部52により使用者が瞼を閉じていると検出される場合に、使用者が非視認状態であると判定することができる。また、表示制御部53は、例えば視線瞼開閉検出部52により使用者の視線が表示部20から外れた方向に検出される場合に、使用者が非視認状態であると判定することができる。表示制御部53は、非視認状態が解消されたことが検出された場合には、非視認状態が解消された時点における顔角度に基づいて表示対象の表示角度を調整する。
【0042】
表示制御部53は、使用者が瞼を閉じている期間に応じて、表示対象の表示角度の初期値の設定及び設定変更の少なくとも一方を行うことができる。表示角度の初期値は、表示装置200の動作を開始又は再開した時点において最初に示される表示対象の表示角度である。
【0043】
表示制御部53は、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて、表示部20の表示態様を変更することができる。使用者の視線としては、例えば表示部20上における視線の位置、変位等が挙げられる。使用者の瞼開閉動作としては、例えば使用者が瞼を閉じる期間、瞬きの回数等が挙げられる。また、加速度等を検出することで使用者の歩行等を検出可能なセンサ等の他の構成要素が表示装置200に別途設けられる場合、表示制御部53は、当該センサ等の他の構成要素と、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方とを組み合わせて表示態様を変更することができる。
【0044】
記憶部54は、各種情報を記憶する。記憶部54は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部54として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。
【0045】
記憶部54は、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する処理と、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方を検出する処理と、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて使用者が所定の非視認状態であるか否かを判定し、非視認状態であると判定した場合には表示対象を回転させないようにする処理とをコンピュータに実行させる表示プログラムを記憶する。
【0046】
次に、上記の表示装置200における表示方法の一例を説明する。図10から図12は、第2実施形態に係る表示方法の一例を示す図である。表示制御部53は、表示部20に表示対象21を表示する。使用者は、表示部20に表示される表示対象21を見ることができる。
【0047】
撮影部30は、表示部20を見る使用者の顔及び目を撮影する。撮影部30は、使用者の顔及び目を撮影した撮影データを生成し、制御部50に送信する。制御部50において、顔角度検出部51は、撮影データに基づいて使用者の顔角度を検出する。また、視線瞼開閉検出部52は、撮影データに基づいて使用者の視線もしくは、瞼開閉動作を検出する。
【0048】
顔角度検出部51により検出される使用者の顔角度が閾値を超えた場合、表示制御部53は、表示対象の表示角度を調整する。顔角度が変化する際、表示制御部53は、使用者が非視認状態であるか否かを判定する。表示制御部53は、使用者が瞼を開いていると検出される場合、及び使用者の視線が表示部20上に存在すると検出される場合には、使用者が非視認状態ではないと判定する。この場合、表示制御部53は、図10に示すように、表示部20に表示される表示対象21を回転させることで表示角度を調整する。
【0049】
一方、表示制御部53は、使用者が瞼を閉じていると検出される場合、又は使用者の視線が表示部20上に存在しないと検出される場合には、使用者が非視認状態であると判定する。この場合、表示制御部53は、図11に示すように、表示部20に表示される表示対象21を回転させないようにする。その後、使用者が瞼を開いたことが検出される場合、及び使用者の視線が表示部20上に存在すると検出される場合、表示制御部53は、使用者の非視認状態が解消されたと判定する。この場合、表示制御部53は、図12に示すように、非視認状態が解消されたと判定した時点における顔角度に基づいて、表示部20に表示される表示対象21の表示角度を調整する。
【0050】
図13は、使用者の視線及び瞼開閉動作の検出対象と、当該検出対象を検出した場合の表示の制御内容との関係の一例を示す図である。図13に示すように、表示制御部53は、使用者が瞼を閉じている期間に応じて、表示対象の表示角度の初期値の設定及び設定変更の少なくとも一方を行うことができる。使用者が第1期間(例えば、1秒間)瞼を閉じてから瞼を開く動作が検出された場合、表示制御部53は、使用者が瞼を開いた時点での表示対象の表示角度を表示部20における表示角度の初期値として設定することができる。また、使用者が表示角度の初期値を設定した後、第2期間(例えば、2秒間)瞼を閉じてから瞼を開く動作が検出された場合、表示制御部53は、表示角度の初期値の設定を解除することができる。
【0051】
また、図13に示すように、表示制御部53は、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて、表示部20の表示態様を変更することができる。例えば、使用者の視線が表示部20の上部に検出され、瞬き動作が第1回数(例えば、2回)検出された場合、表示制御部53は、表示対象を表示部20の半画面分だけ上にスクロールさせることができる。また、使用者の視線が表示部20の下部に検出され、瞬き動作が第1回数(例えば、2回)検出された場合、表示制御部53は、表示対象を表示部20の半画面分だけ下にスクロールさせることができる。
【0052】
また、図13に示すように、使用者の視線が表示部20の上部又は下部に検出される場合において、瞬き動作が上記の第1回数よりも多い第2回数(例えば、3回)検出された場合、表示制御部53は、それぞれ表示対象を表示部20の一画面分だけ上又は下にスクロールさせることができる。このように、表示制御部53は、表示部20における視線の位置に基づいて表示対象をスクロールさせる方向を設定し、瞬きの回数に基づいてスクロール量を設定することができる。
【0053】
また、図13に示すように、使用者の視線が表示部20の上部又は下部に検出される場合において、瞬き動作が上記の所定回数(例えば、2回)検出された場合、表示制御部53は、表示対象を上方又は下方にスムーススクロールさせてもよい。スムーススクロールの途中で所定期間(例えば、1秒間)使用者が瞼を閉じたことが検出される場合、表示制御部53は、スクロールを停止させてもよい。
【0054】
また、図13に示すように、表示制御部53は、表示対象にテキスト情報が含まれるか否かを判定し、テキスト情報が含まれると判定した場合、使用者がテキスト情報を1行ずつ読む動作に合わせて表示対象をスクロールさせてもよい。例えば、表示制御部53は、使用者の視線がある行から次の行に移動する場合、行方向に直交する列方向についての使用者の視線の移動に応じて表示対象をスクロールさせてもよい。
【0055】
また、図13に示すように、表示制御部53は、使用者の瞬きの回数及び瞬きの時間的長さを検出し、単位時間当たりの瞬き回数が所定の閾値を超えたり、1回当たりの瞬きの時間的長さが所定の閾値よりも長くなったりした場合には、使用者の目が疲労していると判定することができる。表示制御部53は、使用者の目が疲労していると判定した場合、例えば表示部20の明るさを調整することができる。表示制御部53は、例えば、所定の閾値を超えたり、所定の閾値よりも長くなったりした場合、表示部20の明るさを暗くし、所定の閾値以内に戻った場合、表示部20の明るさを元の明るさに戻すことにより、明るさを調整することができる。
【0056】
また、図13に示すように、筐体10の振動、加速度等を検出することで使用者の歩行等を検出可能なセンサが別途設けられる場合、表示制御部53は、使用者の歩行が検出されるときに使用者の視線が表示部20上に存在するか否かを判定することができる。表示制御部53は、使用者の歩行が検出されるときに使用者の視線が表示部20上に存在すると判定した場合、歩行中に表示部20を見ることに対する注意情報を表示したり、表示部20の表示をオフにしたりすることができる。
【0057】
図14は、上記の表示装置100の動作の流れを示すフローチャートである。図14に示すように、表示部20に表示対象が表示された状態において、顔角度検出部51は、表示部20と使用者の顔との間の顔角度を検出する(ステップS201)。また、視線瞼開閉検出部52は、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方を検出する(ステップS202)。
【0058】
表示制御部53は、顔角度が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS203)、閾値を超えないと判定した場合(ステップS203のNo)、表示対象の表示角度を維持する(ステップS204)。
【0059】
一方、閾値を超えると判定した場合(ステップS203のYes)、表示制御部53は、使用者が所定の非視認状態であるか否かを判定する(ステップS205)。使用者が非視認状態ではないと判定した場合(ステップS205のNo)、基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整する(ステップS206)。
【0060】
使用者が非視認状態であると判定した場合(ステップS205のYes)、表示制御部53は、表示対象を回転させないようにする(ステップS207)。その後、使用者の非視認状態が解消されたか否かを判定し(ステップS208)、非視認状態が解消されていないと判定した場合(ステップS208のNo)、ステップS208の動作を繰り返し行うことで表示対象を回転させない状態を維持する。また、表示制御部53は、非視認状態が解消されたと判定した場合(ステップS208のYes)、判定時点における顔角度に基づいて表示対象の表示角度を調整する。つまり、表示制御部53は、判定時点において顔角度が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS209)、閾値を超えないと判定した場合(ステップS209のNo)、表示対象の表示角度を維持する(ステップS204)。一方、閾値を超えると判定した場合(ステップS209のYes)、基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整する(ステップS206)。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る表示装置200は、表示部20と、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出する顔角度検出部51と、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方を検出する視線瞼開閉検出部52と、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて使用者が所定の非視認状態であるか否かを判定し、非視認状態であると判定した場合には表示対象を回転させないようにする表示制御部53とを備える。
【0062】
本実施形態に係る表示方法は、表示部20と使用者の顔との間の角度である顔角度を検出することと、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方を検出することと、顔角度の検出結果に応じて表示部20の基準位置を中心として表示対象を回転させることで表示対象の表示角度を調整し、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて使用者が所定の非視認状態であるか否かを判定し、非視認状態であると判定した場合には表示対象を回転させないようにすることとを含む。
【0063】
この構成によれば、使用者が非視認状態であると判定した場合には表示対象が回転しないことになる。これにより、表示部20の表示対象を回転させる場合に、使用者に与える違和感を低減することができる。
【0064】
本実施形態に係る表示装置200において、表示制御部53は、非視認状態が解消されたことが検出された場合には、非視認状態が解消された時点における顔角度に基づいて表示対象の表示角度を調整する。この構成によれば、非視認状態が解消された場合、その時点における顔角度で表示対象の表示角度が調整されるため、使用者が表示部20を見るタイミングで表示対象の表示角度を適切に設定することができる。
【0065】
本実施形態に係る表示装置200において、視線瞼開閉検出部52は、使用者の瞼開閉動作を検出し、表示制御部53は、使用者が瞼を閉じている期間に応じて、表示対象の表示角度の初期値の設定及び設定変更の少なくとも一方を行う。この構成によれば、簡単な動作で表示対象の表示角度の初期値の設定、設定変更を行うことができる。
【0066】
本実施形態に係る表示装置200において、視線瞼開閉検出部52は、使用者の視線及び瞼開閉動作の両方を検出し、表示制御部53は、使用者の視線及び瞼開閉動作の少なくとも一方に基づいて、表示部20の表示態様を変更する。この構成によれば、簡単な動作で表示部20の表示態様を適切に変更することができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、撮影部30が筐体10に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。撮影部30は、筐体10、つまり表示装置100、200とは別個に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0068】
P…画像情報、T…テキスト情報、BP…基準位置、EP…視線、10…筐体、20…表示部、21…表示対象、30…撮影部、40,50…制御部、41,51…顔角度検出部、42…視線検出部、43,53…表示制御部、44,54…記憶部、52…視線瞼開閉検出部、100,200…表示装置
図1
図2
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