(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127916
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物
(51)【国際特許分類】
A61L 2/28 20060101AFI20230907BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230907BHJP
A43B 3/10 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61L2/28
A61L2/10
A43B3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031895
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義則
(72)【発明者】
【氏名】三本木 法光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克有
【テーマコード(参考)】
4C058
4F050
【Fターム(参考)】
4C058AA08
4C058BB06
4C058DD15
4C058KK02
4F050AA22
4F050BD00
4F050GA13
4F050GA26
4F050HA79
4F050JA30
(57)【要約】
【課題】殺菌、滅菌状況を使用者が視認できる殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物を提供する。
【解決手段】基材12と、基材12上に形成され、所定の紫外線量が照射されると発色するフォトクロミック材料により形成されたフォトクロミック層13と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に形成され、所定の紫外線量が照射されると発色するフォトクロミック材料により形成されたフォトクロミック層と、
を備える、
殺菌表示ラベル。
【請求項2】
所定の紫外線量が照射されると発色するフォトクロミック材料により形成されたフォトクロミック層と、
前記フォトクロミック層に所定の紫外線量が照射されたことを示すインク部と、
を備える、
殺菌表示ラベル。
【請求項3】
前記インク部は、前記フォトクロミック層の所定の発色濃度と略同一の発色濃度を有する、
請求項2に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項4】
前記インク部は、前記フォトクロミック層の最大発色濃度と略同一の色素濃度を有する、請求項2に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項5】
少なくとも前記フォトクロミック層上に形成され、前記フォトクロミック層に照射される紫外線量を調整するカバー層を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項6】
紫外線の照射により着色された前記フォトクロミック層は、前記フォトクロミック層に温度を暴露させるまたは前記フォトクロミック層に可視光を照射することによって消色する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項7】
紫外線の照射により着色された前記フォトクロミック層の消色までに要する時間は、1分以上1時間以内である、
請求項6に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項8】
前記フォトクロミック層上に形成され、前記フォトクロミック層が所定の発色濃度で発色したことを表示する表示部を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の殺菌表示ラベル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の殺菌表示ラベルを備える、
履物。
【請求項10】
前記殺菌表示ラベルの周縁に前記フォトクロミック層の最大発色濃度と略同等または異なる色素濃度を有する比較部を備える、
請求項9に記載の履物。
【請求項11】
前記殺菌表示ラベルは、前記履物の中底上に形成されている、
請求項9または10に記載の履物。
【請求項12】
前記殺菌表示ラベルは、前記履物の甲部の上面に設けられている、
請求項9から11のいずれか一項に記載の履物。
【請求項13】
前記殺菌表示ラベルは、前記上面の爪先側に設けられ、
前記上面の前記履物の挿入口側には、前記甲部の幅方向略全体にわたって上方に突出するツバ部が形成されている、
請求項12に記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公共施設や店舗、医療機関等の不特定多数の人が利用する施設において使用される来客用スリッパやヘアブラシ等の共用品は、使用される度に不特定多数の人が接触するため、殺菌/滅菌処理を行う場合がある。そこで、共用品を収納し、収納中に紫外線を照射することによって、共用品に付着している収納中に紫外線を照射することによって、共用品に付着しているし共用品に存在する菌、ウィルスを不活化して殺菌、滅菌する殺菌/滅菌装置が知られている(特許文献1参照)。例えば棚状の収納部に紫外線照射部を備え、使用者が収納部から任意の共用品を取り出す殺菌/滅菌装置がある。例えば、収納部に紫外線照射部を備え、収納部に対する投入口および取出口が設けられ、共用品を一個体ずつ投入口から入れ、取出口から一個体ずつ取り出す殺菌/滅菌装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殺菌、滅菌処理を確実に行う為、共用品の収納時、十分な殺菌、滅菌時間を確保する必要がある。しかし、不特定多数の使用者が任意のタイミングで殺菌/滅菌装置から共用品を取り出して使用するため、取り出された共用品が十分な殺菌、滅菌時間を経ていない場合がある。あるいは、複数の共用品の中から殺菌、滅菌済みの共用品がどれであるか不明なまま使用される虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、殺菌、滅菌状況を使用者が視認できる殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る殺菌表示ラベルは、基材と、前記基材上に形成され、所定の紫外線量が照射されると発色するフォトクロミック材料により形成されたフォトクロミック層と、を備える。
【0007】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層を備えるため、所定の紫外線量が照射されると発色し、ユーザが所定の紫外線量が照射されたことを視認できる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る殺菌表示ラベルは、所定の紫外線量が照射されると発色するフォトクロミック材料により形成されたフォトクロミック層と、前記フォトクロミック層に所定の紫外線量が照射されたことを示すインク部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層を備えるため、所定の紫外線量が照射されると発色し、所定の紫外線量が照射されたことを視認できる。また、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層に所定の紫外線量が照射されたことを視認できる基準としてインク部を用いることができる。
【0010】
本発明に係る殺菌表示ラベルにおいて、前記インク部は、前記フォトクロミック層の所定の発色濃度と略同一の発色濃度を有する。
【0011】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層が所定の発色濃度に発色されたことを視認できる基準としてインク部を用いることができる。また、基準とする色は、所定の発色濃度より低い濃度の色を設定して、視認のマージンを取る構成としてもよい。
【0012】
本発明に係る殺菌表示ラベルにおいて、前記インク部は、前記フォトクロミック層の最大発色濃度と略同一の色素濃度を有する。
【0013】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層が最大発色濃度に発色されたことを視認できる基準としてインク部を用いることができる。また、基準とする色は、最大発色濃度より低い濃度の色を設定して、視認のマージンを取る構成としてもよい。
【0014】
本発明に係る殺菌表示ラベルは、少なくとも前記フォトクロミック層上に形成され、前記フォトクロミック層に照射される紫外線量を調整するカバー層を備える。
【0015】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、カバー層を備えるため、紫外線をカバー層に透過させてフォトクロミック層に照射させることにより紫外線の照射強度に対するフォトクロミック層の発色反応量や発色速度を調整できる。
【0016】
本発明に係る殺菌表示ラベルにおいて、紫外線の照射により着色された前記フォトクロミック層は、前記フォトクロミック層に温度を暴露させるまたは前記フォトクロミック層に可視光を照射することによって消色する。
【0017】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層を温度の暴露により消色する場合は、温度が高い方がより早く消色するため、使用者の体温等により消色する時間を短縮可能であり、これにより、使用者の利用中に容易に消色することができる。また、フォトクロミック層を可視光の照射により消色する場合は、収納時の紫外線照射環境から使用時の可視光暴露環境に変わると消色する。つまり、通常の使用により消色する。この結果、殺菌表示ラベルは、使用したことを容易に認識できる。
【0018】
本発明に係る殺菌表示ラベルにおいて、紫外線の照射により着色された前記フォトクロミック層の消色までに要する時間は、1分以上1時間以内である。
【0019】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、フォトクロミック層を短時間で消色できるため、短時間の使用でも紫外線の再照射が必要な場合、紫外線が照射されていない殺菌表示ラベルが使用されることを防ぐことができる。
【0020】
本発明に係る殺菌表示ラベルは、前記フォトクロミック層上に形成され、前記フォトクロミック層が所定の発色濃度で発色したことを表示する表示部を備える。
【0021】
この構成によれば、殺菌表示ラベルは、表示部を備えることにより、フォトクロミック層の発色および表示部の表示の二つの変化から所定の紫外線量が照射されたことをより容易に視認できる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明に係る履物は、上記の殺菌表示ラベルを備える。
【0023】
この構成によれば、履物は、殺菌表示ラベルに所定の紫外線量を照射してフォトクロミック層を発色させることにより、履物を殺菌したことを視認できる。そのため、使用者は、フォトクロミック層の発色を視認することで履物が殺菌済みであることを判断できる。
【0024】
本発明に係る履物において、前記殺菌表示ラベルの周縁に前記フォトクロミック層の最大発色濃度と略同等または異なる色素濃度を有する比較部を備える。
【0025】
この構成によれば、履物は、殺菌表示ラベルに所定の紫外線量を照射してフォトクロミック層を発色させた際に、殺菌表示ラベルの色と比較部の色とが略同一になる、または色の違いが明確になる。そのため、所定の紫外線量が照射されたことを容易に判別できる。
【0026】
本発明に係る履物において、前記殺菌表示ラベルは、前記履物の中底上に形成されている。
【0027】
この構成によれば、履物は、使用時において殺菌表示ラベルと使用者の足とが接触するため、使用者の体温によりフォトクロミック層を短時間で確実に消色できる。そのため、短時間の使用でも殺菌が必要な場合、履物が使用済みであることを確実に視認でき、未殺菌の履物が使用されることを防止できる。
【0028】
本発明に係る履物において、前記殺菌表示ラベルは、前記履物の甲部の上面に設けられている。
【0029】
この構成によれば、履物の使用者が殺菌表示ラベルを視認しやすくなる。また、フォトクロミック層が室内の電灯等の可視光によって消色する場合、可視光が殺菌表示ラベルに照射されやすくなる。
【0030】
本発明に係る履物において、前記殺菌表示ラベルは、前記上面の爪先側に設けられ、前記上面の前記履物の挿入口側には、前記甲部の幅方向略全体にわたって上方に突出するツバ部が形成されている。
【0031】
この構成によれば、履物の使用時において、ツバ部により履物の使用者のズボン等の衣服の裾が甲部の殺菌表示ラベルを覆うことを抑制できる。そのため、フォトクロミック層が室内の電灯等の可視光によって消色する場合、履物が使用されたにも関わらずフォトクロミック層が消色しない事態を防止できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、殺菌、滅菌状況を使用者が視認できる殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る殺菌表示ラベルを備えた履物の一例を示す平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る殺菌表示ラベルを備えた履物の一例を示す部分平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る殺菌表示ラベルの断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る殺菌表示ラベルを備えた履物の一例を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る殺菌表示ラベルの断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る殺菌表示ラベルを備えた履物の一例を示す側面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態および第2実施形態の第1変形例に係る殺菌表示ラベルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。また、構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0035】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る殺菌表示ラベル1を備えた履物2は、公知の一対のスリッパである(以下、「履物2」を「スリッパ2」と記載する)。スリッパ2は、公共施設や店舗、医療機関等の不特定多数の人が利用する施設において使用される。スリッパ2は、使用される前に不図示の殺菌/除菌装置に収納され、収納中に紫外線を照射して殺菌、除菌処理を行った後に使用される。以下、「殺菌/除菌装置」を「殺菌装置」と記載し、「殺菌、滅菌」を「殺菌」とまとめて表記する。スリッパ2は使用された後、再度殺菌装置に収納される。
【0036】
図1に示すように、スリッパ2は底部21と甲部22とを備える。底部21の前側上方に甲部22が設けられている。
【0037】
底部21は、使用者の足と当接する中底211を備える。底部21は、中底211の甲部22と対向しない踵側に殺菌表示ラベル1が形成されている。
【0038】
図2に示すように、中底211は殺菌表示ラベル1の周縁に比較部212が形成されている。
【0039】
図3に示すように、殺菌表示ラベル1は、第一接着層11と、基材12と、フォトクロミック層13と、第二接着層14と、カバー層15と、表示部16と、を備える。
【0040】
第一接着層11は、公知の粘着剤であり、スリッパ2の表面と基材12との間に設けられる。第一接着層11は、スリッパ2の表面および基材12のそれぞれと接着することにより、スリッパ2と基材12とを接続する。
【0041】
基材12は、スリッパ2の中底211上に形成される。基材12は、ポリエステル製の白色のフィルムシートである。基材12は、上記の材質に限定されず、後述するフォトクロミック層13の発色した状態の色と異なる色であればよい。
【0042】
フォトクロミック層13は、基材12上に形成される。フォトクロミック層13は、所定の照射量の紫外線を照射されると発色するフォトクロミック材料を含む。なお、上記の所定の照射量は、紫外線の照射強度と照射時間との積により表される。フォトクロミック材料は、熱によって消色するT型と、可視光を照射することで消色するP型の2種類がある。T型の材料としては、アゾベンゼン、スピロピランが挙げられる。P型の材料としては、ジアリールエテン、フルギドが挙げられる。フォトクロミック材料は、所定の照射量の紫外線を照射された後に、T型では通常の室温、P型では通常の電灯の照射により消色する時間が1分以上1時間以内となる材料を選択する。本実施形態におけるフォトクロミック材料は、T型を使用する。
【0043】
第二接着層14は、第一接着層11と同様に公知の粘着剤であり、フォトクロミック層13とカバー層15との間に設けられる。第二接着層14は、フォトクロミック層13およびカバー層15のそれぞれと接着することにより、フォトクロミック層13とカバー層15とを接続する。
【0044】
カバー層15は、フォトクロミック層13上に形成される。カバー層15は、無色のフィルムシートである(以下、「カバー層15」を「カバーフィルム層15」と記載する)。カバーフィルム層15は、厚みを調整することにより、フォトクロミック層13に照射される紫外線の照射量を調整する。例えば、カバーフィルム層15の厚みを大きく取ると、フォトクロミック層13に到達する紫外線の照射量が低減される。
【0045】
表示部16は、フォトクロミック層13上に形成され、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色したときにその情報を表示する。表示部16は、フォトクロミック層13が全面塗工している場合には、基材12と同等の色のインク層と、インクがない層との組み合わせで構成され、文字や記号等の部分塗工している場合にはインクがない層のみで構成されている。表示部16のインク層は、カバー層15上に形成されている。これにより、フォトクロミック層13が発色するとインクがない層を通してフォトクロミック層13の色が視認できるようになる。なお、カバー層15が不要な場合には、フォトクロミック層13上で形成しても構わない。また、比較部212も表示部16と同じく、インク層としてカバー層15上、またはフォトクロミック層13上で、表示部16の周囲に形成されている。
【0046】
以下、殺菌表示ラベル1の形成方法について説明する。
先ず、顆粒状のフォトクロミック材料をトルエン等の有機溶剤やアルコール等の溶媒に溶解し、バインダーとなるアクリル等の透明樹脂剤をさらに溶解して樹脂溶液を作製する。顆粒状のフォトクロミック材料は、溶媒により分子レベルで均質に分散される。フォトクロミック材料の濃度は、透明樹脂剤に対して0.1~10%の範囲とする。
【0047】
フォトクロミック材料は、室温(25℃前後)において消色するまでの時間が1時間以上要する材料で、人の体温(35℃~37℃程度)において1時間以内で消色するように選択する。つまり、室温では徐々に消色し、体温では早く消色するように決定する。
【0048】
基材12上にロール塗工機を用いて樹脂溶液を塗工してフォトクロミック層13を形成する。フォトクロミック層13の厚みは数μmである。フォトクロミック層13を文字により形成する場合は、公知のオフセット印刷機を用いて樹脂溶液で文字をオフセット印刷して形成してもよい。
【0049】
フォトクロミック層13上に粘着剤を塗布して第二接着層14を形成し、第二接着層14にフィルムシートを重ねてカバーフィルム層15を形成する。
【0050】
表示部16は、フォトクロミック層13上においてフォトクロミック層13の一部をインクにより被覆することで形成する。表示部16は、フォトクロミック層13が発色したことを示す文字等の情報である。本実施形態では、表示部16として、フォトクロミック層13上に「除菌済」の文字を、インクが無い「抜き文字」として、その周縁に基材12と同等の色のインクで形成する。
【0051】
基材12の裏面側に第一接着層11を形成し、第一接着層11上に離型フィルムを重ねてロール状に巻き取る。巻き取ったロールを所望の形に型抜きし、中底211上の所定の位置に第一接着層11を介して貼り付けることによりシール形状の殺菌表示ラベル1が形成される。また、ロール状の殺菌表示ラベル1により継続的な使用に伴うラベルの交換が可能となる。殺菌表示ラベル1は、ロール状のシールから型抜きせずに中底211上の所定の位置に直接、第一接着層11、基材12、フォトクロミック層13、第二接着層14およびカバーフィルム層15を形成する構成としてもよい。また、基材12をインク層として形成しても構わない。
【0052】
上記により形成された殺菌表示ラベル1を備えるスリッパ2の殺菌方法について説明する。
スリッパ2は、使用されないとき不図示の殺菌装置に収納されている。殺菌装置の構成は限定されず、例えば開閉可能な扉によりスリッパ2を出し入れするストッカー型(棚型)の装置でもよいし、装置の上部にスリッパ2の取込口を備え、装置の下部にスリッパ2の取出口を備え取込口から取り入れられたスリッパ2が取込順に取出口から取り出されるディスペンサー型の装置でもよい。殺菌装置は、閉じられた状態において収納しているスリッパ2の表面に紫外線を照射し、開いた状態において紫外線の照射を停止する。殺菌装置による紫外線の照射方法は限定されず、例えば装置内の全てのスリッパ2に同時に紫外線を照射する構成としてもよいし、取出順に紫外線を順次照射していく構成としてもよい。
【0053】
スリッパ2に紫外線が照射されることにより、フォトクロミック層13が発色する。フォトクロミック層13は、紫外線が照射され続けている状態において継続して発色する。フォトクロミック層13は所定の紫外線量の照射により最大発色濃度で完全発色する。殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13が最大発色濃度で完全発色したときにスリッパ2が殺菌済みとなるようにフォトクロミック層13の最大発色濃度を決定する。フォトクロミック層13の最大発色濃度は、紫外線の照射量により決定されるため、紫外線の照射強度と照射時間の積により決定される。
【0054】
スリッパ2は、適宜使用者により殺菌装置から取り出される。殺菌装置は、開いた状態において紫外線の照射を停止し、スリッパ2を取り出せる状態にする。フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色している状態において、表示部16は、殺菌表示ラベル1内に「除菌済」の文字を浮き上がらせて表示する。表示部16は、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色したこと、またはスリッパ2が殺菌済みとなることが判断できる表示内容であれば上記の構成に限定されない。
【0055】
比較部212は、フォトクロミック層13の最大発色濃度と略同等の色素濃度を有する。紫外線を照射してフォトクロミック層13を発色した際、フォトクロミック層13と比較部212との色とが略一致することで、フォトクロミック層13が最大発色濃度に発色されたと使用者が判断でき、スリッパ2が殺菌されたと判断できる。つまり、比較部212は、スリッパ2が殺菌済みとなることの判断基準になる。比較部212は、上記の構成に限定されず、例えば殺菌表示ラベル1に紫外線が照射されていない状態において、フォトクロミック層13と略一致する色素濃度を有する構成であってもよい。これにより、フォトクロミック層13が比較部212より色濃度が濃くなっていることを視認することで、スリッパ2が殺菌されたと判断できる。
【0056】
フォトクロミック層13は、紫外線の照射を停止すると、発色が停止し消色を開始する。使用者がスリッパ2を履くと、中底211上に形成された殺菌表示ラベル1に使用者の足が接触する。フォトクロミック層13は、室温よりも高い使用者の足の体温を暴露させることで、消色が早く進行する。スリッパ2は、使用された後に再度殺菌装置に収納される。このとき、殺菌表示ラベル1のフォトクロミック層13は、完全に消色している。つまり、フォトクロミック層13は、スリッパ2の使用時間内に完全消色する。
【0057】
スリッパ2は、公共施設や店舗、医療機関等の来客用として用いられるため、1時間以内でフォトクロミック層13が消色することが望ましい。また、殺菌表示ラベル1は、スリッパ2を殺菌装置から取り出して使用する際に、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色していることを使用者が判断するための余裕時間を要する。余裕時間の目安は1分以上であり、フォトクロミック層13は余裕時間内において最大発色濃度の90%以上の発色濃度を維持できる必要がある。
【0058】
フォトクロミック層13の発色濃度を大きくする場合には、フォトクロミック材料の濃度を高くすればよい。ただしフォトクロミック材料の濃度を透明樹脂剤に対して10%以上にすると、フォトクロミック材料自体が照射される紫外線に対する影となって紫外線を遮断する。そのため、樹脂溶液に溶解した全てのフォトクロミック材料を発色に寄与させることができなくなる。例えば、フォトクロミック材料の濃度を透明樹脂剤に対して10%以上とすると、カバーフィルム層15を透過した紫外線が深い位置にあるフォトクロミック材料に照射されても、該位置にあるフォトクロミック材料が発色せず、フォトクロミック層13の最大発色濃度が頭打ちとなる。そのため、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色したことが、スリッパ2が殺菌済みであることの判断基準とならなくなる。上記により、フォトクロミック材料の透明樹脂剤に対する濃度は上記の範囲とする。
【0059】
次に、上述した本発明の実施形態による殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物(スリッパ)の作用・効果について図面を用いて説明する。
殺菌表示ラベル1は、基材12上にフォトクロミック層13を備える。フォトクロミック層13は、所定の照射量の紫外線が照射されると最大発色濃度で発色する。スリッパ2は、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色した時点で殺菌装置により殺菌済みとなったと判断する。
【0060】
上記の構成により、スリッパ2は、所定の照射量の紫外線を照射してフォトクロミック層13を最大発色濃度で発色させることで、スリッパ2に照射量の紫外線が照射され、殺菌済みとなったことを容易に視認できる。そのため、スリッパ2の使用者は、フォトクロミック層13の発色を視認することでスリッパ2が殺菌済みであることを判断できる。
【0061】
殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13上にカバーフィルム層15が形成されている。殺菌表示ラベル1は、カバーフィルム層15の厚みによりフォトクロミック層13に照射される紫外線の照射量を調整する。
【0062】
上記の構成により、殺菌表示ラベル1は、紫外線をカバーフィルム層15に透過させてフォトクロミック層13に照射させることにより、紫外線の照射強度に対するフォトクロミック層の発色反応量や発色速度を調整できる。また、殺菌表示ラベル1は、カバーフィルム層15の厚みを調整することにより、フォトクロミック層13に照射される紫外線の照射量を調整できる。カバーフィルム層15によって紫外線の照射量を調整できるため、フォトクロミック層13に用いられるフォトクロミック材料の選択の幅を広げることができる。また、カバーフィルム層15は、フォトクロミック層13を被覆するため、フォトクロミック層13の耐摩耗性を高めて耐久性を向上させる。
【0063】
殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13上に表示部16を備える。フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色している状態において、表示部16は、殺菌表示ラベル1内に「除菌済」の文字を浮き上がらせて表示する。
【0064】
上記の構成により、フォトクロミック層13が発色していることおよび表示部16の文字が表示されていることの二つの変化により、使用者はスリッパ2が殺菌済みであることを容易に視認できる。
【0065】
スリッパ2は、殺菌表示ラベル1の周縁に比較部212を備える。フォトクロミック層13が最大発色濃度に発色した際、比較部212の色とフォトクロミック層13の色は略一致する。
【0066】
上記の構成により、スリッパ2は、フォトクロミック層13の色と比較部212の色とが略一致することにより、フォトクロミック層13が最大発色濃度に発色し、スリッパ2が殺菌済みとなったことを容易に判断できる。
【0067】
殺菌表示ラベル1は、白色の基材12により、フォトクロミック層13の発色を目立たせることができる。
【0068】
殺菌表示ラベル1は、中底211における踵側に設けられる。スリッパ2は、殺菌済みの状態において使用した際に、使用者の足が殺菌表示ラベル1に接触する。フォトクロミック層13は、使用者の足の体温を暴露させることで消色する。
【0069】
上記の構成により、殺菌表示ラベル1は、スリッパ2の使用時において、常温よりも高い使用者の体温によりフォトクロミック層13を消色できるため、短時間で確実に消色できる。スリッパ2は、フォトクロミック層13がスリッパ2の使用時に消色されるため、スリッパ2の使用により必然的にフォトクロミック層13が消色できる。この結果、フォトクロミック層13が消色したスリッパ2が使用済みであり、次の使用のためには再度殺菌を行う必要があることを容易に判断できる。
【0070】
スリッパ2は、使用後にフォトクロミック層13の発色が消色した状態で殺菌装置に再度収納され、所定の紫外線量を再度照射してフォトクロミック層13を最大発色濃度で発色させることにより、再度殺菌済みの状態にされる。
【0071】
上記の構成により、スリッパ2は、消色した状態のフォトクロミック層13を再度最大発色濃度で発色させるまでに要する紫外線の照射時間と、殺菌装置によりスリッパ2が殺菌済みとなるまでに要する時間とを一致させることができる。そのため、スリッパ2を繰り返し殺菌して使用する場合においても、フォトクロミック層13の最大発色濃度による発色をスリッパ2が殺菌済みであることの判断基準として繰り返し用いることができる。
【0072】
殺菌表示ラベル1において、最大発色濃度で発色したフォトクロミック層13の消色までに要する時間は、1分以上1時間以内である。
【0073】
上記の構成により、殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13を短時間で消色することができる。そのため、スリッパ2が短時間の使用でも紫外線の再照射による殺菌が必要な場合、所定の紫外線量が照射されておらず、殺菌済みとなっていないスリッパ2が使用されることを防ぐことができる。また、フォトクロミック層13の消色時間が1分以上であることにより、殺菌装置から取り出したスリッパ2を使用する前にスリッパ2が殺菌済みとなっていることを使用者が視認するための余裕時間を確保できる。
【0074】
(第2実施形態)
図4に示すように、第2実施形態に係る殺菌表示ラベル1を備えた履物2は、第1実施形態と同様に公知の一対のスリッパである。また、以下、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付記し、その説明を省略する。
【0075】
殺菌表示ラベル1のフォトクロミック層13に含まれるフォトクロミック材料は、可視光を照射することで消色するP型の材料である。
【0076】
図5に示すように、殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13と、インク部17と、カバー層18と、を備える。フォトクロミック層13は、スリッパ2上に印刷形成される。インク部17は、フォトクロミック層13の周囲に印刷形成される。カバー層18は、フォトクロミック層13上およびインク部17上に印刷形成される(以下、「カバー層18」を「カバー印刷層18」と記載する)。インク部17は、フォトクロミック層13の最大発色濃度と略同一の色素濃度を有する。フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色し、フォトクロミック層13と周囲のインク部17が略同一の色となることにより、スリッパ2が殺菌済みになったと判断する。
【0077】
上記の構成の殺菌表示ラベル1の作製方法について説明する。
先ず、アルコール水溶液等の溶媒にフォトクロミック材料を溶解し、バインダーとなる水溶性樹脂と混合してインクを作製する。
【0078】
上記のインクを公知のインクジェット印刷機により、甲部22の上面221上における爪先側の所定の位置に直接印刷して乾燥させることでフォトクロミック層13を形成する。
【0079】
フォトクロミック層13の最大発色濃度と略同一の色素濃度を有するインクをオフセット印刷等によりフォトクロミック層13の周囲に直接印刷して乾燥させることでインク部17を形成する。なお、このインク部17は、フォトクロミック層13と同様に、インクジェット印刷機により形成されてもよい。
【0080】
フォトクロミック層13と同様のインクジェット印刷機によりフォトクロミック層13上およびインク部17上に直接印刷することでカバー印刷層18を形成する。カバー印刷層18は、第1実施形態におけるカバーフィルム層15と同様に厚みを調整することにより、フォトクロミック層13に照射される紫外線の照射量を調整する。
上記により、殺菌表示ラベル1は、甲部22の上面221の爪先側に形成される。
【0081】
図6に示すように、甲部22は、上面221のスリッパ2の挿入口23側において、上方に突出するツバ部24が形成されている。ツバ部24は、甲部22と一体形成されている。ツバ部24は、甲部22の幅方向略全体にわたって形成されている。ツバ部24の高さH1は、スリッパ2を履いたときの使用者の踝より高い。例えば、ツバ部24の高さは、中底211から8cm以上が望ましい。ツバ部24の形成位置は上記に限定されず、例えば殺菌表示ラベル1を囲うように殺菌表示ラベル1の周縁に形成してもよい。
【0082】
スリッパ2は、殺菌後の使用時において、上面221の爪先側に形成された殺菌表示ラベル1に室内の電灯等の可視光が照射される。殺菌表示ラベル1は、照射された可視光によってフォトクロミック層13の消色が早く進行する。スリッパ2は、使用された後に再度殺菌装置に収納される。このとき、殺菌表示ラベル1のフォトクロミック層13は、完全に消色している。つまり、フォトクロミック層13は、スリッパ2の使用時間内に完全消色する。
【0083】
スリッパ2は、上記の通り1時間以内でフォトクロミック層13が消色することが望ましい。また、殺菌表示ラベル1は、スリッパ2を殺菌装置から取り出して使用する際に、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色していることを確認するための余裕時間を要する。また、余裕時間の目安は1分以上で、余裕時間の間において、フォトクロミック層13は最大発色濃度の90%以上の発色濃度を維持できる必要がある。
【0084】
次に、上述した本発明の実施形態による殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物(スリッパ)の作用・効果について図面を用いて説明する。
【0085】
スリッパ2に形成される殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13と、フォトクロミック層13の周囲に形成されたインク部17と、を備える。インク部17の色素濃度は、フォトクロミック層13の最大発色濃度と略一致する。フォトクロミック層13は、所定の照射量の紫外線が照射されると最大発色濃度で発色する。スリッパ2は、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色し、インク部17の色素濃度と略一致した時点で殺菌装置により殺菌済みとなったと判断する。殺菌表示ラベル1は、スリッパ2に直接印刷され形成されている。
【0086】
上記の構成により、スリッパ2は、所定の照射量の紫外線を照射してフォトクロミック層13を最大発色濃度で発色させることで、スリッパ2に照射量の紫外線が照射され、殺菌済みとなったことを容易に視認できる。そのため、スリッパ2の使用者は、フォトクロミック層13の発色を視認することでスリッパ2が殺菌済みであることを判断できる。また、殺菌表示ラベル1は、スリッパ2に直接印刷されているため、ラベルの劣化を抑制し、長期間繰り返し使用できる。
【0087】
殺菌表示ラベル1は、インク部17をフォトクロミック層13が最大発色濃度に発色したされたことを視認できる基準として用いることができる。
【0088】
殺菌表示ラベル1は、甲部22の上面221の爪先側に形成されている。フォトクロミック層13は、室内の電灯等の可視光を照射することにより消色される。
【0089】
上記の構成により、スリッパ2の使用者が殺菌表示ラベルを視認しやすくなる。また、フォトクロミック層13が室内の電灯等の可視光によって消色する場合、可視光が殺菌表示ラベル1に照射されやすくなる。
【0090】
殺菌表示ラベル1は、室内の電灯等の可視光によりフォトクロミック層13を消色できるため、殺菌装置収納時の紫外線照射環境からスリッパ2使用時の可視光暴露環境に変わると消色する。つまり、スリッパ2の通常の使用によりフォトクロミック層13を確実に消色できる。スリッパ2は、フォトクロミック層13がスリッパ2の使用時に消色されることにより、スリッパ2が使用済みであり、未殺菌であることを容易に判断できる。
【0091】
スリッパ2は、上面221のスリッパ2の挿入口23側にツバ部24が形成されている。
上記の構成により、スリッパ2は、使用時において、ツバ部24によりスリッパ2の使用者のズボン等の衣服の裾が殺菌表示ラベル1を覆うことを抑制できる。そのため、フォトクロミック層13への可視光の照射が妨げられることを防ぐことができ、スリッパ2が使用されている状態においてフォトクロミック層13が消色されていない事態を防止できる。
【0092】
殺菌表示ラベル1は、甲部22の爪先側に形成されている。上記の構成により、スリッパ2の使用時において、殺菌表示ラベル1と使用者の体との接触や衣服との摩擦による殺菌表示ラベル1の摩耗を抑制できる。
【0093】
以上、本発明による殺菌表示ラベルおよび殺菌表示ラベルを備えた履物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0094】
例えば、殺菌表示ラベル1の形成位置は、上記各実施形態に記載した例に限定されない。例えば、印刷により形成された殺菌表示ラベル1をスリッパ2の中底211に形成してもよいし、ラベル状に形成された殺菌表示ラベル1をスリッパ2の甲部22に形成してもよい。
【0095】
上記各実施形態において、殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13が最大発色濃度に発色した際にスリッパ2が殺菌済みとなったことを表示する表示部16を備えるが、表示部16を省略し、フォトクロミック層13と比較部212の色の比較によりスリッパ2が殺菌済みとなったことを判断してもよい。また、上記とは逆に比較部212を省略してもよいし、表示部16および比較部212の両方を省略してもよい。また、比較部212の色濃度は、最大発色濃度より低い色濃度に設定し、色判定してもよい。
【0096】
第2実施形態において、殺菌表示ラベル1は、フォトクロミック層13が最大発色濃度で発色し、インク部17の色素濃度と略一致した時点で殺菌済みとなったと判断するが、殺菌済みの判断基準となるインク部17の色素濃度を最大発色濃度より低い所定の濃度に設定して、視認のマージンを取る構成としてもよい。
【0097】
第2実施形態において、ツバ部24は甲部22と一体形成されているが、上記の実施形態に限定されず、例えばツバ部24を甲部22の材質と異なるエラストマーなどの摩擦係数の高い樹脂により作製し、甲部22とツバ部24とを接続した構成としてもよい。また、シール状に形成された殺菌表示ラベル1の場合においては、殺菌表示ラベル1の周縁を上方に折り込み立ち上げた立体構造に形成することにより、ツバ部24を省略してもよい。
【0098】
第2実施形態において、ツバ部24は、紫外線の照射による発色機能を有しないが、殺菌表示ラベル1と同様に紫外線の照射による発色機能を備えていてもよい。
【0099】
上記各実施形態においては、スリッパ2に殺菌表示ラベル1が形成されているが、殺菌表示ラベル1は上記の構成に限定されず不特定多数の人が共用する製品に形成されてよい。例えば、
図7に示すように、温浴施設等で使用されるヘアブラシ3の持ち手31に殺菌表示ラベル1を形成し、ヘアブラシ3が殺菌済みとなった状態で使用された際に、持ち手31を持つ使用者の手の体温によりフォトクロミック層13の消色が進行する構成であってもよい。また、殺菌表示ラベル1の発色時間や消色時間等の諸条件は、ヘアブラシ3に応じて決定する。
【符号の説明】
【0100】
1 殺菌表示ラベル
2 履物(スリッパ)
12 基材
13 フォトクロミック層
17 インク部