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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127945
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】制御支援装置および制御支援方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230907BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
G05B11/36 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031943
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】生和 高明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】加門 宏章
(72)【発明者】
【氏名】池田 玲
【テーマコード(参考)】
5F157
5H004
【Fターム(参考)】
5F157AB33
5F157AB90
5F157CD32
5F157CD42
5F157CE32
5F157CE42
5F157CE53
5F157CE54
5F157CE81
5F157CE86
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF70
5F157CF90
5F157DB45
5F157DC01
5H004GA34
5H004GB01
5H004HA02
5H004HA14
5H004HB02
5H004HB03
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB06
5H004KC33
5H004KD47
(57)【要約】
【課題】 基板処理装置の構成要素の制御パラメータの値を決定するための労力を軽減することが可能な制御支援装置および制御支援方法を提供する。
【解決手段】
制御支援装置は、基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す処理情報から構成要素の動作の正常度をそれぞれ判定する複数の判定モデルをそれぞれ識別する複数のモデル識別情報と、複数のパラメータ値との対応関係を取得する対応関係取得部と、複数の判定モデルのうち構成要素の動作時の処理情報から適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得する情報取得部と、対応関係取得部により取得された対応関係および情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、構成要素を制御するためのパラメータ値を決定する決定部とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置における構成要素を制御するための制御パラメータの値であるパラメータ値を決定する制御支援装置であって、
前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す処理情報から前記構成要素の動作の正常度をそれぞれ判定する複数の判定モデルをそれぞれ識別する複数のモデル識別情報と、複数のパラメータ値との対応関係を取得する対応関係取得部と、
前記複数の判定モデルのうち前記構成要素の動作時の処理情報から適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得する情報取得部と、
前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定する決定部とを備えた、制御支援装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記複数の判定モデルの複数の判定結果のうち最も高い正常度を示す判定結果に対応する判定モデルのモデル識別情報を取得する、請求項1記載の制御支援装置。
【請求項3】
前記基板処理装置は、前記構成要素として、同種の複数の構成要素を含み、
前記複数のパラメータ値は、前記複数の構成要素をそれぞれ制御するための値であり、
前記決定部は、前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、各構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定する、請求項1または2記載の制御支援装置。
【請求項4】
前記決定部により決定された前記パラメータ値を前記基板処理装置に送信する送信部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記基板処理装置の据え付け時、前記基板処理装置の検査時または前記基板処理装置の構成要素が新たな構成要素に交換された場合に、前記据え付け後または交換後の構成要素の制御に用いられる前記パラメータ値を決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項6】
前記基板処理装置の通常動作時に、前記構成要素の制御に用いられる前記パラメータ値に対応する判定モデルの判定結果が予め定められた異常状態を示す場合に、
前記対応関係取得部は、前記対応関係を取得し、
前記情報取得部は、前記適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得し、
前記決定部は、前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するために新たに用いられるべき前記パラメータ値を決定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項7】
前記複数の判定モデルの各々は、前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す複数の前記処理情報間のインバリアントな関係性と前記基板処理装置から実際に収集された複数の処理情報とに基づいて前記構成要素の正常度を判定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項8】
前記対応関係を記憶する記憶部をさらに備え、
前記対応関係取得部は、前記記憶部により記憶された前記対応関係を取得し、
前記決定部は、前記対応関係取得部に記憶された前記対応関係を用いて前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項9】
前記構成要素は、基板の処理に関連するバルブを含み、
前記制御パラメータは、前記バルブを制御するために用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項10】
前記バルブは、ニードルおよびモータを含みかつ基板の処理に関連する液の流量を調整するニードルバルブであり、
前記パラメータ値は、前記ニードルおよび前記モータの少なくとも一方の動作に関連する値である、請求項9記載の制御支援装置。
【請求項11】
前記基板処理装置は、基板の処理が行われるチャンバを含み、
前記構成要素は、前記チャンバ内の給気および排気を行う給排気部を含み、
前記パラメータ値は、前記給気および前記排気の少なくとも一方の動作に関連する値である、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御支援装置。
【請求項12】
前記制御パラメータは、前記給気に対応する第1のパラメータと、前記排気に対応する第2のパラメータとを含み、
前記第1のパラメータのパラメータ値は、前記給気の動作に関連する値であり、
前記第2のパラメータのパラメータ値は、前記排気の動作に関連する値である、請求項11記載の制御支援装置。
【請求項13】
基板処理装置における構成要素を制御するための制御パラメータの値であるパラメータ値を決定する制御支援方法であって、
前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す処理情報から前記構成要素の動作の正常度をそれぞれ判定する複数の判定モデルをそれぞれ識別する複数のモデル識別情報と、複数のパラメータ値との対応関係を取得するステップと、
前記複数の判定モデルのうち前記構成要素の動作時の処理情報から適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得するステップと、
前記取得された対応関係および前記取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定するステップとを含む、制御支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御支援装置および制御支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板(半導体ウェハ)等の基板を処理する基板処理装置は、種々の構成要素(機器または部品等)により構成される。特許文献1および2には、基板処理装置内の基板処理部に供給される処理液の流量を調整するために、構成要素としてニードルバルブが用いられている。ニードルバルブにおいては、アクチュエータが制御されることにより、処理液の流量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-123709号公報
【特許文献2】特開2016-134390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、同種の構成要素であっても、個体差によって特性が異なる。そのため、基板処理装置を正常に稼働させるためには、各構成要素を制御するための制御パラメータの値をそれぞれ決定する必要がある。構成要素ごとの制御パラメータの値の決定は、エンジニアにより行われている。この場合、エンジニアは、制御パラメータの値を決定するために、基板処理装置のティーチング動作により構成要素ごとおよび処理レシピ(処理手順)ごとに制御パラメータの値の微調整を繰り返し行う必要がある。これらの作業には、多大な時間が費やされる。
【0005】
本発明の目的は、基板処理装置の構成要素の制御パラメータの値を決定するための労力を軽減することが可能な制御支援装置および制御支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)基板処理装置における構成要素を制御するための制御パラメータの値であるパラメータ値を決定する制御支援装置であって、制御支援装置は、前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す処理情報から前記構成要素の動作の正常度をそれぞれ判定する複数の判定モデルをそれぞれ識別する複数のモデル識別情報と、複数のパラメータ値との対応関係を取得する対応関係取得部と、前記複数の判定モデルのうち前記構成要素の動作時の処理情報から適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得する情報取得部と、前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定する決定部とを備える。
【0007】
その制御支援装置によれば、基板処理装置の構成要素がパラメータ値に基づいて制御される。このとき、基板処理装置の処理情報から複数の判定モデルにより構成要素の正常度が判定される。複数のモデル識別情報と複数のパラメータ値とが予め対応付けられている。複数のモデル識別情報と複数のパラメータ値との対応関係が対応関係取得部により取得される。また、構成要素の動作時の処理情報から複数の判定モデルのうち適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報が取得される。この場合、モデル識別情報に基づいて適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルを判別することができる。また、対応関係に基づいて、判別された判定モデルに対応するパラメータ値を判別することができる。それにより、取得された対応関係および取得されたモデル識別情報に基づいてパラメータ値が決定される。したがって、基板処理装置における構成要素を制御するためのパラメータ値が自動的に適切なパラメータ値に決定される。その結果、基板処理装置の構成要素の制御パラメータの値を適切な値に決定するための労力を軽減することが可能になる。
【0008】
(2)前記情報取得部は、前記複数の判定モデルの複数の判定結果のうち最も高い正常度を示す判定結果に対応する判定モデルのモデル識別情報を取得してもよい。
【0009】
この場合、構成要素の動作時の処理情報から複数の判定モデルにより正常度が判定され、最も高い正常度を示す判定結果に対応する判定モデルに対応するモデル識別情報が取得される。それにより、最も高い正常度を示す判定結果を得ることが可能な適切なパラメータ値を短時間で決定することが可能になる。したがって、作業者によるパラメータ値の微調整の作業が不要となる。
【0010】
(3)前記基板処理装置は、前記構成要素として、同種の複数の構成要素を含み、前記複数のパラメータ値は、前記複数の構成要素をそれぞれ制御するための値であり、前記決定部は、前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、各構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定してもよい。
【0011】
この場合、各構成要素に対応するパラメータ値を決定する場合に、他の構成要素に対応するパラメータ値を上記一の構成要素に対応するパラメータ値として決定することができる。したがって、複数の構成要素のパラメータ値を容易に決定することができる。
【0012】
(4)前記決定部により決定された前記パラメータ値を前記基板処理装置に送信する送信部をさらに備えてもよい。
【0013】
この場合、基板処理装置の構成要素を制御するために用いられるべきパラメータ値が基板処理装置に送信される。それにより、基板処理装置の構成要素を制御するためのパラメータ値を基板処理装置に自動的に設定することが可能になる。
【0014】
(5)前記決定部は、前記基板処理装置の据え付け時、前記基板処理装置の検査時または前記基板処理装置の構成要素が新たな構成要素に交換された場合に、前記据え付け後または交換後の構成要素の制御に用いられる前記パラメータ値を決定してもよい。
【0015】
この場合、基板処理装置の据え付け時、基板処理装置の検査時または構成要素の交換時に、据え付け後または交換後の構成要素に用いられるパラメータ値を適切な値に自動的かつ短時間で決定することができる。
【0016】
(6)前記基板処理装置の通常動作時に、前記構成要素の制御に用いられる前記パラメータ値に対応する判定モデルの判定結果が予め定められた異常状態を示す場合に、前記対応関係取得部は、前記対応関係を取得し、前記情報取得部は、前記適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得し、前記決定部は、前記対応関係取得部により取得された対応関係および前記情報取得部により取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するために新たに用いられるべき前記パラメータ値を決定してもよい。
【0017】
基板処置装置の構成要素の特性が経年的に変化することにより、構成要素の制御に用いられているパラメータ値が適切でなくなった場合、そのパラメータ値に対応する判定モデルの判定結果が異常状態を示す場合がある。このような場合に、構成要素を制御するために新たに用いられるべきパラメータ値を自動的かつ短時間に決定することができる。その結果、構成要素の使用を継続することが可能になる。
【0018】
(7)前記複数の判定モデルの各々は、前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す複数の前記処理情報間のインバリアントな関係性と前記基板処理装置から実際に収集された複数の処理情報とに基づいて前記構成要素の正常度を判定してもよい。
【0019】
この場合、基板処理装置の処理情報間のインバリアントな関係性に基づいて、構成要素の動作の正常度が適切に判定される。それにより、取得されるモデル識別情報は、より適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルを示すことになる。したがって、構成要素の制御に用いられるパラメータ値をより適切な値に決定することができる。
【0020】
(8)前記対応関係を記憶する記憶部をさらに備え、前記対応関係取得部は、前記記憶部により記憶された前記対応関係を取得し、前記決定部は、前記対応関係取得部に記憶された前記対応関係を用いて前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定してもよい。
【0021】
この場合、パラメータ値の決定後に、複数の対応関係が記憶される。それにより、制御支援装置の外部に対応関係を記憶する構成を設ける必要がなくなる。
【0022】
(9)前記構成要素は、基板の処理に関連するバルブを含み、前記制御パラメータは、前記バルブを制御するために用いられてもよい。
【0023】
この場合、バルブの制御に用いられる制御パラメータの値を適切な値に短時間で決定することが可能となる。それにより、基板処理装置における流体の制御を正確に実行することが可能になる。
【0024】
(10)前記バルブは、ニードルおよびモータを含みかつ基板の処理に関連する液の流量を調整するニードルバルブであり、前記パラメータ値は、前記ニードルおよび前記モータの少なくとも一方の動作に関連する値であってもよい。
【0025】
この場合、ニードルバルブの動作に関連する制御パラメータの値を適切な値に短時間で決定することが可能となる。それにより、基板処理装置における流量制御を正確に実行することが可能になる。
【0026】
(11)前記基板処理装置は、基板の処理が行われるチャンバを含み、前記構成要素は、前記チャンバ内の給気および排気を行う給排気部を含み、前記パラメータ値は、前記給気および前記排気の少なくとも一方の動作に関連する値であってもよい。
【0027】
この場合、基板処置装置のチャンバ内の給気および排気の少なくとも一方に関連するパラメータ値を適切な値に短時間で決定することが可能となる。それにより、チャンバ内気流制御を正確に実行することが可能になる。
【0028】
(12)前記制御パラメータは、前記給気に対応する第1のパラメータと、前記排気に対応する第2のパラメータとを含み、前記第1のパラメータのパラメータ値は、前記給気の動作に関連する値であり、前記第2のパラメータのパラメータ値は、前記排気の動作に関連する値であってもよい。
【0029】
この場合、基板処置装置のチャンバ内の給気および排気に関連する第1および第2のパラメータのパラメータ値の少なくとも一方を適切な値に短時間で決定することが可能になる。それにより、チャンバ内の給排気制御を正確に実行することが可能となる。
【0030】
(13)基板処理装置における構成要素を制御するための制御パラメータの値であるパラメータ値を決定する制御支援方法であって、制御支援方法は、前記基板処理装置の基板の処理に関連する動作または状態を示す処理情報から前記構成要素の動作の正常度をそれぞれ判定する複数の判定モデルをそれぞれ識別する複数のモデル識別情報と、複数のパラメータ値との対応関係を取得するステップと、前記複数の判定モデルのうち前記構成要素の動作時の処理情報から適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルに対応するモデル識別情報を取得するステップと、前記取得された対応関係および前記取得されたモデル識別情報に基づいて、前記構成要素を制御するための前記パラメータ値を決定するステップとを含む。
【0031】
その制御支援方法によれば、モデル識別情報に基づいて適正な判定結果を得ることが可能な判定モデルを判別することができる。また、対応関係に基づいて、判別された判定モデルに対応するパラメータ値を判別することができる。それにより、取得された対応関係および取得されたモデル識別情報に基づいてパラメータ値が決定される。したがって、基板処理装置における構成要素を制御するためのパラメータ値が自動的に適切なパラメータ値に決定される。その結果、基板処理装置の構成要素の制御パラメータの値を適切な値に決定するための労力を軽減することが可能になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、基板処理装置の構成要素の制御パラメータの値を決定するための労力を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施の形態に係る制御支援装置を含む基板処理システムの構成を説明するための図である。
図2】乖離度の具体的な算出例を説明するための図である。
図3】異常スコアの具体的な算出例を説明するための図である。
図4】学習動作および適正パラメータ値更新動作における基板処理装置、情報分析装置および制御支援装置の動作を説明するための概念図である。
図5】複数の判定モデルを説明するための概念図である。
図6】判定モデル番号とパラメータ値との対応関係を説明するための概念図である。
図7】主として図1の情報分析装置および制御支援装置の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
図8】学習動作時における基板処理装置の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】学習動作時における情報分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】学習動作時における制御支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】適正パラメータ値更新動作における基板処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図12】適正パラメータ値更新動作における情報分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】適正パラメータ値更新動作における制御支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図14】他の実施の形態に係る基板処理装置を含む基板処理システムを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態に係る制御支援装置および制御支援方法について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(半導体ウェハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0035】
(1)全体構成
図1は、一実施の形態に係る制御支援装置を含む基板処理システムの構成を説明するための図である。図1の基板処理システム100は、基板処理装置1、情報分析装置3および制御支援装置4を含む。制御支援装置4は、基板処理装置1および情報分析装置3に接続される。制御支援装置4は、基板処理装置1および情報分析装置3の各々に対して有線または無線の通信経路または通信回線網により接続される。例えば、制御支援装置4は、基板処理装置1および情報分析装置3の各々に対してインターネット等の通信回線網を介して接続される。本実施の形態において、制御支援装置4は、基板処理装置1および情報分析装置3に対して有線または無線のLAN(Local Area Network)により接続される。
【0036】
(2)基板処理装置1の構成例
図1の例では、基板処理装置1は、制御装置40および複数の基板処理ユニットWUを備える。各基板処理ユニットWUは、基板Wを保持して回転させるスピンチャックSCを有する。基板処理ユニットWUは、例えば、基板洗浄ユニット、感光性膜形成ユニット、周縁露光ユニットおよび現像ユニット等を含む。基板処理ユニットにおいては、例えば、基板Wに洗浄液が供給されることにより基板Wが洗浄される。基板処理装置1には、基板処理装置1を構成する種々の構成要素(機器または部品等)が含まれる。例えば、基板処理装置1は、各基板処理ユニットWUに種々の処理液を導入するために、構成要素として、流量計FM、圧力計PM、吐出バルブDVおよび流量調整バルブMVを含む。なお、基板処理装置1には、上記の複数の構成要素の他に、図示しない表示装置、音声出力装置および操作部が設けられる。基板処理装置1は、基板処理装置1の予め定められた処理手順(処理レシピ)に従って運転される。
【0037】
流量計FMは、処理液流路RP内を流れる処理液の流量の値(以下、制御流量値と呼ぶ。)を計測する。圧力計PMは処理液流路RP内の圧力の値(以下、一次側圧力と呼ぶ。)を計測する。吐出バルブDVは、処理液流路RP内の処理液を基板処理ユニットWUに供給するために開閉動作を行う。本実施の形態において、流量調整バルブMVは、モータニードルバルブである。この流量調整バルブMVは、モータおよびニードルを含み、内部流路内でニードルがモータにより移動されることにより、流量が調整される。
【0038】
本実施の形態において、制御装置40は、処理液流路RP内の処理液の流量を調整するために、制御流量値と予め定められた流量の値(以下、目標流量値と呼ぶ。)との差に基づいて、流量調整バルブMVのモータに供給される電力をPID(比例-積分-微分)制御する。それにより、目標流量値の処理液が基板処理ユニットWUに供給される。図1の基板処理装置1には、複数の基板処理ユニットWUに対応して、同種の複数の流量計FM、同種の複数の圧力計PM、同種の複数の流量調整バルブMVおよび同種の複数の吐出バルブDVが設けられる。
【0039】
ここで、制御装置40が基板処理装置1の構成要素を制御する場合、種々の制御パラメータの値で当該構成要素を制御する。制御装置40は、構成要素の種類ごとに定められた制御パラメータにより各構成要素の動作を制御する。この場合、同種の構成要素であっても、個体差により異なる特性を有する。したがって、同種の複数の構成要素に対して、それぞれ適切な制御パラメータの値が設定される。以下、制御パラメータの値をパラメータ値と呼ぶ。
【0040】
例えば、図1の各流量調整バルブMVにおいては、ニードルの形状のばらつき、ニードルの始動基準位置および流量調整バルブMVにかかる圧力等により個体差が生じる。それにより、基板処理装置1の流量調整バルブMVごとに特性が異なる。そのため、構成要素ごとに適切なパラメータ値を設定する必要がある。図1の例において、流量調整バルブMVを制御するために用いられる制御パラメータは、Pゲイン、Iゲイン、Dゲイン、ニードルの始動基準位置、制御周期およびフィルタ係数等である。
【0041】
(3)処理情報
基板処理装置1には、当該基板処理装置1の構成要素の異常を管理するための情報として、基板処理装置1における基板Wの処理に関連する動作または状態を示す複数の処理情報が定められる。本実施の形態においては、これらの処理情報は、図1に太い実線の矢印で示すように、基板処理装置1の制御装置40から制御支援装置4を介して情報分析装置3に所定周期で送信される。
【0042】
図1の吹き出し内に示すように、基板処理装置1から制御支援装置4を介して情報分析装置3に送信される処理情報は、「a.ニードル現在位置」、「b.目標流量値」、「c.制御流量値」、「d.一次側圧力」および「e.吐出バルブDVの開閉タイミング」を含む。本例では、一つの構成要素である流量調整バルブMVに関連する処理情報が示される。
【0043】
「a.ニードル現在位置」は、流量調整バルブMVの内部流路内のニードルの現在位置を示す。「b.目標流量値」は、予め定められた処理手順(処理レシピ)に対応する流量調整バルブMVから吐出されるべき処理液の流量の値である。「c.制御流量値」は、流量計FMにより計測された処理液流路RP内の処理液の流量の値である。「d.一次側圧力」は、圧力計PMにより計測された処理液流路RP内の圧力の値である。「e.吐出バルブDVの開閉タイミング」は、吐出バルブDVの開閉タイミングを示す値である。
【0044】
(4)情報分析装置3による各構成要素の異常検出(正常度検出)
情報分析装置3は、例えばサーバであり、CPU(中央演算処理装置)およびメモリを含む。情報分析装置3は、基板処理装置1から送信される複数の処理情報を収集する。情報分析装置3においては、基板処理装置1から情報分析装置3に送信される複数の処理情報について、互いに異なる2つの処理情報の複数の組み合わせが予め定められている。
【0045】
このとき、各組み合わせを構成する2つの処理情報の間で、予め定められたインバリアント(不変)な関係性(以下、インバリアント関係と呼ぶ。)が維持される。インバリアント関係は、基板処理装置1の予め定められた処理手順(処理レシピ)ごとに設定される。
【0046】
ここで、基板処理装置1のいずれかの構成要素に異常が発生した状態で基板処理が実行されることにより、不適切な基板処理が実行されている場合を想定する。この場合、複数の組み合わせのうち少なくとも一の組み合わせを構成する2つの処理情報の間の関係がインバリアント関係から乖離する。
【0047】
そこで、情報分析装置3は、実際に収集された複数の処理情報の複数の組み合わせの関係と、それらの複数の処理情報について予め定められた複数のインバリアント関係との乖離の度合いを複数の乖離度として算出する。また、情報分析装置3は、算出された複数の乖離度に基づいて、構成要素の異常の度合いを異常スコアとして算出する。異常スコアは、構成要素の動作の正常度を表している。すなわち、異常スコアが低い場合、構成要素の動作の正常度は高く、異常スコアが高い場合、構成要素の動作の正常度は低い。異常スコアの算出方法の具体例は後述する。
【0048】
また、異常スコアは、各構成要素に設定されるパラメータ値により変化する。各構成要素に設定されるパラメータ値が適切である場合には、当該構成要素の動作の正常度は高くなり、異常スコアが低くなる。逆に、各構成要素に設定されるパラメータ値が適切でない場合には、当該構成要素の動作の正常度は低くなり、異常スコアが高くなる。以下に説明するように、本実施の形態では、異常スコアを利用してパラメータ値を適切な値に決定することができる。
【0049】
(5)情報分析装置3による異常スコアの算出例
上記のように、情報分析装置3においては、互いに異なる2つの処理情報の複数の組み合わせが定められている。構成要素の異常スコアを算出するために、組合せごとに乖離度が算出される。図2は、乖離度の具体的な算出例を説明するための図である。ここでは、図1の「a.ニードル現在位置」と「b.目標流量値」との組み合わせに対応する乖離度の算出例を説明する。以下の説明では、「a.ニードル現在位置」のデータを適宜「a」データと呼び、「b.目標流量値」のデータを適宜「b」データと呼ぶ。
【0050】
乖離度を算出するためには、「a.ニードル現在位置」と「b.目標流量値」との間のインバリアント関係に基づく基準のデータが必要となる。そこで、情報分析装置3には、基板処理装置1における実際の基板Wの処理前に、当該基板処理装置1の構成要素(本例では、流量調整バルブMV)が予め定められた処理レシピに従って理想的に動作しているときの「a」データおよび「b」データが保持される。
【0051】
これらの理想的な「a」データおよび「b」データは、例えば実際に基板処理装置1が正常に動作しているときに基板処理装置1から送信される複数の処理情報に基づいて取得される。あるいは、理想的な「a」データおよび「b」データは、シミュレーション等により生成されてもよい。
【0052】
図2の上部に、理想的な「a」データおよび「b」データの時間的変化の一例がグラフにより示される。「a」データのグラフにおいては、横軸は時間を表し、縦軸はニードルの現在位置の値を表す。「b」データのグラフにおいては、横軸は時間を表し、縦軸は処理液流路RP内の処理液の流量の値を表す。「a」データのグラフと「b」データのグラフとの間では、横軸(時間軸)は共通している。
【0053】
図2の上部の2つのグラフによれば、ニードルの現在位置の値が大きくなるにつれて、処理液流路RP内の処理液の流量の値も略一定の割合で大きくなることがわかる。すなわち、ニードルの現在位置と処理液流路RP内の処理液の流量の値とはインバリアント関係を有する。基板処理装置1が理想的に動作する場合には、複数の処理情報の各組合せにおける関係は、インバリアント関係と等しくなる。
【0054】
情報分析装置3には、複数の処理情報(上述の「a」~「e」データ)の各組み合わせについてインバリアント関係が作成される。本実施の形態においては、基板処理装置1(図1)の構成要素ごとにインバリアント関係が作成される。
【0055】
この状態で、基板処理装置1において、基板Wの処理が行われ、実際の「a」データおよび「b」データが情報分析装置3により収集される。図2の中央部に、実際に収集された「a」データおよび「b」データの時間的変化の一例がグラフにより示される。
【0056】
実際の「a」データが収集されると、予め記憶されたインバリアント関係に基づいて「b」データが予測される。また、実際の「b」データが収集されると、予め記憶されたインバリアント関係に基づいて「a」データが予測される。図2の下部に、インバリアント関係に基づいて予測された「a」データおよび「b」データの時間的変化の一例がグラフにより示される。なお、図2の下部のグラフにおいては、予測された「a」データおよび「b」データが実線で示され、実際に収集された「a」データおよび「b」データが点線で示される。
【0057】
流量調整バルブMVが理想的に動作している場合には、実際の「a」データと予測された「a」データとが一致するかまたはほぼ一致することになる。また、実際の「b」データと予測された「b」データとが一致するかまたはほぼ一致することになる。しかしながら、流量調整バルブMVに異常が発生している場合には、実際の「a」データと予測された「a」データとが乖離する可能性が高い。また、実際の「b」データと予測された「b」データとが乖離する可能性が高い。この乖離の度合いは、流量調整バルブMVに発生する異常の程度が大きいほど大きく、流量調整バルブMVに発生する異常の程度が小さいほど小さいと考えられる。
【0058】
そこで、本実施の形態では、実際に収集された処理情報であるデータと予測された処理情報であるデータとの差分値が乖離度として算出される。図2の例では、情報分析装置3は、ある時点における乖離度の算出時に、実際の「a」データと予測された「a」データとの差分値を乖離度として算出する。また、情報分析装置3は、実際の「b」データと予測された「b」データとの差分値を乖離度として算出する。
【0059】
図3は、異常スコアの具体的な算出例を説明するための図である。情報分析装置3は、複数の処理情報の全ての組み合わせに関して、上記の乖離度を算出する。図3の左の縦欄の処理情報「a」~「e」の各々の右側の行に並ぶ複数の値は、上の横欄の処理情報「a」~「e」の各々から予測された処理情報と実際に取得された処理情報との乖離度を表す。図3の上の横欄の処理情報「a」~「e」の各々の下側の列に並ぶ複数の値は、左の縦欄の「a」~「e」の各々から予測された処理情報と実際に取得された処理情報との乖離度を表す。
【0060】
例えば、左の縦欄の処理情報「a」の右側の行と上の横欄の処理情報「b」の下側の列との交差部の欄内の値「35」は、処理情報「b」から予測された処理情報「a」と実際に取得された処理情報「a」との乖離度を表す。また、左の縦欄の処理情報「b」の右側の行と上の横欄の処理情報「a」の下側の列との交差部の欄内の値「21」は、処理情報「a」から予測された処理情報「b」と実際に取得された処理情報「b」との乖離度を表す。
【0061】
図3では、一の構成要素に関連する複数の処理情報の全ての組み合わせに関して算出された複数の乖離度が示される。情報分析装置3は、全ての乖離度が算出されると、算出された複数の乖離度の合計を当該構成要素に対応する異常スコアとして算出する。図3の例では、異常スコアは、161となる。
【0062】
本実施の形態では、情報分析装置3において、上記のように、各構成要素に関連する複数の処理情報について予測された処理情報と実際に取得された処理情報との乖離度に基づいて、当該構成要素の動作の正常度を判定する判定モデルが機械学習により生成および更新される。それにより、情報分析装置3においては、基板処理装置1の同種の複数の構成要素(例えば、複数の流量調整バルブMV)に対応して複数の判定モデルが生成および更新される。本実施の形態では、各判定モデルに対応する構成要素の動作の正常度の判定結果が異常スコアとして算出される。
【0063】
本実施の形態では、複数の判定モデルにより算出された異常スコアに基づいて一または複数の構成要素に設定されるべきパラメータ値が決定される。以下、機械学習により複数の判定モデルを生成する動作を学習動作と呼ぶ。また、各構成要素に設定されるパラメータ値を更新(微調整)する動作を適正パラメータ値更新動作と呼ぶ。
【0064】
(6)学習動作
図4は、学習動作および適正パラメータ値更新動作における基板処理装置1、情報分析装置3および制御支援装置4の動作を説明するための概念図である。図5は、複数の判定モデルを説明するための概念図である。図6は、判定モデル番号とパラメータ値との対応関係を説明するための概念図である。
【0065】
図4の例では、基板処理装置1の同種の複数の構成要素C1,C2,…,Cnのパラメータ値PR1,PR2,…,PRnが記憶部MEに設定されている。ここで、nは2以上の整数である。
【0066】
学習動作の開始が指令されると、基板処理装置1の制御装置40は、記憶部MEに設定されたパラメータ値PR1~PRnに基づいて複数の構成要素C1~Cnの動作を制御する。それにより、複数の構成要素C1~Cnにそれぞれ対応する複数の処理情報PI1,PI2,・・・,PInが基板処理装置1から情報分析装置3に送信される。複数の処理情報PI1~PInの各々は、一または複数の処理情報を含む。例えば、複数の構成要素C1~Cnが複数の流量調整バルブMVである場合には、各流量調整バルブMVに対応する複数の処理情報「a」~「e」が情報分析装置3に送信される。
【0067】
情報分析装置3の判定モデル生成部32は、受信した複数の処理情報PI1~PInに基づいて機械学習により複数の構成要素C1~Cnにそれぞれ対応する複数の判定モデルMD1,MD2,…,MDnを生成する。例えば、図1の複数の流量調整バルブMVにそれぞれ対応する判定モデルMD1~MDnが生成される。本実施の形態では、複数の判定モデルMD1~MDnには、各判定モデルを識別するためのモデル識別情報として、判定モデル番号M1~Mnが付与される。
【0068】
図5には、2つの判定モデルMD1,MD2の例が示される。判定モデルMD1,MD2では、各処理情報の変化と他の処理情報の変化との関係を表す関数が異なる。例えば、判定モデルMD1では、処理情報「a」は、処理情報「b」を変数とする関数f1により表される。また、処理情報「b」は、処理情報「a」を変数とする関数g1により表される。一方、判定モデルMD2では、処理情報「a」は、処理情報「b」を変数とする関数f2により表される。また、処理情報「b」は、処理情報「a」を変数とする関数g2により表される。
【0069】
図4に示すように、複数の判定モデルMD1~MDnは、複数の処理情報PI1~PInに基づいて、図2および図3を用いて説明した方法で異常スコアAS1~ASnをそれぞれ判定結果として算出する。
【0070】
図4に示すように、制御支援装置4には、基板処理装置1から複数の構成要素C1~Cnに対応する複数のパラメータ値PR1~PRnが送信され、情報分析装置3の複数の判定モデルMD1~MDnに対応する複数の判定モデル番号M1~Mnが情報分析装置3から送信される。それにより、制御支援装置4に、複数の判定モデル番号M1~Mnと複数のパラメータ値PR1~PRnとの対応関係CRが記憶される。
【0071】
図6には、図1の一の流量調整バルブMVについての対応関係が示される。図6の例では、制御パラメータは、制御周期、フィルタ係数、Pゲイン、Iゲイン、Dゲインおよびニードル始動基準位置を含む。図6の対応関係においては、複数の判定モデル番号M1~Mnと制御周期の値、フィルタ係数の値、Pゲインの値、Iゲインの値、Dゲインの値およびニードル始動基準位置の値とが対応付けられる。
【0072】
このようにして、学習動作では、複数の構成要素C1~Cnに対応する複数の判定モデルMD1~MDnが生成されるとともに、複数の判定モデル番号M1~Mnと複数のパラメータ値との対応関係CRが設定される。
【0073】
基板処理装置1の通常動作時には、制御装置40は、記憶部MEに設定されたパラメータ値PR1~PRnに基づいて複数の構成要素C1~Cnの動作を制御する。それにより、複数の構成要素C1~Cnにそれぞれ対応する複数の処理情報PI1~PInが基板処理装置1から情報分析装置3に送信される。
【0074】
情報分析装置3においては、学習動作により生成された複数の判定モデルMD1,MD2,…,MDnが対応する構成要素C1~Cnの正常度を判定し、判定結果として異常スコアAS1~ASnを算出する。複数の構成要素C1~Cnに対応する異常スコアAS1~ASnは、基板処理装置1または制御支援装置4に送信されてもよい。それにより、作業者は、基板処理装置1の各構成要素C1~Cnが正常であるかまたは異常であるかを認識することができる。
【0075】
(7)適正パラメータ値更新動作
ここで、基板処理装置1の同種の構成要素C1~Cnは、個体差により異なる特性を有する。そのため、工場等における基板処理装置1の据え付け(セットアップ)時においては、構成要素C1~Cnごとにそれぞれ適切なパラメータ値を設定する必要がある。初期状態では、基板処理装置1の各構成要素C1~Cnに対して、例えば、既定のパラメータ値が設定されている。この状態で、各構成要素C1~Cnに対するパラメータ値を適切なパラメータ値(以下、適正パラメータ値と呼ぶ。)に更新(微調整)する必要がある。また、経年変化により基板処理装置1の複数の構成要素C1~Cnのいずれかの特性が劣化することがある。この場合、特性が劣化した構成要素が新たな構成要素に交換される。交換前の構成要素と交換後の構成要素との個体差により、交換後の構成要素の特性が交換前の構成要素の特性と異なる場合がある。この場合にも、交換前の構成要素に対するパラメータ値を交換後の構成要素に適切なパラメータ値に更新(微調整)する必要がある。
【0076】
本動作例においては、基板処理装置1の構成要素C1~Cnのうち構成要素C1を制御するためのパラメータ値PR1を適切なパラメータ値に更新(微調整)する場合を説明する。この適正パラメータ値更新動作は、基板処理装置1の据え付け時、基板処理装置1の検査時または構成要素C1~Cnのいずれかの交換時に行われる。
【0077】
適正パラメータ値更新動作においては、まず、基板処理装置1の制御装置40は、構成要素C1に対して既に設定されたパラメータ値PR1で構成要素C1を制御する。それにより、構成要素C1に関連する処理情報PI1が基板処理装置1から情報分析装置3に送信される。
【0078】
情報分析装置3においては、構成要素C1に関連する処理情報PI1が複数の判定モデルMD1~MDnに与えられる。複数の判定モデルMD1~MDnは、処理情報PI1に基づいて、図2および図3を用いて説明した方法で異常スコアAS1~ASnをそれぞれ判定結果として算出する。
【0079】
最小スコア判定部35は、複数の判定モデルMD1~MDnにより算出された異常スコアAS1~ASnのうち最小値を有する異常スコアを判定し、最小値を有する異常スコアを算出した判定モデルに対応する判定モデル番号を制御支援装置4に送信する。最小値を有する異常スコアは、正常度が最も高いことを示す。図4の例では、判定モデルMDnにより算出された異常スコアASnが最小値を有する。それにより、最小スコア判定部35から制御支援装置4に判定モデルMDnに対応する判定モデル番号Mnが送信される。
【0080】
制御支援装置4は、学習時に取得した対応関係CRにより情報分析装置3から取得した判定モデル番号Mnに対応するパラメータ値PRnを適正パラメータ値として決定する。決定された適正パラメータ値PRnは、制御支援装置4から基板処理装置1に送信される。基板処理装置1においては、構成要素C1に対するパラメータ値PR1が適正パラメータ値PRnに更新される。同様にして、他の構成要素C2~Cnに対するパラメータ値PR2~PRnを更新することができる。
【0081】
(8)制御支援装置4の機能的な構成ならびに学習動作および適正パラメータ更新動作の一例
図7は、主として図1の情報分析装置3および制御支援装置4の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
【0082】
図7において、基板処理装置1は、図4の制御装置40を含む。図7において、図4の複数の構成要素C1~Cnおよび記憶部MEの図示が省略されている。図7の情報分析装置3は、情報受信部31、判定モデル生成部32、最小スコア判定部35、判定モデル記憶算出部33および判定モデル番号送信部34を含む。情報分析装置3は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ等により構成される。図7の複数の機能部(31~35)は、メモリに記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることにより実現される。
【0083】
図7の制御支援装置4は、処理情報取得部41、パラメータ値取得部42、判定モデル番号取得部43、対応関係生成部44、対応関係記憶部45、対応関係取得部46、適正パラメータ値決定部47および送信部48を含む。制御支援装置4は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ等により構成される。図7の複数の機能部(41~48)は、メモリに記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることにより実現される。図7の各機能部(31~35,41~48)の機能および動作については、後述する図8図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0084】
図8は、学習動作時における基板処理装置1の制御装置40の動作の一例を示すフローチャートである。図9は、学習動作時における情報分析装置3の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、学習動作時における制御支援装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、基板処理装置1、情報分析装置3および制御支援装置4による学習動作について説明する。図8において、まず、基板処理装置1の制御装置40は、学習動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS10)。学習動作の開始が指令されていない場合、制御装置40は、学習動作の開始が指令されるまで待機する。学習動作の開始が指令された場合、予め設定された図4の複数のパラメータ値PR1~PRnで複数の構成要素C1~Cnを制御する(ステップS11)。
【0086】
次に、制御装置40は、複数の構成要素C1~Cnの動作により得られた複数の処理情報PI1~PInを制御支援装置4を介して情報分析装置3に送信する(ステップS12)。なお、制御装置40は、得られた複数の処理情報PI1~PInを情報分析装置3に直接送信してもよい。その後、制御装置40は、学習動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS13)。学習動作の終了が指令されていない場合、制御装置40はステップS11に戻る。それにより、ステップS11~S13の動作が繰り返される。ステップS13において学習動作の終了が指令された場合、学習動作が終了する。
【0087】
図9において、情報分析装置3の情報受信部31は、学習動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS20)。学習動作の開始が指令されていない場合、情報受信部31は、学習動作の開始が指令されるまで待機する。学習動作の開始が指令された場合、情報受信部31は、図8のステップS12において送信された複数の処理情報PI1~PInを受信したか否かを判定する(ステップS21)。複数の処理情報PI1~PInを受信していない場合、情報受信部31は、複数の処理情報PI1~PInを受信するまで待機する。
【0088】
複数の処理情報PI1~PInを受信した場合、判定モデル生成部32は、機械学習により複数の構成要素C1~Cnに対応する複数の判定モデルMD1~MDnを生成する(ステップS22)。このとき、判定モデル生成部32は、各判定モデルを識別するためのモデル識別情報として複数の判定モデルMD1~MDnに判定モデル番号M1~Mnを付与する。判定モデル記憶算出部33は、判定モデル生成部32により生成された複数の判定モデルMD1~MDnを記憶する(ステップS23)。
【0089】
判定モデル番号送信部34は、判定モデル記憶算出部33に記憶された複数の判定モデルMD1~MDnの判定モデル番号M1~Mnを制御支援装置4に送信する(ステップS24)。その後、情報受信部31は、学習動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS25)。学習動作の終了が指令されていない場合、情報受信部31はステップS21に戻る。それにより、ステップS21~S25の動作が繰り返される。
【0090】
このようにして、判定モデル記憶算出部33には、複数の構成要素C1~Cnに対応する複数の判定モデルMD1~MDnが記憶される。学習動作の終了が指令された場合、学習動作が終了する。
【0091】
図10において、制御支援装置4の処理情報取得部41は、学習動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS30)。学習動作の開始が指令されていない場合、処理情報取得部41は、学習動作の開始が指令されるまで待機する。学習動作の開始が指令された場合、処理情報取得部41は、複数の処理情報PI1~PInを受信したか否かを判定する(ステップS31)。複数の処理情報PI1~PInを受信していない場合、処理情報取得部41は、複数の処理情報PI1~PInを受信するまで待機する。
【0092】
複数の処理情報PI1~PInを受信した場合、処理情報取得部41は、受信した複数の処理情報PI1~PInを情報分析装置3に送信する(ステップS32)。基板処理装置1が複数の処理情報PI1~PInを直接情報分析装置3に送信する場合には、処理情報取得部41は、ステップS31,S32を行わない。
【0093】
パラメータ値取得部42は、基板処理装置1において構成要素を制御するために設定された複数のパラメータ値PR1~PRnを取得したか否かを判定する(ステップS33)。設定された複数のパラメータ値PR1~PRnを取得していない場合、パラメータ値取得部42は、設定された複数のパラメータ値PR1~PRnを取得するまで待機する。
【0094】
また、判定モデル番号取得部43は、情報分析装置3により送信された複数の判定モデル番号M1~Mnを取得したか否かを判定する(ステップS34)。複数の判定モデル番号M1~Mnを取得していない場合、判定モデル番号取得部43は、複数の判定モデル番号M1~Mnを取得するまで待機する。
【0095】
判定モデル番号取得部43が複数の判定モデル番号M1~Mnを取得した場合、対応関係生成部44は、パラメータ値取得部42により取得された複数のパラメータ値PR1~PRnと判定モデル番号取得部43により取得された複数の判定モデル番号M1~Mnとの対応関係CRを生成する(ステップS35)。対応関係記憶部45は、対応関係生成部44により生成された対応関係CRを記憶する(ステップS36)。
【0096】
処理情報取得部41は、学習動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS37)。学習動作の終了が指令されていない場合、ステップS31に戻る。それにより、ステップS31~S37の動作が繰り返される。学習動作の終了が指令された場合、学習動作が終了する。
【0097】
図11は、適正パラメータ値更新動作における基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図12は、適正パラメータ値更新動作における情報分析装置3の動作の一例を示すフローチャートである。図13は、適正パラメータ値更新動作における制御支援装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0098】
続いて、基板処理装置1、情報分析装置3および制御支援装置4による適正パラメータ値更新動作について説明する。以下、更新の対象となるパラメータ値をPRkとし、更新の対象となる構成要素をCkとする。kは、1~nの任意の整数である。
【0099】
図11において、基板処理装置1の制御装置40は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS40)。適正パラメータ値更新動作の開始が指令されていない場合、制御装置40は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されるまで待機する。適正パラメータ値更新動作の開始が指令された場合、制御装置40は、予め設定されたパラメータ値Pkで構成要素Ckを制御する(ステップS41)。
【0100】
次に、制御装置40は、構成要素Ckの動作により得られた処理情報PIkを制御支援装置4を介して情報分析装置3に送信する(ステップS42)。なお、制御装置40は、得られた処理情報PIkを情報分析装置3に直接送信してもよい。その後、制御装置40は、後述するステップS64において、制御支援装置4の送信部48により送信された適正パラメータ値を受信したか否かを判定する(ステップS43)。適正パラメータ値を受信していない場合、制御装置40は、適正パラメータ値を受信するまで待機する。
【0101】
適正パラメータ値を受信した場合、制御装置40は、対象の構成要素Ckのパラメータ値Pkを適正パラメータ値に更新する(ステップS44)。制御装置40は、適正パラメータ値更新動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS45)。適正パラメータ値更新動作の終了が指令されていない場合、制御装置40はステップS41に戻る。適正パラメータ値更新動作の終了が指令された場合、適正パラメータ値更新動作が終了する。
【0102】
図12において、情報分析装置3の情報受信部31は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS50)。適正パラメータ値更新動作の開始が指令されていない場合、情報受信部31は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されるまで待機する。適正パラメータ値更新動作の開始が指令された場合、情報受信部31は、図42のステップS42において制御装置40により制御支援装置4を介して送信された処理情報PIkを受信したか否かを判定する(ステップS51)。
【0103】
処理情報PIkを受信していない場合、情報受信部31は、処理情報PIkを受信するまで待機する。処理情報PIkを受信した場合、判定モデル記憶算出部33に記憶された複数の判定モデルMD1~MDnは、受信した処理情報PIkに基づいて異常スコアAS1~ASnをそれぞれ算出する(ステップS52)。最小スコア判定部35は、複数の異常スコアAS1~ASnのうち最小の異常スコアを判定し、最小の異常スコアを算出した判定モデルを選択する(ステップS53)。
【0104】
判定モデル番号送信部34は、選択された判定モデルの判定モデル番号を制御支援装置4に送信する(ステップS54)。その後、情報受信部31は、適正パラメータ値更新動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS55)。適正パラメータ値更新動作の終了が指令されていない場合、ステップS51に戻る。適正パラメータ更新動作の終了が指令された場合、適正パラメータ更新動作が終了する。
【0105】
図13において、制御支援装置4の処理情報取得部41は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS60)。適正パラメータ値更新動作の開始が指令されていない場合、処理情報取得部41は、適正パラメータ値更新動作の開始が指令されるまで待機する。適正パラメータ値更新動作の開始が指令された場合、判定モデル番号取得部43は、図12のステップS54において情報分析装置3の判定モデル番号送信部34から送信された判定モデル番号を取得したか否かを判定する(ステップS61)。判定モデル番号が取得されていない場合、判定モデル番号送信部34は、判定モデル番号が取得されるまで待機する。判定モデル番号が取得された場合、対応関係取得部46は、対応関係記憶部45に記憶された対応関係を取得する(ステップS62)。適正パラメータ値決定部47は、対応関係取得部46により取得された対応関係CRに基づいて判定モデル番号取得部43により取得された判定モデル番号に対応するパラメータ値を適正パラメータ値として決定する(ステップS63)。送信部48は、適正パラメータ値決定部47により決定された適正パラメータ値を基板処理装置1に送信する(ステップS64)。処理情報取得部41は、適正パラメータ更新動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS65)。適正パラメータ更新動作の終了が指令されていない場合、ステップS61に戻る。適正パラメータ更新動作の終了が指令された場合、適正パラメータ更新動作が終了する。
【0106】
このようにして、適正パラメータ更新動作により少なくとも1つの構成要素Ckを制御するためのパラメータ値CRkが適切なパラメータ値に更新される。他のパラメータ値についても、同様の適正パラメータ値更新動作を行うことにより複数のパラメータ値PR1~PRnを適切なパラメータ値に更新(微調整)することができる。
【0107】
なお、少なくとも1つの構成要素を制御するためのパラメータ値が更新された場合、更新後のパラメータ値を用いてその構成要素の動作が制御されることにより、情報分析装置3が更新後のパラメータ値に対応する判定モデルを上記の学習動作により生成する。
【0108】
この場合、情報分析装置3の判定モデル記憶算出部33には、更新前のパラメータ値に対応する判定モデルに加えて新たな判定モデルが記憶される。それにより、適正パラメータ値更新動作の際に、異常スコアを算出する判定モデルの数が増加する。それにより、適正パラメータ値更新動作が繰り返し行われることにより、適正パラメータ値の精度が向上する。
【0109】
(9)実施の形態の効果
上記実施の形態に係る制御支援装置4によれば、適正パラメータ値更新動作により情報分析装置3から取得された判定モデル番号(図4の例では、判定モデル番号Mn)に基づいて適正な判定結果を得ることが可能な判定モデル(図4の例では、判定モデルMDn)を判別することができる。また、対応関係CRに基づいて、判別された判定モデル(図4の例では、判定モデルMDn)に対応するパラメータ値(図4の例では、パラメータ値PRn)を判別することができる。それにより、取得された対応関係CRおよび取得された判定モデル番号(図4の例では、判定モデル番号Mn)に基づいてパラメータ値(図4の例では、パラメータ値PRn)が決定される。したがって、基板処理装置1における構成要素(図4の例では、構成要素C1)を制御するためのパラメータ値が自動的に適切なパラメータ値(図4の例では、パラメータ値PRn)に決定される。同様に、他の構成要素(図4の例では、構成要素C2~Cn)を制御するためのパラメータ値を自動的に適切なパラメータ値に決定することができる。その結果、基板処理装置1の構成要素の制御パラメータの値を適切な値に決定するための労力を軽減することが可能になる。
【0110】
また、本実施の形態では、情報分析装置3により基板処理装置1の処理情報間のインバリアントな関係性に基づいて、複数の構成要素の動作の異常度(正常度)が適切に判定される。それにより、制御支援装置4の判定モデル番号取得部43により取得される判定モデル番号は、より適切な判定結果(異常度が最も低い異常スコア)を得ることが可能な判定モデルに対応する判定モデル番号となる。それにより、適正パラメータ値決定部47は、対応関係取得部46により取得された対応関係のうち、判定モデル番号取得部43により取得された判定モデル番号に対応するパラメータ値を適正パラメータ値として決定することができる。その結果、基板処理装置1の構成要素を制御するためのパラメータ値を適切な値に決定することが可能になる。
【0111】
また、本実施の形態では、制御支援装置4が送信部48を含むことにより、適正パラメータ値を基板処理装置1に送信することが可能になる。それにより、基板処理装置1の構成要素を制御するためのパラメータ値を基板処理装置1に自動的に設定することが可能になる。
【0112】
また、基板処理装置1の据え付け時、基板処理装置1の検査時または構成要素の交換時に、据え付け後、検査後または交換後の構成要素に用いられるパラメータ値を適切な値に自動的かつ短時間で決定することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態では、制御支援装置4が対応関係記憶部45を含むことにより、制御支援装置4の外部に対応関係を記憶する構成を設ける必要がなくなる。
【0114】
(10)他の実施の形態
(10-1)上記実施の形態においては、基板処理装置1の種々の構成要素のうち基板処理ユニットWUの各流量調整バルブMVの適正パラメータ値を決定する場合の例が示されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施の形態に係る制御支援装置4は、基板処理装置1の他の種類の構成要素に対するパラメータ値を決定する場合にも適用することができる。例えば、上記実施の形態に係る制御支援装置4は、図1の吐出バルブDV等の他のバルブの適正パラメータ値を決定する場合に適用されてもよい。また、基板処理装置1のバルブ以外の他の構成要素に対する適正パラメータ値を決定するために適用されてもよい。
【0115】
図14は、他の実施の形態に係る基板処理装置1aを含む基板処理システム100aを説明するための模式図である。図14に示すように、基板処理装置1aは、各基板処理ユニットWUのチャンバCH内の給排気量を一定に保つために、構成要素として、給気部FFUおよび排気部EDを含む。給気部FFUは、チャンバCH内に清浄な気体を供給するためにチャンバCHの給気口に設けられたフィルタファンユニットである。排気部EDは、チャンバCH内の気体を排出するためにチャンバCHの排気口に設けられた排気ダンパである。
【0116】
給気部FFUにおいては、ファンを回転させるモータの回転数が制御される。それにより、チャンバCH内に導入される清浄な気体の給気量が調整される。圧力計PG1は、給気部FFUにより導入される気体の圧力を検出する。排気部EDにおいては、ダンパの開度を変化させるモータの回転角度が制御される。それにより、チャンバCH内から排出される気体の排気量が調整される。圧力計PG2は、排気部EDにより排出された気体の圧力を検出する。
【0117】
制御装置40は、圧力計PG1により検出された圧力および圧力計PG2により検出された圧力を予め定められた圧力(目標圧力)に調整するために、給気部FFUのモータおよび排気部EDのモータを制御する。それにより、基板処理ユニットWU内の給排気量が一定に保たれる。制御装置40は、第1のパラメータ値を用いて給気部FFUのモータを制御し、第2のパラメータ値を用いて排気部EDのモータを制御する。
【0118】
上記基板処理装置1aにおいては、上記実施の形態における情報分析装置3および制御支援装置4による適正パラメータ値更新動作により給気部FFUのモータを制御するための第1のパラメータ値および排気部EDのモータを制御するための第2のパラメータ値の一方または両方の適正パラメータ値を決定することが可能である。
【0119】
(10-2)上記実施の形態において、適正パラメータ値更新動作は、基板処理装置1の据え付け時の各構成要素に対するパラメータ値の更新(微調整)、基板処理装置1の検査時の各構成要素に対するパラメータ値の更新(微調整)または基板処理装置1のいずれかの構成要素の交換時のパラメータ値の更新(微調整)のために行われるが、本発明はこれに限定されない。例えば、情報分析装置3により複数の構成要素のいずれかに異常が検出された場合に、適正パラメータ値更新動作が行われてもよい。この場合、異常が検出された構成要素のパラメータ値が適正パラメータ値に更新される。それにより、更新後の適正パラメータ値で制御された構成要素について異常が検出されない場合、当該構成要素を新たな構成要素に交換することなく継続して使用することが可能になる。
【0120】
例えば、流量調整バルブMVとしてモータニードルバルブが用いられる場合、ニードルの経年劣化によりニードルの形状が変化したことによるモータニードルバルブの異常が検出されたことを想定する。この場合、上記実施の形態に係る制御支援装置4によれば、異常が検出されたモータニードルバルブに対するパラメータ値を適正パラメータ値に更新することが可能である。適正パラメータ値でモータニードルが制御された状態で、当該モータニードルの異常が検出されない場合、当該モータニードルの使用を継続することが可能になる。その結果、モータニードルの供用中における余寿命を遅延することが可能になる。
【0121】
(10-3)上記実施の形態の制御支援装置4においては、インバリアントな関係性に基づいて、判定モデルが生成されるが本発明はこれに限定されない。例えば、制御支援装置4においては、例えば、深層学習等の他の機械学習法を用いることにより、判定モデルが生成されてもよい。
【0122】
(10-4)上記実施の形態において、制御支援装置4は、送信部48を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御支援装置4に適正パラメータ値決定部47により決定された適正パラメータ値を通知するための通知部が設けられてもよい。この場合、作業者は、当該通知部に通知された適正パラメータ値を基板処理装置1に入力することが可能になる。
【0123】
(10-5)上記実施の形態において、制御支援装置4は、対応関係記憶部45を含むが、本発明はこれに限定されない。制御支援装置4の外部に対応関係を記憶するための構成が設けられてもよい。例えば、インターネット上のクラウド等に対応関係が記憶されてもよい。この場合、制御支援装置4の記憶装置の容量を低減することが可能となる。
【0124】
(10-6)上記実施の形態において、基板処理装置1および制御支援装置4は別個に設けられるが、基板処理装置1および制御支援装置4が一体として設けられてもよい。また、上記実施の形態において、情報分析装置3および制御支援装置4は別個に設けられるが、情報分析装置3および制御支援装置4が一体として設けられてもよい。
【0125】
(11)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、判定モデル番号取得部43が情報取得部の例であり、対応関係記憶部45が記憶部の例であり、適正パラメータ値決定部47が決定部の例である。
【符号の説明】
【0126】
1,1a…基板処理装置,3…情報分析装置,4…制御支援装置,31…情報受信部,32…判定モデル生成部,33…判定モデル記憶算出部,34…判定モデル番号送信部,35…最小スコア判定部,40…制御装置,41…処理情報取得部,42…パラメータ値取得部,43…判定モデル番号取得部,44…対応関係生成部,45…対応関係記憶部,46…対応関係取得部,47…適正パラメータ値決定部,48…送信部,100,100a…基板処理システム,AS1,ASn…異常スコア,C1,C2…構成要素,CH…チャンバ,CR…対応関係,CRk…パラメータ値,Ck…構成要素,DV…吐出バルブ,ED…排気部,FFU…給気部,FM…流量計,M1…判定モデル番号,MD1,MD2,MDn…判定モデル,ME…記憶部,MV…流量調整バルブ,Mn…判定モデル番号,PG1,PG2…圧力計,PI1,PI2,PIk…処理情報,PM…圧力計,PR1,PR2,PRn…パラメータ値,RP…処理液流路,SC…スピンチャック,W…基板,WU…基板処理ユニット
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