(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127999
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】モータ及びそれを備える電動バイク
(51)【国際特許分類】
H02K 9/02 20060101AFI20230907BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H02K9/02 Z
H02K1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032020
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志直 卓典
(72)【発明者】
【氏名】米田 朋広
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD11
5H601GE10
5H609PP02
5H609PP07
5H609PP08
5H609QQ02
5H609RR61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却性能を向上できるモータを提供する。
【解決手段】モータ10は、ロータと、ステータ30と、を備える。ロータは、中心軸Jを中心として回転する。ステータ30は、ロータと径方向に対向して配置される。ロータは、シャフト21と、ロータコア22と、マグネット23と、バランスウェイト24と、放熱部材25と、を有する。シャフト21は、中心軸Jに沿って延びる。ロータコア22は、シャフト21を径方向外側から囲み、筒状に形成される。マグネット23は、ロータコア22に配置される。バランスウェイト24は、ロータコア22の少なくとも軸方向の一方の端面に配置される。放熱部材25は、バランスウェイト24とロータコア22との間に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転するロータと、
前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を備え、
前記ロータは、
前記中心軸に沿って延びるシャフトと、
前記シャフトを径方向外側から囲む筒状のロータコアと、
前記ロータコアに配置されたマグネットと、
前記ロータコアの少なくとも軸方向の一方の端面に配置されたバランスウェイトと、
前記バランスウェイトと前記ロータコアとの間に配置された放熱部材と、を有する、モータ。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記マグネットと軸方向に対向する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記バランスウェイトと前記ロータコアとの間において、前記シャフトの外周面と接触する、請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記バランスウェイトと前記ロータコアとの間において、前記シャフトの外周面と前記放熱部材の径方向内端との間に隙間を空けて配置される、請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記シャフトの外周面と前記ロータコアの内周面との間に配置される、請求項1~請求項4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記シャフトの外周面と前記ロータコアの内周面との間から前記バランスウェイトと前記ロータコアとの間に連続して延びる、請求項1~請求項5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記バランスウェイトは、径方向に広がる板状に形成され、
前記シャフトが配置される貫通孔と、
軸方向における前記ロータコア側の端面から前記ロータコアから離れる方向に凹む凹部と、を有し、
前記放熱部材が、前記凹部の内部に配置される、請求項1~請求項6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記放熱部材が、放熱グリスである、請求項1~請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記放熱部材が、放熱シートである、請求項1~請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載のモータを備える電動バイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びそれを備える電動バイクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、中心軸を中心として回転するロータを備える。ロータは、シャフトを径方向外側から囲む筒状のロータコアと、ロータコアの軸方向の端面に配置されたバランスウェイトと、を備える。回転時に発熱したロータコアの熱は、シャフトに移動して放熱される。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のモータでは、ロータの回転時にロータコアの温度が上昇し、放熱が十分に行われない可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、冷却性能を向上できるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ロータと、ステータと、を備える。ロータは、中心軸を中心として回転する。ステータは、ロータと径方向に対向して配置される。ロータは、シャフトと、ロータコアと、マグネットと、バランスウェイトと、放熱部材と、を有する。シャフトは、中心軸に沿って延びる。ロータコアは、シャフトを径方向外側から囲み、筒状に形成される。マグネットは、ロータコアに配置される。バランスウェイトは、ロータコアの少なくとも軸方向の一方の端面に配置される。放熱部材は、バランスウェイトとロータコアとの間に配置される。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、冷却性能を向上できるモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るバイクの模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るモータの縦断面斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係るモータの縦断面斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係るモータの変形例を示す縦断面斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3実施形態に係るモータの縦断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1に示すモータ10の中心軸Jの延びる方向を単に「軸方向」と呼び、モータ10の中心軸Jを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向」及び「周方向」と呼ぶ。なお、「軸方向」、「径方向」、「周方向」は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。
【0010】
また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0011】
<第1実施形態>
(1.電動バイクの構成)
本発明の例示的な実施形態の電動バイク1について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動バイク1の模式図である。
【0012】
電動バイク1は、前輪2と、後輪3と、車体4と、ハンドル5と、ECU(electronic control unit)6と、スロットル7と、モータ10と、バッテリ11と、を備える。
【0013】
前輪2及び後輪3は、一対の車輪である。車体4には、前輪2及び後輪3が取り付けられる。車体4の前部には、ハンドル5が取り付けられる。
【0014】
ECU6は、車体4の内部に配置される。ECU6は、制御装置である。ECU6には、スロットル7が接続される。スロットル7は、ハンドル5に取付けられた速度調整機構である。
【0015】
バッテリ11は、車体4の内部に配置される。バッテリ11は、ECU6に接続される。バッテリは、外部から接続される充電器(不図示)により充電される。
【0016】
モータ10は、減速機(不図示)を介して後輪3に駆動力を伝える。電動バイク1において、運転者は、スロットル7の操作に応じて、モータ10の駆動を制御する。
【0017】
なお、本実施形態では、モータ100により後輪203を駆動する構成としたが、前輪202をモータ100により駆動する構成としてもよい。また、本開示のモータは、電動バイクに限らず、他の移動体に適用されてもよい。移動体には、例えば、自動車、二輪車、船舶、航空機が含まれてよい。また、本開示のモータは、移動体に限らず、家電に適用されてもよい。
【0018】
なお、本実施形態では、モータ10により後輪3を駆動する構成としたが、前輪2をモータ10により駆動する構成としてもよい。また、本開示のモータ10は、電動バイクに限らず、他の移動体に適用されてもよい。移動体には、例えば、自動車、二輪車、船舶、航空機が含まれてよい。また、本開示のモータは、移動体に限らず、家電に適用されてもよい。
【0019】
(2.モータの構成)
図2は、モータ10の縦断面斜視図である。モータ10は、インナーロータ型である。モータ10は、ハウジング40の内部に収容され、ロータ20と、ステータ30と、を備える。ロータ20は、中心軸Jを中心として回転する。ハウジング40は、円筒状に形成され、軸方向の一端面にハウジング貫通孔41を有する。
【0020】
(3.ステータの構成)
ステータ30は、ロータ20と隙間を介して径方向外側に対向して配置される。ステータ30は、ハウジング40に固定される。ステータ30は、ステータコア31と、複数のコイル32と、を有する。ステータコア31は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータコア31は、軸方向に延びる円筒状のコアバック311と、コアバック311から径方向内側に延びる複数のティース312と、を有する。コアバック311は、、電磁鋼板等の磁性体を軸方向に複数積層して形成される。複数のティース312は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
【0021】
複数のコイル32は、インシュレータ33を介してステータコア31の各ティース312にそれぞれ装着される。複数のコイル32は、周方向に複数配置される。
【0022】
(4.ロータの構成)
ロータ20は、シャフト21と、ロータコア22と、マグネット23と、一対のバランスウェイト24と、放熱部材25と、を有する。
【0023】
シャフト21は、中心軸Jに沿って延び、中心軸Jを中心として回転する。シャフト21は、円柱状に形成される。シャフト21は、一対のベアリング51、52により回転可能に支持される。ベアリング51、52は、例えば、ボールベアリングである。ベアリングは、ハウジング40に保持されている。シャフト21の軸方向一端部は、ハウジング貫通孔41を介してハウジング40の外部に突出する。
【0024】
ロータコア22は、シャフト21を径方向外側から囲み、筒状に形成されている。ロータコア22は、環状の電磁鋼板等の磁性体を軸方向に複数積層して形成される。ロータコア22は、挿通孔22a及びマグネット挿入孔22bを有する。
【0025】
挿通孔22aは、中心軸Jに沿って延びるとともに、ロータコア22を軸方向に貫通する。シャフト21は、挿通孔22aに挿入される。
【0026】
マグネット挿入孔22bは、ロータコア22の径方向外端部に配置され、ロータコア22を軸方向に貫通する。マグネット挿入孔22bの内部には、マグネット23が挿入される。これにより、マグネット23が、ロータコア22に配置される。なお、マグネット23は、ロータコア22の外周面に固定してもよい。
【0027】
バランスウェイト24は、径方向に広がる円板状に形成され、ロータコア22の軸方向の両端面にそれぞれ配置される。なお、バランスウェイト24は、ロータコア22の軸方向の一方の端面のみに配置されていてもよい。すなわち、バランスウェイト24は、ロータコア22の少なくとも軸方向の一方の端面に配置される。
【0028】
バランスウェイト24は、ウェイト貫通孔(貫通孔)241を有する。ウェイト貫通孔241は、中心軸J上に配置され、軸方向に貫通する。シャフト21は、ウェイト貫通孔241に圧入され、シャフト21とバランスウェイト24とは、固定されている。このとき、ウェイト貫通孔241内において、バランスウェイト24とシャフト21とは接触している。
【0029】
放熱部材25は、バランスウェイト24とロータコア22との間に配置される。放熱部材25は、熱伝導性材料を含む放熱グリスから成る。これにより、放熱部材25は、バランスウェイト24及びロータコア22に接触するとともに、バランスウェイト24とロータコア22との間の空隙は、放熱部材25により充填される。従って、ロータコア22及びマグネット23の熱が、放熱部材25を介してバランスウェイト24に効率よく伝わる。これにより、ロータコア22及びマグネット23の熱は、バランスウェイト24を経由してシャフト21からハウジング40の外部に効率よく放熱される。従って、冷却性能を向上できるモータ10を提供できる。
【0030】
また、放熱部材25は、バランスウェイト24の軸方向の端面上において、径方向に広がって形成され、マグネット23と軸方向に対向して接触する。これにより、マグネット23の熱が、放熱部材25を介してバランスウェイト24に効率よく伝わる。
【0031】
また、放熱部材25は、シャフト21の外周面と接触する。これにより、ロータコア22の熱が、放熱部材25を介してシャフト21に効率よく伝わる。なお、シャフト21の外周面と放熱部材25の径方向内端との間に隙間を空けて配置してもよい。これにより、放熱部材25とシャフト21とが、非接触になる。この場合でも、ロータコア22の熱が、放熱部材25を介してバランスウェイト24、シャフト21の順に伝えられる。
【0032】
放熱部材25は、放熱グリスが塗布されたバランスウェイト24にシャフト21を圧入することにより、バランスウェイト24とロータコア22との間に容易に配置できる。これにより、モータ10の組立て作業性が向上する。なお、放熱部材25として放熱グリスの代わりに伝熱シートも用いてもよい。このとき、放熱シートが貼り付けられたバランスウェイト24にシャフト21を圧入することにより、放熱部材25を、バランスウェイト24とロータコア22との間に容易に配置できる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、本発明の例示的な第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態のモータ10の断面斜視図である。説明の便宜上、前述の
図1及び
図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
第2実施形態では、放熱部材25は、シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間に配置される。また、放熱部材25は、シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間からバランスウェイト24とロータコア22との間に連続して延びる。
【0035】
これにより、放熱部材25は、シャフト21の外周面及びロータコア22の内周面に接触するとともに、シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間の空隙は、放熱部材25により充填される。従って、ロータコア22及びマグネット23の熱が、放熱部材25を介してシャフト21に効率よく伝わる。これにより、ロータコア22及びマグネット23の熱は、シャフト21からハウジング40の外部により効率よく放熱される。
【0036】
また、放熱部材25は、シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間からバランスウェイト24とロータコア22との間に連続して延びることにより、ロータコア22及びマグネット23の熱が、放熱部材25及びバランスウェイト24を介してシャフト21により効率よく伝わる。
【0037】
放熱部材25は、放熱グリスが塗布されたロータコア22の挿通孔22aにシャフト21を圧入することにより、シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間に容易に配置できる。これにより、モータ10の組立て作業性が向上する。
【0038】
図4は、第2実施形態のモータ10の変形例を示す断面斜視図である。シャフト21の外周面とロータコア22の内周面との間に配置される放熱部材25と、バランスウェイト24とロータコア22との間に配置される放熱部材25とは、分離して配置されていてもよい。
【0039】
<第3実施形態>
次に、本発明の例示的な第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態のモータ10の断面斜視図である。説明の便宜上、前述の
図1及び
図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0040】
第3実施形態では、バランスウェイト24は、凹部242を有する。凹部242は、バランスウェイト24の軸方向におけるロータコア22側の端面からロータコア22から離れる方向に凹む。放熱部材25は、凹部242の内部に充填されて配置される。これにより、凹部242を介してロータコア22とバランスウェイト24との間に、より多くの放熱部材25を介在させることができる。従って、ロータコア22の熱が、放熱部材25を介してバランスウェイト24により効率よく伝わる。
【0041】
<5.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【0042】
例えば、第2実施形態のモータ10のバランスウェイト24に凹部242を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のモータは、例えば電動バイク等の動力源として利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 電動バイク
2 前輪
3 後輪
4 車体
5 ハンドル
6 ECU(electronic control unit)
7 スロットル
10 モータ
11 バッテリ
20 ロータ
21 シャフト
22 ロータコア
22a 挿通孔
22b マグネット挿入孔
23 マグネット
24 バランスウェイト
25 放熱部材
30 ステータ
31 ステータコア
32 コイル
33 インシュレータ
40 ハウジング
41 ハウジング貫通孔
51、52 ベアリング
241 ウェイト貫通孔
242 凹部
311 コアバック
312 ティース
J 中心軸