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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128029
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20230907BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230907BHJP
【FI】
G06Q30/02 444
G06Q30/06 300
G06Q30/06 340
G06Q30/06 302
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032067
(22)【出願日】2022-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月1日 木戸紙業株式会社がウェブサイトhttps://www.happypackaging.jp/に掲載
(71)【出願人】
【識別番号】505057761
【氏名又は名称】木戸紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木戸 正治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB09
5L049BB24
5L049BB47
5L049BB58
5L049BB66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】商品である容器に二次元画像データを合成するに際し、顧客が最終製品のイメージに効率よく到達できる画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像表示システム1において、顧客画像格納手段3は、顧客が提供し、単色で描画されている第1の二次元画像データ2Aと複数色で描画されている第2の二次元画像データ2Bを含む二次元画像データ2を格納する。容器データ格納手段5は、業者が提供する容器の三次元形状データ4を格納する。立体画像作成手段7は、三次元形状データ4に二次元画像データ2を重畳することにより立体画像6を作成する。出力手段8は、立体画像6を表示装置9に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が提供する二次元画像データを格納する顧客画像格納手段と、業者が提供する容器の三次元形状データを格納するための容器データ格納手段と、前記三次元形状データに前記二次元画像データを重畳することにより立体画像を作成する立体画像作成手段と、前記立体画像を表示装置に出力する出力手段とを有する画像表示システムであって、
前記二次元画像データは、単色で描画されている第1の二次元画像データと複数色で描画されている第2の二次元画像データを含んでおり、
前記立体画像作成手段は、
(A)前記三次元形状データに前記第1の二次元画像データを重畳することにより得られる第1立体画像を作成する第1立体画像作成手段と、
(B)前記三次元形状データに前記第2の二次元画像データを重畳することにより得られる第2立体画像を作成する第2立体画像作成手段と、
(C)前記第1立体画像に前記第2の二次元画像データを重畳することにより得られる第3立体画像を作成する第3立体画像作成手段と、を有している画像表示システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記表示装置に表示すべき画像を前記第1立体画像~第3立体画像の中から選択可能とする選択釦を表示装置に出力する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記出力手段は、選択された容器の三次元形状データに前記二次元画像データが重畳されていない立体画像を表示可能である請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記容器が、軟包装容器である請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記容器の表面が光沢を有しているという情報を前記三次元形状データに付与する光沢付与手段を有している請求項1~4のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
第1の二次元画像データが白色単色で描画されている請求項1~5のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記出力手段は、前記容器のファスナーの位置を示すマークを前記画像に出力することができる請求項1~6のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記立体画像作成手段は、前記第3立体画像に光沢調整データを重畳することにより第4立体画像を作成する第4立体画像作成手段を更に有している請求項1~7のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記二次元画像データは、前記容器の表面に配置されるシート状物に印刷されるデータであり、前記シート状物は、第1辺と、該第1辺に対向する第2辺とを有する第1印刷区画を有するものであり、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、所定の警告を発する請求項1~8のいずれか一項に記載の画像表示システム。
(1)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの明度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの明度との差が所定値以上である。
(2)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの色度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの色度との差が所定値以上である。
(3)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの彩度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの彩度との差が所定値以上である。
【請求項10】
前記二次元画像データは、前記容器の表面に配置されるシート状物に印刷されるデータであり、前記シート状物は、第1辺と、該第1辺に対向する第2辺とを有する第1印刷区画、および、前記第1印刷区画の前記第2辺と隣り合う第3辺と、該第3辺に対向する第4辺とを有する第2印刷区画とを有するものであり、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、所定の警告を発する請求項1~8のいずれか一項に記載の画像表示システム。
(1)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの明度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの明度との差が所定値以上である。
(2)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの色度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの色度との差が所定値以上である。
(3)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの彩度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの彩度との差が所定値以上である。
【請求項11】
前記容器データ格納手段が複数の三次元形状データを格納しており、該複数の三次元形状データの中から顧客が要求する容器の三次元形状データを選択する容器選択手段を備える請求項1~10のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項12】
確定された前記第1の二次元画像データおよび前記第2の二次元画像データに基づき顧客が容器の購入を決済することが可能である請求項1~11のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が提供する二次元画像データと、業者が提供する容器の三次元形状データから立体画像を作成する画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報技術の発達により、商品を通信及びインターネット等を通じて購入することができるようになっている。また、購入画面において、販売商品の画像と顧客の所有する画像を重ね合わせることにより、最終的な商品イメージが分りやすく工夫されているサービスが知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、「顧客の端末とネットワーク網を介して接続され、顧客の情報データを格納する画像格納手段と、業者が商品を登録するための商品登録手段と、前記商品登録手段により登録された商品の中から顧客の要求する商品を検索する商品検索手段と、前記商品検索手段により検索された商品と前記画像入力手段により入力された情報データから作成した顧客の画像とを合成する画像作成・合成手段と、前記画像作成・合成手段により合成された画像を顧客の端末に出力する出力手段と、前記商品を購入する際に決済を行うための決済手段と、前記情報データを格納するデータベースと、を備え、顧客が要求した商品と顧客の画像とを合成し、三次元立体画像を形成して前記顧客の端末に出力するとともに、前記商品を購入することができることを特徴とする商品表示・販売システム」が知られている。
【0004】
特許文献2では、「通信ネットワークを介して相互に情報を送受信可能である顧客端末及び販売店端末とを少なくとも具備するオーダーカーテン販売システムにおいて、前記顧客端末は、カーテンを設ける開口部近傍を撮影した画像情報に基づいて、カーテンの寸法を算出する制御部と、このカーテンの寸法を含む商品に関する情報と、該商品を注文する顧客に関する情報とを注文情報として、通信ネットワークを介して前記販売店端末に送信する送受信部とを、備えることを特徴とする、オーダーカーテン販売システム」が知られている。
【0005】
また特許文献3では、「試着サービスを提供するコンピュータからなる試着サービス提供装置と、撮像カメラを具備する顧客コンピュータとが、ネットワークを介して接続されるコンピュータシステムであって、前記試着サービス提供装置は、試着対象となる商品の画像を記憶する手段と、試着対象となる商品情報を前記顧客コンピュータへ送信する手段と、前記顧客コンピュータから受信した顧客映像と顧客が選択した商品の画像とを合成する手段と、合成した映像を前記顧客コンピュータへ送信する手段とを備え、前記顧客コンピュータは、前記試着サービス提供装置から受信した商品情報を表示する手段と、商品の選択情報を前記試着サービス提供装置へ送信する手段と、撮像カメラで撮影した顧客映像を前記試着サービス提供装置へ送信する手段と、前記試着サービス提供装置から受信した顧客映像と商品の画像との合成映像を表示する手段とを備えることを特徴とする試着システム」が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-063508号公報
【特許文献2】特開2007-047946号公報
【特許文献3】特開2004-030219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顧客が提供する二次元画像データと業者が提供する商品の三次元形状データの合成データによって最終製品のイメージを掴むことができるのは利便性の観点で歓迎すべきことである。しかしながら、例えば容器の表面に薄いラッピング層を貼付するような想定であって合成データの最終的な出来映えに下地である容器の色彩等が透けて重畳されるようなケースでは、作成された合成データに校正を加えたい場合、準備する二次元画像データの色味等をどの程度の幅で変更すれば、合成データすなわち最終製品のイメージがどの程度の幅で変わるかが掴みにくく、数次の校正が必要となることがある。
【0008】
本発明は、商品である容器に二次元画像データを合成するに際し、顧客が最終製品のイメージに効率よく到達できる画像表示システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が容器に適した画像表示システムについて鋭意検討した結果、下記[1]の画像表示システムに想到するに至った。より好ましくは下記[2]~[12]の通りのものである。
【0010】
[1]顧客が提供する二次元画像データを格納する顧客画像格納手段と、業者が提供する容器の三次元形状データを格納するための容器データ格納手段と、前記三次元形状データに前記二次元画像データを重畳することにより立体画像を作成する立体画像作成手段と、前記立体画像を表示装置に出力する出力手段とを有する画像表示システムであって、
前記二次元画像データは、単色で描画されている第1の二次元画像データと複数色で描画されている第2の二次元画像データを含んでおり、
前記立体画像作成手段は、
(A)前記三次元形状データに前記第1の二次元画像データを重畳することにより得られる第1立体画像を作成する第1立体画像作成手段と、
(B)前記三次元形状データに前記第2の二次元画像データを重畳することにより得られる第2立体画像を作成する第2立体画像作成手段と、
(C)前記第1立体画像に前記第2の二次元画像データを重畳することにより得られる第3立体画像を作成する第3立体画像作成手段と、を有している画像表示システム。
【0011】
[2]前記出力手段は、前記表示装置に表示すべき画像を前記第1立体画像~第3立体画像の中から選択可能とする選択釦を表示装置に出力する[1]に記載の画像表示システム。
【0012】
[3]前記出力手段は、選択された容器の三次元形状データに前記二次元画像データが重畳されていない立体画像を表示可能である[1]または[2]に記載の画像表示システム。
【0013】
[4]前記容器が、軟包装容器である[1]~[3]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0014】
[5]前記容器の表面が光沢を有しているという情報を前記三次元形状データに付与する光沢付与手段を有している[1]~[4]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0015】
[6]第1の二次元画像データが白色単色で描画されている[1]~[5]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0016】
[7]前記出力手段は、前記容器のファスナーの位置を示すマークを前記画像に出力することができる[1]~[6]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0017】
[8]前記立体画像作成手段は、前記第3立体画像に光沢調整データを重畳することにより第4立体画像を作成する第4立体画像作成手段を更に有している[1]~[7]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0018】
[9]前記二次元画像データは、前記容器の表面に配置されるシート状物に印刷されるデータであり、前記シート状物は、第1辺と、該第1辺に対向する第2辺とを有する第1印刷区画を有するものであり、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、所定の警告を発する[1]~[8]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
(1)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの明度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの明度との差が所定値以上である。
(2)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの色度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの色度との差が所定値以上である。
(3)前記第1辺を含む第1端縁領域における二次元画像データの彩度と、前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの彩度との差が所定値以上である。
【0019】
[10]前記二次元画像データは、前記容器の表面に配置されるシート状物に印刷されるデータであり、前記シート状物は、第1辺と、該第1辺に対向する第2辺とを有する第1印刷区画、および、前記第1印刷区画の前記第2辺と隣り合う第3辺と、該第3辺に対向する第4辺とを有する第2印刷区画とを有するものであり、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、所定の警告を発する[1]~[8]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
(1)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの明度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの明度との差が所定値以上である。
(2)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの色度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの色度との差が所定値以上である。
(3)前記第1印刷区画の前記第2辺を含む第2端縁領域における二次元画像データの彩度と、前記第2印刷区画の前記第3辺を含む第3端縁領域における二次元画像データの彩度との差が所定値以上である。
【0020】
[11]前記容器データ格納手段が複数の三次元形状データを格納しており、該複数の三次元形状データの中から顧客が要求する容器の三次元形状データを選択する容器選択手段を備える[1]~[10]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【0021】
[12]確定された前記第1の二次元画像データおよび前記第2の二次元画像データに基づき顧客が容器の購入を決済することが可能である[1]~[11]のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、単色で描画されている第1の二次元画像データと、複数色で描画されている第2の二次元画像データを商品である容器のデータに重畳することにより、顧客が校正しやすい商品画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムのブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムの他のブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムにより表示される二次元画像データ、および第3立体画像を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムにより表示される二次元画像データ、および第1立体画像を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムにより表示される二次元画像データ、および第2立体画像を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムにより表示される、容器の三次元形状データに二次元画像データが重畳されていない立体画像を示す図である。
図7図7は、図6の立体画像、およびファスナーの位置を示すマークを示す図である。
図8図8は、図3の立体画像、およびファスナーの位置を示すマークを示す図である。
図9図9は、容器の表面に配置されるシート状物の平面図である。
図10図10は、容器の表面に配置されるシート状物の平面図である。
図11図11は、容器の表面に配置されるシート状物の平面図である。
図12図12は、容器の表面に配置されるシート状物の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態にかかる画像表示システムのブロック図である。図1に示すように、画像表示システム1は、顧客が提供する二次元画像データ2を格納する顧客画像格納手段3と、業者が提供する容器の三次元形状データ4を格納するための容器データ格納手段5を有している。また、画像表示システム1は、三次元形状データ4に二次元画像データ2を重畳することにより立体画像6を作成する立体画像作成手段7を有しており、立体画像作成手段7に接続されている出力手段8の作用により立体画像6を表示装置9に出力している。
【0026】
二次元画像データ2は、単色で描画されている第1の二次元画像データ2Aと複数色で描画されている第2の二次元画像データ2Bを含んでいる。本発明の実施形態においては、二次元画像データ2は、商品の表面に付される図柄に関する情報である。また、図柄は重ね塗りにより構成されることを前提としており、第1の二次元画像データ2Aは下地の色、第2の二次元画像データ2Bは下地の上に上書きされる色である。詳細については後述する。
【0027】
立体画像作成手段7は、下記(A)~(C)の各手段を有している。
(A)三次元形状データ4に第1の二次元画像データ2Aを重畳することにより得られる第1立体画像6Aを作成する第1立体画像作成手段7A
(B)三次元形状データ4に第2の二次元画像データ2Bを重畳することにより得られる第2立体画像6Bを作成する第2立体画像作成手段7B
(C)第1立体画像6Aに第2の二次元画像データ2Bを重畳することにより得られる第3立体画像6Cを作成する第3立体画像作成手段7C
【0028】
本発明の実施の形態において顧客というのは、購入予定の商品の表面に自己の二次元的デザインを付した商品の注文することを検討している者である。顧客が提供する二次元画像データ2は、上記の二次元的デザインの電子データである。
【0029】
二次元画像データ2は、顧客側で準備したうえで画像表示システム1の顧客画像格納手段3に格納される。顧客画像格納手段3は、電子データを格納できるデバイスであればどのようなものを使用してもよく、例えば電気的又は磁気的に情報を保存することができる記憶デバイスを使用することができ、フラッシュメモリ、ハードディスク、磁気ディスク、磁気テープ、ROM等が好ましく利用できる。顧客画像格納手段3は、パーソナルコンピュータ内に格納されたストレージデバイスでもよいが、パーソナルコンピュータからルーターを通じて接続可能なクラウド上に存在するストレージデバイスを用いてもよい。
【0030】
本発明の実施の形態において業者というのは、顧客に容器を販売する者である。業者が提供する容器の三次元形状データ4は、少なくとも容器の表面形状を特定するデータである。このデータは、容器の表面形状の全部を特定するものである必要はなく、容器の表面形状の少なくとも一部を特定するものであればよい。容器の三次元形状データ4は、基本的には三次元のデータ空間を有するものであるが、上記のように容器の表面形状の一部が平面的なものである場合には、三次元形状データ4内の有効なデータは二次元データであり、三次元成分にはゼロ等が入る場合がある。
【0031】
本発明の実施の形態において容器というのは、内部に物品を収容するためのものであるが、物品を完全に密閉するものである必要は必ずしもなく、容器は一部において開放されているものであってもよい。また、容器は物品の全部を収容するものである必要はなく、物品は一部において容器に覆われておらず露出しているものであってもよい。
【0032】
容器データ格納手段5は、業者が提供する容器の三次元形状データ4を格納するストレッチデバイスであり、顧客画像格納手段3と同様に、電気的又は磁気的に情報を保存することができる記憶デバイスを使用することができる。
【0033】
二次元画像データ2についてより詳細に説明する。二次元画像データ2は、単色で描画されている第1の二次元画像データ2Aと複数色で描画されている第2の二次元画像データ2Bを含んでいる。第1の二次元画像データ2Aの「単色」というのは、白一色、黒一色、青一色など、二次元平面内に色彩の変化がないものである。これに対して第2の二次元画像データ2Bは、2以上の色彩を用いて二次元平面内で描画された図柄である。図柄には文字も含む。第1の二次元画像データ2Aおよび第2の二次元画像データ2Bは、透明色の部分を含んでいてもよい。
【0034】
図1に示すように、立体画像作成手段7は、第1の二次元画像データ2Aおよび/または第2の二次元画像データ2Bを元にして3種類の立体画像6(第1立体画像6A、第2立体画像6B、第3立体画像6C)を作成している。詳細には、立体画像作成手段7は、下記(a)~(c)の各作成工程を有している。
【0035】
(a)三次元形状データ4に第1の二次元画像データ2Aを重畳することにより第1立体画像6Aを作成する。
(b)三次元形状データ4に第2の二次元画像データ2Bを重畳することにより第2立体画像6Bを作成する。
(c)第1立体画像6Aに第2の二次元画像データ2Bを重畳することにより第3立体画像6Cを作成する。
【0036】
本発明の実施の形態において、例えば「XデータにYデータを重畳する」というのは、Xデータで表わされる色彩の上にYデータで表わされる色彩を重ね塗りする計算手続きの総称を言う。例えば、XデータにYデータを加算および/または積算することができるが、単純和や単純積のみを指すものではなく、重み付けによる加算や積算をすることができる。例えば、白色の上に赤色を重ね塗りすると、その結果を単純和のピンクとすることもできるし、後から重ねられる赤の比重を高く設定することにより、赤に近いピンク、或いは完全な赤を設定することもできる。また、白色に透明色を重ね、その結果を白色とすることもできる。
【0037】
図1の例においては、立体画像作成手段7(c)は、第1立体画像6Aに第2の二次元画像データ2Bを重畳することにより第3立体画像6Cを作成する手段として説明されているが、立体画像作成手段7はこのように第1立体画像6Aの作成を経由して第3立体画像6Cを作成することに限定されない。第1立体画像6Aの作成工程を経由しなくても、三次元形状データ4と第1の二次元画像データ2Aと第2の二次元画像データ2Bを用いることにより結果として第3立体画像6Cを作成するものであればよい。そのような観点から、図1は、より一般的には図2のように表示することができる。
【0038】
図2は本発明の実施の形態にかかる画像表示システムの他のブロック図を示すものであるが、図1の立体画像作成手段7の機能をより一般的に表記したものである。図2に示されるように、立体画像作成手段7全体では第1の二次元画像データ2A、第2の二次元画像データ2B、および容器の三次元形状データ4が入力され、第1立体画像6A、第2立体画像6B、および第3立体画像6Cが出力されるものである。第1立体画像6Aは第1立体画像作成手段7Aの機能により作成されるものであり、第2立体画像6Bは第2立体画像作成手段7Bの機能により作成されるものであり、第3立体画像6Cは第3立体画像作成手段7Cの機能により作成されるものである。
【0039】
3種類の立体画像6(第1立体画像6A、第2立体画像6B、第3立体画像6C)は、表示装置9に同時に並べて表示されてもよいが、図1および図2に示すように、出力手段8よりも上流側に選択釦10の機能によりいずれか1つの立体画像6を顧客の操作により選んで表示装置9に表示してもよい。1つの表示装置9上に表示される対象を第1立体画像6A、第2立体画像6B、第3立体画像6Cと次々の切替え表示することにより、これらの立体画像の違いを素早く把握することができるため、顧客は、立体画像6において校正すべき点を素早く判断することができる。
【0040】
図3図8は、出力手段8からのデータを表示する表示装置9の画面であり、画面の左側には商品であるレトルトパウチの表側と裏側のデザインを示す二次元画像データ2が表示されており、画面の右側には左側の二次元画像データ2が商品であるレトルトパウチに印刷された後の立体画像6が表示されている。また、図3図8において画面の下には選択釦10が表示されており、二次元画像データ2を選択することができるようになっている。図3図8において、選択釦10のうち一番上のチェックボックスは、複数色の第2の二次元画像データ2B(CMYKレイヤー)の表示を選択するものであり、上から2つ目のチェックボックスは、単色の第2の二次元画像データ2A(白レイヤー)の表示を選択するものである。
【0041】
図3図6は、CMYKレイヤーと白レイヤーのチェックボックスをチェック「有」/「無」で各々切替えた画面に相当するものであり、図3はCMYKレイヤーと白レイヤーの両方にチェックを入れたもの、図4はCMYKレイヤーのみにチェックを入れたもの、図5は白レイヤーのみにチェックを入れたもの、図6はCMYKレイヤーと白レイヤーの両方のチェックを外したものであり立体画像作成手段7が作用しなかった結果、画面右側に容器(レトルトパウチ)の三次元形状データ4(二次元画像データ2が重畳されていない立体画像)のみが表示された状態である。
【0042】
特に図3図5の画面右下に符号Fを付した領域を見てみると、CMYKレイヤーと白レイヤーを重ねたイメージである図3の第1立体画像6Aには「健康的なキレイを目指す人へ」「植物発酵エキス」「1日2粒目安」の文字がクリアに見えるが、白レイヤーの無いイメージである図4の第1立体画像6Bではこれらの文字が黒っぽくなっており読みにくい。このような画面を見た顧客が、これらの文字を適度に読み易くしたいが白レイヤーを完全な白にするとレトルトパウチ全体のデザインを損ねると考えた場合、白レイヤーを構成する第1の二次元画像データ2Aの明度を校正することができるし、校正幅をどの程度とするかについては、図3図5を見比べることにより感覚的に正しい幅を設定することができる。このため、顧客は数次にわたる校正を経ることなく、所望の第3立体画像6Cを得ることができる。
【0043】
本発明の実施形態にかかる画像表示システムにおいて、立体画像作成手段7は、表示対象となる容器が、軟包装容器であることを前提としたプログラムであることが好ましい。軟包装容器では表面の形状に曲面が多数存在するものとなるが、当該プログラムにより顧客が立体画像6の実際の形状および色合いや反射具合を把握しやすくなるためである。
【0044】
本発明の実施形態にかかる画像表示システムにおいて、容器自体の表面が光沢を有しているという情報を三次元形状データ4に付与する光沢付与手段(図示せず)を有していることが好ましい。光沢は、第1立体画像6A~第3立体画像6Cの見かけ上の色味にも影響するからである。光沢付与手段は、立体画像作成手段7よりも上流側にプログラムされていることが好ましい。
【0045】
図7および図8に示すように、容器のファスナーの位置を示すマーク11を表示装置9に出力することができることが好ましい。これにより、容器の機能を確保するために必要な構成であるファスナーと二次元画像データ2との干渉具合を容易に確認することができる。このような機能は、例えば出力手段8の機能により実現される。ファスナー11の表示の有無は、図7および図8に示すようにチェックボックス式とすることができる。
【0046】
立体画像作成手段7は、第3立体画像6Cに光沢調整データを重畳することにより第4立体画像を作成する第4立体画像作成手段(図示せず)を更に有していることが好ましい。例えば、色彩が付与された容器に、さらに表面に光沢効果のある樹脂層(ニス層)を上塗りする場合のシミュレーションに対応するものである。光沢調整データを重畳するか/重畳しないかについては、表示装置9にチェックボックス(図示せず)で切替えられるようにすることが好ましい。
【0047】
図9は、容器の表面に配置されるシート状物12を示す平面図である。本発明の実施形態において、二次元画像データ2は好ましくは容器の表面に配置されるシート状物12に印刷されることを前提としたデータであり、シート状物12は、並列に並ぶ複数の第1印刷区画13を有するものである。1つの第1印刷区画13は1つの容器に対応するものであり、第1辺13aと、第1辺13aに対向する第2辺13bとを有するものである。図9では、第1辺13a側から第2辺13b側に向かって徐々に色調が暗くなるグラデーション状の二次元画像データ2が配置されている。二次元画像データ2がシート状物12に印刷された後、第1印刷区画13毎にカットされて個々の容器に貼付されるのであるが、図9に示すように二次元画像データ2が位置ずれを起さずにシート状物12に印刷されればよいのであるが、図10に示すようにシート状物12に対して少し左側にずれて印刷されてしまう場合がある。これは印刷技術を使う以上ある程度不可避の現象である。
【0048】
第1印刷区画13内において、第1辺13aを含む第1端縁領域(図示せず)における二次元画像データの色と、第2辺13bを含む第2端縁領域(図示せず)における二次元画像データの色との差が小さい場合、多少の位置ずれがあっても容器の見た目として遜色ない場合が少なくない。そこで、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、位置ずれが目立ちやすくなるため所定の警告を発するように構成されることが好ましい。なお、第1端縁領域の幅および第2端縁領域の幅については一律に決めるのではなく、第1印刷区画13全体の面積を考慮した上で適宜設定することが好ましい。
【0049】
(1)第1辺13aを含む第1端縁領域における二次元画像データ2の明度と、第2辺13bを含む第2端縁領域における二次元画像データ2の明度との差が所定値以上である。
(2)第1辺13aを含む第1端縁領域における二次元画像データ2の色度と、第2辺13bを含む第2端縁領域における二次元画像データ2の色度との差が所定値以上である。
(3)第1辺13aを含む第1端縁領域における二次元画像データ2の彩度と、第2辺13bを含む第2端縁領域における二次元画像データ2の彩度との差が所定値以上である。
【0050】
上記(1)において、第1端縁領域における二次元画像データ2の明度や第2端縁領域における二次元画像データ2の明度は、単純な比較をするため第1端縁領域内での平均値、第2端縁領域内での平均値を使用することが好ましい。上記(2)における色度、上記(3)における彩度についても同様に平均値を取ることが好ましい。
【0051】
容器が図3図8に示したようなレトルトパウチの場合、表側と裏側がシート状物上の隣接した2つの区画を用いて同時に印刷されることが多い。
【0052】
図11は、容器の表面および裏面に配置されるシート状物14を示す平面図である。図11においてシート状物14は、第1辺15aと第1辺15aに対向する第2辺15bとを有する矩形状の第1印刷区画15、および第1印刷区画15の第2辺15bと隣り合う第3辺16aと第3辺16aに対向する第4辺16bとを有する矩形状の第2印刷区画16とを有するものである。図10の場合と同様に、図12に示すようにシート状物14に対して少し図面の平面内にずれて印刷されてしまう場合がある。
【0053】
そこで、下記(1)~(3)の少なくとも一つが満足されるとき、位置ずれが目立ちやすくなるため所定の警告を発するように構成されることが好ましい。なお、第2端縁領域の幅および第3端縁領域の幅については一律に決めるのではなく、第1印刷区画15および第2印刷区画16全体の面積を考慮した上で適宜設定することが好ましい。
【0054】
(1)前記第1印刷区画15の第2辺15bを含む第2端縁領域における二次元画像データの明度と、前記第2印刷区画16の前記第3辺16aを含む第3端縁領域における二次元画像データの明度との差が所定値以上である。
(2)前記第1印刷区画15の第2辺15bを含む第2端縁領域における二次元画像データの色度と、前記第2印刷区画16の前記第3辺16aを含む第3端縁領域における二次元画像データの色度との差が所定値以上である。
(3)前記第1印刷区画15の第2辺15bを含む第2端縁領域における二次元画像データの彩度と、前記第2印刷区画16の前記第3辺16aを含む第3端縁領域における二次元画像データの彩度との差が所定値以上である。
【0055】
上記(1)において、第2端縁領域における二次元画像データ2の明度や第3端縁領域における二次元画像データ2の明度は、単純な比較をするため第2端縁領域内での平均値、第3端縁領域内での平均値を使用することが好ましい。上記(2)における色度、上記(3)における彩度についても同様に平均値を取ることが好ましい。
【0056】
本発明の実施形態において、容器データ格納手段5が複数の三次元形状データ4を格納しており、該複数の三次元形状データ4の中から顧客が要求する容器の三次元形状データ4を選択する容器選択手段をさらに備えることが好ましい。
【0057】
本発明の実施形態において、顧客による校正が終了し確定された第1の二次元画像データ2Aおよび第2の二次元画像データ2Bに基づき顧客が容器の購入を決済できるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1 画像表示システム
2 二次元画像データ
3 顧客画像格納手段
4 容器の三次元形状データ
5 容器データ格納手段
6 立体画像
6A 第1立体画像
6B 第2立体画像
6C 第3立体画像
7 立体画像作成手段
7A 第1立体画像作成手段
7B 第2立体画像作成手段
7C 第3立体画像作成手段
8 出力手段
9 表示装置
10 選択釦
11 マーク
12 シート状物
13 第1印刷区画
13a 第1辺
13b 第2辺
14 シート状物
15 第1印刷区画
15a 第1辺
15b 第2辺
16 第2印刷区画
16a 第3辺
16b 第4辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12