(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128037
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230907BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 B
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032084
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 遼太
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供する。
【解決手段】マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、前記耳掛け部がそれぞれ、前記本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から横方向に切込みが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記耳掛け部がそれぞれ、前記マスク本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、
前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から横方向に切込みが形成されている、マスク。
【請求項2】
前記切込みが、縦方向の中央領域に形成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記切込みの長さの、前記接合部隣接部の横方向長さに対する比の値が、0.3以上である、請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記切込みの終端に、所定の円相当径の面積を有する材料除去部が形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項5】
前記所定の円相当径が、2~10mmである、請求項4に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
顔に装着するマスクは、一般に、装着者の顔を少なくとも部分的に覆うマスク本体と、マスク本体にそれぞれ結合された一対の耳掛け部、すなわち、装着者の各耳に掛けることでマスク本体をその装着位置に保持することができる一対の部材とを有する。
【0003】
マスクの耳掛け部は紐状のものが多いが、シート状の耳掛け部も知られている。例えば、特許文献1には、1つ又は複数のシート片から形成された環状の第1の耳掛け部及び第2の耳掛け部がそれぞれ、基部と、基部から延び開口を形成する縁部とを有し、基部の一部が接合部によってマスク本体部の一方の面に接合された構成が記載されている。このようなマスクを使用する際には、第1の耳掛け部及び第2の耳掛け部を第1方向(横方向)の外方にそれぞれ展開する。その際、第1及び第2の耳掛け部はそれぞれ接合部の箇所で横方向に折り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、マスク使用時に両耳掛け部がそれぞれ横方向外方に展開された場合、耳掛け部の基部のうち本体に接合されていない部分(基部のうち接合部でない部分)が折り返され、裏返される。ここで、耳掛け部がマスク本体の外面(顔に対向させる面とは反対側の面)に接合されている場合、接合部の位置、耳掛け部の材質、マスクの装着の仕方によっては、基部のうちマスク本体に接合されていない部分がマスク本体の面方向に沿わず、マスク本体から離れるように浮いてしまうことがある。このような耳掛け部の、マスク本体から外部に浮いた部分は、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0006】
上記に鑑みた本発明の一態様は、シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、前記耳掛け部がそれぞれ、前記マスク本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から横方向に切込みが形成されている。
【0008】
マスクの装着時には、環状部が横方向外方に展開され、環状部のうち横方向に延在する上側の部分(上側延在部)及び環状部のうち横方向に延在する下側の部分(下側延在部)が、本体と装着者の耳との間に配される。ここで、装着者の耳の上下方向の長さが本体の縦方向の長さに比べて小さいことから、環状部は、耳に近付くほど上側延在部及び下側延在部が両者間の距離が小さくなるように変形する。これにより、環状部のうち本体に近い部分である接合部隣接部(接合部に隣接する縦方向に延在する部分)に力がかかり、接合部隣接部は、その縦方向の中央が縦方向の両端よりも横方向中央に近付くように湾曲する。例えば、マスクを装着した状態で装着者の顔の正面若しくは横からマスクを観察すると、接合部隣接部が、横方向中央に向かって凸の形状を有するようになる。このような湾曲によって、本体に接合されていない接合部隣接部は、本体から離れるように立ち上がりやすく若しくは浮きやすくなる。この接合部隣接部の立ち上がり若しくは浮き(以下、浮きと呼ぶ)は、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0009】
これに対し、上記第一の態様によれば、耳掛け部における接合部隣接部の内縁から切込みが形成されているので、接合部隣接部が湾曲した際に、切込みの終端が変形の基点となって、切込みによって分割された一方の片と他方の片とが動きやすくなる。そして、両辺が互いに近付き、さらに重なり合うことができるので、接合部隣接部の湾曲によって生じ得る浮きが吸収される。これにより、環状部の浮きが装着者の動作を妨げることを防止できる。例えば、マスクの上からフェイスシールド等の何等かの装具を装着する際に、装具が浮きに引っ掛かること等を防止できる。また、浮きを抑えることで、マスク装着時の外観もすっきりとなり、洗練された良い印象を与えることができる。
【0010】
本発明の第二の態様では、前記切込みが、縦方向の中央領域に形成されている。
【0011】
上記第二の態様によれば、接合部隣接部の最も湾曲度合が大きくなる領域、すなわち縦方向の中央領域に切込みがあることで、環状部の浮きを効果的に抑えることができる。
【0012】
本発明の第三の態様では、前記切込みの長さの、前記接合部隣接部の横方向長さに対する比の値が、0.3以上である。
【0013】
上記第三の態様によれば、切込みの横方向長さを適切な長さとすることができ、浮きを抑制する効果を向上できる。
【0014】
本発明の第四の態様では、前記切込みの終端に、所定の円相当径の面積を有する材料除去部が形成されている。
【0015】
切込みの終端は接合部に近接しており、耳掛け部を変形させにくい箇所である。これに対し、上記第四の態様によれば、切込みの終端において材料除去をしておくことで、切込みによって分割されて生じる2つの片が独立して動きやすくなり、互いに重なりやすくなる。すなわち、耳掛け部を構成する材料の剛性が大きい、或いは接合部隣接部の横方向長さが大きい構成であっても、接合部隣接部が容易に変形でき、浮き抑制の効果を得ることができる。
【0016】
本発明の第五の態様では、前記所定の円相当径が、2~10mmである。
【0017】
上記第五の態様によれば、切込み終端における材料除去部の面積を適切な大きさにできる。よって、耳掛け部を構成する材料や接合部隣接部のサイズ等に関わらず、接合部隣接部の浮き抑制の効果を向上できるとともに、切込み終端の変形の基点としての作用を維持できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態によるマスクを外面側から見た平面図である。
【
図2】
図1に示すマスクの内面(顔対向面)側から見た平面図である。
【
図3】
図1に示す耳掛け部が側方へ開かれた後の状態を示す部分図である。
【
図4】本実施形態によるマスクの装着状態の例を示す図、及び切込みが形成されている領域の部分拡大図を示す。
【
図5】
図1に示すマスクの切込み及びその周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0021】
本形態によるマスクは、装着者の顔、より具体的には装着者の少なくとも鼻及び口を覆うことのできるマスクであってよい。本形態によるマスクは、異物が顔に到達することを防止したり、装着者が発する飛沫が飛散することを防止したりする機能を有し得るものであって、衛生マスク又はサージカルマスクとも呼ばれる。マスクは、使い捨てのものであっても、洗濯によって繰り返し使用可能なものであってもよい。
【0022】
図1に、本形態によるマスク1の平面図を示す。
図1は、マスク1を外側(若しくは外面側)、すなわち装着時に顔に対向させず外部に露出させる面側から見た図である。また、
図2に、マスクを内側(顔に対向させる面側)から見た平面図を示す。
【0023】
図1に示すように、本形態によるマスク1は、装着時に装着者の顔の正面に配置され、装着者の主として鼻及び口を覆うことができるマスク本体10と、マスク本体10に結合された一対の耳掛け部20a、20aとを備えている。マスク1(マスク本体10)は、装着時に装着者の顔の上下方向に対応する縦方向(上下方向)D1と、装着時に装着者の顔の左右方向に対応する横方向(左右方向)D2とを有する。縦方向D1と横方向D2とは直交している。
【0024】
図1及び
図2に示すマスク本体10は、横方向D2に長辺を有する長方形の平面視形状を有するが、マスク本体10の平面視形状は図示のものに限られない。また、
図1及び
図2に示すように、マスク本体10は、縦方向D1に並んで配置された複数の襞(プリーツ)によって形成されるプリーツ構造15を有している。プリーツ構造15の襞は、マスク本体10を構成するシートを横方向D2に沿った折り線にて折ることによって形成される。上記複数の襞は形成された状態で、横方向D2両端部にヒートシール等が施され固定される。そのため、マスク1の使用時には、マスク本体10の横方向D2の中央ではプリーツ構造15の襞を縦方向D1に広げることができ、横方向D2の端部では、襞は固定されて広がらない。これにより、マスク1の装着時には、マスク本体10の横方向D2の中央及び縦方向D1の中央をマスク1の外面側に突出するように湾曲させることができ、顔の立体形状に適合するような形状に変形し得る。プリーツ構造15の具体的な構成は特に限定されず、マスク本体に形成される公知の構成であってよいが、
図1及び
図2に示すように、縦方向D1の中央に箱襞が形成されていると、装着時にマスク本体10の縦方向D1の中央を顔から離れる方向に突出させやすいので好ましい。
【0025】
マスク本体10は、複数の層が積層されてなる多層構造を有していてよい。例えば、異物(塵、花粉、細菌、ウィルス等)を捕集する機能が高められた中間層を、外層及び内層で挟んだ3層を少なくとも含む構造であってよい。マスク本体10を構成する各層は、不織布、織物、編物等の繊維含有層を含むことが好ましく、不織布を含むことがより好ましい。不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等が挙げられる。また、中間層には、細い繊維を含み得るメルトブローン不織布が用いられることが好ましい。また、繊維含有層を構成する繊維は樹脂繊維であると好ましく、樹脂繊維の樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。外層及び内層の目付は、15~50g/m2であってよい。異物捕集性の高い中間層の目付は、10~100g/m2であると好ましく、15~50g/m2であるとより好ましい。
【0026】
マスク本体10の上部には、横方向D2にわたって延びる形状保持部材30が配置されていてよい。形状保持部材30は、扁平帯状の金属製又は樹脂製の部材であってよく、可撓性及び形状保持性を有する部材である。すなわち、使用者の手によって容易に変形でき、その変形された状態を維持することができる。マスク1を装着する際には、この形状保持部材30を、装着者の鼻の上部に顔の左右方向にわたって配置できる。使用者はマスク本体10を顔に当てる前に、又は顔に当てた後に形状保持部材30を鼻の上部の形状に合わせて変形させることができる。これにより、マスク本体10の上部を顔(鼻)に密着させ、隙間を減らすことができる。
【0027】
一対の耳掛け部20a、20aはそれぞれ、平面視で環状若しくは閉じた帯状である。装着時には、耳掛け部20aの環の内側、すなわち耳掛け部20aの中央の開口29に装着者の耳が入るようにして、耳掛け部20aを耳に掛けることができる。
図1及び
図2に示すように、一対の耳掛け部20a、20aは、紐状又は糸状ではなく、シート状に形成されている。すなわち、環状の耳掛け部20aを構成する帯状体の任意の位置での幅が、耳掛け部20aの厚みよりも大きい。一対の耳掛け部20a、20aが、シート状であることで、マスク装着時に耳掛け部20aを耳に掛けた時に、耳掛け部20aが耳の後ろの面又は耳たぶの裏面に面接触できるため、耳に掛かる負担を軽減することができる。そのため、長時間使用したとしても違和感を低減できる。
【0028】
耳掛け部20aの環形状は、多角形、円形、楕円形等であってよいが、
図1及び
図2に示すように、好ましくは四角形、より好ましくは矩形に近い形状とすることができる。より具体的には、耳掛け部20aの内周縁の輪郭が、曲率半径が極小となる箇所(切込みによって途切れる箇所を除く)を4つ有する形状であってよい。また、四角形に近い形状の場合、4辺のうち2辺が縦方向D1に沿って延び、残りの2辺が横方向D2に沿って延びる形状であると好ましい。
【0029】
図1に示すように、一対のシート状の耳掛け部20a、20aは、マスク本体10の外面に配置されており、当該外面の横方向D2の両端部にそれぞれ接合されている。
図1に示すように、耳掛け部20aは、マスク本体10に接合された接合部21と、当該接合部21から横方向D2の中央に向かって延在する環状部26とを有する。接合部21は、マスク本体10の外面の横方向D2の端部に、縦方向D1に沿って接合された部分であって、マスク本体10に固定された部分である。一方、環状部26は、マスク1の使用時に横方向D2外方に展開可能な(後に詳述)部分である。
図1に示す例では、環状部26は、マスク本体10に接合されていないが、マスク本体10の外面に局所的に脱離可能に接合されていてもよい。
【0030】
図1及び
図2に示す形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、横方向D2の中央で互いに分離可能に結合した単一シート状に、すなわち、耳掛け部シート20として形成されている。ここで、単一シートとは、連続した1枚のシートからなる形態を指す。一対の耳掛け部20a、20aが単一シート状になっていることで、製造時に耳掛け部20a、20aの位置決めを同時に行うことができ、マスクの製造がより容易になる。しかし、一対の耳掛け部20a、20aは必ずしも結合されていなくともよい。
【0031】
一対の耳掛け部20a、20aが耳掛け部シート20として形成されている場合、耳掛け部シート20は、所定位置で破断させることによって分離した一対の耳掛け部20a、20aを形成できるように構成されていてよい。
図1の形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、結合部28にて結合されている。結合部28の結合形式は特に限定されないが、使用者の通常の力で引っ張ることによって分離可能な結合であることが好ましい。例えば
図1に示すようにミシン目として形成されていてよい。また、シートの厚みを小さくすること、又はその他の手段によって、一対の耳掛け部20a、20aの境界を脆弱化したり、応力が掛かりやすくしたりすることによって、結合部28を形成してもよい。また、結合部28は、使用者がハサミ等の道具によって切断できるように構成されていてもよい。
【0032】
耳掛け部20a、20a(又は耳掛け部シート20)は、伸縮性を有する材料、少なくとも横方向に伸縮性を有する材料から形成されていてよい。耳掛け部20a、20aが伸縮性を有することで、マスクの装着動作時には、使用者は、耳掛け部20a、20aを耳の後ろまで引っ張ってから耳に掛けるという動作を容易に行うことができ、また装着時(装着中)も、耳掛け部20a、20aに発生する引張り応力によって、マスク本体10を顔にフィットさせることができる。
【0033】
耳掛け部20a又は耳掛け部シート20は、伸縮性を有する材料からなる単層シートであってもよいし、伸縮性の材料を含む層を含む複数の層が積層されてなる多層シートであってもよい。伸縮性の材料とは、伸縮性の不織布、伸縮性フィルム、又は糸ゴム等の糸状若しくは紐状の伸縮性部材であってよい。伸縮性の不織布が含まれる場合、当該不織布の伸縮性は、不織布が伸縮性繊維を含むことによって、例えば繊維の材料自体が伸縮性を有する又は繊維が捲縮繊維であることによって発現されていてよい。或いは、所定の物理的構造によって、例えば表面に凹凸を有することによって伸縮性が発現されていてもよい。伸縮性の不織布の具体例としては、縮性エアスルー不織布、伸縮性スパンボンド不織布、伸縮性スパンレース不織布、伸縮性ニードルパンチ不織布、伸縮性ケミカルボンド不織布等が挙げられる。用いられる不織布の目付は、好ましくは5~50g/m2、より好ましくは8~35g/m2であってよい。
【0034】
耳掛け部20aが、複数の不織布の層が積層されてなる多層シートから構成されている場合、例えば、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布といった構成とすることができ、これらのうち少なくとも1層に伸縮性の不織布を使用することができる。また、耳掛け部20aが、伸縮性フィルムを含む多層シートから構成されている場合、不織布/伸縮性フィルム、不織布/伸縮性フィルム/不織布(例えば、スパンボンド不織布/伸縮性フィルム/スパンボンド不織布、エアスルー不織布/伸縮性フィルム/エアスルー不織布等)といった構成が挙げられる。2層が積層されてなるシートの場合、どちらか一方の層を伸縮性として、当該伸縮性の層を伸長させた状態で、もう一方の層を積層させて間欠的に固定した後、弛緩させて自然状態に戻して、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。また、3層が積層されてなるシートの場合、中央の層を伸長させた状態で、両面にそれぞれ層を積層させて間欠的に固定した後、弛緩させて自然状態に戻して、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。
【0035】
上記のうち、製造が容易であり、高い伸縮性が得られることから、伸縮性フィルムを用いた構成、特に伸縮性フィルムの両面に不織布を配置してなる構成が好ましい。伸縮性フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。伸縮性フィルムの伸縮性は、引張試験機による測定で最大伸長率(引張破断時の伸長率)が3.5~4.0であるものが好ましい。また、伸縮性フィルムは、湿気を通過させる機能を有してよい。伸縮性フィルムを用いる場合、伸縮性フィルムを自然長に対する所定倍率で伸長させた状態で、不織布を超音波溶着等によって伸縮性フィルムに間欠的に接合させた後、弛緩させて自然状態に戻すことで、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。伸縮性フィルムの弛緩によって不織布の接合されていない部分が盛り上がるため、得られるシートには、伸縮方向に概ね直交する方向に沿って延びる多数の皺が形成されている。
【0036】
なお、耳掛け部20a用のシートは、糸状ゴムを伸長させた状態で、伸縮性の小さい又は伸縮性を有さない不織布で挟み込むことによって形成してもよい。また、上記の材料同士を、伸縮性又は非伸縮性のホットメルト不織布(加熱により繊維が軟化又は溶融して他部材と接着可能な不織布)で貼り合わせてもよい。
【0037】
耳掛け部20a(耳掛け部シート20)の目付は、20~150g/m2であってよい。また、耳掛け部20aの厚みは、100~3,000μmであってよい。
【0038】
本形態によるマスク1の使用を開始する際、使用者は、マスク1の装着前に、耳掛け部20a、20aをそれぞれ、横方向D2外方へ(側方へ)展開する若しくは開く。この場合、環状部26は、接合部21と接合部隣接部22との間の境界線の位置を基軸として、展開される。すなわち、展開されるのは耳掛け部20a、20aの環状部26、26であり、マスク本体10に接合された接合部21、21には変化はない。別言すると、マスク1の耳掛け部20a、20aはそれぞれ、接合部21と環状部26との間の境界線を折り線として折り返すことができる。なお、上述のように一対の耳掛け部20a、20a同士が分離可能に結合されている場合には、展開前に、結合を解除して耳掛け部20a、20aを互いに分離させる。
【0039】
図3に、マスク1の耳掛け部20a、20aをそれぞれ横方向D2外方に展開した後の状態を示す。耳掛け部20a、20aを横方向D2外方に展開させた後には、耳掛け部20a、20aはそれぞれ裏返されて、展開前にはマスク本体10に対向していた面が露出する。そして、マスク本体10の外面のほぼ全体も露出する。
【0040】
図1~
図3に示すように、本形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、マスク本体10の外面に配置されている。そのため、一対の耳掛け部20a、20a同士を分離させて横方向D2外方へ開く動作において、マスク本体10の内面に触れる可能性を低減できるか又はその可能性をなくすことができ、衛生的観点から好ましい。本形態による、耳掛け部20a、20aがマスク本体10の外面に配置されたマスク1は、例えば次のように使用することができる。マスク本体10の外面を上にしてマスク1が置かれている状態で、使用者が一対の耳掛け部20a、20aをそれぞれ手で把持して横方向D2外方へ開いた後、一対の耳掛け部20a、20aを把持したままマスク1を他人(装着者)の顔へと移動させる。そして、マスク本体10をその他人の顔の所望の位置へ配置した後、持ち方を変えることなく、一対の耳掛け部20a、20aをそれぞれ、他人の耳に掛けることができる。よって、本形態によるマスク1は、例えば子供、病人等の、マスクを自らで装着することが困難である人にマスクを装着させる場合に、好適に使用できる。
【0041】
なお、
図1及び
図2に示すように、一対の耳掛け部20a、20aは、使用開始前の状態(耳掛け部を展開する前の状態)で、マスク本体10の外形からはみ出していてよい。よって、マスク1の使用者が、耳掛け部20a、20aのマスク本体10からはみ出した部分を持って、耳掛け部20a、20a同士を分離し、展開することで、マスク本体10自体に触れる可能性を低減できるので、より衛生的にマスク1を使用できる。
【0042】
さらに、本形態では、一対の耳掛け部20a、20aがマスク本体の外面の両側部にそれぞれ接合されているので(
図1~
図3)、マスク1の装着時、すなわち耳掛け部20a、20aを側方に開いて耳に掛けている状態では、マスク本体10の両側部は、耳掛け部20aによって外面側から顔に向かって押さえられる。これにより、マスク本体10の両側部においてマスク本体10と顔との隙間を小さくすることができ、マスクの機能、例えば異物を遮断する機能、装着者が発した飛沫を飛散させない機能等を向上できる。また、本体の両側部の内面側(顔側)に耳掛け部20aが配置されていないことで、装着中に、マスク本体10の両側部において耳掛け部20aが装着者の顔に直接接触しないため、違和感も低減される。
【0043】
なお、マスク本体10には、マスク本体10の外面及び内面の区別を可能にするマーク18を、エンボス加工、印刷、縫込み等によって形成してもよい。マーク18は、使用者が目視で認識できるものであれば、その形態は限定されない。マーク18は、
図1等に示すように、文字であってもよいし、数字、記号、図形、ロゴ等であってもよい。
【0044】
上述のように、耳掛け部20a、20aはそれぞれ、マスク本体10に固定された接合部21と、マスク本体10から離れて展開可能な環状部26とを有する。接合部21をマスク本体10に接合するための手段は特に限定されず、耳掛け部20a及びマスク本体10の対向する面同士を接合させる手段であればよい。好ましくは加圧及び/又は加熱手段とすることができ、例えばヒートシール、超音波シール、非加熱のエンボス加工等であってよい。このうち、耳掛け部20a及びマスク本体10の素材が合成樹脂である場合には、両者が融着されて、より確実な厚み方向の接合が可能であることから、ヒートシールを用いることが好ましい。
【0045】
上記接合手段により接合処理された領域50においては、耳掛け部20aの接合部21とマスク本体10の最外層の不織布とが、当該接合処理領域50全体にわたって接合(ヒートシールの場合には融着)されていてもよいし、接合処理領域50内で部分的に接合(融着)されていてもよい。図示の例による接合処理領域50では、微視的には、接合部21とマスク本体10とが接合された複数の接合小部分50a、50aが離間して形成されている。これにより、耳掛け部20aの接合部21とマスク本体10との確実な接合を得つつ、マスク本体10の横方向D2端部の柔軟性もある程度確保できる。図示の接合小部分50aは、平面視で正方形の形状を有しているが、1つの接合小部分50aの平面視形状は、正方形以外の四角形、円形等の任意の形状を有していてよい。
【0046】
また、接合処理領域50は、
図1及び
図3に示すように、マスク本体10の上端から下端にわたって延在していてよい。すなわち、接合部21が、マスク本体10の上端から下端にわたって延在していて、マスク本体10の縦方向D1の長さと同じ縦方向D1の長さを有している。これにより、マスク本体10の縦方向(上下方向)D1の全体にわたって耳掛け部20aを確実に固定できる。さらに、接合部21の横方向D2の外側の端縁とマスク本体10の横方向D2の外側の端縁とは揃っていることが好ましい。これにより、装着時に、マスク本体10の横方向D2の外端までを、マスク本体10よりも外側に配置される耳掛け部20aによって確実に抑えることができる。
【0047】
接合部21の横方向D2長さ(幅)は一定であってもよいし、縦方向D1で変化していてもよい。但し、横方向D2長さが一定であると、ヒートシール等の接合処理が煩雑にならず、好ましい。接合部21の横方向D2長さW1(縦方向D1で変化がある場合には平均値とする)は、1~15mmであると好ましい。
【0048】
環状部26は、接合部21に隣接し、縦方向D1に延在する接合部隣接部22と、装着時に装着者の耳の後ろに位置する耳後方配置部24と、上側において接合部隣接部22と耳後方配置部24との間に延在する上側延在部23と、下側において接合部隣接部22と耳後方配置部24との間に延在する下側延在部25とを有していてよい。
図1~
図3に示す例では、接合部隣接部22から上側延在部23に移行する部分の内縁、上側延在部23から耳後方配置部24に移行する部分の内縁、耳後方配置部24から下側延在部25に移行する部分の内縁、及び下側延在部25から接合部隣接部22に移行する部分の内縁に、曲率半径が極小となる箇所が存在している。
【0049】
さらに
図1~
図3に示すように、本形態では、接合部隣接部22の内縁から横方向D2に平行な方向に切込み27が形成されている。しかしながら、切込み27の延在方向は、耳掛け部20の上側延在部23及び/又は下側延在部25に対し平行とすることもできる。なお、本明細書において、平行と言う場合、完全に平行のみを意味するのではなく、平行から±10°、好ましくは±5°逸脱する方向も含み得る。
【0050】
次に、接合部隣接部22に切込み27が形成されていることによる本形態の利点について、以下に説明する。
図4(a)に、マスク1を装着した装着者(耳掛け部20aを耳に掛けた装着者)を横から見た図を示す。また、
図4(b)に、切込み27及びその周辺の部分の拡大図を示す。
図4(a)に示すように、また上述したように、マスク1の装着時には、マスク本体10のプリーツ15を縦方向D1に広げる。プリーツ15は横方向D2の端部で固定されているので、マスク本体10は、縦方向D1の中央が顔の前方に突出するように変形する。また、耳掛け部20aは装着者の耳の方向に引っ張られるが、マスク本体10の縦方向D1の長さより耳の上下方向の長さが小さいため、上側延在部23と下側延在部25とが近付くような力が働く。このような変形に伴い、マスク本体10の横方向D2の端部、並びに耳掛け部20aの接合部21及び接合部隣接部22においては、縦方向D1の中央が横方向D2の中央に近付くように湾曲する。例えば、装着者の顔を横から見た場合、マスク本体10と耳掛け部20aとの境界付近は、縦方向D1の中央が、顔の中央及び前方に近付くように湾曲する(
図4(a))。このような湾曲によって、耳掛け部20aの接合部隣接部22が歪むと、切込みのない従来の構成では、接合部隣接部22が立ち上がり若しくは浮いてしまうことがある。このような接合部隣接部22の浮きは、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0051】
これに対し、本形態によれば、接合部隣接部22の内縁から切込み27が形成されているので、接合部隣接部22が湾曲しても、切込み27の終端が変形の基点となって、切込みによって分割された一方の片27aと他方の片27bとが動きやすくなる。そして、両片27a、27bが互いに近付き、さらに重なり合うことができる(
図4(b))。よって、接合部隣接部22の湾曲によって生じ得る浮きが吸収される。これにより、耳掛け部20aの一部の浮きが装着者の動作を妨げることを防止できる。例えば、マスクの上からフェイスシールド等の何等かの装具を装着する際に、装具が浮きに引っ掛かること等を防止できる。また、浮きを抑えることで、マスク装着時の外観もすっきりとなり、洗練された良い印象を与えることができる。なお、片27a、27bが重なり合う場合には、どちらが外側に配置されてもよい。なお、
図4には、片27a、27b同士が重なった装着例を図示するが、切込み27のサイズ、形状、マスク本体10及び耳掛け部20aのサイズ、装着者の顔のサイズ、形状、装着者のマスクの装着の仕方によっては、片27a、27bは必ずしも重なっていなくともよい。
【0052】
切込み27は、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域に形成されていてよい。本形態では、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域は、マスク本体10の縦方向D1の中央領域に等しく、マスク本体10の縦方向D1の中央位置を含む、全長約3分の1の縦方向D1長さを有する領域であってよい(
図1等)。マスク1の装着時(
図4)には、マスク本体10及び接合部隣接部22においては、縦方向D1の中央付近で最も湾曲度合が大きくなるので、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域に切込み27が形成されていることで、切込み27が効果的に機能でき、耳掛け部20aの浮きを効果的に抑えることができる。
【0053】
切込み27は、耳掛け部20a全体が打ち抜きによって形成される際に、切込み27に対応するカッタ部を備えた型を使用することで、耳掛け部20a全体の形成と同時に形成することができるし、耳掛け部20aを打ち抜いた後にカッタ等によって形成してもよい。切込み27は、接合部隣接部22を部分的に切断することによって切込み27によって分割される片27a、27bが形成されるのであれば、その形状は限定されない。切込み27の形状については、さらに以下に説明する。
【0054】
図5に、
図1における切込み27の部分拡大図を示す。切込み27は、単なる切断線であってもよいが(
図6を参照して後述)、
図5に示すように、形成された片27a、27b同士の間に間隙が存在する形状であってもよい。すなわち、切込み27は、切込み27が形成される前の内縁の輪郭(若しくは切込みがないことを想定した場合の仮想輪郭)22i(
図5にて一点鎖線で表示)を考慮した場合、22i、27a、27bで囲まれた部分が所定の面積を有するように形成されたものであってもよい。
図5に示す例では、切込み27は、終端27tに近付くほど片27a、27b間の隙間が細くなっていているが、接合部隣接部22の内縁から終端27tまで隙間長さを一定としてもよい。また、片27a、27b間に間隙が形成される場合、その間隙長さ(切込みの幅)は、切込み27の横方向D2の中央において0.1~25mm、好ましくは0.1~8mmであってよい。
【0055】
なお、切込み27は、上記仮想輪郭22iにおける開口の縦方向D1の長さdが、0mm以上15mm未満、好ましくは0mm以上10mm未満のものとすることができる。
【0056】
図5に示す例では、切込み27は、接合部隣接部22と接合部21との境界まで達しておらず、当該境界から距離を置いて形成されている。この形態は、切込み27に過度に力が掛かった場合に接合部21とマスク本体10との接合に負担がかからず接合部21が損傷されにくいという観点から好ましい。但し、接合部21とマスク本体10との接合を妨げるものでなければ、切込み27は、接合部隣接部22と接合部21との境界まで達していてもよい。
【0057】
切込み27の長さLの、切込み27が形成されている位置での接合部隣接部22の横方向D2長さ(幅)W2に対する比の値(L/W2)は、0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上であってよい。上記比の値とすることで、浮きを抑制する効果を向上できる。また、上記比の値を0.95以下、好ましくは0.9以下とすることで、接合部21付近に応力が集中することによる接合の弱化を防止できる。また、耳掛け部20aの材料等によるが、接合部隣接部22の横方向D2長さLは1~20mmであってよい。
【0058】
さらに本形態では、
図5に示すように、切込み27の終端27tにおいて、所定面積の材料が除去された材料除去部27rが形成されていてよい。切込みの終端27t付近の材料は、分割により形成される片27a、27bの根元位置になるため、変形しにくくなっている。そのため、切込み27の終端27tに材料除去部27rが形成されていることで、片27a、27bが根元から互いに独立して動きやすくなる。よって、耳掛け部20aの材料が比較的高い剛性を有する場合等であっても、マスク1の装着時に片27a、27b同士を近づけやすく、また
図4に示すように重ね合わせやすくなる。これにより、接合部隣接部22の浮きを抑える効果が向上し、接合部隣接部22を顔に沿わせて配置することができる。
【0059】
図5に示す例では、材料除去部27rは円形であるが、材料除去部27rの形状は円形に限られず、多角形、楕円形等であってよい。また、材料除去部27rは、円相当径φ2~10mmを有する面積が除去された部分であってよい。材料除去部27rの大きさを上記範囲とすることで、接合部隣接部の浮き防止の効果を向上させることができるとともに、切込み27の終端27tが変形の基点となるという作用を維持できる。
【0060】
図6に、切込み27の変形例を示す。
図6の例は、切込み27の形状は
図5に示すものと同様であるが、材料除去部27rの縁部に補強部271が形成されている。装着時に耳掛け部20aの接合部隣接部22が変形する際、切込み27の終端27tには特に応力が集中しやすく、材料に負担がかかりやすい。特に昨今では、1つのマスクを1日を通して使用することがあり、その場合には、マスクを装着及び取外しを繰り返し行うことが多いので、着脱の都度、切込み27の終端27tに力が掛かりやすい。そのため、装着者の使用の仕方によっては、その位置から耳掛け部20aが破れたり、またその破れが接合部21にまで達し、耳掛け部20aがマスク本体10から剥がれてしまったりする懸念がある。これに対し、材料除去部27rの縁部に補強部271があるで、上記のような損傷の可能性を阻止できる。なお、補強部271の形態は、材料除去部27rの縁部の剛性を向上できるものであれば特に限定されず、例えば、エンボス加工、接着剤の塗布等であってよい。
【0061】
図6に示す例では、補強部271は、材料除去部27rの縁部全周にわたって設けられているが、縁部全周の一部であってもよい。また、補強部は、切込み27の片27a、27bの各縁部に沿って形成されていてもよい。
【0062】
さらに、
図7には、切込み27の別の変形例を示す。
図7の例では、材料除去部27rの一部が、接合部21内に位置している。さらに、微視的には、材料除去部27rの輪郭が部分的に接合小部分50aに重なっている。そのため、
図6の例と同様に材料除去部27rの周縁が補強される作用が得られ、耳掛け部20aの損傷、及び耳掛け部20aのマスク本体10から剥がれる懸念も低減できる。また、
図7の例では、材料除去部27rの全体が接合部21内に位置していないことから、材料除去部27rの作用、すなわち、片27a、27bが動きやすくなって変形しやすくなり、接合部隣接部22の歪みが吸収されるとの作用も維持される。
【0063】
図8に、切込み27の変形例を示す。
図8に示す切込み27によっても、片27a、27bが形成される。そのため、マスク1の装着時に、マスク本体10の横方向D2の端部及び耳掛け部20aの接合部隣接部22が湾曲した場合でも、
図4に示す例と同様に、片27a、27bが重なり合い、湾曲によって生じる歪みを吸収することができる。よって、耳掛け部20aの浮きを抑制することができる。
【0064】
図8に示す例では、使用開始前の状態で片27a、27bが接しているか、片27a、27b同士の間隔がわずかであり、例えば、0.1mm未満であってもよい。
図6に示すような切込み27の形態によれば、耳掛け部20aが柔らかく、剛性が低い材料からなっている場合に好適である。
【0065】
なお、以上の説明で参照した図面では、1つの耳掛け部20aに1つの切込み27が形成されているが、切込み27は、縦方向D2に並んで複数設けられていてもよい。すなわち、耳掛け部20aの接合部隣接部22の内輪郭の複数の異なる箇所から形成されていてもよい。その場合、切込みの長さL、延在方向、間隙の有無若しくは間隙の大きさ、材料除去部の有無若しくは大きさは、複数の切込み同士で同じであってもよいし、異なっていてもよい。但し、1つの耳掛け部20aの接合部隣接部22における切込み27の数が1つであると、切込み27によって形成される片27a、27bがそれぞれ、装着時に上側延在部23及び下側延在部25によって耳の方へ(横方向D2外方へ)と引っ張られるので、顔の面に沿って配置でき、浮きの抑制効果が高く、好ましい。
【0066】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0067】
1 マスク
10 マスク本体
15 プリーツ
18 マーク
20 耳掛け部シート
20a 耳掛け部
21 接合部
22 接合部隣接部
22i 接合部隣接部の内縁の仮想輪郭
23 上側延在部
24 耳後方配置部
25 下側延在部
26 環状部
27 切込み
27a、27b 切込みにより形成された片
27t 切込みの終端
27r 材料除去部
28 分離可能な結合部
29 開口
D1 縦方向(上下方向)
D2 横方向(左右方向)