IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-マスク 図1
  • 特開-マスク 図2
  • 特開-マスク 図3
  • 特開-マスク 図4
  • 特開-マスク 図5
  • 特開-マスク 図6
  • 特開-マスク 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128038
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230907BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 B
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032085
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 遼太
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供する。
【解決手段】マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、前記耳掛け部がそれぞれ、前記本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から切欠きが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記耳掛け部がそれぞれ、前記マスク本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、
前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から切欠きが形成されている、マスク。
【請求項2】
前記切欠きが、縦方向の中央領域に形成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記切欠きが、前記内縁から前記接合部に向かうほど収束する形状を有する、請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記切欠きが、角度10~45°をなして延びる2辺に挟まれた形状を有する、請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記切欠きの終端から、前記接合部までの横方向の長さが15mm以下である、請求項1又は2に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
顔に装着するマスクは、一般に、装着者の顔を少なくとも部分的に覆うマスク本体と、マスク本体にそれぞれ結合された一対の耳掛け部、すなわち、装着者の各耳に掛けることでマスク本体をその装着位置に保持することができる一対の部材とを有する。
【0003】
マスクの耳掛け部は紐状のものが多いが、シート状の耳掛け部も知られている。例えば、特許文献1には、1つ又は複数のシート片から形成された環状の第1の耳掛け部及び第2の耳掛け部がそれぞれ、基部と、基部から延び開口を形成する縁部とを有し、基部の一部が接合部によってマスク本体部の一方の面に接合された構成が記載されている。このようなマスクを使用する際には、第1の耳掛け部及び第2の耳掛け部を第1方向(横方向)の外方にそれぞれ展開する。その際、第1及び第2の耳掛け部はそれぞれ接合部の箇所で横方向に折り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5436262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、マスク使用時に両耳掛け部がそれぞれ横方向外方に展開された場合、耳掛け部の基部のうち本体に接合されていない部分(基部のうち接合部でない部分)が折り返され、裏返される。ここで、耳掛け部がマスク本体の外面(顔に対向させる面とは反対側の面)に接合されている場合、接合部の位置、耳掛け部の材質、マスクの装着の仕方によっては、基部のうちマスク本体に接合されていない部分がマスク本体の面方向に沿わず、マスク本体から離れるように浮いてしまうことがある。このような耳掛け部の、マスク本体から外部に浮いた部分は、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0006】
上記に鑑みた本発明の一態様は、シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、マスク本体と、一対のシート状の耳掛け部とを備えたマスクであって、前記耳掛け部がそれぞれ、前記マスク本体の外面の横方向端部に接合され且つ縦方向に延在する接合部と、前記接合部より横方向中央に延在し且つ横方向外方に展開可能な環状部とを有し、前記環状部の、前記接合部に隣接し且つ縦方向に延在する接合部隣接部の内縁から切欠きが形成されている。
【0008】
マスクの装着時には、環状部が横方向外方に展開され、環状部のうち横方向に延在する上側の部分(上側延在部)及び環状部のうち横方向に延在する下側の部分(下側延在部)が、本体と装着者の耳との間に配される。ここで、装着者の耳の上下方向の長さが本体の縦方向の長さに比べて小さいことから、環状部は、耳に近付くほど上側延在部及び下側延在部が両者間の距離が小さくなるように変形する。これにより、環状部のうち本体に近い部分である接合部隣接部(接合部に隣接する縦方向に延びる部分)に力が掛かり、接合部隣接部は、その縦方向の中央が縦方向の両端よりも横方向中央に近付くように湾曲する。例えば、マスクを装着した状態で装着者の顔の正面若しくは横からマスクを観察すると、接合部隣接部が、横方向中央に向かって凸の形状を有するようになる。このような湾曲によって、本体に接合されていない接合部隣接部は、本体から離れるように立ち上がりやすく若しくは浮きやすくなる。この接合部隣接部の立ち上がり若しくは浮き(以下、浮きと呼ぶ)は、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0009】
上述の浮きは、接合部隣接部の材料が縦方向に寄せられ、顔から離れるように逃げることによって生じる。上記第一の態様によれば、掛け部における接合部隣接部の内縁から切欠きが形成されていて、すなわち内縁から材料が予めある程度除去されている。そのため、マスクの装着時に接合部隣接部が湾曲しても、浮きとして顔から離れ得る材料部分がない又は少ない。切欠きの縁部が互いに近付くよう動き、接合部隣接部を顔の面方向に沿って配置させることができる。このようにして、環状部の浮きが抑制され、浮きが装着者の動作を妨げることを防止できる。例えば、マスクの上からフェイスシールド等の何等かの装具を装着する際に、装具が浮きに引っ掛かること等を防止できる。また、浮きを抑えることで、マスク装着時の外観もすっきりとなり、洗練された良い印象を与えることができる。
【0010】
本発明の第二の態様では、前記切欠きが、縦方向の中央領域に形成されている。
【0011】
上記第二の態様によれば、接合部隣接部の最も湾曲度合が大きくなる領域、すなわち縦方向の中央領域に切欠きがあることで、環状部の浮きを効果的に抑えることができる。
【0012】
本発明の第三の態様では、前記切欠きが、前記内縁から前記接合部に向かうほど収束する形状を有する。
【0013】
マスクの装着時には、耳掛け部は、上側延在部と下側延在部とが近付くように変形する。この変形は、言わば、上側延在部と下側延在部とが、接合部隣接部の縦方向の中央付近を中心に旋回する動作である。そのため、接合部隣接部の変形度合も、マスク本体に近いほど小さく、装着者の耳に近いほど遠くなる。上記第三の態様による切欠きの形状は、このような接合部隣接部の変形に適合しているので、切欠きの縁部同士が近付く際の歪みがすくなく、浮きを抑制する効果を向上できる。
【0014】
本発明の第四の態様では、前記切欠きが、角度10~45°をなして延びる2辺に挟まれた形状を有する。
【0015】
上記第四の態様によれば、適切な面積の材料が除去できるため浮きを抑制する効果を向上させる一方、切欠きの形状の鋭さを維持し、切欠きの縁部同士が容易に近付くことができるようになる。
【0016】
本発明の第五の態様では、前記切欠きの終端から、前記接合部までの横方向の長さが15mm以下である。
【0017】
上記第五の態様によれば、接合部隣接部のうち歪みやすい部分を小さくすることができ、浮き抑制の効果を向上させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、シート状の耳掛け部のマスク本体からの浮きが生じにくいマスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態によるマスクを外面側から見た平面図である。
図2図1に示すマスクの内面(顔対向面)側から見た平面図である。
図3図1に示す耳掛け部が側方へ開かれた後の状態を示す部分図である。
図4】本実施形態によるマスクの装着状態の例を示す図を示す。
図5図1に示すマスクの切欠き及びその周辺部分の拡大図である。
図6】切欠きの変形例を示す。
図7】切欠きの別の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0021】
本形態によるマスクは、装着者の顔、より具体的には装着者の少なくとも鼻及び口を覆うことのできるマスクであってよい。本形態によるマスクは、異物が顔に到達することを防止したり、装着者が発する飛沫が飛散することを防止したりする機能を有し得るものであって、衛生マスク又はサージカルマスクとも呼ばれる。マスクは、使い捨てのものであっても、洗濯によって繰り返し使用可能なものであってもよい。
【0022】
図1に、本形態によるマスク1の平面図を示す。図1は、マスク1を外側(若しくは外面側)、すなわち装着時に顔に対向させず外部に露出させる面側から見た図である。また、図2に、マスクを内側(顔に対向させる面側)から見た平面図を示す。
【0023】
図1に示すように、本形態によるマスク1は、装着時に装着者の顔の正面に配置され、装着者の主として鼻及び口を覆うことができるマスク本体10と、マスク本体10に結合された一対の耳掛け部20a、20aとを備えている。マスク1(マスク本体10)は、装着時に装着者の顔の上下方向に対応する縦方向(上下方向)D1と、装着時に装着者の顔の左右方向に対応する横方向(左右方向)D2とを有する。縦方向D1と横方向D2とは直交している。
【0024】
図1及び図2に示すマスク本体10は、横方向D2に長辺を有する長方形の平面視形状を有するが、マスク本体10の平面視形状は図示のものに限られない。また、図1及び図2に示すように、マスク本体10は、縦方向D1に並んで配置された複数の襞(プリーツ)によって形成されるプリーツ構造15を有している。プリーツ構造15の襞は、マスク本体10を構成するシートを横方向D2に沿った折り線にて折ることによって形成される。上記複数の襞は形成された状態で、横方向D2両端部にヒートシール等が施され固定される。そのため、マスク1の使用時には、マスク本体10の横方向D2の中央ではプリーツ構造15の襞を縦方向D1に広げることができ、横方向D2の端部では、襞は固定されて広がらない。これにより、マスク1の装着時には、マスク本体10の横方向D2の中央及び縦方向D1の中央をマスク1の外面側に突出するように湾曲させることができ、顔の立体形状に適合するような形状に変形し得る。プリーツ構造15の具体的な構成は特に限定されず、マスク本体に形成される公知の構成であってよいが、図1及び図2に示すように、縦方向D1の中央に箱襞が形成されていると、装着時にマスク本体10の縦方向D1の中央を顔から離れる方向に突出させやすいので好ましい。
【0025】
マスク本体10は、複数の層が積層されてなる多層構造を有していてよい。例えば、異物(塵、花粉、細菌、ウィルス等)を捕集する機能が高められた中間層を、外層及び内層で挟んだ3層を少なくとも含む構造であってよい。マスク本体10を構成する各層は、不織布、織物、編物等の繊維含有層を含むことが好ましく、不織布を含むことがより好ましい。不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等が挙げられる。また、中間層には、細い繊維を含み得るメルトブローン不織布が用いられることが好ましい。また、繊維含有層を構成する繊維は樹脂繊維であると好ましく、樹脂繊維の樹脂の種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。外層及び内層の目付は、15~50g/mであってよい。異物捕集性の高い中間層の目付は、10~100g/mであると好ましく、15~50g/mであるとより好ましい。
【0026】
マスク本体10の上部には、横方向D2にわたって延びる形状保持部材30が配置されていてよい。形状保持部材30は、扁平帯状の金属製又は樹脂製の部材であってよく、可撓性及び形状保持性を有する部材である。すなわち、使用者の手によって容易に変形でき、その変形された状態を維持することができる。マスク1を装着する際には、この形状保持部材30を、装着者の鼻の上部に顔の左右方向にわたって配置できる。使用者はマスク本体10を顔に当てる前に、又は顔に当てた後に形状保持部材30を鼻の上部の形状に合わせて変形させることができる。これにより、マスク本体10の上部を顔(鼻)に密着させ、隙間を減らすことができる。
【0027】
一対の耳掛け部20a、20aはそれぞれ、平面視で環状若しくは閉じた帯状である。装着時には、耳掛け部20aの環の内側、すなわち耳掛け部20aの中央の開口29に装着者の耳が入るようにして、耳掛け部20aを耳に掛けることができる。図1及び図2に示すように、一対の耳掛け部20a、20aは、紐状又は糸状ではなく、シート状に形成されている。すなわち、環状の耳掛け部20aを構成する帯状体の任意の位置での幅が、耳掛け部20aの厚みよりも大きい。一対の耳掛け部20a、20aが、シート状であることで、マスク装着時に耳掛け部20aを耳に掛けた時に、耳掛け部20aが耳の後ろの面又は耳たぶの裏面に面接触できるため、耳に掛かる負担を軽減することができる。そのため、長時間使用したとしても違和感を低減できる。
【0028】
耳掛け部20aの環形状は、多角形、円形、楕円形等であってよいが、図1及び図2に示すように、好ましくは四角形、より好ましくは矩形に近い形状とすることができる。より具体的には、耳掛け部20aの内周縁の輪郭が、曲率半径が極小となる箇所を4つ有する形状(切欠きの部分を除く)であってよい。また、四角形に近い形状の場合、4辺のうち2辺が縦方向D1に沿って延び、残りの2辺が横方向D2に沿って延びる形状であると好ましい。
【0029】
図1に示すように、一対のシート状の耳掛け部20a、20aは、マスク本体10の外面に配置されており、当該外面の横方向D2の両端部にそれぞれ接合されている。図1に示すように、耳掛け部20aは、マスク本体10に接合された接合部21と、当該接合部21から横方向D2の中央に向かって延在する環状部26とを有する。接合部21は、マスク本体10の外面の横方向D2の端部に、縦方向D1に沿って接合された部分であって、マスク本体10に固定された部分である。一方、環状部26は、マスク1の使用時に横方向D2外方に展開可能な(後に詳述)部分である。図1に示す例では、環状部26は、マスク本体10に接合されていないが、マスク本体10の外面に局所的に脱離可能に接合されていてもよい。
【0030】
図1及び図2に示す形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、横方向D2の中央で互いに分離可能に結合した単一シート状に、すなわち、耳掛け部シート20として形成されている。ここで、単一シートとは、連続した1枚のシートからなる形態を指す。一対の耳掛け部20a、20aが単一シート状になっていることで、製造時に耳掛け部20a、20aの位置決めを同時に行うことができ、マスクの製造がより容易になる。しかし、一対の耳掛け部20a、20aは必ずしも結合されていなくともよい。
【0031】
一対の耳掛け部20a、20aが耳掛け部シート20として形成されている場合、耳掛け部シート20は、所定位置で破断させることによって分離した一対の耳掛け部20a、20aを形成できるように構成されていてよい。図1の形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、結合部28にて結合されている。結合部28の結合形式は特に限定されないが、使用者の通常の力で引っ張ることによって分離可能な結合であることが好ましい。例えば図1に示すようにミシン目として形成されていてよい。また、シートの厚みを小さくすること、又はその他の手段によって、一対の耳掛け部20a、20aの境界を脆弱化したり、応力が掛かりやすくしたりすることによって、結合部28を形成してもよい。また、結合部28は、使用者がハサミ等の道具によって切断できるように構成されていてもよい。
【0032】
耳掛け部20a、20a(又は耳掛け部シート20)は、伸縮性を有する材料、少なくとも横方向に伸縮性を有する材料から形成されていてよい。耳掛け部20a、20aが伸縮性を有することで、マスクの装着動作時には、使用者は、耳掛け部20a、20aを耳の後ろまで引っ張ってから耳に掛けるという動作を容易に行うことができ、また装着時(装着中)も、耳掛け部20a、20aに発生する引張り応力によって、マスク本体10を顔にフィットさせることができる。
【0033】
耳掛け部20a又は耳掛け部シート20は、伸縮性を有する材料からなる単層シートであってもよいし、伸縮性の材料を含む層を含む複数の層が積層されてなる多層シートであってもよい。伸縮性の材料とは、伸縮性の不織布、伸縮性フィルム、又は糸ゴム等の糸状若しくは紐状の伸縮性部材であってよい。伸縮性の不織布が含まれる場合、当該不織布の伸縮性は、不織布が伸縮性繊維を含むことによって、例えば繊維の材料自体が伸縮性を有する又は繊維が捲縮繊維であることによって発現されていてよい。或いは、所定の物理的構造によって、例えば表面に凹凸を有することによって伸縮性が発現されていてもよい。伸縮性の不織布の具体例としては、縮性エアスルー不織布、伸縮性スパンボンド不織布、伸縮性スパンレース不織布、伸縮性ニードルパンチ不織布、伸縮性ケミカルボンド不織布等が挙げられる。用いられる不織布の目付は、好ましくは5~50g/m、より好ましくは8~35g/mであってよい。
【0034】
耳掛け部20aが、複数の不織布の層が積層されてなる多層シートから構成されている場合、例えば、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布といった構成とすることができ、これらのうち少なくとも1層に伸縮性の不織布を使用することができる。また、耳掛け部20aが、伸縮性フィルムを含む多層シートから構成されている場合、不織布/伸縮性フィルム、不織布/伸縮性フィルム/不織布(例えば、スパンボンド不織布/伸縮性フィルム/スパンボンド不織布、エアスルー不織布/伸縮性フィルム/エアスルー不織布等)といった構成が挙げられる。2層が積層されてなるシートの場合、どちらか一方の層を伸縮性として、当該伸縮性の層を伸長させた状態で、もう一方の層を積層させて間欠的に固定した後、弛緩させて自然状態に戻して、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。また、3層が積層されてなるシートの場合、中央の層を伸長させた状態で、両面にそれぞれ層を積層させて間欠的に固定した後、弛緩させて自然状態に戻して、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。
【0035】
上記のうち、製造が容易であり、高い伸縮性が得られることから、伸縮性フィルムを用いた構成、特に伸縮性フィルムの両面に不織布を配置してなる構成が好ましい。伸縮性フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。伸縮性フィルムの伸縮性は、引張試験機による測定で最大伸長率(引張破断時の伸長率)が3.5~4.0であるものが好ましい。また、伸縮性フィルムは、湿気を通過させる機能を有してよい。伸縮性フィルムを用いる場合、伸縮性フィルムを自然長に対する所定倍率で伸長させた状態で、不織布を超音波溶着等によって伸縮性フィルムに間欠的に接合させた後、弛緩させて自然状態に戻すことで、耳掛け部20a用のシートを得ることができる。伸縮性フィルムの弛緩によって不織布の接合されていない部分が盛り上がるため、得られるシートには、伸縮方向に概ね直交する方向に沿って延びる多数の皺が形成されている。
【0036】
なお、耳掛け部20a用のシートは、糸状ゴムを伸長させた状態で、伸縮性の小さい又は伸縮性を有さない不織布で挟み込むことによって形成してもよい。また、上記の材料同士を、伸縮性又は非伸縮性のホットメルト不織布(加熱により繊維が軟化又は溶融して他部材と接着可能な不織布)で貼り合わせてもよい。
【0037】
耳掛け部20a(耳掛け部シート20)の目付は、20~150g/mであってよい。また、耳掛け部20aの厚みは、100~3,000μmであってよい。
【0038】
本形態によるマスク1の使用を開始する際、使用者は、マスク1の装着前に、耳掛け部20a、20aをそれぞれ、横方向D2外方へ(側方へ)展開する若しくは開く。この場合、環状部26は、接合部21と接合部隣接部22との間の境界線の位置を基軸として、展開される。すなわち、展開されるのは耳掛け部20a、20aの環状部26、26であり、マスク本体10に接合された接合部21、21には変化はない。別言すると、マスク1の耳掛け部20a、20aはそれぞれ、接合部21と環状部26との間の境界線を折り線として折り返すことができる。なお、上述のように一対の耳掛け部20a、20a同士が分離可能に結合されている場合には、展開前に、結合を解除して耳掛け部20a、20aを互いに分離させる。
【0039】
図3に、マスク1の耳掛け部20a、20aをそれぞれ横方向D2外方に展開した後の状態を示す。耳掛け部20a、20aを横方向D2外方に展開させた後には、耳掛け部20a、20aはそれぞれ裏返されて、展開前にはマスク本体10に対向していた面が露出する。そして、マスク本体10の外面のほぼ全体も露出する。
【0040】
図1図3に示すように、本形態では、一対の耳掛け部20a、20aは、マスク本体10の外面に配置されている。そのため、一対の耳掛け部20a、20a同士を分離させて横方向D2外方へ開く動作において、マスク本体10の内面に触れる可能性を低減できるか又はその可能性をなくすことができ、衛生的観点から好ましい。本形態による、耳掛け部20a、20aがマスク本体10の外面に配置されたマスク1は、例えば次のように使用することができる。マスク本体10の外面を上にしてマスク1が置かれている状態で、使用者が一対の耳掛け部20a、20aをそれぞれ手で把持して横方向D2外方へ開いた後、一対の耳掛け部20a、20aを把持したままマスク1を他人(装着者)の顔へと移動させる。そして、マスク本体10をその他人の顔の所望の位置へ配置した後、持ち方を変えることなく、一対の耳掛け部20a、20aをそれぞれ、他人の耳に掛けることができる。よって、本形態によるマスク1は、例えば子供、病人等の、マスクを自らで装着することが困難である人にマスクを装着させる場合に、好適に使用できる。
【0041】
なお、図1及び図2に示すように、一対の耳掛け部20a、20aは、使用開始前の状態(耳掛け部を展開する前の状態)で、マスク本体10の外形からはみ出していてよい。よって、マスク1の使用者が、耳掛け部20a、20aのマスク本体10からはみ出した部分を持って、耳掛け部20a、20a同士を分離し、展開することで、マスク本体10自体に触れる可能性を低減できるので、より衛生的にマスク1を使用できる。
【0042】
さらに、本形態では、一対の耳掛け部20a、20aがマスク本体の外面の両側部にそれぞれ接合されているので(図1図3)、マスク1の装着時、すなわち耳掛け部20a、20aを側方に開いて耳に掛けている状態では、マスク本体10の両側部は、耳掛け部20aによって外面側から顔に向かって押さえられる。これにより、マスク本体10の両側部においてマスク本体10と顔との隙間を小さくすることができ、マスクの機能、例えば異物を遮断する機能、装着者が発した飛沫を飛散させない機能等を向上できる。また、本体の両側部の内面側(顔側)に耳掛け部20aが配置されていないことで、装着中に、マスク本体10の両側部において耳掛け部20aが装着者の顔に直接接触しないため、違和感も低減される。
【0043】
なお、マスク本体10には、マスク本体10の外面及び内面の区別を可能にするマーク18を、エンボス加工、印刷、縫込み等によって形成してもよい。マーク18は、使用者が目視で認識できるものであれば、その形態は限定されない。マーク18は、図1等に示すように、文字であってもよいし、数字、記号、図形、ロゴ等であってもよい。
【0044】
上述のように、耳掛け部20a、20aはそれぞれ、マスク本体10に固定された接合部21と、マスク本体10から離れて展開可能な環状部26とを有する。接合部21をマスク本体10に接合するための手段は特に限定されず、耳掛け部20a及びマスク本体10の対向する面同士を接合させる手段であればよい。好ましくは加圧及び/又は加熱手段とすることができ、例えばヒートシール、超音波シール、非加熱のエンボス加工等であってよい。このうち、耳掛け部20a及びマスク本体10の素材が合成樹脂である場合には、両者が融着されて、より確実な厚み方向の接合が可能であることから、ヒートシールを用いることが好ましい。
【0045】
上記接合手段により接合処理された領域50においては、耳掛け部20aの接合部21とマスク本体10の最外層の不織布とが、当該接合処理領域50全体にわたって接合(ヒートシールの場合には融着)されていてもよいし、接合処理領域50内で部分的に接合(融着)されていてもよい。図示の例による接合処理領域50では、微視的には、接合部21とマスク本体10とが接合された複数の接合小部分50a、50aが離間して形成されている。これにより、耳掛け部20aの接合部21とマスク本体10との確実な接合を得つつ、マスク本体10の横方向D2端部の柔軟性もある程度確保できる。図示の接合小部分50aは、平面視で正方形の形状を有しているが、1つの接合小部分50aの平面視形状は、正方形以外の四角形、円形等の任意の形状を有していてよい。
【0046】
また、接合処理領域50は、図1及び図3に示すように、マスク本体10の上端から下端にわたって延在していてよい。すなわち、接合部21が、マスク本体10の上端から下端にわたって延在していて、マスク本体10の縦方向D1の長さと同じ縦方向D1の長さを有している。これにより、マスク本体10の縦方向(上下方向)D1の全体にわたって耳掛け部20aを確実に固定できる。さらに、接合部21の横方向D2の外側の端縁とマスク本体10の横方向D2の外側の端縁とは揃っていることが好ましい。これにより、装着時に、マスク本体10の横方向D2の外端までを、マスク本体10よりも外側に配置される耳掛け部20aによって確実に抑えることができる。
【0047】
接合部21の横方向D2長さ(幅)は一定であってもよいし、縦方向D1で変化していてもよい。但し、横方向D2長さが一定であると、ヒートシール等の接合処理が煩雑にならず、好ましい。接合部21の横方向D2長さW1(縦方向D1で変化がある場合には平均値とする)は、1~15mmであると好ましい。
【0048】
環状部26は、接合部21に隣接し、縦方向D1に延在する接合部隣接部22と、装着時に装着者の耳の後ろに位置する耳後方配置部24と、上側において接合部隣接部22と耳後方配置部24との間に延在する上側延在部23と、下側において接合部隣接部22と耳後方配置部24との間に延在する下側延在部25とを有していてよい。図1図3に示す例では、接合部隣接部22から上側延在部23に移行する部分の内縁、上側延在部23から耳後方配置部24に移行する部分の内縁、耳後方配置部24から下側延在部25に移行する部分の内縁、及び下側延在部25から接合部隣接部22に移行する部分の内縁に、曲率半径が極小となる箇所が存在している。
【0049】
さらに、図1図3に示すように、本形態では、接合部隣接部22の内縁から切欠き27が形成されている。切欠き27は、横方向D2に沿って形成されている。すなわち、接合部隣接部22の内縁から横方向D2に凹となるように材料が切り欠かれた部分である。
【0050】
図4に、マスク1を装着した装着者(耳掛け部20aを耳に掛けた装着者)を横から見た図を示す。図4に示すように、また上述したように、マスク1の装着時には、マスク本体10のプリーツ15を縦方向D1に広げる。プリーツ15は横方向D2の端部で固定されているので、マスク本体10は、縦方向D1の中央が顔の前方に突出するように変形する。また、耳掛け部20aは装着者の耳の方向に引っ張られるが、マスク本体10の縦方向D1の長さより耳の上下方向の長さが小さいため、上側延在部23と下側延在部25とが近付くような力が働く。このような変形に伴い、マスク本体10の横方向D2の端部、並びに耳掛け部20aの接合部21及び接合部隣接部22においては、縦方向D1の中央が横方向D2の中央に近付くように湾曲する。例えば、装着者の顔を横から見た場合(図4)、マスク本体10と耳掛け部20aとの境界付近は、縦方向D1の中央が、顔の中央及び前方に近付くように湾曲する。従来の構成では、マスク1の湾曲変形によって、耳掛け部20aの接合部隣接部22が部分的に立ち上がり若しくは浮いてしまうよう変形することがある。このような接合部隣接部22の浮きは、マスク装着中に装着者の動作の妨げとなる可能性があり、また外観も損ね得る。
【0051】
これに対し、本形態によれば、接合部隣接部22の内縁から切欠き27が形成されていて、浮きとなり得る接合部隣接部22の材料が予めある程度除去されている。そのため、接合部隣接部22が湾曲しても、材料が顔の面から浮くことなく若しくはほとんど浮くことなく、切欠き27の両縁部(切欠き27を介して対向する縁部)27a、27bが、切欠き27の終端を中心として旋回するよう互いに近付くことができる(図4)。なお、マスク1を装着した状態では、両縁部27a、27b同士は接触していてもよいし、両縁部27a、27b間に隙間があってもよいし、或いは切欠き27の形状、耳掛け部20aの材質等によっては、切欠き27の両縁部27a、27b同士は重なってもよい。
【0052】
このようにして、本形態では、切欠き27が形成されていることで、接合部隣接部22の湾曲によって浮きを生じさせ得る歪みが吸収される。これにより、耳掛け部20aの一部の浮きが装着者の動作を妨げることを防止できる。例えば、マスクの上からフェイスシールド等の何等かの装具を装着する際に、装具が浮きに引っ掛かること等を防止できる。また、浮きを抑えることで、マスク装着時の外観もすっきりとなり、洗練された良い印象を与えることができる。
【0053】
切欠き27は、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域Rm(図1等)に形成されていてよい。本形態では、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域Rmは、マスク本体10の縦方向D1の中央領域Rmに等しく、マスク本体10の縦方向D1の中央位置を含む、全長約3分の1の縦方向D1長さを有する、端部領域Re、Reに挟まれた領域であってよい。マスク1の装着時(図4)には、マスク本体10及び接合部隣接部22においては、縦方向D1の中央付近で最も湾曲度合が大きくなるので、接合部隣接部22の縦方向D1の中央領域に切欠き27が形成されていることで、切欠き27が効果的に機能でき、耳掛け部20aの浮きを効果的に抑えることができる。
【0054】
なお、切欠き27は、耳掛け部20a全体が打ち抜きによって形成される際に、切欠き27に対応する部分を備えた型を使用することで、耳掛け部20a全体の形成と同時に形成することもできるし、耳掛け部20aを打ち抜いた後、打ち抜き、切り取り、又は切断によって材料の一部を除去することによって形成することもできる。接合部隣接部22から材料が切り欠かれるのであれば、切断工程によって形成された線状であってもよい。切欠き27の形状については、さらに以下に説明する。
【0055】
図5に、図1における切欠き27を含む部分の拡大図を示す。図示の切欠き27は、接合部隣接部22の内縁から接合部21に向かうほど収束する形状、すなわち切欠き27により形成された縁部27a、27bが互いに近付く形状を有する。マスク1の装着時には、耳掛け部20aの上側延在部23と下側延在部25とは、接合部隣接部22の縦方向D1の中央付近を中心として顔旋回するように近付く(図4)。よって、接合部隣接部22の変形度合もマスク本体10に近付くほど(接合部21に近付くほど)小さく、マスク本体10から遠ざかるほど(接合部21から遠ざかるほど)大きくなる。本形態による上述の切欠き27の形状は、このような接合部隣接部22の変形に適合しているので、材料が顔から離れる方向に逃げずに若しくはほどんど逃げずに、切欠き27の縁部27a、27b同士が顔の面方向に沿って近付くことができる。
【0056】
切欠き27が、接合部隣接部22の内縁から接合部21に向かうほど収束する形状である場合、切欠き27の縁部27a、27bがなす角度αは10~45°であると好ましい。角度αを10°以上とすることで、上述の浮き抑制の効果を向上できる。また、角度αを45°以下とすることで、切欠き27の鋭さを維持し、終端27tを基点とした縁部27a、27bの移動(近付き)を容易にすることができる。
【0057】
切欠き27は、切欠き27が切り欠かれる前の内縁の輪郭(若しくは切欠きがないことを想定した場合の仮想輪郭)22i(図5にて一点鎖線で表示)を考慮すると、略三角形状、若しくは三角形を含む形状である。ここで、縁部27a、27bは、図5に示すような直線状であってもよいし、耳掛け部20aの変形時の縁部27a、27b同士の近付きを妨げなければ、切欠き27に向かって凸又は凹に湾曲していてもよいし、或いは波状、ジグザク状になっていてもよい。さらに、切欠き27の形状は略三角形状に限られず、切欠き27の縁部27a、27b同士の距離がほぼ一定である形状、例えば多角形、円形、楕円形等であってもよい。但し、その場合であっても、横方向D2に細長の形状、例えば長方形等の形状が好ましい。
【0058】
なお、切欠き27は、上記仮想輪郭22iにおける開口の縦方向D1の長さdが5mm以上35mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下のものとすることができる。
【0059】
図示の例では、切欠き27の終端27tは頂点になっていて、この頂点は、切欠き27の縁部27a、27bが近く付くよう変形するための基点となり得る。しかしながら、終端27tの形状には、頂点が丸められた形状を含んでいてもよい。
【0060】
切欠き27は、図5に示すように、接合部隣接部22の内縁から、接合部隣接部22と接合部21との境界まで達していてよい。図5の例では、切欠き27の終端27tが、接合部隣接部22と接合部21との境界上にある。マスク1の装着には接合部隣接部22の、接合部21との境界に近い領域の歪みは大きいため、切欠き27が接合部隣接部22と接合部21との境界まで延びていることで、湾曲により逃げる材料を低減でき、効果的に浮きを抑制できる。
【0061】
なお、図5に示す例とは異なり、切欠き27の終端27tと接合部21とは離れていてもよい。このような形態は、耳掛け部20aを構成する不織布の繊維の集合度合が比較的疎であり、耳掛け部20aに大きな力が掛かった場合等には、不織布の繊維のほつれを防止でき、好適である。但し、切欠き27による浮き抑制の効果を維持する観点から、切欠き27の終端27tから接合部21までの横方向D2の長さは、15mm以下、好ましくは10mm以下であると好ましい。なお、切欠き27の終端27tは、接合部21内にまで延びていてもよい。その場合、接合部隣接部22と接合部21との境界から終端27tまでの横方向D2の長さは5mm以下であってよい。
【0062】
さらに、切欠き27の終端27tは、接合部21内に位置していてもよい。図6に、このような切欠き27と接合部21とが重なる変形例を示す。さらに図6に示す例では、微視的には、終端27tが接合小部分50aと重なるように配置されている。これにより、湾曲により逃げる材料を低減でき効果的に浮きを抑制するという効果を有しつつ、接合部21における耳掛け部20aとマスク本体10との接合を確保できる。また、このような切欠き27と接合部21とが重なる例では、切欠き27の終端27tを、接合部21と接合部隣接部22との境界から離れた位置に(マスク1の横方向D2の端縁に近い位置に)配置するほど、接合部隣接部22において湾曲によって顔から離れる方向に逃げる材料を低減できるという観点からは好ましい。
【0063】
図7に、切欠き27の別の変形例を示す。図7に示す例では、終端27tにおいて、所定面積の材料が除去されてなる材料除去部27rが形成されていてよい。材料除去部27rは、終端27tを含むように形成された円相当直径φが2~10mmの面積を有する部分であってよい。材料除去部27rがあることで、接合部隣接部22の変形が終端27tにおいても容易になるため、耳掛け部20aの材料が比較的高い剛性を有する場合等であっても、マスク1の装着時に縁部27a、27b同士を近づけやすくなる。これにより、接合部隣接部22の浮きを抑える効果が向上し、接合部隣接部22を顔に沿わせて配置することができる。
【0064】
図7に示す例では、材料除去部27rは円形であるが、材料除去部27rの形状は円形に限られず、多角形、楕円形等であってよい。また、材料除去部27rは、円相当径φ2~10mm、好ましくは2~8mmを有する面積が除去された部分とすることができる。材料除去部27rの大きさを上記範囲とすることで、接合部隣接部の浮き防止の効果を向上させることができるとともに、終端27t付近の部分が変形しやすくなる作用も維持できる。また、材料除去部27rの縁部には、エンボス加工、接着剤の塗布等によって補強部271が形成されていてもよい。これにより、着脱時に力が掛かりやすい終端27t付近の損傷を防止できる。
【0065】
なお、以上の説明に用いた図面では、1つの耳掛け部20aに1つの切欠き27が形成されているが、切欠き27は、縦方向D2に並んで複数設けられていてもよい。すなわち、耳掛け部20aの接合部隣接部22の内輪郭の異なる箇所に複数設けられていてもよい。その場合、切欠きの形状、大きさ、延在方向は、複数の切欠き同士で同じであってもよいし、異なっていてもよい。但し、1つの耳掛け部20aの接合部隣接部22における切欠き27の数が1つであると、切欠き27によって形成される縁部27a、27bがそれぞれ、装着時に上側延在部23及び下側延在部25によって耳の方へ(横方向D2外方へ)と引っ張られるため、顔の面に沿って配置でき、浮きの抑制効果が高く、好ましい。
【0066】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0067】
1 マスク
10 マスク本体
15 プリーツ
18 マーク
20 耳掛け部シート
20a 耳掛け部
21 接合部
22 接合部隣接部
22i 接合部隣接部の内縁の仮想輪郭
23 上側延在部
24 耳後方配置部
25 下側延在部
26 環状部
27 切欠き
27a、27b 切欠きの縁部
27t 切欠きの終端
27r 材料除去部
28 分離可能な結合部
29 開口
D1 縦方向(上下方向)
D2 横方向(左右方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7