(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128047
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ロボット、及び、その制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032098
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 薪雄
(72)【発明者】
【氏名】間宮 祥太朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707DS01
3C707ES04
3C707JT05
3C707JT10
3C707KS11
3C707KS31
3C707KS33
3C707KX08
3C707LS06
3C707LV10
(57)【要約】
【課題】中子をハンドリングすることが可能なロボットを実現する。
【解決手段】ロボット(11)は、把持機構(111)と、中子から把持機構(111)に作用する力を検出する触覚センサ(112)と、を備え、自律動作モードにおいて、予め作成された教示データ、及び、触覚センサ(112)から取得した信号を参照し、中子を把持するよう把持機構(111)を制御する制御部(115)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子をハンドリングするロボットであって、
把持機構と、
前記中子から前記把持機構に作用する力を検出する触覚センサと、
自律動作モードにおいて、予め作成された教示データ、及び、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記中子を把持するよう前記把持機構を制御する制御部と、を備えている、
ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記制御部は、他律動作モードにおいて、教示者の手の状態を検出する状態検出装置から取得した信号を参照し、前記把持機構を制御すると共に、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記教示データを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記制御部は、他律動作モードにおいて、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記把持機構に作用する力を前記教示者にフィードバックするよう、前記状態検出装置を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記把持機構は、多指多関節ハンドである、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のロボット。
【請求項5】
前記触覚センサは、前記把持機構の状態を検出するエンコーダから取得した信号を参照することによって、前記把持機構に作用する力を検出する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のロボット。
【請求項6】
前記把持機構を移動するための移動機構を更に備え、
前記把持機構は、力覚センサを介して前記移動機構に固定されており、
前記制御部は、自律動作モードにおいて、前記教示データ、前記触覚センサから取得した信号、及び、前記力覚センサから取得した信号を参照し、前記中子をハンドリングするよう前記把持機構及び前記移動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のロボット。
【請求項7】
前記制御部は、他律動作モードにおいて、教示者の手の状態を検出する状態検出装置から取得した信号、及び、前記教示者の手の位置を検出する位置検出装置から取得した信号を参照し、前記把持機構及び前記移動機構を制御すると共に、前記触覚センサから取得した信号、及び、前記力覚センサから取得した信号を参照し、前記教示データを作成する、
ことを特徴とする請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記制御部は、他律動作モードにおいて、前記力覚センサから取得した信号を参照し、前記移動機構に作用する力を前記教示者にフィードバックするよう、前記位置検出装置を制御する、
ことを特徴とする請求項7に記載のロボット。
【請求項9】
前記移動機構は、垂直多関節アームである、
ことを特徴とする請求項6~8の何れか一項に記載のロボット。
【請求項10】
前記力覚センサは、6軸力覚センサである、
ことを特徴とする請求項6~9の何れか一項に記載のロボット。
【請求項11】
把持機構と中子から前記把持機構に作用する力を検出する触覚センサとを備えた、前記中子をハンドリングするロボットの制御方法であって、
自律動作モードにおいて、予め作成された教示データ、及び、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記中子を把持するよう前記把持機構を制御する制御工程を含んでいる、
ことを特徴とするロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中子納め工程を自動化するためのロボット、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造業においては、ロボット技術の発展に伴い、各種工程の自動化が進んでいる。例えば、特許文献1には、注湯工程を自動化するロボットである自動注湯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鋳型に中子を納める中子納め工程については、ロボットを用いた自動化が進んでいない。中子納め工程においては、壊れやすい中子を、壊れやすい鋳型に納める。このため、ロボットによる中子のハンドリングには、繊細さと正確さとが要求されるところ、従来のロボットではこの要求に応えることが困難だからである。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中子をハンドリングすることが可能なロボットを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロボットは、中子をハンドリングするロボットであって、把持機構と、前記中子から前記把持機構に作用する力を検出する触覚センサと、自律動作モードにおいて、予め作成された教示データ、及び、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記中子を把持するよう前記把持機構を制御する制御部と、を備えている。
【0007】
本発明の一態様に係るロボットの制御方法は、把持機構と中子から前記把持機構に作用する力を検出する触覚センサとを備えた、中子をハンドリングするロボットの制御方法であって、自律動作モードにおいて、予め作成された教示データ、及び、前記触覚センサから取得した信号を参照し、前記中子を把持するよう前記把持機構を制御する制御工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、中子をハンドリングすることが可能なロボットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボット、及び、そのロボットを含むロボットシステムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ロボットの構成)
本発明の一実施形態に係るロボット11、及び、ロボット11を含むロボットシステム1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、ロボット11及びロボットシステム1の構成を示す模式図である。
【0011】
ロボットシステム1は、鋳造に含まれる各種工程のうち、中子納め工程を自動化するためのシステムである。ロボットシステム1は、ロボット11と、状態検出装置12と、位置検出装置13と、制御部115と、を含んでいる。
【0012】
ロボット11は、中子をハンドリングするためのロボットである。ロボット11は、把持機構111と、触覚センサ112と、移動機構113と、力覚センサ114と、制御部115と、を備えている。なお、本実施形態においては、1人の教示者Tが操作する、把持機構111、触覚センサ112、移動機構113、及び力覚センサ114を2組(1対)備えたロボット11を例示しているが、これに限定されない。ロボット11が備える把持機構111、触覚センサ112、移動機構113、及び力覚センサ114は、1組であってもよいし、3組以上であってもよい。一例として、2人の教示者Tが操作する、把持機構111、触覚センサ112、移動機構113、及び力覚センサ114を4組(2対)備えたロボット11などが考えられる。
【0013】
把持機構111は、中子を把持するための機構である。本実施形態においては、把持機構111として、多指多関節ハンドを用いている。多指多関節ハンドは、L本の指を有しており、多指多関節ハンドの各指は、M個の関節を有している。ここで、L及びMは、2以上の任意の自然数である(
図1においては、L=5、M=3の場合を例示)。多指多関節ハンドの動作は、各指の各関節をアクチュエータにより屈曲させることにより実現される。
【0014】
把持機構111には、把持機構111の状態を検出するエンコーダが内蔵されている。把持機構111が多指多関節ハンドである場合、このエンコーダは、把持機構111の状態として、把持機構111を構成する各アクチュエータのポジション、すなわち、各指各関節の屈曲角{θlm}を検出する。ここで、lは、1以上L以下の各自然数であり、mは、1以上M以下の各自然数である。把持機構111は、把持機構111の状態{θlm}を表す信号Sa1を、触覚センサ112及び制御部115に提供する。
【0015】
触覚センサ112は、中子から把持機構111に作用する力Faを検出するためのセンサである。本実施形態においては、触覚センサ112として、中子から把持機構111に作用する力Faを、把持機構111から取得した信号Sa1を参照することによって、把持機構111を構成する各アクチュエータのポジションから算出する演算装置(例えば、集積回路)を用いている。触覚センサ112は、把持機構111に作用する力Faを表す信号Sa2を、制御部115に提供する。なお、触覚センサ112は、把持機構111を構成する各アクチュエータのポジションから把持機構111に作用する力Faを算出する代わりに、それらのアクチュエータに流れる電流、又は、それらのアクチュエータに作用するトルクから把持機構111に作用する力Faを算出してもよい。また、把持機構111の各指の表面に貼付された電気抵抗式、静電容量式、圧電式、又は光学式の触覚センサを、触覚センサ112として用いてもよい。
【0016】
移動機構113は、把持機構111を移動するための機構である。本実施形態においては、移動機構113として、垂直多関節アームを用いている。垂直多関節アームは、N個の腕(リンク)を有している。ここで、Nは、2以上の任意の自然数である(
図1においては、N=6の場合を例示)。垂直多関節アームの動作は、各腕をアクチュエータにより回転させることにより実現される。
【0017】
移動機構113には、移動機構113の状態を検出するエンコーダが内蔵されている。移動機構113が垂直多関節アームである場合、このエンコーダは、移動機構113の状態として、移動機構113を構成する各アクチュエータのポジション、すなわち、各腕の回転角{φn}を検出する。ここで、nは、1以上N以下の各自然数である。移動機構113は、移動機構113の状態{φn}を表す信号Sb1を、制御部115に提供する。
【0018】
力覚センサ114は、把持機構111から移動機構113に作用する力Fbを検出するためのセンサである。把持機構111は、力覚センサ114を介して移動機構113に固定されている。本実施形態にいては、力覚センサ114として、6軸力覚センサを用いている。この場合、力覚センサ114は、把持機構111から移動機構113に作用する力Fbに加えて、把持機構111から移動機構113に作用するモーメントMbを検出する。力覚センサ114は、移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMbを表す信号Sb2を、制御部115に提供する。なお、6軸力覚センサの代わりに、移動機構113を構成する各アクチュエータのポジション、各アクチュエータに流れる電流、又は、各アクチュエータに作用するトルクから移動機構113に作用する力Fbを算出する演算装置(例えば、集積回路)を力覚センサ114として用いてもよい。
【0019】
制御部115は、把持機構111及び移動機構113を制御する制御工程を実施するための装置である。本実施形態においては、制御部115として、PC(Personal Computer)を用いる。制御部115の実施する制御工程の内容については、後述する。
【0020】
状態検出装置12は、ロボット11を遠隔操作する教示者Tの手の状態を検出するための装置である。状態検出装置12は、検出した状態を表す信号Saを、制御部115に提供する。本実施形態においては、状態検出装置12として、センサグローブを用いている。このセンサグローブは、アクチュエータ、アクチュエータのポジションを読み取るエンコーダ、エンコーダが読み取ったポジションから教示者Tの手の状態、すなわち、各指各関節の屈曲角{θ’lm}を算出する演算部を備えている。状態検出装置12の演算部は、教示者Tの手から状態検出装置12に作用する力、すなわち、状態検出装置12から教示者Tの手に作用する力F’aを、エンコーダが読み取ったポジションから算出する機能を有していてもよい。なお、状態検出装置12のアクチュエータは、中子から把持機構111に作用する力Faを教示者Tにフィードバックするためにも用いられる。なお、教示者Tの手から状態検出装置12に作用する力F’aを、アクチュエータのポジションから算出する構成に代えて、アクチュエータを流れる電流、又は、アクチュエータに作用するトルクから算出する構成を採用してもよい。また、状態検出装置12に電気抵抗式、静電容量式、圧電式、又は光学式の接触センサを貼付し、この接触センサを用いて教示者Tの手から状態検出装置12に作用する力F’aを測定する構成を採用してもよい。
【0021】
位置検出装置13は、ロボット11を遠隔操作する教示者Tの手の位置を検出するための装置である。位置検出装置13は、検出した位置を表す信号Sbを、制御部115に供給する。本実施形態においては、位置検出装置13として、センサアームを用いている。このセンサアームは、アクチュエータ、アクチュエータのポジションを読み取るエンコーダ、エンコーダが読み取ったポジションから教示者Tの手の位置(X’,Y’,Z’)を算出する演算部を備えている。位置検出装置13の演算部は、教示者Tの手首から位置検出装置13に作用する力、すなわち、位置検出装置13から教示者Tの手首に作用する力F’b及びモーメントM’bを、エンコーダが読み取ったポジションから算出する機能を有していてもよい。なお、位置検出装置13のアクチュエータは、把持機構111から移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMbを教示者Tにフィードバックするためにも用いられる。なお、教示者Tの手首から位置検出装置13に作用する力F’b及びモーメントM’bを、アクチュエータのポジションから算出する構成に代えて、アクチュエータを流れる電流、又は、アクチュエータに作用するトルクから算出する構成を採用してもよい。また、位置検出装置13に力覚センサを取り付け、この力覚センサを用いて教示者Tの手首から位置検出装置13に作用する力F’b及びモーメントM’bを測定する構成を採用してもよい。
【0022】
(制御工程の内容)
ロボット11は、他律動作モード及び自律動作モードを有している。他律動作モードは、教示者Tの動作に基づいてロボット11を動作させるモードである。自律動作モードは、教示データTa,Tbに基づいてロボット11を動作させるモードである。以下、他律動作モード及び自律動作モードのそれぞれにおける制御部115の機能について説明する。
【0023】
<他律動作モードにおける制御部の機能>
他律動作モードにおいて、制御部115は、把持機構111から取得した信号Sa1、及び、状態検出装置12から取得した信号Saを参照することによって、把持機構111を制御する。具体的には、ロボット11の把持機構111の状態{θlm}が教示者Tの手の状態{θ’lm}に近づく(好ましくは一致する)ように、把持機構111を制御する。
【0024】
また、他律動作モードにおいて、制御部115は、移動機構113から取得した信号Sb1、及び、位置検出装置13から取得した信号Sbを参照することによって、移動機構113を制御する。具体的には、移動機構113の状態{φn}から把持機構111の位置(X,Y,Z)を算出したうえで、把持機構111の位置(X,Y,Z)が教示者Tの手の位置(X’,Y’,Z’)に近づく(好ましくは一致する)ように、移動機構113を制御する。
【0025】
更に、他律動作モードにおいて、制御部115は、把持機構111から取得した信号Sa1、及び、触覚センサ112から取得した信号Sa2を参照することによって、把持機構111の状態{θlm}、及び、把持機構111に作用する力Faの時系列を表す教示データTaを作成する。
【0026】
また、他律動作モードにおいて、制御部115は、移動機構113から取得した信号Sb1、及び、力覚センサ114から取得した信号Sb2を参照することによって、移動機構113の状態{φn}、及び、移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMbの時系列を表す教示データTbを作成する。
【0027】
更に、他律動作モードにおいて、制御部115は、触覚センサ112から取得した信号Sa2を参照することによって、中子から把持機構111に作用する力Faと比例する力が教示者Tの手にフィードバックされるよう、状態検出装置12を制御する。
【0028】
また、他律動作モードにおいて、制御部115は、力覚センサ114から取得した信号Sb2を参照することによって、把持機構111から移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMbと比例する力及びモーメントが教示者Tの手首にフィードバックされるよう、位置検出装置13を制御する。
【0029】
以下、教示データTaとして記録された把持機構111の状態を{θ”lm}、教示データTaとして記録された把持機構111に作用するをF”a、教示データTbとして記録された移動機構113の状態を{φ”n}、教示データTbとして記録された移動機構113に作用する力をF”b、教示データTbとして記録された移動機構113に作用するモーメントをM”bと記載する。
【0030】
なお、本実施形態においては、把持機構111の状態{θlm}が教示者の手の状態{θ’lm}に近づくように、信号Sa,Sa1を参照して制御部115が把持機構111を制御(以下、「状態制御」とも記載する)する構成について説明したが、これに限定されない。すなわち、中子から把持機構111に作用する力Faが状態検出装置12から教示者Tの手に作用する力F’aに近づくように、信号Sa,Sa2を参照して制御部115が把持機構111を制御(以下、「力制御」とも記載する)する構成を採用することもできる。この場合、教示者Tの手の状態{θ’lm}が把持機構111の状態{θlm}に近づくように、制御部115が状態検出装置12にフィードバックを行ってもよい。また、状態制御のみを行ってもよいし、力制御のみを行ってもよいし、状態制御及び力制御の両方を行ってもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、把持機構111の位置(X,Y,Z)が教示者Tの手の位置(X’,Y’,Z’)に近づくように、信号Sb,Sb1を参照して制御部115が移動機構113を制御(以下、「状態制御」とも記載する)する構成について説明したが、これに限定されない。すなわち、把持機構111から移動機構113に作用する力Fbが位置検出装置13から教示者Tの手首に作用する力F’bに近くづくように、信号Sb,Sb2を参照して制御部115が移動機構113を制御(以下、「力制御」とも記載する)する構成を採用することもできる。この場合、教示者Tの手の位置(X’,Y’,Z’)が把持機構111の位置(X,Y,Z)に近づくように、制御部115が位置検出装置13にフィードバックを行ってもよい。また、状態制御のみを行ってもよいし、力制御のみを行ってもよいし、状態制御及び力制御の両方を行ってもよい。
【0032】
<自律動作モードにおける制御部の機能>
自律動作モードにおいて、制御部115は、把持機構111のエンコーダから取得した信号Sa1、触覚センサ112から取得した信号Sa2、及び、教示データTaを参照することによって、把持機構111を制御する。具体的には、把持機構111の状態{θlm}が教示データとして記録された状態{θ”lm}に近づく(好ましくは一致する)ように、且つ、把持機構111に作用する力Faが教示データとして記録された力F”aに近づく(好ましくは一致する)ように、把持機構111を制御する。
【0033】
また、自律動作モードにおいて、制御部115は、移動機構113のエンコーダから取得した信号Sb1、力覚センサ114から取得した信号Sb2、及び、教示データTbを参照することによって、移動機構113を制御する。具体的には、移動機構113の状態{φn}が教示データとして記録された状態{φ”n}に近くづく(好ましくは一致する)ように、且つ、移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMbが教示データとして記録された力F”b及びモーメントM”bに近づく(好ましくは一致する)ように、移動機構113を制御する。
【0034】
(ロボットの効果)
以上のように、制御部115は、他律動作モードにおいて、状態検出装置12から取得した信号Saを参照することによって、把持機構111を制御すると共に、触覚センサ112から取得した信号Sa2を参照することによって、教示データTaを作成する。また、制御部115は、自律動作モードにおいて、教示データTa、及び、触覚センサ112から取得した信号Sa2を参照することによって、把持機構111を制御する。
【0035】
上記の構成によれば、他律動作モードにおいて、中子から把持機構111に作用する力F”aを表す教示データTaを作成することができる。また、上記の構成によれば、自律動作モードにおいて、中子から把持機構111に作用する力Fa(触覚センサ112から取得した信号Sa2の表す力)が他律動作モードにおいて中子から把持機構111に作用した力F”a(教示データTaの表す力)に近づくように、把持機構111を制御することができる。したがって、他律動作モードにおける把持機構111の動作を、自律動作モードにおいて正確に再現することができる。
【0036】
また、制御部115は、他律動作モードにおいて、位置検出装置13から取得した信号Sbを参照することによって、移動機構113を制御すると共に、力覚センサ114から取得した信号Sb2を参照することによって、教示データTbを作成する。また、制御部115は、自律動作モードにおいて、教示データTb、及び、力覚センサ114から取得した信号Sb2を参照することによって、移動機構113を制御する。
【0037】
上記の構成によれば、他律動作モードにおいて、把持機構111から移動機構113に作用する力F”b及びモーメントM”bを表す教示データTbを作成することができる。また、上記の構成によれば、自律動作モードにおいて、把持機構111から移動機構113に作用する力Fb及びモーメントMb(力覚センサ114から取得した信号Sb2の表す力及びモーメント)が他律動作モードにおいて把持機構111から移動機構113に作用した力F”b及びモーメントM”b(教示データTbの表す力及びモーメント)に近づくように、移動機構113を制御することができる。したがって、他律動作モードにおける移動機構113の動作を、自律動作モードにおいて正確に再現することができる。
【0038】
また、制御部115は、他律動作モードにおいて、触覚センサ112から取得した信号Sa2を参照し、中子から把持機構111に作用する力Faを教示者Tにフィードバックするよう、状態検出装置12を制御する。また、制御部115は、他律動作モードにおいて、力覚センサ114から取得した信号Sb2を参照し、把持機構111から移動機構113に作用する力Fbを教示者Tにフィードバックするよう、位置検出装置13を制御する。なお、制御部115は、他律動作モードにおいて、力覚センサ114から取得した信号Sbを参照し、把持機構111から移動機構113に作用するモーメントMbを教示者Tにフィードバックするよう、位置検出装置13を制御してもよい。
【0039】
上記の構成によれば、他律動作モードにおいて、あたかも中子をハンドリングしているかのような感覚を教示者Tに与えることができる。これにより、他律動作モードにおいて、教示者Tは、中子をハンドリングする動作をより正確にロボット11に教示することが可能になる。
【0040】
(ロボットシステムの変形例)
なお、教示データTa,Tbは、中子の種類又は中子を納める鋳型の種類毎に作成されていてもよい。この場合、制御部115は、自律制御モードにおいて、ハンドリングする中子の種類、又は、ハンドリングする中子を納める鋳型の種類に応じた教示データTa,Tbを参照する機能を有していてもよい。また、この場合、制御部115は、ハンドリングする中子の種類、又は、ハンドリングする中子を納める鋳型を撮像することにより得られた画像に基づき、その中子又は鋳型の種類を自動判別する機能を有していてもよい。これにより、種類の異なる中子又は種類の異なる鋳型を扱う生産ラインにおいて、中子のハンドリングを自動化することが可能になる。
【0041】
また、他律動作モードにおいて、教示者Tは、ロボット11を目視しながらロボット11の遠隔操作を行ってもよいし、ロボット11を撮像することにより得られた映像を目視しながらロボット11の遠隔操作を行ってもよい。この場合、映像を表示するディスプレイは、据え置き型でもよいし、ヘッドマウント型でもよい。映像を目視しながらロボット11の遠隔操作を行う場合、教示者Tは、生産ライン以外の場所、例えば、事務所に居ながら教示を行うことができる。
【0042】
また、他律動作モードにおける教示は、センサグローブを装着した教示者Tが中子を直接ハンドリングすることによって実現してもよい。
【0043】
また、他律動作モードにおける教示において、教示者Tは、鋳型が流れるラインにより空間を二分したときに、ロボット11が配置される側の半空間内に位置していてもよいし、ロボット11が配置される側と反対側の半空間内に位置していてもよい。
【0044】
また、位置検出装置13として機能するセンサアームは、床に固定してもよいし、天井に固定してもよいし、壁に固定してもよい。また、センサアームにより教示者Tの手の位置を検出する代わりに、非接触で教示者Tの手の位置を検出してもよい。非接触の位置検出方法としては、例えば、教示者Tを被写体として含む画像に基づいて教示者Tの手の位置を特定する方法などが挙げられる。画像は、3次元カメラ、TOF(Time Of Flight)カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサにより生成した距離画像であってもよい。
【0045】
また、状態検出装置12を用いて教示者Tの手にフィードバックする力は、触覚センサ112が検出した力そのものであってもよいし、触覚センサ112が検出した力に比例係数を乗じたものであってもよい。この場合、比例係数は、1より大きくてもよいし、1より小さくてもよい。また、状態検出装置12を用いて教示者Tの手にフィードバックする力は、触覚センサ112が検出した力を非線形関数により拡大したもの、又は、縮小したものであってもよい。位置検出装置13を用いて教示者Tの手首にフィードバックする力につても同様のことが言える。
【0046】
また、移動機構113の位置の変化量は、位置検出装置13が検出した位置の変化量そのものであってもよいし、位置検出装置13が検出した位置の変化量に比例係数を乗じたものであってもよい。この場合、比例係数は、1より大きくてもよいし、1より小さくてもよい。また、移動機構113の位置の変化量は、位置検出装置13が検出した位置の変化量を非線形関数により拡大したもの、又は、縮小したものであってもよい。把持機構111の屈曲角の変化量についても、同様のことが言える。
【0047】
また、制御部115は、触覚センサ112により検出した力が予め定められた閾値を超える場合、ロボット11の動作を停止させる機能を有していてもよい。これにより、中子又は鋳型の損傷を防ぐことができる。
【0048】
(付記事項)
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した実施形態に含まれる各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 ロボットシステム
11 ロボット
111 把持機構
112 触覚センサ
113 移動機構
114 力覚センサ
115 制御部
12 状態検出装置
13 位置検出装置