IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社FIHサーモエンジニアリングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128092
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20230907BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20230907BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20230907BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20230907BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01F30/10 A
H01F30/10 F
H01F30/10 H
H01F30/10 S
H01F27/24 M
H01F27/29 S
H01F27/28 176
H01F27/32 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032191
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】522083215
【氏名又は名称】株式会社FIHサーモエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】藤田 満
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
【Fターム(参考)】
5E043AB05
5E043DA01
5E043DB02
5E043EB01
5E043EB02
5E043EB05
5E044CA08
5E044CB06
(57)【要約】
【課題】IH電源と負荷との間に接続する高周波変圧器を提案する。
【解決手段】複数のフェライト材を平行四辺形の四辺をなすように組み合わせて形成された鉄心層片を積層してなる角筒状鉄心20と、角筒状鉄心20の1つの側壁21を囲繞する一次コイル70及び二次コイル80とを含む変圧器である。二次コイル80が一次コイル70の内側と外側に分配して配置され、一次コイル70に電源が接続され、二次コイル80に負荷が接続される。一次コイル70及び二次コイル80は複数本の巻線からなり、巻線端子が端子台60,61に接続される。端子台60,61に巻線端子を接続するかしないかを選択して通電する一次コイル70及び二次コイル80のターン数を変えることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフェライト材を平行四辺形の四辺をなすように組み合わせて形成された鉄心層片を積層してなる角筒状鉄心と、該角筒状鉄心の1つの側壁を囲繞する一次コイル及び二次コイルとを含む、変圧器であって、
前記二次コイルが前記一次コイルの内側と外側に分配して配置され、
前記一次コイルに電源が接続され、前記二次コイルに負荷が接続される、変圧器。
【請求項2】
前記フェライト材が板状であって、該フェライト材の側面どうしを当接させて前記鉄心層片を形成してある、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
積層されて隣接する前記鉄心層片における前記フェライト材どうしの当接部位が互いに重なり合わない、請求項2に記載の変圧器。
【請求項4】
積層される2枚の前記鉄心層片の間に、当該鉄心層片をなす前記フェライト材を担持する担持板が介在している、請求項2に記載の変圧器。
【請求項5】
前記担持板は、内周縁が前記鉄心層片の内周縁よりも内方へはみ出し、該はみ出した内周側部位に切欠を複数有する、請求項4に記載の変圧器。
【請求項6】
前記一次コイル及び前記二次コイルがそれぞれ複数本の巻線から構成され、
前記一次コイルの前記巻線は、電源を接続する一次側端子台に接続され、
前記二次コイルの前記巻線は、負荷を接続する二次側端子台に接続され、
前記一次側端子台及び前記二次側端子台における前記巻線の接続形態を変更することにより、通電ターン数を切り替えられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項7】
前記角筒状鉄心と前記一次コイルと前記二次コイルとの間を仕切って非接触を保つ複数の仕切板を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項8】
前記仕切板は、前記角筒状鉄心から両端がはみ出る長さをもつ、請求項7に記載の変圧器。
【請求項9】
前記仕切板には、冷却風を通す通風孔が1つ以上形成される、請求項7又は8に記載の変圧器。
【請求項10】
前記一次コイル及び前記二次コイルにおいて、表面を絶縁処理した細導線を複数本撚って束ねた線材が巻線として使用されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示するのは、変圧器、特に、高周波変圧器に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱、電気ヒータ加熱、ガス燃焼などによる熱で材料を加熱処理することが工業分野で広く行われている。これに関し、温暖化対策に係るCO削減、作業環境の安全対策、加熱効率の向上を早急に実現していく必要がある。中でも誘導加熱(IH)は、非接触で被加熱体(ワーク)に誘導電流を発生し、その損失でワーク自体を発熱させることから、高効率で広い領域又は局部の加熱や均一加熱を実現できる、優れた加熱技術である。ただし、ワークの大きさ、抵抗率、厚みなどに応じて個別に運転周波数、負荷コイルとワークとの距離、負荷コイルのターン数(巻数)を変える必要があり、個別の負荷コイル、高価な電源、そして負荷コイルの冷却が要るといった問題がある。最近では、調理用にいわゆるIHコンロが使用され、火を使わない、片付けが楽である、などの利点から家庭にも普及している。この装置には安価な汎用IH電源が用いられている。一方、工業用途では、工場のラインで部品乾燥を間欠に行う工程や部品の予熱工程などに活用され、その汎用IH電源には数kW~数十kWのものがラインナップされている。
【0003】
図1は、インダクタンスLを横軸に、コイル感度Q(Q=2πfL/R、f:周波数、R:抵抗)を縦軸にしたLQマップであり、安価でコンパクトなIH電源に対する良好な負荷定数範囲を示してある。IH電源からみた負荷定数がこの負荷定数範囲に入っていないと、電源のリミッタが作動してフルパワーでの運転はできない。負荷コイルの設計者は、解析や試作により、当該負荷定数範囲に入る負荷コイルを設計する必要がある。ワークが小さい場合は負荷コイルの巻きスペースが限定されるため負荷定数が小さく、汎用IH電源を適用できない場合もある。ワークが大きい場合は負荷定数が大きくなり同様である。これの解決策として、IH電源と負荷コイルとの間に高周波変圧器を接続し、電源からみたインピーダンスを変える方策がある。
【0004】
このような高周波変圧器は、薄板の珪素鋼板を積層し端板で押さえた鉄心にコイルを巻いた構造をもち、1本の巻線の途中に複数のタップ端子を設け、金属バーによる接続の切り替えで、電流が流れるコイルのターン数を変えるようにしてあるものが、一般的である。この構造の高周波変圧器の場合、珪素鋼板を押さえる端板でうず電流が発生し、発熱が生じる。さらに、タップ端子が高電圧になるため、ここの電界を緩和する絶縁設計が必要で、構造が複雑となる。また、コイルをパイプで構成した場合、表皮効果によりパイプの内側表面に電流が集中し、励磁抵抗が大きくなる。パイプとするのは、コイル及び端板の冷却のためにパイプ中に冷却水や冷却風を流すためなどであり、端板に冷却用のパイプを溶接する場合もある。
【0005】
鉄心にフェライト材を用いた高周波変圧器も提案されている(例えば特許文献1)。フェライト材は、磁性酸化鉄粉の焼結材であるからうず電流が発生せず、高透磁率であり、磁気シールドや通信でのセンサなどの部品として板状、棒状の汎用品(厚み5mm、幅20mm、長さ60mmなど)が市販されている。ただし、1400℃以上の焼成のためフェライトが割れやすいので、大面積のものは市販されていない。フェライト材は珪素鋼板に比べて飽和磁束密度が小さいが、数十kWの容量の変圧器であれば問題とならない。
【0006】
通常、IHコンロで使われている蚊取線香形の負荷コイルにはリッツ線が使用される。リッツ線は、エナメル被覆で絶縁した細銅線を複数撚って束にした線材である。それぞれの細銅線に一様に電流が流れるので低抵抗の巻線材である。表面積が大きいので細銅線からの熱放出に優れており、IHコンロの場合、コンロ内のファンから風を送り負荷コイルを冷却する。リッツ線は柔らかいが、弾力性があるから、負荷コイルを支持する構造が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-068033号公報
【発明の概要】
【0008】
上記背景技術に鑑みると、IHの電源と負荷コイルとの間に設ける高周波変圧器について、フェライト材を鉄心に使用した変圧器が有用であり、この場合、板状(又は棒状)のフェライト材を組み合わせて鉄心を構成することが有利である。さらに、IH電源からみたインピーダンスが大きくなって図1のLQマップから外れることのないように、変圧器において、一次コイルと二次コイルとの磁気結合を良好にして励磁インダクタンスを小さくし、そして、より低抵抗の線材をコイルに用いて励磁抵抗を小さくすることが有利である。
【0009】
また、このような変圧器に関し、種々の負荷コイルに対応できるように、一次コイル(電源側)と二次コイル(負荷側)の通電巻数を容易に変えられるようにすることが有利である。このときに、一次コイル及び二次コイルの電流が流れない部分に電圧がかからないようにして、端子の絶縁設計を不要とできればなお良い。一次コイルと二次コイルの各ターン間の電圧は小さいが、コイル端間の電圧は大きいため、一次コイル、二次コイル、及びフェライト材のそれぞれが互いに接触しないようにする支持構造が有利である。
【0010】
高周波変圧器を介在させてインピーダンスの小さい負荷を駆動する場合、その高周波変圧器の二次コイルの巻数は、一次コイルの巻数より少なくする。この場合に、二次コイルには、一次電流を一次コイル-二次コイルの巻数比倍した電流が流れるため、二次コイルの発熱が大きくなる。したがって、二次コイルを冷却した方が良い。また、フェライト材もヒステリシス損失で発熱するため、冷却するのが好ましい。
【0011】
以上の課題のいずれか一つ以上を解決する手段を本発明により提案する。
まず、板状のフェライト材の側面どうしを当接させて平行四辺形の四辺をなすように組み合わせることにより1枚の四辺形鉄心層片を形成し、この鉄心層片を複数枚積層することで、角筒状鉄心を形成する。このように鉄心を形成するにあたり、2枚の鉄心層片を積層して一組とする。一組の鉄心層片は、一方の鉄心層片にあるフェライト材どうしの当接部位に対し、他方の鉄心層片にあるフェライト材どうしの当接部位が重ならないように組み合わせることができる。このようにして積層する2枚の鉄心層片の向き合っている面を互いに接着すると、一組の鉄心層片の完成である。この鉄心層片の組を積層していって、隣接した層片のフェライト材どうしの当接部位が互いに重なり合っていない形態の角筒状鉄心がつくられる。当接部位が重ならず且つ板状のフェライト材の広い面で各層片を接着できるので、層片どうしの層間接着力が大きくなる。
【0012】
鉄心層片の別の組み方として、積層する2枚の鉄心層片の間に、当該鉄心層片をなすフェライト材を担持する担持板を介在させる組み方とすることもできる。この組み方において、平行四辺形の四辺をなすように組み合わせたフェライト材は、その広い面を担持板に接着するなどして担持されるので、層間接着力が強い。層間に担持板を介在させた2枚の鉄心層片を一組として、該鉄心層片の組を多数積層することで角筒状鉄心を形成する。
【0013】
この担持板を用いた組み方の場合、担持板は、内周縁が鉄心層片の内周縁よりも内方へはみ出し、該はみ出した内周側部位に切欠を複数有する形態とすることができる。この切欠は、後述の仕切板の側縁を保持するべく使用可能である。
【0014】
四辺形鉄心層片を積層して形成した角筒状鉄心は、その両端面に支持板を当てて該支持板で挟持し固定する。この支持板にはボルトを通し、ナットで支持板を締め込んで鉄心を挟持させる。ボルトは角筒状鉄心の上下左右の移動を制限して位置が変わらないように拘束するべく複数設けることができる。角筒状鉄心の1つの側壁(四辺形の一辺)を囲繞するように一次コイルと二次コイルとを配線し且つ二次コイルは一次コイルを挟んで内側と外側に配線する。一次コイルと二次コイルとの磁気結合に優れ、励磁インダクタンスを小さくすることができる。
【0015】
一次コイル及び二次コイルは、鉄心側壁の幅方向に分布し、一次コイルを挟んで内側と外側に分配される二次コイルがターン間に間隔をあけて配置される。幅方向に間隔をあける二次コイルは、幅方向で左右対称となるように且つ内側と外側とでほぼ同じ場所にあるように配置する。一次コイル端からの漏れ磁束を抑えて、さらに励磁インダクタンスを小さくできる。
【0016】
一次コイル、二次コイルとも、複数本の巻線から構成する。一次コイルをなす巻線の各端子は一次側端子台に接続し、二次コイルをなす巻線の各端子は二次側端子台に接続する。複数本の巻線及び端子台を用いたその接続構造により、端子台において巻線の接続形態を変更するだけで所望のターン数に通電することができ、一次コイル及び二次コイルのターン数切り替えが容易であると共に、コイル端部を固定することができる。通電しない巻線は電気的に開放の状態であるから電圧がかからない。
【0017】
角筒状鉄心を固定する支持板には、角筒状鉄心の開口に相応する第1の窓と、第1の窓から離間した第2の窓とを設け、これら第1及び第2の窓を通して複数の仕切板を設置する。この仕切板により、角筒状鉄心と一次コイルと二次コイルとの間を仕切って両コイルの巻線を巻回することにより、角筒状鉄心、一次コイル、二次コイルの非接触を保つ。仕切板は、その両端が、角筒状鉄心(及びこれを挟持した支持板)からはみ出る長さとし、一次コイルの巻線の湾曲部分、二次コイルの巻線の湾曲部分、そして鉄心が互いに接触しないように構成する。仕切板により、優れたコイル支持構造が得られる。仕切板には、通風孔を1つ以上形成して冷却風の通りを良くし、一次コイル、二次コイル、及び角筒状鉄心の効果的冷却を実現する。
【0018】
一次コイル及び二次コイルの巻線には、表面を絶縁処理した細導線を複数本撚って束ねた線材、例えば上述のリッツ線を使用する。コイルの湾曲部分を容易に形成できるうえ、コイルを流れる電流が各細導線を通って均一に流れるから、コイル抵抗を小さくすることができる。その結果、コイルの発熱を低減し、励磁インピーダンスを小さくすることができ、LQマップの負荷定数範囲(図1参照)に入れやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】横軸がインダクタンスLで縦軸がコイル感度QのLQマップ。
図2】角筒状鉄心を形成する鉄心層片を示す図。
図3】仕切板を配置した角筒状鉄心を示す図。
図4】小仕切板と大仕切板の詳細を示す図。
図5】一次コイル及び二次コイルを取り外した状態で変圧器全体を示す図。
図6】角筒状鉄心、仕切板、一次コイル、二次コイル、一次側端子台、及び二次側端子台を、組み付けた状態で示す図。
図7】一次コイルの巻線配置と二次コイルの巻線配置を説明する図。
図8】端子台によるターン数の切り替え(9ターン~7ターン)を説明する図。
図9】端子台によるターン数の切り替え(6ターン~4ターン)を説明する図。
図10】角筒状鉄心を形成する鉄心層片の組み方の別の例を示す図。
図11】角筒状鉄心を形成する鉄心層片の組み方の別の例を示す図。
図12】角筒状鉄心を形成する鉄心層片の組み方の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施する形態に関し、具体的な実施例を例示して説明する。
【0021】
図2に、フェライト材を組み合わせた鉄心層片を複数枚用いて形成する角筒状鉄心を示す。
板状のフェライト材Fを8枚、その側面どうしを互いに当接させて平行四辺形の四辺をなすように組み合わせることで、1枚の四辺形の鉄心層片10が形成される。1つの鉄心層片10に対し、同様にフェライト材Fを組み合わせて四辺形に形成した別の鉄心層片10を裏返した状態で積層し、2枚の鉄心層片10の向き合っている面11を互いに接着すると、この2枚からなる一組の鉄心層片10は、片方の鉄心層片10にあるフェライト材Fどうしの当接部位12に対し、他方の鉄心層片10にあるフェライト材Fどうしの当接部位12が重ならないように組み合わせられている。このように組み合わせてあれば、両方の鉄心層片10においてフェライト材Fは、側面どうしを(接着等せずに)当接させただけの状態で、ばらけることなく組み上がった形状を維持する。フェライト材Fの側面どうしを接着剤等により接着することも可能ではあるが、当接面の間に接着剤等が介在していると磁束密度に影響するので、当接させる側面には何も介在させず当接するだけとし、積層する一組の鉄心層片10の向き合った面11(フェライト材の板の上面と下面の広い面)で接着する。
【0022】
この鉄心層片10の組を多数積層していくと、隣接した層片10のフェライト材Fどうしの当接部位12が互いに重なり合っていない形態の角筒状鉄心20(図3)が形成される。当接部位12が重ならず且つ板状のフェライト材Fの広い面で各鉄心層片10を接着できるので、分離し難く且つ層間接着力の大きい角筒状鉄心20を得られる。
【0023】
図2の鉄心層片10を、一例として30枚積層し角筒形態に形成した角筒状鉄心20が図3に示されている。この角筒状鉄心20の中を通して大中小の4枚の仕切板30,31,32が配置され、これら仕切板30,31,32は非磁性、絶縁性で(例えばプラスチック製)、一次コイルと二次コイルを仕切って配線するために利用される。小仕切板30、中仕切板31、2枚の大仕切板32は、角筒状鉄心20の軸方向に沿った長さが、小仕切板30が最も短く、大仕切板32が最も長く、そして中仕切板31がその中間の長さとなるように、形成される。ただしいずれの仕切板30,31,32も、角筒状鉄心20の端から外へはみ出す長さをもつ。仕切板30,31,32がはみ出していることにより、一次コイル及び二次コイルの湾曲部分が角筒状鉄心20に接触しないようにできる。また、仕切板30,31,32の長さの違いにより、内側の二次コイル、一次コイル、外側の二次コイルが互いに接触しないようにそれぞれの巻線を巻回することができる(図5図6参照)。仕切板30,31,32により、優れたコイルの支持構造が提供される。
【0024】
仕切板30,31,32のそれぞれには、通風孔33が複数形成されており、この通風孔33があることにより冷却風の通りが良くなり、冷却効果が向上する。また、最も外側の大仕切板32と最も内側の小仕切板30は、それぞれ角筒状鉄心20の側壁から離して配置してあり、この空隙が冷却風の通り道となるようにしてある。
【0025】
図4に、小仕切板30と大仕切板32(2枚のうちの1枚)について、詳細構造の例を示している。通風孔33を複数形成した両仕切板30,32の表面(桟部分)に、間隔をあけて巻線を配置し、その間隔を維持するためのスペーサ34が多数装着されている。スペーサ34は、角筒状鉄心20の軸方向に1列に並べて装着され、この列が4列設けられている。これらスペーサ34の列の間に二次コイルの巻線が配置され、スペーサ34により横への移動が拘束される。本例の場合、残りの中仕切板31と大仕切板32(他の1枚)にはスペーサを取り付けない(図7参照)。
【0026】
図5は、上記のとおり仕切板30,31,32を備えた角筒状鉄心20を使用して高周波変圧器を組み立てる例を示す(一次コイル及び二次コイルを巻いた状態は図6参照)。角筒状鉄心20は、その軸方向の両端面にそれぞれ支持板40を当てて挟持され固定される。端面に固定する(接着してもよい)支持板40には、複数のボルト41を通し、ボルト41にナット42を螺合し、このナット42で支持板40を締め込んで角筒状鉄心20に押し付け、挟持させる。ボルト41は、一例として、角筒状鉄心20の上側、下側にそれぞれ2本ずつと、左側と右側にそれぞれ1本ずつの合計6本設けられる。この上下左右に設けたボルト41によって角筒状鉄心20の上下左右の移動が制限され、位置が変わらないように拘束される。支持板40には、角筒状鉄心20の開口に相応する第1の窓43が形成されており、この第1の窓43を通して仕切板30,31,32の両端がはみ出し、一次コイル及び二次コイルが第1の窓43を通し配線される。
【0027】
支持板40にはさらに、第1の窓43から離間して第2の窓44が形成されている。第2の窓44は、角筒状鉄心20の1つの側壁(四辺形の一辺)21を挟んで第1の窓43の反対側に形成される。側壁21は、角筒状鉄心20において小仕切板30に対向した側壁である(図3参照)。第2の窓44を通してもう一組の大中小の仕切板30,31,32が設置される。第2の窓44を通し設置される仕切板30,31,32は、側壁21を対称軸として、角筒状鉄心20の中に設置された仕切板30,31,32を鏡に映した配列で設置される。これら仕切板30,31,32も第2の窓44を通して両端がはみ出し、一次コイル及び二次コイルが第2の窓44を通し配線される。第1の窓43、第2の窓44、二組の仕切板30,31,32を利用して、角筒状鉄心20の1つの側壁21を囲繞する一次コイル及び二次コイルが互いに非接触で配線される。
【0028】
角筒状鉄心20を挟持する支持板40は、底板50に固定され屹立する。底板50は、角筒状鉄心20の軸方向へ延伸しており、ハウジングの端面を構成する端面板51が支持板40から離して底板50に固定され屹立している。支持板40を締め込むためのボルト41の両端部が端面板51を貫通するまで延長されており、このボルト41の端部にナット42を螺合して端面板51を支持するために利用する。変圧器要部を覆うハウジングを構成する、断面コの字形の筐体52が、端面板51を端面として被せられる。端面板51の適所には一次コイル及び二次コイルの巻線を通す巻線通過窓53が形成されている。また、筐体52には、空気を吸入する吸気ファン54と、空気を排出する排気ファン55とが設けられ、これら吸気ファン54及び排気ファン55を利用して筐体内に冷却風を流すように構成されている。この空冷方式では、上述のように仕切板30,31,32に通風孔33が設けられていることからコイルの冷却効果が高く、実験では50℃に維持することができている。この温度はエナメル線の耐熱温度に対し十分に低い。なお、支持板40、底板50、端面板51、筐体52は、仕切板30,31,32と同じく例えばプラスチック製の非磁性、絶縁性のものとする。
【0029】
底板50の両端には、一次側端子台60と二次側端子台61とが設置される。一次側端子台60がIH電源(図示略)につながり、二次側端子台61が負荷コイルにつながる。一次コイル70の巻線端子は一次側端子台60に接続され、二次コイル80の巻線端子は二次側端子台61に接続される。これら一次コイル及び二次コイルを巻いた状態について図6に示している。
【0030】
一次コイル70及び二次コイル80の両方とも複数本の巻線から構成される。一次コイル70をなす巻線の各巻線端子は一次側端子台60に接続され、二次コイル80をなす巻線の各巻線端子は二次側端子台61に接続される。一次コイル70及び二次コイル80は、角筒状鉄心20の側壁21を囲繞して配線されている。二次コイル80は、一次コイル70よりも側壁21に近い内側と、一次コイル70よりも側壁21から遠い外側とに分配して配線され、つまり、一次コイル70を挟んで内側と外側とに分配して配置されている。このコイル配置は、一次コイル70と二次コイル80との磁気結合に優れ、励磁インダクタンスを小さくすることができる。また、一次コイル70を二次コイル80で挟んであることにより、二次コイル80の巻線が短絡の場合に側壁21の磁束が少なくなり、励磁インダクタンスが小さくなる。
【0031】
これら一次コイル70と二次コイル80との間は仕切板30,31,32によって仕切られ、互いに非接触に保たれている。上述した仕切板30,31,32の長さの違いにより、一次コイル70及び二次コイル80の湾曲部分は、角筒状鉄心20の軸方向において互いに位置がずらされており、いずれも接触することがない。また、仕切板30,31,32の両端が角筒状鉄心20の端面から突出していることにより、角筒状鉄心20と一次コイル70及び二次コイル80の湾曲部分との接触も防止されている。
【0032】
仕切板30,31,32から出て端面板51の巻線通過窓53を通り一次側端子台60及び二次側端子台61へ至る一次コイル70及び二次コイル80の部分は蛇行するので、絶縁カバー(図示略)によってさらに覆っておいてもよい。
【0033】
一次コイル70及び二次コイル80をなす巻線には、表面を絶縁処理した細導線、具体的にはエナメル被覆した細銅線、を複数本撚って束ねたリッツ線を使用する。一例として直径7.7mmのリッツ線を使用すると、20kW出力が可能で、その柔軟性により湾曲部分を容易に形成できるうえ、電流が各細銅線を通って均一に流れるから、コイル抵抗を小さくすることができ、励磁インピーダンスを小さくすることができる。また、その表面積の大きさ故に熱放出が良好で空冷に向いている。
【0034】
一次コイル70及び二次コイル80は、図7の巻線配置図に示すように、角筒状鉄心20の側壁21の幅方向に巻線が分布する。図7は、角筒状鉄心20の断面で見た図である。一次コイル70は、中仕切板31と大仕切板32との間を通して横一列に巻線1~巻線7まで配置される。なお、図中の「+」と「-」は極性である。両端の巻線1と巻線7のターン数がそれぞれ2ターン(2回巻き)で、巻線1と巻線7に挟まれた間の巻線2~巻線6のターン数がそれぞれ1ターン(1回巻き)である。この横一列の一次コイル70を挟んで内側と外側に分配して二次コイル80の巻線1~巻線7が配置される。内側は小仕切板30と中仕切板31との間を通して配置され、外側は2枚の大仕切板32の間を通して配置される。内外に分配される二次コイル80の巻線1~巻線7は、図示のとおりターン間に間隔をあけて配置される。この間隔は、例えば図4のスペーサ34により維持される。二次コイル80をなす巻線1~巻線7のうち、両端の巻線1と巻線7は、一次コイル70の巻線1と巻線7と同様にターン数が2ターン(1本の巻線を内側と外側に1ターンずつ巻く)である。巻線2~巻線6はターン数がそれぞれ1ターンである。巻線1の1ターン、巻線2、巻線3、巻線4、及び巻線7の1ターンが内側配置、巻線1の1ターン、巻線5、巻線6、及び巻線7の1ターンが外側配置となる。二次コイル80の巻線1~巻線7は、図示のように、幅方向において左右対称となるようにして且つ内側と外側とでほぼ同じ場所にあるように配置される。一次コイル70からの漏れ磁束を抑えて励磁インダクタンスをより小さくできる。
【0035】
一次コイル70の巻線1~巻線7は一次側端子台60に接続され、二次コイル80の巻線1~巻線7は二次側端子台61に接続される。端子台60,61を用いて電気接続を構成することにより、これら端子台60,61において巻線1~巻線7の巻線端子を接続するかしないかに従って、所望のターン数に通電することが簡単にでき、ターン数切り替えが容易である。また、巻線端子を外して通電しない巻線は電気的に開放の状態になって電圧がかからない。以下、このターン数切り替えについて図8図9を参照して説明する。
【0036】
図8及び図9には、1つの端子台(60又は61)の接続端子を示してある。図中の「+」と「-」は極性を表す。上段に8つの接続端子、下段に8つの接続端子を備え、それぞれ隣接する「+」と「-」を一組として使用できる。図中、☆印の接続端子には、一次側端子台60であればIH電源からのリード線が接続され、二次側端子台61であれば負荷コイルへのリード線が接続される。
【0037】
図8に示す9ターンの例を参照すると、巻線1~巻線7の全ての巻線端子が接続されており、巻線1~巻線7の全てに通電されて9ターンコイルが実現される。すなわち、全巻線通電すると、巻線1の2ターン+巻線2~6の各1ターン(合計5ターン)+巻線7の2ターンで、9ターンコイルとなる。
【0038】
図8に示す8ターンの例を参照すると、左右対称の通電を意図して、幅方向真ん中に位置する巻線4の巻線端子(+)を外して非通電とし、この巻線端子を外した接続端子に電源/負荷のリード線を接続する。この接続切替により、巻線1の2ターン+巻線2,3,5,6の各1ターン(合計4ターン)+巻線7の2ターンで、8ターンコイルとなる。
【0039】
図8に示す7ターンの例を参照すると、巻線5の巻線端子(+)を外し、この巻線端子を外した接続端子に電源/負荷のリード線を接続すると、巻線5と巻線4が非通電となる。この接続切替により、巻線1の2ターン+巻線2,3,6の各1ターン(合計3ターン)+巻線7の2ターンで、7ターンコイルとなる。
【0040】
図9に示す6ターンの例を参照すると、巻線3の巻線端子(+)を外し、この巻線端子を外した接続端子に電源/負荷のリード線を接続すると、巻線3,4,5が非通電となる。この接続切替により、巻線1の2ターン+巻線2,6の各1ターン(合計2ターン)+巻線7の2ターンで、6ターンコイルとなる。
【0041】
図9に示す5ターンの例を参照すると、巻線6の巻線端子(+)を外し、この巻線端子を外した接続端子に電源/負荷のリード線を接続すると、巻線3,4,5,6が非通電となる。この接続切替により、巻線1の2ターン+巻線2の1ターン+巻線7の2ターンで、5ターンコイルとなる。
【0042】
図9に示す4ターンの例を参照すると、巻線2の巻線端子(+)を外し、この巻線端子を外した接続端子に電源/負荷のリード線を接続すると、巻線2,3,4,5,6が非通電となる。この接続切替により、巻線1の2ターン+巻線7の2ターンで、4ターンコイルとなる。
【0043】
以上のように、一次側端子台60及び二次側端子台61による端子の接続切替で、簡単に一次コイル70及び二次コイル80のターン数を自在に変えることができる。インバータからみた所望の負荷定数を得ることができ、上記の例で、IH電源からの負荷インピーダンスは、励磁インピーダンスを除くと負荷(一次コイルの通電ターン数)/(二次コイルの通電ターン数)の2乗倍であるから0.20~5.06倍の値となる。広い範囲でIH電源からの負荷インピーダンスを変えることができ、LQマップの負荷定数範囲に入れることができる。
【0044】
図10図12に、角筒状鉄心20を形成する鉄心層片10について、上記実施例とは違う実施例をそれぞれ示し、説明する。これら実施例では、一組の鉄心層片10の組み方、つまり、積層の仕方やフェライト材Fの組み合わせ方が異なっている。
【0045】
図10A(斜視図)及び図10B(平面図)に示す実施例では、上記図2の実施例同様に、板状のフェライト材Fを8枚、その側面どうしを互いに当接させて平行四辺形の四辺をなすように組み合わせることで、1枚の四辺形の鉄心層片10が形成されている。そして、同様にフェライト材Fを組み合わせて四辺形に形成した別の鉄心層片10を裏返した状態とし、これら2枚の鉄心層片10の向き合っている面11の間に、非磁性、絶縁性の例えばプラスチック製とした担持板90を入れてサンドイッチし接着する。フェライト材Fの広い面11を担持板90に接着して担持させるので、接着力が大きく分離しにくい。このように担持板90を間に介在させた2枚の鉄心層片10を一組とし、この鉄心層片10の組を多数積層していくことで、角筒状鉄心20を形成する。1つの組の鉄心層片10とこれに隣接する別の組の鉄心層片10とは、向き合ったフェライト材Fどうしを当接させて(又は接着して)重ねられる。
【0046】
担持板90は、例えば厚さ1mmほどとし、その外周縁が、平行四辺形に組んだフェライト材Fの外周縁と一致する寸法に形成する。一方で内周縁は、平行四辺形に組んだフェライト材Fの内周縁よりも内側へはみ出すようにする。つまり、外周縁と内周縁との間の担持板90の幅は、フェライト材Fの幅(接着面11の幅)よりも広くとる。そして、内方へはみ出した内周側部位に、上述の仕切板30,31,32の側縁を挿入して保持するための切欠91が形成される。切欠91は仕切板30,31,32の枚数分形成され、この切欠91を設けることにより、仕切板30,31,32の位置決め、固定を容易にできる。
【0047】
図11A(斜視図)及び図11B(平面図)に示す実施例は、図2図10に示す実施例(例えば20kW程度)の角筒状鉄心20に比べて低出力(例えば5kW程度)に向いている角筒状鉄心20を形成するための、鉄心層片10の組み方の例である。この実施例において、板状のフェライト材Fは、四辺形の2つの長辺をなすように縦列にして2枚ずつ、四辺形の2つの短辺をなすように1枚ずつ、計6枚使用される。このように6枚のフェライト材Fが互いに側面を当接させて組み合わされて、1枚の四辺形の鉄心層片10が形成されている。同様にフェライト材Fを組み合わせた別の鉄心層片10を用意し、これら2枚の鉄心層片10の向き合っている面11の間に、非磁性、絶縁性の例えばプラスチック製とした担持板90を入れてサンドイッチし接着する。フェライト材Fの広い面11を担持板90に接着して担持させるので、接着力が大きく分離しにくい。このように担持板90を間に介在させた2枚の鉄心層片10を一組とし、この鉄心層片10の組を多数積層していくことで、角筒状鉄心20を形成する。1つの組の鉄心層片10とこれに隣接する別の組の鉄心層片10とは、向き合ったフェライト材Fどうしを当接させて(又は接着して)重ねられる。
【0048】
この実施例の担持板90は、図10の実施例同様に例えば厚さ1mmほどとし、その外周縁が、平行四辺形に組んだフェライト材Fの外周縁と一致する寸法に形成する。一方で内周縁は、平行四辺形に組んだフェライト材Fの内周縁よりも内側へはみ出すようにする。つまり、外周縁と内周縁との間の担持板90の幅は、フェライト材Fの幅(接着面11の幅)よりも広くとる。そして、この実施例でも、内方へはみ出した内周側部位に、上述の仕切板30,31,32の側縁を挿入して保持するための切欠91が、仕切板30,31,32の枚数分形成され、仕切板30,31,32の位置決め、固定の役割を担う。
【0049】
図12A(斜視図)及び図12B(平面図)に示す実施例は、図2図10に示す実施例(例えば20kW程度)の角筒状鉄心20に比べて高出力(例えば50kW程度)に向いている角筒状鉄心20を形成するための、鉄心層片10の組み方の例である。この実施例において、板状のフェライト材Fは、四辺形の2つの長辺をなすように縦列にして4枚ずつ、四辺形の2つの短辺をなすように縦列にして2枚ずつ、計12枚使用される。このように12枚のフェライト材Fが互いに側面を当接させて組み合わされて、1枚の四辺形の鉄心層片10が形成されている。同様にフェライト材Fを組み合わせた別の鉄心層片10を用意し、これら2枚の鉄心層片10の向き合っている面11の間に、非磁性、絶縁性の例えばプラスチック製とした担持板90を入れてサンドイッチし接着する。フェライト材Fの広い面11を担持板90に接着して担持させるので、接着力が大きく分離しにくい。このように担持板90を間に介在させた2枚の鉄心層片10を一組とし、この鉄心層片10の組を多数積層していくことで、角筒状鉄心20を形成する。1つの組の鉄心層片10とこれに隣接する別の組の鉄心層片10とは、向き合ったフェライト材Fどうしを当接させて(又は接着して)重ねられる。
【0050】
この実施例の担持板90も、図10の実施例同様に例えば厚さ1mmほどとし、その外周縁が、平行四辺形に組んだフェライト材Fの外周縁と一致する寸法に形成する。一方で内周縁は、平行四辺形に組んだフェライト材Fの内周縁よりも内側へはみ出すようにする。つまり、外周縁と内周縁との間の担持板90の幅は、フェライト材Fの幅(接着面11の幅)よりも広くとる。そして、この実施例でも、内方へはみ出した内周側部位に、上述の仕切板30,31,32の側縁を挿入して保持するための切欠91が、仕切板30,31,32の枚数分形成され、仕切板30,31,32の位置決め、固定の役割を担う。
【0051】
以上、本発明に関し、実施例を示し説明した。しかし、当該実施例以外にも、本発明に関し種々の実施の形態を想到し得るのはもちろんである。
【0052】
以上に説明した本発明を実施する形態をまとめると、次のとおりである。
(1)複数のフェライト材を平行四辺形の四辺をなすように組み合わせて形成された鉄心層片を積層してなる角筒状鉄心と、該角筒状鉄心の1つの側壁を囲繞する一次コイル及び二次コイルとを含む変圧器であって、
前記二次コイルが前記一次コイルの内側と外側に分配して配置され、
前記一次コイルに電源が接続され、前記二次コイルに負荷が接続される、変圧器。
(2)当該変圧器において、板状の前記フェライト材は、その側面どうしを当接させて前記鉄心層片を形成している。
(3)当該変圧器において、積層されて隣接する前記鉄心層片における前記フェライト材どうしの当接部位は互いに重なり合わない。
(4)当該変圧器において、積層される2枚の前記鉄心層片の間に、当該鉄心層片をなす前記フェライト材を担持する担持板が介在している。
(5)前記担持板は、内周縁が前記鉄心層片の内周縁よりも内方へはみ出し、該はみ出した内周側部位に切欠を複数有する。
(6)当該変圧器において、前記一次コイル及び前記二次コイルがそれぞれ複数本の巻線から構成してあり、前記一次コイルの前記巻線は、電源を接続する一次側端子台に接続され、前記二次コイルの前記巻線は、負荷を接続する二次側端子台に接続され、これら一次側端子台及び二次側端子台における前記巻線の接続形態を変更することにより、通電ターン数を切り替えられる。
(7)当該変圧器は、前記角筒状鉄心と前記一次コイルと前記二次コイルとの間を仕切って非接触を保つ複数の仕切板を含む。
(8)前記仕切板は、前記角筒状鉄心から両端がはみ出る長さをもつ。
(9)前記仕切板には、冷却風を通す通風孔が1つ以上形成される。
(10)前記一次コイル及び前記二次コイルの前記巻線には、表面を絶縁処理した細導線を複数本撚って束ねた線材を使用する。
【符号の説明】
【0053】
10 鉄心層片
11 向き合っている面(接着面)
12 当接部位(フェライト材の)
20 角筒状鉄心
21 側壁(コイルが巻かれる)
30 小仕切板
31 中仕切板
32 大仕切板
33 通風孔
34 スペーサ
40 支持板
41 ボルト
42 ナット
43 第1の窓
44 第2の窓
50 底板
51 端面板
52 筐体
53 巻線通過窓
54 吸気ファン
55 排気ファン
60 一次側端子台
61 二次側端子台
70 一次コイル
80 二次コイル
90 担持板
91 切欠(仕切板保持用)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B