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特開2023-128094釣竿用リールシート、釣竿及び固定用ナット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128094
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】釣竿用リールシート、釣竿及び固定用ナット
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/06 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A01K87/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032196
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】手代木 秀章
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019CB02
2B019CB03
2B019CB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リールシート本体に自在に着脱可能とし、使用中に緩みにくくかつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナットを備えた釣竿用リールシートを提供す。
【解決手段】リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体と、リールシート本体の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フードと、移動フードの該軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナット8と、を備え、該固定用ナットは、係合部と、被係合部と有し、係合部15と被係合部16との係合を解除することにより、固定用ナットをリールシート本体から着脱自在にされる釣竿用リールシート。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体と、該リールシート本体の外面に案内され、該リールシート本体の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フードと、該リールシート本体の外面に設けられ、該移動フードの該軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナットと、を備えた釣竿用リールシートであって、
該固定用ナットは、係合部と、被係合部とを有し、該係合部と被係合部との係合を解除することにより、該固定用ナットを前記リールシート本体から着脱自在にされることを特徴とする、釣竿用リールシート。
【請求項2】
前記係合部と、前記被係合部とは、それぞれ基部と、凹凸部と、を有する、請求項1に記載の釣竿用リールシート。
【請求項3】
前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態で、前記固定用ナットの周方向に互いに離間している、請求項1又は2に記載の釣竿用リールシート。
【請求項4】
前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態で、前記固定用ナットの周方向でみて一部が重なっている、請求項1又は2に記載の釣竿用リールシート。
【請求項5】
前記係合部は、前記固定用ナットの周方向に突出する凸状部であり、前記被係合部は、該凸部の少なくとも一部を収容可能な凹状部を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣竿用リールシート。
【請求項6】
前記係合部の凸状部と、前記被係合部の凹状部は、これらの係合部分にそれぞれ凹凸部が形成されている、請求項5に記載の釣竿用リールシート。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の釣竿用リールシートと、竿体とを備えた釣竿。
【請求項8】
リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体の外面に案内され、該リールシート本体の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フードの軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナットであって、該リールシート本体の外面に設けられる固定用ナットであって、
該固定用ナットは、係合部と、被係合部とを有し、該係合部と被係合部との係合を解除することにより、該固定用ナットを前記リールシート本体から着脱自在にされることを特徴とする、固定用ナット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定用ナット、これを備えた釣竿用リールシート、該釣竿用リールシートを備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣竿用リールシートを備えた様々な釣竿が知られている。
【0003】
このような釣竿では、通常、竿体の上に釣竿用リールシートが載置され、該釣竿用リールシートには、本体の上側又は下側にリール脚を載置するためのリール脚載置部と、該リール脚の脚部を前後から挟持するためのフードと、固定ナットとが形成される。このような固定ナットには、その緩みを防止するために緩み止め部材が設けられる場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、リール足当て部と螺子部とリール足を内挿固定するフードとフードを固定する固定ナットとを有するリールシートであって、固定ナットの緩みを防止するための脱着自在な緩み止め部材が螺子部に備わっているリールシートが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、リール足当て部と螺子部とリール足を内挿固定するフードとフードを固定する固定ナットとフード移動用のフード案内溝を有するリールシートであって、固定ナットの緩みを防止するための取り外し自在な緩み止め部材が備わっているリールシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-321033号公報
【特許文献2】特開2001-333667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示のリールシートでは、取外しが自在となっているものの、緩み止め部材自体がリールシート本体に対して緩み易く、その結果、固定ナットの緩みを確実に防止することが難しく、また、構造上、緩み止め部材がリールシート本体の周方向の一部のみに形成されるため、指が接触した際に違和感を感じてしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示のリールシートでも、取外しが自在となっているものの、緩み止め部材自体がリールシート本体に対して緩み易いため、固定ナットの緩みを確実に防止することが難しく、また、構造上、緩み止め部材の係止部分に指が接触した際に違和感を感じてしまうという問題があった
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々のリールシートの径寸法に柔軟に対応でき、リールシート本体に自在に着脱可能としながら、使用中に緩みにくく、かつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナット、これを備えた釣竿用リールシート、このような釣竿用リールシートを備えた釣竿を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートは、リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体と、該リールシート本体の外面に案内され、該リールシート本体の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フードと、該リールシート本体の外面に設けられ、該移動フードの該軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナットと、を備え、該固定用ナットは、係合部と、被係合部とを有し、該係合部と被係合部との係合を解除することにより、該固定用ナットを前記リールシート本体から着脱自在にされる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部と、前記被係合部とは、それぞれ基部と、凹凸部と、を有するように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態で、前記固定用ナットの周方向に互いに離間している、請求項1又は2に記載の釣竿用リールシート。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態で、前記固定用ナットの周方向でみて一部が重なるように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部は、前記固定用ナットの周方向に突出する凸状部であり、前記被係合部は、該凸部の少なくとも一部を収容可能な凹状部を有するように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部の凸状部と、前記被係合部の凹状部は、これらの係合部分にそれぞれ凹凸部が形成されている。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、上記いずれかの釣竿用リールシートと、竿体とを備えるように構成される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る固定用ナットは、リール脚が載置されるリール脚載置部が形成されたリールシート本体の外面に案内され、該リールシート本体の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フードの軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナットであって、該リールシート本体の外面に設けられ、該固定用ナットは、係合部と、被係合部とを有し、該係合部と被係合部との係合を解除することにより、該固定用ナットを前記リールシート本体から着脱自在にされる。
【発明の効果】
【0018】
上記実施形態によれば、種々のリールシートの径寸法に柔軟に対応でき、リールシート本体に自在に着脱可能としながら、使用中に緩みにくく、かつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナット、これを備えた釣竿用リールシート、該釣竿用リールシートを備えた釣竿を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る固定用ナットを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る固定用ナットの係合解除状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る固定用ナットの係合解除状態を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の成形方法を示す図である。
図7】本発明のその他の実施形態に係る固定用ナットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0021】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図である。図示のように、本発明の一実施形態による釣竿1は、竿体2と、竿体2にリールシート9を介して取り付けられたリール6と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、リールシート9及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0022】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていてもよい。
【0023】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0024】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、リールシート9に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられているが、詳細は省略する。
【0025】
次に、図2を参照して、リールシート本体12及び固定用ナット8を備えるリールシート9について説明する。リールシート本体12は、魚釣用リール6のリール脚6aが載置されるリール脚載置面(リール脚載置部)12aをその軸方向に沿って有するリールシート本体12を備えている。リールシート本体12は、全体として筒状に形成されている。また、リールシート本体12は、合成樹脂(例えばポリアミド系合成繊維やABS樹脂等)あるいは金属(例えばSUS、アルミニウム、チタン、真鍮等)等の適宜の材料から形成されている。リールシート本体12は、例えば、60-160mmの長さを有するよう構成できるが、これに限られない。
【0026】
また、このリールシート本体12は、リール脚載置面12aの反対側を僅かに膨出させ、握持する手で握り込んだときに、母指球またはその近部を支えることで握持し易い湾曲形状の外面を有する握り部12bを形成してある。
【0027】
リールシート本体12のリール脚載置面12aは、平坦または、リールシート本体12のリール脚載置面12aに隣接する他の周方向の部位(例えば握り部12b)よりも大きな曲率をもって略平坦に形成することができ、かつ、図2に示すリールシート本体12の軸方向に延びた状態に形成されている。リールシート本体12には、一端(竿元側)に固定フード14が一体的に配設されている。リールシート本体12のリール脚載置面12aの一端は、固定フード14の内部に配設されている。
【0028】
リールシート本体12は、他端(竿元側)に案内溝が形成された筒状体およびネジ部18が一体的に設けられている。筒状体には、リールシート本体12のリール脚載置面12aに連続して、又は、僅かな段差をもって筒状部載置面16aが形成されている。本発明の一実施形態では、リール脚載置面(リール脚載置部)12aと筒状部載置面16aとの間は、リール脚6aの裏面(底面)6bが載置される後述するリール脚保持部28の裏面保持部およびリール脚載置面12aの間をできるだけ面一にするように、リール脚保持部28の裏面保持部が配設される分の段差が形成されている。筒状部載置面16aは、ネジ部18にも連続して形成されている。他端(竿尻側)において、筒状体およびネジ部18の外側には、移動フード22が軸方向に移動自在に装着される。ここで、該リールシート本体12と該移動フード22、又は該リールシート本体12と該移動フード22と固定用ナット8とを含めてリールシート9と呼ぶことがあるが、詳細は省略する。
【0029】
図2に示すように、リールシート本体12の固定フード14には、リール脚6aの一端を受け入れる開口部14aが移動フード22に向けて開口されている。この固定フード14の開口部14aは、リールシート本体12の前方に向けて次第に内面の高さが低くなるように形成されている。この開口部14aにリール脚6aの一端を受け入れ、リール脚6aの一端が開口部14aにより押圧されたときに、このリール脚6aを固定フード14内に配設されたリール脚載置面12a側に向けて付勢する(押し付ける)。
【0030】
なお、固定フード14は、リールシート本体12に一体的に配設されている場合に限らず、金属又は硬質の合成樹脂でリールシート本体12と別体構造に形成し、リールシート本体12に強固に固定してもよい。金属で形成する場合には、リール6のリール脚6aに当接する部位に樹脂製部材を配置し、金属間の接触による各部材の損傷を防止することが好ましい。
【0031】
本実施形態の移動フード22は、リールシート本体12のネジ部18が挿通される軸方向孔を貫通させたスリーブ状に形成してあり、締付用ナット24と、フード本体26と、このフード本体26の内側に固定されたリール脚保持部28とを有する。フード本体26の後部(竿尻側)には締付用ナット24が回転自在に連結されている。そして、締付用ナット24は、例えば、合成樹脂、金属、ポリアミド系合成繊維、ABS樹脂、アルミニウム、真鍮等により形成され、フード本体26は例えば金属(SUS、真鍮)等により形成され、リール脚保持部28は、例えば、ポリアミド系合成繊維等により形成されている。締付用ナット24の後部(竿尻側)には、詳細は後述する固定用ナット8がリールシート本体12に着脱自在に設けられる。固定用ナット8は、適当な範囲でバネ性をもって開閉するように、適度な弾性を有する材料で形成される(後述する固定用ナット30も同様である)。また、固定用ナット8は、樹脂又は金属で形成され、例えば、ABS、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用プラステック、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラステック、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等のスパーエンジニアリングプラステック、アルミ、チタン、ステンレス等の金属で形成することができるが、これらに限定することを意図するものではない(後述する固定用ナット30も同様である)。また、固定用ナット8は、これらの材料を用いて、例えば、射出成形や3Dプリンター技術により形成することができる(後述する固定用ナット30も同様である)。
【0032】
締付用ナット24はネジ部18に螺合する雌ネジを内周側に形成し、外周側は滑り難く回転操作し易く形成されている。締付用ナット24の前端部は、フード本体26の後端部と相対回転自在でかつ抜け止めされた状態で連結されている。締付用ナット24の前端で径方向外方に拡径した状態に延びるフランジ部に、フード本体26の後端で径方向内方に縮径した状態に延びるフランジ部が嵌合され、自在に相対回転を可能としつつ抜け止めするよう構成してもよい。
【0033】
なお、締付用ナット24とフード本体26との連結構造は、逆の構造であってもよい。すなわち、締付用ナット24の前端の径方向内方に縮径した状態に延びるフランジ部に、フード本体26の後端の径方向外方に拡径した状態に延びるフランジ部が嵌合され、自在に相対回転を可能としつつ抜け止めすることも好ましい。また、径方向内方や径方向外方に延びるフランジ部は、全周にわたって連続することが好ましいが、不連続であってもよい。
【0034】
締付用ナット24は、リールシート本体12のネジ部18に螺合され、かつ、回転可能に配設されている。フード本体26は締付用ナット24に連結されている。このため、ネジ部18に対して締付用ナット24を正方向に回転させると、締付用ナット24が固定フード14に対して近接するとともに移動フード22のフード本体26が固定フード14に対して近接する。一方、ネジ部18に対して締付用ナット24を逆方向に回転させると締付用ナット24が固定フード14に対して離隔するとともに移動フード22のフード本体26が固定フード14に対して離隔する。
【0035】
この締付用ナット24の回転によりリールシート本体12の軸方向に移動されるフード本体26は、前方および内周側に開口し、魚釣用リール6のリール脚6aの後端を受け入れるリール脚保持部28が配設された状態で固定される開口部26aを有する。このフード本体26の開口部26aは、移動フード22をリールシート本体12のネジ部18に装着したときに、固定フード14の開口部14aに対向する。フード本体26の開口部26aは、固定フード14の開口部14aとは逆に、後方に向けて次第に内面の高さが低くなるように形成されている。
【0036】
次に、図2、3、4及び5を参照して、本発明の一実施形態に係る固定用ナット8の詳細について説明する。本発明の一実施形態に係る固定用ナット8は、リール脚6aが載置されるリール脚載置部12aが形成されたリールシート本体12の外面に案内され、該リールシート本体12の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フード22の軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナット8であって、該リールシート本体12の外面に設けられ、該固定用ナット8は、係合部15と、被係合部16とを有し、該係合部15と被係合部16との係合を解除することにより、該固定用ナット8を該リールシート本体12から着脱自在にされる。
【0037】
ここで、係合部15を被係合部、被係合部16を係合部と呼ぶこともできるが、本明細書では便宜上、係合部15、被係合部16とする。また、図2に示す状態は、固定用ナット8の係合部15と被係合部16とが係合状態にある場合であり、図3(a)、図4又は図5に示す状態は、固定用ナット8の係合部15と被係合部16とが係合解除状態(非係合状態)にある場合である。なお、固定用ナット8は、リールシート本体12に形成されたネジ部18に螺合する雌ネジ11を内周側に形成し、リールシート本体12に係合可能としながらリールシート本体12に対して螺合して回転させることにより、軸方向に移動させることができるようにされている。
【0038】
本発明の一実施形態に係る固定用ナットによれば、種々のリールシートの径寸法に柔軟に対応でき、リールシート本体に自在に着脱可能としながら、使用中に緩みにくく、かつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナットを備えた釣竿を提供することが可能となる。より具体的には、遊動フードが緩むことを防ぐことが可能となる。このように、固定用ナットを用いることで、移動フードの締付用ナットの竿先方向への移動を確実に防止することができる。また、リールを固定する場合、移動フード22、固定用ナット8の順に締めることにより、リールシート本体12の雄ネジと、移動フード22及び固定用ナット8の雌ネジとの間にある隙間(ガタ)を低減することができるため、緩み難く強い固定力をもたらすことが可能となる。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、本発明の一実施形態に係る固定用ナット8又はこれを備えた釣竿用リールシート9において、該係合部15と、該被係合部16とは、係合解除状態で、固定用ナット8の周方向に互いに離間距離(L)をもって離間するように構成される。このように構成することで、弾性の小さい材料においても容易な着脱が可能となる。この場合において、固定用ナット8を係合解除状態から係合状態とする場合は、例えば、係合部15と被係合部16とを固定用ナット8の周方向に互いに近付けるようにすることで、係合部15を被係合部16に係合させることが可能となる。
【0040】
また、図5に示すように、本発明の一実施形態に係る固定用ナット8又はこれを備えた釣竿用リールシート9において、該係合部15と、該被係合部16とは、前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態(非係合状態)で、固定用ナット8の周方向でみて一部が重なるように構成される(図5(b)参照)。このように構成することで、弾性の大きい材料において、開きによる固定力の減少を防ぐ事が可能となる。この場合において、固定用ナット8を係合解除状態から係合状態とする場合は、例えば、係合部15を固定用ナット8の径方向に押し付けることで、係合部15を被係合部16に係合させることが可能となる。
【0041】
次に、図6に示すように、本発明の一実施形態に係る固定用ナット8又はこれを備えた釣竿用リールシート9において、固定用ナット8は、係合部15と、被係合部16とは、それぞれ基部17、20と、凹凸部19、21と、を有するように構成される。凹凸部は、互いに係合(噛合い)可能なように、複数の凹部と凸部が交互に形成され、例えば、鋸歯状に形成することができる。その他、四角状、台形状又は鉤爪状の形状が考えられるが、特定の態様に限定されるものではない。このように、係合部15の凹凸部19と被係合部16の凹凸部21とを互いに係合させることで、固定用ナット8を係合状態とすることができる。
【0042】
次に、図7を参照して、本発明のその他の実施形態に係る固定用ナット30又釣竿用リールシート9における固定用ナット30について説明する。図7に示すように、固定用ナット30は、係合部31と被係合部32とを有し、係合部31は、固定用ナットの周方向に突出する凸状部33であり、被係合部32は、該凸状部33の少なくとも一部を収容可能な凹状部34を有するように構成される。ここで、凸状部33の形状や構造は、図示の態様以外にも種々考えられ、例えば、凸状部33を並列に複数設けるようにしてもよく、特定の態様に限定されるものではない。また、凹状部34の形状や構造も、凸状部33の形状や構造に合わせて、図示の態様以外にも種々考えられ、凸状部33が複数設けられる場合は、凹状部34もこれに合わせて複数設けることができるが、特定の態様に限定されるものではない。
【0043】
本発明のその他の実施形態に係る固定用ナット30又釣竿用リールシート9における固定用ナット30において、係合部31の凸状部33と、被係合部32の凹状部34は、これらの係合部分にそれぞれ凹凸部35、36が形成されている。凹凸部35、36は、互いに係合(噛合い)可能なように、複数の凹部と凸部が交互に形成され、例えば、鋸歯状に形成することができる。その他、四角状、台形状又は鉤爪状の形状が考えられるが、特定の態様に限定されるものではない。このように、係合部31の凹凸部35と被係合部32の凹凸部36とを互いに係合させる(噛合わせる)ことで、固定用ナット30を係合状態とすることができる。
【0044】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシート9は、リール脚6aが載置されるリール脚載置部12aが形成されたリールシート本体12と、該リールシート本体12の外面に案内され、該リールシート本体12の軸線方向に沿って移動可能に構成された筒状の移動フード22と、該リールシート本体12の外面に設けられ、該移動フード22の該軸線方向の位置を保持する筒状の固定用ナット8又は30と、を備え、該固定用ナット8又は30は、係合部15又は31と、被係合部16又は32とを有し、該係合部15又は31と被係合部16又は32との係合を解除することにより、該固定用ナット8又は30をリールシート本体12から着脱自在にされる。
【0045】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートによれば、種々のリールシートの径寸法に柔軟に対応でき、リールシート本体に自在に着脱可能としながら、使用中に緩みにくく、かつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナットを備えた釣竿用リールシートを提供することが可能となる。より具体的には、遊動フードが緩むことを防ぐことが可能となる。このように、固定用ナットを用いることで、移動フードの締付用ナットの竿先方向への移動を確実に防止することができる。また、リールを固定する場合、移動フード22、固定用ナット8の順に締めることにより、リールシート本体12の雄ネジと、移動フード22及び固定用ナット8の雌ネジとの間にある隙間(ガタ)を低減することができるため、緩み難く強い固定力をもたらすことが可能となる。
【0046】
本発明の一実施形態に係る釣竿1は、固定用ナット8又は30を備えた上記いずれかの釣竿用リールシート9と、竿体2とを備えるように構成される。本発明の一実施形態に係る釣竿によれば、種々のリールシートの径寸法に柔軟に対応でき、リールシート本体に自在に着脱可能としながら、使用中に緩みにくく、かつ指で触れた際の違和感を感じにくい固定用ナットを有する釣竿用リールシートを備えた釣竿を提供することが可能となる。より具体的には、遊動フードが緩むことを防ぐことが可能となる。このように、固定用ナットを用いることで、移動フードの締付用ナットの竿先方向への移動を確実に防止することができる。また、リールを固定する場合、移動フード22、固定用ナット8の順に締めることにより、リールシート本体12の雄ネジと、移動フード22及び固定用ナット8の雌ネジとの間にある隙間(ガタ)を低減することができるため、緩み難く強い固定力をもたらすことが可能となる。
【0047】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 釣竿
2 竿体
3 元竿
5 中竿
6 リール
6a リール脚
7 穂先竿
9 リールシート
10 釣糸ガイド
11 雌ねじ
12 リールシート本体
12a リール脚載置面
14 固定フード
15 係合部
16 被係合部
17 基部
18 ネジ部
19 凹凸部
20 基部
21 凹凸部
22 移動フード
24 締付用ナット
26 フード本体
28 リール脚保持部
30 固定用ナット
31 係合部
32 被係合部
33 凸状部
34 凹状部
35 凹凸部
36 凹凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートにおいて、前記係合部と、前記被係合部とは、係合解除状態で、前記固定用ナットの周方向に互いに離間しているように構成される
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
次に、図2を参照して、リールシート本体12及び固定用ナット8を備えるリールシート9について説明する。リールシートは、魚釣用リール6のリール脚6aが載置されるリール脚載置面(リール脚載置部)12aをその軸方向に沿って有するリールシート本体12を備えている。リールシート本体12は、全体として筒状に形成されている。また、リールシート本体12は、合成樹脂(例えばポリアミド系合成繊維やABS樹脂等)あるいは金属(例えばSUS、アルミニウム、チタン、真鍮等)等の適宜の材料から形成されている。リールシート本体12は、例えば、60-160mmの長さを有するよう構成できるが、これに限られない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本実施形態の移動フード22は、リールシート本体12のネジ部18が挿通される軸方向孔を貫通させたスリーブ状に形成してあり、締付用ナット24と、フード本体26と、このフード本体26の内側に固定されたリール脚保持部28とを有する。フード本体26の後部(竿尻側)には締付用ナット24が回転自在に連結されている。そして、締付用ナット24は、例えば、合成樹脂、金属、ポリアミド系合成繊維、ABS樹脂、アルミニウム、真鍮等により形成され、フード本体26は例えば金属(SUS、真鍮)等により形成され、リール脚保持部28は、例えば、ポリアミド系合成繊維等により形成されている。締付用ナット24の後部(竿尻側)には、詳細は後述する固定用ナット8がリールシート本体12に着脱自在に設けられる。固定用ナット8は、適当な範囲でバネ性をもって開閉するように、適度な弾性を有する材料で形成される(後述する固定用ナット30も同様である)。また、固定用ナット8は、樹脂又は金属で形成され、例えば、ABS、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用プラスチック、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等のスーパーエンジニアリングプラスチック、アルミ、チタン、ステンレス等の金属で形成することができるが、これらに限定することを意図するものではない(後述する固定用ナット30も同様である)。また、固定用ナット8は、これらの材料を用いて、例えば、射出成形や3Dプリンター技術により形成することができる(後述する固定用ナット30も同様である)。