(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128102
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】接合治具及び接合装置
(51)【国際特許分類】
A41H 43/04 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A41H43/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032211
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】飯島 隆彰
(72)【発明者】
【氏名】白石 典久
(72)【発明者】
【氏名】椎名 隆行
(57)【要約】
【課題】シート状素材に対する被着物の被着を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】シート状素材Sの一方の面側にシート状の被着物Cを配置し、シート状素材Sの端縁部S1で被着物Cを折り返し、シート状素材Sの他方の面側で被着物Cの端縁部C1を接着するための接合治具10において、被着物Cの上にシート状素材Sを重ねて載置する載置面21を有し、当該載置面21の端縁部22がシート状素材Sの端縁部S1に応じた形状に形成された載置台20と、載置台20の端縁部22に沿って並んで配置された被着物Cを付着させる複数の付着片30とを備え、付着片30は、その先端部が載置台20の載置面21の端縁部22で回動することにより、被着物Cを付着させる付着面311が載置台20の載置面21の端縁部22より外側に展開された展開位置と、付着面311が載置面21の端縁部22に対向する対向位置とに切り替え可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状素材の一方の面側にシート状の被着物を配置し、前記シート状素材の端縁部で前記被着物を折り返し、前記シート状素材の他方の面側で前記被着物の端縁部を接着するための接合治具において、
前記被着物の上に前記シート状素材を重ねて載置する載置面を有し、当該載置面の端縁部が前記シート状素材の端縁部に応じた形状に形成された載置台と、
前記載置台の前記端縁部に沿って並んで配置された前記被着物を付着させる複数の付着片と、
を備え、
前記付着片は、その先端部が前記載置台の載置面の端縁部で回動することにより、前記被着物を付着させる付着面が前記載置台の載置面の端縁部より外側に展開された展開位置と、前記付着面が前記載置面の端縁部に対向する対向位置とに切り替え可能であることを特徴とする接合治具。
【請求項2】
前記付着片を前記展開位置側へ回動させる付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の接合治具。
【請求項3】
前記付着片は、前記付着面を有する回動部と、前記載置台に取り付けられる支持部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合治具。
【請求項4】
前記付着片は、前記回動部と前記支持部との境界に形成されたくびれからなる折曲部により前記回動部の回動を可能とすることを特徴とする請求項3に記載の接合治具。
【請求項5】
前記載置台の前記端縁部に沿って並んだ複数の前記付着片は、前記支持部が隣の前記付着片の支持部と一体的に連結されており、
連結された複数の前記付着片は、前記支持部と前記支持部との境界に形成された溝状の可撓部により前記載置台の端縁部の形状に倣って取り付け可能であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の接合治具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接合治具と、
前記接合治具の複数の前記付着片を前記展開位置と前記対向位置との間で切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする接合装置。
【請求項7】
前記切替手段は、複数の前記付着片に対する位置切り替えに加えて、前記対向位置にある前記付着面を前記載置面側に加圧することを特徴とする請求項6に記載の接合装置。
【請求項8】
前記切替手段を複数備え、
それぞれの前記切替手段は、一基で連続して並ぶ複数の前記付着片に対する位置切り替えを実行することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の接合装置。
【請求項9】
複数の前記切替手段は、その取付面に対する吸着状態と解放状態とを切り替え可能な吸着部を備え、前記取付面の任意の位置に取付け可能であることを特徴とする請求項8に記載の接合装置。
【請求項10】
複数の前記切替手段は、連続して並ぶ複数の前記付着片に当接して前記展開位置から前記対向位置に切り替える当接体を有し、
一部の前記切替手段は、前記付着片に当接する先端部を拡幅する張り出し部が設けられた前記当接体を有し、
他の一部の前記切替手段は、前記付着片に当接する先端部に、前記張り出し部との干渉を回避する切り欠き部が設けられた前記当接体を有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状素材の接合に用いる接合治具及び接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
布地等のシート状素材の接合方法として、従来より接着による接合方法が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状素材の接合として、例えば、一方のシート状素材の表面に別のシート状素材からなる被着物を配置し、シート状素材の端縁部に沿って当該シート状素材の裏面側に被着物を折り返し、シート状素材の裏面側で端縁部に沿って接着することで、シート状素材を被着物が覆うように被着物の接合を行う用途がある。
上記の接合において、被着物の折り返しが行われる被縫製物の端縁部の全体が一直線状である場合には、折り返し作業は容易に行うことができるが、被縫製物の端縁部が曲線状或いは連結された複数の直線状である場合には、折り返して接着する作業が非常に煩雑で難しく、作業負担が非常に大きいという問題があった。
【0005】
本発明は、被着物を折り返してシート状素材の端縁部に沿って接着する作業の容易化を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート状素材の一方の面側にシート状の被着物を配置し、前記シート状素材の端縁部で前記被着物を折り返し、前記シート状素材の他方の面側で前記被着物の端縁部を接着するための接合治具において、
前記被着物の上に前記シート状素材を重ねて載置する載置面を有し、当該載置面の端縁部が前記シート状素材の端縁部に応じた形状に形成された載置台と、
前記載置台の前記端縁部に沿って並んで配置された前記被着物を付着させる複数の付着片と、
を備え、
前記付着片は、その先端部が前記載置台の載置面の端縁部で回動することにより、前記被着物を付着させる付着面が前記載置台の載置面の端縁部より外側に展開された展開位置と、前記付着面が前記載置面の端縁部に対向する対向位置とに切り替え可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、接合装置において、
上記接合治具と、前記接合治具の複数の前記付着片を前記展開位置から前記対向位置へ切り替える切替機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被着物を折り返してシート状素材の端縁部に沿って接着する作業の容易化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態である接合装置の斜視図である。
【
図3】複数の付着片を取り付けた状態の載置台の斜視図である。
【
図4】
図4(A)は複数の付着片の斜視図,
図4(B)は展開位置の各付着片の斜視図,
図4(C)は対向位置の各付着片の斜視図である。
【
図5】
図5(A)は複数の付着片の正面図,
図5(B)は側面図,
図5(C)は底面図である。
【
図6】
図6(A)は折曲部が薄くない比較例としての付着片が展開位置にある状態で被着物を付着させた状態を示し、
図6(B)は対向位置に回動させたことにより被着物に生じた弛みの状態を示している。
【
図7】接合装置の設置済みの全ての切替機構の斜視図である。
【
図8】付着片に対する位置切り替え動作を実行する前の切替機構の待機状態を示す側面図である。
【
図9】設置された全ての切替機構の待機状態の平面図である。
【
図10】付着片に対する位置切り替え動作を実行後の切替機構の作動状態を示す側面図である。
【
図11】設置された全ての切替機構の作動状態の平面図である。
【
図12】
図12(A)は接合装置による接合動作における付着片周辺の側面図、
図12(B)は
図12(A)に続く接合動作における付着片周辺の側面図である。
【
図13】
図13(A)は
図12(B)に続く接合動作における付着片周辺の側面図、
図13(B)は
図13(A)に続く接合動作における付着片周辺の側面図である。
【
図14】
図14(A)は
図13(B)に続く接合動作における付着片周辺の側面図、
図14(B)は
図14(A)に続く接合動作における付着片周辺の側面図である。
【
図15】
図15(A)は
図14(B)に続く接合動作における付着片周辺の側面図、
図15(B)は
図15(A)に続く接合動作における付着片周辺の側面図である。
【
図16】
図16(A)は接合装置による接合動作における載置台周辺の平面図、
図16(B)は
図16(A)に続く接合動作における載置台周辺の平面図である。
【
図17】
図17(A)は
図16(B)に続く接合動作における載置台周辺の平面図、
図17(B)は
図17(A)に続く接合動作における載置台周辺の平面図である。
【
図18】
図17(B)に続く接合動作における載置台周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、シート状素材Sに被着物Cを接着により接合する際に利用する接合装置100について図面に基づいて説明する。
本実施形態では、シート状素材Sの一方の面(表面とする)側にシート状の被着物Cを配置し、シート状素材Sの端縁部S1において被着物Cの端縁部C1を折り返し、シート状素材Sの他方の面(裏面とする)側で被着物Cの端縁部C1を接着する場合を例示する。
【0011】
[シート状素材及び被着物]
図17を参照してシート状素材S及び被着物Cについて説明する。
図17では、シート状素材Sは裏面が紙面表側を向いている。
シート状素材Sは、その下側、即ち、表面側に被着物Cを重ねて配置し、シート状素材Sの端縁部S1で被着物Cの端縁部C1を裏面側に折り返し、折り返された被着物Cの端縁部C1をシート状素材Sの裏面側に接着する。これにより、シート状素材Sの表面側を被着物Cが覆った状態で当該被着物Cをシート状素材Sに接合することができる。
【0012】
シート状素材Sの端縁部S1は、曲線形状である場合を例示するが、直線状でも非直線形状でもよく、例えば、方向の異なる複数の直線を連結した形状としてもよい。ここでは、端縁部S1は、より具体的には、凹凸の向きが変化する略S字状の曲線形状を例示する。
被着物Cは、全体的にシート状素材Sより大きく、被着物Cの端縁部C1の形状は、シート状素材Sの端縁部S1の形状に近似し、シート状素材Sの端縁部S1より全体的にわずかにサイズが大きくなっている。
被着物Cは、折り返しが容易な薄布等のシート体である。シート状素材Sは、一定の定型性を有する程度の剛性を有する素材である場合を例示するが、被着物Cのように定型性の低い薄布であっても、接合装置100は、良好に接合を行うことが可能である。
また、シート状素材Sは、平面状を呈する場合を例示するが、曲面形状であってもよい。
【0013】
[接合装置]
図1は本発明の実施形態である接合装置100の斜視図を示す。
なお、以下の説明では、接合装置100を水平な取付面H上に設置した状態を前提として各部の方向を説明する。
接合装置100は、図示のように、接合治具10と複数の切替機構50,50A,50B,50Cとを有する。
【0014】
[接合治具]
接合治具10は、被着物Cの上にシート状素材Sを重ね、当該シート状素材Sの表面が下方を向いた状態で載置される載置面21を有し、当該載置面21の端縁部22がシート状素材Sの端縁部S1に応じた形状(例えば、一致した形状)に形成された載置台20と、載置台20の端縁部22に沿って並んで配置された被着物Cを付着させる複数の付着片30と、載置面21がおおむね水平となるように載置台20を取付面Hに据え付けるための支持台40とを備える。
【0015】
[接合治具:載置台]
図2は載置台20の斜視図、
図3は複数の付着片30を取り付けた状態の載置台20の斜視図を示す。
載置台20は、平面視形状が載置面21の形状となる柱状体であり、その両側には一対の腕部25が設けられ、当該一対の腕部25によって載置面21の端縁部22の全長に渡って当該端縁部22に対向する懸架体26の両端部が支持されている。懸架体26は、後述する複数のゴム紐11の一方の端部を保持する。
【0016】
載置面21は、水平な平坦面からなるが、シート状素材Sが曲面形状である場合には、それに対応する曲面形状としてもよい。また、載置面21の端縁部22は、平面視で被着物Cを接合するシート状素材Sの端縁部S1の形状と一致する形状である。接合作業時には、シート状素材Sの端縁部S1を載置面21の端縁部22に重ねた状態に載置する。なお、シート状素材Sは、被着物Cの上に重ねて載置されるので、載置面21の端縁部22を直接視認することはできない場合があるが、載置面21の端縁部22に沿って複数の付着片30が配置されることで、端縁部22に沿った段差が形成されるので、シート状素材Sを正確に載置面21の端縁部22に合わせて載置することが可能である。
【0017】
上記載置台20は、上記形状の載置面21を実現するために、例えば、シート状素材Sの平面視形状データ又は三次元データを用意し又は三次元計測的で計測し、これらでのデータに基づいて三次元プリンターを利用して形成することができる。
【0018】
一対の腕部25は、載置面21の端縁部22の両端部において、いずれも載置面21に沿った方向であって、端縁部22から離隔する方向に延出されている。
そして、一対の腕部25は、その延出端部において、懸架体26の一端部と他端部とをそれぞれ支持している。
【0019】
懸架体26は、載置面21の端縁部22に沿った形状であって、端縁部22を幾分拡大したサイズの長尺体である。載置面21の端縁部22に沿って並んで配置された複数の付着片30は、いずれもその先端部に付勢手段としてのゴム紐11(
図3では点線で図示)の一端部が連結されている。懸架体26は、端縁部22から離隔する方向に向かって各付着片30の先端部から延びるゴム紐11の他端部を保持し、各付着片30に懸架体26側への張力を付与している。
【0020】
[接合治具:付着片]
図4(A)は複数の付着片30の斜視図,
図4(B)は展開位置の各付着片30の斜視図,
図4(C)は対向位置の各付着片30の斜視図である。また、
図5(A)は複数の付着片30の正面図,
図5(B)は側面図,
図5(C)は底面図である。
【0021】
付着片30は、被着物Cを付着させる付着面311を有する回動部31と、載置台20に取り付けられる支持部37とを備え、複数の付着片30の支持部37が連結されて、載置面21の端縁部22に沿って一列に並んだ状態で、載置台20の取付面23に取り付けられている。取付面23は、端縁部22を介して載置面21に隣接する面であり、前述した懸架体26と対向する上下方向に沿った曲面である。
なお、各付着片30の幅を狭くして、載置面21の端縁部22に沿って一列に並ぶ付着片30の個体数をより多くすることが好ましい。付着片30の幅が狭く、個体数が多くなるほど、より端縁部22の形状に近づくように付着片30を配置することが可能となるからである。
【0022】
付着片30の支持部37は、上下方向に長尺な矩形の平板体であり、隣の付着片30の支持部37との境界に上下方向に沿った溝状の可撓部38が形成されている。なお、複数の付着片30は、いずれもポリプロピレン等のような可撓性及び弾性を有する樹脂材料により一体的に形成されており、可撓部38は、鉛直方向に沿った縦筋状に薄肉となることで周囲よりも顕著な可撓性がもたらされている。上記可撓部38により、複数の付着片30は、曲線状の端縁部22に倣って並んだ状態で取付面23に取り付けることができる。
【0023】
なお、符号39は、端縁部22に沿って一体的に並んだ複数の支持部37を貫通する複数の取付穴であり、各取付穴39に挿通された図示しないネジにより、複数の付着片30をまとめて取付面23に取り付けることができる。
取付面23の下方には、取付面23の下端部に沿って溝24が設けられており、取付面23に取り付ける各付着片30の支持部37の下端部が挿入可能とされている。これにより、各付着片30は、より正確に取付面23に沿った状態となり、各回動部31が載置面21の端縁部22に沿ってより正確に並んだ状態となる。また、各付着片30の高さも揃えることが可能となる。
【0024】
支持部37の上端部には、水平方向に沿った溝状のくびれからなる折曲部36を介して回動部31が設けられている。前述したように、付着片30は、可撓性及び弾性を有する樹脂材料により一体的に形成されており、折曲部36は、水平方向に沿った横筋状に薄肉となることで周囲よりも顕著な可撓性がもたらされている。そして、回動部31は、折曲部36の弾性により、外力が加えられない状態では、回動部31と支持部37とが上下方向に沿って一直線上に並ぶ(中立位置とする)。
【0025】
回動部31は、支持部37側の下端部から上端部に向けて幅が漸減して先細となっており、その上端部には、ゴム紐11の一端部を保持する連結孔313が形成されている。
また、回動部31は、略平板状であって、載置台20の取付面23に対向する平面が被着物Cを付着させる付着面311、反対側の平面が後述する切替機構50,50A,50B又は50Cに押圧される受圧面312となっている。
【0026】
厳密には、回動部31は、先端部近傍に段差314が形成されており、当該段差314よりも支持部37側が被着物Cを付着させる付着面311となっている。段差314は、接合時に、被着物Cの端縁部C1の先端部の位置合わせを行う基準線となっている。
付着面311は、後述するが、接合を行う際には、両面テープが貼られ又は粘着剤が塗布され、被着物Cを付着させるための付着性が持たされる。なお、付着面311の付着性は、被着物Cをある程度の力で分離可能であれば、いかなる方法で付着性を持たせてもよい。例えば、静電気等を利用して被着物Cを付着させてもよい。
【0027】
回動部31は、折曲部36により、中立位置から前後にそれぞれ少なくとも90度回動させることができる。
そして、回動部31は、付着面311が載置台20の載置面21の端縁部22よりも外側であって、回動部31が端縁部22から離隔する方向に展開された展開位置(回動部31の先端部が懸架体26側を向いた状態:
図4(B))と、付着面311が載置面21の端縁部22に対向する対向位置(付着面311が下方を向いた状態:
図4(C))とに切り替え可能である。
なお、回動部31は、前述したように、常にその先端部がゴム紐11により懸架体26側に張力を受けているので、通常は、展開位置に維持される。
【0028】
各付着片30は、支持部37の上端部が載置面21より幾分上方に突出する高さで載置台20の取付面23に取り付けられる。従って、各付着片30の回動部31が全て展開位置となっている状態でも、突出した複数の支持部37により、載置面21に対してシート状素材Sの端縁部S1を載置面21の端縁部22に正確に合わせることができる。
【0029】
また、接合の際には、まず、載置面21に被着物Cが載置されるが、前述したように、被着物Cの端縁部C1は、各回動部31の段差314に位置合わせして付着面311に貼着される。さらに、被着物Cは、付着面311から展開位置側に屈曲した折曲部36を介して支持部37の上端部の取付面23側の平面及び載置面21に沿った状態で配置される(
図12(B)参照)。
各付着片30の折曲部36は、
図5(B)に示すように、くびれ形状により、回動部31及び支持部37よりも厚さ(付着片30の平板面に対する垂直方向の厚さ)が十分に薄くなるように形成されている。このため、展開位置にある付着片30に被着物Cが付着した状態で回動部31が対向位置まで回動した場合に、折曲部36に付着した被着物Cの弛みを最小限にすることができる。
【0030】
図6(A)は折曲部が薄くない比較例としての付着片30Xが展開位置にある状態で被着物Cを付着させた状態を示し、
図6(B)は対向位置に回動させたことにより被着物Cに生じた弛みの状態を示している。
付着片30Xの折曲部として、例えば、機械的なヒンジ構造を採る場合を例示する。ヒンジ構造の場合、ヒンジ部分が他の部分(回動部31X、支持部37X)と同程度の厚さ又はそれ以上の厚さとなるのが一般的である。
展開位置にある状態で被着物Cは、折曲部の外周に沿って付着するが、その状態で回動部31Xが対向位置まで回動すると、折曲部の外周に沿って付着した分がそのまま被着物Cの弛みCrとなる。このため、折曲部の幅を薄くすればするほど、被着物Cの折曲部の外周に沿って付着した分による弛みCrを短くすることが可能である。
つまり、付着片30のくびれ形状により他の部分よりも厚さを薄くした折曲部36の場合、当該折曲部36に付着した被着物Cに基づく弛みを最小限にすることが可能となる。
【0031】
[接合治具:支持台]
支持台40は、取付面Hに吸着可能な土台部41と、土台部41の上で載置台20の位置を調節可能に支持する調節部42とを有する。
土台部41は、空圧を利用して取付面Hに吸着可能としてもよいが、ここでは、永久磁石を内蔵し、磁性体からなる取付面Hに磁力で吸着する構造を例示する。土台部41は、例えば、内蔵された永久磁石の向きや位置を変更可能とするハンドルやつまみ等の図示しない操作部を備え、吸着可能状態と非吸着状態とを切り替え可能な構造を有する。
【0032】
調節部42は、水平であって互いに直交する二方向に載置台20を移動調節可能とする二つのスライド機構を有し、各スライド機構は、調節後の位置に固定する締結ネジを備えている。これにより、載置台20を水平面上の任意の位置に調節可能としている。
なお、土台部41は、取付面H上の任意の位置に任意の向きで吸着可能であるため、調節部42は、土台部41によって吸着された位置に対して、微調整等を行う。
【0033】
[切替機構]
図7は接合装置100の設置済みの全ての切替機構50,50A,50B,50C(以下、「切替機構50等」と総称する場合がある)の斜視図である。
これら各切替機構50等は、各々が連続して並んだ一群の付着片30の回動部31を展開位置から対向位置へ切り替えることを可能とする。なお、付着片30の回動部31の対向位置から展開位置への切り替えは、前述したゴム紐11が行う。従って、上記切替機構50等とゴム紐11とにより切替手段を構成している。
各切替機構50等は、それぞれが一群の付着片30の位置切り替えを行うことにより、載置台20に取り付けられた全ての付着片30の位置切り替えを行うことができる。
【0034】
切替機構50,50A,50B,50Cのそれぞれは、大部分の構成が共通し、一部においてのみ異なるので、まず、切替機構50について説明し、切替機構50A,50B,50Cについては切替機構50と異なる点のみについて説明する。また、切替機構50,50A,50B,50Cについて、共通する構成については、同一の符号を付して、異なる構成についてのみそれぞれの固有な符号を付するものとする。
【0035】
図8は付着片30に対する位置切り替え動作を実行する前の切替機構50の待機状態を示す側面図、
図9は設置された全ての切替機構50,50A,50B,50Cの待機状態の平面図、
図10は付着片30に対する位置切り替え動作を実行後の切替機構50の作動状態を示す側面図、
図11は設置された全ての切替機構50,50A,50B,50Cの作動状態の平面図を示す。
なお、切替機構50,50A,50B,50Cの説明に限り、付着片30に接近する方向を「前」、付着片30から離隔する方向を「後」とする。
【0036】
切替機構50は、位置切り替え時に複数の付着片30の回動部31に当接する当接体54と、当接体54を介して複数の付着片30の回動部31を回動させる回動付与動作を行う回動付与部材51と、回動付与動作の駆動源となるアクチュエーターとしてのエアシリンダー52と、エアシリンダー52の進退動作を所定の回動付与動作に変換して回動付与部材51に伝達する伝達機構53と、取付面H上の任意の位置に切替機構50を保持する吸着部としての土台部55を有する。
【0037】
当接体54は、前側の先端部で付着片30の回動部31を押圧して回動させる。当接体54は、一度に複数の付着片30の回動部31を回動させることができるように、当接体54の先端部は、回動部31の複数倍以上の幅を有する。なお、幅が大きすぎると、複数の回動部31が曲線状に並んでいる場合に対応することが難しくなるので、当接体54の幅は2~20倍程度の範囲とすることが好ましい。
当接体54は、展開位置にある回動部31の受圧面312に下から当接し、載置面21側に向かって前進しながら上昇し、途中から前進しながら下降に転じる。これにより、回動部31を展開位置から対向位置まで回動させることができる。
【0038】
回動付与部材51は、前後方向に沿って長尺な板状体であり、その先端部で当接体54と一体的に連結されている。
回動付与部材51は、側面視で前半分が上方に凸となるアーチ状を呈し、後半分が真っ直ぐに延びている。
【0039】
エアシリンダー52は、全体的に横幅の狭い略直方体形状を呈して内部にシリンダーを有する本体部と、上下方向に沿った二本のプランジャー521と、回動付与部材51及び伝達機構53を支持する支持台522と、本体部の上端部前側から上方に延びる立設部523とを有する。
支持台522は、二本のプランジャー521の上端部に連結され、プランジャー521から昇降動作が入力される。
【0040】
伝達機構53は、第1~3リンク部材531~533を備え、エアシリンダー52の上昇動作を、当接体54による前進を伴う上下動動作に変換する。なお、第1~3リンク部材531~533は、いずれも当接体54の前進移動方向に直交する方向であって水平な方向に沿った軸回りに回動可能に連結される。また、第1~3リンク部材531~533は、回動付与部材51を挟んでその両側に一対で設けられている。
【0041】
第1リンク部材531は、一端部が支持台522の上面後部(付着片30から離隔した端部側)に連結され、他端部が回動付与部材51の後端部に連結されている。
第2リンク部材532は、一端部が立設部523の上端部に連結され、他端部が回動付与部材51の前後方向中間部に連結されている。
第3リンク部材533は、一端部が支持台522の上面前部(付着片30側)に連結され、他端部が第2リンク部材532の他端部近傍に連結されている。
第1~3リンク部材531~533は、回動付与部材51を加えて5節リンク機構を構成する。
【0042】
伝達機構53は、上記構成により、エアシリンダー52のプランジャー521が支持台522を上方に押し上げると、
図8及び
図10のように、第3リンク部材533が第2リンク部材532を押し上げて起伏回動させる。これにより、回動付与部材51には、前進動作が付与される。
一方、第1リンク部材531は、回動付与部材51の前進移動によって起伏回動し、回動付与部材51の後端部を押し上げる。前進開始当初は、第1リンク部材531による上昇量よりも第2リンク部材532の上昇量のほうが大きく、回動付与部材51は、当接体54側の端部が前進しつつ上方に移動を行う。
さらに、エアシリンダー52のプランジャー521が支持台522を上方に押し上げると、第2リンク部材532には第3リンク部材533が連結されているので、起伏回動が制限される一方で、第1リンク部材531の上昇量が第2リンク部材532の上昇量に勝り、回動付与部材51は、当接体54側の端部が前進しつつ下方への移動に転じる。
従って、展開位置において、下方を向いた付着片30の回動部31の受圧面312の下から当接する当接体54は、受圧面312を押し上げると共に前方に回動させて対向位置に切り替え、さらに、受圧面312を介して回動部31を下方に押圧することができる。
【0043】
土台部55は、連結ブラケット551又は552を介してエアシリンダー52と連結され、エアシリンダー52が取付面Hの任意の位置で立設された状態を維持するように、土台部55自身を取付面Hに吸着させてエアシリンダー52を支える。
土台部55は、空圧を利用して取付面Hに吸着可能としてもよいが、ここでは、永久磁石を内蔵し、磁性体からなる取付面Hに磁力で吸着する構造を例示する。土台部55は、例えば、内蔵された永久磁石の向きや位置を変更可能とするハンドルやつまみ等の図示しない操作部を備え、吸着可能状態と非吸着状態とを切り替え可能な構造を有する。
【0044】
なお、連結ブラケット551又は552は、切替機構50等の配置に応じて選択的に使用される。例えば、連結ブラケット551は、エアシリンダー52の側面部に土台部55を連結させる機能を有し、連結ブラケット552は、エアシリンダー52の後方に土台部55を連結させる機能を有する。
図7に示すように、各切替機構50等は、密集するように並べて配置する場合がある。密集した配置でも、エアシリンダー52の隣に土台部55を配置するスペースがある場合には、連結ブラケット551を使用し、スペースがない場合には、連結ブラケット552を使用する。
【0045】
切替機構50A,50B及び50Cは、前述した切替機構50の当接体54と異なる形態の当接体54A,54B及び54Cを備えている。
切替機構50Aは、載置台20の載置面21の端縁部22の外側に凸となるカーブ形状部分の中心に対向して配置され、切替機構50B,50Cは、その両側に配置される。
【0046】
図9及び
図11に示すように、切替機構50Aの当接体54Aは、前側の先端部の左右両側に当該先端部を拡幅する角状の張り出し部541Aが設けられている。それぞれの張り出し部541Aの張り出された幅は、張り出し部を有さない当接体54の幅よりも小さく設定されている(例えば、当接体54の幅の1/2程度)。
【0047】
一方、切替機構50Aの左側に配置される切替機構50Bの当接体54Bは、前側の先端部の右側部分に、左側の張り出し部541Aが嵌合する形状の切り欠き部542Bが形成されている。同様に、切替機構50Aの右側に配置される切替機構50Bの当接体54Bは、前側の先端部の左側部分に、右側の張り出し部541Aが嵌合する形状の切り欠き部542Cが形成されている。それぞれの切り欠き部542B,542Cの幅は、一つの張り出し部541Aの幅とほぼ等しく設定されている。
【0048】
図9に示すように、各付着片30(
図9では図示略)の回動部31が展開位置にあるときの各切替機構50A,50B及び50Cは、前進移動前の各当接体54A,54B及び54Cに左右方向について一定の隙間を生じるように配置されている。
そして、
図11に示すように、各付着片30(
図11では図示略)の回動部31を対向位置に押し込んだときの各切替機構50A,50B及び50Cは、前進移動後の各当接体54A,54B及び54Cの左右方向の隙間が殆ど無くなるように配置されている。このとき、当接体54Aの左右の張り出し部541Aは、左右の当接体54B,54Cの切り欠き部542B,542Cにほとんど隙間を生じないように嵌合する。
【0049】
載置台20の載置面21の端縁部22の外側に凸となるカーブに対して、通常の切替機構50のみを配置する場合、前進移動を行った複数の当接体54が干渉しないように、予め、左右方向に隙間が生じるように配置する必要がある。そして、その隙間によって、位置切替が行われない付着片30が生じ得る。
これに対して、切替機構50A,50B及び50Cは、当接体54Aの張り出し部541Aにより隙間が解消される。また、前進を行う前には、当接体54Aの張り出し部541Aの先端部と当接体54B,54Cの切り欠き部542B,542C以外の先端部との間に隙間が生じるが、当該隙間に付着片30の回動部31が位置する場合でも、切り欠き部542B,542Cの内縁部が当該回動部31を回動させて位置切替を行うことができる。
なお、張り出し部541Aの前後方向の厚さと各切り欠き部542B,542Cの前後方向の深さは、小さいことが好ましい。
【0050】
[接合動作]
接合装置100による接合動作について
図12(A)~
図15(B)までの付着片30周辺の側面図並びに
図16(A)~
図18までの載置台20周辺の平面図に基づいて説明する。
まず、
図12(A)及び
図16(A)に示すように、各付着片30の回動部31が展開位置にある状態で、各回動部31の付着面311に両面テープの貼着により粘着層315を形成する。粘着層315は、粘着剤の塗布により形成しても良い。
【0051】
次いで、
図12(B)及び
図16(B)に示すように、載置台20の載置面21上に被着物Cを載置する。このとき、被着物Cの端縁部C1を各付着片30の回動部31の段差314(
図5参照)に位置決めして付着面311の粘着層315に貼着する。また、被着物Cは、付着面311から折曲部36及び支持部37の表面に沿わせて載置面21上に載置される。
【0052】
次いで、
図13(A)に示すように、被着物Cの各付着片30における折曲部36よりも外側となる部分であって、付着面311に付着している面の反対側の面に、接着剤を塗布して接着層gを形成する。接着剤は、被着物Cとシート状素材Sとを接着可能なものであれば良いが、接着後に容易に剥離できないものが好ましい。例えば、接着剤としては、反応型ホットメルト接着剤を利用することができる。
【0053】
次いで、
図13(B)及び
図17(A)に示すように、被着物Cに重ねて載置台20の載置面21上にシート状素材Sを載置する。このとき、シート状素材Sの端縁部S1を載置面21の端縁部22に位置決めして載置する。
なお、被着物Cとシート状素材Sの間には固定板15を介挿する(
図17(A)で図示略)。固定板15の端縁部は、シート状素材Sの端縁部S1と形状を合わせてもよい。固定板15は、シート状素材Sよりも剛性が高く、シート状素材Sや被着物Cを定形状態に支えることができる。
【0054】
次いで、
図14(A)及び
図17(B)に示すように、各切替機構50等は、これまで後退位置にあった回動付与部材51及び当接体54等をエアシリンダー52のプランジャー521の突出動作により前進移動させる。
前述したように、各切替機構50等は、前進移動時に回動付与部材51及び当接体54は上昇してから下降に転じるので、各付着片30の回動部31を展開位置から対向位置に回動させる。これにより、被着物Cの端縁部C1は、シート状素材Sの端縁部S1における裏面側に折り返され、接着層gがシート状素材Sの端縁部S1における裏面側に押し付けられて接着される。
各切替機構50等は、回動付与部材51及び当接体54等の前進状態を一定時間維持し、接着層gによる被着物Cの端縁部C1のシート状素材Sの端縁部S1に対する接着強度が確保されるのを待ってもよい。
【0055】
次いで、
図14(B)に示すように、各切替機構50等は、エアシリンダー52のプランジャー521を退避させて、回動付与部材51及び当接体54等を後退移動させる。これにより、各付着片30の回動部31は、ゴム紐11の張力により回動し、対向位置から展開位置に復帰する。被着物Cの端縁部C1は、シート状素材Sに接着されているので、各付着片30の回動部31の付着面311の粘着層315は、被着物Cの端縁部C1から剥離する。
【0056】
次いで、
図15(A)及び
図18に示すように、被着物Cが端縁部S1に接着されたシート状素材Sを載置台20の載置面21から取り外す。
さらに、
図15(B)に示すように、シート状素材Sと被着物Cとの間から固定板15を取り出して、接合作業を終了する。
【0057】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記接合装置100は、接合治具10が、載置面21の端縁部22がシート状素材Sの端縁部S1に応じた形状に形成された載置台20と、載置台20の端縁部22に沿って並んで配置された被着物Cを付着させる複数の付着片30とを備え、各付着片30は、その先端部が載置台20の載置面21の端縁部22で回動することにより、被着物Cを付着させる付着面311が載置台20の載置面21の端縁部22より外側に展開された展開位置と、付着面311が載置面21の端縁部22に対向する対向位置とに切り替え可能となっている。
これにより、被着物Cの端縁部C1を付着片30の付着面311に付着させて、被着物Cの端縁部C1に接着剤を塗布することが容易となる。
さらに、シート状素材Sの端縁部S1を載置台20の載置面21の端縁部22に位置決めし、付着片30の先端部を回動させれば、シート状素材Sの端縁部S1に沿って容易に被着物Cの端縁部C1を折り返すことができ、端縁部S1が一直線状ではない場合でも、被着物Cの端縁部C1をシート状素材Sの端縁部S1の裏面に容易に接着することが可能となる。
つまり、接合装置100により、被着物Cを折り返してシート状素材Sの端縁部S1に沿って接着する作業の容易化を実現することが可能となる。
【0058】
また、接合治具10が、付着片30を展開位置側へ回動させるゴム紐11を備えているので、被着物Cを折り返してシート状素材Sの端縁部S1に沿って接着した後、付着片30の先端部をゴム紐11の張力に任せて展開位置に復帰させることが可能となり、復帰作業の負担軽減を図ることが可能となる。
【0059】
また、付着片30は、付着面311を有する回動部31と、載置台20に取り付けられる支持部37とを有する構成からなるので、付着片30を載置台20に対して取り付け、取り外しを可能とすることできる。
載置台20は、端縁部22の形状をシート状素材Sの端縁部S1の形状に合わせて作成する必要があるので、形状の異なるシート状素材Sの端縁部S1の接合に使用する際には、新たな接合治具10を作成する必要があるが、付着片30が取り外し可能となることで、新たな接合治具10につけ直すことが可能となる。
【0060】
また、付着片30は、回動部31と支持部37との境界にくびれからなる折曲部36が形成されているので、回動部31の回動が可能となる。さらに、折曲部36がくびれからなるので、回動部31や支持部37よりも厚さが薄くなるので、展開位置にある付着片30に沿うように被着物Cを配置し、対向位置に回動させた場合に、被着物Cのたるみを低減することができ、良好な接合を行うことが可能となる。
【0061】
また、接合治具10は、載置台20の端縁部22に沿って並んだ複数の付着片30の支持部37が溝状の可撓部38を介して一体的に連結されているので、載置台20に複数の付着片30を取り付ける際に、端縁部22に沿って配置することが極めて容易となり、接合作業負担のさらなる軽減を図ることが可能となる。
【0062】
また、接合装置100は、複数の付着片30を展開位置と対向位置との間で切り替える切替手段を備えるので、被着物Cの端縁部C1を折り返す作業を手作業で行う必要がなく、接合作業負担のさらなる軽減を図ることが可能となる。
【0063】
また、切替手段は、複数の付着片30に対する位置切り替えに加えて、対向位置にある付着面311を載置面21側に加圧する作業を行うので、被着物Cの端縁部C1を折り返すだけでなく、シート状素材Sの端縁部S1に対して押し付けて接合する動作まで行うことができ、接合作業負担のさらなる軽減を図ることが可能となる。
【0064】
また、切替手段の切替機構50等は複数設けられ、それぞれの切替機構50等は、一基で連続して並ぶ複数の付着片30に対する位置切り替えを実行することができるので、切替機構50等の必要台数を低減し、装置の製造コスト低減や小型化を実現することが可能となる。或いは、切替機構50等の台数に対して、付着片30の個数を増やすことができ、付着片30の幅を狭くし、密に配置することで、シート状素材Sの端縁部S1の曲がり等の変化に対して、端縁部S1の形状により忠実に被着物Cの端縁部C1を折り返すことができ、より良好な接合を実現することが可能となる。
【0065】
また、複数の切替手段の切替機構50等は、その取付面Hに対する吸着状態と解放状態とを切り替え可能な土台部55を備えているので、各切替機構50等を取付面Hの任意の位置に取付け可能となり、シート状素材Sの端縁部S1の種々の形状に対して、付着片30の回動の位置切り替えを実現し、シート状素材Sの端縁部S1の種々の形状に対して良好な接合を実現することが可能となる。
【0066】
また、一部の切替手段の切替機構50Aは、付着片30に当接する先端部を拡幅する張り出し部541Aが設けられた当接体54Aを有し、他の一部の切替手段の切替機構50B,50Cは、付着片30に当接する先端部に、張り出し部541Aとの干渉を回避する切り欠き部542B,542Cが設けられた当接体54B,54Cを有している。
これらの切替機構50A,50B,50Cを接合治具10の端縁部22の曲線形状部に対向させて配置することにより、各当接体54A,54B,54Cの前後移動によって生じる隙間によって位置切り替え不良となる付着片30を低減させることが可能となり、より良好な接合を実現することが可能となる。
【0067】
[その他]
上述した実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、切替機構50A,50B,50Cは、接合治具10の端縁部22の形状が外側に凸となる部分に対向するように配置する例を示したが、外側に凹となる部分に対向して配置してもよい。
その場合、切替機構50A,50B,50Cは、各当接体54A,54B,54Cは、後退位置で張り出し部541Aと切り欠き部542B,542Cの隙間が小さくなり、前進位置で隙間が大きくなるように配置する。この場合も各付着片30の回動部31を良好に回動させることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 接合治具
11 ゴム紐(付勢手段)
15 固定板
20 載置台
21 載置面
22 端縁部
23 取付面
30 付着片
31 回動部
36 折曲部
37 支持部
38 可撓部
40 支持台
50,50A,50B,50C 切替機構
51 回動付与部材
52 エアシリンダー
53 伝達機構
54,54A,54B,54C 当接体
55 土台部(吸着部)
100 接合装置
311 付着面
312 受圧面
314 段差
315 粘着層
541A 張り出し部
542B,542C 切り欠き部
C 被着物
C1 端縁部
H 取付面
S シート状素材
S1 端縁部
g 接着層