(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128122
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】熱分解性ガスのタール除去装置
(51)【国際特許分類】
C10K 1/32 20060101AFI20230907BHJP
C10K 3/04 20060101ALI20230907BHJP
C10J 3/00 20060101ALI20230907BHJP
B09B 3/10 20220101ALI20230907BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20230907BHJP
B09B 101/75 20220101ALN20230907BHJP
B09B 101/85 20220101ALN20230907BHJP
【FI】
C10K1/32
C10K3/04
C10J3/00 F
B09B3/10
B09B3/40
B09B101:75
B09B101:85
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032249
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】308030570
【氏名又は名称】株式会社エム・アイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】山田 義人
【テーマコード(参考)】
4D004
4H060
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA12
4D004AA50
4D004BA03
4D004CA22
4D004CA24
4D004CB34
4D004CC03
4H060AA03
4H060BB12
4H060BB22
4H060CC01
4H060DD23
4H060FF03
4H060GG01
(57)【要約】
【課題】発電装置や燃焼プラントへのデメリットを低減できる、熱分解性ガスのタール除去装置を提供する。
【解決手段】本発明の熱分解性ガスのタール除去装置は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する熱分解性ガスのタール除去装置であって、前記熱分解性ガスを加熱する加熱除去部と、前記熱分解性ガスに熱を付与する表面燃焼バーナーと、前記熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせるシフト反応除去部と、前記熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する吸着フィルターと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する熱分解性ガスのタール除去装置であって、
前記熱分解性ガスを加熱する加熱除去部と、
前記熱分解性ガスに熱を付与する表面燃焼バーナーと、
前記熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせるシフト反応除去部と、
前記熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する吸着フィルターと、を備える、熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項2】
前記熱分解性ガスを抽出する燃料を加熱する熱風生成部を有し、
前記加熱除去部は、前記熱分解性ガスを前記熱風生成部で加熱することで、前記熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する、請求項1記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項3】
前記加熱除去部は、前記熱分解性ガスを高温にすることで、タール分を除去する、請求項2記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項4】
前記表面燃焼バーナーは、前記燃料から抽出されて移動する熱分解性ガスに熱を付与して、前記熱分解性ガスが含むタール分を除去する、請求項1から3のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項5】
前記表面燃焼バーナーは、本体表面が燃焼して前記本体表面を通過する前記熱分解性ガスに熱を付与できる、請求項4記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項6】
前記表面燃焼バーナーは、前記加熱除去部を通過した前記熱分解性ガスに熱を付与する、請求項5記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項7】
前記シフト反応は、タール分を二酸化炭素と水素に分解することで、タール分を除去できる、請求項1から6のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項8】
前記タール除去装置は、前記熱分解性ガスの抽出部の後段に備わり、
前記加熱除去部、前記表面燃焼バーナー、前記シフト反応除去部、前記吸着フィルターの順序で、それぞれを備える、請求項1から7のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項9】
前記熱分解性ガスは、熱分解装置、ガス化装置のいずれかにおいて、燃料への加熱によって抽出される、請求項1から8のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項10】
タール分の除去がなされた熱分解性ガスは、ガスタービンエンジン、ガスタービン発電装置、レシプロ式ガスエンジン、レシプロ式ガスエンジン発電装置、ガス焚きボイラーおよび水素製造装置の少なくとも一つに用いられる、請求項1から9のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【請求項11】
前記熱分解性ガスの抽出に用いられる燃料は、バイオマス燃料、産業廃棄物、廃棄プラスチック、の少なくとも一つである、請求項1から10のいずれか記載の熱分解性ガスのタール除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置や燃焼プラントなどに用いられる熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する熱分解性ガスのタール除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの国において、必要な電力需要を満たすために、火力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電など、様々な方式での発電が行われている。新興国を中心とした電力需要の増加に伴って、様々な方式での発電への要請が高まっている。
【0003】
このような電力需要の高まりの中、化石燃料を用いた火力発電だけではなく、風力発電や太陽光発電などの環境負荷の低い発電も増えてきている。これらの再生可能エネルギーの利用も盛んになってきている。
【0004】
ここで、このような火力発電などは、大型の発電プラントを用いる必要があり、大企業の発電事業者によって運営されることが多い。ある場所の発電所で発電された電気は送電網により消費地に届けられる。わが国でも、このような大型発電所と張り巡らされた送電網の組み合わせによる電力生成と電力供給とが行われている。
【0005】
一方で、電力自由化を背景とした地産地消のように地域で必要な電力を小規模に発電することも始まっている。大型発電所と大規模送電網による送電ロスや隅々までの電力供給の無駄などの問題もあり、地域で必要とする電力を小規模に発電することが求められるようになってきている。
【0006】
加えて、バイオマス燃料や廃棄物など、有効利用すべき原料が様々な場所に存在している。これらの原料は、様々な地域で発生している。原料の種類や発生地域によっては、活用や利用がされずに困っていることも多い。
【0007】
また、上述のように、様々な地域において、地域として必要とする電力を生成することも求められている。大型発電所と大規模送電網だけでは地域の需要を細かく満たせない場合があったり、災害時などの予備発電に対応できない場合があったりする。
【0008】
このような状況からみても地域において小規模発電が行われることが重要である。
【0009】
加えて、バイオマス燃料や廃棄物など、有効利用すべき原料が様々な地域にある。このようなバイオマス燃料や廃棄物などを有効利用することと、地域における発電とを結びつけることが重要となってきている。
【0010】
このような地域で発生する原料を利用した発電が行えることで、地域全体での資源循環の仕組みが構築できるからである。また、地域での資源循環の仕組みが構築されると、国全体での発電と送電網を補うこともでき、電力生成と供給の全体循環も構築できる。
【0011】
このような中、バイオマス燃料や廃棄物などを原料として発電する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08-338260号公報
【特許文献2】特開2003-253274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1は、石炭にスチーム及び酸素を作用させて一酸化炭素及び水素を主成分とする高温の可燃性ガスを製造し、この可燃性ガスをガスタービン発電の燃料としてガスタービン発電装置に供給して発電すると共に、前記ガスタービン発電装置に供給する前の前記可燃性ガス及び前記ガスタービンを駆動させた後の高温燃焼ガスを各々加熱源として、水素分離透過膜を有する改質装置により各々炭化水素を水蒸気改質させて高純度水素を製造し、得られた高純度水素を燃料電池に供給して発電することを特徴とするガスタービン及び燃料電池による発電方法を、開示する。
【0014】
特許文献2は、乾燥したバイオマス4を加熱熱分解して熱分解ガスおよびチャーを生成する炭火ドラム2と、熱分解ガス6中のタール分をガスタービン15の廃熱回収蒸気10で水性ガス化する改質ドラム3とを、熱風炉1内に具備し、炭化ドラム2と改質ドラム3とを、熱分解ガス6とチャー7を分離する分離装置8を介して連通させた発電システムを、開示する。
【0015】
特許文献1は、燃焼をベースとしてタービンを回して発電する技術を開示する。このとき、高温の燃焼ガスを生成させて、この燃焼ガスをエネルギーとしてタービンを回転させて発電する。
【0016】
しかしながら、特許文献1の技術では、石炭を燃料としている。石炭から可燃性ガスを生成することで、その過程でタール分を含んだ可燃性ガスとなってしまう。タール分を含んだままであると、可燃性ガスの移動管路の内壁や部材にタールが付着してしまう。タールが付着すると、発電装置の能力が低下したり、発電装置による発電そのものが困難となったりする。
【0017】
また、タールが付着してしまうと、分解掃除などのメンテナンスも頻繁に必要になる。メンテナンスが頻繁に生じると、発電装置の稼働時間が減少して時間軸での発電効率を下げてしまう。地域で必要となる電力を生成して供給する観点から、発電装置の稼働時間が低下することは好ましくない。電力供給は、必要となる時間において途切れることなく行われることが必要であり、これに対応できない。
【0018】
特許文献2は、バイオマス燃料を燃焼ガスとしてタービンを回転させて発電する発電装置を開示する。燃料をバイオマスとすることで、環境負荷を低減させた発電を実現する。
【0019】
しかしながら、特許文献1と同様に、燃焼ガスの中にタール分を含む状態となる。バイオマスを燃料とする場合でも、タール分を含んだ燃焼ガスにより、配管や発電装置内部にタールが付着してしまう。特許文献1と同様の問題が生じる。
【0020】
このようなタール付着が生じることで、燃焼ガスを利用する発電装置での、不具合やメンテナンス負担が増加する問題がある。メンテナンスや修理コストなども増加する問題がある。
【0021】
このように、バイオマスや廃棄物などの燃料をベースに熱分解性ガスを生成し、この熱分解性ガスを発電装置に用いることが行われている。あるいは、発電装置以外に燃焼プラントに用いられることが行われている。しかしながら、生成された熱分解性ガスは、タール分を含んでいるので、上述のような問題を引き起こす。
【0022】
本発明は、これらの課題に鑑み、発電装置や燃焼プラントへのデメリットを低減できる、熱分解性ガスのタール除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の熱分解性ガスのタール除去装置は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する熱分解性ガスのタール除去装置であって、
前記熱分解性ガスを加熱する加熱除去部と、
前記熱分解性ガスに熱を付与する表面燃焼バーナーと、
前記熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせるシフト反応除去部と、
前記熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する吸着フィルターと、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明の熱分解性ガスのタール除去装置は、燃料から得られる熱分解性ガスに含まれるタール分を除去できる。この結果、熱分解性ガスを利用する発電装置や燃焼プラントにおける、タールの付着やこれによる不具合などを低減できる。勿論、メンテナンス負担やコストを削減できる。
【0025】
タール分の付着を低減できることで、発電装置や燃焼プラントの運転時間を長くすることができ、耐久性も高めることができる。
【0026】
このようなタール除去装置が使用されることで、発電装置や燃焼プラントにおいてバイオマス燃料や廃棄物を燃料とできる。これにより、バイオマスや廃棄物などの有効活用が高まり、リサイクル社会の実現が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態1における熱分解性ガスのタール除去装置とその周辺を含むブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるタール除去装置の利用を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における加熱除去部の模式図である。
【
図4】発明の実施の形態1における表面燃焼バーナーの一例の写真である。
【
図5】本発明の実施の形態におけるシフト反応部によるタール除去を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態2における発電装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する熱分解性ガスのタール除去装置であって、
前記熱分解性ガスを加熱する加熱除去部と、
前記熱分解性ガスに熱を付与する表面燃焼バーナーと、
前記熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせるシフト反応除去部と、
前記熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する吸着フィルターと、を備える。
【0029】
この構成により、燃料から抽出された熱分解性ガスのタール分を除去して、各種設備に利用できる。タール分が除去された熱分解性ガスが利用されるので、設備におけるタール分の付着や固着が低減される。
【0030】
本発明の第2の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1の発明に加えて、前記熱分解性ガスを抽出する燃料を加熱する熱風生成部を有し、
前記加熱除去部は、前記熱分解性ガスを前記熱風生成部で加熱することで、前記熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。
【0031】
この構成により、熱分解性ガスからタール分を効率的に除去できる。
【0032】
本発明の第3の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第2の発明に加えて、前記加熱除去部は、前記熱分解性ガスを高温にすることで、タール分を除去する。
【0033】
この構成により、加熱によってタール分を除去できる。
【0034】
本発明の第4の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、前記表面燃焼バーナーは、前記燃料から抽出されて移動する熱分解性ガスに熱を付与して、前記熱分解性ガスが含むタール分を除去する。
【0035】
この構成により、輸送管路を輸送される熱分解性ガスの通過の際に、熱分解性ガスからタール分を除去できる。
【0036】
本発明の第5の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第4の発明に加えて、前記表面燃焼バーナーは、本体表面が燃焼して前記本体表面を通過する前記熱分解性ガスに熱を付与できる。
【0037】
この構成により、輸送途中での熱分解性ガスのタール分を除去できる。
【0038】
本発明の第6の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第5の発明に加えて、前記表面燃焼バーナーは、前記加熱除去部を通過した前記熱分解性ガスに熱を付与する。
【0039】
この構成により、効率的に熱分解性ガスからタール分を除去できる。
【0040】
本発明の第7の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、前記シフト反応は、タール分を二酸化炭素と水素に分解することで、タール分を除去できる。
【0041】
この構成により、化学反応によるタール除去も組み合わせることで、タール除去装置全体でのタール除去の能力を高めることができる。
【0042】
本発明の第8の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、前記タール除去装置は、前記熱分解性ガスの抽出部の後段に備わり、
前記加熱除去部、前記表面燃焼バーナー、前記シフト反応除去部、前記吸着フィルターの順序で、それぞれを備える。
【0043】
この構成により、特性に応じた順序でのタール分除去ができ、効率的にタール分除去ができる。
【0044】
本発明の第9の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、前記熱分解性ガスは、熱分解装置、ガス化装置のいずれかにおいて、燃料への加熱によって抽出される。
【0045】
この構成により、熱分解性ガスを様々な設備に利用できる。
【0046】
本発明の第10の発明に係る熱分解性ガスのタール除去装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、タール分の除去がなされた熱分解性ガスは、ガスタービンエンジン、ガスタービン発電装置、レシプロ式ガスエンジン、レシプロ式ガスエンジン発電装置、ガス焚きボイラーおよび水素製造装置の少なくとも一つに用いられる。
【0047】
この構成により、リサイクル社会の実現に寄与する。
【0048】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0049】
(実施の形態1)
【0050】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における熱分解性ガスのタール除去装置とその周辺を含むブロック図である。熱分解性ガスのタール除去装置(以下、必要に応じて「タール除去装置」と略す)が使用される構成を示している。
図2は、本発明の実施の形態1におけるタール除去装置の利用を示すブロック図である。
【0051】
タール除去装置7は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。熱分解性ガスは、熱分解性ガス抽出装置20で燃料から抽出される。燃料は、バイオマス燃料、産業廃棄物、廃棄プラスチックの少なくとも一つである。熱分解性ガス抽出装置20は、これら燃料を加熱することで、燃料から熱分解性ガスを抽出する。
【0052】
燃料が含むガス成分が、加熱によって分解抽出されることで、熱分解性ガスが抽出されるからである。この熱分解性ガス抽出装置20では、燃料が加熱されることで熱分解性ガスが燃料中から抽出される。このため、この段階での熱分解性ガスは、タール分を含んでいる。
【0053】
熱分解性ガスは、
図1に示されるように、各種設備100に利用される。従来技術で説明したように、タール分を含んだままの熱分解性ガスが利用されると、設備内部にタール分が付着・固着してしまう。これにより設備の能力低下やメンテナンス必要性の増加などが生じる問題がある。あるいは、故障などに繋がる懸念もある。
【0054】
図2に示されるように、熱分解性ガスを利用する各種設備100は、ガスタービンエンジン、ガスタービン発電装置、レシプロ式ガスエンジン、レシプロ式ガスエンジン発電装置、ガス焚きボイラーおよび水素製造装置の少なくとも一つである。勿論、これら以外であってもよい。
【0055】
熱分解性ガス抽出装置20で得られただけの熱分解性ガスが、これら設備に直接使用されると、含んでいるタール分による上述の問題が、これら設備において生じる。
【0056】
このため、タール除去装置7が使用される。
【0057】
タール除去装置7は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。
図1,
図2のように、熱分解性ガス抽出装置20で抽出された熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。タール除去装置7を経たタール分除去された熱分解性ガス(以下、必要に応じて「除去済熱分解性ガス」という)が、ガスタービン発電装置などの各種設備100に用いられる。
【0058】
タール除去装置7は、加熱除去部71、表面燃焼バーナー72,シフト反応除去部73、吸着フィルター74とを、備える。
【0059】
加熱除去部71は、熱分解性ガスを加熱することで、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。表面燃焼バーナー72は、表面に燃焼部位を有して、この燃焼部位のある表面を通過する熱分解性ガスに熱を付与する。この熱の付与で熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。
【0060】
シフト反応除去部73は、熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせる。このシフト反応によりタール分を除去する。吸着フィルター74は、熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する。この吸着により、タール分を除去する。
【0061】
(加熱除去部)
図3は、本発明の実施の形態1における加熱除去部の模式図である。熱分解性ガス抽出装置20は、燃料を加熱するための熱風を生成する熱風生成部8を有している。熱風生成部8は、熱風を生成して燃料に付与する。これにより、燃料から熱分解性ガスが抽出される。熱風生成部8は、熱風を生成するための燃焼バーナーなどを備えている。
【0062】
熱風生成部8は、燃料へ付与する熱風を生成するので、この熱風の熱源は、他の加熱にも利用できる。すなわち、加熱除去部71に必要となる熱源として利用できる。
【0063】
このため、加熱除去部71は、熱風生成部8や熱分解部2と連携した場所に備わることも好適である。
図3は、この場合の構成を示している。加熱除去部71は、熱風生成部8と独立した要素とみなしてもよいし、熱風生成部8の部分としての要素とみなしてもよい。
【0064】
もちろん、熱分解性ガス週出装置20に備わる熱風生成部8とは別の独立した要素として、加熱除去部71が実現されてもよい。なお、
図1などでは、理解のために加熱除去部71は、熱分解性ガス抽出装置20と別の位置の要素として示しているが、別要素でも、熱風生成部8を利用する要素としても、どちらでもよい。理解のための図示であり、何かの限定を意図するものではない。
【0065】
加熱除去部71は、抽出された熱分解性ガスを、燃焼機能を有する熱風生成部8での加熱を行って、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。加熱除去部71は、熱分解性ガスを加熱して高温にすることで、含まれるタール分を除去する。タール分を取り除きつつその含有量を低減させる。
【0066】
タール分は、加熱によって除去されるからである。
【0067】
このとき、
図3のように、熱分解性ガス抽出装置20に備わる熱風生成部8の熱を利用することで、全体としての小型化や効率的な設備構成を実現できる。
【0068】
特に、抽出された熱分解性ガスを加熱するには、熱分解性ガス抽出装置20内部にある熱風生成部8の燃を利用するのが効率的である。このため、熱風生成部8の燃を利用する加熱除去部71は、抽出された後の熱分解性ガスを、加熱することができる。この加熱を通じて、タール分が除去される。
【0069】
また、熱風生成部8が熱分解部2に近接していれば、加熱除去部71は、抽出されたばかりの熱分解性ガスからタール分を除去できる。加熱除去部71でタール分が除去された熱分解性ガスは、後段の表面燃焼バーナー72に送出される。この創出においては、熱分解性ガスが輸送される輸送管路が使用される。
【0070】
加熱除去部71が、輸送前の段階でタール分を除去できるので、輸送管路でのタール分の付着を防止できる効果が高い。熱風生成部8の熱を利用した加熱除去部71を備えることで、輸送や設備100に用いられるよりずっと早い初期の段階で、タール分の除去を行える。
【0071】
また、加熱によるタール分の除去は、効率が高い。このため、最初の段階に加熱除去部71によるタール分の除去が実行されることは、タール除去装置7において、大変効率が良い。
【0072】
(表面燃焼バーナー)
表面燃焼バーナー72は、熱分解性ガスに熱を付与する。熱分解性ガス抽出装置20で抽出された熱分解性ガスは、輸送管路を通じて設備100に輸送される。設備100で熱分解性ガスが利用されるからである。この輸送の過程で、タール除去装置7は、熱分解性ガスに含まれるタール分を除去する。
【0073】
表面燃焼バーナー72は、輸送管路途中に設けられる。
図4は、本発明の実施の形態1における表面燃焼バーナーの一例の写真である。表面燃焼バーナー72の一例としてのメタルファイバーバーナーを示している。表面燃焼バーナー72は、表面に熱を生じさせて表面からの熱で加熱を行える。
【0074】
熱分解性ガスは、輸送管路を通って移動する。この輸送管路の途中に、表面燃焼バーナー72が設けられれば良い。熱分解性ガス抽出装置20から輸送管路を通って移動する熱分解性ガスは、この表面燃焼バーナー72を通過するときに熱の付与を受ける。これにより、熱分解性ガスが加熱されてタール分が除去される。
【0075】
輸送管路の途中において表面燃焼バーナー72が備わり、輸送管路を移動する熱分解性ガスに熱を付与してタール分を除去する。このように、通過途中での加熱によって熱分解性ガスからのタール分の除去が更に進む。
【0076】
特に、加熱除去部71の後で表面燃焼バーナー72でのタール分除去が行われることも好適である。このような順序であると、タール分除去が連続的となり効率的である。勿論、タール分除去の除去能力が高まるメリットもある。また、熱分解性ガスが通過する状態での加熱によるものなので、簡易な構成でのタール分除去が可能である。熱分解性ガスの輸送への影響も低くて済む。
【0077】
表面燃焼バーナー72は、本体表面が燃焼して本体表面を通過する熱分解性ガスに熱を付与できる。表面からの熱を付与する機能で、輸送過程の熱分解性ガスに熱付与できる。表面の熱での熱付与で、熱分解性ガスの含有するタール分が除去される。
【0078】
なお、表面燃焼バーナー72を通過する部分だけ、通過時間を長くするなどのバリエーションも好ましい。あるいは、表面燃焼バーナー72の備わる部分のみ、輸送管路を屈曲させたりすることも好ましい。加熱時間が増加して、タール分除去の効率が向上するからである。
【0079】
(シフト反応除去部)
シフト反応除去部73は、熱分解性ガスに水蒸気を付与してシフト反応を生じさせる。シフト反応除去部73は、熱分解性ガスに水蒸気を付与する。この水蒸気が付与されることで、タール分を二酸化炭素と水素に分解できる。
【0080】
これがシフト反応である。このシフト反応によって、タールは二酸化炭素と水素に分解できるので、タール分の除去が更に進む。
【0081】
図5は、本発明の実施の形態におけるシフト反応部によるタール除去を示す模式図である。熱分解性ガスに水蒸気を付与する機能を有している。タール分と水蒸気が化学反応を起こすと、二酸化炭素と水素に分解される。
【0082】
この化学反応での分解によって、タール分は別成分に変化する。この結果、タール分が除去されるのと同じことが生じる。このようにして、シフト反応除去部73は、熱分解性ガスから、更にタール分を除去できる。
【0083】
また、シフト反応除去部73は、他と異なり、加熱ではなく化学反応によってタール分を分解して除去する。このため、タール除去装置7全体としては、異なる方式でのタール除去を組み合わせることができるので、より高いレベルでのタール除去を実行できる。
【0084】
また化学反応をベースとしたタール除去であるので、加熱による他のタール除去と異なるメカニズムでの除去である。このため、お互いに補いながら確実なタール除去を行える。また、加熱による除去機構に不具合などが生じた場合でも、シフト反応除去部73による除去が残る点でのフェールセーフとなりえる。
【0085】
(吸着フィルター)
吸着フィルター74は、熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する。吸着フィルター74は、熱分解性ガスが輸送される輸送管路の途中に設けられる。単一の吸着フィルター74が設けられてもよいし、複数の吸着フィルター74が設けられてもよい。
【0086】
輸送管路の途中に吸着フィルター74が備わることで、輸送管路を移動する熱分解性ガスと接触する。この接触を介して吸着フィルター74が、熱分解性ガスに含まれるタール分を吸着する。
【0087】
吸着フィルター74によるタール分の吸着が行われて、熱分解性ガスに含まれるタール分の除去が更に進む。これにより、より高いレベルでのタール除去が行える。
【0088】
タール除去装置7は、加熱除去部71、表面処理バーナー72、シフト反応除去部73,吸着フィルター74を備える。多段的なタール除去の機構を備えることで、タール除去装置7での熱分解性ガスからのタール分の除去が確実に進む。多段的であり多面的であることで、タール分除去のレベルが向上するからである。
【0089】
また、加熱による除去、化学反応による除去、吸着フィルター74による物理的除去、の異なるメカニズムが組み合わさっている。このようなハイブリッドな除去により、タール分の除去の効率やレベルを上げることができる。また、いずれかのメカニズムでの除去が不十分であったり不具合があったりしても、他のメカニズムの機構が除去できる。
【0090】
これらのような異なるメカニズムのタール除去が組み合わさっていることで、タール除去のレベルを向上させることができる。
【0091】
ここで、熱分解性ガスに対して、加熱除去部71、表面処理バーナー72、シフト反応除去部73、吸着フィルター74の順序で備わることも好適である。この順番であることで、熱分解性ガスからのタール除去の効率やレベルを上げることができる。
【0092】
まず、熱分解性ガスが生じた場所の近接場所で加熱除去部71が加熱する。これにより、熱分解性ガスが含むタールが除去できる。熱分解性ガスが発生した場所で加熱除去部71での除去が行われることで、熱分解性ガスの輸送前にタール除去ができる。これにより、輸送過程でのタール付着を抑えることができる。
【0093】
これに引き続き、輸送管路の途中に設けやすい表面燃焼バーナー72が加熱によるタール除去を行うことで、更にタール分を除去できる。これに続いて、輸送管路に設けやすい化学反応を基礎とするシフト反応除去部73が加熱ではない化学反応でのタール除去を行う。
【0094】
燃焼で除去しきれなかったタールがシフト反応除去部73により除去される。
【0095】
更に、その後で吸着による除去もされることで、漏れ落ちたタールも除去される。除去された上で、燃焼部5での燃焼に用いられるので、燃焼部5、発電部6などへのタール付着を防止できる。
【0096】
結果として、熱分解性ガスの含むタール分が除去されてガスタービンエンジンやガスタービン発電装置などの各種の設備100で、利用できる。この利用時において、タール分の付着や固着を低減できる。これにより、設備100でのタール由来の問題を解決できる。すなわち、タール付着による能力低下やメンテナンスや修理の頻発による稼働停止を抑制できる。
【0097】
このように、実施の形態1のタール除去装置7は、燃料から抽出された熱分解性ガスからタール分を効率的に除去する。この除去により、熱分解性ガスを設備100に利用しても、タール付着などの問題を防止することができる。結果として、廃棄物などを燃料とする設備稼働ができ、リサイクル社会に寄与できる。
【0098】
(実施の形態2)
【0099】
次に、実施の形態2について説明する。
【0100】
実施の形態2では、実施の形態1で説明されたタール除去装置7が、発電装置に用いられる場合について説明する。
【0101】
図6は、本発明の実施の形態2における発電装置のブロック図である。発電装置1の要素を分かりやすく構成して示したものである。
【0102】
発電装置1は、熱分解部2、燃料供給部3、熱風供給部4、燃焼部5、発電部6、タール除去装置7を備える。熱分解部2、燃料供給部3、熱風供給部4、燃焼部5、発電部6、タール除去装置7は、それぞれ必要な処理を実行するために繋がっている。
【0103】
なお、熱分解部2は、実施の形態1で説明した熱分解性ガス抽出装置20と同様の要素である。また、タール除去装置7は、実施の形態1で説明したタール除去装置7が、発電装置1に組み込まれたものである。なお、組み込まれたとは物理的に組み込まれていることに限定されるのではなく、機能的に組み込まれていることでもよい。
【0104】
熱分解部2は、燃料を加熱することで、燃料から熱分解性ガスを抽出する。熱分解性ガスは、その後に燃焼されてタービン61を回転させるエネルギーとして使用される。
【0105】
燃料が高温の空気である熱風を受けることで熱分解し、熱分解性ガスを抽出させることができる。熱分解部2は、燃料を熱風で加熱して、熱分解性ガスを抽出する。熱分解性ガスは、更に加熱されることで、高いエネルギーを持った気体となって、タービン61を効率的かつ十分に回転させることができる。
【0106】
燃料としては、バイオマス燃料、産業廃棄物、廃棄プラスチック、の少なくとも一つが用いられれば良い。勿論これら以外の種類の燃料が用いられてもよい。加熱されることで熱分解性ガスを発生させるものであれば、燃料の一つとして用いられる。
【0107】
もちろん、燃料がバイオマスや廃棄物であれば、発電装置を核とした地域のリサイクルと発電とを両立させることができる。この点では、廃棄物などの再利用が求められる種類の燃料であることも好ましい。
【0108】
燃料は燃料供給部3から供給される。燃料供給部3は、燃料を投入することを可能として、投入された燃料を熱分解部2に供給する。ホッパーのような機能に、供給機構などを備えていればよい。燃料供給部3は、運び込まれた燃料を、次々と熱分解部2に供給する。この連続的な供給により、熱分解部2において連続的に熱分解性ガスを抽出することができる。
【0109】
連続的に熱分解性ガスが抽出できれば、この熱分解性ガスを利用する発電部6での発電が、連続的に行われる。
【0110】
熱分解部2では、燃料に熱風が供給されることで、燃料から熱分解性ガスを抽出することができる。熱分解性ガスは、燃料に高温の空気である熱風が付与されると、燃料から抽出される。熱風は、加熱されて生じる高温の加熱空気である。加熱されて生じる高温の空気が、熱風として燃料に吹き付けられる。
【0111】
燃料において熱風による分解反応が生じる。この分解反応を通じて、燃料から熱分解性ガスが抽出される。熱分解性ガスは、燃焼部5で加熱されて高温となってエネルギー量を増加させる。これによりタービン61を回転させて発電ができる。
【0112】
熱風とあるが、風のような状態であることに限定されず、燃料を分解して熱分解性ガスを抽出させる高温空気であればよい。分解抽出を行える十分に高温の空気であればよい。
【0113】
熱風供給部4は、この熱風を熱分解部2に供給する。
【0114】
このようにして熱分解部2で抽出された熱分解性ガスは、次の工程に送られる。管路などが設けられており、この管路を通じて熱分解性ガスは、次の工程に移動できる。
【0115】
移動してきた熱分解性ガスは、燃焼部5に到達する。燃焼部5は、この熱分解性ガスを燃焼加熱する。燃焼して加熱することで、熱分解性ガスは温度上昇して高温燃焼ガスとなる。すなわち、燃焼部5は、熱分解性ガスを燃焼させて高温燃焼ガスを生成する。
【0116】
高温燃焼ガスは、熱分解ガスに対してエネルギー量が増加している。温度上昇によりエネルギー量が増加するからである。このエネルギー量の増加した高温燃焼ガスは、発電部6に移動する。発電部6は、タービン61を備えている。高温燃焼ガスは、タービン61を回転させる。このタービン61の回転により、電力を生成できる。すなわち、発電部6は発電を行う。
【0117】
熱分解性ガスが燃焼加熱されて高温燃焼ガスとなって、エネルギー量が増加している。これがタービン61を効率よく十分に回転させるので、発電が効率よく行われる。
【0118】
また、発電部6は、高温燃焼ガスを用いてタービン61を回転させることで発電する。熱交換器を用いていないので、発電部6の小型化を図ることができる。結果として、発電装置1全体の小型化や低コスト化を実現できる。
【0119】
タール除去装置7は、熱分解性ガスが含むタール分を除去する。これは、実施の形態1で説明したことと同様である。
【0120】
タール除去装置7は、この問題に対応するために、熱分解性ガスからタール分を除去できる。これにより、タール分を含む熱分解性ガスによる従来のような問題を解決できる。タール分が除去されて移動してタービン61を回転させるので、タール付着を抑制でき、発電能力の低下や、メンテナンスによる発電効率の低下などを防止できる。また、メンテナンスコストも低下させることができる。
【0121】
本発明の発電装置1は、熱分解性ガスを利用しつつ、これのタール分除去を行うことで、従来技術の諸問題を解決できる。
【0122】
次に、各部の詳細などについて説明する。
【0123】
(熱風生成部)
発電装置1は、熱風を生成する熱風生成部8を更に備える。熱風生成部8は、燃料へ付与する熱風を生成する。熱風生成部8は、燃焼バーナーなどにより熱風を生成する。熱風生成部8は、燃焼に必要となる燃料剤を用いて熱風を生成する。
【0124】
例えば、バイオマス燃料などが用いられて燃焼させる燃焼バーナーなどが、熱風生成部8に用いられれば良い。燃焼バーナーなどでの燃焼により空気が加熱される。加熱された高温になった加熱空気が、熱風となる。この生成された熱風が、熱風供給部4から供給される。
【0125】
このため、熱風生成部8と熱風供給部4とは、一体の要素であってもよい。
【0126】
熱風生成部8での十分高温な熱風が生成できると、熱分解部2での燃料からの熱分解性ガスの抽出が効率的になる。このため、熱風生成部8の燃焼が効率的であることで、熱分解性ガスの抽出効率も高まる。
【0127】
(熱分解部)
【0128】
熱分解部2は、燃料に熱風を付与することで、燃料から熱分解性ガスを抽出する。熱風供給部4からの熱風と、燃料供給部3からの燃料とが、効率的に混合される構造を有する。
【0129】
この構造の中で、燃料には熱風が効率的に付与される。燃料が熱風によって分解反応を示す。この分解反応を通じて、燃料から熱分解性ガスが抽出される。熱分解部2は、抽出した熱分解性ガスを、燃焼部5に向けて送出する。管路などを介して輸送がなされればよい。
【0130】
(燃焼部)
燃焼部5は、熱分解性ガスを加熱燃焼させる。燃焼部5は、外気を取り込む外気取り込み部52を有している。燃焼部5は、外気取り込み部52から取り込まれた外気を熱分解性ガスによる燃焼で温度上昇させる。この温度上昇した外気が、高温燃焼ガスとなる。
【0131】
外気が燃焼させられて高温燃焼ガスとなる過程での温度上昇に伴って、高温燃焼ガスはエネルギー量を高くしている。このエネルギー量が高くなった高温燃焼ガスが、タービン61を回転させることができる。
【0132】
このとき、エネルギー量が大きくなっているので、高温燃焼ガスは、効率よくタービン61を回転させることができる。特に、発電を十分に行えるエネルギーでの回転をさせる。
【0133】
タービン61が連続的に回転することで、発電が行われる。熱分解部2での熱分解性ガスの抽出が次々となされれば、タービン61には、連続的に高温燃焼ガスが供給される。この結果、タービン61は連続的に回転し、発電部6は、継続的な発電を実現できる。
【0134】
(発電部)
発電部6は、タービン61を備えており、この回転によって電力を生成する。タール除去装置7によりタール分が除去された熱分解性ガスが用いられるので、発電部などへのタール付着も低減されるので、発電能力の低下もない。
【0135】
この結果、発電部6は、発電を実現する。発電されることで、バイオマス燃料や廃棄物を燃料とする発電が行われる。熱交換器を用いないので、小型化なども実現できる。小型化が実現できれば、廃棄物などが発生しつつ需要のある地域での発電が実現できる。
【0136】
発電装置1が、地域のリサイクルシステムの核となることもできる。発電部6が発電した電力は、蓄電池に蓄電されたり、送電線に載せて送電されたりすることで、利用可能となる。
【0137】
また、公共施設では、地域の防災拠点として活用される。例えば、地域の大規模停電時などに、発電装置1が公共施設などに設置されて利用されることも好適である。例えば、自治体庁舎、学校、道の駅などに大規模停電時へ対応する非常時の自立型発電を行うために、発電装置1が設置される。
【0138】
また、蓄電池と廃熱ボイラーを追加することで、熱電供給装置としての利用も可能である。
【0139】
以上、実施の形態で説明された発電装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0140】
1 発電装置
2 熱分解部
3 燃料供給部
4 熱風供給部
5 燃焼部
6 発電部
61 タービン
7 タール除去装置
71 加熱除去部
72 表面燃焼バーナー
73 シフト反応除去部
74 吸着フィルター
8 熱風生成部