(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128128
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
E04B 2/96 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032259
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 麻子
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB01
2E002PA01
2E002QA01
2E002QB01
2E002QB07
2E002QC05
2E002UA01
2E002UB02
2E002WA01
2E002XA07
(57)【要約】
【課題】カーテンウォールの複数の方立の水平方向の揺れを抑制可能としつつ、カーテンウォールの意匠性を向上させる。
【解決手段】カーテンウォール1は、互いに間隔をあけて設置される鋼製の複数の方立30と、複数の方立30の室外側で複数の方立30にわたって配置されて、複数の方立30のそれぞれに連結された無目材50と、無目材50の上方と下方のそれぞれに保持されたパネル体20と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて設置される鋼製の複数の方立と、
前記複数の方立の室外側で前記複数の方立にわたって配置されて、前記複数の方立のそれぞれに連結された無目材と、
前記無目材の上方と下方のそれぞれに保持されたパネル体と、
を備えたカーテンウォール。
【請求項2】
請求項1に記載されたカーテンウォールにおいて、
前記無目材の長手方向の両側の端部は、建物の躯体に連結されるカーテンウォール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたカーテンウォールにおいて、
前記無目材は、上方に保持された前記パネル体の下側の横縁部と下方に保持された前記パネル体の上側の横縁部を室外側に向かって露出させた状態で、前記下側の横縁部と前記上側の横縁部の間に配置されたカーテンウォール。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたカーテンウォールにおいて、
前記方立は、室外側に向かって開放されて前記方立の長手方向に延びる溝部を有し、
前記無目材に固定され、前記溝部内に取り付けられて、前記無目材を前記方立に連結する連結材を備えたカーテンウォール。
【請求項5】
請求項4に記載されたカーテンウォールにおいて、
前記方立に連結されて、前記方立の室外側で前記パネル体の縦縁部を保持する縦押縁と、
前記連結材の上方と下方に位置して、前記溝部内に取り付けられた取付材と、を備え、
前記縦押縁は、前記取付材に取り付けられて、前記方立に連結されたカーテンウォール。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたカーテンウォールにおいて、
前記方立に連結されて、前記方立の室外側で前記パネル体の縦縁部を保持する縦押縁を備えたカーテンウォール。
【請求項7】
請求項5又は6に記載されたカーテンウォールにおいて、
前記縦押縁は、前記無目材が挿通する挿通部と、前記パネル体の縦縁部の室外側に配置されて前記パネル体の縦縁部を保持するとともに前記無目材の室外側に配置される保持部と、を有するカーテンウォール。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載されたカーテンウォールにおいて、
前記縦押縁に固定されて、前記パネル体の角部と対向して配置される緩衝材を備えたカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方立とパネル体を備えたカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁部に設置されるカーテンウォールとして、複数の方立を備えたカーテンウォールが知られている。また、建物の吹き抜け部のように上下方向の寸法が大きい箇所の壁部では、方立の上下方向の長さも長くなるため、鋼製の方立を用いて、方立及びカーテンウォールの強度を確保することがある。方立の室外側には、例えば、カーテンウォールユニットが配置されて、カーテンウォールユニットの枠体(サッシ)が方立に連結される。方立は、カーテンウォールユニットを支持しつつ、カーテンウォールに作用する外力を受ける。
【0003】
地震等の振動が方立に作用したときに、方立は、振動に伴う水平方向の外力を受けて、水平方向に揺れる。また、上下方向に長い方立では、長さに応じて、水平方向の揺れによる撓みへの対処が求められる。特に、自重が重い鋼製の方立では、座屈への対処のため、水平方向の揺れへの対処が重要となる。これに対し、従来、スチール方立同士を補鋼材により連結して、スチール方立の撓みを抑制するカーテンウォールが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された従来のカーテンウォールでは、アルミ方立がスチール方立の室外側面に連結されて、ガラスパネルがアルミ方立に取り付けられている。また、補鋼材は、ガラスパネルの室内側に配置されて、スチール方立に取り付けられている。このように従来のカーテンウォールでは、アルミ方立がガラスパネルの室外側及び室内側で露出し、補鋼材がガラスパネルの室内側で露出しており、内観及び外観における意匠性の観点から改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、カーテンウォールの複数の方立の水平方向の揺れを抑制可能としつつ、カーテンウォールの意匠性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
互いに間隔をあけて設置される鋼製の複数の方立と、
前記複数の方立の室外側で前記複数の方立にわたって配置されて、前記複数の方立のそれぞれに連結された無目材と、
前記無目材の上方と下方のそれぞれに保持されたパネル体と、
を備えたカーテンウォールである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カーテンウォールの複数の方立の水平方向の揺れを抑制可能としつつ、カーテンウォールの意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のカーテンウォールを示す正面図である。
【
図2】本実施形態のカーテンウォールを示す縦断面図である。
【
図3】本実施形態のカーテンウォールを示す横断面図である。
【
図4】
図1のX1-X1線で切断した本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
【
図5】
図1のX2-X2線で切断した本実施形態のカーテンウォールの縦断面図である。
【
図6】本実施形態の方立の長手方向に沿って切断したカーテンウォールの縦断面図である。
【
図7】
図6のX3-X3線で切断した本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカーテンウォールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーテンウォールは、ノックダウン方式のカーテンウォールであり、建物の施工現場で組み立てられる。カーテンウォールは、建物の壁部に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置され、建物の壁部を形成する。
【0011】
図1は、本実施形態のカーテンウォール1を示す正面図であり、建物10の壁部11に設置されたカーテンウォール1を室外側からみて示している。
図2は、本実施形態のカーテンウォール1を示す縦断面図であり、
図3は、本実施形態のカーテンウォール1を示す横断面図である。
図1~
図3では、カーテンウォール1の周辺に位置する建物10の一部を示している。
図示のように、カーテンウォール1は、建物10の躯体に取り付けられて、建物10の壁部11の開口部12に設置され、建物10の壁部11及び壁面を形成する。建物10の壁部11は、建物10の吹き抜け部の外壁部であり、壁部11の開口部12は、上下方向の寸法が大きくなっている。
【0012】
なお、建物10に設置したカーテンウォール1を正面からみたときに(
図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。
図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向(
図2、
図3参照)は、建物10に設置したカーテンウォール1における室内外方向(屋内外方向)である。また、室内外方向は、建物10に設置したカーテンウォール1を正面からみたときに、前後となる方向であり、
図1では、左右方向に直交する水平方向である。このように、カーテンウォール1に関する方向は、建物10に設置した状態での方向で特定する。また、カーテンウォール1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置した状態での室内側、室外側である。
【0013】
カーテンウォール1は、複数の開口部2(上開口部2A、下開口部2B)と、開口部2に配置された複数のパネル体20(上パネル体20A、下パネル体20B)と、建物10の躯体に取り付けられた複数の方立30と、方立30の上端部に連結された上枠40と、方立30の下端部に連結された下枠41と、複数の方立30の室外側に位置する無目材50を備えている。開口部2は、方立30、上枠40、下枠41、及び、無目材50により方形状に形成されている。パネル体20は、方形状のパネル状部材であり、複数の開口部2のそれぞれに配置されている。また、パネル体20は、開口部2に固定された固定パネル体である。複数の開口部2は、上下方向と左右方向に並べて形成され、複数のパネル体20は、上下方向と左右方向に並べて配置されている。
【0014】
方立30は、上下方向(縦方向)に延びる縦材であり、複数の開口部2のそれぞれの左右の側方に位置している。複数の方立30は、建物10の開口部12で、左右方向に互いに間隔をあけて設置される。複数の方立30のそれぞれの上端部と下端部は、建物10の躯体に取り付けられる。また、複数の方立30のうちの2つの端の方立30Aは、方立30Aの上端部と下端部の間で、建物10の躯体に取り付けられる。2つの端の方立30Aは、複数の方立30のうちで左右方向の両側の端(一方側の端と他方側の端)に位置する方立30であり、建物10の躯体である壁体13に取り付けられる。複数の方立30は、左右方向に互いに離隔し、互いの間に開口部2を挟んで、建物10の壁部11(開口部12)に左右方向に順に並べて設置される。
【0015】
上枠40と下枠41は、左右方向(横方向)に延びる横材である。上枠40は、無目材50よりも上側に位置し、建物10の開口部12の上縁部に配置される。下枠41は、無目材50よりも下側に位置し、建物10の開口部12の下縁部に配置される。無目材50は、左右方向に延びる横繋ぎ材であり、左右方向において、複数の方立30を互いに繋いで連結する。また、無目材50は、上下方向において、上枠40と下枠41の間に位置している。建物10の開口部12で、無目材50と上枠40は、上下方向に互いに間隔をあけて設置され、無目材50と下枠41は、上下方向に互いに間隔をあけて設置される。上枠40、無目材50、及び、下枠41は、上下方向に互いに離隔し、互いの間に開口部2を挟んで、建物10の壁部11(開口部12)に上下方向に順に並べて設置される。
【0016】
カーテンウォール1の複数の開口部2は、互いの間に方立30を挟んで、左右方向に並べて形成されるとともに、互いの間に無目材50を挟んで、上下方向に並べて形成されている。また、開口部2は、左右方向に隣り合う方立30の間に形成されている。隣り合う方立30の間のそれぞれで、開口部2は、無目材50の上側(無目材50と上枠40の間)、及び、無目材50の下側(無目材50と下枠41の間)に形成されている。開口部2は、上下方向において、無目材50の両側に位置しており、無目材50は、上下の開口部2の間、及び、上下のパネル体20の間に位置している。
【0017】
パネル体20は、左右方向において、隣り合う方立30の間の開口部2に配置され、上下方向において、無目材50の両側の開口部2に配置されている。カーテンウォール1の複数の開口部2のうち、上開口部2Aは、無目材50の上側に形成される開口部2であり、下開口部2Bは、無目材50の下側に形成される開口部2である。上開口部2Aは、上下方向に隣り合う無目材50と上枠40の間に形成され、下開口部2Bは、上下方向に隣り合う無目材50と下枠41の間に形成されている。
【0018】
カーテンウォール1の複数のパネル体20のうち、上パネル体20Aは、上開口部2Aに配置されるパネル体20であり、下パネル体20Bは、下開口部2Bに配置されるパネル体20である。上開口部2A及び上パネル体20Aは、無目材50の上方に位置し、上パネル体20Aは、無目材50の上方に保持されている。下開口部2B及び下パネル体20Bは、無目材50の下方に位置し、下パネル体20Bは、無目材50の下方に保持されている。無目材50は、上開口部2Aと下開口部2Bの間、及び、上パネル体20Aと下パネル体20Bの間に位置している。上パネル体20Aは、左右の方立30と上方の上枠40に保持され、上開口部2Aに固定されている。下パネル体20Bは、左右の方立30と下方の下枠41に保持され、下開口部2Bに固定されている。
【0019】
パネル体20は、4つの縁部21~24(2つの縦縁部21、22、2つの横縁部23、24)を有している。縦縁部21、22は、パネル体20の左右の側部に位置する縁部(第1縦縁部21、第2縦縁部22)であり、上下方向(縦方向)に延びる。横縁部23、24は、パネル体20の上部と下部に位置する縁部(第1横縁部23、第2横縁部24)であり、左右方向(横方向)に延びる。また、第1横縁部23は、パネル体20の上縁部であり、第2横縁部24は、パネル体20の下縁部である。
【0020】
縦縁部21、22は、それぞれ方立30に保持され、方立30に沿って方立30の長手方向(上下方向)に延びる。上パネル体20Aの第1横縁部23は、上枠40に保持され、上枠40に沿って上枠40の長手方向(左右方向)に延びる。下パネル体20Bの第2横縁部24は、下枠41に保持され、下枠41に沿って下枠41の長手方向(左右方向)に延びる。上パネル体20Aの第2横縁部24と下パネル体20Bの第1横縁部23は、それぞれ上下方向において無目材50と対向し、無目材50に沿って無目材50の長手方向(左右方向)に延びる。
【0021】
無目材50と複数の方立30は、それぞれ鋼製であり、互いに連結されている。無目材50は、複数の方立30の上端部と下端部の間の1箇所又は複数箇所に設けられ、各箇所で左右方向に延びて、複数の方立30を左右方向に繋ぐ。ここでは、1つの無目材50が複数の方立30の長手方向の中央部に設けられている。無目材50は、複数の方立30の室外側で、複数の方立30の全体にわたって連続して配置されて、複数の方立30のそれぞれに連結されている。無目材50は、複数の方立30において一方側の端の方立30Aから他方側の端の方立30Aまで連続して延び、複数の方立30の長手方向の中央部に連結されて、複数の方立30の全体にわたって架け渡されている。
【0022】
無目材50の長手方向の両側の端部51は、直接又は間接に、それぞれ建物10の躯体(ここでは、壁体13)に連結されて、建物10の壁体13に支持されている。ここでは、無目材50の両側の端部51は、複数の方立30のうちの両側の端の方立30Aにそれぞれ取り付けられて、方立30Aを介して、建物10の壁体13に間接に連結される。これに対し、無目材50の両側の端部51は、それぞれ建物10の壁体13に取り付けられて、建物10の壁体13に直接に連結されてもよい。無目材50は、建物10の壁体13に支持された状態で、左右方向において、複数の方立30を拘束する。
【0023】
図4は、
図1のX1-X1線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の横断面図であり、1つの方立30の周辺部分を示している。
図示のように、パネル体20は、板状のガラスを有するガラスパネル体(ここでは、複層ガラス)であり、方立30よりも室外側に位置している。また、パネル体20の左右の縦縁部21、22は、左右の方立30のそれぞれの室外側に位置し、複数の方立30は、それぞれパネル体20よりも室内側に位置している。左右方向に隣り合うパネル体20のうち、一方のパネル体20の第1縦縁部21と他方のパネル体20の第2縦縁部22は、共通の方立30の室外側に位置して、共通の方立30に保持されている。
【0024】
複数の方立30は、それぞれ、室外側に位置する室外側部31と、室外側部31に形成された溝部32を有している。室外側部31は、方立30の室外側の見付け部であり、室外側に向けて配置されている。溝部32は、断面方形状の凹部であり、方立30の見付け方向(左右方向)における室外側部31の中央部に凹状(溝状)に形成されている。溝部32は、方立30の長手方向に延び、方立30の長手方向の全体にわたって連続して形成されている。溝部32は、方立30の室外側部31に室内側に向かって窪んで形成されて、方立30の室外側部31から室外側に向かって開放されている。
【0025】
カーテンウォール1は、方立30の溝部32内に取り付けられた取付材60と、パネル体20の縦縁部21、22を保持する縦押縁70と、縦押縁70に固定された緩衝材3を備えている。取付材60は、溝部32内に配置されるアタッチメント(取付アタッチメント)であり、室外側から溝部32に挿入されて、溝部32内に収容される。また、取付材60は、方立30に固定される固定部61と、固定部61から室外側に突出する2つの取付部62を有している。
【0026】
方立30の溝部32内で、ネジ42により、取付材60の固定部61が方立30(溝部32)に固定されて、取付材60が方立30に取り付けられる。2つの取付部62は、それぞれ縦押縁70を係止する2つの係止部63を有し、左右方向において互いに対向する。2つの係止部63は、室内側に向かって突出する引っ掛け部であり、室内外方向に互いに離隔して形成されている。係止部63は、2つの取付部62の互いに対向する部分のそれぞれに形成され、2つの取付部62の係止部63は、左右方向において互いに対向する。
【0027】
縦押縁70は、取付材60により、複数の方立30のそれぞれに連結されて、複数の方立30のそれぞれの室外側で、パネル体20の縦縁部21、22を保持する。また、縦押縁70は、左右方向の両側に突出する保持部71と、保持部71から室内側に突出する突壁部72と、突壁部72から左右方向の一方側に突出する2つの被係止部73を有している。保持部71は、突壁部72の室外側の端部に接続し、2つの被係止部73は、突壁部72の室内側の部分に接続している。
【0028】
突壁部72は、パネル体20よりも室外側の位置から、パネル体20の縦縁部21、22の端面に沿って室内側に向かって延びる。また、突壁部72は、左右のパネル体20の縦縁部21、22の間の位置を通過して、方立30の溝部32内の位置まで延びる。突壁部72は、左右方向において、パネル体20の縦縁部21、22から離隔して、パネル体20の縦縁部21、22に隣接して配置され、パネル体20の縦縁部21、22と対向している。
【0029】
突壁部72の室内側の部分及び2つの被係止部73は、方立30の溝部32内で、取付材60の2つの取付部62の間に配置される。縦押縁70の2つの被係止部73は、2つの取付部62のうちの一方の取付部62の係止部63にそれぞれ引っ掛けられて、取付部62の係止部63に係止される。縦押縁70は、被係止部73により、係止部63に係止されて、取付材60の係止部63及び取付部62に取り付けられる。縦押縁70は、方立30の溝部32内で、取付材60に取り付けられて、取付材60により、方立30に連結されている。取付材60は、縦押縁70が方立30から室外側に向かって突出する状態で、縦押縁70を保持する。
【0030】
縦押縁70の保持部71は、左右方向に沿って配置される保持壁であり、方立30及びパネル体20の縦縁部21、22の室外側に位置している。縦押縁70及び縦押縁70の各部71~73は、方立30及びパネル体20の縦縁部21、22に沿って方立30の長手方向に延びる。パネル体20の縦縁部21、22は、室内外方向において、方立30と保持部71の間に配置されて、方立30と保持部71に保持される。縦押縁70は、保持部71により、パネル体20の縦縁部21、22を室外側において保持する。緩衝材3は、縦押縁70の突壁部72に固定され、左右方向において、パネル体20の上側と下側の角部から離隔して、パネル体20の上側と下側の角部のそれぞれと対向して配置される。また、緩衝材3は、縦押縁70の突壁部72の左右方向の両側に設けられて、左右方向に隣り合うパネル体20の間に配置される。
【0031】
図5は、
図1のX2-X2線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の縦断面図であり、無目材50の周辺部分を示している。
図示のように、パネル体20(20A、20B)は、無目材50の上方と下方のそれぞれに位置している。パネル体20は、無目材50の上方と下方のそれぞれに保持されて、上下方向において、互いの間に無目材50を挟んで隣り合う。無目材50は、上下方向において、上パネル体20Aと下パネル体20Bの間に配置されて、セッティングブロック43を介して、上パネル体20Aの荷重を受ける。
【0032】
上パネル体20Aの無目材50側(下側)の第2横縁部24は、無目材50の上方に位置し、下パネル体20Bの無目材50側(上側)の第1横縁部23は、無目材50の下方に位置している。セッティングブロック43が無目材50(上面)に載置されて、上パネル体20Aがセッティングブロック43に載置されている。その状態で、セッティングブロック43は、無目材50と上パネル体20Aの第2横縁部24の間に配置されている。
【0033】
無目材50は、上パネル体20Aの第2横縁部24(第2横縁部24の下端面)と下パネル体20Bの第1横縁部23(第1横縁部23の上端面)の間の箇所に設けられており、上下のパネル体20A、20Bの室外側及び室内側には配置されない。そのため、無目材50は、上パネル体20Aの第2横縁部24と下パネル体20Bの第1横縁部23を少なくとも室外側に向かって露出させた状態で、上パネル体20Aの第2横縁部24と下パネル体20Bの第1横縁部23の間に配置されている。上パネル体20Aの第2横縁部24は、無目材50よりも上方に位置し、下パネル体20Bの第1横縁部23は、無目材50よりも下方に位置している。上下のパネル体20A、20Bの横縁部23、24は、無目材50により室外側及び室内側から覆われずに、室外側及び室内側に露出する。
【0034】
無目材50とパネル体20の横縁部23、24の間には、バックアップ材44と止水材45が設けられている。止水材45がバックアップ材44により受けられて、シール材である止水材45により、無目材50とパネル体20の横縁部23、24の間の箇所が塞がれて止水される。カーテンウォール1は、無目材50に取り付けられた水切り46及び連結材80を備えている。水切り46は、ネジ47により、無目材50に取り付けられて、無目材50から室外側の斜め下方に向かって突出している。連結材80は、無目材50の室内側に位置し、方立30の溝部32内に配置されて、無目材50を方立30に連結している。
【0035】
図6は、本実施形態の方立30の長手方向に沿って切断したカーテンウォール1の縦断面図であり、無目材50及び連結材80が位置する箇所の方立30の溝部32を示している。
図7は、
図6のX3-X3線で切断した本実施形態のカーテンウォール1の横断面図であり、水切り46の記載を省略している。
図示のように、連結材80は、方立30の溝部32内に取り付けられた鋼製のブロック(連結ブロック)であり、溶接により、無目材50に固定されている。連結材80は、室外側から溝部32に挿入されて、溝部32内に収容される。方立30の溝部32内で、連結材80は、ネジ81により、方立30に取り付けられて、無目材50を方立30の溝部32に連結する。無目材50は、連結材80及び方立30から室外側に突出して、連結材80により保持される。
【0036】
方立30の溝部32内で、取付材60(
図4参照)は、連結材80の上方と下方に位置している。連結材80の上方と下方の取付材60は、上下方向において、互いの間に連結材80を挟んで配置されて、連結材80の上方と下方で、溝部32に沿って方立30の長手方向に延びる。連結材80は、上方と下方の取付材60に挟まれて、上方と下方の取付材60の間に配置されている。
【0037】
縦押縁70は、無目材50が挿通する挿通部74を有している。挿通部74は、縦押縁70の一部(ここでは、突壁部72)を切欠いて形成された切欠き部(挿通口)であり、縦押縁70の長手方向(上下方向)の端部に設けられて、縦押縁70の保持部71よりも室内側に位置している。挿通部74は、縦押縁70を左右方向に貫通して、左右方向に向かって開放されている。無目材50は、方立30の室外側の箇所で、挿通部74に配置されて、挿通部74を左右方向に挿通する。また、方立30の室外側の箇所で、無目材50及び連結材80は、縦押縁70の保持部71の室内側に配置されている。
【0038】
縦押縁70の保持部71は、無目材50よりも上方と下方の箇所で、パネル体20の縦縁部21、22の室外側に配置されて、パネル体20の縦縁部21、22を保持する。また、保持部71は、方立30の室外側の箇所で、挿通部74よりも室外側に位置し、無目材50及び連結材80の室外側に配置されている。方立30の室外側の箇所で、無目材50及び連結材80の少なくとも一部(全体又は一部)は、保持部71により室外側から覆われて、縦押縁70を室外側からみたときに、保持部71により遮蔽される。
【0039】
以上説明したカーテンウォール1では、無目材50が複数の方立30を繋ぐ横繋ぎ材として機能する。そのため、地震等の振動に伴う水平方向(左右方向)の外力を方立30が受けたときに、無目材50により、方立30を水平方向において支えて、方立30の水平方向の揺れを抑制することができる。これにより、方立30の撓み及び水平方向の変形を抑制して、方立30の座屈を防止することができる。また、パネル体20の室内側に横繋ぎ材を設ける必要がなく、パネル体20の横縁部23、24の間に無目材50が視認される。従って、複数の方立30の水平方向の揺れを抑制可能としつつ、カーテンウォール1の意匠性を向上させることができる。加えて、カーテンウォール1の部品数を削減することもできる。
【0040】
無目材50の両側の端部51を建物10の躯体に連結することで、無目材50により方立30をしっかりと支えて、方立30の水平方向の揺れ及び座屈を確実に抑制することができる。無目材50は、パネル体20の横縁部23、24を室外側に向かって露出させる。そのため、パネル体20の無目材50側の横縁部23、24が無目材50により室外側から覆われず、室外側からみたカーテンウォール1の意匠性を向上させることができる。方立30に連結された縦押縁70により、パネル体20の縦縁部21、22を方立30の室外側で安定して保持することができる。
【0041】
方立30の溝部32と連結材80により、方立30の室外側で、無目材50を方立30に簡単に連結することができる。連結材80を介して、無目材50を方立30に強固に連結することもできる。また、方立30の溝部32と取付材60により、方立30の室外側で、縦押縁70を方立30に簡単に連結することができる。取付材60を介して、縦押縁70を方立30に強固に連結することもできる。縦押縁70の保持部71により、方立30の室外側の箇所で、無目材50及び連結材80を覆って、室外側からみたカーテンウォール1の意匠性を向上させることができる。
【0042】
地震等の振動で、パネル体20の角部が縦押縁70に接触する位置まで変位したときには、パネル体20の角部は、緩衝材3に接触する。その際、緩衝材3により、パネル体20の角部の衝撃を緩和して、パネル体20の角部の損傷を抑制することができる。
【0043】
なお、無目材50の両側の端部51は、方立30又は方立30以外の部材を介して建物10の躯体に間接に連結してもよく、建物10の躯体に直接に連結してもよい。また、複数の方立30の長手方向の中央部以外の箇所に無目材50を設けてもよい。1つの無目材50のみを複数の方立30に連結してもよく、複数の無目材50を複数の方立30に連結してもよい。複数の無目材50は、上下方向に互いに間隔をあけて、上下方向に並べて配置される。上下方向に隣り合う無目材50の間の開口部2では、パネル体20は、上方と下方の無目材50の間に配置される。無目材50は、種々の鋼(例えば、炭素鋼、特殊鋼、ステンレス鋼)製に限定されず、鋼以外の材質(例えば、アルミニウム合金)製であってもよく、条材又はパイプ材(例えば、角パイプ材)であってもよい。
【0044】
パネル体20は、縦押縁70を介して、方立30に保持される。これに対し、例えば、パネル体20は、横押縁を介して、無目材50、上枠40、及び、下枠41のそれぞれに保持してもよい。この場合には、横押縁は、無目材50、上枠40、及び、下枠41のそれぞれに連結されて、無目材50、上枠40、及び、下枠41のそれぞれの室外側でパネル体20の横縁部23、24を保持する。このように、保持材である各種の押縁により、パネル体20の縁部を保持して、パネル体20を無目材50の上方と下方のそれぞれに保持することができる。
【0045】
以上のとおり、カーテンウォールは、
互いに間隔をあけて設置される鋼製の複数の方立と、
前記複数の方立の室外側で前記複数の方立にわたって配置されて、前記複数の方立のそれぞれに連結された無目材と、
前記無目材の上方と下方のそれぞれに保持されたパネル体と、
を備えたカーテンウォールである。
従って、無目材により、カーテンウォールの複数の方立の水平方向の揺れを抑制可能としつつ、カーテンウォールの意匠性を向上させることができる。
【0046】
前記無目材の長手方向の両側の端部は、建物の躯体に連結される。
従って、無目材により方立をしっかりと支えて、方立の水平方向の揺れを確実に抑制することができる。
【0047】
前記無目材は、上方に保持された前記パネル体の下側の横縁部と下方に保持された前記パネル体の上側の横縁部を室外側に向かって露出させた状態で、前記下側の横縁部と前記上側の横縁部の間に配置される。
従って、パネル体の無目材側の横縁部が無目材により室外側から覆われず、室外側からみたカーテンウォールの意匠性を向上させることができる。
【0048】
前記方立は、室外側に向かって開放されて前記方立の長手方向に延びる溝部を有し、
カーテンウォールは、前記無目材に固定され、前記溝部内に取り付けられて、前記無目材を前記方立に連結する連結材を備える。
従って、方立の溝部と連結材により、方立の室外側で、無目材を方立に簡単に連結することができる。
【0049】
カーテンウォールは、
前記方立に連結されて、前記方立の室外側で前記パネル体の縦縁部を保持する縦押縁と、
前記連結材の上方と下方に位置して、前記溝部内に取り付けられた取付材と、を備え、
前記縦押縁は、前記取付材に取り付けられて、前記方立に連結される。
従って、方立の溝部と取付材により、方立の室外側で、縦押縁を方立に簡単に連結することができる。
【0050】
カーテンウォールは、前記方立に連結されて、前記方立の室外側で前記パネル体の縦縁部を保持する縦押縁を備える。
従って、方立に連結された縦押縁により、パネル体の縦縁部を方立の室外側で安定して保持することができる。
【0051】
前記縦押縁は、前記無目材が挿通する挿通部と、前記パネル体の縦縁部の室外側に配置されて前記パネル体の縦縁部を保持するとともに前記無目材の室外側に配置される保持部と、を有する。
従って、縦押縁の保持部により、方立の室外側の箇所で、無目材を覆って、室外側からみたカーテンウォールの意匠性を向上させることができる。
【0052】
カーテンウォールは、前記縦押縁に固定されて、前記パネル体の角部と対向して配置される緩衝材を備える。
従って、パネル体の角部が縦押縁に接触する位置まで変位したときに、緩衝材により、パネル体の角部の衝撃を緩和して、パネル体の角部の損傷を抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・カーテンウォール、2・・・開口部、2A・・・上開口部、2B・・・下開口部、3・・・緩衝材、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・開口部、13・・・壁体、20・・・パネル体、20A・・・上パネル体、20B・・・下パネル体、21・・・第1縦縁部、22・・・第2縦縁部、23・・・第1横縁部、24・・・第2横縁部、30・・・方立、30A・・・端の方立、31・・・室外側部、32・・・溝部、40・・・上枠、41・・・下枠、42・・・ネジ、43・・・セッティングブロック、44・・・バックアップ材、45・・・止水材、46・・・水切り、47・・・ネジ、50・・・無目材、51・・・端部、60・・・取付材、61・・・固定部、62・・・取付部、63・・・係止部、70・・・縦押縁、71・・・保持部、72・・・突壁部、73・・・被係止部、74・・・挿通部、80・・・連結材、81・・・ネジ。