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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012813
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】帳票連続紙
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230119BHJP
   B42D 15/04 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G06K19/077 300
G06K19/077 220
G06K19/077 264
B42D15/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116521
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
(72)【発明者】
【氏名】新美 則明
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】福島 悠人
(72)【発明者】
【氏名】藤林 城司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋二
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 淳
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(57)【要約】
【課題】RFIDが貼付された帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙にあって、帳票紙片におけるRFIDラベルの貼付可能範囲が制限されている場合でも、RFIDラベルのICチップに加わる圧力を好適に低減し得る構成を提供する。
【解決手段】帳票紙片を第一のRFIDラベル11aが貼付された第一群の帳票紙片と、第二のRFIDラベル11bが貼付された第二群の帳票紙片とで構成する。そして、第二のRFIDラベル11bで、アンテナ16及びICチップ15を第一のRFIDラベル11aよりも所定方向にずらして配置することにより、第一のRFIDラベル11aと第二のRFIDラベル11bが積層方向に重なり、かつ、第一のRFIDラベル11aのICチップ15と第二のRFIDラベル11bのICチップ15が積層方向に重ならないようにする。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に連続する複数の帳票紙片を備え、前記帳票紙片の境界で蛇腹状に折り返すことにより、前記帳票紙片が一片ずつ又は複数片ずつ折り重ねられた帳票連続紙であって、
前記各帳票紙片の一側紙面には、アンテナと、該アンテナに接続されたICチップとを備えるRFIDラベルが貼付されており、
積層方向に同じ向きで重なり合う複数の前記帳票紙片は、第一のRFIDラベルが貼付された第一群の帳票紙片と、第二のRFIDラベルが貼付された第二群の帳票紙片と
を含み、
前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルは、同じ前記アンテナ及び前記ICチップを具備し、同じ平面形状を有するものであり、
前記第二のRFIDラベルでは、前記アンテナ及び前記ICチップが前記第一のRFIDラベルよりも所定方向にずらして配置され、
積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルの一部又は全部が積層方向に重なり、かつ、前記第一のRFIDラベルの前記ICチップと前記第二のRFIDラベルの前記ICチップが積層方向に重ならないように配置されていることを特徴とする帳票連続紙。
【請求項2】
前記RFIDラベルは、インレット基材の一面側に、前記アンテナと、前記アンテナに接続された前記ICチップを配設してなるRFIDインレットを備え、
前記第二のRFIDラベルでは、前記第一のRFIDラベルと同じRFIDインレットが、前記第一のRFIDラベルよりも前記所定方向にずらして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の帳票連続紙。
【請求項3】
前記RFIDラベルは、インレット基材の一面側に、前記アンテナと、前記アンテナに接続された前記ICチップを配設してなるRFIDインレットを備え、
前記第一のRFIDラベルの前記RFIDインレットと、前記第二のRFIDラベルの前記RFIDインレットは、前記インレット基材の平面形状が同じであり、
前記第二のRFIDラベルの前記RFIDインレットでは、前記第一のRFIDラベルの前記RFIDインレットよりも、前記インレット基材に対して前記アンテナ及び前記ICチップが前記所定方向にずらして配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帳票連続紙。
【請求項4】
前記第二群の帳票紙片の前記第二のRFIDラベルは、前記第一群の帳票紙片の前記第一のRFIDラベルよりも、前記所定方向と鋭角に交わる特定方向にずらして貼付されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の帳票連続紙。
【請求項5】
一方向に連続する複数の帳票紙片を備え、前記帳票紙片の境界で蛇腹状に折り返すことにより、前記帳票紙片が一片ずつ又は複数片ずつ折り重ねられた帳票連続紙であって、
前記各帳票紙片の一側紙面には、インレット基材の一面側に、アンテナと、該アンテナに接続されたICチップを配設してなるRFIDインレットを含むRFIDラベルが貼付されており、
積層方向に同じ向きで重なり合う複数の前記帳票紙片は、
第一のRFIDラベルが貼付された第一群の帳票紙片と
第二のRFIDラベルが貼付された第二群の帳票紙片と
を含み、
前記第二のRFIDラベルは、前記第一のRFIDラベルと同じ前記RFIDインレットが、前記第一のRFIDラベルとは表裏逆向きに配置されたものであり、
積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルの一部又は全部が積層方向に重なり、かつ、前記第一のRFIDラベルの前記ICチップと前記第二のRFIDラベルの前記ICチップが積層方向に重ならないように配置されていることを特徴とする帳票連続紙。
【請求項6】
積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、
夫々の前記ICチップが、他方の群の前記帳票紙片の前記アンテナと積層方向に重ならないように配置され、
かつ、夫々の前記アンテナの少なくとも一部が、他方の群の前記帳票紙片の前記アンテナと積層方向に重なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の帳票連続紙。
【請求項7】
前記アンテナは多重ループアンテナであって、
前記第一群の帳票紙片の前記アンテナと、前記第二群の帳票紙片の前記アンテナとが積層方向に重なる部分に、前記アンテナのジャンパ線が配設されていることを特徴とする請求項6に記載の帳票連続紙。
【請求項8】
前記アンテナは多重ループアンテナであって、前記ICチップは前記アンテナの多重ループ線の内側に配置されており、
前記第一群の帳票紙片の前記多重ループ線と、前記第二群の帳票紙片の前記多重ループ線とは、前記多重ループ線の全周に亘って、積層方向に重なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の帳票連続紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDラベルが貼付された帳票紙片が複数連続されてなる帳票連続紙に関する。
【背景技術】
【0002】
一方向に連続する帳票紙片を蛇腹状に折り重なるように折り畳んでなる帳票連続紙は、一般的にファンフォールド紙と呼ばれている。かかる帳票連続紙にあって、各帳票紙片にRFIDラベルを貼付したものが知られている。かかる帳票連続紙の各帳票紙片では、RFIDラベルに含まれるICチップの配設部位が凸状に盛り上がるため、帳票連続紙を折り畳んだ状態で、積層方向からの圧力がICチップの配設部位に集中し易く、ICチップが破損し易いという問題がある。そして、かかる問題を解消するために、積層方向に同じ向きで重なり合う複数の帳票紙片について、RFIDラベルの貼付位置を前後左右にずらして、積層方向に重なるICチップの数を低減させることで、帳票連続紙を折り畳んだ状態で、ICチップの配設部位が局所的に厚くなることを抑制することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6475470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の帳票連続紙では、仕様上の制約によって、各帳票紙片におけるRFIDラベルの貼付可能範囲が制限される場合がある。このような場合、上記特許文献1に記載の構成では、同じ向きで重なり合う帳票紙片のICチップ同士が積層方向に重ならないようにRFIDラベルの貼付位置をずらすのが困難となる。また、夫々のICチップが重ならないようにRFIDラベルを貼付できたとしても、夫々のICチップを十分に離すことができないと、ICチップの配設部位の凸部同士が相互に干渉してしまい、折り畳んだ状態でICチップに積層方向から加わる圧力を十分に低減できない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、RFIDが貼付された帳票紙片が蛇腹状に折り重ねられる帳票連続紙にあって、帳票紙片におけるRFIDラベルの貼付可能範囲が制限されている場合でも、RFIDラベルのICチップに加わる圧力を好適に低減し得る構成の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一方向に連続する複数の帳票紙片を備え、前記帳票紙片の境界で蛇腹状に折り返すことにより、前記帳票紙片が一片ずつ又は複数片ずつ折り重ねられた帳票連続紙であって、前記各帳票紙片の一側紙面には、アンテナと、該アンテナに接続されたICチップとを備えるRFIDラベルが貼付されており、積層方向に同じ向きで重なり合う複数の前記帳票紙片は、第一のRFIDラベルが貼付された第一群の帳票紙片と、第二のRFIDラベルが貼付された第二群の帳票紙片とを含み、前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルは、同じ前記アンテナ及び前記ICチップを具備し、同じ平面形状を有するものであり、前記第二のRFIDラベルでは、前記アンテナ及び前記ICチップが前記第一のRFIDラベルよりも所定方向にずらして配置され、積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルの一部又は全部が積層方向に重なり、かつ、前記第一のRFIDラベルの前記ICチップと前記第二のRFIDラベルの前記ICチップが積層方向に重ならないように配置されていることを特徴とする帳票連続紙である。
ここで、帳票連続紙の「積層方向」とは、帳票連続紙が折り畳まれた状態で、複数の帳票紙片が重なる方向を指す。
【0007】
かかる構成にあっては、第一群の帳票紙片のRFIDラベルの貼付位置と、第二群の帳票紙片のRFIDラベルの貼付位置とを前後左右にずらさなくても、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片のICチップの位置をずらすことができるため、帳票連続紙を折り畳んだ状態で、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片のICチップ同士が積層方向に重なり合うのを回避できる。このため、本発明によれば、帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付可能範囲が制限された帳票連続紙であっても、折り畳んだ状態で積層方向に重なるICチップの数を低減して、ICチップに加わる圧力を低減可能となる。
また、本発明は、第一のRFIDラベルと第二のRFIDラベルに、同じアンテナとICチップを用いるため、比較的低コストで実現でき、また、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片とで性能がばらつくこともない。
【0008】
本発明の具体的態様として、前記RFIDラベルは、インレット基材の一面側に、前記アンテナと、前記アンテナに接続された前記ICチップを配設してなるRFIDインレットを備え、前記第二のRFIDラベルでは、前記第一のRFIDラベルと同じRFIDインレットが、前記第一のRFIDラベルよりも前記所定方向にずらして配置されている構成が提案される。かかる構成にあっては、第一のRFIDラベルと第二のRFIDラベルに、同じRFIDインレットを用いるため、RFIDラベルのコストを削減できる。
【0009】
本発明の別の具体的態様として、前記RFIDラベルは、インレット基材の一面側に、前記アンテナと、前記アンテナに接続された前記ICチップを配設してなるRFIDインレットを備え、前記第一のRFIDラベルの前記RFIDインレットと、前記第二のRFIDラベルの前記RFIDインレットは、前記インレット基材の平面形状が同じであり、前記第二のRFIDラベルの前記RFIDインレットでは、前記第一のRFIDラベルの前記RFIDインレットよりも、前記インレット基材に対して前記アンテナ及び前記ICチップが前記所定方向にずらして配置されている構成が提案される。かかる構成とした場合でも、第一のRFIDラベルと第二のRFIDラベルで、同じアンテナとICチップを用いるため、本発明を比較的低コストで実現できる。
【0010】
本発明にあって、前記第二群の帳票紙片の前記第二のRFIDラベルは、前記第一群の帳票紙片の前記第一のRFIDラベルよりも、前記所定方向と鋭角に交わる特定方向にずらして貼付されている構成が提案される。帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付可能範囲が制限されている場合でも、多少は貼付位置をずらすことが可能であるならば、かかる構成のように、第二群のRFIDラベルの貼付位置をずらすようにすれば、積層方向に重なる第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片のICチップのずれ幅を大きくできる。
【0011】
本発明の別の態様は、一方向に連続する複数の帳票紙片を備え、前記帳票紙片の境界で蛇腹状に折り返すことにより、前記帳票紙片が一片ずつ又は複数片ずつ折り重ねられた帳票連続紙であって、前記各帳票紙片の一側紙面には、インレット基材の一面側に、アンテナと、該アンテナに接続されたICチップを配設してなるRFIDインレットを含むRFIDラベルが貼付されており、積層方向に同じ向きで重なり合う複数の前記帳票紙片は、第一のRFIDラベルが貼付された第一群の帳票紙片と第二のRFIDラベルが貼付された第二群の帳票紙片とを含み、前記第二のRFIDラベルは、前記第一のRFIDラベルと同じ前記RFIDインレットが、前記第一のRFIDラベルとは表裏逆向きに配置されたものであり、積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、前記第一のRFIDラベルと前記第二のRFIDラベルの一部又は全部が積層方向に重なり、かつ、前記第一のRFIDラベルの前記ICチップと前記第二のRFIDラベルの前記ICチップが積層方向に重ならないように配置されていることを特徴とする帳票連続紙である。
【0012】
かかる構成にあっても、第一群の帳票紙片のRFIDラベルの貼付位置と、第二群の帳票紙片のRFIDラベルの貼付位置とを前後左右にずらさなくても、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片のICチップの位置をずらすことができるため、帳票連続紙を折り畳んだ状態で、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片のICチップ同士が積層方向に重なり合うのを回避できる。このため、本発明によれば、帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付可能範囲が制限された帳票連続紙であっても、折り畳んだ状態で積層方向に重なるICチップの数を低減して、ICチップに加わる圧力を低減可能となる。
また、かかる構成では、第一のRFIDラベルと第二のRFIDラベルに、同じRFIDインレットを用いるため、比較的低コストで実現でき、また、第一群の帳票紙片と第二群の帳票紙片とで性能がばらつくこともない。
【0013】
本発明にあって、積層方向に同じ向きで重なり合う前記第一群の帳票紙片と前記第二群の帳票紙片は、夫々の前記ICチップが、他方の群の前記帳票紙片の前記アンテナと積層方向に重ならないように配置され、かつ、夫々の前記アンテナの少なくとも一部が、他方の群の前記帳票紙片の前記アンテナと積層方向に重なるように配置されていることが提案される。
【0014】
各帳票紙片では、ICチップの配設部位ほどではないが、RFIDラベルのアンテナの配設部位も盛り上がって肉厚になっている。このため、かかる構成のように、ICチップを、他方の群のアンテナと積層方向に重ならないよう配置すれば、折り畳んだ帳票連続紙において、ICチップの配設部位の厚みを、他方の群のアンテナの分だけ低減できる。一方、アンテナに関しては、第一群と第二群の帳票紙片のアンテナが積層方向に重なるよう配置すれば、折り畳んだ帳票連続紙において、当該部位の厚みが比較的大きくなって、当該部位にも積層方向から圧力が加わり易くなるため、ICチップの配設部位に加わる圧力を分散させることが可能となる。
【0015】
また、上記構成にあって、前記アンテナは多重ループアンテナであって、前記第一群の帳票紙片の前記アンテナと、前記第二群の帳票紙片の前記アンテナとが積層方向に重なる部分に、前記アンテナのジャンパ線が配設されていることが提案される。
【0016】
ジャンパ線は、多重ループアンテナの内外を跨ぐように形成されるものであり、一般的に、RFIDラベルの多重ループアンテナでは、ジャンパ線の配設部位が最も厚くなっている。このため、かかる構成のように、第一群と第二群の帳票紙片のアンテナが重なる部分にジャンパ線の配設部位を含めれば、アンテナ同士が重なり合う部位に積層方向からの圧力が一層加わり易くなって、ICチップの配設部位に加わる圧力を一層低減させることが可能となる。
【0017】
また、本発明にあって、前記アンテナは多重ループアンテナであって、前記ICチップは前記アンテナの多重ループ線の内側に配置されており、前記第一群の帳票紙片の前記多重ループ線と、前記第二群の帳票紙片の前記多重ループ線とは、前記多重ループ線の全周に亘って、積層方向に重なるように配置されていることが提案される。
【0018】
かかる構成にあっては、帳票連続紙を折り畳んだ状態で、同じ向きで重なる第一群と第二群の帳票紙片の多重ループアンテナが、ICチップの配設部位の周囲で積層方向に重なり合うこととにより、比較的厚みある環状部が、ICチップの配設部位を囲むように形成されるため、積層方向からICチップに加わる圧力を、ICチップの周囲に均一に分散することが可能となる。なお、多重ループ線同士の重なりは、多重ループ線を構成する線の1本1本が重なり合っているものに限られず、多重ループ線を構成する線の束の少なくとも一部が、全周に亘って重なり合っていれば足りる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、蛇腹状に折り重ねられて、同じ向きで積層方向に重なる帳票紙片にあって、RFIDラベルを前後左右にずらして貼付しなくても、RFIDラベルのICチップの位置をずらすことができるため、帳票紙片に対するRFIDラベルの貼付可能範囲が制限されている場合でも、RFIDラベルのICチップが受ける圧力を好適に低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1の帳票連続紙1の展開図である。
図2】帳票連続紙1を折り畳む態様を示す説明図である。
図3】帳票連続紙1を折り畳んだ状態を示す側面図である。
図4】RFIDインレット12と保護シート13を分離して示すRFIDラベル11の斜視図である。
図5】(A)第一RFIDラベル11aの平面図と、(B)第二RFIDラベル11bの平面図である。
図6】(A)図5中のX-X線断面図と、(B)図5中のY-Y線断面図である。
図7】(A)第一RFIDラベル11aの貼付位置を示す平面図と、(B)第二RFIDラベル11bの貼付位置を示す平面図である。
図8】積層方向に重なり合う第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bを示す説明図である。
図9】折り畳まれた帳票連続紙1を積層方向に拡げて示す斜視図である。
図10】積層方向に重なり合うRFIDラベル11を側方から示す説明図である。
図11】実施例2の帳票連続紙51の展開図である。
図12】帳票連続紙51を折り畳む態様を示す説明図である。
図13】帳票連続紙51を折り畳んだ状態を示す側面図である。
図14】(A)実施例3に係る第一RFIDラベル11aの平面図と、(B)第二RFIDラベル11cの平面図である。
図15】RFIDインレット12と保護シート13を分離して示す、実施例4に係る第二RFIDラベル11dの斜視図である。
図16】(A)は、第一帳票紙片5aに第一RFIDラベル11aが貼付される向きを示す平面図であり、(B)は、第二帳票紙片5aに第二RFIDラベル11dが貼付される向きを示す平面図である。そして、(C)は、積層方向に重なり合う第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11dを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかる実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
なお、以下の実施例において、第一帳票紙片5aが本発明に係る第一群の帳票紙片に相当し、第二帳票紙片5bが本発明に係る第二群の帳票紙片に相当する。また、第一RFIDラベル11aが、本発明に係る第一のRFIDラベルに相当し、第二RFIDラベル11b,11c,11dが、本発明に係る第二のRFIDラベルに相当する。
また、以下の実施例にあって、帳票連続紙の長手方向に沿う方向(帳票紙片の連続方向)を、帳票紙片の前後方向とし、帳票連続紙の短手方向(幅方向)に沿う方向を、帳票紙片の左右方向として説明する。ただし、本発明は、こうして定めた方向にのみ限定されて使用されるものではない。
【実施例0022】
本実施例の帳票連続紙1は、図1に示すように、帳票紙片5が一方向に複数連続してなるものである。全ての帳票紙片5は、同じサイズの矩形状をなし、帳票連続紙1の長手方向に同じ向きで連続している。帳票連続紙1は、上質紙等からなる長尺帯状の紙基材3によって構成される。紙基材3の紙面に沿って隣接する帳票紙片5の境界には、紙基材3を幅方向に横断するミシン目4が形成されており、各帳票紙片5の境界で、紙基材3を屈曲容易に、かつ、切り離し容易になっている。
【0023】
帳票連続紙1は、ファンフォールド紙であり、図2に示すように、帳票紙片5の境界に形成された各ミシン目4で交互に山折りと谷折りして蛇腹状に折り返すことにより、図3に示すように、帳票紙片5が一片ずつ折り重なった状態に折り畳まれて、運搬、保管される。本実施例の帳票連続紙1を用いて帳票を発行する際は、プリンタなどで帳票紙片5ごとに、片側又は両側の紙面に所要の情報を印刷し、印刷済みの帳票紙片5をミシン目4で切り離して、帳票として使用する。こうした帳票連続紙1の基本構成は、公知のものを適用できるため、その詳細な説明は省略する。
【0024】
図1に示すように、各帳票紙片5の一面側には、所定のラベル貼付部Sに、略矩形状のRFIDラベル11が一枚ずつ貼付される。RFIDラベル11は、図4~6に示すように、RFIDインレット12と、RFIDインレット12を覆う保護シート13により構成される。なお、帳票紙片5に貼付されるRFIDラベル11は、図5,6に示すように、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bの二種類からなるが、基本構成はいずれも同じである。
【0025】
RFIDインレット12は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ装置)との間で、HF帯の電磁波を利用してコマンドやデータ等の信号を非接触で送受信できる非接触型の電池レスタイプである。図4に示すように、RFIDインレット12は、薄膜状のインレット基材14の表側(配設面側)に、アンテナ16とICチップ15を配設してなるものである。インレット基材14は、略矩形状のPETフィルムからなるものであり、図6に示すように、インレット基材14の裏側には、紙基材3に貼付するための粘着剤23が塗布される。
【0026】
図4~6に示すように、アンテナ16は、導電線がループ状に複数回巻回されてなる多重ループアンテナであり、インレット基材14の表面に導電性ペーストで印刷される。アンテナ16は、略矩形環状のループが五重に巻回されてなる多重ループ線19と、多重ループ線19の内側に延びる一対の端子線20と、多重ループ線19の上を跨いで、多重ループ線19の外側の端部と端子線20の一方とを電気的に接続するジャンパ線21とで構成される。ICチップ15は、所要事項を電磁的に記憶可能なものであり、端子線20の上に配置され、異方性導電接着剤17によって端子線20と接着されることにより、アンテナ16と電気的に接続される。
【0027】
保護シート13は、図4~6に示すように、平面視略矩形状をなしている。保護シート13は、PETフィルムや紙で構成され得るものであり、その裏側には、ほぼ均一な厚みの粘着剤24が塗布されている。保護シート13は、RFIDインレット12の平面形状よりも縦横の寸法が大きく、裏側の粘着剤24を介して、RFIDインレット12の表側(配設面側)全体を覆うように貼付されるとともに、RFIDインレット12の周囲で紙基材3に貼付される。
【0028】
上述のように、本実施例に係るRFIDラベル11は、RFIDインレット12の表面を保護シート13で覆ってなる構成となっているが、図4に示すように、RFIDインレット12の表面は平坦でなく、ICチップ15やアンテナ16による起伏が存在するため、図6に示すように、RFIDラベル11の表面には、ICチップ15やアンテナ16の形状に倣った凹凸が形成されている。具体的には、図6に示すように、RFIDラベル11は、保護シート13が紙基材3に貼付される外周部25が最も薄くなっている。これに対して、インレット基材14にICチップ15やアンテナ16が配設されていない部位26は、外周部25よりもインレット基材14の厚み分だけ厚く盛り上がっている。そして、アンテナ16の配設部位27,29は、外周部25よりもインレット基材14とアンテナ16の厚み分だけ盛り上がっている。さらに、ICチップ15の配設部位28は、外周部25よりもインレット基材14と、アンテナ16(端子線20)と、ICチップ15の厚み分だけ厚く盛り上がっている。なお、アンテナ16は、基本的に略一定の厚みで形成されるが、ジャンパ線21は、多重ループ線19の上を跨ぐように形成されるため、ジャンパ線21の配設部位29は、多重ループ線19や端子線20の配設部位27よりも厚く盛り上がっている。このように、本実施例に係るRFIDラベル11の表面は、ICチップ15やアンテナ16の形状に倣った凹凸が形成されており、その中でも、ICチップ15の配設部位28が、凸状に大きく盛り上がっている。なお、図4,6では、説明の都合上、RFIDラベル11の厚みを実際よりも厚く図示しているが、一般的なRFIDラベル11の厚みは1mm以下である。
【0029】
RFIDラベル11は、RFIDインレット12と保護シート13に塗布された粘着剤23,24によって、各帳票紙片5の、所定のラベル貼付部Sに収まるように一枚ずつ貼付される。ラベル貼付部Sは、RFIDラベル11の平面形状よりも一回り大きい矩形状の領域であり、全ての帳票紙片5で同じ位置に設けられる。具体的には、図1に示すように、ラベル貼付部Sは、各帳票紙片5の一面側の長手方向の一側寄りであって、短手方向の中央部に設けられる。
【0030】
本実施例では、図3に示すように、蛇腹状に折り畳まれた帳票連続紙1では、ミシン目4を介して隣接する帳票紙片5が表裏逆向きに重なり合い、一片置きの帳票紙片5が積層方向に表裏が同じ向きで重なり合うこととなる。このため、折り畳まれた帳票連続紙1では、隣接する帳票紙片5のラベル貼付部Sは重ならず、一つ置きの帳票紙片5のRFIDラベル11のラベル貼付部Sが重なり合う。そして、上述のように、ラベル貼付部Sの大きさは限定的であり、RFIDラベル11の貼付位置を大きくずらすことはできないため、一つ置きの帳票紙片5に貼付されたRFIDラベル11同士は、積層方向に重なり合うこととなる。具体的には、図3の帳票連続紙1においては、下から奇数枚目の帳票紙片5は、RFIDラベル11の貼付面を上に向けて、同じ向きで重なり合っており、各帳票紙片5に貼付されたRFIDラベル11は、図中の右側で積層方向に重なり合っている。これに対して、図3において、下から偶数枚目の帳票紙片5は、RFIDラベル11の貼付面を下に向けて、同じ向きで重なり合っており、各帳票紙片5に貼付されたRFIDラベル11は、図中の左側で積層方向に重なり合っている。
【0031】
このように、RFIDラベル11を各帳票紙片5に貼付する部位が限定された場合には、折り畳まれた帳票連続紙1において、RFIDラベル11が積層方向に重なり合うこととなる。これに対して、本実施例では、帳票紙片5を、異なるRFIDラベル11a、11bが貼付された第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bの二種類で構成することにより、RFIDラベル11a,11bの破損を防止している。
【0032】
詳述すると、第一帳票紙片5aには、第一RFIDラベル11aが貼付され、第二帳票紙片5bには、第二RFIDラベル11bが貼付される。第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bは、いずれもRFIDインレット12を保護シート13で覆ってなるものであり、RFIDインレット12及び保護シート13は共通であり、図5,6に示すように、同じ平面形状を有している。ただし、第一RFIDラベル11aでは、RFIDインレット12が保護シート13の中央に貼付されるのに対して、第二RFIDラベル11bでは、RFIDインレット12が、保護シート13の一側方向寄り(図5,6中の右寄り)にずらして貼付される。このため、第二RFIDラベル11bでは、第一RFIDラベル11aよりもICチップ15及びアンテナ16が一側方向にずらして配置される。
【0033】
図7に示すように、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bは、各帳票紙片5a,5bのラベル貼付部Sに同じ向きで貼付される。この時、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bは、同じ向きで同じ位置に貼付されたとしても、両者のRFIDインレット12は左右方向にずらして配置されるため、第二RFIDラベル11bのICチップ15やアンテナ16は、第一RFIDラベル11aよりも右方に配置される。また、本実施例では、ラベル貼付部SがRFIDラベル11a,11bよりも一回り大きく、RFIDラベル11a,11bを多少はずらして貼付可能であるため、図7(A)に示すように、第一RFIDラベル11aを、第一帳票紙片5aのラベル貼付部Sの左寄りに貼付し、図7(B)に示すように、第二RFIDラベル11bを、第二帳票紙片5bのラベル貼付部Sの右寄りに貼付することにより、第二RFIDラベル11bのICチップ15やアンテナ16が、第一RFIDラベル11aよりも一層右方に配置されるようにしている。
【0034】
このように、第二帳票紙片5bでは、ICチップ15及びアンテナ16が第一RFIDラベル11aよりも右寄りに配置された第二RFIDラベル11bが、第一帳票紙片5aの第一RFIDラベル11aよりも右寄りに配置される。このため、本実施例では、図8に示すように、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bを同じ向きに重ね合わせた時に、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bのICチップ15が左右方向にずれて、積層方向に重なり合わないよう構成されている。
【0035】
図1,2に示すように、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bは、帳票連続紙1の長手方向に二片ずつ連続している。すなわち、帳票連続紙1では、第一帳票紙片5aが二片連続するのに続いて、第二帳票紙片5bが二片連続し、その後、再び第一帳票紙片5aが二片連続する…といった具合に、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bが二片ずつ交互に設けられる。上述のように、折り畳まれた帳票連続紙1では、一枚おきの帳票紙片5が同じ向きで重なり合うため、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bを二片ずつ交互に連続させると、図3,9に示すように、折り畳まれた帳票連続紙1において、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bが積層方向に交互に重なり合うこととなる。
【0036】
本実施例では、このように第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bを同じ向きで積層方向に交互に重ねることにより、積層方向からICチップ15に加わる圧力を低減可能となる。上述のように、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bは、同じ向きで重ね合わせた場合でも、夫々に貼付されたRFIDラベル11a,11bのICチップ15が積層方向に重ならず、図10に示すように、第一RFIDラベル11aのICチップ15の配設部位28に膨出する凸部と、第二RFIDラベル11bのICチップ15の配設部位28に膨出する凸部が、左右方向にずれた位置に配置されるため、積層方向からICチップ15に加わる圧力を分散できるためである。
【0037】
このように、本実施例では、帳票紙片5a,5bに対するRFIDラベル11の貼付可能範囲が制限されているが、第一RFIDラベル11aが貼付された第一帳票紙片5aと、第二RFIDラベル11bが貼付された第二帳票紙片5bとを二片ずつ交互に貼付することにより、積層方向に重なるICチップ15の数を軽減して、ICチップ15に加わる負荷を軽減できる。また、本実施例では、帳票紙片5a,5bに二種類のRFIDラベル11a,11bが貼付されるが、二種類のRFIDラベル11a,11bは、同じRFIDインレット12と保護シート13により構成されるものであり、RFIDインレット12及び保護シート13は一種類で足りるため、RFIDラベルのコストを増大させずに実現できる。また、二種類のRFIDラベル11a,11bは、同じICチップ15とアンテナ16からなるものであるため、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bで帳票の性能がばらつくこともない。
【0038】
特に、本実施例では、第二RFIDラベル11bにおけるRFIDインレット12の配置を第一RFIDラベル11aよりも右方にずらすとともに、第二RFIDラベル11bを第一RFIDラベル11aよりも右方にずらして貼付するため、RFIDインレット12のずれと、ラベルの貼付位置のずれの相乗効果によって、ICチップ15のずれ幅を大きくできるという利点がある。
【0039】
また、図8に示すように、本実施例では、第一帳票紙片5aの第一RFIDラベル11aと、第二帳票紙片5bの第二RFIDラベル11bを積層方向に重ねた時に、夫々のICチップ15が、他方のアンテナ16と積層方向に重ならないよう構成されている。図6に示すように、各RFIDラベル11a,11bは、アンテナ16の配設部位27,29に比べて、アンテナ16の非配設部位26の方が薄いため、このように、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bのICチップ15を、他方のアンテナ16と重ならないように配置すれば、折り畳まれた帳票連続紙1において、ICチップ15の配設部位28の厚みを、アンテナ16の厚み分だけ低減できる。
【0040】
また、本実施例では、図7,8に示すように、第二帳票紙片5bにおいて、ICチップ15やアンテナ16が、第一帳票紙片5aよりも右方にずらして配置されるが、アンテナ16の配置のずれは、多重ループ線19の幅よりも小さく、積層方向に重なり合う第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bで、夫々の多重ループ線19の左右両側辺が、積層方向に部分的に重なり合って、結果として、夫々の多重ループ線19は全周に亘って重なり合っている。図6に示すように、アンテナ16(多重ループ線19)の配設部位27は、アンテナ16の非配設部位26よりも厚く盛り上がっているため、このように、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bで、多重ループ線19の配設部位が積層方向に重なり合うようにすれば、折り畳まれた帳票連続紙1において、多重ループ線19の配設部位の厚みが比較的厚くなり、当該部位に圧力が加わり易くなることにより、ICチップ15の配設部位28に加わる圧力を分散し易くなる。
【0041】
特に、ICチップ15は、多重ループ線19の内側に形成されているため、本実施例のように、積層方向に重なる第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bにおいて、夫々の多重ループ線19が全周に亘って重なり合っていれば、ICチップ15に加わる圧力を、前後左右に分散可能となるため、ICチップ15に加わる圧力を周囲に均一に分散できる。
【0042】
また、本実施例では、図8に示すように、積層方向に重なり合う第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bは、夫々のアンテナ16のジャンパ線21の一部が、他方のアンテナ16の多重ループ線19と積層方向に重なるよう構成されている。上述のように、ジャンパ線21の配設部位29は、アンテナ16の配設部位の中でも、最も厚く盛り上がっているため(図6参照)、ジャンパ線21の配設部位29を、他方の多重ループ線19の配設部位27が厚み方向に重なっていれば、折り畳まれた帳票連続紙1において、当該部位の厚みは、ICチップ15の配設部位29に匹敵する厚みとなる。このため、本実施例では、ICチップ15の配設部位28に加わる圧力を、ジャンパ線21の配設部位29に大きく分散させることができる。
【0043】
また、本実施例では、同じ向きの第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bが、積層方向に交互に配置されるため、帳票紙片5a,5bを何枚折り重ねた場合でも、積層方向に重なる第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bの枚数が略等しく保たれるから、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bの一方のICチップ15に圧力が集中し難いという利点がある。
【0044】
本実施例の帳票連続紙1は、帳票連続紙1を構成する長尺帯状の紙基材3に対して、帳票紙片5の境界部分にミシン目4を形成し、第一帳票紙片5aのラベル貼付部Sに第一RFIDラベル11aを貼付し、第二帳票紙片5bのラベル貼付部Sに第二RFIDラベル11bを貼付することによって製造できる。二種類のRFIDラベル11a,11bの貼り分けは、帯状の剥離紙に二種類のRFIDラベル11a,11bが二片ずつ交互に貼付されたものを用意して、当該剥離紙のRFIDラベル11a,11bを、ラベル貼付け装置によって、帳票紙片5a,5bのラベル貼付部Sに順番に貼付していけばよい。また、第一RFIDラベル11aが貼付された剥離紙と、第二RFIDラベル11bが貼付された剥離紙を用意して、第一RFIDラベル11aを貼付する時と、第二RFIDラベル11bを貼付する時とで、ラベル貼付け装置が、別々の剥離紙からRFIDラベル11a,11bを剥がして、帳票紙片5a,5bに貼付するようにしてもよい。
【実施例0045】
本実施例は、実施例1の構成を一部変更したものである。このため、実施例1と同様の構成については、本文中及び図中で同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図11は、本実施例の帳票連続紙51の展開図である。本実施例の帳票連続紙51は、実施例1(図1参照)と同様に、帳票紙片5が一方向に複数連続してなるものであり、上質紙等からなる長尺帯状の紙基材3によって構成される。全ての帳票紙片5は、同じサイズの矩形状をなし、帳票紙片5の長手方向に連続している。隣接する帳票紙片5の境界には、紙基材3を幅方向に横断するミシン目4が形成されており、各帳票紙片5の境界で、紙基材3を屈曲容易に、かつ、切り離し容易になっている。
【0046】
ここで、実施例1の帳票連続紙1では、帳票紙片5の境界に形成される全てのミシン目4で蛇腹折りにして、帳票紙片5を一片ずつ折り重ねているが(図2参照)、本実施例では、図12に示すように、一つ置きのミシン目4で蛇腹折りにして、帳票紙片5を二片ずつ折り重ねるように折り畳まれる。このように、帳票紙片5を二片ずつ折り重ねる場合は、図13に示すように、三片おきの帳票紙片が積層方向に同じ向きで重なり合うこととなる。このため、本実施例では、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bは、帳票連続紙51の長手方向に、四片ずつ交互に連なるよう構成することで、折り畳まれた帳票連続紙51において、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bが積層方向に交互に重なり合うようにしている。このように、本発明は、帳票紙片を複数片ずつ折り重ねる帳票連続紙にも適用できる。
【実施例0047】
本実施例は、実施例1から第二帳票紙片5bに貼付される第二RFIDラベルの構成を一部変更したものである。このため、実施例1と同様の構成については、本文中及び図中で同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施例に係る第二RFIDラベル11cには、第一RFIDラベル11aとは異なるRFIDインレット12aが配設される。以下、二種類のRFIDインレット12,12aを区別するため、第一RFIDラベル11aのRFIDインレット12(実施例1と同じもの)を「第一インレット」、第二RFIDラベル11cのRFIDインレット12aを「第二インレット」と言う。図14に示すように、第二インレット12aは、第一インレット12に比べて、ICチップ15及びアンテナ16が、インレット基材14の一側方向寄りに設けられる。なお、インレット基材14、ICチップ15及びアンテナ16は、第一インレット12と第二インレット12aで共通である。このため、本実施例では、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bで、RFIDインレット12,12aが同じ位置に同じ向きで配置されるが、第二インレット12aが貼付される第二RFIDラベル11cでは、ICチップ15及びアンテナ16が第一RFIDラベル11aよりも一側方向にずらして配置される。
【0048】
このように、上記実施例1に係る第二RFIDラベル11bでは、RFIDインレット12を保護シート13の一側方向寄りに貼付することにより(図5,6参照)、ICチップ15及びアンテナ16が一側方向にずらして配置されていたが、本実施例のように、インレット基材14の一側方向寄りにICチップ15及びアンテナ16を配設する場合でも、実施例1と同様に、ICチップ15及びアンテナ16を一側方向にずらして配置して、実施例1と同様に、ICチップ15に積層方向から加わる圧力を低減できる。なお、本実施例では、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11bで、RFIDインレット12,12aが同じ位置に同じ向きで配置されるが、実施例1と同様に、第二RFIDラベル11cにおいて、保護シート13の右寄りにRFIDインレット12aを貼付するようにしてもよい。かかる構成とすれば、ICチップ15のずれ幅を拡大できる。
【実施例0049】
本実施例は、実施例1から第二帳票紙片5bに貼付される第二RFIDラベルの構成を一部変更したものである。このため、実施例1と同様の構成については、本文中及び図中で同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施例に係る第二RFIDラベル11dには、第一RFIDラベル11aとは表裏逆向きにRFIDインレット12が配置される。具体的には、図15に示すように、本実施例に係る第二RFIDラベル11dは、保護シート13が、RFIDインレット12の裏側(非配設面側)を覆うように貼付され、RFIDインレット12の表側(配設面側)が、紙基材3に貼付される。そして、図16に示すように、かかる第二RFIDラベル11dは、平面視において、ICチップ15やアンテナ16の配設位置が、第一帳票紙片5aの第一RFIDラベル11aと左右対称となるように、第二帳票紙片5bのラベル貼付部Sに貼付される。
【0050】
このように、上記実施例1に係る第二RFIDラベル11bでは、RFIDインレット12を保護シート13の一側方向寄りに貼付することにより(図5,6参照)、ICチップ15及びアンテナ16が一側方向にずらして配置されていたが、本実施例のように、RFIDインレット12を表裏逆向きに配設する場合でも、実施例1と同様に、第一RFIDラベル11aとはICチップ15をずらして配置して、実施例1と同様に、ICチップ15に積層方向から加わる圧力を低減できる。また、本実施例の第二RFIDラベル1111dは、第一RFIDラベル11aと同じRFIDインレット12と保護シート13により構成されるため、RFIDラベルのコストを増大させずに実現可能であり、また、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bで帳票の性能がばらつくこともない。
【0051】
また、本実施例では、図16(C)に示すように、第一RFIDラベル11aと第二RFIDラベル11dは、夫々のICチップ15が、他方のRFIDラベル11a,11dのアンテナ16と積層方向に重ならないよう構成されており、また、夫々の多重ループ線19が、全周に亘って積層方向に重なり合うよう構成され、さらには、夫々のアンテナ16のジャンパ線21の一部が、他方のアンテナ16の多重ループ線19と積層方向に重なるよう構成されている。このため、本実施例にあっても、実施例1と同様に、積層方向からICチップ15に加わる圧力を、アンテナ16の配設部位に分散させて低減させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限られず、例えば、上記実施例の構成を以下のように変更可能である。
【0053】
RFIDラベル11の形状は、矩形状に限られず、円形状や楕円形状、正多角形状など様々な形状を採用可能である。また、上記実施例では、積層方向に重なり合う第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bで、ICチップ15を左右方向(帳票連続紙の幅方向)にずらしていたが、ICチップ15をずらす方向は、左右方向に限らず、前後方向や斜め方向であっても構わない。また、上記実施例では、第二RFIDラベル11bにおいてICチップ15をずらして配置する方向(右方向)と、第二RFIDラベル11bを第一RFIDラベル11aよりもずらして貼付する方向を一致させているが、第二RFIDラベル11bの貼付位置をずらす方向は、ICチップ15をずらす方向と一致させなくても、ICチップ15をずらす方向と鋭角に交わっていれば、ICチップ15のずれ幅を大きくできる。
【0054】
また、上記実施例では、帳票紙片5が、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bの二種類で構成されるが、第一帳票紙片と第二帳票紙片だけでなく、第三、第四の帳票紙片を設けるようにしてもよい。具体的には、第三、第四の帳票紙片に、第二RFIDラベル11bとは異なる方向にICチップ15をずらして配置した第三、第四のRFIDラベルを貼付すれば、積層方向に重なるICチップ15の数を上記実施例の半分に低減できる。
【0055】
また、上記実施例では、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bが、積層方向に同じ向きで交互に配置されるよう構成されているが、本発明は、積層方向に同じ向きで重なり合う帳票紙片5に、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bが含まれていれば足り、第一帳票紙片5aと第二帳票紙片5bは、交互に配置されていなくてもよい。
【0056】
また、上記実施例1のRFIDラベル11は、RFIDインレット12を保護シート13で覆ったものであるが、保護シート13を省略して、RFIDラベル11をRFIDインレット12のみによって構成してもよい。また、保護シート13は、RFIDインレット12と同じサイズであってもよいし、RFIDインレット12よりも小さくてもよい。
【0057】
また、上記実施例に係る多重ループ線19は、略矩形環状のループが五重に巻回されたものであるが、本発明に係る多重ループ線は、円環状など矩形環状以外の形状であってもよいし、巻回回数も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,51 帳票連続紙
3 紙基材
4 ミシン目
5 帳票紙片
5a 第一帳票紙片(第一群の帳票紙片)
5b 第二帳票紙片(第二群の帳票紙片)
11 RFIDラベル
11a 第一RFIDラベル(第一のRFIDラベル)
11b,11c,11d 第二RFIDラベル(第二のRFIDラベル)
12,12a RFIDインレット
13 保護シート
14 インレット基材
15 ICチップ
16 アンテナ
19 多重ループ線
20 端子線
21 ジャンパ線
S ラベル貼付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16