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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128130
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】吹付システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20230907BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20230907BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20230907BHJP
   B05B 12/04 20060101ALI20230907BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B05B12/00 A
E21D11/00 Z
E04B1/94 E
B05B12/04
B05B12/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032263
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(71)【出願人】
【識別番号】510243724
【氏名又は名称】ISエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】山添 大樹
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】三舩 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢甫
(72)【発明者】
【氏名】辻田 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】北野 峰陽
【テーマコード(参考)】
2D155
2E001
4F035
【Fターム(参考)】
2D155DB02
2D155DB06
2E001DE01
2E001EA01
2E001EA05
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA03
2E001FA14
2E001GA06
2E001HA01
2E001HA32
2E001HD01
4F035AA03
4F035AA04
4F035BA03
4F035BB03
4F035BB04
4F035BB06
4F035BB32
4F035BC01
4F035BC05
(57)【要約】
【課題】吹付手段の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる、吹付システムを提供すること。
【解決手段】吹付システム10は、吹付材4を吹付対象1に吹付けるためのシステムであって、少なくとも1つ以上の吹付部20を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動部30と、吹付対象1の部位を示す部位情報と、吹付部20の吹付方法を示す吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法DBと、吹付方法DBに格納されている吹付方法情報のうち、遠隔操作部40を介して受け付けられた部位情報に対応する吹付方法情報を特定する特定部と、特定部にて特定された吹付方法情報に基づいて、吹付部20の動作制御を行う動作制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付材を吹付対象に吹付けるための吹付システムであって、
前記吹付材を前記吹付対象に吹付ける吹付手段と、
少なくとも1つ以上の前記吹付手段を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段と、
少なくとも前記吹付手段を遠隔操作するための遠隔操作手段と、
前記吹付対象の部位を示す部位情報と、前記吹付手段の吹付方法を示す吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段と、
前記吹付方法情報格納手段に格納されている前記吹付方法情報のうち、前記遠隔操作手段を介して受け付けられた前記部位情報に対応する前記吹付方法情報を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う動作制御手段と、
を備える吹付システム。
【請求項2】
前記吹付方法情報は、前記吹付対象の大きさに関わらず、前記吹付対象の部位に対する前記吹付手段の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報である、
請求項1に記載の吹付システム。
【請求項3】
所定方法で取得した前記吹付対象と前記吹付手段との位置関係に基づいて、前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報を補正する補正手段を備え、
前記動作制御手段は、前記補正手段にて補正された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う、
請求項1又は2に記載の吹付システム。
【請求項4】
前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作の障害になる障害物を検知する障害物検知手段を備え、
前記動作制御手段は、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作制御を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の吹付システム。
【請求項5】
前記移動手段によって鉛直方向及び水平方向に向けて移動される複数の前記吹付手段を備え、
前記吹付対象の第1の側と、前記第1の側とは反対の第2の側とに前記吹付材を同時に吹付可能となる位置に、前記複数の吹付手段を配置した、
請求項1から4のいずれか一項に記載の吹付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吹付材を吹付対象に吹き付けるシステムの一つとして、タンクの上端部に取付けられた上蓋部に配設された旋回部と、旋回部と共に旋回可能であり、且つ上下方向に昇降可能なアーム部と、アーム部に複数設けられた噴射ノズルであり、吹付材を噴射する噴射ノズルを有する吹付装置と、作業者による遠隔操作で吹付装置等の動作制御を行うコントローラと、を備えるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムにおいては、上述したように、コントローラによって作業者による遠隔操作で吹付装置等の動作制御を行うことができるものの、例えば、吹付対象の部位に応じて吹付装置による吹付材の吹付方法が異なる場合には、作業者が当該吹付方法に応じた遠隔操作を行う必要があることから、吹付装置の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが難しくなるおそれがあった。よって、作業者による吹付装置の如き吹付手段の遠隔操作を簡易且つ正確に行う観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吹付手段の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる、吹付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の吹付システムは、吹付材を吹付対象に吹付けるための吹付システムであって、前記吹付材を前記吹付対象に吹付ける吹付手段と、少なくとも1つ以上の前記吹付手段を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段と、少なくとも前記吹付手段を遠隔操作するための遠隔操作手段と、前記吹付対象の部位を示す部位情報と、前記吹付手段の吹付方法を示す吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段と、前記吹付方法情報格納手段に格納されている前記吹付方法情報のうち、前記遠隔操作手段を介して受け付けられた前記部位情報に対応する前記吹付方法情報を特定する特定手段と、前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う動作制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の吹付システムは、請求項1に記載の吹付システムにおいて、前記吹付方法情報は、前記吹付対象の大きさに関わらず、前記吹付対象の部位に対する前記吹付手段の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報である。
【0008】
請求項3に記載の吹付システムは、請求項1又は2に記載の吹付システムにおいて、所定方法で取得した前記吹付対象と前記吹付手段との位置関係に基づいて、前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報を補正する補正手段を備え、前記動作制御手段は、前記補正手段にて補正された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う。
【0009】
請求項4に記載の吹付システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の吹付システムにおいて、前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作の障害になる障害物を検知する障害物検知手段を備え、前記動作制御手段は、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作制御を行う。
【0010】
請求項5に記載の吹付システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の吹付システムにおいて、前記移動手段によって鉛直方向及び水平方向に向けて移動される複数の前記吹付手段を備え、前記吹付対象の第1の側と、前記第1の側とは反対の第2の側とに前記吹付材を同時に吹付可能となる位置に、前記複数の吹付手段を配置した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の吹付システムによれば、少なくとも1つ以上の吹付手段を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段と、少なくとも吹付手段を遠隔操作するための遠隔操作手段と、部位情報と、吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段と、吹付方法情報格納手段に格納されている吹付方法情報のうち、遠隔操作手段を介して受け付けられた部位情報に対応する吹付方法情報を特定する特定手段と、特定手段にて特定された吹付方法情報に基づいて、吹付手段の動作制御を行う動作制御手段と、を備えるので、遠隔操作手段により部位情報が受付けられることで、当該部位情報に応じた吹付手段の吹付方法で吹付材を吹付対象に自動的に吹付けることができ、作業者による吹付手段の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の吹付システムによれば、吹付方法情報が、吹付対象の大きさに関わらず、吹付対象の部位に対する吹付手段の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報であるので、吹付対象の大きさに左右されない吹付方法情報を設定でき、吹付方法情報の設定の簡易化を図ることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の吹付システムによれば、動作制御手段が、補正手段にて補正された吹付方法情報に基づいて、吹付手段の動作制御を行うので、吹付材を吹付対象に正確に吹付けることができ、吹付材を吹付対象に吹付ける吹付作業の精度を高めることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の吹付システムによれば、動作制御手段が、障害物検知手段の検知結果に基づいて、吹付手段又は/及び移動手段の動作制御を行うので、吹付手段又は/及び移動手段と障害物とが衝突することを回避でき、吹付作業を安全に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の吹付システムによれば、吹付対象の第1の側と、第1の側とは反対の第2の側とに吹付材を同時に吹付可能となる位置に、複数の吹付手段を配置したので、吹付対象の第1の側及び第2の側に吹付材を同時に吹き付けることができ、吹付作業を迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る吹付システムを概念的に示す斜視図である。
図2】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図3】吹付方法DBの構成例を示す図である。
図4】梁材の各種の部位に関する吹付部の吹付方法の詳細を示す図であり、(a)は梁材の上フランジの下面部に関する吹付方法を示す図、(b)は梁材の上フランジの縁部に関する吹付方法を示す図、(c)は梁材のウエブの面部に関する吹付方法を示す図、(d)は梁材の下フランジの上面部に関する吹付方法を示す図、(e)は梁材の下フランジの下面部に関する吹付方法を示す図、(f)は梁材の下フランジの縁部に関する吹付方法を示す図である。
図5】柱材の各種の部位に関する吹付部の吹付方法の詳細を示す図であり、(a)は柱材の左面部に関する吹付方法を示す図、(b)は柱材の前面部に関する吹付方法を示す図である。
図6】実施の形態に係る吹付処理のフローチャートである。
図7】複数の吹付対象に関する吹付部の吹付方法の詳細を示す平面図である。
図8】吹付システムの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る吹付システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、吹付材を吹付対象に吹付けるための吹付システムに関する。
【0019】
ここで、「吹付材」とは、吹付けることで施工が可能な材料を意味し、例えば、吹付け用耐火被覆材(一例として、ロックウール、セメントスラリー、現場発泡ウレタン等)、及び吹付塗料等を含む概念であるが、実施の形態では、ロックウールとして説明する。
【0020】
また、「吹付対象」とは、吹付材が吹き付けられる対象を意味し、例えば、建設部材(一例として、鉄骨材、コンクリート部材)、車両、工業用機械等を含む概念であるが、実施の形態では、建設部材として説明する。
【0021】
ここで、「建設部材」とは、構造物を構成する部材を意味し、例えば、壁材、天井材、床材、柱材、梁材等を含む概念であるが、実施の形態では、梁材及び柱材として説明する。
【0022】
また、「構造物」の具体的な構造や種類は任意であり、例えば、建築構造物(一例として、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設等)や土木構造物(一例として、橋梁、トンネル、ダム等)を含む概念であるが、実施の形態では、既設のオフィスビルとして説明する。
【0023】
また、「吹付材を吹付対象に吹付ける」とは、吹付材を霧状に吹いて吹付対象に付着させることを意味する。
【0024】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態に係る吹付システム10の構成と、吹付システム10によって吹き付けられる吹付対象1の構成とについて説明する。
【0026】
(構成-吹付対象)
まず、吹付対象1の構成について説明する。
【0027】
以下の説明では、図1のX方向を吹付システム10の左右方向(-X方向を吹付システム10の左方向、+X方向を吹付システム10の右方向)、図1のY方向を吹付システム10の前後方向(+Y方向を吹付システム10の前方向、-Y方向を吹付システム10の後方向)、図1のZ方向を吹付システム10の上下方向(+Z方向を吹付システム10の上方向、-Z方向を吹付システム10の下方向)と称する。
【0028】
吹付対象1は、吹付材4(具体的には、ロックウール)が吹き付けられる対象であると共に、図示しない構造物(具体的には、既設のオフィスビル)を構成する建設部材であり、図1に示すように、柱材2及び梁材3を含んでいる。
【0029】
このうち、柱材2は、例えば公知の柱材(一例として、溶接四面ボックス柱の如き鋼製の柱材)を用いて構成されており、図1に示すように、図示しない床材の相互間において相互に間隔を隔てて複数設けられている。
【0030】
また、梁材3は、例えば公知の梁材(一例として、H鋼型梁の如き鋼製の梁材)を用いて構成されており、図1に示すように、柱材2同士の相互間において、柱材2の下端から所定の高さ位置(例えば、柱材2の下端から2000mm~9000mm程度の高さ位置)にそれぞれ設けられている。
【0031】
(構成-吹付システム)
次に、吹付システム10の構成について説明する。
【0032】
吹付システム10は、吹付材4を吹付対象1に吹付けるためのシステムである。この吹付システム10は、構造物内に設けられており、図1図2に示すように、吹付部20、移動部30、遠隔操作部40、障害物検知部50、位置検出部60、及び制御ユニット70を備えている。
【0033】
(構成-吹付システム-吹付部)
吹付部20は、吹付材4を吹付対象1に吹付ける吹付手段である。この吹付部20は、例えば公知の吹付装置等を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、吹付材4を吐出するノズル部21と、ノズル部21を任意の位置に移動させることが可能であり、且つ旋回可能なアーム部22(例えば、6軸ロボットアーム等)と、吹付材4をノズル部21に供給する供給部(図示省略)と、を備えている。
【0034】
(構成-吹付システム-移動部)
移動部30は、少なくとも1つ以上の吹付部20を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段である。この移動部30は、例えば公知の移動装置を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、架台部31、鉛直移動部32、及び水平移動部33を備えている。
【0035】
(構成-吹付システム-移動部-架台部)
架台部31は、吹付部20を設置するためのものである。この架台部31は、例えば公知の架台等を用いて構成されており、図1に示すように、略水平に配置されており、架台部31の上面に載置された吹付部20のアーム部22に対して固定具等によって接続されている。
【0036】
(構成-吹付システム-移動部-鉛直移動部)
鉛直移動部32は、吹付部20及び架台部31を鉛直方向に移動させるためのものである。この鉛直移動部32は、例えば公知の鉛直移動装置(一例として、機械式高速昇降装置)を用いて構成されており、図1に示すように、架台部31よりも下方位置に設けられており、架台部31に対して固定具等によって接続されている。
【0037】
(構成-吹付システム-移動部-水平移動部)
水平移動部33は、吹付部20、架台部31、及び鉛直移動部32を水平方向に移動させるためのものである。この水平移動部33は、例えば公知の水平移動装置(一例として、床面を走行可能な複数の車輪部を備える水平移動装置等)を用いて構成されており、図1に示すように、鉛直移動部32よりも下方位置に設けられており、鉛直移動部32に対して固定具等によって接続されている。
【0038】
(構成-吹付システム-遠隔操作部)
遠隔操作部40は、少なくとも吹付部20(実施の形態では、吹付部20及び移動部30)を遠隔操作するための遠隔操作手段である。この遠隔操作部40は、例えば公知の遠隔操作装置(一例として、吹付システム専用の遠隔操作装置、あるいは、遠隔操作用アプリがインストールされた携帯端末(例えば、スマートフォン))を用いて構成されており、図1に示すように、作業者Mによって所持されている(あるいは、移動部30の近傍に設けられてもよい)。
【0039】
(構成-吹付システム-障害物検知部)
障害物検知部50は、吹付部20又は/及び移動部30の動作の障害になる障害物を検知する障害物検知手段である。この障害物検知部50は、例えば公知の障害物検知センサ(一例として、赤外線センサ、光学式センサ、超音波センサ)を用いて構成されており、移動部30に設けられている。具体的には、吹付部20及び移動部30の動作の障害になる障害物を検知可能となるように、吹付部20及び移動部30の近傍位置にそれぞれ設けられている。
【0040】
(構成-吹付システム-位置検出部)
位置検出部60は、吹付対象1と吹付部20との位置関係(具体的には、吹付対象1と吹付部20との離間距離)を検出する位置検出手段である。この位置検出部60は、例えば公知の位置センサ(一例として、レーザ式位置センサ)を用いて構成されており、吹付部20の近傍に設けられている。
【0041】
(構成-吹付システム-制御ユニット)
制御ユニット70は、吹付システム10を制御するためのユニットである。この制御ユニット70は、移動部30(具体的には、水平移動部33)に設けられており、図2に示すように、操作部71、通信部72、出力部73、電源部74、制御部75、及び記憶部76を備えている。
【0042】
(構成-吹付システム-制御ユニット-操作部)
操作部71は、制御ユニット70に対する操作入力を受け付ける操作手段である。
【0043】
(構成-吹付システム-制御ユニット-通信部)
通信部72は、吹付システム10を構成する各部(具体的には、吹付部20、移動部30、遠隔操作部40、障害物検知部50、位置検出部60)又は外部装置(例えば、管理棟に設置されたサーバや端末装置等)との相互間で通信するための通信手段であり、例えば、無線通信網及び有線通信網を用いて通信を行う公知の通信手段を用いて構成されている。
【0044】
(構成-吹付システム-制御ユニット-出力部)
出力部73は、制御部75の制御に基づいて各種の情報を表示する出力手段であり、例えば、ディスプレイやスピーカ等の公知の表示手段又は音声出力手段を用いて構成されている。
【0045】
(構成-吹付システム-制御ユニット-電源部)
電源部74は、図示しない外部電源(例えば、商用電源又はバッテリ)から供給された電力を、制御ユニット70の各部及び吹付システム10を構成する各部(具体的には、吹付部20、移動部30、障害物検知部50、位置検出部60)に供給するものであり、例えば公知の蓄電可能な電源手段(一例として、バッテリ)等を用いて構成されている。
【0046】
(構成-吹付システム-制御ユニット-制御部)
制御部75は、制御ユニット70の各部を制御すると共に、吹付システム10を構成する各部(具体的には、吹付部20、移動部30、障害物検知部50、位置検出部60)を制御する制御手段である。この制御部75は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0047】
また、この制御部75は、図2に示すように、機能概念的に、特定部75a、動作制御部75b、及び補正部75cを備えている。
【0048】
特定部75aは、後述の吹付方法DB76aに格納されている後述の吹付方法情報のうち、遠隔操作部40を介して受け付けられた後述の部位情報に対応する吹付方法情報を特定する特定手段である。
【0049】
動作制御部75bは、特定部75aにて特定された後述の吹付方法情報に基づいて、吹付部20の動作制御を行う動作制御手段である。
【0050】
補正部75cは、吹付対象1と吹付部20との位置関係に基づいて、特定部75aにて特定された吹付方法情報を補正する補正手段である。なお、この制御部75によって実行される処理の詳細については後述する。
【0051】
(構成-吹付システム-制御ユニット-記憶部)
記憶部76は、制御ユニット70の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0052】
また、この記憶部76は、図2に示すように、吹付方法データベース(以下、データベースを「DB」と称する)76aを備えている。
【0053】
(構成-吹付システム-制御ユニット-記憶部-吹付方法DB)
吹付方法DB76aは、部位情報と、吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段である。
【0054】
ここで、「部位情報」とは、吹付対象1の部位を示す情報であり、実施の形態では、梁材3の各種の面部及び縁部を示す情報(例えば、梁材3の上フランジの下面部を示す情報、梁材3の下フランジの縁部を示す情報等)、及び柱材2の各種の面部(例えば、柱材2の前面部を示す情報等)が該当する。
【0055】
また、「吹付方法情報」とは、吹付部20の吹付方法を示す情報であり、実施の形態では、吹付対象1の部位に対する吹付部20(具体的には、ノズル部21)の吹付角度を示す吹付角度情報、吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付位置を示す吹付位置情報、及び、吹付部20による吹付材4の吹付速度を示す吹付速度情報等が該当する。
【0056】
この吹付方法DB76aは、図3に示すように、項目「部位情報」及び項目「吹付方法情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。また、項目「吹付方法情報」は、さらに、吹付方法情報に関する項目として、項目「吹付角度情報」、項目「吹付位置情報」、及び項目「吹付速度情報」を含んでいる。
【0057】
ここで、項目「部位情報」に対応する情報は、部位情報であり、例えば、図3に示す吹付対象1の部位である「梁材の上フランジの下面部」等が該当する。
【0058】
また、項目「吹付方法情報」に対応する情報は、吹付方法情報である。このうち、項目「吹付角度情報」に対応する情報は、吹付角度情報であり、例えば、図3に示す吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付角度である「θ1」等が該当する。なお、図3の「θ1」等の吹付部20の吹付角度は、図4図5において同じ文字で示す吹付角度(すなわち、図3の「θ1」等)と対応する。また、項目「吹付位置情報」に対応する情報は、吹付位置情報であり、例えば、図3に示す吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付位置(具体的には、吹付対象1の部位における断面(例えば、梁材3の場合には縦断面、柱材2の場合には横断面)の中心位置から所定距離離れた位置の水平座標及び鉛直座標であり、当該断面における水平座標及び鉛直座標)である「(x1、y1)」等が該当する。なお、図3の「x1」、「y1」等の吹付部20の吹付位置は、図4図5において同じ文字で示す吹付位置(すなわち、図4の「x1」、「y1」等)と対応する。また、項目「吹付速度情報」に対応する情報は、吹付速度情報であり、例えば、図3に示す吹付部20による吹付材4の吹付速度である「v1」等が該当する。
【0059】
また、吹付方法情報の設定方法については任意であるが、実施の形態では、吹付対象1の大きさに関わらず、吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報に設定している。
【0060】
例えば、図4図5に示すように、吹付対象1の各種の部位に応じて異なる吹付角度情報及び吹付位置情報を設定しているものの、吹付対象1の大きさに依存しない一定の吹付角度情報及び吹付位置情報を設定してもよい。
【0061】
一例として、吹付対象1の部位=梁材3の上フランジの下面部である場合において、吹付対象1の幅=400mm及び吹付対象1の高さ=400mmである場合には、図3に示すように、吹付角度情報=θ1、吹付位置情報=(x1、y1)が設定される。また、吹付対象1の幅=800mm及び吹付対象1の高さ=800mmである場合にも、図3に示すように、吹付角度情報=θ1、吹付位置情報=(x1、y1)が設定される。
【0062】
あるいは、吹付対象1の各種の部位に応じて異なる吹付角度情報及び吹付位置情報を設定しているものの、吹付対象1の大きさに依存しない一定の吹付角度情報(又は吹付位置情報)を設定すると共に、吹付対象1の大きさに応じて異なる吹付位置情報(又は吹付角度情報)を設定してもよい。この場合には、吹付方法DB76aには、部位情報及び吹付方法情報に加えて、吹付対象1のサイズを示すサイズ情報(例えば、吹付対象1の幅、奥行き、高さ、及び厚さを示す情報等)も相互に関連付けて格納されてもよい。
【0063】
このような設定方法により、吹付対象1の大きさに左右されない吹付方法情報を設定でき、吹付方法情報の設定の簡易化を図ることが可能となる。
【0064】
(吹付処理)
次に、このように構成された吹付システム10における制御ユニット70の制御部75によって実行される吹付処理について説明する。以下の説明では、図6に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0065】
吹付処理は、吹付材4を吹付対象1に吹付けるための処理である。この吹付処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、吹付システム10の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。
【0066】
吹付処理が起動されると、図6に示すように、SA1において制御ユニット70の動作制御部75bは、吹付材4を吹付対象1に吹付ける準備を行うための準備処理を実行する。
【0067】
この準備処理の処理内容については任意であるが、例えば以下の通りに実行してもよい。
【0068】
すなわち、遠隔操作部40から受け付けられた操作指示(例えば、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30を所定方向に移動させる旨を示す指示等)に基づいて、吹付部20のノズル部21が動作基準位置に位置するように、移動部30(鉛直移動部32、水平移動部33)又は/及び吹付部20のアーム部22によって吹付部20のノズル部21を移動させてもよい。また、吹付部20の供給部に貯蔵されている吹付材4の貯蔵量が閾値未満である場合には、その旨を示す情報を出力部73を介して報知してもよい。
【0069】
ここで、「動作基準位置」とは、吹付対象1に対して吹付部20の動作制御を行う際の基準(始点)となる位置を意味し、例えば、吹付材4が吹き付けられる吹付対象1の部位における断面の中心位置から水平方向又は/及び鉛直方向に所定距離離れた位置等が該当する。
【0070】
なお、例えば、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30を移動又は旋回させる際に、障害物検知部50によって障害物(例えば、吹付対象1に置かれた他の建設部材等)が検知された場合には、制御ユニット70の動作制御部75bは、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30の移動又は旋回を一時停止させてもよい(又は、当該一停止に加えて、一時停止した旨を示す情報を出力部73を介して報知してもよい)。そして、所定の回避制御により障害物検知部50によって障害物が検知されなくなると(又は、障害物検知部50による障害物の検知を解除する解除情報が受信されると)、制御ユニット70の動作制御部75bは、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30の移動又は旋回の一時停止を解除して、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30の移動又は旋回を継続させてもよい。これにより、吹付部20又は/及び移動部30と障害物とが衝突することを回避でき、吹付材4を吹付対象1に吹付ける吹付作業を安全に行うことができる。
【0071】
ここで、上記回避制御の具体的な処理内容については任意であるが、例えば、制御ユニット70の動作制御部75bが、障害物検知部50によって障害物が検知された後に、記憶部76に記憶された回避情報(又は外部装置から取得した回避情報)であって、障害物と吹付部20又は/及び移動部30とが接触しないように、吹付部20又は/及び移動部30を移動させる回避情報(一例として、吹付部20又は/及び移動部30の移動方向及び移動距離を示す情報等)に基づいて、吹付部20又は/及び移動部30を自動的に移動させてもよい。あるいは、制御ユニット70の動作制御部75bが、障害物検知部50によって障害物が検知された後に、遠隔操作部40から受け付けられた操作指示(例えば、吹付部20のノズル部21又は/及び移動部30を所定方向に移動させる旨を示す指示等)に基づいて、吹付部20又は/及び移動部30を移動させてもよい。
【0072】
SA2において制御ユニット70の制御部75は、遠隔操作部40から部位情報が受け付けられたか否かを判定する。
【0073】
そして、制御ユニット70の制御部75は、上記部位情報が受け付けられるまで待機し(SA2、No)、上記部位情報が受け付けられた場合(SA2、Yes)にはSA3へ移行する。
【0074】
SA3において制御ユニット70の特定部75aは、吹付方法情報(具体的には、吹付角度情報、吹付位置情報、及び吹付速度情報)を特定する。
【0075】
この吹付方法情報の特定方法については任意であるが、実施の形態では、吹付方法DB76aに格納されている吹付方法情報のうち、SA2にて受け付けられた部位情報に対応する吹付方法情報を特定する。
【0076】
一例として、部位情報=梁材3の上フランジの下面部である場合には、吹付角度情報=θ1、吹付位置情報=(x1、y1)、吹付速度情報=v1が特定される。
【0077】
SA4において制御ユニット70の動作制御部75bは、SA3にて特定された吹付方法情報に基づいて、吹付部20の動作制御を行う。
【0078】
この吹付部20の動作制御の具体的な処理内容については任意であるが、実施の形態では以下の通りに制御を行う。
【0079】
すなわち、まず、吹付部20のアーム部22によって、吹付部20のノズル部21を動作基準位置からSA3にて特定された吹付位置情報の吹付位置まで移動させる。また、吹付部20のノズル部21の吹付角度がSA3にて特定された吹付角度情報の吹付角度になるように、吹付部20のアーム部22によって、吹付部20のノズル部21を旋回させる。その後、所定時間経過するまで(又は所定操作が行われるまで)、SA3にて特定された吹付速度情報の吹付速度で、吹付部20の供給部から供給される吹付材4を吹付部20のノズル部21から吐出させる。
【0080】
ここで、吹付部20のノズル部21を移動又は/及び旋回させる際に、障害物検知部50によって障害物が検知された場合には、制御ユニット70の動作制御部75bは、吹付部20のノズル部21の移動又は旋回を一時停止させる(又は、当該一停止に加えて、一時停止した旨を示す情報を出力部73を介して報知してもよい)。そして、上記所定の回避制御により障害物検知部50によって障害物が検知されなくなると(又は、上記解除情報が受信されると)、制御ユニット70の動作制御部75bは、吹付部20のノズル部21の移動又は旋回の一時停止を解除して、吹付部20のノズル部21の移動又は旋回を継続させる。
【0081】
これにより、吹付部20と障害物とが衝突することを回避でき、吹付作業を安全に行うことができる。
【0082】
また、吹付部20のノズル部21から吹付材4を吐出させる直前において、位置検出部60によって検出された吹付対象1と吹付部20との離間距離(又は、定規等を用いて手動で測定された吹付対象1と吹付部20との離間距離等)が基準値を満たさない場合には、制御ユニット70の補正部75cは、SA3にて特定された吹付方法情報を補正し、制御ユニット70の動作制御部75bは、補正部75cにて補正された吹付方法情報に基づいて、吹付部20のノズル部21の動作制御を行う。
【0083】
一例として、上記離間距離が基準値よりも短い場合には、SA3にて特定された吹付位置情報の吹付位置を水平方向又は/及び鉛直方向に所定距離だけ離れた位置になるように補正し、又は/及び、SA3にて特定された吹付速度情報の吹付速度を所定速度だけ下げるように補正してもよい。あるいは、上記離間距離が基準値よりも遠い場合には、SA3にて特定された吹付位置情報の吹付位置を水平方向又は/及び鉛直方向に所定距離だけ近づけた位置となるように補正したり、又は/及び、SA3にて特定された吹付速度情報の吹付速度を所定速度だけ上げるように補正してもよい。そして、上記補正された吹付位置に基づいて吹付部20のノズル部21を移動させた後に、上記補正された吹付速度で吹付材4を吹付部20のノズル部21から吐出させてもよい。
【0084】
これにより、吹付材4を吹付対象1に正確に吹付けることができ、吹付作業の精度を高めることが可能となる。
【0085】
SA5において制御ユニット70の制御部75は、吹付処理を終了するタイミング(以下、「終了タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0086】
この終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、遠隔操作部40又は制御ユニット70の操作部71を介して所定操作が受け付けられたか否かに基づいて判定し、上記所定操作が行われた場合には終了タイミングが到来したと判定し、上記所定操作が行われていない場合には終了タイミングが到来していないと判定する。
【0087】
そして、制御ユニット70の制御部75は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SA5、Yes)には吹付処理を終了する。一方で、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SA5、No)にはSA1に移行し、SA5にて終了タイミングが到来したと判定されるまでSA1からSA5の処理を繰り返し行う。
【0088】
なお、SA1からSA5の処理が繰り返し行われることにより、例えば、図7に示すように、吹付対象1が複数存在する場合に、これら吹付対象1に対する吹付作業を以下に示す通り連続して行うことが可能となる。
【0089】
ここで、図7の吹付対象1の設置の詳細については、図7に示すように、平面形状が矩形状である第1空間S1及び第2空間S2をそれぞれ囲繞するように梁材3aから梁材3gがそれぞれ設けられており、隣接する梁材3同士の相互間に柱材2aから柱材2fがそれぞれ設けられている。また、図7の(1)から(24)の数字は、吹付部20の設置順序を示す。また、図7では、各吹付対象1の部分のうちハッチングされている部分は、吹付材4が吹き付けられる部分を示す。
【0090】
一例として、まず、吹付処理が起動された後に、SA1において図7の(1)の位置まで移動部30を移動させた後に、柱材2a及び梁材3aの各々に対してSA1からSA4の処理が行われることで、柱材2aの一部の面部及び梁材3aの一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。次に、SA1において図7の(2)の位置まで移動部30を移動させた後に、梁材3aに対してSA1からSA4の処理が行われることで、梁材3aの他の一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。次いで、SA1において図7の(3)の位置まで移動部30を移動させた後に、柱材2bに対してSA1からSA4の処理が行われることで、柱材2bの一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。次いで、SA1において図7の(4)の位置まで移動部30を移動させた後に、柱材2b及び梁材3bの各々に対してSA1からSA4の処理が行われることで、柱材2bの他の一部の面部及び梁材3bの一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。次に、SA1において図7の(5)の位置まで移動部30を移動させた後に、梁材3bに対してSA1からSA4の処理が行われることで、梁材3bの他の一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。続いて、SA1において図7の(6)の位置まで移動部30を移動させた後に、柱材2cに対してSA1からSA4の処理が行われることで、柱材2cの一部の面部に吹付材4が吹き付けられる。
【0091】
このような図7の(1)の位置から図7の(6)の位置で行われた一連の作業が、図7の(7)の位置から図7の(12)の位置でも順次行われることで、第1空間S1を囲繞する梁材3aから梁材3d及び柱材2aから柱材2dに対して吹付材4を吹き付けることができる。
【0092】
さらに、図7の(1)の位置から図7の(12)の位置で行われた一連の作業が、図7の(13)の位置から図7の(24)の位置でも順次行われることで、第2空間S2を囲繞する梁材3dから梁材3g及び柱材2a、柱材2d、柱材2e、柱材2fに対して吹付材4を吹き付けることができる。
【0093】
なお、各梁材3及び各柱材2において、吹付システム10によって吹き付けられなかった箇所は、作業者Mによって手動で吹付材4が吹き付けられてもよい。
【0094】
このような吹付処理により、遠隔操作部40により部位情報が受付けられることで、当該部位情報に応じた吹付部20の吹付方法で吹付材4を吹付対象1に自動的に吹付けることができ、作業者Mによる吹付部20の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる。
【0095】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、少なくとも1つ以上の吹付部20を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動部30と、少なくとも吹付部20を遠隔操作するための遠隔操作部40と、部位情報と、吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法DB76aと、吹付方法DB76aに格納されている吹付方法情報のうち、遠隔操作部40を介して受け付けられた部位情報に対応する吹付方法情報を特定する特定部75aと、特定部75aにて特定された吹付方法情報に基づいて、吹付部20の動作制御を行う動作制御部75bと、を備えるので、遠隔操作部40により部位情報が受付けられることで、当該部位情報に応じた吹付部20の吹付方法で吹付材4を吹付対象1に自動的に吹付けることができ、作業者Mによる吹付部20の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる。
【0096】
また、吹付方法情報が、吹付対象1の大きさに関わらず、吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報であるので、吹付対象1の大きさに左右されない吹付方法情報を設定でき、吹付方法情報の設定の簡易化を図ることが可能となる。
【0097】
また、動作制御部75bが、補正部75cにて補正された吹付方法情報に基づいて、吹付部20の動作制御を行うので、吹付材4を吹付対象1に正確に吹付けることができ、吹付材4を吹付対象1に吹付ける吹付作業の精度を高めることが可能となる。
【0098】
また、動作制御部75bが、障害物検知部50の検知結果に基づいて、吹付部20又は/及び移動部30の動作制御を行うので、吹付部20又は/及び移動部30と障害物とが衝突することを回避でき、吹付作業を安全に行うことができる。
【0099】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0100】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0101】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、実施の形態に係る制御ユニット70を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部75を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部76を設けてもよい。
【0102】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0103】
(吹付システムについて)
上記実施の形態では、吹付システム10が、補正部75c、障害物検知部50、及び位置検出部60を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、補正部75c、障害物検知部50、又は位置検出部60の少なくともいずれか1つを省略してもよい。
【0104】
また、上記実施の形態では、吹付システム10が、1つの吹付部20を備えると説明したが、これに限らず、例えば、移動部30によって鉛直方向及び水平方向に向けて移動される複数の吹付部20を備えてもよい。
【0105】
この場合において、複数の吹付部20の設置方法については任意であるが、例えば、図8に示すように、吹付対象1の第1の側(図8では、前方側)と、第1の側とは反対の第2の側(図8では、後方側)とに吹付材4を同時に吹付可能となる位置(図8では、複数の吹付部20が吹付対象1を挟んで前後方向に向かい合う位置)に配置してもよい。これにより、吹付対象1の第1の側及び第2の側に吹付材4を同時に吹き付けることができ、吹付作業を迅速に行うことが可能となる。
【0106】
あるいは、吹付対象1の第1の側のみに吹付材4を同時に吹付可能となる位置に、複数の吹付部20が相互に間隔を隔てて並設されてもよい。
【0107】
(遠隔操作部について)
上記実施の形態では、遠隔操作部40が、吹付部20及び移動部30を遠隔操作するものであると説明したが、これに限らない。
【0108】
例えば、遠隔操作部40が、移動部30のみを遠隔操作するものであってもよい。この場合には、遠隔操作部40以外の他の遠隔操作手段(例えば、吹付部20を遠隔操作できる制御ユニット70の操作部71等)によって吹付部20が遠隔操作されてもよい。
【0109】
あるいは、遠隔操作部40が、吹付部20のみを遠隔操作するものであってもよい。この場合には、制御ユニット70の操作部71によって移動部30の動作操作が行われてもよい。
【0110】
(吹付方法情報について)
上記実施の形態では、吹付方法情報が、吹付対象1の大きさに関わらず、吹付対象1の部位に対する吹付部20の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報であると説明したが、これに限らず、例えば、吹付対象1の大きさに応じて吹付部20の吹付角度及び吹付位置を非同一とする情報であってもよい。この場合には、吹付方法DB76aには、部位情報及び吹付方法情報に加えて、上記サイズ情報も相互に関連付けて格納されてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、吹付方法情報が、吹付速度情報を含むと説明したが、これに限らず、例えば、吹付部20による吹付材4の吹付速度を一定にする場合には、吹付速度情報を省略してもよい。
【0112】
(吹付処理について)
上記実施の形態では、SA1及びSA5の処理が実行されると説明したが、これに限らず、例えば、SA1又は/及びSA5の処理を省略してもよい。
【0113】
(付記)
付記1の吹付システムは、吹付材を吹付対象に吹付けるための吹付システムであって、前記吹付材を前記吹付対象に吹付ける吹付手段と、少なくとも1つ以上の前記吹付手段を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段と、少なくとも前記吹付手段を遠隔操作するための遠隔操作手段と、前記吹付対象の部位を示す部位情報と、前記吹付手段の吹付方法を示す吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段と、前記吹付方法情報格納手段に格納されている前記吹付方法情報のうち、前記遠隔操作手段を介して受け付けられた前記部位情報に対応する前記吹付方法情報を特定する特定手段と、前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う動作制御手段と、を備える。
【0114】
付記2の吹付システムは、付記1に記載の吹付システムにおいて、前記吹付方法情報は、前記吹付対象の大きさに関わらず、前記吹付対象の部位に対する前記吹付手段の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報である。
【0115】
付記3の吹付システムは、付記1又は2に記載の吹付システムにおいて、所定方法で取得した前記吹付対象と前記吹付手段との位置関係に基づいて、前記特定手段にて特定された前記吹付方法情報を補正する補正手段を備え、前記動作制御手段は、前記補正手段にて補正された前記吹付方法情報に基づいて、前記吹付手段の動作制御を行う。
【0116】
付記4の吹付システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の吹付システムにおいて、前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作の障害になる障害物を検知する障害物検知手段を備え、前記動作制御手段は、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記吹付手段又は/及び前記移動手段の動作制御を行う。
【0117】
付記5の吹付システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の吹付システムにおいて、前記移動手段によって鉛直方向及び水平方向に向けて移動される複数の前記吹付手段を備え、前記吹付対象の第1の側と、前記第1の側とは反対の第2の側とに前記吹付材を同時に吹付可能となる位置に、前記複数の吹付手段を配置した。
【0118】
(付記の効果)
付記1に記載の吹付システムによれば、少なくとも1つ以上の吹付手段を鉛直方向及び水平方向に向けて移動させる移動手段と、少なくとも吹付手段を遠隔操作するための遠隔操作手段と、部位情報と、吹付方法情報とを相互に関連付けて格納する吹付方法情報格納手段と、吹付方法情報格納手段に格納されている吹付方法情報のうち、遠隔操作手段を介して受け付けられた部位情報に対応する吹付方法情報を特定する特定手段と、特定手段にて特定された吹付方法情報に基づいて、吹付手段の動作制御を行う動作制御手段と、を備えるので、遠隔操作手段により部位情報が受付けられることで、当該部位情報に応じた吹付手段の吹付方法で吹付材を吹付対象に自動的に吹付けることができ、作業者による吹付手段の遠隔操作を簡易且つ正確に行うことが可能となる。
【0119】
付記2に記載の吹付システムによれば、吹付方法情報が、吹付対象の大きさに関わらず、吹付対象の部位に対する吹付手段の吹付角度又は/及び吹付位置を同一とする情報であるので、吹付対象の大きさに左右されない吹付方法情報を設定でき、吹付方法情報の設定の簡易化を図ることが可能となる。
【0120】
付記3に記載の吹付システムによれば、動作制御手段が、補正手段にて補正された吹付方法情報に基づいて、吹付手段の動作制御を行うので、吹付材を吹付対象に正確に吹付けることができ、吹付材を吹付対象に吹付ける吹付作業の精度を高めることが可能となる。
【0121】
付記4に記載の吹付システムによれば、動作制御手段が、障害物検知手段の検知結果に基づいて、吹付手段又は/及び移動手段の動作制御を行うので、吹付手段又は/及び移動手段と障害物とが衝突することを回避でき、吹付作業を安全に行うことができる。
【0122】
付記5に記載の吹付システムによれば、吹付対象の第1の側と、第1の側とは反対の第2の側とに吹付材を同時に吹付可能となる位置に、複数の吹付手段を配置したので、吹付対象の第1の側及び第2の側に吹付材を同時に吹き付けることができ、吹付作業を迅速に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1 吹付対象
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f 柱材
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g 梁材
4 吹付材
10 吹付システム
20 吹付部
21 ノズル部
22 アーム部
30 移動部
31 架台部
32 鉛直移動部
33 水平移動部
40 遠隔操作部
50 障害物検知部
60 位置検出部
70 制御ユニット
71 操作部
72 通信部
73 出力部
74 電源部
75 制御部
75a 特定部
75b 動作制御部
75c 補正部
76 記憶部
76a 吹付方法DB
M 作業者
S1 第1空間
S2 第2空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8