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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128142
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】包装袋、及びシート包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/10 20060101AFI20230907BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230907BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20230907BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B27/32 Z
B65D83/08 G
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032286
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛一
【テーマコード(参考)】
3E014
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E014MC06
3E014MC08
3E086AA23
3E086AC12
3E086AD01
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB55
3E086BB62
3E086BB71
3E086BB85
3E086BB87
3E086CA35
4F100AK01B
4F100AK06B
4F100AK06C
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK63B
4F100AK63C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DG10A
4F100GB16
4F100JB16B
4F100JK02
4F100JK03
4F100JK06
4F100JK10C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】プラスチックの使用量を削減しながら、使用時に破れにくい包装袋を提供する。
【解決手段】シートを収容する包装袋であって、紙を含む積層体で構成され、前記積層体は、坪量が15g/m以上55g/m以下である、紙製の基層と、前記基層の一方の面に積層され、坪量が3g/m以上20g/m以下である、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記樹脂層は、前記基層側に積層された、分岐状低密度ポリエチレン製の第1層と、前記第1層の前記基層に接する側と反対側に積層された、前記分岐状低密度ポリエチレンよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層と、を有する、包装袋。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容する包装袋であって、
紙を含む積層体で構成され、
前記積層体は、
坪量が15g/m以上55g/m以下である、紙製の基層と、
前記基層の一方の面に積層され、坪量が3g/m以上20g/m以下である、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、
前記樹脂層は、
前記基層側に積層された、分岐状低密度ポリエチレン製の第1層と、
前記第1層の前記基層に接する側と反対側に積層された、前記分岐状低密度ポリエチレンよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層と、を有する、
包装袋。
【請求項2】
前記樹脂層の厚みが4μm以上22μm以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1層の厚みに対する前記第2層の厚みの比が0.2以上0.8以下である、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンの少なくとも1つである、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項5】
前記積層体全体に対する前記基層の質量比が50%以上である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装袋と、
前記包装袋に収容されたシートと、を有する、
シート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、及びシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGsの取り組や、CO排出量削減の動きに伴い、脱プラスチック(またはプラスチックの減量化)が注目されている。例えば、プラスチック原料を循環型原料となる紙へ置換える方法が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紙基材を含む包装基材がポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層を包装体が開示されている。また、特許文献2には、ポリプロピレン等の基材層、和紙等の中間層およびポリオレフィン樹脂のシーラント層を積層した包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-54512号公報
【特許文献2】特開2005-289409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の紙層と樹脂層を含む積層体は、ペーパータオルのようなシートを開封口から取り出す包装体に用いられる場合、シートを取り出す際や取り出し口を摘まんで包装体を持ち上げる際に、取出口より包装袋が破れやすい。また、このような破れを防ぐために、紙や樹脂の坪量や厚みを高くすると、原料削減の効果が十分に得られず、また包装材が固くなって製袋加工性が悪化する。
【0006】
本発明の課題は、プラスチックの使用量を削減しながら、使用時に破れにくい包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、シートを収容する包装袋であって、紙を含む積層体で構成され、前記積層体は、坪量が15g/m以上55g/m以下である、紙製の基層と、前記基層の一方の面に積層され、坪量が3g/m以上20g/m以下である、熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記樹脂層は、前記基層側に積層された、分岐状低密度ポリエチレン製の第1層と、前記第1層の前記基層に接する側と反対側に積層された、前記分岐状低密度ポリエチレンよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層と、を有する、包装袋を提供する。
【0008】
本明細書において、積層体は、包装袋の基材を構成する。分岐状低密度ポリエチレンは、長い側鎖を多く持った鎖状分子を有する嵩高の(密度が低い)ポリエチレン(以下、LDPEという)を示す。引張衝撃強度とは、衝撃体を試料に衝突させたときに試料が吸収するエネルギーであり、JIS K 7160に準拠した方法で測定した強度を示す。
【0009】
第1の態様では、坪量が15g/m以上55g/m以下の紙製の基層の一方の面に積層された、坪量が3g/m以上20g/m以下の熱可塑性樹脂を含む樹脂層が、該基層側の分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)製の第1層と、第1層の基層に接する側と反対側のLDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層とを有することで、包装袋の基材に紙が含まれる場合でも(プラスチックの使用量を削減しながら)、使用時における包装袋の破れを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る第2の態様は、前記樹脂層の厚みが4μm以上22μm以下である、包装袋を提供する。第2の態様では、樹脂層の厚みが4μm以上22μm以下であることで、包装袋の基材に紙が含まれる場合でも、基材のシール性の低下を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る第3の態様は、前記第1層の厚みに対する前記第2層の厚みの比が0.2以上0.8以下である、包装袋を提供する。第3の態様では、第1層の厚みに対する第2層の厚みの比が0.2以上0.8以下であることで、包装袋の製袋性を低下させずに、包装袋の使用時における破れを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る第4の態様は、ポリオレフィンが、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンの少なくとも1つである、包装袋を提供する。本明細書において、直鎖状低密度ポリエチレンは、直線状のポリエチレンに多くの側鎖が導入された嵩高の(密度が低い)ポリエチレン(以下、LLDPEという)を示す。
【0013】
第4の態様では、ポリオレフィンが直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンの少なくとも1つであることで、第1層のLDPEに対する第2層の密着性を向上させることができる。そのため、第4の態様によれば、使用時における包装袋の破れをさらに抑制することができる。
【0014】
本発明に係る第5の態様は、前記積層体全体に対する前記基層の質量比が50%以上である、包装袋を提供する。第5の態様では、積層体全体に対する基層の質量比が50%以上であるため、環境負荷を抑制することができる。
【0015】
また、第5の態様では、上述のように、熱可塑性樹脂を含む樹脂層がLDPE製の第1層とLDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層とを有することで、積層体全体に対する基層の質量比が50%以上の場合でも、包装袋の製袋性およびシール性を低下させずに、使用時における包装袋の破れを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る第6の態様は、第1乃至第5の態様に係る包装袋と、前記包装袋に収容されたシートと、を有する、シート包装体を提供する。第6の態様では、上述の包装袋にシートが収容されたシート包装体を構成することで、上述の包装袋と同様の効果が得られる。すなわち、第6の態様によれば、シート包装体を構成する包装袋を紙製にした場合でも(プラスチックの使用量を削減しながら)、使用時における包装袋の破れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、プラスチックの使用量を削減しながら、使用時に破れにくい包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】包装袋にシートが収容されたシート包装体を示す図である。
図2】包装袋に収容されるシートを示す図である。
図3図1のシート包装体を天面側から見た図である。
図4図1のシート包装体を底面側から見た図である。
図5図1のシート包装体を正面側から見た図である。
図6図1のシート包装体を背面側から見た図である。
図7図1のシート包装体を左側面側から見た図である。
図8図1のシート包装体を右側面側から見た図である。
図9】包装袋の基材(積層体)の断面の一例を示す図である。
図10】シート包装体の包装袋を開封した状態を示す図である。
図11】シート包装体の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<包装体>
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚み方向)をZ方向とする。
【0020】
図1は、実施形態の包装袋にシートが収容されたシート包装体を示す図である。図2は、実施形態の包装袋に収容されるシートを示す図である。図3図4図5図6図7図8は、図1のシート包装体を天面側、底面側、正面側、背面側、左側面側、右側面側からそれぞれ見た図である。
【0021】
シート包装体100は、図1に示すように、包装袋10、シート体SL(複数枚のシートS)を有する。シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例である。また、包装袋10は、本実施形態に係る包装袋の一例である。シート体SLは、本実施形態に係る包装袋に収容されて、本実施形態に係るシート包装体の一部を構成するシートの一例である。
【0022】
包装袋10には、図2に示すように、積層された複数枚(または複数組)のシートS(シート体SL)が収容される。シート体SLは、シートSの積層方向(SD方向)が高さ方向(Z方向)となるように包装袋10に収容されている。シート体SLは、包装袋10に形成された後述の取出口(開口OP)を通してシートSが1組ずつ引き出せるようになっている(図11参照)。
【0023】
シート体SLの形態は、特に限定されず、例えば、シートSが折りたたまれた状態で積層されたもの、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート体)、複数枚のシートSが単に積層されたもの等を採用することができる。
【0024】
また、シートS(シート体SL)の寸法は、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL2を150~250mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W2を70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH2を20~100mm程度とすることができる(図2図3参照)。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0025】
シートSの態様は、特に限定されず、例えば、ペーパータオル、キッチンペーパー、ティシューペーパー、トイレットペーパー等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。
【0026】
また、シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートとしては、これらの中でも、家庭用、携帯用のペーパータオルが好適に用いられる。
【0027】
シートSのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されないが、例えば、1プライのシートが折りたたまれた状態で輪郭形状が四角形(長方形、正方形等)のものであることが好ましい。
【0028】
シートSの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙(紙シート)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0029】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。
【0030】
なお、シートS(紙シート)において、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは90:10~20:80であり、より好ましくは針葉樹パルプに対して広葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0031】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは10g/m以上45g/m以下である。また、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0032】
また、シートS(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSが紙の場合、紙厚は、2プライあたり、50μm以上600μm以下であり、好ましくは60μm以上500μm以下、より好ましくは130μm以上400μm以下である。
【0033】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0034】
包装袋10の形態は、特に限定されない。本実施形態では、天面11、底面12、側面13、側面14、妻面15、妻面16を有する。なお、包装袋10では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向し、側面13と側面14が幅方向(Y方向)に対向し、妻面15と妻面16が長手方向(X方向)に対向する。また、妻面15、16は、天面11、底面12、側面13、および側面14のいずれにも連続する(図1図3図8)。
【0035】
包装袋10の寸法は、特に限定されない。例えば、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1は150~250mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W1は70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH1は20~100mm程度とすることができる(図1図3)。なお、包装袋10の寸法は、包装袋10にシート体SLが収容された状態での寸法を示す(図1図2)。
【0036】
包装袋10の天面11、妻面15の天面11側、妻面16の天面11側には、包装袋10の長手方向(X方向)に延びる取出口30が形成されている。具体的には、取出口30は、開裂用切目線Mが形成されている。開裂用切目線Mは、カットCとタイT(2つのカットC、C間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる切目線である(図1図3)。
【0037】
本実施形態では、開裂用切目線Mは、カットCとタイTが交互に配置された直線状のミシン目を構成する(図1図3)。開裂用切目線(ミシン目)MのタイTとカットCの比は、任意であるが、例えば、1:1~1:7とすることができ、好ましくは1:1~1:3、より好ましくは1:1~1:2である。
【0038】
本実施形態の包装袋10では、この開裂用切目線(ミシン目)Mが開裂することで、包装袋10の天面11にシートSが引き出される取出口(開口OP)が形成される(図1図10)。
【0039】
なお、開裂用切目線Mの作製方法は、任意である。例えば、図示しないが、針部と台部の間に、後述する包装袋10の基材20を配置し、針部の先端を台部の受溝に向けて刺すことで、開裂用切目線Mを形成することができる。
【0040】
包装袋10では、通気孔(図示せず)を形成してもよい。通気孔は、包装袋10の空気穴として機能することができる。通気孔の位置は、特に限定されず、本実施形態では、包装袋10の側面13、側面14、妻面15、16に、通気孔を設けることができる。通気孔の数は限定されない。また、通気孔の形状は、限定されず、例えば、平面視で円形である。さらに、通気孔の寸法は、限定されず、例えば、約2mmの径寸法である。
【0041】
なお、通気孔の作製方法は、任意であり、例えば、上述の開裂用切目線Mと同様に、針部と台部の間に包装袋10の基材20を配置し、針部の先端を台部の受溝に向けて刺すことで、通気孔を形成することができる。なお、通気孔を形成する場合は、台部に受溝が設けられていないものを用いてもよい。
【0042】
このような通気孔を包装袋10に設けることで、シート包装体100の保管時や輸送時に包装袋が破裂しにくくなる。
【0043】
包装袋10の包装形態は、特に限定されず、例えば、包装袋10の基材20が筒状に加工され、該筒状の基材20の開口端部がシール(封止)されたもの(ピロー包装袋)、筒状の包装袋10用シートの両端部が折りたたまれてシール(封止)されたもの(キャラメル包装袋)、または、これらを組み合わせたもの等を採用することができる。なお、ピロー包装袋の場合、筒状の基材20は、ガセット状に折り込まれていてもよい。
【0044】
本実施形態では、包装袋10が少なくとも1つのシール部を有するピロー包装袋で構成されている。具体的には、包装袋10の妻面15、16にシール部(エンドシール)40、50が形成され、包装袋10の底面12にシール部(ボトムシール)60が形成されて、シートS(シート体SL)がピロー包装されている。
【0045】
本実施形態の包装袋10では、シール部40、50、60が熱溶着されている。ここで、熱溶着は、基材20の一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す
具体的には、後述する基材20の樹脂層20Bが包装袋10の内側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。
【0046】
包装袋10では、シール部40の接合ピッチ、シール部50の接合ピッチ、シール部60の接合ピッチが、それぞれ好ましくは0.5mm以上2mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.8mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上1.5mm以下である。
【0047】
ここで、接合ピッチは、シール部40、50、60の一方の側(例えば、包装袋10の底面12側)から見たときに凸状に接着される部分(図示せず)の所定方向(シール部40、50については包装袋10の幅方向(Y方向)、シール部60については包装袋10の長手方向(X方向))における間隔を示す(図4)。
【0048】
本実施形態では、上述のように、シール部(シール部40、50、60)の接合ピッチを0.5mm以上2mm以下にすることで、後述する基層20Aに設けられた樹脂層20Bの接着機能を高めることができ、よりシール性の高い包装袋10(ピロー包装袋)が得られる。
【0049】
包装袋10は、紙成分を含む基材20で構成されている。基材20は、本実施形態に係る包装袋における積層体の一例である。
【0050】
ここで、紙成分は、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙成分におけるパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が100:0~30:70であり、好ましくは針葉樹パルプに対して広葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0051】
第1実施形態の包装袋10を構成する基材(積層体)20は、基層20A、樹脂層20Bで構成されている。第1実施形態における基材20は、後述の紙層21、分岐状低密度ポリエチレン層(以下、LDPE層という)22、直鎖状低密度ポリエチレン層(以下、LLDPE層という)23が、この順番で積層された3層構造を構成する(図9)。
【0052】
基層20Aは、基材20の基部を構成する。また、基層20Aは、上述の紙成分を含む紙層21を構成する。
【0053】
紙層21に含まれる紙成分の材質は、特に限定されないが、例えば、クラフト紙であり、好ましくは片艶クラフト紙である。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙である。また、片艶クラフト紙は、クラフト紙を白色まで漂白し、片面をプレスしたものである。
【0054】
基層20Aを構成する紙層21の坪量は、15g/m以上55g/m以下であり、好ましくは25g/m以上50g/m以下、より好ましくは28g/m以上45g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0055】
紙層21の厚みは、限定されないが、例えば、好ましくは20μm以上300μm以下であり、より好ましくは30μm以上200μm以下、さらに好ましくは35μm以上180μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0056】
紙層21の引張強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向またはMD方向)に500cN/m以上20000cN/m以下、好ましくは1000cN/m以上15000cN/m以下より好ましくは1500cN/m以上12000cN/m以下である。
【0057】
また、繊維の横方向(流れ方向と直交する方向またはCD方向)に100cN/m以上10000cN/m以下、好ましくは300cN/m以上5000cN/m以下より好ましくは500cN/m以上2500cN/m以下である。なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0058】
基層20A(紙層21)の伸びは、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に0.5%以上%30%以下、好ましくは1%以上25%以下、より好ましくは2%以上20%以下である。また、繊維の横方向(CD方向)に0.5%以上%20%以下、1%以上10%以下、2%以上7%以下である。なお、伸びは、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0059】
基層20A(紙層21)の引裂強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に50mN以上500mN以下、好ましくは80mN以上480mN以下より好ましくは100mN以上450mN以下である。
【0060】
また、繊維の横方向(CD方向)に100mN以上1000mN以下、好ましくは125mN以上750mN以下より好ましくは150mN以上500mN以下である。なお、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される。
【0061】
樹脂層20Bは、基層20A(紙層21)の一方の面(または片面)に積層され、熱可塑性樹脂を含む。本実施形態では、樹脂層20Bは、包装袋10の内側に配置されている。ここで、包装袋10の内側は、包装袋10に収容されたシートSに基材20が接する側(すなわち、包装袋10にシートSが収容される側または基材20の樹脂層20Bが形成された側)を示す。
【0062】
樹脂層20Bには、包装袋10の内側(包装袋10にシートSが収容される側)に配置される基材20の内面ISが構成される。なお、包装袋10の内側に配置される基材20の内面ISは、包装袋10に収容されたシートSに基材20が接する側の面(すなわち、基材20の樹脂層20Bが形成された側の面)に対応する。
【0063】
樹脂層20Bの坪量は、3g/m以上20g/m以下であり、好ましくは5g/m以上18g/m以下、より好ましくは8g/m以上15g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0064】
樹脂層20Bの厚みは、限定されないが、好ましくは4μm以上22μm以下であり、より好ましくは6μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは9μm以上17μm以下である。なお、樹脂層20Bの厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0065】
樹脂層20Bは、さらに分岐状低密度ポリエチレン製の第1層(LDPE層)22と、直鎖状低密度ポリエチレン製の第2層(LLDPE層)23とを有する。
【0066】
第1層(LDPE層)22は、基層20A(紙層21)側に積層されている(図9)。ここで、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)は、長い側鎖を多く持った鎖状分子を有する嵩高の(密度が低い)ポリエチレンである。
【0067】
第1層(LDPE層)22の厚みは、限定されないが、好ましくは1μm以上15μm以下であり、より好ましくは3μm以上12μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上10μm以下である。なお、第1層22の厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0068】
樹脂層20Bは、このような第1層(LDPE層)22を有することで、包装袋10のごわごわ感を抑制することができ、包装袋10の製袋性の低下を抑制することができる。また、第1層(LDPE層)22を有する樹脂層20Bは、包装袋10のシール時における樹脂層20Bの接着機能を向上させることができるため、基材20のシール部(またはシーラント)を構成し得る。
【0069】
第2層(LLDPE層)23は、第1層(LDPE層)22の基層20A(紙層21)に接する側と反対側に積層されている(図9)。ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、直線状のポリエチレンに多くの側鎖が導入された嵩高の(密度が低い)ポリエチレンである。
【0070】
また、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)よりも引張衝撃強度が高い。ここで、引張衝撃強度は、JIS K 7160に準拠した方法で測定される。なお、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、本実施形態に係る包装袋における分岐状低密度ポリエチレンよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィンの一例である。
【0071】
また、第2層23に適用されるポリオレフィン(LDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)に限定されず、例えば、ポリプロピレン(PP)であってもよい。
【0072】
第2層(LDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィンの層)23の厚みは、限定されないが、好ましくは1μm以上15μm以下であり、より好ましくは3μm以上12μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上10μm以下である。なお、第2層23の厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0073】
樹脂層20Bは、このような第2層(LLDPE層)23を有することで、基材20の強度を高くすることができる。具体的には、基材20において、基層20A(紙層21)に第1層(LDPE層)22が形成されることで、基層20A(紙層21)が破れると、基層20A(紙層21)に追随して第1層(LDPE層)22も破れやすいため、基材20が破れやすいものとなる。
【0074】
これに対して、基材20において、第1層(LDPE層)22にさらにLDPEよりも引張衝撃強度が高いLLDPE等のポリオレフィンの第2層23が形成されていると、第2層(LDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィンの層)23によって第1層(LDPE層)22が補強される。これにより、基材20に基層20A(紙層21)が破れる外力が加わっても、第1層(LDPE層)22が基層20A(紙層21)に追随して破れることが抑制され、基材20自体が破れにくいものとなる。
【0075】
樹脂層20Bにおいて、第1層22の厚みに対する第2層23の厚みの比は、任意であるが、0.2以上0.8以下であることが好ましく、より好ましくは0.25以上0.75以下、更に好ましくは0.3以上0.7以下である。
【0076】
樹脂層20Bの第2層(LLDPE層)23には、任意にスリップ剤が含まれている。ここで、スリップ剤は、樹脂層20Bの第2層(LLDPE層)23の摩擦係数を低下させる剤である。スリップ剤は、本実施形態では、樹脂層20Bに含まれる熱可塑性樹脂に添加されているが、基材20の内面ISに塗工されていてもよい。
【0077】
スリップ剤の成分は、特に限定されないが、例えば、エチレンホモポリマー、脂肪酸アミド、植物性油等を主成分として用いることができる。なお、熱可塑性樹脂に対するスリップ剤の含有量は、特に限定されない。また、スリップ剤には、主成分の他に、スリップ剤の安定性を維持する等の目的に応じて添加剤が含まれていてもよい。
【0078】
本実施形態では、このようなスリップ剤が樹脂層20Bの第2層(LLDPE層)23に含まれていると、基材20とシートSとの間の静摩擦係数(相対運動を行っていない状態で2つの物体の接触面に生じる摩擦力と接触面に直角に作用する力との比)を小さくすることができる。これにより、基材20がシートSに対して滑りやすくなるため、基材20に紙が含まれる包装袋10に開裂用切目線(ミシン目)Mを設けた場合でも、ミシン目Mが開裂しやすくなる(図1図10)。
【0079】
基層20A(紙層21)の他方一方の面(基材20の内面ISと反対側の面または外面OS)には、包装袋の表面に印刷される印刷層(図示せず)が設けられていてもよい。印刷層は、包装袋10の外側に配置されている。ここで、包装袋10の外側は、包装袋10に収容されたシートSに基材20が接しない側(すなわち、包装袋10にシートSが収容される側と反対の側または基材20の樹脂層20Bが形成された側と反対側)を示す。
【0080】
印刷層には、包装袋10の外側(包装袋10にシートSが収容される側と反対の側)に配置される基材20の外面OSが構成される。なお、包装袋10の外側に配置される基材20の外面OSは、包装袋10に収容されたシートSに接しない側の面(すなわち、基材20の印刷層が形成された側の面または基材20の樹脂層20Bが形成された側と反対側の面)に対応する。
【0081】
印刷層には、任意にグリップ剤が含まれている。ここで、グリップ剤は、印刷層の表面(外面OS)の摩擦係数を増加させる剤である。なお、グリップ剤は、基材20の外面OSに塗工してもよい。
【0082】
グリップ剤の成分は、特に限定されないが、例えば、メジュームインキ(合成樹脂)、油性ニス等を主成分として用いることができる。なお、印刷層に対するグリップ剤の使用量は、特に限定されない。また、グリップ剤には、主成分の他に、グリップ剤の安定性を維持する等の目的に応じて助剤、溶剤が含まれていてもよい。
【0083】
本実施形態では、このようなグリップ剤が基材20の外面OSの印刷層に含まれていること、または基材20の外面OSに塗布されていると、基材BSの外面OSに触れる人の手指(以下、手指という)との間に生じる摩擦力を大きくすることができる。これにより、基材20に触れた手指が基材20に対して滑りにくくなるため、基材20に紙が含まれる包装袋10に開裂用切目線(ミシン目)Mを設けた場合でも、ミシン目Mが開裂しやすくなる(図1図10)。
【0084】
本実施形態では、包装袋10(基材20全体)に対する基層20A(紙層21)の質量比が50%以上となっている。
【0085】
包装袋10(基材20)の坪量は、限定されないが、好ましくは25g/m以上65g/m以下であり、より好ましくは30g/m以上60g/m以下、さらに好ましくは35g/m以上55g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0086】
包装袋10(基材20)の厚みは、限定されないが、例えば、20μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上90μm以下、より好ましくは40μm以上80μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定された厚みを採用することができる。
【0087】
包装袋10(基材20)の引張強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に1.0kN/m以上5kN/m以下、好ましくは1.5kN/m以上4.0kN/m以下より好ましくは2.0kN/m以上3.5kN/m以下である。
【0088】
また、繊維の横方向(CD方向)に0.5kN/m以上5.0kN/m以下、好ましくは1.0kN/m以上4.0kN/m以下より好ましくは1.2kN/m以上3.0kN/m以下である。なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0089】
包装袋10(基材20)の伸びは、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に0.5%以上%30%以下、好ましくは1%以上25%以下、より好ましくは2%以上20%以下である。また、繊維の横方向(CD方向)に0.5%以上%20%以下、1%以上10%以下、2%以上7%以下である。なお、伸びは、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0090】
包装袋10の引裂強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に50mN以上700mN以下、好ましくは100mN以上600mN以下より好ましくは200mN以上500mN以下である。
【0091】
また、繊維の横方向(CD方向)に150mN以上800mN以下、好ましくは200mN以上700mN以下より好ましくは250mN以上600mN以下である。なお、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される。
【0092】
包装袋10のテーバー剛度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(MD方向)に0.01mN/m以上0.2mN/m以下、好ましくは0.02mN/m以上0.17以下、より好ましくは0.03mN/m以上0.15mN/m以下である。
【0093】
また、繊維の横方向(CD方向)に0.001mN/m以上0.1mN/m以下、好ましくは0.01mN/m以上0.08以下、より好ましくは0.02mN/m以上0.07mN/m以下である。なお、テーバー剛度は、JIS P 8125(2000)の規定に準拠して測定される。
【0094】
本実施形態に係る包装袋10では、上述のように、紙成分を含む基層20A(紙層21)のいずれか一方の面に熱可塑性樹脂を含む樹脂層20Bが設けられていることで、包装袋10の質感が柔らかくなる。これにより、包装袋10のごわごわ感が抑制され、包装袋10に追従性を付与することができる。そのため、包装袋の材質を樹脂製から紙製に変更した場合でも、製造時や輸送時に破断しにくい包装袋10を提供することができる。
【0095】
また、本実施形態の包装袋10では、基層20A(紙層21)の一方の面に設けられた樹脂層20Bが熱可塑性樹脂を含むことで、包装袋10をシール(または封止)する際に樹脂層20Bを加熱することで、溶けた樹脂層20Bが接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、包装袋10のシールが容易である。
【0096】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、坪量が15g/m以上55g/m以下の紙製の基層20A(紙層21)の一方の面に、坪量が3g/m以上20g/m以下の熱可塑性樹脂を含む樹脂層20Bが積層されている。さらに、樹脂層20Bは、該基層20A(紙層21)側の分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)製の第1層22と、第1層(LDPE層)22の基層20A(紙層21)に接する側と反対側のLDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層23とを有する。
【0097】
これにより、本実施形態の包装袋10では、包装袋10の基材20に紙が含まれる場合でも(プラスチックの使用量を削減しながら)、使用時における包装袋10の破れを抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、樹脂層20Bの厚みが4μm以上22μm以下であることで、包装袋10の基材20に紙が含まれる場合でも、包装袋10のシール時における樹脂層20Bの接着機能を維持する(基材20のシール性の低下を抑制する)ことができる。
【0099】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、第1層(LDPE層)22厚みに対する第2層(LDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィンの層)23の厚みの比が0.2以上0.8以下であることで、包装袋10の製袋性を低下させずに、包装袋10の使用時における破れを抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、ポリオレフィンが直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンの少なくとも1つであることで、第1層22のLDPEに対する第2層(LDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィンの層)23の密着性を向上させることができる。そのため、本実施形態によれば、使用時における包装袋10の破れをさらに抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、基材(積層体)20全体に対する基層20Aの質量比が50%以上であるため、紙としての包装袋10のリサイクルが可能となり、環境負荷を抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態の包装袋10では、上述のように、熱可塑性樹脂を含む樹脂層がLDPE製の第1層22とLDPEよりも引張衝撃強度が高いポリオレフィン製の第2層23とを有することで、基材(積層体)20全体に対する基層20Aの質量比が50%以上の場合でも、包装袋10の製袋性およびシール性を低下させずに、使用時における包装袋10の破れを抑制することができる。
【0103】
本実施形態のシート包装体100は、上述のように、包装袋10と、包装袋10に収容されたシートSと、を有することで(図1図2)、上述の包装袋10と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態のシート包装体100では、シート包装体100を構成する包装袋10を紙製にした場合でも(プラスチックの使用量を削減しながら)、使用時における包装袋10の破れを抑制することができる(図1図10)。
【0104】
本実施形態では、上述のように、包装袋10がピロー包装袋であると、樹脂層20Bが包装袋10の内側に配置された状態で、少なくとも1つのシール部が熱溶着されることで、樹脂層同士を接着することができる。これにより、樹脂層20Bの接着機能を有効に利用することができるので、シール性の高い包装袋10が得られる。
【実施例0105】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0106】
[試験体]
試験体として、複数枚のシートS(シート体SL)が包装袋10にピロー包装されたシート包装体100を用意した(図1図8)。
【0107】
包装袋10は、基材(積層体)20で構成し、基材(積層体)20は、基層20A(紙層21)、樹脂層20B(第1層22および第2層23)で構成した(図9)。樹脂層20Bの第1層22は分岐状低密度ポリエチレン層(LDPE層)とした。樹脂層20Bの第2層23は、直鎖状低密度ポリエチレン層(LLDPE層)23とした。包装袋10の天面11に、包装袋10の長手方向(MD方向)に延びる直線状の開裂用切目線(ミシン目)Mを形成した。ミシン目MのタイTとカットCの比は1:2とした。
【0108】
シート体SLは、シートSが折りたたまれた状態で積層されたペーパータオルとして、シングル(1プライ)のペーパータオル(商品名「エルヴェールペーパータオル エコスマート(小判)、大王製紙株式会社製、200組、高さH1:65mm、長さL1:210mm、幅(奥行)W1:85mm、坪量30g/m、紙厚150μm)を用いた。
【0109】
[米坪]
試験体(シート包装体100)における包装袋10の基材(積層体)20、基層20Aおよび樹脂層20Bの各米坪(坪量)を、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定した。米坪の単位は、g/mである。
【0110】
[厚み]
試験体(シート包装体100)における包装袋10の基材(積層体)20の樹脂層20Bの第1層(LDPE層)22、第2層(LLDPE層またはPP層)23の各厚みを、JIS P 8118(2014)の規定に準拠した、ISO紙厚計(CITIZEN社製、MEI-11)を用いて測定した。厚みの単位は、μmである。
【0111】
[引張強度]
試験体(シート包装体100)における包装袋10の基材(積層体)20及び基層20Aについて、JIS P 8113(2006)の規定に準拠した、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を用いて、縦方向(MD方向)と横方向(CD方向)の引張強度(mN)を測定した。
【0112】
[引裂強度]
試験体(シート包装体100)における包装袋10の基材(積層体)20及び基層20Aについて、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して、引裂強度試験機(熊谷理機工業社製、エルメンドルフ引裂度試験機(デジタル表示式))を用いて、繊維の縦方向(MD方向)と横方向(CD方向)の引裂強度を測定した。
【0113】
[紙化率]
試験体における包装袋10について、紙の比率を紙化率(%)として算出した。
【0114】
[製袋性]
包装機(フジキカイ社製 横形ピロー包装機α7)を用いて、加工スピード70パック/分、センターシール温度155℃、エンドシール温度185℃、センターシール張り104%(繰り出しを100とした場合のセンターシール箇所での速度差)で、包装袋10(パック)を製袋したときの、製袋性を評価した。製袋性の評価は、以下の基準で行い、Aは良好、Bは不良と判定した。
A:ガゼットが成形されシワの発生しない
B:エンドシール時(紙が固く)ガゼット部が成形不良となりシワ入りとなる
【0115】
[ヒートシール性]
1mの高さから試験体(シート包装体100)を天面11が上向きになるように落下させ、ヒートシール部(エンドシール、センターシール)の接着性(ヒートシール性)を評価した。ヒートシール性の評価は、以下の基準で行い、Aは良好、Bは不良と判定した。
A:ヒートシール部が接着されている
B:ヒートシール部に1mm以上未接着がある
【0116】
[使用時のパック破れ]
ミシン目Mを開封して包装袋10の天面11に開封口を形成した後、シートを200枚(全てのシート)を取り出し、全てのシートを取り出した後の状態で、取り出し時の抵抗により開封口(主に開封口の両端)が裂けたか(使用時のパック破れ)を確認した。使用時のパック破れの評価は、以下の基準で行い、Aは良好、Bは不良と判定した。
A:裂けない
B:裂けた
【0117】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0118】
[実施例1]
包装袋10の基材(積層体)20の基層20A(紙層21)に用いる紙の品種を片艶クラフト紙(坪量30g/m)とし、基材20の樹脂層20B(坪量13.8g/m)の第1層22を分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)層(膜厚7.5μm)とし、第2層23を直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層(膜厚7.5μm)として、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)43.830g/m、紙化率68%、引張強度(縦)2.72kN/m、引張強度(横)1.52kN/m、引裂強度(縦)349mN、引裂強度(横)345mNのシート包装体を作製した。包装袋10の条件、及び評価結果(製袋性、ヒートシール性、および使用時のパック破れ)を表1に示す。
【0119】
[実施例2]
紙の坪量40g/m、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)53.8g/m、紙化率74%、引張強度(縦)3.27kN/m、引張強度(横)2.04kN/m、引裂強度(縦)497mN、引裂強度(横)500mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0120】
[実施例3]
樹脂層20Bの坪量11.0g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚6μm、第2層(LLDPE層)23の膜厚6μm、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)41.0g/m、紙化率73%、引張強度(縦)2.53kN/m、引張強度(横)1.51kN/m、引裂強度(縦)309mN、引裂強度(横)310mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0121】
[実施例4]
第1層(LDPE層)22の膜厚5μm、第2層(LLDPE層)23の膜厚10μm、引張強度(縦)2.86kN/m、引張強度(横)1.61kN/m、引裂強度(縦)384mN、引裂強度(横)411mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0122】
[実施例5]
樹脂層20Bの坪量4.6g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚5μm、第2層23をLLDPE層に代えてポリプロピレン(PP)層(膜厚5.0μm)とし、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)34.6g/m、紙化率87%、引張強度(縦)2.88kN/m、引張強度(横)1.61kN/m、引裂強度(縦)384mN、引裂強度(横)411mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0123】
[比較例1]
樹脂層20Bを設けず、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)30.0g/m、紙化率100%、引張強度(縦)1.77kN/m、引張強度(横)1.47kN/m、引裂強度(縦)147mN、引裂強度(横)168mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0124】
[比較例2]
紙の坪量40g/m、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)40.0g/m、引張強度(縦)2.30kN/m、引張強度(横)2.00kN/m、引裂強度(縦)231mN、引裂強度(横)245mNのシート包装体を作製した以外は、比較例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0125】
[比較例3]
紙の坪量60g/m、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)60.0g/m、引張強度(縦)4.40kN/m、引張強度(横)2.40kN/m、引裂強度(縦)373mN、引裂強度(横)407mNのシート包装体を作製した以外は、比較例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0126】
[比較例4]
紙の坪量20g/m、樹脂層20Bの坪量10.1g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚11μm、第2層23を設けず、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)30.1g/m、紙化率66%、引張強度(縦)1.82kN/m、引張強度(横)1.09kN/m、引裂強度(縦)166mN、引裂強度(横)188mNのシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0127】
[比較例5]
樹脂層20Bの坪量10.1g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚11μm、第2層23を設けず、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)40.1g/m、紙化率75%、引張強度(縦)2.36kN/m、引張強度(横)1.57kN/m、引裂強度(縦)200mN、引裂強度(横)237mNのシート包装体を作製した以外は、比較例4と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0128】
[比較例6]
樹脂層20Bの坪量18.4g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚20μm、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)48.4g/m、紙化率62%、引張強度(縦)2.80kN/m、引張強度(横)1.70kN/m、引裂強度(縦)243mN、引裂強度(横)275mNのシート包装体を作製した以外は、比較例5と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0129】
[比較例7]
樹脂層20Bの坪量13.8g/m、第1層(LDPE層)22を設けず、第2層(LLDPE層)23の膜厚15μm、引張強度および引裂強度を測定しなかったシート包装体を作製した以外は、実施例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0130】
[比較例8]
第1層(LDPE層)22の膜厚15μm、第2層23を設けず、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)53.8g/m、引張強度(縦)2.84kN/m、引張強度(横)2.45kN/m、引裂強度(縦)292mN、引裂強度(横)288mNのシート包装体を作製した以外は、実施例2と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0131】
[比較例9]
紙の坪量60g/m、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)70.1g/m、紙化率68%、引張強度(縦)5.50kN/m、引張強度(横)2.64kN/m、引裂強度(縦)440mN、引裂強度(横)501mNのシート包装体を作製した以外は、比較例5と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0132】
[比較例10]
基層20A(紙層21)を設けず、樹脂層20Bの坪量20.2g/m、第1層(LDPE層)22の膜厚22μm、第2層23を設けず、基材(積層体)20の坪量(坪量合計)20.2g/m、紙化率0%、引張強度(縦)10kN/m以上、引張強度(横)10kN/m以上、引裂強度(縦)2500mN以上、引裂強度(横)2500mN以上のシート包装体を作製した以外は、比較例1と同様に、試験体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
表1より、坪量が30g/m以上40g/m以下の片艶クラフト紙製の基層20A(紙層21)の一方の面に、坪量が5g/m以上13.8g/m以下の熱可塑性樹脂を含む樹脂層20Bが積層され、樹脂層20Bの第1層(LDPE層)22と、第2層(LLDPE層またはPP層)23を有する包装袋10を用いた試験体(シート包装体100)は、製袋性、ヒートシール性、使用時のパック破れのいずれも良好であった(実施例1~5)。
【0135】
これに対して、樹脂層20Bに、第1層(LDPE層)22と第2層(LLDPE層またはPP層)23が設けられていない試験体は、製袋性、ヒートシール性、使用時のパック破れのいずれか少なくとも1つが不良であった(比較例1~10)。
【0136】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0137】
100 シート包装体
SL シート体
S シート
10 包装袋
11 天面
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
20 基材
IS 内面
OS 外面
20A 基層
20B 樹脂層
21 紙層
22 第1層(LDPE層)
23 第2層
30 取出口
M ミシン目(開裂用切目線)
C カット
T タイ
OP 開口(取出口)
40、50 シール部(エンドシール)
60 シール部(ボトムシール)
L1、L2、L3 長さ
W1、W2 幅
H1、H2 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11