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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128161
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】信号伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/40 20060101AFI20230907BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H04L25/40 S
H04L25/40 R
H04L1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032322
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】雫石 航希
【テーマコード(参考)】
5K014
5K029
【Fターム(参考)】
5K014FA11
5K029AA18
5K029DD23
5K029GG07
(57)【要約】
【課題】信号伝送における振幅調整に多くのコストと時間がかかること。
【解決手段】本発明の信号伝送装置100は、複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部101と、送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部102と、送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部103と、受信部にて送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、送信部と受信部との間における信号の送受信が行われるよう調整部を制御する制御部104と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する制御部と、
を備えた信号伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも大きな振幅に振幅調整を行うよう前記調整部を制御し、その後、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも大きな振幅で振幅調整を行うよう前記調整部を制御する工程を、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となるまで繰り返し、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて受信した前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てが同一の振幅ではない場合に、前記受信部にて受信した最大の振幅で前記送信部が同時に複数の信号を出力するよう制御する、
信号伝送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であり、前記受信部にて受信した前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てが同一の振幅ではない場合に、前記受信部にて受信した最大の振幅よりもさらに大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも予め設定された値だけ大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも予め設定された値だけ大きな振幅で振幅調整を行うよう前記調整部を制御する工程を、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となるまで繰り返し、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記送信部は、複数の同一の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する、
信号伝送装置。
【請求項9】
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置による信号伝送方法であって、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送方法。
【請求項10】
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置を制御する制御装置に、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
処理を実行させるためのプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送装置、信号伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやラジオなどの放送機器や電話機といった通信装置では、内部に搭載された基板間の信号の通信において、安定した品質が要求される。このため、信号が経由するIC(Integrated Circuit)それぞれに、適切な振幅レベルで信号が入出力されることが必要である。例えば、信号振幅を調整する場合、(1)信号送信部の振幅調整をレジスタ等の設定にてFPGA(Field Programmable Gate Array)などの制御ICを使用して手動で計算して設定し、(2)信号受信部にて信号が受信できるかの確認をレジスタ等の設定にてFPGAなどの制御ICを使用して確認する、といった設計手順が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-53656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多数のICについて振幅の調整を行う場合には、各ICにて上述した手順の検査と調整を行わなければならず、多くのコストと時間を要する、という問題がある。また、伝送信号の振幅を調整する技術として、特許文献1に記載のような、伝送路にとって必要最低限の振幅を設定する、という技術がある。ところが、特許文献1の技術では、複数の伝送路に対する調整については記載されておらず、依然として上述した問題が生じうる。
【0005】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、信号伝送における振幅調整に多くのコストと時間がかかる、ことを解決することができる信号伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である信号伝送装置は、
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する制御部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態である信号伝送方法は、
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置による信号伝送方法であって、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、信号伝送における振幅調整にかかるコストと時間の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1における信号伝送システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に開示した信号伝送システムにおける信号の流れを示す図である。
図3図1に開示した信号伝送システムの動作を示すフローチャートである。
図4図1に開示した信号伝送システムの動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2における信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態2における信号伝送装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、信号伝送システムの構成を説明するための図であり、図2乃至図4は、信号伝送システムの動作を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本発明における信号伝送システムは、電子基板内に設けられた信号伝送回路にて構成される。特に、信号伝送システムは、信号の伝送を行う送信IC(Integrated Circuit)30と受信IC40との間に設置され、送受信信号の振幅調整を行う信号調整装置1を備える。信号調整装置1は、送信IC30と受IC40との通信経路における振幅調整を行い、通信が安定するよう制御するものである。なお、送信IC30と受信IC40とは、一般的なデジタル信号(SDI(Serial Digital Interface)やASI(Asynchronous Serial Interface)などの映像音声などのデータやクロックなどの信号)を送受信するデバイスである。
【0012】
信号調整装置1(信号伝送装置)は、図1に示すように、送信ボード10と受信ボード20とを備えており、これらは4本の伝送路A,B,C,Dで接続されている。送信ボード10は、信号出力元となる送信回路11と、送信される信号の振幅レベルを調整する振幅調整回路12と、送信回路11及び振幅調整回路12を制御する送信側制御部13を備える。また、受信ボード20は、送信回路11より出力された信号を受信する受信回路21と、受信回路21を制御し信号の受信可否等の情報を送信ボード10にフィードバックする受信側制御部23を備える。以下、各構成について詳述する。
【0013】
送信回路11(送信部)は、受信回路21に対して4本の伝送路を介して4つの信号を同時に送信するよう出力する。このとき、4つの信号は全て同一の信号である。送信回路11が送信する4つの信号は、例えば、送信IC10から送信された信号、あるいは、後述するように受信側制御部23及び送信側制御部13からフィードバックされる信号である。なお、送信回路11は、送信IC10から送信された4つの信号をそのまま出力したり、あるいは、1つの信号を4つの信号にコピーして出力する。
【0014】
振幅調整回路12(調整部)は、送信回路11から出力された4つの信号の全てに対して、同一レベルの振幅調整を行う。例えば、振幅レベルとして、レベル1,2,3,4,5(Lv.1,Lv.2,Lv.3,Lv.4,Lv.5)が設定されており、レベルの数値が1つ大きくなるごとに、100mVppずつ電圧を高くするよう設定されている。そして、振幅調整回路12は、後述するように、送信側制御部13からの制御指令により設定されたレベルに応じて、送信される4つの信号の振幅を大きくするよう調整する。一例として、レベル1(Lv.1)で送信していた信号に対して、レベル2を設定する制御指令を受けた場合には、信号の振幅をさらに100mVppだけ大きくして送信するよう調整する。
【0015】
受信回路21(受信部)は、送信回路11から同時に送信された4つの信号を受信する。このとき、受信回路21は、4つの信号の受信状況を受信側制御部23に通知する。例えば、受信回路21は、4つの信号の全てを受信可能であったか否か、受信した各信号の振幅、受信した信号自体、を受信側制御部23に通知する。
【0016】
受信側制御部23(制御部)は、受信回路21から信号の受信状況を検出し、その結果を送信側制御部13に通知する。具体的に、受信側制御部23は、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能であった場合には、受信可能の旨を送信側制御部13に通知する。また、受信側制御部23は、4つの信号の全てを受信可能でなかった場合、つまり、同時に送信された4つの信号のうち1つでも受信不可能であった場合には、受信不可能の旨を送信側制御部13に通知する。また、受信側制御部23は、受信した各信号の振幅が等しくない場合には、最大振幅となった信号を選定してその信号自体を送信側制御部13に通知する。なお、受信側制御部23は、受信した各信号の振幅が等しい場合には、そのうち1つの信号を選定してその信号自体を送信側制御部13に通知する。
【0017】
送信側制御部13(制御部)は、受信側制御部23からの通知に応じて、送信回路11と振幅調整回路12とを制御する。具体的に、送信側制御部13は、まず、受信側制御部23から、先に送信した信号のうち1つの信号の通知つまりフィードバックを受け、かかる信号を再度、送信回路11から4つの信号にして送信するよう制御する。このとき、先に送信した4つの信号のうち、最大振幅の信号がフィードバックされるため、かかる最大振幅の信号が4つの信号で再度送信されることとなる。
【0018】
また、送信側制御部13は、受信側制御部23から、同時に送信された4つの信号を受信可能であった旨の通知を受けた場合には、先に信号を送信したときの振幅レベルを1つ上げるよう振幅調整回路12に指令し、併せて、振幅調整を完了して、その後は1つ上げた振幅レベルで信号を出力するよう制御する。例えば、先の送信時はレベル1(Lv.1)であった場合に、受信可能であった旨の通知を受けると、レベル2(Lv.2)に振幅レベルを上げるよう指令する。これにより、振幅調整回路12では、先の信号送信時にレベル1で送信していた信号に対して、振幅レベルをレベル2に上げ、つまり、振幅を100mVpp大きくして、その後の信号が出力されることとなる。
【0019】
また、送信側制御部13は、受信側制御部23から、同時に送信された4つの信号を受信不可能であった旨の通知を受けた場合には、先に信号を送信したときの振幅レベルを1つ上げるよう振幅調整回路12に指令する。そして、送信側制御部13は、かかる工程を、受信側制御部23から上述したように受信可能であった旨の通知を受けるまで繰り返す。例えば、1回目の送信時はレベル1(Lv.1)であった場合に、受信不可であった旨の通知を受けると、レベル2(Lv.2)に振幅レベルを上げるよう指令し、2回目の送信はレベル2で行われる。そして、2回目の送信に対しても受信不可であった旨の通知を受けると、レベル3(Lv.3)に振幅レベルを上げるよう指令し、3回目の送信はレベル3で行われる。そして、送信側制御部13は、受信可能の通知を受けるまで、かつ、設定された最大レベルまで、かかる処理を繰り返す。
【0020】
[動作]
次に、上述した信号伝送システムの動作を、図2乃至図4を参照して説明する。図2は、信号伝送システムにおける信号の流れを示す図である。図3は、信号調整装置の動作を示すフローチャートであり、図4は、振幅レベルの遷移を示すフローチャートである。
【0021】
まず、図2の矢印Y1に示すように、送信IC30より送信回路11に信号が入力される。すると、矢印Y2に示すように、1回目の送信として、送信回路11から4つの信号が同時に受信回路21に送信される(図3のステップS1)。このとき、4つの信号は、振幅調整回路12にてレベル1(Lv.1)に振幅調整され、矢印Y3に示すように、4本の伝送路A,B,C,Dを介してそれぞれ受信回路21に送信される。なお、レベル1は、信号の振幅を大きくせずにそのまま送信するレベルである。但し、レベル1において、振幅を予め設定された値だけ大きくしてもよい。
【0022】
その後、矢印Y4に示すように、受信回路21にて信号が受信され(図3のステップS2)、このとき、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能か否か判断される(図3のステップS3)。そして、受信回路21にて4つの信号が受信可能である場合には(図3のステップS3でYes)、矢印Y5,Y6に示すように、受信側制御部23にて、受信可能であった旨と受信した全ての信号のうち最大振幅の信号を、送信側制御部13にフィードバックする。これにより、送信側制御部13では、フィードバックされた最大振幅の信号を、その後送信するよう送信回路11にフィードバックし(矢印Y7)、さらに、振幅レベルを1つ上げるよう振幅調整回路12に指令する(矢印Y8)(図3のステップS4)。例えば、1回目の送信がレベル1(Lv.1)である場合には(図4のステップS11)、その後の送信の振幅レベルがレベル2(Lv.2)に上げられた状態で信号が送信され(図4のステップS12)、矢印Y9に示すように受信IC40に出力されることとなる。一例として、1回目に振幅100mVppで送信されていた信号が、その後は振幅レベル2に応じて100mVppが加算された200mVppで出力されることとなる。これにより、信号は、1回目の振幅100mVppでも受信可能であるが、余裕を持たせて200mVppで送信されることとなる。このようにして、振幅レベルの調整は完了する。また、別の例として、仮に1回目に、4つの信号の振幅がそれぞれ100mVpp,110mVpp,120mVpp,110mVppで送信されていた場合には、上述したように最大振幅の120mVppの信号がフィードバックされることとなる。このため、その後の信号の送信は、最大振幅の120mVppがレベル2に上げられ、さらに100mVppが加算された220mVppで行われることとなる。
【0023】
一方、受信回路21にて4つの信号が受信不可能である場合には(図3のステップS3でNo)、矢印Y5,Y6に示すように、受信側制御部23にて、受信不可能であった旨と受信した全ての信号のうち最大振幅の信号を、送信側制御部13にフィードバックする。これにより、送信側制御部13では、フィードバックされた最大振幅の信号を2回目の送信として送信するよう送信回路11にフィードバックし(矢印Y7)、さらに、振幅レベルを1つ上げるよう振幅調整回路12に指令する(矢印Y8)(図3のステップS5)。例えば、1回目の送信がレベル1(Lv.1)である場合には(図4のステップS11)、2回目の送信の振幅レベルがレベル2(Lv.2)に上げられた状態で信号が出力されることとなる(矢印Y2,Y3)(図4のステップS13)。一例として、1回目に振幅100mVppで送信されていた信号が、2回目は振幅レベル2に応じて振幅100mVppが加算された振幅200mVppで出力されることとなる。なお、このとき、仮に1回目に、4つの信号の振幅がそれぞれ100mVpp,110mVpp,120mVpp,110mVppで送信されていた場合であって、このうち、100mVppの信号が受信不可能であった場合には、上述したように最大振幅の120mVppの信号がフィードバックされることとなる。このため、2回目の信号の送信は、最大振幅の120mVppがレベル2に上げられ、さらに100mVppが加算された振幅220mVppで行われることとなる。
【0024】
そして、2回目の信号の送信に対して、上述同様の処理が繰り返される。つまり、2回目の振幅レベルがレベル2(Lv.2)の信号の送信に対して受信回路21にて信号が受信され、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能か否か判断される(図4のステップS13)。このとき、受信回路21にて4つの信号が受信可能であった場合には、その後の送信の振幅レベルがレベル3(Lv.3)に上げられた状態で信号が送信され(図4のステップS14)、受信IC40に出力されることとなる。一方で、受信回路21にて4つの信号が受信不可能であった場合には、3回目の送信の振幅レベルがレベル3(Lv.3)に上げられた状態で信号が送信される(図4のステップS15)。
【0025】
続いて、3回目の信号の送信に対して、上述同様の処理が繰り返される。つまり、3回目の振幅レベルがレベル3(Lv.3)の信号の送信に対して受信回路21にて信号が受信され、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能か否か判断される(図4のステップS15)。このとき、受信回路21にて4つの信号が受信可能であった場合には、その後の送信の振幅レベルがレベル4(Lv.4)に上げられた状態で信号が送信され(図4のステップS16)、受信IC40に出力されることとなる。一方で、受信回路21にて4つの信号が受信不可能であった場合には、4回目の送信の振幅レベルがレベル4(Lv.4)に上げられた状態で信号が送信される(図4のステップS17)。
【0026】
続いて、4回目の信号の送信に対して、上述同様の処理が繰り返される。つまり、4回目の振幅レベルがレベル4(Lv.4)の信号の送信に対して受信回路21にて信号が受信され、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能か否か判断される(図4のステップS17)。このとき、受信回路21にて4つの信号が受信可能であった場合には、その後の送信の振幅レベルがレベル5(Lv.5)に上げられた状態で信号が送信され(図4のステップS18)、受信IC40に出力されることとなる。一方で、受信回路21にて4つの信号が受信不可能であった場合には、5回目の送信の振幅レベルがレベル5(Lv.5)に上げられた状態で信号が送信される(図4のステップS19)。
【0027】
続いて、5回目の信号の送信に対して、上述同様の処理が繰り返される。つまり、5回目の振幅レベルがレベル5(Lv.5)の信号の送信に対して受信回路21にて信号が受信され、同時に送信された4つの信号の全てが受信可能か否か判断される(図4のステップS19)。このとき、受信回路21にて4つの信号が受信可能であった場合には、振幅レベルが最大であるため、その後の送信の振幅レベルをレベル5(Lv.5)のままで信号が送信され、受信IC40に出力されることとなる。一方で、受信回路21にて4つの信号が受信不可能であった場合には、これ以上は受信IC40の受信レベル規格割れとなるので、受信側制御部23にてアラームを発報し通知する。
【0028】
以上のように、本実施形態では、信号調整装置1にて送信する信号の振幅調整を自動で行うことができ、短期間で簡単に低コストで、送受信回路の規格を合格した高信頼の信号伝送を実現することができる。また、受信回路が受信可能な振幅に対してさらにマージンを加えて大きくしているため、より品質の高い信号伝送が可能である。そして、振幅にマージンを含めつつ受信できる最低限の振幅に調整しているため、消費電力を抑えることができる。
【0029】
なお、上記では、送信回路11から4つの同一の信号を同時に送信しているが、信号の数は必ずしも4つであることに限定されず、複数であればよい。また、4つの信号は、必ずしも同一であることに限定されず、また、送信タイミングも厳密に同一であることに限定されない。
【0030】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、図5乃至図6を参照して説明する。図5は、実施形態2における信号伝送装置の構成を示すブロック図であり、図6は、信号伝送装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、上述した実施形態で説明した信号調整装置の構成の概略を示している。
【0031】
図5に示すように、本実施形態における信号伝送装置100は、
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部101と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部102と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一レベルの振幅調整を行う調整部103と、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅レベルよりも大きな振幅レベルで、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する制御部104と、
を備える。
【0032】
そして、信号伝送装置100の制御部104は、図6に示すように、
送信部から複数の信号を同時に送信し(ステップS101)、
受信部にて全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅レベルよりも大きな振幅レベルで、送信部と受信部との間における信号の送受信が行われるよう調整部を制御する(ステップS102)、
という処理を実行する。
【0033】
本発明は、以上のように構成されることにより、信号の振幅調整を自動で行うことができ、短時間かつ低コストで、高信頼の信号伝送を実現することができる。
【0034】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0035】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における信号伝送装置、信号伝送方法の構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する制御部と、
を備えた信号伝送装置。
(付記2)
付記1に記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも大きな振幅に振幅調整を行うよう前記調整部を制御し、その後、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
(付記3)
付記1又は2に記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも大きな振幅で振幅調整を行うよう前記調整部を制御する工程を、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となるまで繰り返し、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて受信した前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てが同一の振幅ではない場合に、前記受信部にて受信した最大の振幅で前記送信部が同時に複数の信号を出力するよう制御する、
信号伝送装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であり、前記受信部にて受信した前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てが同一の振幅ではない場合に、前記受信部にて受信した最大の振幅よりもさらに大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも予め設定された値だけ大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記制御部は、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された複数の信号のうち少なくとも1つの信号が受信不可能であった場合に、当該受信不可能であった時の振幅よりも予め設定された値だけ大きな振幅で振幅調整を行うよう前記調整部を制御する工程を、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となるまで繰り返し、前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能となった場合に、当該受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送装置。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の信号伝送装置であって、
前記送信部は、複数の同一の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する、
信号伝送装置。
(付記9)
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置による信号伝送方法であって、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
信号伝送方法。
(付記10)
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置を制御する制御装置であって、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
制御装置。
(付記11)
複数の信号を複数の伝送路を介してそれぞれ同時に送信する送信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号を受信する受信部と、
前記送信部から同時に送信された複数の信号の全てに対して同一の振幅調整を行う調整部と、を備えた信号伝送装置を制御する制御装置に、
前記受信部にて前記送信部から同時に送信された全ての複数の信号が受信可能であった時の振幅よりも大きな振幅で、前記送信部と前記受信部との間における信号の送受信が行われるよう前記調整部を制御する、
処理を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0036】
1 信号調整装置
10 送信ボード
11 送信回路
12 振幅調整回路
13 送信側制御部
20 受信ボード
21 受信回路
23 受信側制御部
30 送信IC
40 受信IC
100 信号伝送装置
101 送信部
102 受信部
103 調整部
104 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6